- 2 名前: ◆/RtqBUGz8o[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 14:26:26.88 ID:gJMVknwJ0
いーち、にーい、さーん…
もーいーかい?
まーだだよ。
もーいーかい?
もーいーよ。
少女が隠れたその木の下に
落ちていたのは一つの人形。
耳がもげて綿飛びだして
綺麗な瞳でこちらを見てた。
ウサギのヌイグルミ。
−ぬいぐるみ、のようです−
- 4 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:28:42.89 ID:gJMVknwJ0
- 針を突き刺し糸を潜らせ耳と頭を縫いつける。
綺麗に洗ってお外で干せば、ほら―――
川*゚ -゚)「可愛いな」
幼い少女はそのぬいぐるみをそっとベットに乗せる。
ぎゅっと抱きしめてにっこり。
川゚ -゚)「お前は何故あんな所に居たんだ?」
川゚ -゚)「耳は痛くなかったか?誰かにいじめられたのか?」
川*^ -^) 「これからは私がずっと守ってやるからな」
無論、返事は無い。
- 7 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:30:17.34 ID:gJMVknwJ0
- その日から少女は色んなところへぬいぐるみを連れ歩くようになった。
外に遊びに行くにも、ご飯でも。終いにはトイレにまで。
大好きなぬいぐるみ。
可愛い可愛いぬいぐるみ。
私が守ってあげるんだ。
ぬいぐるみは弱いから。
大好きだから。
- 9 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:32:08.40 ID:gJMVknwJ0
从'ー'从「クーちゃんはぬいぐるみさんが大好きなんだね」
川゚ -゚)「ああ、大好きだぞ。とっても綺麗で可愛いんだ。」
从^ー^从「そうなの。お母さんにもちょっと見せてくれないかな?」
川゚ -゚)「ん…」
彼女は心配そうな顔をしつつもぬいぐるみを手渡す。
从'ー'从「あれれぇ?ぬいぐるみさん、怪我してるみたい」
川;゚ -゚)「本当か!?早く治してやらないと!」
从'ー'从「焦らなくても大丈夫だよ。それより、クーちゃんお風呂に入ってらっしゃい。
そのあいだに直しておいてあげるから」
川゚ -゚)「わかった。絶対治しておいてくれよ。絶対だぞ」
そういうと少女はお風呂場へ向かう。
母親はじっとぬいぐるみを見つめる。
じっと。
- 12 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:34:55.65 ID:gJMVknwJ0
- あくる日、彼女の前から突然、ぬいぐるみが無くなった。
忽然と姿を消したのだ。
川#゚ -゚)「私のぬいぐるみを何処へやった!」
从'ー'从「どうしたの?」
川#゚ -゚)「私のウサギのぬいぐるみ!あれは私のだ!」
从;'ー'从「クーちゃん、落ち着いて」
川#゚ -゚)「返せ!何処へやったんだ!」
从'ー'从「クーちゃん」
川 ;-;)「私の、私のぬいぐるみ」
川 ;-;)「ずっと守ってやるからって約束したのに」
川 ;-;)「何処へいったんだ。何で居なくなっちゃったんだ」
ぬいぐるみの失踪が起こってから、彼女は布団にこもって泣き続け、
部屋から出てこなくなった。
- 14 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:38:14.49 ID:gJMVknwJ0
- 从'ー'从「クーちゃん、ご飯食べないと体壊しちゃうよ」
川 - )「いらない」
从'ー'从「でも…」
川 - )「いらないったらいらないんだ」
从'ー'从「ずっと泣いてても仕方ないでしょう。
クーちゃんが泣いてばかりだとお母さん悲しいよ」
川 - )「…」
从'ー'从「ね?だから一緒にご飯食べようよ。お母さん、クーちゃんが元気になりますようにって
おまじないかけながら作ったから」
川 - )「…うん」
- 17 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:40:08.69 ID:gJMVknwJ0
それから長い年月が経ち、少女は大人になった。
学校へ行き、友達を作り、時には恋の色に染められて。
- 19 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:43:19.31 ID:gJMVknwJ0
――僕は長い間待ってたんだよ。
気が遠くなるほど長い時間。
ずっとずっと。
君は言ってくれたよね。
僕を守ってくれるって。――
大好きだって。
そう言ってくれたんだ。
無力な僕に。
- 22 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:49:53.16 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「また駄目か…」
彼女は100年に一度と言われる程の大不況に襲われ、就職難に陥っていた。
そんな中で最終学歴が高卒である彼女を雇ってくれる様な所はとても少ない。
受けては落ち、落ちては受けの繰り返し。
果てなく続く深い溝。
バイトで何とか食い繋いでいたが、そのバイト先は潰れる寸前。
一寸先は闇。ニート万歳☆なんて言っている自分の姿が容易に想像できる。
そんなある日、彼女の目に飛び込んだ張り紙。
吹き晒しにされていたのかぼろぼろになっている。
