最後の七人のようです(前編)
最後の七人のようです(後編)

4 名前:代理さん、ありがとうございました 投稿日:2009/06/07(日) 17:29:03.51 ID:shz8Uebe0


惨劇の始まりは月のない、真っ暗な夜。
星々のわずかな光に照らされた世界。


「うわぁぁぁ!!」


響き渡る幼い少年の声。それは、ふと途切れた。

海に面した断崖絶壁、その上にある今は使われていない灯台。
そこで、一つの命が失われた。

一人さびしく失われた命は仲間を求め続ける。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:31:34.67 ID:shz8Uebe0


         ( ^ω^)

      最  後  の      川 ゚ -゚)
 ξ゚听)ξ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
                /七   人   の    ('A`)
          (´・ω・`)    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
                               /よ  う  で  す  ζ(゚ー゚ζ
                         ( ><)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 

         ──────The Last Seven Members─────


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:32:53.81 ID:shz8Uebe0


△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り10日△▼△▼△▼△▼


ξ゚听)ξ「それで、その男の子は毎年、修学旅行の前日に一人の生徒を連れていくらしいわよ」

夕方の教室。健全な中学生なら部活動をしている時間。
窓際の机に集まり、3人が1人の話に聞き入っている。

(;^ω^)「おっお。ただの噂だお」

自分に言い聞かせるように、少し太めの少年が口を開いた。

('A`)「おいおい、ビビってんのかよ」

痩せこけた少年はそれをからかった。

(´・ω・`)「でも、確か3年前に、この学校の生徒一人が行方不明になったはずだよ?」

ξ゚听)ξ「馬鹿ねぇ。そんなの噂に決まってるじゃない」

即座に否定したのは話の発端の彼女。くるくるとしたツインテールで、多くの男子生徒の狙いの的だ。
もっとも、本人はそんなことは眼中にないようだが。

(;^ω^)「その通りだお」


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:34:41.46 ID:shz8Uebe0


少年の肯定を受けた少女はさらに言い募る。

ξ゚听)ξ「私はこの話を母さんから聞いたのよ?
      母さんがこの学校に通ってたのは10年どころか20年以上も前よ」

('A`)「確かに、辻褄が合わんな。昔はこんな作り話が流行っ」

細身の少年が言い終わる前に教室のドアが勢い良く開いた。

(;^ω^)「うわああああああああ!!」('A`;)

二人の少年が飛び上がる。

( ´∀`)「下校時刻モナ。家に帰りなさいモナ」

入ってきたのは、細身の少年を除く3人のクラスの担任、モナー先生だ。
たれた目と持前の穏やかさで、全校生徒から支持を得ている。

ξ゚听)ξ「はーい。修学旅行の話し合いが長引いてしまったんです」

(;^ω^)「び、びびったお・・・・・・」

窓から外を見ると程よく暗くなってきているが、
この時期は日が沈むのが遅い。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:35:57.19 ID:shz8Uebe0


(´・ω・`)「悲鳴は2人分だった気がするんだけど?」

('A`)「き、気のせいだろ。それより、もう帰ろうぜ」

4人はそろって鞄を持って教室を出た。
モナー先生はすでに他の階を確認しに行ったようで、廊下にその姿はなかった。

(;^ω^)「さっきの話があんまし怖かったもんだから、家まで送ってほしいお、ツン」

        ( ^ω^) 内藤 ブーン

ξ゚听)ξ「そもそも家は隣同士でしょ。何いってんのよ」

         ξ゚听)ξ 津田 ツン

('A`)「お前らはいいよなぁ・・・・・・家が近いし」

          ('A`)  鬱田 ドクオ

(´・ω・`)「なんだ、クーちゃんの話ね。いい加減行動を起こしたら?」

         (´・ω・`) 眉降 ショボン

教室を出た彼等はそのまま帰路についた。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:37:01.65 ID:shz8Uebe0


('A`)「クーさんには話しかけづらいオーラがあってだな・・・・・・」

ドクオの弱気な発言にそれぞれが応える。

(´・ω・`)「ビビってるだけじゃないか」

ξ゚听)ξ「ビビってるんでしょ」

( ^ω^)「ビビってるんだお」

内容は全く一緒だったが・・・・・・。

('A`)「お前ら・・・・・・。俺こっちだから。んじゃな」

校門を出るとドクオは一人右に曲がっていった。

( ^ω^)「また明日だお〜」

声につられ、ドクオが振り向くと3人が手を振っていた。
それに軽く応えつつ次の角を曲がり、見えなくなった。

ξ゚听)ξ「ドクオはもうちょっと前向きになればいいのに」

(´・ω・`)「そうだよねぇ。自分から避けてちゃ進展しようがないのに」

3人でどうやってドクオにチャレンジしながら道を歩く。
影は、あっという間に夕闇に飲み込まれた。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:38:34.13 ID:shz8Uebe0

その後、ショボンと別れ、すぐに家に着いた。

( ^ω^)「それじゃ、また明日だお!」

ξ゚听)ξ「それじゃあね」

そういって、家の中に駆け込んでいった。それを見送ったツンも自分の家の中に入る。

( ^ω^)「ただいまだおー」

玄関に靴を脱ぎ散らかし、自分の部屋へ駆け上がる。
下から聞こえてくる母親の叱責を無視し、パソコンの電源をつけた。

( ^ω^)「お?」

不可解なメールが1通来ていることに気付く。
それは件名の欄も宛先の欄も空白だった。

不気味なメールだったが、好奇心が勝りそのメールを開いてしまう。

そこには一言。



見つけてください



とだけあった。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:39:50.72 ID:shz8Uebe0


(;^ω^)「なんか気味悪いお・・・・・・」

ブーンはそのままメールを削除しようとしとき、放課後の話を思い出した。

心臓の音が全身に響いているのを感じ、
マウスを握った手には大量の汗がにじみ出てくる。


「一人の少年が行方不明になった」

「修学旅行の前日に命を奪いに来る」

「3年前に同じ学校の一人の生徒が死んでいる」


(;^ω^)「おっお・・・・・・」

呼吸が苦しくなる。わからない、ということがどんどん想像を膨らませていく。

(;^ω^)「はぁっ、はぁ」

  「御飯よー」

下の階から聞こえてきた母親の声。それはブーンを無限の思考の海から救い出した。


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:42:17.12 ID:shz8Uebe0


(;^ω^)「御飯・・・・・・かお。おなか減ったお」

あまりに集中していたため、空腹にも気づいていなかった。
ふるえる手で扉を開け、階段を降りる。
晩御飯のトンカツは揚げたてだったにもかかわらず、熱を感じなかった。

(;^ω^)(ツンのおばちゃんが知ってる、ってことはうちの親も知ってるかお?)

洗い物をしている母親の背に声をかけた。

(;^ω^)「母さん、灯台の男の子の話って知ってるかお?」

  「ああ、あの話」

どうやら、ブーンの母親も知っているようだった。
意を決して尋ねてみる。

(;^ω^)「どういう話なんだお?」

  「ある男の子の呪いの話だよ」

母親の話は10分ちょっとで終わった。
ツンの話との整合性もあり、そう言う噂があった、という信憑性は十分なものだろう。

内容を簡単にまとめるとこうだ。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:43:09.76 ID:shz8Uebe0


昔、灯台が好きだった少年がいた。事件が起きたのは修学旅行の前日。
その少年は、灯台に出かけてくる、と言ったきり行方不明になる。
そのため、少年は修学旅行を非常に楽しみにしていたが、参加できなかった。

修学旅行に行けなかった悲しみが、彼をこの世に縛りつけてしまう。
そして、次の年から修学旅行の前日に生徒が一人いなくなる。
ということだった。

そして、もっとも肝心な、少年の行方。
それはまだわかっていないそうだ。

(;^ω^)(ん? でも、行方不明で、みつかってないってことは生きてる可能性もあるお?)

ブーンは疑問を心の中にしまったまま床についた。
その質問をしなかったのは、件の少年の話をしている時の母親の機嫌はあまりよさそうではなかったからだ。
目を閉じると誰かに見られている気がして、なかなか寝付けなかった。

修学旅行が近いのも原因の一つだろう。
そう、ブーンたちの学校では10日後の修学旅行がある。
今までずっと楽しみだったその行事は、今のブーンにとって恐怖の対象にすり替わってしまっていた。

すぐに寝息が聞こえてきたが。


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:44:15.56 ID:shz8Uebe0


( ^ω^)「ん・・・・・・?」

気づけば自分の部屋ではない場所にいた。
周りを見回すと、ブーンは筒状の何かの中、螺旋階段に立っていることに気づいた。

( ^ω^)「なんで・・・・・・こんなとこにいるんだお?」

上を見ても下を見てもどこまでも続く螺旋階段。
ただ唯一、この階段を照らす光は上から注いでいるように見える。
ブーンは階段を一歩ずつ登っていった。

( ^ω^)「わけわかんないお・・・・・・」

出口はすぐに見つかった。
強烈な光が溢れていて、前が全く見えない。
わかったのは、

( ^ω^)「潮の・・・香り・・・?」

光の溢れる出口に身をゆだねると、強い潮風を感じた。
そこには6人が立っている。


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:45:37.64 ID:shz8Uebe0

ξ゚听)ξ「ブーン?」

話しかけてきたのがツンだと気づくのに時間はいらなかった。
そして、全員をすぐに特定できた。6人ともブーンの知っている人物だ。

('A`)「やっぱり、お前もか・・・・・・」

ドクオも、そしてショボンもいた。

後の3人も同じ学校の生徒だった。

川 ゚ -゚)「やっぱり、ということはこの事態を理解しているということか?」

そう言うのはブーン達の学校の生徒会長。
素直 クール
漆黒の美しい髪と瞳、豊満な容姿のおかげで、ツン同様に男子から非常に人気がある。

ζ(゚ー゚ζ「それなら、さっさと説明してくれるかな?」

わかりやすい二面性を持っているが、それにだまされる男も少なくない。
明石 デレ
ツン、クーと並び校内三大女子、とまで言われているほどだ。

( ><)「ど、どうなってるんです?」

そして、ワカンナイ・ビロード
最近引っ越してきたばかりの帰国子女だ。

('A`)「落ち着いて聞いてほしいんだが、俺らはたぶん、呪われたんじゃないかな」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:48:06.29 ID:shz8Uebe0

呪われた、その言葉に誰もが反応した。
この場所に最初に来たのはドクオだったそうだ。
次にツンがきた。話を聞いてみると、全員が同じ場所から出てきたはずなのに、誰ひとりここに来るまでに合流していなかったようだ。
ツンと話し合って、結論が出たころに、ちょうどブーンがきたらしい。

( ^ω^)「呪われたって、何を言ってるんだお?」

川 ゚ -゚)「ブーンの言う通りだな。まったくもって意味がわからない」

ブーンの言葉を皮切りにクー、デレデレ、ビロードが一気に口を開き不平不満を述べた。

ξ゚听)ξ「ここからは私が話すわ」

ツンが話したのは、放課後僕らに話したことと全く変わらなかった。
全員の顔色が青ざめていく。

川 ゚ -゚)「実際にその通りだとして、まだ修学旅行の前日でさえないぞ」

(´・ω・`)「そうだね。それに7人いるのもおかしい。
話がその通りだとすれば、犠牲者は1人だけのはずだ」

ショボンの言葉で全員が黙り込む。

( ^ω^)「その話で一つ疑問があるんだお。行方不明ってだけで、生きている可能性はないのかお?」

ζ(゚ー゚ζ「どうでもいいじゃない、そんなこと。呪いなんて嘘っぱち。どうせこれも夢に決まってる」

ブーンの疑問はデレによって一蹴された。
が、捨てる神あれば拾う神あり。クーがその疑問に答える。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:49:30.02 ID:shz8Uebe0


川 ゚ -゚)「確かに。それは重要じゃないか?
     そもそも、そういうところから答えを探さないとな。出口のないここから出る答えを」

クーの一言にブーンは首をかしげた。

('A`)「後ろを見てみな」

ドクオに言われて振り向いたブーンは、あいた口がふさがらなかった。
入ってきたはずの入り口が、そこにはなかったからだ。

( ><)「このままじゃ飢え死になんです!」

(´・ω・`)「そういえば、うちの地域も使ってない灯台があったよね・・・・・・」

その言葉に応えるように波の音が聞こえてきだした。
一定間隔で繰り返す穏やかな音は眠さを誘う。

( ^ω^)「眠い・・・・・・お」

最初に倒れたのはブーン。
そのあとは、まるでドミノ倒しのように全員が眠りについた。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:50:50.53 ID:shz8Uebe0


△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り9日△▼△▼△▼△▼


( ^ω^)「朝・・・・・・かお?」

ブーンが再び目を覚ました時、自分の部屋で横になっていた。
見慣れた目覚まし時計は、壁際で仕事を放棄している。
ゆっくりとベッドから起きあがり、窓から外を覗くと、ツンが隣の家から出てきたのが見えた。

ξ゚听)ξ「ブーン!!」

外からツンの怒声が響いてくる。

( ^ω^)「今行くおー!」

窓を開けて叫び返し、可能な限り早く準備を終わらせて、部屋を出た。

ξ゚听)ξ「ブーン、昨日さ・・・・・・」

ツンが言いたいことはすぐにわかった。
そして、昨日のはただの悪い夢、ということではなさそうだということを悟った。

(;^ω^)「ややや、やっぱりツンも見たんだお? やばいおやばいお」

ξ゚听)ξ「しっかりしなさいよ」


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:52:38.55 ID:shz8Uebe0

ツンの励ましもいつもより元気がない。
2人は会話をすることなく、ただ歩くことを続けていた。
ショボンもドクオもいつもの場所に待っていたのだが、
いつも遅れてくるドクオは、この日に限って先に来ていた。

('A`)「なぁ、おかしなこと言うかもしれないけど、聞いてくれ。昨日さ変な夢を見たんだ」

教室に向かう途中、ドクオが口を開いた。

ξ゚听)ξ「私たちも、変な夢を見たのよ」

(´・ω・`)「私たち、ということはブーンもか?」

確認するようにショボンがブーンに視線を向けた。

(;^ω^)「お、そうだお」

('A`)「内容は、灯台に集まって、みたいな感じか?」

ξ゚听)ξ「そうよ」(´・ω・`)「そうだね」(;^ω^)「そうだお」

3人が同時に肯定する。

(´・ω・`)「ここまで一緒だと、偶然とは思えないね。学校で残りの3人と一緒に話した方がいいと思う」

('A`)「賛成だな」

クラスに到着し、授業が始まった。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:54:12.24 ID:shz8Uebe0


午前の授業が終わり昼休みになると、
夢で会った7人は、同じ場所に集まった。
正確にはブーン達が集まっているところに、彼女たちが尋ねてきたのだが。

(´・ω・`)「やっぱり、みんな見たんだね」

ショボンの言葉に三人が一様に頷いた。

( ^ω^)「僕たちは呪われたのかお?」

( ><)「まだ死にたくないんです!」

教室の一区画、ブーン達が集まっている場所だけが異質な空気を放っている。

(´・ω・`)「みんな、あそこに来る前は何をしてた?」

ショボンの質問には全員が同じ答え、つまり、睡眠と答えた。

( ^ω^)「ブーンのところには変なメールが来たお。見つけて下さい、としか書いてなかったお」

川 ゚ -゚)「うむ、私にも来た。ということは」

クーのセリフに続けるようにツンがつないだ。

ξ゚听)ξ「全員に来てるみたいね。もし呪いの噂が真実なら、その男の子は死んでる、ってことになるわね」


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:55:11.24 ID:shz8Uebe0


ツンの考えを否定するものはいない。
いったん黙ってしまえば誰も口を開こうとしなくなる。
結局この時間は、集まって深刻な顔を合わせてるだけで終わってしまった。

お昼の後の退屈な授業と満腹感は、睡眠時間を生み出す。
寝て起きた時には、掃除時間が始まっていて、それを適度にこなすと、今日の学校は終わりだ。

放課後になり、7人は同じように額を突き合わせていた。
まったく進展しない話に、最初にしびれを切らしたのはデレだった。

ζ(゚ー゚#ζ「いい加減にしてよ! みんな同じ夢をみた、それでいいじゃない」

癇癪はいったん爆発すれば止まらない。

ζ(゚ー゚#ζ「呪いなんて非科学的なのよ! 私は帰る!」

川 ゚ -゚)「どこにいくんだ? 話は終わってないぞ」

ζ(゚ー゚#ζ「お見舞いに行くの。ほっといて」

クーの鋭い一言を背中に受けながら、デレは教室を出て行った。

ξ゚听)ξ「明らかにすべきは本当に呪われたかどうかね」

('A`)「それだ。俺たちはただ同じ夢を見ただけじゃないのか?」

ドクオとツンが話の本質を提示する。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:56:47.41 ID:shz8Uebe0


( ^ω^)「そんなのどうやったらわかるんだお?」

(´・ω・`)「可能性だけど・・・・・・」

ショボンの案、それはいたって単純なものだ。
つまり、灯台を確かめに行くこと。

ξ゚听)ξ「明日で決定ね。ちょうど週末だし」

川 ゚ -゚)「私は用事があるので任せる。何かわかったら連絡してくれ」

( ><)「僕もなんです!」

二人のメールアドレスをツンが受け取った。
話は終わりだ、とばかりにブーンは席を立つ。

( ^ω^)「もう帰るお」

6人はその場で解散した。
クーは生徒会に、ビロードは迎えの車に乗って帰っていた。


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 17:58:06.74 ID:shz8Uebe0

玄関前で、明日の予定を決めていなかったことに気づいたショボンが話題を振った。

(´・ω・`)「明日、どこに集まる?」

('A`)「昼頃にブーンの家集合でいいだろ」

ドクオが半分ブーンに聞くように言った。

( ^ω^)「それじゃあ、14:00にブーンの家に来てほしいお」

話はまとまり、ドクオは、帰路についた。
家に帰る間、呪いに関する話題は何一つでてこなかった。

( ^ω^)「呪い・・・・・・かお」

ツンの話を聞いた時はただの怖い話だと思っていた。
それが、多人数で同じ夢を見たことで一気に現実味を増す。
部屋のベッドに寝転がり、天井を見つめるブーン。

本当は、ただ同時に同じ夢お見ただけなのかもしれない。
そんな小さな望みを胸に抱え、瞼を閉じた。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 17:59:12.27 ID:shz8Uebe0

△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り8日△▼△▼△▼△▼


太陽が真上から少し離れたころ、ブーン宅のインターホンが鳴る。
ツンとショボン、ドクオが家の前で待っていることを知らせるものだ。

外に出るための服を身につけ、部屋を飛び出した。

( ^ω^)「待たせたお」

日は高く、じっとしていれば汗がにじみ出てくるほど。
季節はちょうど梅雨時期。
しかし、それを忘れさせるような晴天だった。

ξ゚听)ξ「日差しが強いわね」

麦わら帽を被ったツン。
風になびく金色の髪は太陽の光を受け、輝いている。

('A`)「んじゃ、行くか」

ドクオとショボンは自転車のスタンドを倒した。

( ^ω^)「わかったお」

灯台に向かって4人が並走する。
焼けたコンクリートの上を走るタイヤは少しずつその表面をすり減らしていく。


31 名前:怖いです。ので少し、落とします 投稿日:2009/06/07(日) 18:01:48.96 ID:shz8Uebe0


今は使われていない灯台。それはブーンたちの学校から西に少し行ったところ。
海岸に面した断崖絶壁の上に、取り残されたように立っている。

(´・ω・`)「もう20年以上も前に放置されたって、兄さんが言っていた」

長い間潮風を受け続けた塗装は、海側のみ大きくはがれ、地肌を露出している。

ξ゚听)ξ「あそこにバルコニーがあるわね」

皆で上を見上げると、建物の3階ほどにあたる部分が海側に突出している。
中に入るための入り口は、海とは反対側にある。
その扉は木でできていて、すでに腐敗し、扉としての役を殆どこなしてなかった。

( ^ω^)「入るお?」

ドアノブは崩れていたが、軽く押しただけで開いた。
湿気った、サウナのようなムッとした空気が流れ出てくる。

('A`)「っと、全然出そうな雰囲気はしねぇな」

( ^ω^)「帰りたいお・・・・・・」

真昼間だったが、灯台の中は陽の光の侵入は妨げられて、暗く陰湿な空間が広がっていた。
中は手摺のない螺旋階段で、塔内のほとんどが占められている。


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:03:46.95 ID:shz8Uebe0

ξ゚听)ξ「さ、さっさと上りなさい」

( ^ω^)「ブーンが先頭かお!? 嫌だお! ツンが行ってくれお」

必死の抵抗もツンの一睨みで沈黙させられた。
ツンに急かされブーンを先頭にドクオ、ショボン、ツン、と続いた。
階段は五周ほどで終わった。

(´・ω・`)「ここだね・・・・・・」

光の入り込む扉から外へ出ると、夢に出たのと同じ場所が4人の目の前にあった。
強い太陽の光と潮風を直接肌に感じ、塩の香りが鼻腔いっぱいに広がる。

('A`)「ああ」

そこは間違いなく夢に出てきた場所だった。
唯一異なるのは出口がある、ということだけだ。

( ^ω^)(・・・・・・? あれ・・・・・・?)