内容は家政婦の募集と言うようなことが書いてあった。
川 ゚ -゚)「これは…」
給料はまあまあ、住む場所も出来る。しかも食事つき。
中々条件が良いのではないか。
川 ゚ -゚)「…雇ってもらえるかどうかは分からんが電話してみるか」
- 24 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:52:05.58 ID:gJMVknwJ0
・・・・プルルル・・・・・
川 ゚ -゚)「…」
「はい。こちら株式会社イムルギウンでございます」
川 ゚ -゚)「(?)あの、家政婦募集のビラを見たのですが、お宅様で間違いございませんでしょうか」
「あぁ。はい。こちらであってます。
この会社の社長宅の家政婦の募集ですので、会社の方の電話番号になっているんですよ。
ご応募の方でしょうか?」
川 ゚ -゚)「はい。ぜひ働かせていただきたいなと思いまして」
「それではお名前とご年齢を…」
話によると、面接と簡単な試験の結果から採用不採用を決めるとのことだった。
- 26 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:55:10.01 ID:gJMVknwJ0
−面接当日−
川 ゚ -゚)「なんだか緊張するな…」
「渡辺様ですね。お待ちしておりました。
こちらへどうぞ」
川 ゚ -゚)「あ、はい」
〜ここから長いので省略〜
一週間後
川 ゚ -゚)「採用されたぜイヤッフゥゥ!」
結果は見事採用。
早速明日から来て欲しいとの事だった。
川 ゚ -゚)「とりあえずお母さんに報告しなきゃな」
その日、帰宅までの足取りはとてもとても軽いものだった。
- 28 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:57:20.18 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「ただいま」
从'ー'从「おかえり〜。どうだった?」
川*゚ -゚)「採用だ!明日から仕事させてもらえるんだ!」
从'ー'从「クーちゃんおめでと〜。それじゃあご飯にしましょうか。今日はちょっと豪華な夕飯にしたの!」
川*゚ -゚)「おぉ!早く食べよう」
- 31 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 14:59:56.89 ID:gJMVknwJ0
- -
从'ー'从「それで、どんな仕事内容なの?」
川゚ -゚)「ん?普通の家政婦だぞ。家事全般だってさ」
从'ー'从「そうなの。ところでクーちゃん料理って出来るの?」
川 ゚ -゚)
从'ー'从「あはは〜。何とかなるなる」
川 ゚ -゚)「なるなる?」
从'ー'从「なるなる」
从'ー'从「ところで雇い主さんはどんな人だったの?」
川゚ -゚)「まだ会ってはいないが、写真を見せてもらったぞ。
しょぼくれた男の人だった。やたら若かったな」
- 34 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:04:02.80 ID:gJMVknwJ0
- 从'ー'从「…もしかして"しょぼん"って名前じゃなかった?」
川 ゚ -゚)「あぁ、確かそんな名前だった」
从'ー'从「…」
川 ゚ -゚)「どうした?」
突然険しい顔をして黙り込む母親。
何かあったのだろうか。
- 38 名前:◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:10:04.34 ID:gJMVknwJ0
「クーちゃん 気を つけて
あの扉を 開けないで 見てはいけない
奈落に落ちるのは 幻想が崩れる時
高い場所の ランプに火が灯り
おかしな奴が 列を成して
まだかまだかと 泣き叫ぶ
もうそこまで 来てるかもしれない
次会う時は 天の門
手を振りながら ごめんなさい」
- 43 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:14:37.96 ID:gJMVknwJ0
- 川;゚ -゚)「いきなりどうしたんだ!?何かあったのか!?」
从'ー'从「ううん。何も無いよ。」
从^ー^从「ご飯冷めちゃうから食べようか」
母は今まで見た中で一番の笑顔でそう言った。
…きぃきぃきぃきい
- 45 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:17:11.02 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「いってきます」
从'ー'从「気をつけてね〜」
翌日、早速仕事場へ向かった。
西洋風の建物だが、やたらと古い。
庭には綺麗な花が植えてある。
川;゚ -゚)「さすがに緊張するな。
こういう時は素数を数えて落ち着くんだ」
(´川;゚ -゚)「にー、さん、ごー、なな…あれ?次なんだっけ」
(´・川;゚ -゚)「頑張れば出来る子なんだ!私出来る子!」
(´・ω川;゚ -゚)「さぁ!いくぞ」
(´・ω・川;゚ -゚)「なぁ、後ろに居るのは誰だ?」
(´・ω・`)「いらっしゃい。待ってたよ」
川 - )
(´・ω・`)「ありゃりゃ。ちょっと驚かせすぎたかな。
しかたないなぁ…」
- 47 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:19:56.48 ID:gJMVknwJ0