感じた違和感を口に出そうとしたが、ツンの一言に阻まれる。

ξ゚听)ξ「ここが夢に出てきた場所だとして、これはどういうこと?」


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:06:14.10 ID:shz8Uebe0


('A`)「1つ、夢だとしても俺たちはここに呼ばれた、という事実」

ドクオが答える。

(´・ω・`)「2つ、ここで死んだとされる学生は確かにいる」

ある意味確信を帯びたショボンの言葉に、顔色が変わるブーン。

(;^ω^)「ってことはまさか、ブーン達は・・・・・・」

ξ゚听)ξ「本当に呪われたかも知れないわね」

ツンが継いだ言葉。


「呪われた」


その一言が全員の心に重くのしかかる。

('A`)「ショボン、死んだ学生の話を詳しく聞かせてくれ」

ツンも興味津津にしている。


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:08:11.89 ID:shz8Uebe0

(´・ω・`)「死んだとされる、だ。ここに行く、と言って行方不明になった学生がいたんだ」

(;^ω^)「噂かお? それならブーンも母さんから」

茶々を入れて恐怖を緩和しようとしたブーンの言葉を、真っ向から否定する。

(´・ω・`)「いや、シャキン兄さんに聞いた話なんだ。
7年前、行方不明になった学生がいるんだ。この辺の中学校の生徒なんだけど、どこかは知らなかったみたい。
それから毎年死亡者、行方不明者が出てるんだって」

ブーンは、母親が快くこの話をしてくれなかったのを思い出した。

(´・ω・`)「7人の生徒が集められて、修学旅行の前日までの一週間。一日1人に数字が出て、
最後まで数字が出なかった生徒が犠牲になる、っていう呪いさ」

ξ゚听)ξ「呪いを解く方法は?」

ツンの当然ともいえる疑問への回答は否定、の意。
首を左右に数回振り、言った。

(´・ω・`)「シャキン兄さんに聞けたのは呪いの内容だけだった。
そもそもシャキン兄さんは数年前に親友を失ってから、ちょっと・・・・・・ね」


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 18:10:36.84 ID:shz8Uebe0


ショボンの兄は数年前のある日、急に人が変わった。突然家を飛び出し、次の日に見つけられたのだが、
ハキハキとしていて、非常に物知りだったシャキンはそこにはなく、
血と涙と泥で服は汚れ、目は真赤に腫れ、くまが広がっていたそうだ。

それを見たショボンは、一体兄の身に何が起きたのか問いただそうとした。
しかしシャキンは、父親と母親にも、ショボンにさえ、何も話さなかった。

(´・ω・`)「ツンの話もあったし、兄さんには悪いと思ったけど、その話を少し聞いてみたんだ」

(;'A`)「まさか、失った親友って・・・・・・」

ドクオが想像したこととブーン、ツンが想像したことは全く同じだった。

(´・ω・`)「教えてくれなかったけど、その可能性がないとも言い切れない」

呪いにより身近な人間が死んでいるかもしれない。
そう考えると、呪いの存在がより現実味を帯びてくる。

(;^ω^)「お・・・・・・何とかして、呪いを解く方法を探さないといけないお!
      この中の誰かが死ぬなんて絶対に嫌だお」

ξ゚听)ξ「当り前でしょ。とりあえず、私はブーンと神社に行ってみる」

('A`)「あの爺さんで有名な神社か?」

ドクオがあの、と言ったのには大きな理由がある。
そこの神社にたまに現れるお爺さんがいるのだが、
そのお爺さんを見つけることができれば、未来を見てくれる、という噂があるからだ。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:13:45.23 ID:shz8Uebe0


(´・ω・`)「それはいいかも」

7年前にお爺さんの話のおかげで、大けがをせずに済んだこともあり、
ブーン達は何かある度に、神社に足を運ぶようになった。

(;^ω^)「僕も行くのかお? 嫌だおぉ 帰りたはぅぅぅ!!」

抵抗するブーンに鉄の制裁がくだった。いや、上ったのか?
汚れることも厭わず、バルコニーで転がりまわっている。

ξ゚听)ξ「あんた達はどうすんの?」

振り上げた右足を地面に下ろし、尋ねる。
ドクオとショボンはツンの後ろに異形の存在を感じつつ、それぞれの思うことを言った。

('A`)「修学旅行までもう8日だ。楽しい修学旅行にしたいからな。俺はネットで情報を探してみる」

(´・ω・`)「僕は兄さんからいろいろ聞いてみるよ」

それぞれの目的を話したところで、バルコニーから降りた。
太陽はまだ十二分に高い位置にあるが、
海の向こうには暗雲が垂れこめていた。

ξ゚听)ξ「今から行くわよ。雨も降りそうだしね」

空と海の境には、あふれる水のように黒い雲が集まっている。
ツンに従いブーンは自転車に乗り南に向かった。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:16:25.47 ID:shz8Uebe0


(´・ω・`)「じゃあ、帰ろうか」

並走する二人が見えなくなるまで動かなかったドクオに声が掛けられた。

('A`)「ああ」

短い返事は、それ以上続く言葉を飲み込んだ結果。

(´・ω・`)「二人が・・・・・・羨ましいのかい?」

ドクオの思い人の名前を出さなかったのは、はショボンなりの優しさだろう。
4人の中で誰かが躓いたとき、ショボンは率先して手を差し伸べてきた。
年上の兄弟がいるのはショボンだけだったから、そういう感覚に目覚めただけかもしれない。
ただ、ショボンはいつも手助けをしてくれた。

('A`)「俺は、クーさんが好きだ。それは間違いない」

言葉にしても、それは大気に溶けて消えていく。
そんな感覚がドクオを支配する。

('A`)「今はそんなこと言っているような状況じゃないのも、わかってるつもりだ。
   だけど、やっぱり自分の気持ちをないがしろにできない」

(´・ω・`)「そうだね、確かに今はそんな状況じゃあない。だからいったん心の中にしまおう。
      この忌々しい呪いを解いてからでいいと思う。
      全部が終わってから、ハッピーエンドさ」


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:19:34.29 ID:shz8Uebe0


ドクオは誰にも聞こえない声でつぶやき、ペダルを強く踏んだ。
一瞬遅れてショボンも動く。

2人も灯台を後にした。






灯台から一番近い神社は、この町で最も大きなものだ。
ブーンはその巨大な鳥居に気おされて、間抜けな声を出していた。

( ^ω^)「おー。いつ見てもすごいお・・・・・・」

ξ゚听)ξ「さっさとしなさい!」

その一声で現実に引き戻されたブーンは、急いで階段を駆け上がった。

ξ゚听)ξ「こんにちわー」

境内には人気がなく、ツンの声が反響している。
動物の鳴き声も全くせず、不気味なほど静まり返っていた。

奥に進んで行くと、一人の老人が家の前に座り込んでいるのを見つけ、
ツンは声をかけた。


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:21:48.49 ID:shz8Uebe0


ξ゚听)ξ「荒巻お爺ちゃん? 元気?」

/ ,' 3「なんじゃい? わしは荒巻というものじゃ」

こちらに気づいたお爺さんの返事は、会話として成り立っていなかった。

ξ゚听)ξ「荒巻お爺ちゃん! 元気?」

全く同じ質問を繰り返した。

/ ,' 3「おお、ツンちゃんかい。元気じゃよ。また会ったのぅ」

荒巻はブーン達を気に入っていたのか、彼等が神社を訪れた時には必ず、ここに座っていた。

( ^ω^)「お久しぶりですお」

/ ,' 3「ブーン君かいな。顔色が優れんようじゃが、大丈夫かいの?」

見た目も、言動も、服装さえも、その辺のおじいさんと全く変わらない。
目立ったところと言えば、この神社で買える番いのお守りの一つを、繋いでいることぐらいだ。

( ´ω`)「大丈夫・・・・・・だお」

ブーンは伏し目がちになる。それを知ってか知らずか、荒巻はさらに平凡な話題を振る。

/ ,' 3「ショボン君とドクオ君は元気でしとるんかいの?」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:24:48.88 ID:shz8Uebe0

( ´ω`)「元気ですおー」

/ ,' 3「そうかい。それはいいことじゃの」

何も言わないブーンに痺れを切らしたツンが、早口にまくし立てた。

ξ゚听)ξ「お爺ちゃん、私たち・・・・・・のんぐっ!」

何かを口にあてられたように喋らなくなったツンの方を見ると、口をパクパクと動かしていた。

( ^ω^)「なに遊んでるんだお?」

ξ゚听)ξ「違うのよっ! ってアレ? 声が出る・・・・・・」

ツンは呆然とした様子で、喉元を触っている。

( ^ω^)「からかってるのかお?」

ξ#゚听)ξ「違うって言ってるでしょ!」

またもツン右足がブーンを捉える。

(  ゚ω゚)「はうぅうぅ!!」

甲高い悲鳴をあげて境内を転げまわるブーン。

/ ,' 3「ツンちゃん。儂は未来を読むことができる。だから、わかったことがある。少しだけ、ヒントをあげよう」

荒巻の声が若返ったかのように鋭く、力強いものになる。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:27:51.98 ID:shz8Uebe0

/ ,' 3「死んだ少年から逃れる方法。それは、人が助けを求める場所に居る者。そこが始まり、そして終わり」

ξ゚听)ξ「助けを・・・・・・求める場所?」

荒巻は座りながら眠っていた。
これもいつものことだ。
直接的なヒントはくれず、ブーン達に考えさせる。

一度、なぜ直接ヒントをくれないのか聞いたこともあった。
その時だけははっきりと答えてくれたのを、ツンは今でも覚えている。

ξ゚听)ξ(未来を直接変えることはできない・・・・・・か)

(;^ω^)「ツン、お爺ちゃんはなんて言ってたんだお?」

ブーンは死の淵からやっとこさ生還したようだ。

ξ゚听)ξ「人が助けを求める場所に居る者。そこが始まり、そして終わり。だって。あんたわかる?」

(;^ω^)「天国とかかお?」

助けを求める場所、で最初に思い立った場所を口に出すブーン。

ξ゚听)ξ「もしそうだったら、お爺ちゃんの予言は犠牲者が出ることね」

心にもないことを言うツンだったが、ブーンの方はヒントの回答探しに夢中で、
その皮肉は受け流されていた。

ξ゚听)ξ「行くわよ。雨も降りそうだし、ね」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:30:18.76 ID:shz8Uebe0

ついさっきまで水平線上にあった暗雲は、すぐそこにまで来ていた。

(;^ω^)「わかったお」

2人が去った神社は雨に彩られていく。
それは、老人の座っていた石も例外ではなかった。







(´・ω・`)「それじゃ、僕はこっちだから」

ドクオに別れを告げたショボンは、道を曲がって行った。

(´・ω・`)(ドクオも、もうちょっと正直になれば、すぐに気づくのになぁ)

そんなことを考え、苦笑いしているうちに家に着いた。
そして、玄関からすぐのところにあるシャキンの部屋に向かう。
ノックして、返事を待たずに入った。
それはこの部屋から返事が返ってきたことがないからだ。

(´・ω・`)「兄さん・・・・・・」

シャキンは3年前と変わらない姿のまま、ベッドに寝ていた。

(`・ω・´)「ショボ、か」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:33:32.62 ID:shz8Uebe0


元気のない双眸がショボンに向けられた。

(´・ω・`)「ああ、兄さん。悪いんだけど、もう少しだけ呪いのことを話してくれない?」

(`・ω・´)「ああ。その話か。・・・・・・呪い?」

シャキンの顔が何かを思い出そうとして歪む。

(`・ω・´)「そうだ、呪いだ! 呪い! ・・・・・・っくそ。そういうことか」

一人で納得して天井を恨めしそうに睨んでいた。

(´・ω・`)「兄さん、どういうこと?」

シャキンはベッドから起き上がり、強い口調で言い切った。

(`・ω・´)「お前も、呪われたのか・・・・・・」

(´・ω・`)「っ! うん、たぶんだけど」

雨が屋根に当たる音が聞こえてくる。
それに混じってときどき雷が空を奔るのが見える。

(`・ω・´)「そうか、それで。この呪いは部外者には話すことができないんだ。椅子に座れショボ。
       俺の知っていることを話してやる。お前を同じ目に合わせるわけにはいかない」

言われたとおりに、勉強机とセットのいすに座るショボン。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:36:43.93 ID:shz8Uebe0


(`・ω・´)「俺が呪われたのは3年前だ、お前も知っている。
       あのとき失った親友は、その呪いに俺たちが打ち勝てなかった代償だ」

ショボンはシャキンの言葉の中にあるヒントにすぐ気がついた。

(´・ω・`)「打ち勝てる? どういう意味?」

核心に迫る言葉に身を乗り出すショボン。

(`・ω・´)「ああ、例の荒巻の爺さんにな、俺たちも相談しに行ったんだ。最初に行った時にはいなかったが。
       それから交代で神社を訪ねていて、3人目の時にやっと会うことができた」

(´・ω・`)「何て言われたの?」

(`・ω・´)「一言だけだ。見つけてあげなさい、だったらしい。俺たちはそれをまだ見つかっていない少年の死体だと考えた。
       そこで灯台周りや、警察に行ったりしたが、結局見つけることはできなかった。その結果がこのざまさ」

(´・ω・`)「死体を・・・・・・。確かに、僕たちが最初に集められたとき、みつけてください、ってメールが来てた。他の人にも来ていたみたいだし」

(`・ω・´)「そうか・・・・・・。悪いが、俺が知っているのはそれだけだ。後は、お前自身で解決してくれ」

立ち上がり、部屋から出た。そっと扉を閉めた後、中からは物音ひとつ聞こえなかった

(´・ω・`)(とりあえず、皆に連絡しないと)

ポケットから携帯を取り出し、いつも使っているチャットを開いた。


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:39:32.08 ID:shz8Uebe0







('A`)「はぁ・・・・・・呪いを解いたら、か」

家に着いたドクオはすぐにPCを立ち上げ、巨大掲示板へアクセスする。

('A`)「まちBBSっと」

普段は覗かない自分の地方の板を一通り漁る。
ドクオの予想通り、呪いに関するスレがあった。


【犠牲者は6人目】○△市の灯台呪いPART4【とどまることを知らず】(432)


すぐにスレを開き、書き込みを順に確認していく。

('A`)「っち」

スレに書いてあるのは、大抵ツンとショボンの言っていたことと同じだった。
最後までスクロールしてみたが、とくに有益な情報は見つけられない。


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:46:04.60 ID:shz8Uebe0

('A`)「呪われたかもしれない、助けてくれ!」

何らかのリアクションを期待して書き込んだのだが、
掲示板に書き込まれたドクオの言葉は文字化けして、読めるようなものではなかった。

('A`)「なんでだ?」

その後数回にわたって書き込んでみたが、やはり結果は同じであった。

('A`)「とりあえず、結果報告だな」

ドクオはチャットに入室した。
既に三人とも入室して、ドクオを待っていたようだ。


(´・ω・`)【すごい降ってきたけど大丈夫だった?】

ξ゚听)ξ【最悪。雨でびしょ濡れだわ】

(´・ω・`)【おっと、ドクオもきたか、誰から話す?】

ξ゚听)ξ【私たちから。荒巻お爺ちゃんに話を聞いたんだけど
人が助けを求める場所に居る者。そこが始まり、そして終わり、だって】

('A`)【助けを求める場所に居る者、か。どう思う?】

川 ゚ -゚)【ここであってるか?】

('A`)【!?】

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:49:50.18 ID:shz8Uebe0

ξ゚听)ξ【あってるわよ】

( ><)【ビロードなんです!】

(´・ω・`)【ツンにきいたのかい?】

川 ゚ -゚)【そうだ(なんです)】(>< )

ξ゚听)ξ【みんなで、相談するのにいいと思ったんだけど。デレは連絡先がわからなくて・・・・・・】

(´・ω・`)【そうだね。ところで、ブーンは? ブーンのパソコンをツンが使ってるみたいだけど】

ξ゚听)ξ【ああ、そこで寝てるわ】

(´・ω・`)【・・・・・・。御愁傷さま。話を戻すけど、助けを求める場所ってどこを想像する?】

川 ゚ -゚)【天国】

( ><)【空、なんです】

ξ゚听)ξ【二人ともブーンと同じような意見ね】

(´・ω・`)【ドクオ、でてきなよ。ドクオはどう思う?】

('A`)【orehaaaa】

ξ゚听)ξ【落ち着きなさいよ】

('A`)【すまん。俺も2人とお同じだ】

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:50:57.68 ID:shz8Uebe0
(´・ω・`)【僕は違う意見だ。僕は、病院なんじゃないかと思う】

川 ゚ -゚)【ふむ、確かにそうだな】

(´・ω・`)【空や、天国みたいな漠然としたものじゃなく、地に足がついたものだと思うんだ。でも・・・・・・】

( ><)【なんで病院がヒントなのかわかんないんです】

ξ゚听)ξ【そうね・・・・・・他に何かわかったことは?】

('A`)【俺はネットで調べてみたが特にいい情報はなかった】

(´・ω・`)【それじゃあ、僕だね。兄さんも同じ呪いにかかったことがあるみたい。
      それで、呪いの話は呪われた人同士でしかできないみたい】

ξ゚听)ξ【それでね(か)!】('A`)

(´・ω・`)【思い当たる節があるの?】

ξ゚听)ξ【あ、ごめん。話を続けて】

(´・ω・`)【うん、それで、この呪い、打ち破れるかもしれないんだ】

('A`)【助かったぜ】

ξ゚听)ξ【本当?】

川 ゚ -゚)【本当か?】

( ><)【本当なんですか!?】

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:53:26.74 ID:shz8Uebe0


(´・ω・`)【最後まで聞いてくれないか。兄さんの予想だと、亡くなった少年の死体を見つければいいみたいなんだけど】

ξ゚听)ξ【そんな、いつの事件かも知らないのに】

('A`)【その少年が死んだのは、たぶん七年前だ。ネットにそんな情報があった】

川 ゚ -゚)【うちの父さんに聞いてみよう。地元の新聞社に勤めているからな】

(´・ω・`)【お願いするよ、クーちゃん】

川 ゚ -゚)【その、クーちゃん、って呼び方はやめてくれって言ってるじゃないか】

(´・ω・`)【昔からの癖だからね。善処するよ】

ξ゚听)ξ【今日わかったのは、このくらい?】

( ><)【質問なんです】

(´・ω・`)【なんだい?】

( ><)【体がないのに、どうして死んだってわかるのか、わかんないんです】

川 ゚ -゚)【この前は結局答えが出なかったわけだしな】

('A`)【自殺、事故死、殺人のどれか、もしくは生きてどっかをうろつき回っているか。クーさん、それも調べてもらってもいいですか?】

川 ゚ -゚)【クーと呼んでくれ。わかった。ところで、ドクオ君は打つのが早いなぁ】

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 18:56:54.80 ID:shz8Uebe0

('A`)【い、いいやそんなことはないdせす】

(´・ω・`)【だから落ち着きなって】

ξ゚听)ξ【それじゃ、私は家に帰るわ。わかったことがあれば連絡ちょうだい】

('A`)【それじゃあな】

(´・ω・`)【お疲れ】

( ><)【お疲れなんです】

川 ゚ -゚)【うむ、また】

(´・ω・`)【僕もそろそろ。クーちゃんと、ビロードには、呪いの概要を送っておくよ】

川 ゚ -゚)【ああ、助かる。それじゃ私も】

( ><)【ありがとうなんです。僕もなんです!】

('A`)【じゃあな、みんな】








67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:00:44.48 ID:shz8Uebe0


( ^ω^)「お・・・・・・」

ブーンが目を覚ました時には、みんなすでに退室していた。

( ^ω^)(雨が降ってきて、ツンと急いで家に帰ってそれで・・・・・・)

そこから先の記憶が抜け落ちていることに気づいた。
思い出そうとすると、阻止するかのように股間が痛みを訴える。

( ^ω^)(思い出さないようにするお)

黙って過去ログを読む。

( ^ω^)「呪いを解く方法があって、よかったお」

そう呟くと、そのままパソコンを閉じて風呂に入ろうと、携帯をポケットから出した。
その時、ドクオから一件のメールが来ていることに気づいた。
そこには、某巨大掲示板のリンクが張ってあった。

こんなスレがあったから、一応、送っとく。

と一言。

それだけ確認すると、一階に下りて行った。


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:03:56.19 ID:shz8Uebe0

△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り7日△▼△▼△▼△▼


インターホンが鳴った。

( ^ω^)「わざわざ御苦労さまですお」

クーとビロードを出迎えるブーン。
これで、デレを除く全員がそろった。
前日の大雨は嘘のように収まり、いったん集まることにしたのだ。

ξ゚听)ξ「クー、どうだった?」

川 ゚ -゚)「ああ、聞いてきたぞ。7年前に行方不明になった少年がいるらしい」

いったん区切って、続けた。

川 ゚ -゚)「事件の詳細はこうだ。隣の学校の生徒が修学旅行の前日に行方不明になった少年がいた。
     彼は件の灯台をすごく気に入っていて、何かあるとすぐにそこへ向かっていたそうだ。
     それで、その日以来少年の姿を見た人はいない」

部屋の中から聞こえるのはクーの声だけ。
中を見なければ、6人もいることに気付かないほど静まり返っている。

川 ゚ -゚)「それかららしい。毎年、修学旅行の前夜に不可解な事件が起きるようになったのは」

( ><)「修学旅行に行けなかったなんて可哀想なんです」

ビロードが憐憫の言葉を発する。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:06:55.13 ID:shz8Uebe0

('A`)「だが、他人を巻き込もうとするのは許せねぇ。こんなことは今回で最後だ」

( ^ω^)「でもどうするんだお・・・・・・海に落ちてたりしたら捜しようがないお」

呪いが必ず解けるものであるとは限らない。
そもそも理不尽であるからこそ、呪いなのだ。
最悪の可能性を全員が想像する。

(´・ω・`)「とりあえず、わかることからまとめていかないと。僕たちは解かなきゃいけないんだ。
      じゃないと、一生傷を背負って生きていかなきゃならなくなる」

ξ゚听)ξ「そうね。できることからしていくのが最善ね。
       今日は、チームで行動しましょ。何かわかったらすぐに連絡すること」

結局、終始ツンとショボンがリードし、すぐに決まった。

ξ゚听)ξ「私とブーンとビロードは図書館の新聞で過去のことを調べるわ」

(´・ω・`)「それじゃあ、僕とドクオとクーちゃんは警察に行こうか。何か教えてくれるかもしれない」

二チームに分かれ、それぞれの行動を開始した。








74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:09:46.94 ID:shz8Uebe0

( ^ω^)「図書館って過去の新聞も読めるのかお」

( ><)「最近は全部電子情報になって、保存してあるんです」

太陽は力強く輝いているが、その熱は中にまで届かず、快適な温度が保たれている。
○△市中央図書館、ブーン達が住む地域の近隣にある図書館の中では最大で、シアタールームまで入っている。

ξ゚听)ξ「検索用のパソコンは埋まってるし、新聞を片っ端から探すとなるとだいぶ手間ね」

( ><)「ちょっと待っててくださいなんです」

ビロードはそういって受付に行くと、なにやら交渉している。

ξ゚听)ξ「どうしたの?」

嬉しそうに駆け戻ってきたビロードの手には、プラスチックの板と鍵が握られていた。

( ><)「VIPルーム使用許可が下りたんです!」

この図書館は、とある個人の資産家が莫大な融資をしたおかげで、かなり贅沢なつくりになっている。
窓際に、一般の人が自由に使えるように、無料で使えるPCが数十台並べてあるだけでなく、
高機能PCが数台、個室に設置されている。

この個室に入るためには、特別な身分証明書と、ある程度の金銭が必要であるはずなのだが、
ビロードはその権利を、難なく手に入れて戻ってきた。

ξ゚听)ξ「アンタ、お金はどうしたの?」

ツンの疑問はそのことを知っていたから出てきたものだ。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:12:06.86 ID:shz8Uebe0


( ><)「えっと、身分証を見せたら、払わなくていいって言われたんです」

( ^ω^)「おっお、すごいお」

ビロードのおかげで、個室を利用できるようになった三人。
中は無駄に広くなっており、ソファーやマッサージ機まであった。
すぐにPCのスイッチを入れ、新聞の検索を始める。

( ><)「一台じゃ効率が悪いんです!」

三人の中で、一番PCが得意なブーンが作業をするのを、後ろから見ていたビロードは、
連絡用の内線電話で不平を述べた。
すぐに係りの人がノートPCを二台持ってきて、使いやすいように置いてくれた。

ξ゚听)ξ「恐るべし、VIP待遇」

( ^ω^)「だお」

この年でお金の恐ろしさを体感した2人だった。

( ><)「見つかりましたか?」

( ^ω^)「全国紙には乗ってなかったお」

ブーンが調べていたのは有名全国新聞。
しかし、そのなかにこの地域で起きた小さな事件のことは、毛の先ほども掲載されていなかったようだ。

ξ゚听)ξ「・・・・・・あったわ」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:16:26.91 ID:shz8Uebe0


最も乗っている確率が高いと踏んでいた地方新聞、ツンはその中から7年前の事件の全貌を見つけ出した。
ブーンとビロードが後ろから画面を覗き込む。

ξ゚听)ξ「ここ」

ツンはその部分を指でさし、読みあげた。

ξ゚听)ξ「【□◇中学校の生徒が、修学旅行の前日から行方不明になっている。
修学旅行の前日、初老の老人から、警察に灯台に子供が倒れている、という通報があり、
現場に警察が向かったが、老人の示した場所には誰もいなかった。
警察は、老人の思い違いとして、片づけたようだ。
現在も捜索中。少年を見かけたときは下記に連絡下さい】」

その下には行方不明になった日の少年の服の特徴と連絡先が書いてあった。

( ><)「お年寄りの言うことが本当だったら、殺人事件の可能性もあるんです!」

ξ゚听)ξ「調べるのはこれだけでいい?」

ツンがノートPCを閉じようとすると、ブーンが制止する。

( ^ω^)「ちょっと待つお。その記事を印刷してくれお。それで、まだ調べてほしいことがあるんだお」

( ><)「何を調べるんですか?」

同じくPCを閉じようとしていたビロードが、動作を止め尋ねた。

( ^ω^)「過去6年間の事件の記事だお。もしかしたら何か見つかるかもしれないお」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:19:29.00 ID:shz8Uebe0







('A`)「警察っていったら中央警察署か?」

ブーンの家から高い建物が見える。
その建物は全国で最も高い警察署。

川 ゚ -゚)「そこしかないだろうな。あそこのモララーさんはすごく丁寧な方だぞ」

(´・ω・`)「会ったことあるの!?」

クーとショボンが話しながら歩く。
幼馴染である二人は、クラスが離れてから会話も減ったが、今でも付き合っていると思われているほど仲がいい。
ドクオはそんな様子を、2人の後ろを歩きながら見ていた。

川 ゚ -゚)「ついたな」

警察署は近くで見るとなおさら威圧感がある。その前に立っているだけで、
何か悪いことをしたような落ち着かない感じになってくるのは、ショボン達だけではないだろう。

(´・ω・`)「入ろうか」

ショボンでさえ、言動から緊張がにじみ出ていた。

('A`)「あの、すいません」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:22:36.58 ID:shz8Uebe0