(;´・ω・`)「ちょ、意外に重いよこの子…」
川# - )
ガシッポカッ 僕は死んだ。スイーツ(笑)
- 49 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:24:17.06 ID:gJMVknwJ0
川 ゚ -゚)「ん…」
気づけば大きなベッドで寝ていた。
気づけば床にしょぼくれた男が転がっていた。
何故だろう。
とりあえず話を聞かねば。
そう思い、しょぼくれた男を揺する。
川 ゚ -゚)「起きて下さい」
(´-ω-`)「重いよ…痛いよ…」
川 ゚ -゚)「起きろって」
- 50 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:26:43.18 ID:gJMVknwJ0
- ギュウゥゥ
(´゚ω゚`)「イダイイダイイダイ」
川 ゚ -゚)「やっと起きたか」
(´・ω・`)「痛いじゃないか」
川 ゚ -゚)「起きないのが悪い」
(´・ω・`)「僕をおねんねさせたのは君だろ」
川 ゚ -゚)「さぁ?記憶に無いな。気づいたらこのベッドに寝てたんだから」
(´・ω・`)「そのベッド僕のなんだけど… しかもその持ち主の僕が床ってのはどうよそれ」
川 ^ -^)
(´・ω・`)「うわぁ、素敵な笑顔ですね」
- 53 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:30:09.97 ID:gJMVknwJ0
- (´・ω・`)「とりあえず顔を合わせるのは初めてだから簡単に自己紹介でもしようか。
僕の名前はショボン。知ってると思うけどイムルギウンって会社を経営してるよ」
川 ゚ -゚)「私の名前は渡辺クー☆
今を輝くフリーターだったところを変な名前のおっさんに拾われちゃったの。
そのおっさんたら会社の社長さんで、とぉってもお金持ちだったんだぁ!
お屋敷に来たら、いきなり後ろから襲われちゃって気絶させられて…
気づいたらベッドの上でn(´・ω・`)「やめぃ」
(´・ω・`)「いい加減せんかい」
川 ゚ -゚)「いい感じだったのに」
(´・ω・`)「スイーツ(笑)
そろそろお遊びはお終いにしてお仕事の方へ入ってもらおうか」
川 ゚ -゚)「ああ。そうだな」
(´・ω・`)「まずはその言葉遣いを直そうか。さすがにそのままじゃ駄目だよ」
川 ゚ -゚)「そうだn…そうですね」
(´・ω・`)「うんうん。それじゃあ君の部屋へ案内しよう」
川 ゚ -゚)「はい」
- 56 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:34:03.34 ID:gJMVknwJ0
(´・ω・`)「ここが君の部屋だよ。とりあえずこれに着替えてくれるかな。
着替えが終わったらこの屋敷を案内しよう」
渡されたのはワンピースとエプロン、ローファー、タイツと見事なメイドセットだった。
服はあまりゴテゴテしておらず、一般的に認識されるメイド服のイメージとはずいぶん違うように感じる。
丈もかなり長い。
川 ゚ -゚)「これは…メイド服ですね
これが仕事着になるのですか?」
(´・ω・`)「うん、シックで良いでしょ。
装飾は殆ど無いから使いやすいと思うよ。
それとこれ。メイドキャップはちゃんと着けてね」
川 ゚ -゚)「分かりました。それでは着替えてきますね。」
- 58 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:37:39.77 ID:gJMVknwJ0
- -
彼女は5分もしない内に着替えを終えて出て来た。
川 ゚ -゚)「どうでしょうか」
(´・ω・`)「よく似合ってるよ」
川 ゚ -゚)「スカート自体あまりはかないのでちょっと自信がありませんが」
(´・ω・`)「今まで来た子達の中で一番可愛いよ
もっともっと自信を持っていいと思う」
- 60 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:40:29.72 ID:gJMVknwJ0
「だって 君は 昔から スカートが 似合っていたからね」
- 62 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:44:56.83 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「ん?何か仰られましたか」
(´・ω・`)「いや、何も無いよ。
それじゃあ屋敷を案内しがてら業務内容を教えよう」
川 ゚ -゚)「よろしくお願いします」
(´・ω・`)「ああ」
- 65 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:48:03.70 ID:gJMVknwJ0
- 綺麗に掃除された床に映る彼を追いかけながら周りを見渡す。
これだけ広い家を自分一人が掃除することは出来るのだろうか。
そんなことを考えているうちに広い部屋に出た。
(´・ω・`)「まずはリビングね。この部屋は好きに使ってくれて構わない。」
川 ゚ -゚)「はい。ところでショボンさん
この家には私以外に使用人はいらっしゃるのですか?」
(´・ω・`)「使用人の様な者はいるよ。
そうそう、家事全般って言ってたけど掃除は他の者がやってくれるから、
君の仕事は食事の用意と洗濯、接客ね。」
川 ゚ -゚)「それでは仕事の量が少なくありませんか?」
(´・ω・`)「そうでもないさ。それに君もその方が楽だろう?