一回のフロント部分があまりにも広く、どこに相談すればいいかわからなかった3人は、
とりあえずインフォメーションカウンターで話を聞くことにした。

/ ゚、。 /「ようこそ、○△市中央警察署へ。何かお困りですか? それとも観光ですか?」

この警察署、高さを生かし、屋上で展望台をやっている。
どっかの資産家が予算を大幅に増やしたからの所業だそうだが。
署内にも歴代署長の写真とならんで写真が飾ってある。

('A`)「あれか・・・・・・。ワカンナイ・R・ネスク!?」

額縁の下にある名前を呼んで驚愕する。
その声にショボンとクーが振り向いた。
ドクオは気恥ずかしさを感じ、手を振って誤魔化した。

('A`)(すげぇな。アイツん所、金持ちだったんだな)

川 ゚ -゚)「おい、ドクオ君! 行くぞ」

クーに声をかけられて、現実に引っ張り戻される。

('A`)「あ、すいません」

2人の後に続き、エレベーターに乗った。

川 ゚ -゚)「ドクオ君、さっきは何を見ていたんだ?」

('A`)「いえ、ビロってあの有名な資産家の子供だったんですね」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:27:31.15 ID:shz8Uebe0


高速エレベーターよりも速くドクオの心拍数は上昇していく。

川 ゚ー゚)「知らなかったのかい?」

微笑むクーに視線を奪われていたドクオだが、無情にも上昇運動が止まり、扉が開いた。

(´・ω・`)「さって、みんな失礼のないように」

扉から出ると、真っ赤な高級絨毯が奥へと続いている。
訪ねてくるのが雨の日でなくてよかったと、心から思うドクオであった。

( ・∀・)「いらっしゃい、よく来たね」

椅子に座っていたのは、ドクオの予想よりもだいぶ若い男だった。

( ・∀・)「おっと、クーちゃんじゃないか」

モララーはクーと知り合いらしく、軽い挨拶を交わしている。
クーもモララーの右手が尻にのびたところを叩きながら、普通に挨拶していた。

('A`)「あれ? 変態?」

(´・ω・`)「ドクオ、静かに! 聞こえるだろ」

クーとのスキンシップが終わったのか、男がドクオ達に向きなおった。

( ・∀・)「まぁ、座ってくれ」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:32:04.54 ID:shz8Uebe0


モララーが指示したいかにも高そうなソファーに座る。
全員が座ったのを確認すると、モララーは自己紹介を始めた。

( ・∀・)「クーちゃんは久しぶり。他の御二人は初めまして。
      ○△市中央警察署、署長のモララーだ。年は今年で29。好きなものはかわいい女の子さ。
      それと断じて変態ではない」

最後の一文を最も強調して紹介を終えた。

( ・∀・)「それで、なんの用だい?」

クーからドクオとショボンの紹介が既にあったらしく、すぐに要件を聞きに入る。

( ・∀・)「この後も、シンディやクラノとの予定が詰まっているので、早めにお願いしたい」

川 ゚ -゚)「また女性とのお付き合いですか?」

クーか何かを呟くと、苦笑いした後、携帯を取り出して電話をかけ始めた。
全部は聞こえなかったが、どうやら約束を断っているらしい。
そんな電話を何本か繰り返して、やっと、ドクオ達に向きなおった。

( ・∀・)「いや、はは。時間はできたよ。どうぞ、話してくれ」

とりあえず、とドクオが7年前の事件について尋ねた途端、モララーの様子が目に見えて変わった。
ドクオが話を続けようと口を開くと、右手を挙げて制止された。

( ・∀・)「灯台少年の話か」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 19:35:03.28 ID:shz8Uebe0


川 ゚ -゚)(´・ω・`)「!?」('A`)

話の先を読まれ、困惑する3人。

( ・∀・)「いつのことから話せばいいのかな・・・・・・。君たちに直接関係のあるところからにしよう。
      単刀直入に言うと、同じようなことを聞きに来ている学生が毎年居るんだ。
      少なくとも俺が署長になった3年前からな」

('A`)「じゃあ、っっっのことも!」

一番重要な部分だけが言葉になっていなかった。

( ・∀・)「言わなくてもわかるよ。自分で調べたからね。警察の力は使えなかったから。
      呪い、みたいな曖昧なものに労力は割けないってね。だから、我の通せる役職に就こうと思った。
その結果が今さ。だけど、何もうまくいかず、3年目が来てしまった」

川 ゚ -゚)「モララーさん、何かわかっていることはないのですか?」

クーがソファーから乗り出す。

( ・∀・)「当時の事件を扱った警官の話も後で聞きなさい。そうできるように、取り計らってあげよう」

ありがとうございます、と3人が同時に頭を下げた。

( ・∀・)「警察として、公になっていることを全て教えてあげよう」


90 名前:すいません、猿りました 投稿日:2009/06/07(日) 19:47:11.16 ID:shz8Uebe0


モララーは彼が知っているであろうこと、その全てを話した。
まとめると、こうだ。

少年の行方不明事件は、修学旅行の前日に起きた。
その日、子供が灯台に倒れている、という通報があっったが、現場に向かった職員が確認しても何の痕跡も見つけられなかった。

その年から、毎年修学旅行前日に、近隣の中学校の生徒が犠牲者となっている。
警察は行方不明として事件を片付けたが、モララーは殺人事件だと疑っている。

ということだ。

( ・∀・)「こんなものか。後は個人情報だから名前は言えないけど、確か2年前の犠牲者は生きてると思うよ」

('A`)「生きてるって、っっっにあってですか!?」

ドクオがモララーの目と鼻の先まで迫る。
額をぶつけなかったのは、ひとえにショボンが服を引っ張ったからだ。

( ・∀・)「たぶん、ね。その子が警察を訪ねてきたことも覚えているし、
      今君たちに話したことと、ほとんど同じ内容のことを話してあげたから」

(´・ω・`)「その人の名前を教えてもらうことは・・・・・・」

ショボンが食い下がる。それも当然だ。少しでもヒントがほしいのだから。
だが、それは断固たる言葉で拒否される。

( ・∀・)「私も公務につく者だからね。いくら君たちに味方してあげたくても、個人情報を渡すことはできない。
      そもそも、さっきのラインでもかなり危ういんだから」

92 名前:またですか・・・・・・もう嫌・・・・・・ 投稿日:2009/06/07(日) 19:55:32.05 ID:shz8Uebe0

川 ゚ -゚)「あ、モララーさん、さっきの件ですが奥様にお伝えしておきますね」

電話のことを言っているのだろうか、それともおしりを触れようとしたことを言っているのか、
わりと真剣な目でクーが言った。

(;・∀・)「ちょまっ、これだけは言えないんだ。たとえこの身引裂かれようとも。私は職務を全うした、と彼女には伝えておいてくれ」

川 ゚ -゚)「あなたを八つ裂きにするのは奥さんですよ。落ち着いてください。ここまで言って駄目なら素直に諦めます」

どうやら、クーとモララーの間で話は纏まったようだ。
結局、モララーはその人の名前を言わなかった。

( ・∀・)「それでだな、当時現場に向かった警官を呼ぼう、隣の部屋で好きなだけ質問してくれて構わない」

そう言ってモララーは電話を取り連絡を入れた。

( ・∀・)「俺は仕事があるから、帰るときにまた声でもかけてくれ」

ドクオ達を隣の部屋に案内し、出て行った。

('A`)「ブーン達はもう終わってるかな」

(´・ω・`)「調べるだけだからね。話を聞いたら合流して、これからのことを決めないと」

ショボンが携帯を開き、確認のメールを送信した。その返信が届く前に、
携帯はポケットに仕舞われることになったが。


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 20:00:36.95 ID:shz8Uebe0

(,,゚Д゚)「ギコ、だ」
  _
( ゚∀゚)「おっぱい!」

入ってきたのは無表情な男と馬鹿。
それぞれが自己紹介をした。

川 ゚ -゚)「あの、それでですね。お聞きしたいことがいくつかあるのですが」
  _
( ゚∀゚)「君は、いいおっぱいだ。合格!」

ジョルジュを無視してギコが答える。

(,,゚Д゚)「俺たちはある少年の行方不明事件を捜査していた。わかることであったら全て話そう」

では遠慮なく、と前置きしクーが質問する。

川 ゚ -゚)「通報された老人の指し示す場所に事件性の痕跡は?」

(,,゚Д゚)「最初は、こいつジョルジュが。次は俺が念入りに調べたが、特にそれらしいものはなかった」

ギコの鋭い目つきにクーは一歩も引かずに質問を重ねる。

川 ゚ -゚)「その後、少年の情報はありましたか?」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 20:04:23.32 ID:shz8Uebe0

  _
( ゚∀゚)「ねぇ、おっぱい?」

1秒後にはジョルジュは後ろの装飾を巻き込み、派手な音を立て吹き飛んだ。

(,,゚Д゚)「ない」

川 ゚ -゚)「そうですか・・・・・・私からは以上です。ありがとうございました。2人はなんかある?」

クーはドクオとショボンに振り向き、尋ねる。

('A`)「俺は、ない」

終始クーとギコのやり取りに圧倒されていたドクオは、首を横に振った。

(´・ω・`)「僕もないよ」

川 ゚ -゚)「そうか、以上です。ありがとうございました」

そろって頭を下げた。

(,,゚Д゚)「・・・・・・そうか。頑張れよな。死体さえ見つけりゃいいんだろ?」

川 ゚ -゚)「はい、おそらく」

そう言って、残骸になったジョルジュを拾って出て行った。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 20:06:21.07 ID:shz8Uebe0

('A`)「さ、帰るか」

その一言で、3人とも席を立った。

川 ゚ -゚)「ああ、そうしよう」

(´・ω・`)「お、ブーンたちからメールが来てる」

携帯を弄りながらエレベーターに乗り込むショボン。

(´・ω・`)「分かったことがあるから、いったん集合しよう、だって」

川 ゚ -゚)「わかった、どこに行けばいい?」

クーの質問にショボンが答える必要はなかった。
1階に着くと、ブーンに出迎えられたからだ。

( ^ω^)「おっお。ちょうど今来たところだお。とりあえず、近くのファミレスに行くお」

ブーンについて外に行くと、ツンとビロードが待っていた。
5人ですぐ隣の店に入る。

ξ゚听)ξ「こんな感じ」

机の上に資料が並べられる。

( ><)「上から順に古いものなんです!」

それぞれ、ビロードが簡単に説明する。

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 20:09:50.95 ID:shz8Uebe0

(´・ω・`)「この、老人の話は僕たちも聞いた。こっちの紙は?」

( ^ω^)「過去六年間の事件の記事だお。犠牲者の名前は、未成年だから出てないけど、役に立つかもと思って持ってきたお」

新聞のコピーが机の上を埋め尽くした。

( ><)「僕たちもまだ全部読んでないんです」

川 ゚ -゚)「全部読む必要はないな。実は警察署で割と核心に迫る情報が手に入った」

クーはざっと新聞に目を通して、一枚の記事を一番上に持ってきた。

川 ゚ -゚)「二年前の犠牲者は生きているらしいんだ」

新聞記事の内容は、女子中学生が落石事故に巻き込まれ、奇跡的に助かったというもの。
日付はやはり、修学旅行の前日。

( ^ω^)「この女の子かお?」

一枚の新聞記事を示すブーン。

(´・ω・`)「間違いないね。何とかしてこの子に会ってみないと。何か知っているかもしれない」

そこには市内で最も大きい病院名が記載されていた。

('A`)「あれだけ広い病院でどうやってこの女の子を探すんだ? 聞いて教えてくれるもんじゃないだろ」

どうやって少女の入院病室を探すかに頭を捻る。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 20:12:14.72 ID:shz8Uebe0

( ^ω^)「友達ですっていうのはどうだお?」

ξ゚听)ξ「友達の名前を知らない人間がどこにいんのよ」

騒がしい店内の一角。
注文も頼まずに静かに考え事をしている様は、かなり異様な光景であった。

( ><)「どうしたらいいのかわかんないんです!」

ビロードが持っていた紙を机の上に放り匙を投げた。

('A`)「頑張って考えてくれよ」

ドクオが説得しようとするが、ショボン以外、全員が根を挙げているということを隠しもしない。
ブーン達のテーブルの空気が一段と重いものになる。

(´・ω・`)「そうだよ。もう少し考えてみようよ」

ξ゚听)ξ「約一時間も考えてたのよ? 6人も。それで答えが出ないのなら、別方法のアプローチをすべきじゃないの?」

ちょっとしたいがみ合いが、溜まりきったストレスのせいで、口げんかに発展する

('A`)「これが今、一番重要なヒントだろ! これを考えなくてどうすんだ?」

ξ゚听)ξ「そんなことはわかってるわよ! でもそれだけに囚われてたら、わかることもわかんなくなるんじゃない?」


104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 20:14:23.74 ID:shz8Uebe0

(#'A`)「これだから、理系脳は・・・・・・」

ξ#゚听)ξ「文系だったら何かわかるの? じゃあ、答えてみなさいよ! 早く!」

一瞬の隙をみて、クーが喧嘩に割って入った。

川 ゚ -゚)「落ち着いてくれ。喧嘩していたら貴重な時間が無駄になる」

( ^ω^)「そうだお。落ち着くお、2人とも」

ヒートアップしだした2人の口論は、ブーン達の言葉では止まらなかった。
すぐにドクオが机を激しく叩き、店から出て行った。

(´・ω・`)「僕、追いかけてくる」

周りの客の視線が集まる中、追いかけるようにショボンが店を後にした。

ξ#゚听)ξ「あーもう。腹立つわねぇ」

( ^ω^)「ツン、喧嘩したら駄目だお」

そうツンを諫めながら、店員に食べ物を注文した。

( ><)「これからどうするんですか?」

ブーンは、持ってこられたハンバーガーを頬張りながら顔をしかめる。

( ^ω^)「困ったお・・・・・・。ヒントなしじゃあ何にもわからないお」

106 名前:朝から何も食べてないので、一瞬、出てきます。保守なしで大丈夫です 投稿日:2009/06/07(日) 20:17:43.51 ID:shz8Uebe0

川 ゚ -゚)「そうだな。何かいい案はあるか?」

その質問には誰も答えられず、ブーンが食事をする音だけが続く。
やがて食事をおえたブーンが、思い出したように提案した。

( ^ω^)「とりあえず病院に行ってみるのはどうかお? うまくすれば見つかるかもしれないお」

川 ゚ -゚)「かなり賭けだが、現状それしかないな」

それなら、とクーが席を立った。
勘定を済まし、店から出て病院に向かう。
警察署のすぐ隣にある病院は、これまた特別大きく、中には温水プールなどの健康維持施設がある。

( ><)「この病院大きいんです!」

川 ゚ -゚)「ビロードは初めてなのか?」

はいなんです、とはしゃぐように答えるビロード。
背が低いせいか、クーと並ぶと仲のいい姉弟にみえないこともない。

( ^ω^)「お?」

ツンと同じ金色の渦巻き髪の少女が角を曲がっていくのを見つけて、ブーンは無意識に隣にいるツンを確認していた。
当の本人は、ドクオと喧嘩してしまったことをかなり後悔しているようだ。
さっきから一言も話していない。

ξ゚听)ξ「なによ?」


108 名前:ごめんなさい。もふドりました 投稿日:2009/06/07(日) 20:35:11.70 ID:shz8Uebe0

ブーンの視線に気づき、にらみ返すが、その視線にはいつもの覇気が宿っていない。

川 ゚ -゚)「病院にきたものの、さて、どうするか」

( ^ω^)「お・・・・・・」

返答に困り、黙り込む。
とりあえず病院に行こう、と言っただけで特に方法は考えていなかったからだ。

( ><)「困ったんです」

せっかく答えに近づくためのヒントを提示してもらったのに、動けない。

川 ゚ -゚)「いっそのことアタックしてみるか」

そう言って、フロントに向かっていった。

ξ゚听)ξ「いけるの?」

1分もせずにクーは戻ってきた。

川 ゚ -゚)「駄目だった」

予想はできていたことだったが、4人はため息をついた。

( ^ω^)「面会時間もあるお」


110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 20:40:03.89 ID:shz8Uebe0

フロントの看板に面会時間が書いてあり、親族を除く見舞いは18:00まで。時は既に17:00時を回っていた。

ξ゚听)ξ「どうすんのよ?」

誰にともなくツンが呟く。
その声はいきかう人々の音の中に消えていく。

( ^ω^)「どうしようもないのかお? ブーン達は虐殺を待つだけなのかお?」

川 ゚ -゚)「諦めるな、ブーン。まだ何もかも終わったわけじゃない。別のアプローチを探すしかない。
     行ってみたい場所があるんだ。ついて来てくれないか?」

行き詰っていると感じていたブーンは、二つ返事でクーに了承した。

( ><)「どうするんですか?」

病院を出て自転車で移動する。行先はクーの知り合いの家だそうだ。

川 ゚ -゚)「簡単なことさ。呪い、があるならそれを専門にしている人がいても、おかしくはないだろ?」

クーの言うことはもっともだが、そんな知人を持っている人はそんなに多くない。

( ^ω^)「そういう知り合いがいるのかお?」

僅かな希望をみつけ、表情が明るくなる。

川 ゚ -゚)「少し変わった人だがな、っと着いたぞ」

そこは荒巻が現れる神社とは比べ物にならないほど小ぢんまりした社だった。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 20:42:58.46 ID:shz8Uebe0

川 ゚ -゚)「こんばんわ。ハイン」

社の中は様々な呪術用品で埋め尽くされていた。
その中の一つにブーンが触ろうとしたところ、怒声が飛んできた。

声の元は、まだ10代に見える女性からのものだ。
巫女装束のような服がとてもよく似合っている。

从#゚∀从「ばかやろう。死にてぇのか? 
       そいつはなぁ、触れたところから呪術を送り込み、内臓を引き裂くっていう呪いがかかってんだよ」

見るみる間に、ブーンの顔色は真っ青になった。

川 ゚ -゚)「気にしなくていい。私も子供のころ触ったが平気だった」

从 ゚∀从「お前いは呪いに耐性があんだよ。他の奴が触ってみろ。一瞬でお陀仏だ」

ハインは座布団を4枚放り投げた。

从 ゚∀从「で、何の用だ? お祓いか?」

ケケケ、と下品な笑い方をする。そんな用で来るわけがない、と思っているのだろう。
だが、次のツンの言葉でハインは腰を抜かしそうになる。

ξ゚听)ξ「お願いします」

从 ゚∀从「は?」

116 名前:猿か・・・・・・もっと短くしておくべきでした 投稿日:2009/06/07(日) 20:51:09.64 ID:shz8Uebe0

まさか聞き返されるとは思ってなかったツンは困惑する。

川 ゚ -゚)「私たち、どうやらっっってしまったみたいなんだ」

从 ゚∀从「マジかよ。俺から見りゃお前を呪いに掛ける奴の方が吃驚なんだが」

ハインは立ち尽くしているブーンとビロードに、座れ、と指示を出した。

( ^ω^)「僕らの言ってるっっってのがわかるのかお?」

座布団の上に腰をおろして尋ねた。

从 ゚∀从「呪い、だろ。呪術師の俺にとっちゃ、その程度のまやかしは効かねぇ」

川 ゚ -゚)「どうやら認識を改める必要がありそうだな。どうだ? 解除できそうか?」

ハインは持っていたお札を全員に渡した。

从 ゚∀从「その紙を強く握ってくれ」

言われたとおり4人とも紙がくしゃくしゃになるまで握る。

从 ゚∀从「んで、開いてみてくれ」

握りつぶされた紙を丁寧に開くと、そこには黒い墨のような跡が残っていた。

( ^ω^)「な、なんだお、これ。どういう仕組みなんだお?」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 20:53:09.34 ID:shz8Uebe0

从 ゚∀从「無理だ」

短く返ってきた言葉は、ブーン達を絶望に落とすのには十分だった。

ξ゚听)ξ「そんなっ!」

( ^ω^)「どうにもならないんですかお?」

いちばん奥に座っているハインは深いため息をついて答えた。

从 ゚∀从「いくつか方法はある」

( ><)「早く教えて下さいなんです!」

ハインは立ち上がって近くにある棚から小さい紙きれを取り出し、差し出してきた。
受け取ったクーはすぐにそれがなんだか気づく。
残りの3人がよく見ようと後ろから覗き込んでいるときに、ハインは説明を始めた。

从 ゚∀从「俺の師匠の名刺だ。あいつならきっとその呪いを解除できると思う。
      ただむちゃくちゃ高いし、向こう1年は予約で一杯だがな」

名刺には名前と連絡先、そして費用が書いてあった。

( ´ω`)「こんな高い額払えるわけないお・・・・・・」

从 ゚∀从「だろうな。もう一つの方法を教えてやる。呪いってのは未練でできてんだ。
      その未練を断ち切ってやることができりゃ、呪いは必然的に無くなる」


120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 20:56:39.06 ID:shz8Uebe0

そのための力は貸してやる、というと、奥の部屋に向かっていた。

ξ゚听)ξ「どこいったの?」

从 ゚∀从「っと、これだ」

奥から出てきたハインはスケッチブックを持っていた。

( ^ω^)「何するんだお?」

从 ゚∀从「これは、な。呪いの中心を描き出すんだよ。どうせ、呪いの中心はわかってねぇんだろ?
      まぁ、黙ってみてろ」

黙ってペンを持ち目をつむるハイン。
一瞬後に、その手はよどみなく動き、見覚えのある風景を描き出した。

川 ゚ -゚)「これは・・・・・・灯台、か」

ξ゚听)ξ「そうね。でも、そんなことは前からわかってたわよ?」

ハインから紙を受け取ってまじまじと見るツン。
夜の灯台だろうか。2本の光が海を照らしているようにみえる。

( ^ω^)「お? 光が2本あるお」

从 ゚∀从「そう見えるか? ま、これもヒントの一部になるだろ。
      持ってきな。んで、もう帰れ。もうすぐ陽が沈むからな。
      どうしても困った時にはまた来な」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 20:59:55.37 ID:shz8Uebe0

追い出されるように社を出た。
きれいな夕焼けが西の空を染めている。

( ><)「結局、今まで以上のことはわからなかったんです」

川 ゚ -゚)「そうだな。だが、呪いの元凶を断てば解決できことが確実だと分かった」

力強く、クーは言った。
そして5人は強く頷いた。







('A`)「っくそ」

勢いでファミレスを飛び出したドクオは、ふらふらと家に向かって自転車をこいでいた。

(´・ω・`)「待って、ドクオ!」

後ろを振り向くと、ショボンが猛スピードで追いかけてきていた。

('A`)「何で追ってきたんだよ」

あえて冷たい返事を返す。

(´・ω・`)「戻ろう? みんなで協力しないと」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:02:12.21 ID:shz8Uebe0

そんなことも気にせず、ショボンは優しく声をかける。

('A`)「すまん、今日は無理だ。帰る。それに、調べたいこともできた」

(´・ω・`)「なら、僕も手伝うよ」

同行を拒否するための言い訳は逆効果だった。
そのまま一緒にドクオの家に向かう。
途中で何度か断ろうとしたが、全部失敗に終わり、今はドクオの部屋にいる。

('A`)「さって、どうしようか」

ショボンを部屋に残し、飲み物を取りに降りてきたのだった。
結局、何にも浮かばずに戻った。

(´・ω・`)「で、何を調べるの?」

('A`)「ああ、この前、とある掲示板でこの事件について質問をしてみたんだ。その結果が返ってきてるかもしれない」

PCを立ち上げ、ブックマークをしていたスレに飛ぶ。

('A`)「なんだ・・・・・・こりゃ」


【犠牲者は6人目】○△市の灯台呪いPART11【とどまることを知らず】(105)


昨日PART4だったスレは、いつの間にか11まで伸びていた。
最新スレから過去ログに飛び確認すると、ほとんどのレスが『犠牲予定者 降臨!』で埋まっていた。

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:04:20.47 ID:shz8Uebe0

(´・ω・`)「これは・・・・・・」

('A`)「わかんねぇ。だが、もしかしたらなんかのヒントがあるかもしれない。とりあえず、書きこんでみる」

慣れた動作で書き込む。もちろん文字化けさせないように言葉には細心の注意を払った。
更新ボタンを何度かクリックしているとすぐに反応があった。

('A`)「偽物、ね」

そのほとんどがドクオの書き込みを偽物と判断し、非難するものだった。
すぐに『呪い』と打ち込み、文字化けを発生させると、
スレの勢いは何倍にも膨らみ、どんどん新しい書き込みがされていく。

(´・ω・`)「こんなにたくさんの人が書き込んでいる中で有用な情報なんて見つけられるの?」

('A`)「それは俺にもわからん。が利用してみる価値はある」

『助かる方法、もしくは何か有用な情報を教えてくれ』

結論から言うと有用な書き込みはなく、住民たちはただ囃したて、楽しんでいるだけだった。

(´・ω・`)「明日は学校だし、もう帰るね」

('A`)「ああ、気をつけてな」

玄関まで行き、ショボンを送ると、再びPCの前に座り、馬鹿どもから何とか情報を見つけ出そうとした。


127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:07:47.65 ID:shz8Uebe0







( ^ω^)「もう、七日前かお」

気づいたら灯台にいた。

存在しない入口から、次々と見知った人間が入ってくる。

ξ゚听)ξ「まずは、一人。呪いから解放されるわけね」

(´・ω・`)「そうだね」

ショボンが同意する。狭い灯台のバルコニーのような場所で、全員が厳しい顔をして立っている。

( ^ω^)「順番なんて関係ないお。この呪いは必ず解くお」

ζ(゚ー゚ζ「まさか・・・・・・本当なの? 本当に呪われたの!?」

みんながブーンに向かって頷く中、デレは顔色を真っ青にして、ブーンに掴みかかった。

( ^ω^)「大丈夫で」

ζ(゚ー゚ζ「適当なこと言わないでよ! 私はまだ死にたくないの。
まだ中学生だよ? 私の人生はここでは終わっちゃいけないの!」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:09:58.64 ID:shz8Uebe0

ブーンの言葉を遮り一気にまくし立てる。

ζ(゚ー゚ζ「ねぇ、死にたくないの。私を最初に呪いかから解放して!」

川 ゚ -゚)「残念ながら、順番は選べない」

クーの冷静な声でデレが屈みこみ泣き出す。
その後ろ姿を見て、ブーンは病院でのことを思い出した。

( ^ω^)「デレさん、今日病院にいましたかお?」

ζ(;ー;ζ「いたわ! だから何!?」

ほとんどヒステリックのように質問に叫び返した。

( ^ω^)「いや、それだけですお。デレさんっぽい人を見かけたので・・・・・・」

ζ(;ー;ζ「私が病院にいたらいけないの!? お見舞いに行っちゃいけないの!?
大好きな近所のお姉ちゃんなの! 綺麗な人だったのに・・・・・・っぐす、えっぐ」

泣き出し、止まらない。誰もデレに声をかけようとは思わなかった。

( ><)「どうやって、解放者はわかるんですか?」

('A`)「数字が浮かび上がってくるみたいだが、詳細は不明だ」

すすり泣く声と波の音だけが聞こえる。

川 ゚ -゚)「っく!」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:11:45.27 ID:shz8Uebe0

急にクーが右腕を抑えだした。

( ^ω^)「どうしたんだお?」

デレを除く全員がクーに駆け寄った。
その右腕には蚯蚓腫れのように、7と浮かびあがっていた。

川 ゚ -゚)「私が最初、か。もちろんそんなことは関係なく、これからも手伝わせてもらうが、構わないか?」

ζ(゚、゚ζ「何いってんの、あんた? 解放されたんだから、こんな集団放っておいたらい」

デレが言い終える前に世界が反転する。
7人は抗うすべもなく、意識を失った。




132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:14:18.46 ID:shz8Uebe0


△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り6日△▼△▼△▼△▼


ξ゚听)ξ「っつ」

どこかに引っ張られる感覚とともに、ツンは目を覚ました。

ξ゚听)ξ(寝ちゃってたのかな・・・・・・)

灯台に連れて行かれた時の直前の記憶が無くなっていた。
時計を見るといつもの時間を少し過ぎていることに気づく。

ξ゚听)ξ「ったく、たまには迎えに来なさいよね」

制服に着替え、洗面所で軽く髪を梳く。
台所にあったご飯を冷蔵庫に入れ、家を飛び出した。

ξ゚听)ξ「ブーン?」

扉を出たツンを待っていたのはブーンだった。

( ^ω^)「お、おはようだお。ツン」

ξ゚听)ξ「何でこんなところで待ってたの? インターホンを鳴らしてくれればよかったのに」

ブーンは立ちあがって、ズボンの砂をはたき落とす。


134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:17:55.39 ID:shz8Uebe0

( ^ω^)「ちょっと考え事をしてただけだお。気にしないでくれお」

ξ゚听)ξ「まぁ、いいわ。さっさと行きましょ。じゃないと遅刻するわ」

ショボンとドクオは待ち合わせ場所に来なかった。

( ^ω^)「仕方無いお。学校で会って謝ればいいと思うお」

ξ゚听)ξ「そうする」

授業が始まるちょっと前に、2人は学校に着いた。
ツンは、退屈な授業中に呪いの解決方法を考えて過ごしていた。
時間はあっという間に過ぎ、昼休みの始まりのチャイムが鳴る。

( ^ω^)「お、おなか減ったお」

ブーンは弁当箱を取り出した。

ξ゚听)ξ「あ、私、今日お弁当ないから、学食に行きましょ」

( ^ω^)「わかったお、ドクオ、ショボン、学食に行くお!」

ちょうど廊下で話していた2人に、声をかける。
ドクオは嫌々そうにではあるが、ついてきた。

食堂はすぐに満員になる。
その中で、ドクオとツンが陰鬱な雰囲気を醸し出していると、
ビロードがこっちに気づいて近寄ってきた。

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:21:00.73 ID:shz8Uebe0

( ><)「クラスの人に聞いたら食堂に行った、って教えてもらったので。御一緒していいですか?」

( ^ω^)「お、お。人数は多い方が楽しいお」

ξ゚听)ξ「悪かったわ」

ビロードが来て、いつまでもむくれたままでは入れないと思ったのか、ツンが謝った。

('A`)「俺も悪かったな」

ドクオも謝り、その後は楽しい食事の時間となった。

( ^ω^)「クーさんは来ないのかお?」

にやけ面をさらに崩し、ドクオに視線をやる。

( ><)「あの人ならクラスの女子と一緒に食べてたんです」

ξ゚听)ξ「クーは女子からも人気が高いからねぇ」

私の周りにはあつまりゃしない、とぼやきながら箸を進めるツンに、ブーンは性格を指摘しようとして思いとどまった。
そんなことを言えば、午後の授業に出席できなくなることはわかっていたからだ。

(´・ω・`)「今日の放課後、またうちのクラスで少し話しあいをしようか」

( ^ω^)「お、賛成だお。ビロードはクーさんとデレさんを呼んできてほしいお」

( ><)「はいなんです!」

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:24:07.20 ID:shz8Uebe0

午後の授業の始まりは体育。
ご飯を食べた後の運動で、そのあとの授業はすべて寝ることができた。
真面目にノートをとっていたのはショボンだけだ。

( ^ω^)「ショボン、ノートのコピーをくれお!」

(´・ω・`)「はいはい。ツンもだよね?」

諦めた目でツンを見る。

ξ゚听)ξ「お願いす」

( ><)「大変なんです!」

ビロードにしては珍しく、教室に駆け込んできた。

('A`)「そんなに焦ってどうしたんだ?」

クーと話すのは恥ずかしいから、ドクオは先に来て、雑談をしていた。
クラス中が注目していたが、ビロードは歯牙にもかけず、事情を話す。

( ><)「クーさんに呪いのことが話せないんです」

(´・ω・`)「そんなはずはないと思うんだけど。周りに他の人がいたんじゃない?」

ξ゚听)ξ「私もそうだと思うけど」

ツンも同意する。周りの学生は興味がなくなったのか、自分事の作業を再開する。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:27:15.09 ID:shz8Uebe0

( ^ω^)「とりあえず、ブーンたちも行ってみるお」

隣のクラスに向かい、一人教科書を仕舞っているクーに声をかける。

( ><)「クーさん。っっっの話をしないといけないんです」

川 ゚ -゚)「君はさっきもそんなことを言っていたな。私をからかって楽しいか?」

いつの間にか後ろから近づいてきたデレが、声に出して笑う。

ζ(゚∀゚ζ「あははははは。よかったじゃない。っっっから解放されたから、知らないふりをしようとしてるんでしょ」

( ^ω^)「デレさん、協力してくれませんかお?」

ブーンが辛抱強く頼みこむ。

ζ(゚、゚ζ「嫌よ。今日も病院に行くの。それじゃ」

呼びとめようとした声を無視し、荷物を持って教室から出って言った。

川 ゚ -゚)「すまない。私も帰る。あんまり人を困らせる遊びをしないでくれ。それじゃあな」

荷物をまとめ終わったクーは教室を出て行った。

(´・ω・`)「とりあえず、僕らの教室に帰ろう。ここじゃ、ちょっとね」

ショボンの提案でブーン達のクラスに戻った。
隅の方の机を固め、全員が顔を合わせられるように座る。

143 名前:あーもう猿嫌・・・・・・ 投稿日:2009/06/07(日) 21:42:46.03 ID:shz8Uebe0

ξ゚听)ξ「どうして、クーさん。手伝ってくれるって言ったのに」

ずっと黙っていたドクオが答える。

('A`)「なぁ、呪いって呪われてない奴には言えないんだよな? ってことはさ、クーさん呪いから解放されたんじゃね?」

ドクオの予想は正しいのだろう。それゆえ、皆、黙り込んだ。

( ^ω^)「それはいいことだお。でも、日にちが立つごとに、協力者が減っていくってことかお?」

('A`)「そうなるな。だが、ショボンの兄さんが覚えてるってことは、思い出すんだろ。全部終わった後になるんだろうな」

協力できる人間は、日が過ぎれば過ぎるほど、いなくなる。
時間が減り、協力者が減る。そのあまりの厳しさに、絶句していた。

教室からは一人、二人と人がいなくなっていく。
会話することなく額を突き合わせていると、余所の会話が漏れ聞こえてきた。

(゚、゚トソン「デレってさ、なんであんなに病院に行ってるの?」

ミセ*゚ー゚)リ「あれ? 知らないの? デレちゃんの近所のお姉さんが入院してるんだよ」

聞こえてくる会話は、なんてことはない日常会話だった。

ミセ*゚ー゚)リ「私ね、家が近所だから知ってるんだけど、そのお姉さん、修学旅行の前日に大怪我したんだって」

(゚、゚トソン「うっわ。怖いね」

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:45:29.83 ID:shz8Uebe0

他のメンバーが耳にした事実に口をあけていると、勢いよくツンが立ちあがった。

ξ゚ー゚)ξ「ちょっと失礼。デレさんの連絡先を教えてもらってもいい?」

いきなりの来訪者に驚いていたが、ツンの勢いに気おされて素直に電話番号を教えた。
それが書かれた紙をもって、再び輪の中に戻るツン。

ξ#゚听)ξ「さって、どうしてくれよう?」

( ^ω^)「お、落ち付くお。とりあえず、話だけ聞いてもらうのがいいお」

ありえない方向に曲がろうとして、不気味な音を立てていた携帯電話は、ブーンにその命を救われた。

ξ゚听)ξ】「あ、もしもしデレ?」

【ζ(゚、゚ζ「知らない番号からかかってきたと思ったら、あんたか。何の用? 言っとくけど、手伝う気はないわよ」

ξ゚听)ξ】「入院してる人の話を聞いたんだけど」

【ζ(゚、゚#ζ「しぃネェさんは呪いのせいで傷ついたんじゃない!」

ξ゚听)ξ】「やっぱり、そうだと思ってたのね」

【ζ(゚、゚#ζ「っ!」

ξ゚听)ξ】「お願い。これ以上、犠牲者を出したくないの」

【ζ(゚、゚ζ「・・・・・・わかった。でも少しだけね。それから、もう一切協力はしないから」

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:50:59.82 ID:shz8Uebe0

ξ゚听)ξ】「ありがとう! 今から病院に行くね」

男4人にはデレの声が聞こえていなかったが、それでもツンの応答からうまく説得できたことが分かった。

( ^ω^)「さっそく行くお!」

( ><)「お見舞いを持っていくのがいいと思うんです」

ビロードの提案で、学校と病院の間にあるスーパーでフルーツの盛り合わせを買い、
それをもって病院に入るのと、デレが正面ロビーに来たのは同時だった。

ζ(゚、゚ζ「こっち。少しだけだからね」

先にそう釘をさし、デレはエレベーターに乗り込んだ。
812号室がその少女の病室だった。

ζ(゚、゚ζ「入るね」

ノックの返事も待たずに扉を開けて、中に招き入れた。

(#゚;;-゚)

中に入ったブーン達の誰一人として驚きを隠せなかった。
ベッドに寝ている少女にかかっている布団には、両足の部分のふくらみがなく、顔も手術痕だらけであったからだ。

ζ(゚、゚ζ「しぃネェさん。辛いと思うけど、ちょっとだけ、話を聞いてあげて」

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 21:56:12.11 ID:shz8Uebe0

(´・ω・`)「初めまして。デレさんと同じ中学校のショボンです。実は、しぃさんに頼みたいことがあるんです」

ショボンが代表として話を始める。

(#゚;;-゚) 「呪いのことですね? デレから聞いていましたから」

少女らしいおしとやかな話し方に似合わず、嗄れ声だった。

(´・ω・`)「そうです。何か、ご存知なことはありますか?」

(#゚;;-゚)「私も、あなたたちのようにいろいろ調べました。もっとも、仲間には恵まれていなかったので、一人でしたが。
でも、多くのことがわからないままでした」

淀みなく、しぃは会話を続ける。

(#゚;;-゚)「1週間以上かけて、見つけたのは、あの灯台のどこかに少年の死体があるのではないか、という予想だけです」

(´・ω・`)「なんでそう思うのですか?」

(#゚;;-゚)「知人の呪術関係の人の入れ知恵です。最も出現頻度が高い場所が怪しい、っていうね。
どうか、哀れな少年の死体を見つけてあげて下さい」

ベッドの上で頭を下げようとするしぃ。

(´・ω・`)「殺された、と考えているのですね?」

しぃは少しためらいをみせる。

(#゚;;-゚)「ええ。じゃないと死体の移動の説明ができないから・・・・・・」

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 21:59:39.48 ID:shz8Uebe0

ζ(゚、゚ζ「もう質問はない? なかったら帰って。しぃネェさんは無理しちゃいけないの」

デレにせかされて病室を出た。

('A`)「さて、今から灯台に行くか?」

ξ゚听)ξ「でも、何の用意もなしに行ってもだめじゃない? せめてロープや懐中電灯を持っていかないと」

ツンの提案を取り入れ、ブーンが計画を決めた。

( ^ω^)「それじゃあ、こうするお。灯台に行く前にブーンの家によって、必要なものを用意するお。
      ちょっと遠回りになるけど、これでいいお?」

( ><)「それでいいんです!」

自転車に乗り、ブーンの家を経由して灯台に向かった。

ξ゚听)ξ「相変わらず、暗い所ね」

灯台の中に入り、懐中電灯をつける。
前回より明るくなっただけで、大した違いは見つからなかった。

('A`)「この灯台に死体が・・・・・・?」

バルコニーまで行き、念入りに調べるが、特に変わったところはない。

(´・ω・`)「物を隠すとしたら、屋上だよね」

バルコニーまで伸びている螺旋階段は、さらに上へと続いている。

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 22:50:14.65 ID:shz8Uebe0

ξ゚听)ξ「ブーン!」

(;^ω^)「またブーンかお・・・・・・」

しぶしぶ懐中電灯を持って上の階に昇って行く。
天井にある上開きのドアを開けて、屋根裏に入った。

( ><)「どうなってるんですか?」

階下でビロードが叫ぶのが灯台の中に響き渡る。

(;^ω^)「どうって・・・・・・」

そこには何にもなかった。あった筈のライトでさえ、綺麗に片づけられている。

('A`)「ここになけりゃ、どこにあるんだ?」

(´・ω・`)「うーん。灯台には無いのかもしれないね・・・・・・」

天井から降りてくるブーン。

(;^ω^)「何も見つからなかったお」

結局、何も見つけることはできなかった。
雨が降ってきそうだったので、灯台からブーンの家に移動する。

ξ゚听)ξ「本格的に困ったわね」

(´・ω・`)「うーん・・・・・・」

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 22:54:32.77 ID:shz8Uebe0

避難したはいいものの、どうすればいいか分からず、部屋の中は無言の空気に包まれる。
天気はついに崩れ、やがて窓に雨粒が当たる音が聞こえてくるようになる。

その一定間隔の音に、ブーン達の考え事をしていた脳は耐えれなかった。
5人とも、ゆっくりと眠りにおちていく。
気づいた時には、雨も大人しくなった夕方を少し過ぎたころ。

(;^ω^)「みんな、起きるお!」

ブーンの声で、全員が寝ボケ眼をこすりながら、目を覚ます。

( ><)「やっちゃったんです・・・・・・」

ただでさえ少ない時間を無駄にしてしまったという事実。
それをビロードの言葉が十二分に表していた。

ξ゚听)ξ「と、とりあえず今日は解散しましょ」

一斉に立ち上がり、帰る準備をし始めた。
ブーンは玄関までみんなを送り、そのあと、呪いについて考えていたのだが、すぐに2度寝をしてしまうこととなる。

(´・ω・`)(うーん、灯台には、死体がなかった。いや、そもそも死んでない可能性もまだあるか)

小雨の中を一人、考えるショボン。

(´・ω・`)(でも、ハインさんの言葉を信じると、死んでると考える方がいいか。だったら死体はどこに・・・・・・)

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 22:58:18.57 ID:shz8Uebe0

帰り道、異なる場所でドクオも同じことを考えていた。

('A`)(灯台にないとしたらどこにあるんだ? この町で、人がめったに行かないような場所って・・・・・・)

その答えは、家についても出てこなかった。







('A`)「・・・・・・」

ドクオは、家について、いつも通り過ごしていた。
ご飯を食べ、風呂に入り、パソコンを開いて掲示板を読んでいたはずだ。
しかし、気づけば、そこは、灯台の中の階段。

階段を下に降りていくが、脳はそれが無駄だと理解していた。
その考えを裏付けるかのように、何周回っても底辺につかない。
諦め、上にいくと、いつもと同じだけのぼっただけで、すぐに外に出ることができた。

('A`)「くっそ。また一人、減るのか」

ドクオのぼやきは空に飲まれていく。
最初の時と同じように何もない場所から出てくるが、そこにクーの姿はない。


175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 23:00:29.65 ID:shz8Uebe0

ζ(゚ー゚ζ(今日こそは、私を・・・・・・)

(´・ω・`)「このままじゃ、どうにもならない。何か方法を考えないと」

ξ゚听)ξ「でも、どうすればいいのか見当もつかないし・・・・・・」

現実世界で雨が降っているとは思えないほどの快晴。
暑い、とさえ感じてしまいそうなほどだ。

(;^ω^)「このままじゃ本当に犠牲者が出るお」

(´・ω・`)「ブーン、みんな、ごめん。僕は脱落だ」

ショボンは服の袖をまくって、全員が見えるようにした。

(´・ω・`)「絶対に、犠牲者を出さないでくれよ」

一迅の風がいとも簡単に彼らを吹き飛ばす。
風に巻かれ、空に浮かび上がったところで、意識は元の場所へ戻って行った。


177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 23:02:23.62 ID:shz8Uebe0


△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り5日△▼△▼△▼△▼


( ><)「・・・・・・今日で後5日ですか」

<_プー゚)フ「ビロードおぼっちゃま、いかがいたしましたか?」

朝を起こしにきたエクストが心配そうに尋ねる。

( ><)「なんでもないんです、なんでも」

父親に頼めば、ビロードの分の除霊費を出してくれるのはわかっていた。

( ><)(だけど、それじゃあ何の解決にもならないんです。それに、このまま学校に行ってていいのですか?)

<_プー゚)フ「おぼっちゃま、私、微力ながらおぼっちゃまの力になれたらと思います。
どうぞ、おっしゃってください」

(*><)「エクスト、学校を休みたいんです!」

一瞬でエクストの顔色は真っ青になった。

<_プー゚)フ「わかりました。このエクスト、命に代えても」


178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 23:05:21.12 ID:shz8Uebe0

ビロードは携帯を取り出し、ブーン達にメールを送った。
全員が賛同の意を込めて、返信してきた。

<_プー゚)フ「お休みを取っておきました。おぼっちゃま」

(*><)「ありがとうなんです! それじゃ出かけてくるんです!」

エクストの手から逃れるように駆け出し家を出て行った。

<_プー゚)フ「クビだ・・・・・・間違いなく、クビだ」

屋敷には、凹んでいるエクストと、現状に気付いていない女中たちが残っていた。
屋敷から全速力で自転車を漕ぎ、図書館に向かう。

( ><)(学校ならいつでも行けるんです!)