他にも頼む事はあると思うけど、掃除はしなくて良いから」
川 ゚ -゚)「わかりました」
(´・ω・`)「それじゃあ次の部屋を案内しようか」
- 67 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:51:51.75 ID:gJMVknwJ0
- (´・ω・`)「ここがキッチン。食事の用意はここでしてくれ」
そう言って通された部屋だがどう見ても大きい。
まず冷蔵庫が大きい。彼は一人暮らしのはずだが、どう見ても業務用の冷蔵庫だ。
コンロもやたらでかいし、大きなオーブンも備わっている。
何よりも面食らったのが貯蔵庫がまた別にあることだった。
どれだけ大食いなのかと少し笑った。
川 ゚ -゚)「大きいですね。もしかして使用人の方の食事も作るのですか?」
(´・ω・`)「いや、食事は僕と君の分だけだ
他の使用人はまた別に用意するから」
川 ゚ -゚)「二人分で良いのですか?それにしては大きな冷蔵庫ですね」
(´・ω・`)「前は沢山居たからね。貯蔵庫はもう使って無いし、冷蔵庫はこっちの小さい方があるから」
ほら、といってキッチンの隅を指差す。
成る程、これだったら十分二人分の食材入れとして使える。
(´・ω・`)「それと、貯蔵庫には入らないでほしい。長い間開けてなかっから何があるか分からないんだ。」
川 ゚ -゚)「分かりました」
- 69 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:55:46.30 ID:gJMVknwJ0
- その後も、いくつかの部屋を案内してもらった。
バスルーム、彼の書斎、図書室。
(´・ω・`)「今日はこんなものかな。また何かあれば聞いてね」
川 ゚ -゚)「はい。ありがとうございます」
(´・ω・`)「おっと。そろそろお昼だね。
早速お昼ごはんを作ってもらおうか」
川 ゚ -゚)「はい、何をお作りいたしましょうか。」
(´・ω・`)「そうだな… 君の一番得意な料理をお願いしようか」
川 ゚ -゚)「かしこまりました。」
(´・ω・`)「材料はある程度あるからそこから選んで作ってくれ。
よろしく頼むよ」
川*゚ -゚)「はい、腕によりをかけてお作りします」
- 71 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 15:58:56.78 ID:gJMVknwJ0
- (´・ω・`)「まだかなー、おなかすいたなー」
本を読みながら、彼女が戻るのを待つ。
こういうのも悪くない。
川 ゚ -゚)「お待たせしました」
15分後、僕の目の前に出てきたのは少しこげたホットケーキ。
- 73 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:01:23.76 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「すみません…焦げてしまいました」
(´・ω・`)「いやいや、中々おいしそうだ。早速頂くとしよう」
川 ゚ -゚)「はい」
そう言うと二人一緒に席につく。
(´・ω・`)「いただきます」
川 ゚ -゚)「いただきます」
カチャカチャと食器のぶつかる音。
川 ゚ -゚)「どうでしょうか」
(´・ω・`)「おいしいよ。とっても」
川 ゚ -゚)「ありがとうございます。少々焦げたのでどうかと思ったのですが…」
(´・ω・`)「全然。僕にはこれで十分さ。」
川*゚ -゚)「光栄です」
- 75 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:04:13.81 ID:gJMVknwJ0
- (´・ω・`)「ごちそうさま」
川 ゚ -゚)「おそまつさまでした」
(´・ω・`)「食器の方は他の使用人が片付けるからそのまま置いておいて。
食べ終わったら夕飯まで好きに過すと良いよ。
僕は書斎の方に居るから、何かあったら呼んでくれ」
川 ゚ -゚)「わかりました」
- 76 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:07:07.67 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「らんらんるーるるりららー」
食事を終えた後、私は屋敷内を散策してみることにした。
まだ案内してもらって無い部屋も多いし、もしかすると他の使用人に会えるかもしれない。
チャリ
川 ゚ -゚)「ん?」
足元を見ると鍵が落ちていた。
リングで繋がった二つの鍵。不思議なことに、二つの鍵は全く一緒のもの。
川 ゚ -゚)「何の鍵だろう」
ちょっとした好奇心。
私はその鍵をあちらこちらの鍵がかかっている部屋に差し込んでは回して歩く。
だが、どの扉も開く気配は無い。
とうとう最後の一部屋になった。
川 ゚ -゚)「…」
鍵穴に鍵を差し込み、回してみる。
- 80 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:12:18.76 ID:gJMVknwJ0
- 最後の一つもはずれ。
見事に期待を裏切ってくれた。
川 ゚ -゚)「まぁ開いたら開いたで少し怖いが。
少しだけ夕飯まで時間があるな。一旦部屋に戻るとするか」
エプロンのポケットに鍵を放り込む。
川 ゚ -゚)「それにしても広い家だな…」
ぼそぼそとつぶやきながらその場を後にした。