ブーン達3人はすでに到着して待っていた。

(;^ω^)「学校休んで大丈夫なのかお?」

( ><)「エクストが連絡してくれたんで大丈夫だと思うんです」

図書館に入り、以前と同じようにVIPルームに通してもらう。

ξ゚听)ξ「さて、場所は確保できたけど、具体的に何すんの? 絶賛行き詰まり中よね」

('A`)「ああ。正直、打つ手なし、だ」

机の上に広げられた資料は、前回印刷したものとなんら変わりのないものだ。

179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 23:07:05.62 ID:shz8Uebe0

(;^ω^)「ちょっとジュース買ってくるお」

立ち上がりかけたブーンをビロードが呼び止める。

( ><)「待って下さい。頼んでみるんです!」

そう言って、内線電話でフロントに連絡をとった。
すぐに、冷えたグラスに氷入りのジュースが持ってこられる。

('A`)「お金の力って・・・・・・」

ジュースを飲みながらドクオは呟いた。

( ^ω^)「最初はクーさん。次はショボン。この順番に関係があったりするかお?」

( ><)「わからないんです」

全員の名前を紙に書き、順番を並び変えたり、1文字取って並べたりする動作を繰り返す。

('A`)「名前や順番は関係ないか?」

簡単に試してみるが、有用な組み合わせは見つからない。

( ><)「家の位置とかはどうですか?」

地図をダウンロード、印刷し、各々の家に丸印をつけて、直線でつなぐ。


180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 23:09:16.67 ID:shz8Uebe0


('A`)「これは・・・・・・全く意味をなさないな」

無秩序に、地図上に直線が引かれただけだった。
あれはどうだ、これはどうだ、と試してみるが、解決への糸口はつかめない。
ついに、ツンが無駄に過ぎていく時間に耐えられなくなる。

ξ゚听)ξ「ハインさんのところに行ってみよう? ここで時間が潰れていくのよりはいいと思う」

ブーンは氷の融けたジュースのコップを持ち上げ、一気に飲み干した。

( ^ω^)「お、そうするお」

移動するために、館外へ出た。

('A`)「俺は荒巻ジィさんのとこに行ってみる。一つ目のヒントはとけた。次のヒントをくれるかもしれない」

( ><)「僕もドクオさんについていきます!」

ビロードの申し出を、ドクオは少し悩んでから断った。

('A`)「悪いな。二人もいらねぇから、俺一人で行ってくら」

手を振り、一人神社の方へ去って行った。

( ^ω^)「ドクオがそう言うんなら大丈夫だお」

ブーン達は逆方向に向かって移動し始めた。

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 23:11:22.49 ID:shz8Uebe0


ξ゚听)ξ「ハインさんって何してる人なの? ニートなの?」

道中、ツンは何気ない質問を口にする。
それに答えたのは、まさかの本人だった。

从 ゚∀从「おい、俺のこと馬鹿にしたな? 助けてやんねーぞ?」

(;^ω^)「ごめんなさいだお、でも何をしてるんだお?」

いきなり現れたハインは、上下ジャージで髪の毛を後ろで括っていた。
乗っている自転車も競技用みたいなものだ。

从 ゚∀从「ん? ただの買い物だよ。それよりなんだ、俺に用か?」

( ><)「そうなんです!」

ハインとビロードが並走する。

从 ゚∀从「よっしゃ、なら家で話そう。ここから近いしな」

ハインの先導でたどり着いたのは古いアパート。
2階建てで、かなり質素なつくりをしている。

从 ゚∀从「ここだ」

一階のドアから中に入る。
どうやら一階部分は一部屋になっているようで、かなりの広さがあった。

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 23:13:38.66 ID:shz8Uebe0


(;^ω^)「汚いお・・・・・・」

服や雑誌が散らかしたままになっていて、足の踏み場が限られていた。

从 ゚∀从「適当に隅に寄せて座ってくれ」

ブーン達は言われた通り、自分で座る場所を確保する。
台所からハインがお茶を持ってきて、机に置き、話し始めた。

从 ゚∀从「で、なんのようだ?」

ξ゚听)ξ「それが・・・・・・」

包み隠さず、ツンが話す。
クーとショボンのこと。
そして、行き詰っていること。
全てを聞いた後にハインは言った。

从 ゚∀从「そうか。記憶を持って行かれちまったのか。随分厄介な呪いだな」

( ^ω^)「助けてほしいですお!」

一枚の紙がブーンに差し出された。そこには、とても普通の中学生が払える額ではない金額が書いてある。

从 ゚∀从「悪いが、クーが関係なくなった今、有料だ」

ξ゚听)ξ「そんなっ! そこを何とか!」

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 23:16:45.13 ID:shz8Uebe0


( ><)「これでいいんですか?」

从 ゚∀从「お前、払えるのかよ?」

子供っぽい財布からカードを取り出す。
それは、ビロードと同じ名字の男の写真が載っている名刺だった。

从 ゚∀从「なるほどね。あの人の子供か、納得だ。昔世話になったことがあってね。今の話はナシだ」

契約書のようなものは真っ二つに破られ、ゴミ箱に捨てられた。

从 ゚∀从「そうだなぁ、何がしてやれるだろうか?」

一人で、唸り、呟いているハイン。
やがて周辺地域の地図を持ってきた。

ξ゚听)ξ「何をするんですか?」

从 ゚∀从「死体の場所を探してやる。この前書いた絵は呪いの中心を調べるものだったからな」

これを、と言ってハインは白い紙を差し出した。

( ^ω^)「強く握ればいいんですかお?」

从 ゚∀从「ああ。今回は地図で呪いの顕在地を探し出す。こないだよりも、もっと正確なやつだ」

3人が握り真っ黒になった紙を壺の中に入れ、数分間待たされる。
そして、ハインは壺を傾け、中の液体をビーカーの中に移した。

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 23:20:05.41 ID:shz8Uebe0


从 ゚∀从「これは、特別な霊媒水だ。高ぇんだよ」

説明しながら、ビーカーの水分を地図上に垂らした。
真っ黒な水はすぐにはしみ込まず、意識を持つように地図上を漂い、やがて、吸収された。

从 ゚∀从「見ろ。これが今の呪いの顕在地だ」

地図上には大小様々な黒点がちりばめられている。
最も大きいものは灯台のある場所に、小さいものは二つ、学校にあった。

( ^ω^)「これは、ブーン達かお?」

ブーンの指差した場所は地図上ではハインの家の位置。
その質問にハインは首肯で答えた。

从 ゚∀从「っかしーな。やっぱり灯台に集まってやがる。本当に灯台に死体はなかったのか?」

ξ゚听)ξ「屋根裏まで捜しましたよ。それに、警察も調べたみたいだし」

ハインは灯台の部分を指さす。

从 ゚∀从「ここを見てみろ。もし地面に死体が埋まってるとしたら、もっと広がるんだ。
そいつの体を喰ったバクテリアや小動物は移動するからな。
だが、灯台にのみ集まってる」

( ><)「灯台にあるってことですか?」

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/07(日) 23:21:47.28 ID:shz8Uebe0


从 ゚∀从「そういうこった。こんな高価なもん消費させてんだから、とっとと解決してきやがれ。んで俺は寝る」

そう言うと、ハインさんは横になって寝息を立て始めた。

ξ゚听)ξ「お腹すいたし、ご飯を食べに行きましょ」

( ><)「了解なんです!」

ツンとビロードが並んで外に出て、少ししてからブーンが出てきた。

ξ゚听)ξ「何かやましいことしてたんじゃないんでしょうね?」

( ^ω^)「違うお。もしものために連絡先を書いて残してきただけだお」

半眼でブーンを睨んでいたツンだが、理由を聞いて、睨むのをやめた。

ξ゚听)ξ「ファミレスでも行きましょ。おなか減ったし」

( ^ω^)「ちょっと待てくれお。ドクオからメールが来てるお」

携帯のメールを確認して、立ち止まった。
内容は至極単純で、レストランで待っている、というものだった。

( ^ω^)「とりあえず、ドクオが待っているレストランに行くお」

高く上った太陽を恨めしく睨み、額に汗を浮かびあがらせながら、レストランを目指す。
立ちのぼる熱気で、3人の姿は歪んで見えた。

193 名前:くそう・・・・・・猿め・・・・・・そろそろ、心が折れそうです・・・・・・ 投稿日:2009/06/07(日) 23:37:15.40 ID:shz8Uebe0


('A`)「よぉ」

汗を流しながら、駆け込んだレストランで、ドクオは優雅にパフェを食べていた。

ξ#゚听)ξ「ねぇ? あんた状況わかってんの? その目くり抜いてあげようか?」

フォークを掴み、水平に構えて、早口にまくし立てるツン。

('A`;)「お、落ちつけ、ツン」

( ^ω^)「で、何かわかったのかお?」

ビロードが最後に席についたのを確認して、ドクオは話し始めた。

('A`)「荒巻ジィさんのところに行ったら、新しいヒントをくれた。
【巨人の頭は知らない。その手が奪いしもの。小人の瞳は二つある。瞳の中に、とらえて離さない】」

ξ゚听)ξ「・・・・・・は?」

第一声は、疑問符のついた短い言葉。
そのあんまりな態度に苛立ちを隠さないドクオ。

('A`)「いや、せっかく聞いてきたのに、は? はないだろ」

ξ゚听)ξ「いや、聞いてくるだけなら、誰でもできるでしょ」

容赦なく言葉を続ける。

2 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:11:16.59 ID:MPPJsRcR0

高く上った太陽を恨めしく睨み、額に汗を浮かびあがらせながら、レストランを目指す。
立ちのぼる熱気で、3人の姿は歪んで見えた。

('A`)「よぉ」

汗を流しながら、駆け込んだレストランで、ドクオは優雅にパフェを食べていた。

ξ#゚听)ξ「ねぇ? あんた状況わかってんの? その目くり抜いてあげようか?」

フォークを掴み、水平に構えて、早口にまくし立てるツン。

('A`;)「お、落ちつけ、ツン」

( ^ω^)「で、何かわかったのかお?」

ビロードが最後に席についたのを確認して、ドクオは話し始めた。

('A`)「荒巻ジィさんのところに行ったら、新しいヒントをくれた。
【巨人の頭は知らない。その手が奪いしもの。小人の瞳は二つある。瞳の中に、とらえて離さない】」

ξ゚听)ξ「・・・・・・は?」

5 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:12:51.11 ID:MPPJsRcR0

第一声は、疑問符のついた短い言葉。
そのあんまりな態度に苛立ちを隠さないドクオ。

('A`)「いや、せっかく聞いてきたのに、は? はないだろ」

ξ゚听)ξ「いや、聞いてくるだけなら、誰でもできるでしょ」

容赦なく言葉を続ける。

('A`)「あー・・・・・・わかった。お前、俺のこと嫌いなんだろ?」

危うい関係は、簡単に崩れ落ちる。
鉈のように鋭い言葉は、既に削られていた関係という名の板を、たたき割った。

ξ゚听)ξ「何? 私たちには」

('A`)「いい加減にしろって!! 俺だって時間がないのはわかってるんだよ。
    ただ、荒巻ジィさんが何を言ってんのか、さっぱりなんだ!」

( ^ω^)「落ち着くお!」

隣からドクオの肩を抑え、喧嘩にならないように、間に入った。

( ^ω^)「というか、わかったお!」

ξ゚听)ξ「! 何?」

6 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:16:32.36 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「巨人はこの辺で一番高い建物、つまり警察署だと思うお。
      で、小人は灯台だと思うけど・・・・・・」

そこまで言って、言い淀む。

( ><)「確かに。ブーンさんの言ってることは正しいと思うんです!」

ξ゚听)ξ「頭ってことはてっぺん?」

バカ高い警察署の頂上、そこにある展望台を頭の中に思い浮かべる。

( ^ω^)「とりあえず、行ってみるお」

('A`)「すまん、俺は家に帰る」

飲み終わったグラスを叩きつける。

ξ゚听)ξ「何言ってんの? 時間がないのがわかってるなら協力しなさいよ!」

('A`)「いや、俺は必要ねぇだろ」

独り、代金を払いドクオは帰って行った。
テーブルには微妙な空気が漂う。

ξ゚听)ξ「アイツ、自分勝手すぎるわよ」

( ^ω^)「ツン、ツンの言い方も良くなかったと思うお」


7 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:18:16.73 ID:MPPJsRcR0

やんわりとブーンが訂正を求めるが聞きはしない。

( ><)「うーん、どうするんですか? 荒巻さんの方を優先させるんですか?
ハインさんの方を優先するんですか?」

ξ゚听)ξ「そうねぇ・・・・・・とりあえず、灯台が先じゃない? それで、全部解決するんだし」

注文していた料理が持ってこられる。美味しそうな匂いに、喋るのをやめ食事を始めた。

( ^ω^)「それより、むぐ、気になること、もぐもぐ」

ξ゚听)ξ「口に含んでるもの飲み込んでから話さないと、何いってんのかわかんないわよ」

大きく喉を動かし、口の中のものを飲み込む。

( ^ω^)「気になることがあるお。どうして、警察署や病院なんだお? それに、荒巻のお爺さんは最初っからわかりやすいヒントをくれなかったんだお?」

ξ゚听)ξ「知らないけど、いつもストレートに教えてくれなかったじゃない」

( ^ω^)「お・・・・・・もぐもぐ」

納得いかなそうに、ハンバーグのかけらを口に放り込む。

( ><)「灯台のどこを探したらいいんですか? 屋上にもなかったんです」

フォークでスパゲティを巻き続ける。

ξ゚听)ξ「小人の瞳のヒントはどう?」

10 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:22:35.60 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「目、と言えば灯台の光だお!」

早くも食べ終わったブーンは、退屈そうに食器を弄ぶ。

( ><)「荒巻さんのヒントとハインさんの情報を合わせても、やっぱり灯台にあると思うんです。
思うんですけど・・・・・・」

ビロードのスパゲティは、全く減っていない。

ξ゚听)ξ「とりあえず、今日で終わりにしましょ。さっさと食べなさい」

( ^ω^)「だからツンは言い方がキツすぎるんだと思うお」

せかせかと、スパゲティを口に運ぶビロード。
それを横目に確認する。

ξ゚听)ξ「・・・・・・悪かったわ。ちょっと気が立ってたの」

( ^ω^)「お。お。それでいいお」

ビロードが食べ終わるのを待って、レストランを出発した。
灯台に向かう道すがら、ブーンはふと、疑問を口にする。

( ^ω^)「ところで、いつから少年が死んだことになってるんだお?」

ξ゚听)ξ「ハインさんがそう言ったからね」

前を走っていたツンは当り前のように答えた。

11 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:26:01.00 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「そうだったかお・・・・・・うーん」

灯台に続く道は広く、見通しがよい。
そのため、3人はすぐ異変に気づく。

( ><)「警察? 何か見つかったんですかね?」

( ^ω^)「急ぐお!」

目の前に見える灯台に、早く着くようにペースを上げる。
灯台の足元に止まっていたパトカーは一台。
  _
( ゚∀゚)「お、おっぱい、じゃねぇか・・・・・・。おっぱいの残念なy」

一閃。瞬きをした瞬間、ジョルジュは鼻から血を噴き出しながら、白目をむいて倒れた。

ξ゚听)ξ「どうしたんですか? ギコさん」

車にもたれぐったりとするジョルジュを無視し、ギコに話をふる。

(,,゚Д゚)「あ、ああ。この灯台、かなり脆くなっていてな。あぶねぇから誰も入らねぇようにしてるんだ」

( ^ω^)「その前に、調べたいことがあるんですお」

(,,゚Д゚)「駄目だ。そもそも、何度も言っているだろ。ここに死体はない。警察が調べたんだ」

ブーンが必死に説得をするが、一向に頷いてくれなかった。


13 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:29:21.21 ID:MPPJsRcR0

(,,゚Д゚)「さ、帰れ。俺らも、もう仕事に戻るから」

( ^ω^)「お・・・・・・」

ξ゚听)ξ(いいわよ。こいつらが帰ったあとに入りましょ)

後ろから耳打ちで、作戦を話す。

( ^ω^)「わかりましたお」

一旦、自転車に乗りパトカーから見えないところまで下がり、隠れた。

( ><)「もう行ったんです!」

ξ゚听)ξ「行くわよ!」

灯台に向かって駆け出すツン。
その後ろにはビロード、そしてブーンが続く。

ξ゚听)ξ「こなくそっ! おどりゃ!」

扉は鍵で固定されており、ツンはそれと格闘していた。
しばらく試していたが、諦めたのか、最終手段を発動する。

ξ゚听)ξ「ブーン、蹴りなさい」

(;^ω^)「それは流石に・・・・・・」

ξ゚听)ξ「蹴  り  な  さ  い」

15 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:30:35.53 ID:MPPJsRcR0

ブーンは再三の要求に屈し、全身の勢いを乗せ、扉を蹴った。
かぎで固定された部分は壊れ、扉は中に倒れこむ。

( ><)「死体は、どこにあるんですか?」

ξ゚听)ξ「塔の中にあるはずよ!」

3人はそれぞれ灯台内をうろつくが、そもそも中の構造は下から頂上まで吹き抜けの螺旋階段であり、
物を隠すような場所は存在しなかった。

(;^ω^)「やっぱり、どこにもないお・・・・・・」

小一時間ほど探し回っただろうか、ブーンが最初にあきらめの言葉を吐き出した。

ξ゚听)ξ「どこかにきっと、あるはずよ」

(;^ω^)「ツン・・・・・・これだけ探しても、何も見つからなかったんだお」

屈みこんでいるツンに後ろから声をかける。

ξ;;)ξ「あるの! 絶対ここにあるの!」

振り向いたそツンの両目には、大粒の涙が浮かんでいた。

ξ;;)ξ「だって、っぐす。ここに、っすん、なかったら、どこにあるの?
私、たちの誰かが、死んじゃう、かもっっしれないの!」


17 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:33:52.49 ID:MPPJsRcR0

( ><)「ツンさん・・・・・・」

(;^ω^)「そんなこと・・・・・・」

否定の言葉にも力が入らない。
いっこうに良くならない事態に、心が削りとられていく。

ξ;;)ξ「いやだよぅ・・・・・・、死にたくないよ・・・・・・」

その後、ブーン達を目撃していた近所の人が呼んだ警察に、家まで送ってもらった。
学校をさぼっていたことがバレて、こっぴどく叱られたブーンは、布団に伏し、眠り込むことを決めた。

(  ω )「わからないお・・・・・・何もかも、わからなくなったお」

小さな、小さな声の呟きは、部屋の壁に溶け込んでいく。

(  ω )「・・・・・・」

目の前にハインに貰った紙が二枚、置いてある。
どちらも灯台をその答えだとしていたが、結局何も見つけられなかった。
間に合わないのか、そんな考えが脳内をよぎる。
それは否定しても否定しても、現れてきて、ブーンはついにそれを否定することを諦め、考えるのをやめた。







18 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:36:06.78 ID:MPPJsRcR0
もう、何日目だろうか、そんなことを考えながら、階段をのぼる。
デレは意識がはっきりした時、螺旋階段にいた。

ζ(゚、゚ζ「さ、上ろう」

彼女は、デレは呪いに対し恐怖をほとんどいだいていなかった。
それは、1/7という確率に安心しきっていたからだ。
友人も含めて守らなければならないブーン達と違い、デレは自分さえ守れればそれでよかった。

ζ(゚、゚ζ「まだ解決できてないのね?」

だから、温かい言葉もかけない。

( ><)「デレさん! そんなことを言わないで手伝ってください!」

ビロードにしては珍しく、厳しい口調で迫る。

ζ(゚、゚ζ「いや」

ξ;;)ξ「お願い。もう、どうしたらいいのか」

(  ω )「ツン・・・・・・この呪いは解けないんだお」

( ><)「諦めるんですか!?」

ビロードがブーンの胸倉をつかむ。
そのことにブーンの瞳は動揺の色を写し出すが、なすがままにされている。


20 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:40:18.26 ID:MPPJsRcR0

('A`)「諦めんのか?」

ドクオも言う。

(  ω )「どうすればいいんだか、わからないんだお!」

叫ぶ。

ブーンは、すでに心折れていた。

ζ(゚ー゚ζ「あはははは。もう、諦めちゃえばいいと思うよ」

デレの言葉にも怒りを感じなくなりつつあった。

('A`)「なぁ、ブーン。諦めるのは、全て終わってからにしようぜ。それに、情報はゼロじゃねぇ」

(  ω )「お?」

('A`)「灯台について調べてみたんだよ」

('A`)「かなり、古いものだからな、大した資料は残ってなかった。
ただ、っと、くそっ!」

ドクオは右手を強く握る。

(;^ω^)「ドクオ!」

21 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:42:19.46 ID:MPPJsRcR0

('A`)「いいか、よく聞け。あの灯台は」

足元が崩れ、一瞬後に重力を感じる。
次に目を開けた時、部屋の中で布団に横になっていた。
最後に聞こえた、ドクオの言葉。それはブーンに答えへの道を示す。

「二重底になってるんだ」

────────

──────

────


( ^ω^)「ドクオ・・・・・・確かに聞こえたお」

心の中でもう一度その言葉を反芻する。
消えかけていた炎は、再び燃え上がっていく。
ハインに渡された一枚目の紙、それを見て、ブーンは確かにほほ笑んだ。



23 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:44:56.05 ID:MPPJsRcR0

△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り4日△▼△▼△▼△▼

空が明るくなり始めたころ、ブーンは活動を開始した。

( ^ω^)「灯台に行くお」

懐中電灯と工具ボックスを手に、寝静まった家を出発した。
ツンとビロードも学校をサボったことでかなり叱られた、ということを聞いていたブーンは、一人で灯台に向かった。
車の台数も少なく、新聞配達の人とすれ違っただけで、灯台に着く。

そして、灯台を見上げる。
最初は違和感だった。それは、様々なヒントを通して、一つの真実に行き着く。
そう、「灯台は二重底」なのだ。

階段を上って、バルコニーにでる。
違和感は確信になった。
バルコニーから見た壁の高さは、外から見たものよりも圧倒的に、低い。

ハインから受け取った紙に描かれていたのは、二本の光。
一本は灯台の頂上からでる光。
もう一本は、バルコニーの下からでる光。

( ^ω^)「なんで、気づかなかったんだお」

( ^ω^)「今、助けてあげるお」

小人は灯台。
瞳を光源だとすると、瞳の中は。

26 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:47:18.26 ID:MPPJsRcR0

ブーンは持ってきた工具ボックスの中に入っているハンマーで、足元を叩きつけた。
全身に強い衝撃が走った。
甲高く、くぐもった音が鼓膜を刺激する。

( ^ω^)「堅いお・・・・・・そうだお!」

灯台の中に戻り、バルコニーの足元に当たる部分を照らす。
意識して見ると、そこだけ塗装が少し周りと異なっていた。

( ^ω^)「ここかお」

壁を殴りつける度に、金属音とともに、塗装が剥げ、四角い入り口が明らかになっていく。
取っ手は見つからなかったので、何度もたたく。
灯台内部に音が反響し、泣いているようにも聞こえた。

( ^ω^)「早く何とかしないと警察がくるかもしれないお」

叩くのをやめ、隙間にバールをあてがい、こじ開けた。
すぐに刺激臭が鼻腔をみたす。
吐きそうになるのを我慢し、中を照らした。

( ^ω^)「!」

そこには腕とひざを折り曲げ、赤ん坊のように横たわる骸があった。
服などの布切れはボロ雑巾のようになり、原型が想像できない。

( ^ω^)「こんなところに・・・・・・いたんだおね」


27 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:50:13.56 ID:MPPJsRcR0

ブーンは死体の写真を携帯に収め、その場を去ろうとした。
死体をどうするかはツンたちと相談して決める予定だった。

( ^ω^)「お?」

その、少年の亡骸の右手が握っているものに気づく。
骨の間から取り出したそれは、お守りだった。ボロボロになって、何のお守りか判別できなかった。
ブーンは無意識にそれをポケットにしまっていた。
開けた扉を閉じ、できるだけ痕跡が残らないようにして、灯台を出る。



( ^ω^)「もう、学校始ってるお・・・・・・」

額に汗を浮かべ、学校に向かう。
二時間目の授業の終わりごろには、教室に入ることができた。
隣の席から質問してくるツンに、後で、と応え、居眠りを始める。

ξ゚听)ξ「もう。でも、なんかわかったみたいだからいいわ」

ツンはノートを取り出し、黒板に書かれた数式を書き写していく。
数学が得意な彼女は普段ノートを写すことはしない。
それでも、写していたのは隣で寝ている、数学が苦手な少年のためだろう。

授業はよどみなく進む。
まるで、世界と切り離されたみたいだと、ツンは感じた。


28 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:53:57.29 ID:MPPJsRcR0

ξ゚听)ξ(それも、今日で終わりかもしれない)

ブーンが目を覚ましたのは、昼休みが始まるチャイムが鳴った時だった。
大あくびをし、眠たそうに眼をこする。

ξ゚听)ξ「さ、何があったのか話してちょうだい」

( ^ω^)「お、食堂行かないとご飯がないお」

ツンは鞄の中から自棄に大きなコンビニ袋を取り出した。

ξ゚听)ξ「そうだと思って、買ってきてるの。ビロードも来たみたいだし、話して」

ちょうど入ってきたビロードが疑問符を浮かべる。

( ><)「何の話ですか?」

( ^ω^)「ブーンは気づいたんだお。ドクオの最後の言葉と他のヒントの接点に。それをいまから説明するお。
小人の二つの瞳は灯台の光のことだお。それで、ドクオの【二重底】という言葉」

ツンもビロードも一言も聞きもらすまい、と食事をする手も止めて聞き入っている。

( ^ω^)「つまり、バルコニーの下に光源があったんだお。
それで外から見たときとバルコニーから見た時の塀の高さが違ったんだお」

ξ゚听)ξ「なるほど、でその死体、骸骨になっていたと思うけど、どうするの?」

( ^ω^)「とりあえず、元通りにしてきたお。それを相談しようと思ってたんだお」

31 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:56:52.95 ID:MPPJsRcR0

次々とパンを食べながらしながら話すブーン。

( ><)「警察に言わなかったんですか?」

ξ゚听)ξ「言ったら、入れなくなっちゃうし、調べられなくなっちゃうから。
言わなくて正解だと思うわ。万が一とけてなかったら困るから」

( ^ω^)「ハインさんのところに行ってみるお!」

結局、ツンが買ってきたパンの、ほとんどをブーンが食べていた。

ξ゚听)ξ「そうね、そうしましょうか」

午後の授業が始まるころには、気温も高くなってきていた。
窓を開けていても風がなく、人間の体温で暑苦しくなった教室はサウナ状態になっている。
その中で窓際のブーンは、外の空気を満喫していた。

( ^ω^)「おー。いい天気だお」

校庭で、他クラスの生徒が走り回っている。
それを眺めている間に、授業は終わっていた。

ξ゚听)ξ「さ、行くわよ。ハインさんのとこに」

ツンはすでに帰る準備ができていた。
すぐに、机の上に広がっていた筆記用具を片付ける。
教室の外でビロードと合流し、学校を後にした。

33 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 22:58:56.57 ID:MPPJsRcR0

( ><)「どっちに行くんですか?」

ビロードが言っているのは、ハインさんの家か、それとも神社か、ということだろう。

( ^ω^)「この時間なら神社にいそうだお」

ξ゚听)ξ「そうね」

クーに案内してもらった小さな社のある神社。
3人ともうる覚えだったため、付近をウロウロし、なんとかたどり着くことができた。

( ^ω^)「ハインさん!」

从 ゚∀从「またてめぇらか? もうできることはねーぞ」

中に入ると、ハインが寝そべって漫画を読んでいた。
暑かったせいか、巫女装束が所々はだけさせている。

( ^ω^)「違いますお! 死体を見つけたんですお」

从 ゚∀从「そうか。よかったな。俺は今漫画を読んでるんだ」

ξ゚听)ξ「でも、っっっがとけてる自信がって・・・・・・」

確かに発音したはずの言葉が、口から出てこなかった。

从 ゚∀从「駄目みたいだな」

( ><)「そんな! 死体は見つけたんです!」

35 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:01:53.78 ID:MPPJsRcR0

从 ゚∀从「知らねーよ。そもそも、死体を見つけるってことが誤りだったんじゃねぇか?
俺は忙しいんだ、邪魔しないでくれ」

ハインは漫画を読む作業に戻った。

( ^ω^)「帰りますお・・・・・・」

静かに神社を後にした。

ξ゚听)ξ「なんで・・・・・・死体は見つけたんでしょ?」

( ^ω^)「白骨化もしてたし、ヒントからしても間違いないお」

( ><)「とりあえず、話しあう場所が必要なんです!
ここからだと家が近いので、そこで話しましょう」

ξ゚听)ξ「そうね・・・・・・」

これからどうするかを相談するため、一旦ビロードの家に行くことになった。
神社から自転車で数十分間移動したところにあった。
テレビに出てきそうなほど巨大な門をくぐり、そこから屋敷まで自転車で移動する。

( ><)「ただいまなんです! 今日は友達が遊びに来てるから、お菓子と飲み物を持ってきてほしいんです」

網膜認証の扉から中に入ると、給仕の女性が一人駆け寄ってきた。
ビロードはそれだけ言うと、手招きをし、奥の部屋に入っていく。
巨大な屋敷にしては、ビロードに与えられた部屋は普通の大きさよりも少し広いぐらいだ。


36 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:03:55.70 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「なんか、こう、もっと凄いのを予想してたお」

ブーンの正直な感想にビロードがはにかみながら答える。

( ><)「できるだけ、他の同学年の子たちと変わらないように育てたいそうなんです」

ξ゚听)ξ「立派なご両親ね・・・・・・」

両親が褒められたことを、自分のことのように嬉しがるビロード。
照れ隠しに頬をかいているときに、部屋の扉がノックされた。
お洒落な机と、飲み物、お菓子が運び込まれる。

ξ゚听)ξ「でも、モノはすごいわね」

( ><)「友達を呼んだのは初めてなんです!」

家政婦さんがいそいそと準備をし、出て行ったタイミングを見計らって、ブーンが切り口を開いた。

( ^ω^)「どうするお?」

ξ゚听)ξ「まだ分かってないヒントがあるから、それを考えるのは?」

ビロードはポケットからメモ帳を取り出し、読みあげた。

( ><)「巨人の頭は知らない。その手が奪いしもの。なんです!」

( ^ω^)「小人は灯台だったから、巨人の頭は警察署の天辺で間違いないお!」


37 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:06:13.60 ID:MPPJsRcR0

すっかり調子づいたブーンは、ヒントを断定しようとするが、ツンは納得がいかない表情をしている。

ξ゚听)ξ「そうねぇ・・・・・・。でも頭が知らない、っていうのはおかしくない?」

3人とも腕を組んで頭を捻る。

( ><)「頭、っていうのは署長さんじゃないですか? 向こうでは一番偉い人のことを[head]といってましたから」

( ^ω^)「おー・・・・・・確かに、そっちぽいお」

ξ゚听)ξ「じゃあ、頭は知らないってことは、署長さんは知らないわけか」

気を落としたように肩を下げるツン。

( ^ω^)「手、ってことは部下だと思うお。部下が隠してることがあるんだお!」

( ><)「でも、どうやってそんなこと調べるんですか?」

ヒントを解いても手詰まり感が漂う。
警察の内部情報は、一般人がそう簡単に手に入れられるものではないからだ。

( ^ω^)「とりあえず、署長さんに連絡してみるお」

ビロードが持ってきたタウンページから、警察署の電話番号を見つけ、連絡する。
電話に出たのは、女性だった。

/ ゚、。 /「お電話ありがとうございます。○△市中央警察署、ダイオードがお受けします。
ご用件は何でしょうか?」

38 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:09:19.54 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「署長さんとお話がしたいんですお」

/ ゚、。 /「モララー署長は今、外出中でございます。御用件をお伝えしておきましょうか?」

( ^ω^)「えっと、かけ直していただくことはできますかお?」

/ ゚、。 /「署長はお忙しい身なので、何時になるかわからないのですが、それでもよろしければ」

( ^ω^)「お願いしますお」

/ ゚、。 /「お名前とお電話番号をお伺いしてよろしいでしょうか?」

( ^ω^)「内藤 ブーン。0X0-XXXX-XXXXですお」

/ ゚、。 /「内藤 ブーン様。0X0-XXXX-XXXXですね。かしこまりました。それでは、署長の手がすき次第連絡させていただきます」

( ^ω^)「ありがとうございますお」

感謝の言葉を述べ、通話終了のボタンを押す。

( ><)「いなかったんですか」

( ^ω^)「みたいだお。でも、後で連絡をくれるように頼んだお。今日はビロードの家に泊めてもらってもいいかお?」

( ><)「いいですよ!」

友達を呼んだのが初めてだったのなら、友達が家に泊まるのも初めてだったのだろう。
喜んで部屋を駆け出して行った。

39 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:11:40.99 ID:MPPJsRcR0

ξ゚听)ξ「んー、泊まり、許可してくれるかなぁ・・・・・・」

( ^ω^)「難しいかお?」

ξ゚听)ξ「昨日、学校をサボったことでものすごく怒られたから・・・・・・
一応聞いてみる」

ツンは携帯を取り出すと母親に確認のメールを送った。

( ><)「許可をもらったんです! 明日の荷物を取りに帰るんです! エクスト」

<_プー゚)フ「はい、おぼっちゃま」

黒いスーツを着こなす、西洋系の顔つきをした執事が部屋に入ってきた。

( ><)「二人を家まで乗せて連れて行って下さい」

<_プー゚)フ「仰せのとおりに。では、お二方、よろしいでしょうか?」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「お願いします(お)」

エクストの運転する車で、家まで連れて帰ってもらったブーンとツンは、次の日の準備を持ち、家から出てきた。
ツンの母親はビロードが資産家の息子だと知って、一瞬でオーケーサインを出したみたいだ。

( ><)「忘れ物はないですか?」


41 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:15:08.54 ID:MPPJsRcR0

助手席から覗くビロードの顔は輝いていた。
友達と泊りができるのが、よっぽど嬉しいのだろう。
2人が車に乗り込むと、屋敷に向かって出発した。

車はすぐに屋敷に到着し、3人はビロードの部屋に戻ってきた。

( ><)「紅茶が冷めてしまったんです」

部屋の中には仄かな香りが残っている。

ξ゚听)ξ「ねぇ、なんか変な臭いがしない?」

ツンが鼻を動かし、あちこちを嗅いで回る。
やがて、ブーンの近くまで行くと、きっぱりと言い放った。

ξ゚听)ξ「ブーン臭い」

( ´ω`)「そんなこと言われると傷つくお」

うずくまって全身でショックを表現するブーン。
ツンはさらに追いうちをかけた。

ξ゚听)ξ「腐ったものの臭いがする」

( ´ω`)「・・・・・・お、あ、これだお!」

ブーンがポケットから取り出したのは少年の手に握られていたお守りだった。

43 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:17:08.59 ID:MPPJsRcR0

ξ゚听)ξ「どうしてもっと早く言わないのよ!(言わないんですか!)」(>< )

2人から同時に攻められる。

( ^ω^)「お・・・・・・忘れてたんだお。ごめんだお」

( ><)「これは・・・・・・お守りですか」

ξ゚听)ξ「うーん、見たことあるような・・・・・・」

( ^ω^)「中も見てみるかお」

お守りの袋を丁重に開く。
中に入っていたのは一枚の厚紙だった。

ξ゚听)ξ「なんて書いてるんだろう」

握り締められたように折り曲がっていて、インクも薄れている。

( ^ω^)「あ・・・き・・・? 読めないお・・・・・・」

( ><)「全然読めないんです!」

解読を2人に任せ、テレビをつけるビロード。
地方ニュースで灯台の取り壊しに触れていたが、反対する人も多いらしく、どうなるかわからないそうだ。

ξ゚听)ξ「中に、名前が入ってるお守りって、神社の人に直接書いてもらう奴じゃなかった?」

( ^ω^)「この辺は確かそういうことしてたお」

44 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:20:18.05 ID:MPPJsRcR0

昔、授業で習った記憶をたどる。

ξ゚听)ξ「じゃあ、神社に行ったらとってある可能性はあるかな?」

( ^ω^)「わからないお」


( ^ω^)「ツン」
ξ゚听)ξ「ブーン」

言ったん間が空いて、話しかけたのは同時だった。

( ^ω^)「ツンから言うお」

ξ゚听)ξ「それじゃ、これどこかで見たような気がするんだけど」

( ^ω^)「ブーンもそれを考えてたお。でも、ボロボロすぎてわからないお」

ツンはテレビを見ているビロードにお守りを見せる。

( ><)「僕はわかんないです」

テレビから向き直り、お守りを注視する。

( ><)「でも、確かお父さんがいっぱいお守りを持ってたから、それと見比べてみるんです」

ξ゚听)ξ「いつ頃帰ってくるの?」

( ><)「もうすぐ部屋がノックされ」

46 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:23:14.07 ID:MPPJsRcR0

言い終わる前に部屋がノックされた。

( ><)「どうぞなんです!」

( ФωФ)「なんだ、友達がきてたのであるか。連絡してくれれば、着替えてきれいにしてからきたのだが」

入ってきたのは、みすぼらしい格好をした男の人だった。髪の毛には草がつき、ズボンは土で汚れていた。
とても、資産家には見えない。

ブーンとツンは目を見合わせる。
それに気づいたロマネスクは、自己紹介と弁明をした。

( ФωФ)「初めまして。ビロードの父親のロマネスクである。今日は泊まりにきてくれてありがとう。汚い格好をしていてすまない。いつも、この時間にビロと話をしているからね」

( ><)「今日は話なしでいいですか?」

( ФωФ)「構わないのである。それではくつろいでいってくれ」

ロマネスクが部屋を出ようとしたとき、ビロードが呼び止めた。

( ><)「待ってください! お父さんのお守りセットを見せてほしいんです」

( ФωФ)「いいである。鍵はエクストに持たせてある。好きなときにいきなさい。晩御飯ができたら、呼びに来る」

それだけ言うと、ロマネスクは出て行った。


47 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:26:24.48 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「ビロード、何であんな格好をしてたんだお?」

言いづらいそうに、しかし好奇心は拭えなかったのだろう、聞いた。

( ><)「いきなり、貧困者の気持ちを考えてくるのである! って言って昨日出ていったんです。僕もわかんないんです」

ξ゚听)ξ「すごいわね……」

( ^ω^)「それじゃ、お守りを見に行くお」

立ち上がり、背伸びをするブーン。

( ><)「エクスト!」

ビロードが呼んだ瞬間に扉がノックされ、エクストが入ってきた。

( ><)「お守り保管室にいきたいんです」

<_プー゚)フ「わかりました。では、こちらへどうぞ」

執事の先導で不思議な文様を施してある扉の前に着く。
中に入ると、ガラスケースの中に大小様々なお守りが並んでいて、どこの神社で買ったもの書いてあった。

( ><)「とりあえず、この辺なんです。この付近で変えるお守りは」

ビロードの指し示す一角に、数十のお守りが固めて置いてある。
その一つ一つと、手に持ったお守りを確認していくが、似通ったものは見つけられなかった。


48 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:30:16.35 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「この町のものじゃないのかお?」

ξ゚听)ξ「ここにあるのは、この辺で買えるもの全部あるの?」

記憶を呼び起こそうと目を閉じ、考える。

( ><)「えーっと、金運や交通安全のものが多くで、恋愛とか、そう言うのはなかったと思うんです」

ξ゚听)ξ「少なくとも金運や交通安全のじゃないことがわかったわね」

ツンは、お守りを眼の高さまで持ち上げ、睨みつける。

( ^ω^)「お・・・・・・どっかで見たことがある気がするんだお」

( ><)「部屋に戻って考えましょう。ここは暑いんです」

お守り保管室は空調が聞いていないのか、むっとする空気が詰め込まれている。
額に汗を浮かべていたブーンは、同意し、保管室を出た。

<_プー゚)フ「それでは、何かありましたらお呼び下さい」

3人を部屋まで送ると、そのまま、奥へ歩いて行った。

部屋の中に入ると、飲み物とお菓子が全部片付けられていた。

( ^ω^)「ジュースが欲しかったお・・・・・・」

49 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:33:27.15 ID:MPPJsRcR0

( ><)「もうすぐ御飯だと思うんです。ところで、それまでの間ゲームしませんか?」

ビロードが部屋の棚を開けると、そこにはありとあらゆる種類のゲームが詰め込まれていた。

ξ゚听)ξ「あんたたちねぇ・・・・・・命の危険なのよ? それなのにゲームって」

( ^ω^)「わかってるお、ツン。でも、考えっぱなしだと脳が疲れちゃうお」

数多くあるハードから任天堂64を取り出すブーン。

ξ゚听)ξ「・・・・・・息抜き、ね。わかったわ。ご飯までよ」

( ><)「それじゃあ、大乱闘AA大戦をやるんです!」

ソフトを差し込み電源を入れる。

( ^ω^)「このレトロな感じが溜まらんお。ブーンはギャル男を使うお!」

ξ゚听)ξ「んじゃ、私、やらない男使う」

( ><)「僕は、長門使うんです!」

それぞれのキャラが画面上に現れる。
勝負開始の合図とともに、ブーンの使うキャラが一撃でツンに倒された。

(;^ω^)「ツンはこのゲームむちゃくちゃ強かったの忘れてたお・・・・・・」

何回か闘っていると、部屋の扉がノックされた。

51 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:36:49.08 ID:MPPJsRcR0

「ビロード様、ご友人様方、お食事の準備ができました」

ゲームをやめ、(結局ツンの全勝だった)外に出ると、家政婦が待っていた。

( ><)「ご飯なんです!」

(;^ω^)「お腹すいたお・・・・・・」

案内された部屋は普通の食卓ぐらいの広さであった。
ただし、豪奢な額縁に収められた絵画などが飾ってあったが。
食卓にはロマネスクがすでに座っていた。

( ФωФ)「それでは、晩御飯の時間だ。おかわりもあるから、好きなだけどうぞ」

運ばれてきた料理はどれも見たことがないものであった。

(;^ω^)(いつもこんなのかお?)

あまりに豪華な料理に絶句し、ビロードに耳打ちをする。

( ><)(いつもよりもだいぶ凄いんです!)

( ФωФ)「せっかくお友達が来てくれているのでな、奮発してしまった。どうぞ、食べてくれ」

ξ゚听)ξ「いただきます!」


52 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:40:21.39 ID:MPPJsRcR0

ツンが最初に料理に手をつけた。目の前にあるサラダを小皿に取り分け、口に運ぶ。

ξ゚听)ξ「ん! おいしい!」

( ФωФ)「そう言ってくれると、作った給仕も喜ぶのである」

おいしそうな香りで我慢できなくなったブーンは、目の前の料理を片っ端から取り皿に取り分けて、
勢い良く掻っ込んでいった。

ξ゚听)ξ「ちょっと! とりすぎよ。なくなるでしょ」

( ФωФ)「急がんでもいいのである。おかわりは十分にあるのである」

ゆっくり食べていたビロードは、満面の笑みを浮かべていた。

( ><)「楽しいんです!」

( ФωФ)「すまないであるな、ビロード。お前にはさみしい思いをさせてきた。
お二方、よかったらこれからも一緒にご飯をたべたりしてくれるか?」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「もちろんです(お)!」

2人は、すぐに返事をし、また食べる作業に戻った。

食事を終え、ロマネスクと一緒に談笑していると、ブーンの携帯が震えた。


53 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:44:06.06 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「お、失礼しますお」

ポケットから携帯を取り出し、食卓を離れ、電話に出た。
それに気づいた家政婦が、すぐに椅子を持ってブーンのところに向かう。
感謝の意を、ジェスチャーで表し、椅子に座った。

( ^ω^)「もしもし、ブーンですお」

( ・∀・)「始めまして。中央警察署、署長のモララーだ。遅くにすまない。少し前に電話をくれたみたいだね」

( ^ω^)「お、そうですお。っっっについて、じゃなかったお。聞きたいことがあるんですお」

( ・∀・)「呪いだね? クーちゃんから連絡がこないから心配だったんだ。メールしても返事が来ないし」

( ^ω^)「ご存じなんですかお?」

( ・∀・)「なんだ、聞いてないのか? そうだ。知っている。何について聞きたいんだ?」

( ^ω^)「ある人の占いで、っっっを解くためのヒントを貰ったんですけど、それが僕たちじゃあどうしてもわからないんですお」

( ・∀・)「私に、調べろ、と。いいだろう。それは私も解決したかったからな」

( ^ω^)「貰ったヒントはこうですお。巨人の頭は知らない。その手が奪いしもの」

( ・∀・)「ふむ、つまり私の部下が関連していると?」

( ^ω^)「! ・・・・・・その通りですお」


56 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:46:05.73 ID:MPPJsRcR0

( ・∀・)「そうか・・・・・・。それは現役か? 引退も含むのか?」

( ^ω^)「わからないですお」

( ・∀・)「引退を含むとなると、相当な量だな・・・・・・ま、少し調べてみる。
ところで、どうしてクーちゃんは返事をくれないのかわかるか?」

( ^ω^)「忘れるんですお。このっっっから除外された人間は、
犠牲者が出るまで、そのことに関連する事柄を全部忘れるんですお」

( ・∀・)「そうか・・・・・・それでか。ありがとう。それじゃ」

( ^ω^)「失礼しますお」

通話を切って、席に戻った。
会話はちょうど終わった様だ。

( ФωФ)「ふむ、もう夜も遅いし、お風呂に入って寝なさい。
ツンお嬢さんには、別に寝る場所を用意しようか?」

ξ゚听)ξ「大丈夫です」

( ФωФ)「それなら、ビロードの部屋に布団を引いておこう。お風呂は一つしかないから、順番に入ってもらいたい」

ξ゚听)ξ「私、家でシャワーを浴びてきたんで、結構です」


57 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:48:27.94 ID:MPPJsRcR0

( ^ω^)「それで、あんなに長かったのかお・・・・・・。それじゃあ、ブーンは入ってくるお」

( ><)「僕も入ってくるんです」

ビロードについていくと、温泉のような簾がかかっていた。
そこをくぐると脱衣所があり、風呂は公共浴場のように広かった。

風呂から出て、ビロードの部屋に戻ると、ツンは寝息を立てて寝ていた。

( ^ω^)「ブーン達も寝るお」

ツンの横の布団に入りこみ、目を閉じる。
お風呂で暴れまわったせいで、眠気はすぐにブーンを襲った。







( ^ω^)「結局、変わらずかお」

いい加減に見慣れてきた、階段。
死体を見つけてもなお、この場所に呼び出された。

( ^ω^)「もう、3人・・・・・・時間がないお」

ξ゚听)ξ「そうね・・・・・・」

58 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:52:43.96 ID:MPPJsRcR0

ζ(゚ー゚ζ「さっさと諦めたら?」

( ^ω^)「それはできないお。誰かが犠牲になるなんて耐えられないお」

ζ(゚ー゚ζ「偽善者が。自分が助かればいいのよ」

あまりに直接的な物言いにツンが切れた。

ξ゚听)ξ「黙ってなさい!」

蛇に睨まれた蛙のようにデレは黙り込んだ。

   「聞こえてるか?」

静寂に支配された空間に細い声が響く。

( ^ω^)「ビロード、なんか言ったかお?」

首を横にふるビロード。ツンとデレ方を見ると、2人とも即座に否定した。

ξ;゚听)ξ「ひっ!」

短い悲鳴とともにツンが凍りついた。
恐る恐る振り返ると、そこには同い年ぐらいの少年が浮かんでいた。


59 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:56:17.98 ID:MPPJsRcR0

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「やあ」

(;^ω^)「な、誰なんだお?」

宙に浮かぶ少年はクスクスと笑う。

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「誰って、わからない?」

( ><)「殺された人なんですか?」

少年は顔一杯に笑みを広げ答える。

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「そうだよ。体、見つけてくれてありがとね。おかげで、こうやって姿を現すことができる」

ふよふよと浮かびながら、手足の動きを確認しているようだ。

( ^ω^)「呪いをといてくれお!」

さっきまでの笑顔は一瞬で消え去り、その頼みはにべもなく拒絶された。

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「無理」

凍っているかのような冷たい表情に、気圧されつつブーンは言った。

(;^ω^)「なっ! 体は見つけたはずだお!」


60 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/12(金) 23:59:00.60 ID:MPPJsRcR0

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「僕が見つけてほしいのは、体じゃない。僕を殺した奴だ」

先ほどまでとは違い、明確な殺意を発する少年。

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「持ってるんでしょ? 僕が握っていたモノ」

ξ゚听)ξ「お守りね」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「そう、それ! 僕が」

デレが話を遮って言葉を放った。

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと、いい加減にしてちょうだい。私は関係ないんだから家に帰してよね」

話の邪魔をされ、少年は不快感を露わにする。

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「世の中には、いろんな奴がいるんだな……わかった。お前は殺すのも惜しい」

右手を左右に振る。
その動作で、デレはいなくなった。

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「話を続けよう。僕が見つけてほしいのは、僕を殺した奴だ」

2度目の言葉。今までずっと白かった世界は、黒く染まっていく。


61 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:02:32.93 ID:UhM7A+zW0

( ^ω^)「・・・・・・わかったお。それで、この呪いをといてくれるんだおね?」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「約束する。とは言っても、体を見つけてくれただけでも嬉しい。だから連れていく人間を選ばしてあげる」

3人は首を傾げた。

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「死ぬ人間を選んでいいよ」

同じような意味の言葉に言い換えた。

ξ゚听)ξ「どういうこと?」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「そのまんまの意味さ。今まではそんな事はしなかったけど」

間を空けずにブーンが答えた。

( ^ω^)「選ぶ必要はないお」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「どうして? さっきの人なんか、適任だと思うけど……」

大きく息を吸い、口に出したのは12、3年の人生の中でもっとも強い意志を込めた言葉。

( ^ω^)「全部、見つけてやるお」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「・・・・・・」

少年は何の反応も見せない。

62 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:05:22.00 ID:UhM7A+zW0

( ^ω^)「必ず」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「わかった。それじゃ、君たちに任せるよ。あと、呪いは僕の力じゃ抑えることはできない。対象変更したければ、早めにね」

やっと口を開き、そう言うと、姿をぼやけさせ消えていった。




63 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:08:34.95 ID:UhM7A+zW0

△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り3日△▼△▼△▼△▼


从 ゚∀从「呪いの気配がまた強くなったな・・・・・・。死体を見つけただけじゃとまらねぇのか」

从 ゚∀从「もうちょっとぐらいなら助けてやれっかな・・・・・・」

ハインが目を覚ましたのは、空が白み始めた頃。
涼しい風に混ざって嫌な気配が漂っているのを感じていた。

从 ゚∀从「くっそ。こないだ作ったお札どこやったけか」

汚い部屋をさらに散らかし、あちこちを掘り返す。

从 ゚∀从「ああ、もう! また作るか・・・・・・」

机の上に散らばっているものを全て床に落とした。
数枚の紙切れを、机の上に並べ置く。

从 ゚∀从「っし。はじめっか」

彼女は目を閉じ、祈り始めた。







64 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:13:02.83 ID:UhM7A+zW0

( ><)「朝なんです!」

ブーンの耳元で叫ぶ。

( ^ω^)「! ・・・・・・おはようだお」

( ><)「ツンさんはもうご飯食べに行ってるんです」

その言葉に、ブーンは超速で反応し、部屋を飛び出して行った。
その動きにあっけにとられたビロードだが、すぐに我に返り、後を追いかけて部屋を出た。

ξ゚听)ξ「遅いわね」

ブーンは猛烈な勢いで食卓に駆け込んできた。

( ^ω^)「いただきま」

ξ゚听)ξ「顔洗って来い」

両手を合わせる前に、鉄拳制裁によって椅子からたたき落とされたブーン。
家政婦が持ってきたタオルで顔を拭き、席につき食事を始めた。

( ^ω^)「朝ごはんもおいしいお」

ロマネスクはすでに出かけているらしく、3人での食事となった。

( ><)(今日はどうするんですか?もう学校に行ってる余裕はないんです)