- 82 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:15:51.58 ID:gJMVknwJ0
- 部屋に着くと、真っ先にベットに飛び込んだ。
川*゚ -゚)「うむぅー、やっぱりベットは良いな
まずはこれを味わっておかねば」
川*゚ -゚)「んふふ…ふかふかだー」
ベッドの上で転がりまわっている内に、だんだんと眠たくなってきた。
川*゚ -゚)「ん…なんだか眠いぞ…」
川*- -)「今寝ちゃ…だめ…だ」
川 - -)zzZ
- 84 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:19:38.05 ID:gJMVknwJ0
- (´・ω・`)「もうそろそろご飯の時間なんだが、何時までたっても彼女はこない、か」
何をしてるんだと呟きつつ彼女の部屋へ向かう。
(´・ω・`)「クーさん、入るよ」
軽くノックをして扉を開ける。
川 - -)zzZ
(´・ω・`)「あらら。これは困った」
これではご飯が食べられないなぁと考えながらも
つい彼女の寝顔に見入ってしまう。
自然と顔がほころぶ。
(´・ω・`)「仕方ないなぁ」
今日は出前をとるか。
やっと手に入れられたんだから。
少しぐらい、どうってこと無い。
- 86 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:23:03.67 ID:gJMVknwJ0
ずっと待ち望んでいた。
君の手料理を君と一緒に食べることを。
君の作ったものなら何でもおいしい。
君の作ったものなら焦げていても例え嫌いな料理でも。
何でもおいしい。
君の寝顔を見るのは久しぶりだけど
ずっと前から変わらないんだね。
君は何も変わっていなかった。
とても純粋な瞳。
きれいな 綺麗な 僕の お人形
君は きみこそは
もう ぼくから はなれないで
ずっと いっしょに いてくれる よね ?
- 88 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:26:53.70 ID:gJMVknwJ0
きいきいきい
きいきいきい
- 91 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:30:18.05 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「おはようございます」
(´・ω・`)「ようやく起きたんだね。もう朝だけど」
川 ゚ -゚)「申し訳ありません。あまりにもベッドが気持ちよかったもので」
(´・ω・`)「まあそこまで気にすることは無いよ。
気にしてる暇があったら朝ごはんをお願いしたいね」
川 ゚ -゚)「かしこまりました。何をお作りしましょう」
(´・ω・`)「トーストとコーヒーで」
川 ゚ -゚)「はい。少々お待ち下さい」
今度こそは焦がさないでね、と言う彼の言葉を背にしながらキッチンへと向かう。
- 93 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:33:45.54 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「困ったな…」
このキッチンにはトースターが無かった。
これではパンが焼けない。
川 ゚ -゚)「仕方ないな、オーブンで焼くか。
適当に火を入れれば何とかなるだろう。」
オーブンの扉を開ける。
川 ゚ -゚)「ん?」
中からでてきたのは焼け焦げた肉だった。
川 ゚ -゚)「これは…」
捨てていいのだろうか。それともこれが彼の言う使用人さんのご飯なのだろうか。
どうしていいのか分からなかったのでとりあえずショボンに聞くことにした。
- 95 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:37:21.63 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「すみません」
(´・ω・`)「ん?どうかしたかい?」
川 ゚ -゚)「トースターが無かったのでオーブンを使おうとしたんですが、
オーブンの中にお肉が入っていたので…」
(´・ω・`)「! これはすまない。他の者に片つけつる様に言っておいたんだが
どうも忘れられていたようだね。しかたない、ちょっと待っていてくれ」
川 ゚ -゚)「片付けなら私がやりますよ?」
(´・ω・`)「いやいや、君はここで待っていてくれ」
そういうと彼は早足に部屋を出て行ってしまう。
何故私にやらせなかったのだろうか。疑問が残る。
- 98 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:41:36.49 ID:gJMVknwJ0
危ない危ない。
彼女に気づかれなくて良かった。
あいつらは何をやっているんだ。
ちゃんと言っておいたはずなのに。
後でぶち殺してやる。
- 100 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:45:43.95 ID:gJMVknwJ0
(´・ω・`)「お待たせ」
川 ゚ -゚)「あ!ご飯は私が作りますと言ったのに…」
(´・ω・`)「はは、いいじゃないか。さあどうぞ」
川 ゚ -゚)「…頂きます」
彼女はふくれっつらでトーストをかじる。
そんなに怒らなくても良いじゃないか。
可愛い顔が台無しだ。
まぁこれもこれで可愛いけどね。
- 103 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:50:00.02 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「ご馳走様でした。今日は何をすればよろしいですか?」
(´・ω・`)「はい。それじゃあ洗濯物だけお願いするよ。
もう洗ってあると思うから外の物干しに干しておいて」
川 ゚ -゚)「分かりました。他にはありますか?」
(´・ω・`)「んーとね、今日はお客様が一人いらっしゃるから、いらっしゃったら応接間にお通ししてお茶を出してくれる?
ティーカップは食器棚に、ティーパックは左から三番目の上から二番目の引き出しに入ってるから」
川 ゚ -゚)「はい。それでは早速行って来ます」
(´・ω・`)「よろしく頼むよ」
- 105 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:53:18.48 ID:gJMVknwJ0
- 川 ゚ -゚)「うっし」
洗濯物を干し終え、部屋の中へ入る。
暇だと思いながらもまた屋敷の中を散策する。
しばらく経ってからショボンが言ったとおり、来客があったので応接間に通してお茶を出す。
客はショボンと談笑して帰っていった。
時間はちょうどお昼前。
川 ゚ -゚)「…なんだか寂しいな。仕事が少ないのは楽だがいかんせんやった気にならん」
そう思いながらお昼を何にするか聞きにいく。
(´・ω・`)「適当で」
また曖昧な。しかも昨日も似たようなことを言っていたような気がするし。
今日はパスタにするか。
- 107 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:55:30.40 ID:gJMVknwJ0
- 昨日と同じように食事を済ませて部屋へ戻る。
川 ゚ -゚)「やることがないな。夕飯でも考えるか」
ちょっと豪勢にハンバーグとかはどうだろうか。
チキンでもいいな。
でも和食も捨てがたい。
…考えているだけでお腹がいっぱいになりそうだ。
彼は何が好みなんだろうか。
そういえば面接の試験で作った料理、あれは彼が好みのものだと社員が言っていた気がする。
ああ、そうだ。カレーライス。
私も大好きだった。
子供の頃よく作ってもらったなぁ。
拾ってきた人形に食べさせようとしたこともあったっけ。
よし、今日はカレーでも作ろうか。
確かスパイスも結構あったはずだ。
- 108 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:57:22.36 ID:gJMVknwJ0
- ――夜、キッチンにて――
でてくるでてくる。
ターメリック、シナモン、レッドペッパー、クミン、ガラムマサラ、
ヒーングまであるじゃないか。
川 ゚ -゚)「これはすごいな」
ここまで沢山出てくると迷うな。
調合は2、3回しかやったこと無いが何とかなるだろう。
川 ゚ -゚)「無難なところから行くかな」
炒めて煮て焼いて煮込んで。
くつくつ、くつくつ。
川*゚ -゚)「今日は上手くいったみたいだ。中々美味しそうなものができたぞ。」
彼は喜んでくれるだろうか。
wktkしながらダイニングへとカレーを運ぶ。
- 111 名前:◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 16:59:45.74 ID:gJMVknwJ0
- 川*゚ -゚)「ショボンさん、ご飯が出来ましたよ」
(´・ω・`)「おや、もうそんな時間かい。」
そう言ってテーブルへと向かう。
(*´・ω・`)「カレーじゃないか!」
川*゚ -゚)「えぇ、カレーがお好きだと聞いたのでちょっと頑張ってみました」
(*´・ω・`)「早速頂こう。冷めないうちにね」
川*゚ -゚)「はい」
「頂きます」
(*´・ω・`)「とっても美味しいよ。こんな美味しいものは久しぶりに食べた」
川*゚ -゚)「有難う御座います。私もカレーは久しぶりだったのでどうなるかと心配していましたが
喜んでいただけたようで何よりです」
ああ美味しい。ここのところまともな料理を口にしていなかったからかな。
とても美味しい。
- 113 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:01:00.65 ID:gJMVknwJ0
- *´・ω・`)もっきゅもっきゅ
まるで子供のようにカレーを口いっぱいにほおばる彼を見ると
こっちまで嬉しくなってくる。
(*´・ω・`)「おかわり、くれるかな」
川*゚ -゚)「まだたっぷりありますからいっぱい食べてください」
(*´・ω・`)「ごちそうさま。ふぅ、至福のひと時だったよ」
川 ゚ -゚)「光栄です。これでよければいつでもお作りしますよ」
(*´・ω・`)「本当かい!?それじゃあ明日の晩御飯もカレーでお願いしようかな」
川 ゚ -゚)「明日もですか?」
変わった人だ。よほど好きなのだろう。
こんなに喜んでくれると作ったかいがあると言うものだ。
- 115 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:04:52.50 ID:gJMVknwJ0
川 ゚ -゚)「ふふ、流石に毎日カレーだと飽きるでしょう」