近くにいる二人にしか聞こえない声で話す。

65 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:15:28.98 ID:UhM7A+zW0

( ^ω^)(わかってるお。でも、ヒントはお守りしかないお)

ξ゚听)ξ(とりあえず学校に向かうフリをしながら考えましょ)

( ><)(賛成なんです)

ξ゚听)ξ(そういえば、3人とも覚えてるってことは、デレが抜けたのね)

( ^ω^)(たぶんそうだお)

食事を終えた後に制服に着替え、ビロードの家を出発した。
屋敷の玄関まで車で送ってもらい、そこから自転車に乗り、学校に向かう。

ξ゚听)ξ「あ、そう言えば、アンタ携帯鳴ってたわよ?」

( ^ω^)「おー確認してみるお」

携帯を取り出し、本文を確認する。

( ^ω^)「ストップ! ストップ!」

( ><)「どうしたんですか?」

急ブレーキをかけ、止まったブーン。
その少し前で、ツンとビロードも止まった。

67 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:19:02.06 ID:UhM7A+zW0

( ^ω^)「ハインさんからのメールだお」

ξ゚听)ξ「何てきたの?」

( ^ω^)「神社に来てくれ、ってきたお」

( ><)「それじゃあ、行くんです!」

学校への通学路から外れて、ハインの神社に向かうことにした。
すれ違う学生が、3人に奇異の視線を向けてくる。

自転車のとまる音が聞こえたのだろうか。ハインが中から手招きをしていた。

从 ゚∀从「わりぃな、学校があるだろ」

( ^ω^)「問題ないですお。何かわかったんですかお?」

部屋の中は陽の光が差し込まず、ろうそくで薄暗く照らされていて、
机の上には複雑な文様が書かれていた。
以前よりも足の踏み場は断然少なくなっている。

ξ;゚听)ξ「すごいことになってますね」

从 ゚∀从「気にすんな。それよりもだ、呪い、とけてねぇんだろ?」

( ><)「そうなんです! もう後三日しかないんです!」

ゆらっ、と風もないのに炎が揺れた。
まるでビロードの声に抗議するように。

69 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:23:16.65 ID:UhM7A+zW0

ハインが指差したのは机の上。

( ^ω^)「すぐに下さいお!」

蝋燭の炎が、また揺れた。
それに合わせて部屋の影がゆらゆらと蠢く。

从 ゚∀从「落ち着けっていってんだろ。そんなにすぐ出来るもんじゃねぇ」

ξ゚听)ξ「間に合うんですか?」

ツンの質問に、目をそらし、ハインは答えた。

从 ゚∀从「正直、わからん。俺だってこんな強力なもん作ろうとしたのは初めてだからな。
ただ、間に合うかもしれねぇ。それだけ伝えたかった」

( ><)「絶対間に合わせてください!」

从 ゚∀从「ああ。やれるだけやってみる。悪いが、もう帰ってくれ」

ハインは文様に向き直って、言葉を唱え始めた。

( ^ω^)「よかったお、これで助かるお!」

ξ゚听)ξ「間に合わなかったらどうすんのよ?」

神社から出て、境内に座り込む。

( ><)「どうするんですか?」

71 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:26:10.83 ID:UhM7A+zW0

ポケットから、お守りを取り出す。

ξ゚听)ξ「うーん、この辺のじゃないとか・・・・・・」

( ^ω^)「でも、そうだとすると、犯人は外の人間になるお。そうなったら、どうしょうもないお・・・・・・ここの神社はお守りあるのかお?」

あたりを見回し、売店があるような場所を探す。

( ><)「うーん、あ、ありました!」

社の裏側に小さな自動販売機のようなものがあった。

( ^ω^)「お守りが自販機って・・・・・・」

ξ゚听)ξ「ご利益がなさそうね」

小銭を数枚投入し、ボタンを押す。

( ><)「とりあえず、買ってみたんです」

お守りと、その効力を書いた紙が同時におちてくる。
ツンが屈んで拾い上げ、内容を読んだ。

ξ゚听)ξ「ブーン、お守りかして!」

返事をする前にひったくり、裏返し、まじまじと見つめる。


72 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:30:11.09 ID:UhM7A+zW0

( ><)「どうしたんですか?」

ξ゚听)ξ「このお守りは14番! この町のお守りにはどこのか分かるようになってるのよ!」

手に持ったそれをブーンの目の前に掲げる。

( ^ω^)「どういうことだお?」

ξ゚听)ξ「この数字で神社の場所が分かるのよ! 図書館に行くわよ!」

ツンは自転車に飛び乗り、走り出した。
遅れないように、すぐ追いかけるブーンとビロード。

( ^ω^)「はっ、やっ、すぎだお!」

ξ゚听)ξ「時間がないの!」

3人はさらに加速し、図書館まで全速力で向かった。
平日の昼前だけあって、尋ねている客は少ない。

ξ゚听)ξ「確かここに・・・・・・」

館内の一角、地域の地図というコーナーに入っていくツン。
授業の一環だろうか。小学生がたくさんいる。

ξ゚听)ξ「あった・・・・・・!」

( ><)「地域の神社とそのお守り一覧、ですか」

74 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:33:30.09 ID:UhM7A+zW0

大きな地図に冠されたタイトルを読む。

ξ゚听)ξ「14、14っと」

左上から数字を調べていく。
目的の数字は左下にあった。

ξ゚听)ξ「え?」

その数字が表示されていた神社は、予想だにしない場所だった。

( ^ω^)「荒巻のお爺さんのいる神社・・・・・・」

14番の数字は、灯台の南にある巨大な神社の【夫婦護り】というお守りに付けられていた。
最後のピースが嵌まった。ブーンとツンは同時に、そう感じた。

ξ )ξ「ねぇ、ブーン。最初に死んだ、って言い方をしたのは誰だっけ?」

(  ω )「荒巻のお爺さんだお」

組みあがったパズルを確認していく。

ξ )ξ「最初に、私たちの前にお爺さんが現れたのは?」

(  ω )「今から7年前。小学校にあがったばっかりの頃だお」



76 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 00:37:14.69 ID:UhM7A+zW0






ξ )ξ「荒巻お爺ちゃん・・・・・・セットのお守りを、一つだけ持ってたよね」





そして、決定的だと思える事実。

(  ω )「そうだお」

( ><)「どうしたんですか? 2人とも?」

この場で状況を理解できていないのはビロードだけだった。

(  ω )「行くお。ビロード」

命の恩人が、多くの被害者を出す呪いの元凶となっているとは信じたくなかった。
しかし、決定的な証拠が出てきた。
図書館を出て、向かったのは、馴染みの神社だ。
空には灰色の絨毯が敷きつめられている。

無言で自転車をこぐ二人。
ビロードはそのあとを、おどおどしながらついていく。

85 名前: ◆gMIGdyOjeA[すいません猿が・・・・・・] 投稿日:2009/06/13(土) 01:01:16.41 ID:UhM7A+zW0

突然、ブーンの携帯電話が鳴った。

自転車の速度を少し緩め、電話に出た。

(  ω )「はい、もしもし」

( ・∀・)「ブーン君かい?」

(  ω )「そうですお、どうかされたんですかお?」

( ・∀・)「元気がなさそうだが大丈夫かい? ま、とっておきの情報が手に入ったんでね」

(  ω )「なんですかお?」

( ・∀・)「少年の第一発見者は、警察関係者だ」

(  ω )「!?」

( ・∀・)「名前は、荒巻、荒巻スカルチノフ。だが」

(  ω )「そうですか・・・・・・ありがとうございます」

(;・∀・)「おい、ちょっと待っ」

既にモララーの声は届いてなかった。
ブーンは携帯をポケットにしまう。

88 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:06:08.48 ID:UhM7A+zW0

その後も、何度か鳴ったが、尽く無視した。

神社の鳥居の前。

一呼吸おき、一段、一段、と力を入れてのぼる。
今までの思い出が滲みだしてくる。

10段目

7年前、通学路に車が突っ込んできたことがあった。
予言のおかげで事なきを得た。

20段目

ピクニックの日に雨が降ることを教えてもらった。
無駄に楽しみにしなくて済んだ。

30段目

学校のテスト範囲を教えてもらおうとした。
自分達で頑張りなさい、と相手にしてもらえなかった。


小学生の時は毎日のように遊びにきていた。


92 名前:◆gMIGdyOjeA[どうぞ] 投稿日:2009/06/13(土) 01:09:14.06 ID:UhM7A+zW0

(  ω )

もちろん、荒巻は常にいたわけではなかった。それでも、本当に必要としたときは必ずいてくれた。

ξ )ξ

中学生になってからは頻度が減ったが。それでも、危険がせまっているときは必ず教えてくれた。

荒巻はいつものように、石の上に座っていた。

/ ,' 3「どうしたんかいの?」

荒巻から話しかけてきたのは、これが最初だった。

(  ω )「これ・・・・・・どういうことか説明してもらえますかお?」

ポケットから取り出したのはお守り。

この場所の神社で売っている【夫婦護り】。

その片割れ。

ξ )ξ「その、お守りは、なんですか?」

ツンが、荒巻の腰にぶら下がっているお守りを指さす。

( ><)「え? え? じゃ、じゃあ、荒巻さんが犯人!?」


95 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:12:39.55 ID:UhM7A+zW0

ビロードが驚きの声をあげる。

墨汁を垂らしたような、遠くにある雲の中を光が駆け抜けた。
一瞬遅れて、轟く雷鳴。

それに対する、荒巻の返答は、そこにいる三人の予想外のものだった。

/ ,' 3「そのお守りは、わしのじゃ。確かにの。じゃが、それはわしが、あの少年に渡したものじゃ」

(# ω )「嘘つくなお!」

あえて言葉を強めた。
そうでもしないと、荒巻を攻めることができそうになかった。

/ ,' 3「話を聞いてもらえんかの?」

ξ )ξ「・・・・・・」

無言で、ツンが頷いた。

/ ,' 3「ありがとう。わしがあの少年を見つけたのは夜も更けたころ、散歩をしておったときじゃ。少し長くなるからの、座ってくれ」

言われたとおり、三人は荒巻の前に座り込んだ。

/ ,' 3「灯台から悲鳴が聞こえてきた。すぐに中に入ったら、少年が地面に横たわっておった。
    血は出とらんかったが頭を打ったみたいじゃったから、すぐに救急車を呼ぼうと思ったんじゃが、
    まだ意識があったからの、話しかけてみた。その時、お守りの片方を掴まれてしまっての」


96 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:16:47.59 ID:UhM7A+zW0

( ^ω^)「え?」

荒巻の話が本当だとすれば、お守りは証拠にはならない。

/ ,' 3「離してくれそうになかったから、それを外して、近くの家までできる限り急いで行った。携帯は持っておらんかったからの」

ξ゚听)ξ「じゃ、じゃあ、荒巻のお爺ちゃんは何も、してない?」

/ ,' 3「しとらんよ。しとらん証拠も何もだせんが・・・・・・わしが警察と灯台に戻ってきたときにはそこには何もなかった」

深いため息をつく荒巻。

( ^ω^)「本当に、荒巻のお爺さんじゃないんだおね?」

/ ,' 3「ああ、そうじゃ。ところで、わしはそろそろお暇するとしよう。そのお守り、返してもらえるかの?」

一瞬悩んだブーンだが、お守りを渡した。

( ^ω^)「これで、最初に逆戻りだお・・・・・・」

/ ,' 3「これを見つけてくれてありがとう。どうしても返してほしかった。大事なものだからね・・・・・・。お礼に最後のヒントをあげよう」

そう言って、目を閉じ、黙り込む。

( ><)「ヒントじゃなくて、答えを教えてほしいんです!」

荒巻は、片目だけ開けると、答えた。

/ ,' 3「わしは未来を読める。その代わり、わしには未来がない」

97 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:21:12.02 ID:UhM7A+zW0

(;^ω^)「え?」

荒巻がだんだん薄れていく。

ξ;゚听)ξ「荒巻お爺ちゃん!」

/ ,' 3「このお守りを手にして、すべて思い出した。そうじゃ、あの後わしは、この神社で突き落とされて死んだのじゃった」

足元から光の粉になり消えていく。

/ ,' 3「最後のヒントじゃ。すべての小人に知らせよ。頑張るのじゃ・・・・・・」

ξ;゚听)ξ(;^ω^)「お爺さん!」

2人の呼びかけに反応することはなかった。
優しそうな口が、おだやかな目が、光となって、空気中に溶けた。

( ><)「荒巻さんって、幽霊だったんですか?」

( ^ω^)「・・・・・・確かに、触れ合ったことはなかったお」

昔を思い出す。ボール遊びにしろ、おいかけっこにしろ、荒巻は参加したことがなかった。

ξ゚听)ξ「というより、言いたいことだけ言うと、いつも気づかないうちにどっかいっちゃってたもの」

( ><)「やっぱり、荒巻さんを殺したのも?」

ズボンの裾を強く握る。
悔しさで、視界が滲む。

99 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:24:56.82 ID:UhM7A+zW0

(#^ω^)「あの少年を殺した奴だお」

ξ゚听)ξ「最後のヒントは、すべての小人に知らせよ、か・・・・・・」

( ><)「それじゃあ、犯人がわかんないんです!」

いらいらを発散するため境内の砂利を蹴る。

( ^ω^)「でも、実際どうするお? もう、犯人に近づくヒントがないお」

ξ゚听)ξ「とりあえず、今まで出た情報をまとめましょ」

( ><)「あ、それならこのメモ帳使ってください。今までの分も全部書いてあります」

ビロードの取り出した手帳には、これまでの行動、ヒントなどすべて書き込まれていた。
ペンを取り出し、最後のヒントを書き加えた。

ヒント1【人が助けを求める場所に居る者。そこが始まり、そして終わり】
ヒント2【巨人の頭は知らない。その手が奪いしもの。小人の瞳は二つある。瞳の中に、とらえて離さない】
ヒント3【すべての小人に知らせよ】

ξ゚听)ξ「さっき貰ったヒント以外は解いたわね」

( ^ω^)「最初のヒントの、そして終わりってとこはまだ解けてないお」

( ><)「最後は大怪我して、病院ってこ・・・・・・」

自分で言っていて恐ろしくなったのだろう。最後まで言わなかった。

102 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:28:46.06 ID:UhM7A+zW0

( ^ω^)「でも、病院、かお?」

ξ゚听)ξ「そうねぇ・・・・・・」

くるくると手帳の端を塗りつぶす。

( ^ω^)「三番目のヒントはどういう意味だお?」

( ><)「小人、ですか」

ξ゚听)ξ「うーん、また灯台のこと?」

今度は灯台が描かれていく。

( ><)「小人たち、っていうのはおかしくないですか?」

( ^ω^)「そっか・・・・・・ブーンたちのことだお!」

ξ゚听)ξ「ということは、現状を、皆に連絡しろってこと?」

ツンはさっそく携帯を取り出し、文を打ち出していく。

( ^ω^)「たぶん、そうだお。とりあえず、これからは、他の皆に連絡するべきだお」

ξ゚听)ξ「そうね。とりあえず、場所を移動しましょ。嫌な天気になってきたわ」

昼間であっても、太陽の光は届かない。
厚く、黒い雲がすんでのところまで迫っていた。

103 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:32:05.01 ID:UhM7A+zW0

( ><)「どこに行きますか? 学校はまだ終わってないんです」

( ^ω^)「そうだったお・・・・・・」

感情の高ぶりが、そんな些細なことを忘れさせていた。

ξ゚听)ξ「まずいわねぇ。また怒られる」

(;^ω^)「そうだおね。とりあえず、図書館に戻ろうお」

神社を出て、図書館に移動することにした。
並んで走る三人の後ろは真っ黒に染まっている。

ξ゚听)ξ「よく考えたら、お腹減ったわね」

太陽が見えないせいで、時間の経過がわからない。
が、確実に腹の虫は空腹を伝えていた。

コンビニで食べ物を手に入れ、それを片手に図書館を目指す。

( ><)「パトカーなんです! 何か事件が起きたんですか?」

ξ゚听)ξ「でも、光ってもないわね」

パトカーはブーン達の前で止まった。
  _
( ゚∀゚)「そこのおっぱい、とまりなさい!」


106 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:34:53.88 ID:UhM7A+zW0

ξ゚听)ξ「何か悪いことした?」

ジョルジュは車の中に沈む。

(;^ω^)「おー」

パトカーから降りてきたのはお馴染みの警察官だった。

(,,゚Д゚)「おめぇら、なんでこんなとこにいんだ? 学校はどうした?」

ξ゚听)ξ( ><)「・・・・・・」(^ω^ )

どう返答をしてよいか分からず、黙り込んだ。

(,,゚Д゚)「どうせ、呪いのこったろ。悪いな、学校側から捜索連絡が届いてんだ。
死体を見つけても駄目だったのか?」

( ^ω^)「はいですお・・・・・・。どうなるんですかお?」

(,,゚Д゚)「とりあえず、学校につれていくことになってるから、乗ってくれ。自転車はそこの隅に置いとけ。あとで回収させる」

ブーンはスタンドを立て、自転車を止める。
それでも諦めきれず、無駄とは思いつつも頼み込む。

ξ゚听)ξ「なんとかならないんですか?」

(,,゚Д゚)「すまんが無理だ。こちらも仕事だからな」

108 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:39:32.66 ID:UhM7A+zW0

せかされ、後部座席に乗り込んみ、車で数分、ついたのは学校だ。

( ´∀`)「さて、どういうことか説明してもらうモナ」

校門でモナーが待っていた。

ξ゚听)ξ「モナー先生・・・・・・」

( ´∀`)「わざわざ、すいませんでした」

(,,゚Д゚)「いえ、それでは」

ギコ達はすぐに去って行った。

( ´∀`)「さて、生徒指導室に来てもらうモナ」

学校の一階、職員室の隣にある生徒指導室に、3人は連れて行かれる。
そこには、校長が座って待っていた。

(;^ω^)「お・・・・・・」

( ><)「その・・・・・・」

学校を休んだ理由を聞かれても、素直に答えることができず曖昧な返事をする。
小一時間ほど拘束されたが、結局、休んだ理由は言わなかった。

それを、校長は特に理由をなく休んだのだろうと判断し、ペナルティの掃除当番を課した。
すぐにでもその場を離れたかったブーン達は、是非もなく、その条件を飲み込んだ。

111 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:43:12.18 ID:UhM7A+zW0

(;^ω^)「疲れたお・・・・・・雨も降ってるお」

ξ;゚听)ξ「そうね、大分時間を無駄にしちゃった」

生徒指導室では気付かなかったが、外は土砂降りの大雨になっていた。
雲の具合から見てもすぐに止みそうにはない。

( ><)「どうするんですか?」

ξ゚听)ξ「まぁ、話しあう場所はできたけどっと? あーママからね・・・・・・」

嫌そうに携帯のメールを確認する。

ξ゚听)ξ「学校に迎えに行くから、待ってなさいって。もちろん、ブーンもね」

案の定、メールの内容からは母親の怒りが伝わってくる。

(;^ω^)「ブーンの母さんも怒ってるお・・・・・・」

( ><)「でも、時間が・・・・・・」

ξ゚听)ξ「わかってる・・・・・・。でも、もうヒントも解き尽したし、駄目・・・・・・かも・・・・・・」

ヒントはない。時間もない。
3人に残された道は、一つしか見えなかった。

ξ;;)ξ「死にたくっぐぅ、ないよぅ・・・・・・・」

(;^ω^)「だ、大丈夫だお、ツン。ツンは絶対に守るお!」

114 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:47:25.70 ID:UhM7A+zW0

ξ;;)ξ「だからって、他の誰かが、死ぬのも嫌!」

ツンの携帯が、母親の到着を知らせる。
なんとか玄関まで連れて行き、車に乗り込んだ。
運転席からは明らかな怒気が流れてきている。

( ><)「何か思い出したことがあったら連絡します!」

(;^ω^)「こっちもそうするお、それじゃ」

2人を乗せた車は、荒々しく出発した。







(;^ω^)「やっと、終わったお・・・・・・」

2人の母親による合同説教が始まったのは、家に帰ってすぐだった。
ブーンの家の食卓で母親二人とブーン、ツンが並んで、座る。

説教。そして、質問攻め。
しかしその質問には、当然答えることができない。
呪いを説明することはできないのだから。


116 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:50:27.85 ID:UhM7A+zW0

ツンは隣でずっと泣いていて、ブーンが受け答えすることになる。
どうしようもなく、ただ、悪さがしたかった、とだけ答えた。
それが失敗だったのは、考えるまでもなかった。

論理的に話をしようと思っている相手に、ただなんとなく、などと言えば、怒られるのは当然至極。
そんなこんなで、さらに、説教時間がプラスされ、今に至る。

ツンは泣き疲れて、布団で寝ていた。

どうやら、なんとなく、が母親たちに火をつけてしまったらしく、二家族合同家族会議が行われるようだ。

(;^ω^)「もう、疲れたお・・・・・・」

(;^ω^)「っ!」

急激な眠気が、一気に視界を暗転させた。
そのまま海に沈んでいくような感覚があり、螺旋階段に着地した。

(;^ω^)「もう、そんな時間かお・・・・・・」

階段をのぼる足は重たい。

バルコニーには、ビロードとツンも同時に現れた。

( ><)「大丈夫でしたか?」

片頬を真っ赤に染めながら言った。

117 名前:◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:53:17.00 ID:UhM7A+zW0

ξ;;)ξ「っすん、ねぇ? どうするの?」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「さて、煮詰まってきたね。そろそろ、犠牲者を選んだ方がいいんじゃない?」

突然、地面から現れた少年の霊。
唯一、彼だけが緊張感なく漂っている。

(;^ω^)「お・・・・・・。それは嫌だお!」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「うーん、前も言ったけど、この呪い、完全に制御できてるわけじゃないから・・・・・・」

ξ;;)ξ「お願い! なんとかして!」

少年はさみしそうな顔を浮かべる。

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「だから、無理なんだよ・・・・・・。僕も何とかしたいとは思うんだけど」

( ><)「うわ!」


119 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:55:35.19 ID:UhM7A+zW0

(;^ω^)「そう言うビロードも、殴られたのかお?」

( ><)「痛かったんです!」

ξ;;)ξ「っすん、ねぇ? どうするの?」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「さて、煮詰まってきたね。そろそろ、犠牲者を選んだ方がいいんじゃない?」

突然、地面から現れた少年の霊。
唯一、彼だけが緊張感なく漂っている。

(;^ω^)「お・・・・・・。それは嫌だお!」

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「うーん、前も言ったけど、この呪い、完全に制御できてるわけじゃないから・・・・・・」

ξ;;)ξ「お願い! なんとかして!」

少年はさみしそうな顔を浮かべる。


122 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 01:58:26.72 ID:UhM7A+zW0

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「だから、無理なんだよ・・・・・・。僕も何とかしたいとは思うんだけど」