(*´・ω・`)「いやいや、毎日でも食べれるよ」
そこまでベタ褒めされると照れるじゃないか。
まったく。
しばし談笑を楽しんだ後、私は自室へ向かった。
まだ働き出して2日目だというのに、もう何年も前から居るような感覚に落ちる。
それもこれも彼のおかげだろう。
いい人に出会えたな。
さあ、風呂にでも入って寝るか。
明日は早く起きないとな。
おやすみなさい。
きいきぃきぃ
- 117 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:07:04.35 ID:gJMVknwJ0
- それから何日か経って仕事にも慣れてきたという時。
すべてが壊れた。
ある日、大量の荷物が届いた。
ショボン宛に大量の野菜とスパイス。
川 ゚ -゚)「ううむ、どうしようか」
このまま玄関においておく訳にもいかない。
とりあえずキッチンへ移動させることにした。
それにしても結構あるな…
一人で運びきれるだろうか。
- 120 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:12:51.89 ID:gJMVknwJ0
川 ゚ -゚)「ふぅ」
何とかキッチンへと移動を終えたが、問題はスパイスをどうするかだ。
スパイスは常温の場所に置いておくと劣化してしまう。
送られてきたスパイスはどれも高価なもの。
みすみす劣化させる訳には行かない。
どうしようか悩んでいた時、ふと貯蔵庫の存在を思い出した。
川 ゚ -゚)「鍵がかかっているな…」
鍵。鍵さえあれば。
川 ゚ -゚)「…この前拾った鍵、試してなかったな」
エプロンをまさぐって、鍵を探す。
あった。
迷うことなく鍵穴へと差し込んで回す。
カチリ
鍵の外れた音が聞こえた。
- 126 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:20:13.02 ID:gJMVknwJ0
- -
ドアを開け、中へと入っていく。
川 ゚ -゚)「暗いな…」
目を凝らして辺りを見回すと、ランプの様なものがおいてあるのが見えた。
スイッチを入れると明かりが灯る。
赤茶けた土の床。
ランプを片手に奥へ奥へと入っていくと、また別の扉。
押してみると、ギィ、と言う音と共にドアが開く。
ドアの向こうには階段があった。
キィキィ
- 130 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:24:45.33 ID:gJMVknwJ0
- カツン、カツンカツン
階段をゆっくりと下りてゆく。
カツン カツン
きぃきぃ
キィキィ
何の音だろう。
下りれば下りるほど音は近づく。
カツン、トン。
最後の一段を下り、前を見ると一段と大きく頑丈そうな扉が出てきた。
きぃきぃきぃきぃ
きぃきぃきぃきぃ
川 ゚ -゚)「…」
ゴクリ、と唾を飲み込み一気に扉を押す。
頭の中で響いているのは彼の言葉。
決して入らないで。
その言葉。
- 134 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:27:23.75 ID:gJMVknwJ0
- きぃきいきぃきいきぃキィキィきぃきぃきちきちキィきぃきいきぃきいきぃキィキィ奇異キチキィ
きぃきいきぃきい奇異気いきいいきいきいきいぃきいきぃ忌諱キィ期いき地ぢきぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあきちきちきちきちキゃあぎちきぁ
あああああああああきゃきちききいきいきぃきぃきいきぃきいきぃきぃきぃきぃきぃきぃきぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきい
きぃきぃきいきぃきいきぃ
きぃきいき奇異ぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃきぃ
きいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃ
きぃきいきぃきい奇異きぃきぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃ
きぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃき奇異ぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃきぃきいきぃきいきぃ
きぃきぃきぃきぃきぃ
きぃきいきぃきいきぃ
きぃきいきぃきいきぃ
きぃきいきぃきいきぃ
きぃきいきぃきいきぃ
きぃきいきぃきいきぃ
きぃきいきぃきいきぃ
きぃきいきぃきいきぃ
奇異奇異奇異奇異奇異
- 136 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:30:51.75 ID:gJMVknwJ0
- 川 - )「わぁぁぁあああああああぁぁ」
そこに居たのは大量のぬいぐるみ。
ウサギ、クマ、イヌ、ネコ
実に様々なぬいぐるみが蠢き犇めきあっている。
耳の千切れた物、腹から綿が飛び出しているもの
その姿はとても奇異
- 138 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:35:03.98 ID:gJMVknwJ0
- 皆口元を赤く染めてにっこり
中に見える
あの赤黒い塊は
何?