( ><)「うわ!」

驚いた声を出すビロード。
その右手には、最後から三番目を示す数字が浮かび上がる。

(ノリ_゚_-゚ノリゝ「呪いが、加速している・・・・・・」

少年の声は最後まで聞こえなかった。

母親に肩をゆすられて、目を覚ました。

その後、二家族合同家族会議が食事と一緒に行われた。
そこで二度とさぼらないことを約束し、会議は終わった。

疲れきっていたブーンは再び眠りについた。


124 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:01:22.62 ID:UhM7A+zW0

△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り2日△▼△▼△▼△▼


ξ゚听)ξ「これで・・・・・・あと二人」

ブーンの家から帰って、風呂に入ってすぐに寝た。
時計を確認すると同じ時間。

ξ゚听)ξ「とりあえず、準備しないと」

約束を守らなければ、今度こそ何もできなくなってしまう。
そうなれば、ホントにただ死んでしまうだけだ。

ツンが家を飛び出したのと、ブーンが家から出てきたのは同時だった。

( ^ω^)「あと、二日。ちゃんと連絡とってるかお?」

荒巻の最後のヒント、小人たちへの連絡は、男子にはブーン、女子には、ツンがしていた。

ξ゚听)ξ「うん・・・・・・。できるだけ、詳しく書いてる。なんなんだ?
って来るんだけどね」

元気のない顔で笑う。

( ^ω^)「ブーンも怒られたお」

空笑しか出てこない。

126 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:04:34.60 ID:UhM7A+zW0

ξ゚听)ξ「今日の授業は、午前中だけよね」

( ^ω^)「そうだお。明後日は・・・・・・修学旅行だから」

傘に雨が当たる音にさえ、耳に入らない。
2人の世界は、完全に無音だった。

学校に着くまでには、靴下がびしょぬれだった。

ξ゚听)ξ「はぁ・・・・・・」

授業など、あってないようなものだった。

( ^ω^)「どうするお?」

授業が終わってしまえば、部活動もない今日はほとんどの人が帰っていく。
話題はもっぱら修学旅行に対するものだ。
直にに教室に残っていたのは二人だけになった。

ξ゚听)ξ「もう、どうしたらいいのかわかんない」

( ^ω^)「ブーンもだお・・・・・・もう、わからないお。どうしらいいのか」

ξ゚听)ξ「うん・・・・・・、帰ろうか?」

陽が高いとはいえ、物音がしない学校は、気味が悪い。

( ^ω^)「お・・・・・・」

128 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:08:03.65 ID:UhM7A+zW0

ξ゚听)ξ「ブーン」
( ^ω^)「ツン」

同時に呼び掛けあう。
やはり、ブーンが譲った。

ξ゚ー゚)ξ「もし、私が死んでも、忘れないでね?」

幼稚園からずっと一緒にいた幼馴染の、初めてみる笑い方だった。

( ^ω^)「ツン・・・・・・ブーンが死んでも、同じだお。生き残った方が、死体の場所を警察に伝えるお」

ξ゚听)ξ「わかった」

帰り道の会話で、呪いのことは一切でてこなかった。

2人は昔話に花を咲かせた。
片方は、もう、他の誰ともしゃべることはできない。
そう思うと、話題は尽きなかった。

ξ゚听)ξ「それじゃ」

( ^ω^)「ばいばい、ツン」

また明日、とは言わない。
どちらかは明日になったら記憶を忘れていて、どちらかは、明後日に命を落とす。
それが、わかっていたからだ。


130 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:13:06.93 ID:UhM7A+zW0

ブーンも、ツンも、呪いについて考えることは何もしない。
何もする気が起きなかった。

結局、この惨劇を止めることはできなかったから。
2人が家で考えているのは同じことだった。

つまり、もし相手が最後になったら自分と代わろう、と。
幼稚園の時からずっと一緒にいた。
中学校になってからからかってくる奴もいたが、無視し続けた。

お互いを家族のように想っていた。
だからこそ、一緒にいるのが当たり前だと考えていたし、なによりも相手に生き残ってほしいと考えていた。

ξ゚听)ξ(ごめんね、ブーン・・・・・・・)

机の中から、新品のレターセットを取り出した。
それぞれに、名前を書いていく。

ξ゚听)ξ(最後になった時のために買っておいたけど、ホントに使うとはね)


ドクオへ

ショボンへ

ブーンへ


132 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:16:55.87 ID:UhM7A+zW0

いつも一緒に遊んでいた四人に宛てて。

ξ゚听)ξ「間に合わなくなったら、大変だし・・・・・・ね」

ペンをとり、一文字、一文字、丁寧に書いていく。

真っ白だった封筒は、水玉で彩られて



それでも、想いを綴っていった。







( ^ω^)(ツン、絶対死なせはしないお・・・・・・)

ブーンは新しいノートを取り出し、今回の呪いについて、細かく書いていく。

( ^ω^)(願わくば、このノートをモララーさんに)

相変わらず、呪い、という文字は読めるような字では書けなかったが、それでも関係者が見ればすぐにわかるようなものが出来上がった。


133 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:20:48.98 ID:UhM7A+zW0

その後は、自分の持ち物の所存について書いていった。

本はショボンに。

ゲームはドクオに。

そして、ツンには、手紙を。

中学校に入ってすぐに書いたラブレター。
結局、渡すことはできなかったが。

持ち物の渡す先を書いていたら、あっという間に日が落ちた。

最後に、PCのハードディスクをフォーマットしようと電源を入れ、そこでドクオからのメールを思い出した。

( ^ω^)(どうせだから、ちょっとだけ、見てみるお)

携帯のメールに書いてあるURLを直入力し、エンターキーを押しす。
そのスレッドはすでに落ちていた。

次スレはすぐに見つけることができた。
内容を大雑把に流し読みしていく。

どうやら、灯台の家の近くのニートが、スネークなるものとして名乗り出ていたようだ。

そのIDの書き込みは、的確にブーン達が灯台に行った日のことが書いている。
さらに、遠くから撮った写真まであった。


135 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:24:47.00 ID:UhM7A+zW0

(;^ω^)「お?」

ブーン達に関する書き込みの中で、一つ浮いた書き込みがあった。


424 名前:地域の住民[] 投稿日:0000/00/00(金) 19:05:38.97

そういえば、先日、少年達を叱りつけていたであろう人が、ひとりで灯台の中に入って行った



(;^ω^)「お? なんで警察の人が?」

今日の、そしてついさっきの書き込みだった。

辺りは暗い。

( ^ω^)「まさか・・・・・・」

急いで、昼間に纏めたノートを見る。

確かにおかしいことは十分にあった。

(;^ω^)「くそっ! 出てくれお! ツン!」

急いで、ツンに電話をかける。
何度も何度も、無機質なコール音が響く。

137 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:28:39.85 ID:UhM7A+zW0

汗が浮かんでくる。

重要なことを見逃していた自分に腹が立ってくる。

(;^ω^)(よく考えれば、あの人たちも犯人の枠にはいいっていてもおかしくないお!)

コール音は終わらない。

(;^ω^)「せめてっ! これだけは伝えないとっ!」

ノートの最後に走り書きを加えていく。

(;^ω^)「あ・・・・・・う・・・・・・」

呪いは、それが終わるのを待ちはしなかった。

(; ω )「くそっ!」

右腕には、運命の数字が表れていた。
死んだ少年の、呪いが暴走している、という言葉を思い出す。

(; ω )「ツンと変わらないと!」

階段を駆け上る。
扉をくぐりぬけ飛びだした世界は、今までとは全く異なっていた。
足場はなく、赤と黒がまじりあったような気味の悪い世界。



138 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:32:24.58 ID:UhM7A+zW0

(ノリ_ _-゚ノリゝ「おそ、かったですね。む  りでしたか?」

少年は、既に人の形を保っていなかった。

(;^ω^)「呪いの対象を変更してくれお!」

(ノリ_ _-゚ノリゝ「ご   めんなさ  。 む  です 」

少年の姿は、赤と黒の世界に飲まれていく。

ξ゚听)ξ「ブーン!」

遅れて、飛びだしてきたツンの声が響く。

(;^ω^)「ツン! ブーンの部屋のノートをみ」

二色の奔流がツンを覆い隠す。
その中からはツンのものと思える悲鳴が聞こえてくる。

(ノリ_ _- ノリゝ「ご  ん さい」

その声を最後に、ブーンは世界から追放された。

ξ;;)ξ「ブーン! ブーン!」

必死に叫ぶが、返事が聞こえてこない。

(ノリ_ _- ノリゝ「明日、お前は死ぬ」

139 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:36:13.99 ID:UhM7A+zW0

少年だった者は、多くの人間をミキサーで混ぜたような形状になっていた。
犠牲にした者たちの怨念を体現しているかのように。

ξ;;)ξ「ひっぐ・・・・・・っす・・・・・・」

(ノリ_ _- ノリゝ「どうやって死ぬか 選ばせてやろう」

ξ;;)ξ「死にたく・・・・・・ない・・・・・・」

死への恐れは、異形の存在に対する恐れをも上回った。

(ノリ_ _- ノリゝ「なら、水死してもらおう」

ξ;;)ξ「お願い!」

(ノリ_ _- ノリゝ「お  マえ  も  死  ネ」

複数の口から、一様に、呪いの言葉が出てくる。

世界はひしゃげ、ツンを包み込みつつ消滅した。

144 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 02:53:06.10 ID:UhM7A+zW0


△▼△▼△▼△▼修学旅行まで残り1日△▼△▼△▼△▼


ξ;;)ξ「はぁ、はぁ・・・・・・」

朝早くに目が覚めた。
目元をぬぐうと、自分が寝ながら泣いていたことに気づく。

ξ゚听)ξ「そうか・・・・・・私、死ぬのか・・・・・・」

洗面所に行って顔を洗う。鏡を見ると、ひどい顔をしていた。

ξ゚听)ξ「そう言えば、ブーンが何か言ってたわね。もう、関係ないかな・・・・・・」

自分の部屋で手紙の続きを書く。

ドクオとショボンに向けた分は完成して、封筒に入れて机の中にしまった。
ブーンに送る手紙だけがまだ描けていなかった。

ξ゚听)ξ「どうしよっかなぁ・・・・・・」

ずっと、ブーンに寄せていた恋心。
それを手紙に書こうか、書くまいかを悩んでいた。


147 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:02:53.62 ID:UhM7A+zW0

ひそかに寄せていた、ブーンへの想い。
家族みたいなもんだから、と覆い隠してきた。

ξ゚听)ξ「・・・・・・最期だもんね」

素直に、想いを綴った。

ξ゚听)ξ(でも、死んだ人間に好き、なんて言われても、困るかな・・・・・・)

マジックで塗りつぶし、そのあとゴミ箱に捨てた。

ξ゚听)ξ「なかなか書けないわね・・・・・・」

ペンを持ったまま考え込む。時間はまだある、そう信じながら。

ξ゚听)ξ「ちょっと、外に出てこよう・・・・・・」

書きかけの手紙を放りだし、自転車に乗って出かけた。
特に、どこを目指すわけでもなく、ふらふらと彷徨う。

ξ゚听)ξ(ハインさん、結局間に合わなかったのかなぁ)

学校に行き、図書館に行き、荒巻のいた神社に行き。

今まで通った道をなぞる様に。


149 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:07:23.39 ID:UhM7A+zW0

灯台にだけは行かなかった。
それは、溺死だと宣言されいたことで海を避けていたのかもしれない。
もちろん、そんなことで逃げ切れるとは微塵も考えていないだろうが。

ξ゚听)ξ「・・・・・・もっと、この町を見て回ろうかな」

小学校のとき、荒巻のおかげでけがをせずにすんだ公園に行く。

ξ゚听)ξ「確か、滑り台の支柱が腐ってて・・・・・・」

ブーンが、滑り台はやめよう、と言った。
だから、他のみんなもそれに従って、ブランコで遊んでいた。

ξ゚听)ξ(あのときのヒントはなんだったかな・・・・・・)

新しく設置された滑り台を遠くから眺める。
直接触らなかったのは、子供たちが遊んでいて、躊躇ったから。

ξ゚听)ξ「次は・・・・・・時計塔でも、行こうかな」

駅前にある時計塔。公園からは結構な距離があったが、特に気にしていないようだ。

ξ゚ー゚)ξ「始めて、ブーンと電車で遊びに行ったとき、ここで待ち合わせしたんだったなぁ」

ほんの少し前であるはずなのに、遠い昔の記憶を思い出しているように感じていた。
ツンの心が現実から乖離し始めているからだろう。

なんでだお? 家から一緒に行けばいいお! と言っていたブーンを無理やり説得した。

151 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:12:43.76 ID:UhM7A+zW0

ξ゚ー゚)ξ「結局、遅刻してきたんだったなぁ」

駅前は多くの人でにぎわっていた。

母親と父親に挟まれ、嬉しそうに歩く女の子。
これからショッピングセンターにでも行くのだろうか。

時計塔の下にある噴水でしきりに時計をチェックしている若い男。
彼女とのデートだろうか。

人ごみの中を駆け抜けていく子供たち。
電車で遠出でもするのだろうか。

どこにいる人にも、明るい未来が想像できる。

ξ゚ー゚)ξ「え?」

名前を呼ばれたような気がして、あたりを見回すツン。

ξ゚ー゚)ξ「・・・・・・気のせいね」

駅を離れた時はすでに日が沈みかけていた。

ξ゚听)ξ(他の人も、こんな状況だったのかなぁ・・・・・・)

結局、灯台に向かっていた。
そこに着いた時には、もう日は沈んで、雲ひとつない空に星と月の光が輝いて見える。

ξ゚听)ξ(もうすぐ、身投げするのかなぁ・・・・・・)

155 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:17:29.07 ID:UhM7A+zW0

海際に座り、星と月の世界に身をゆだねる。

そして、目をつむり、海の音を聞いていた。

「ツーーン!!!!!!」

ブーンの声が聞こえ振り向こう度したとき、衝撃を受けた。


ξ゚听)ξ「えっ?」


体は重力に引かれ、海の方へ傾いていく。

何者かの大きな体と、遠くにいるブーンが視界に入った。


ツンの向かった先に足場はない。



ξ;;)ξ「いやああああああああ」



夜空に悲鳴が響く。

157 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:20:07.41 ID:UhM7A+zW0


(;^ω^)「ツン! っが」

崖に近寄ろうとするブーンは男に蹴り飛ばされた。
けられた腹を押さえながら、唸る。

(;^ω^)「あんただったのかお!」





(,,゚Д゚)



月明かりに照らされた刑事は、恐ろしい顔をしていた。

(,,゚Д゚)「大人を呼び捨ては感心しないな」

(;^ω^)「関係ないお!」


159 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:24:34.15 ID:UhM7A+zW0

(,,゚Д゚)「今の現場を見られてしまったからには、生かすわけにはいかない」


「ブーンッ! ブーーーン!」


海側の崖からツンの声が聞こえてくる。

(,,゚Д゚)「しかし、呪いと俺は関係ないぞ?」

(;^ω^)「いや、アンタだお。今日は少年の死体を片付けにでも来たんだお! 
それで、たまたまいたツンを、死体を見られたと思っていたあんたは、殺そうとした」

(,,゚Д゚)「っち、引っかかったか。・・・・・・なんでわかった?」

ツンは崖の途中にある木の枝に引っかかり、命を繋ぎとめていた。

声が聞こえる、ということはまだ生きている、ということだ。
早く助けなければならない、と思いつつも、ギコを倒して、海岸まで行ける自信はなかった。

(;^ω^)「あんたは、やたら、少年の死体、と使ってたお。どうして、死体だって知ってるんだお?」

(,,゚Д゚)「それだけでh」

その言葉を遮り、続ける。


161 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:27:08.90 ID:UhM7A+zW0

その言葉を遮り、続ける。

(;^ω^)「それに、あんたがここに一人で入っていくのも見られてるんだお」

(,,゚Д゚)「しかし、それでも不十分だな。やはり、ここに来たのは失敗だったか・・・・・・」

(;^ω^)「どけお!」

ブーンは手段を選ぶのをやめ、覚悟を決めた。

(,,゚Д゚)「ふん、子供が大人に敵うわけがない」

(;^ω^)「万が一のために、準備はしてきてるんだお」

背負っていたリュックサックをおろし、中から家庭用の包丁を取り出した。

(,,゚Д゚)「おっと、逮捕しないといけないな」

凶器をもったブーンに対して、圧倒的余裕で答えるギコ。

(#^ω^)「退けって言ってるのがわがッッあ」


162 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:33:11.11 ID:UhM7A+zW0

後ろから殴られ、倒れこむ。
  _
( ゚∀゚)「犯人が一人だとは決まってねーからな」

(;^ω^)「っ!」

後ろから手と足を抑えられ、完全に無力化されるブーン。

崖の向こうからは必死の叫び声が聞こえる。
  _
( ゚∀゚)「こいつどうする?」

(,,゚Д゚)「そうだな、灯台の上から落として、あの女にぶつけるのはどうだ?」

(;^ω^)「離せ! はなんぐもが」

せめて声だけでも出そうとしたブーンだが、すぐに口を押さえられる。
  _
( ゚∀゚)「おっけ、そうしようぜ」

そのまま、抱きかかえられ、螺旋階段を上らされるブーン。
せめてもの抵抗に、口を押さえている手を噛んだ。
  _
(#゚∀゚)「いてぇぇぇ」

抵抗するのを諦めたのだと思い込んでいたジョルジュは、痛みでブーンを離す。
下に降りる道は塞がれているので、上に駆け上がる。

(;^ω^)「ツン!」

164 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:37:10.69 ID:UhM7A+zW0

バルコニーから下を覗くと右下方にツンがぶら下がっている

(,,゚Д゚)「さて、もう、おしまいだな。この辺は潮の流れが割ときつくてな、
骨になっても誰にも見つけてもらえねぇはずだ。何度も試してるからな」
  _
(#゚∀゚)「こいつは俺が落とす。いいか?」

壁際に追い詰められたブーン。
ジョルジュは一歩一歩確実に近づく。




そして




その手が








167 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:42:24.54 ID:UhM7A+zW0

ξ;;)ξ「ブーン! ブーン!」

落ちる寸前に見えたブーンに呼び掛ける。

偶然生えていた木にぶら下がっているが、長くは持ちそうにない。
みしり、みしり、と木も悲鳴を上げている。

ξ;;)ξ「ブーン!!」

いくら叫んでも、返事は来ない。

ξ;;)ξ「っ!」

その感覚は、突然ツンの意識を襲った。
意識が引っ張られるような、何度も経験したそれを感じていた。

ξ;;)ξ「ううっ!!」

少年と犠牲者たちが、ツンを深海へと引きずり込もうとしているのだろう。

ついに、耐えきれなくなったツンは



その手を離してしまう。

170 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:45:46.30 ID:UhM7A+zW0

ツンの意識は闇の中に消え去ろうとしていた。



しかし、それを許さない存在があった。



彼女が海の藻屑となることを防いだのは


いつも彼女の近くにいた存在だった。


ぬくもりを感じ、目を開けるツン。


(;'A`)「くそ、重い。ツン! しっかりしろ! お前も力を入れてくれ!」

(´・ω・`)「ドクオ! 頑張って!」

ξ;;)ξ「ドク・・・オ? ショ・・・ボン?」

見慣れたはずの友人の顔は、涙で見えてはいないだろう。
薄れた意識ではその声の持ち主は、判別できていないだろう。


しかし、彼女は強く、その手を握り返した。

171 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:49:54.34 ID:UhM7A+zW0

  _
(#゚∀゚)「おい、どういうことだ? 他のガキがきやがった。おいギコぉ!!!」

振り向いたジョルジュは、すぐにギコに危険を知らせた。
それは間に合わず、返事は衝撃音となる。

(,,゚Д。)「なんがぁっ!!!」

容赦なく、金属の棒が振り下ろされた。

( ><)「間に合ってよかったんです!」

光にさらされて、やっとブーンは気づいた。

(;^ω^)「ビロード!! どうして?」

( ><)「そんなことは後なんです!」
  _
(#゚∀゚)「くっそ」

今度は、ジョルジュが挟まれる形となる。

地面に倒れたギコは、頭を押さえて動かず、唸り声をあげている。

遠くからはパトカーの音が聞こえてくる。
  _
( ゚∀゚)「警察か・・・・・・」

173 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:53:58.33 ID:UhM7A+zW0

川 ゚ -゚)「ここに来る前に連絡しといた。もう逃げ場はない」

(;^ω^)「クー!」

崖では、ドクオとショボンがツンを引っ張り上げていた。
  _
( ゚∀゚)「・・・・・・っち」

( ^ω^)「なんで、少年を殺したんですかお?」
  _
(#゚∀゚)「ありゃ、事故だ! 俺たちは悪くねえぇ!」

叫ぶジョルジュ。

クーとビロードが武器でジョルジュをけん制しているため、ブーンとジョルジュの立ち位置は入れ替わった。
ギコも、蹴られ、唸りながら海側に移動する。
  _
(#゚∀゚)「もういい・・・・・・死なば諸共だ」

ジョルジュはポケットから、最後の武器を取り出す。
  _
(#゚∀゚)「使うつもりは、なかったが・・・・・・」

それを構える前に、クーが反応し、咄嗟に持っていた鉄パイプを投げた。
数回転し、それはジョルジュの額に直撃した。
  _
(#゚∀゚)「がぁっ!」

その衝撃によろめいたジョルジュはバルコニーの壁にもたれかかる。

176 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 03:59:55.38 ID:UhM7A+zW0
  _
(#゚∀゚)「て、ってめぇら・・・・・・」

ジョルジュの全体重を支えていたその壁は、静かに、崩れ落ちた。
  _
(#゚∀゚)「なぁぁぁ!!!」

ギコの服をとっさに掴んだが、捕まる場所もなく、2人で落ちていった。

(;^ω^)「!」

巨大な音。そして、悲鳴。
男たちは、バルコニーの半分と共に、海に沈んで行った。

下を覗くが、暗くてどうなっているかわからない。

川 ゚ -゚)「降りるか、ここも危ない」

( ><)「そうなんです!」



         「ありがとう」



その場にいた六人の耳には、確かにそう聞こえた。



178 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 04:02:26.83 ID:UhM7A+zW0


△▼△▼△▼△▼修学旅行△▼△▼△▼△▼


旅行先での自由時間、六人は集まった。
デレは他の人たちと自由時間を楽しみに行ってしまったが。

( ^ω^)「それで、どうしてドクオたちはこれたんだお? 確かに、どこに行くかは連絡したお・・・・・・」

川 ゚ -゚)「ああ、ハインから連絡が来てな。それで、他の人間も呼んで来いとのことだった。
それで、5人で向かったんだ」

('A`)「ハインさんがくれたお札を強く握れって言われてな」

(´・ω・`)「それで全部思い出したんだ」

( ><)「あとは、メールを頼りに、灯台に向かったんです」

四人は順番に説明した。
それを聞いたツンは質問をする。

ξ゚听)ξ「なんでブーンだけ早かったの?」

(´・ω・`)「そもそも、なんでブーンは呪いのことを覚えてられたんだ? ハインさんのところにも行ってないんだよね?」

( ^ω^)「・・・・・・愛の力だお!」

180 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 04:05:39.49 ID:UhM7A+zW0
ξ////)ξ「ブーン・・・・・・」

一瞬空気が凍り付くが、ドクオが助け船を出した。

('A`)「そんなわけねぇだろ」

川 ゚ -゚)「そうだぞ、それだと納得できない」



( ^ω^)「・・・・・・秘密だお」





        ( ^ω^)

      最  後  の      川 ゚ -゚)
 ξ゚听)ξ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
                 /七   人   の    ('A`)
         (´・ω・`)    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
                               /よ  う  で  す  ζ(゚ー゚ζ
                       ( ><)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


    ──────The Last Seven Members──────


THE END

183 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 04:09:11.13 ID:UhM7A+zW0
こんなに遅く(早く?)まで支援して下さった方、ありがとうございました。

ミステリーとホラーを組み合わせた作品でしたがお楽しみいただけましたでしょうか?

お楽しみいただけたら幸いです。

いろいろと隠したままにしてありますので、疑問等がありましたら、お答えします。

185 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 04:15:51.79 ID:UhM7A+zW0
いえ、違います。
答えを言うのは簡単ですが、ヒントだけにしておきますね。
ここで出た質問は、文丸さんにまとめに追加をお願いする予定です。

ハインのセリフ(今回投下分)と、ブーンのハイン宅での行動(前回投下分)
に注目すると分かると思います。

189 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 04:27:27.80 ID:UhM7A+zW0
それは説明していないので話しますと、

ツンの母親の時代に流行ったのはただの作り話で、
ブーン達の時代に起きたのは、実話をもとにした噂だった、ということです。
その二つが、たまたま重なってしまっただけなのです。

あなたの噂は、真実になるかもしれない・・・・・・

という閉め方も考えていたので。

191 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 04:42:11.29 ID:UhM7A+zW0
しぃ、もまたハインのような霊術師と接触がありました。
そこで、呪いを防ぐためのお札のようなものをもらっていたので、死にはいたりませんでした。

ただ一応、誰のお札でもいい、というわけではありません。
しぃの生存理由については、少々描写が足りなかったかなぁ、と思います。

192 名前: ◆gMIGdyOjeA 投稿日:2009/06/13(土) 04:51:54.57 ID:UhM7A+zW0
中の人は限界なので、もう寝ます。
たくさんの支援、乙ありがとうございました。

質問をかいてくだされば、後に必ずお答えします。
それでは、失礼します。

ご本人によるネタバレ


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