こちらを向いてにっこり笑っているあの首は
「あぁ…アア…あぁぁああぁああぁあぁああぁっぁあぁああぁ」
- 140 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:39:49.93 ID:gJMVknwJ0
- 愛しい
最愛の
母だった
- 142 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:43:09.10 ID:gJMVknwJ0
- ぬいぐるみが一斉にこちらを向く。
まだかまだか
次のゴハンはマダカ
君か君か
君がゴハンカ
奇異きぃきいきいきい
腰が抜けて立てない。
何故母がここに
何故、何故
恐怖
憎悪
真っ黒な感情
全てが私を支配した
- 145 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:45:03.01 ID:gJMVknwJ0
- (´・ω・`)「クー、そこに居るのか」
ああ誰かが呼んでいる。
(´・ω・`)「見つかっちゃったか」
彼が来たのか。ぬいぐるみは蠢き続ける。
(´・ω・`)「お前達、やめなさい」
その言葉が彼の口から発せられるとピタリとぬいぐるみの動きが止まった。
(´・ω・`)「大丈夫かい?」
大丈夫なわけ無いだろうと言おうと口を動かすが、声はでない。
(´・ω・`)「とりあえず上に上がろうか」
そういうと彼は私を抱きかかえて階段を上がり始めた。
- 148 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:48:40.57 ID:gJMVknwJ0
光が見える。ああ、助かったんだ。
川 - )「おええぇぇえぇ」
ビチャ、ビチャビチャ。
背中をさする彼は今どんな顔をしているのだろう。
何故。
何事もなく過ごしていたのに。
何故母が。
彼の考えていることが全く分からない。
私はただ、彼の為を思って。
彼の喜ぶ顔を見たくて。
あの扉を開けたのに。
何故母が居たんだ。
訳が分からない。
- 150 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:51:08.80 ID:gJMVknwJ0
(´・ω・`)「落ち着いたかい?」
川 - )「あぁ。何でもいいから説明してくれ」
(´・ω・`)「そんなに睨み付けないでくれ。可愛い顔が台無しだ」
川# - )「こんな時にお世辞なんてよく言えるな!どんな頭をしてるんだ!
私は何でこんな事になっているのか聞いているんだ!」
(´・ω・`)「お世辞なんかじゃないさ。君は美しい。
僕は君を手に入れるためならなんだってするさ。
あの人はそれを邪魔したから壊した。
ただそれだけさ」
川# - )「私を手に入れるだと!?何故だ!第一お前とは会ってまだ一ヶ月も経っていないんだぞ!」
(´・ω・`)「いいや、もっと前から君は僕の事を知っているはずだ。
君は約束してくれた。僕はそれを待っていた。」
川#゚ -゚)「一体何を約束したって言うんだ!私は何も知らない!」
- 152 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:54:21.62 ID:gJMVknwJ0
- (´ ω `)ああ、君もそんな風に言うのか
今度も 今度も また また駄目だった
君こそは 君こそは 僕の事を 忘れないって
ずっとそばに居てくれるって
そう 思ってたのに
何で 何で 僕のことを覚えていないの
何で僕のことを 愛してくれないんだ
どうして
どうして
ああ
愛して 愛して欲しい それだけなのに
皆、皆 離れていく
僕の周りには ぬいぐるみしか居ない
彼女は僕の人形にはならなかった
- 154 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 17:58:53.37 ID:gJMVknwJ0
きいきいきい
きいきいきい
- 156 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 18:00:13.16 ID:gJMVknwJ0
- 目の前に見えたのは
涙を流した
ウサギのぬいぐるみ
ぬいぐるみはしゃべり続ける
- 158 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 18:03:15.15 ID:gJMVknwJ0
- 「ああ
僕の 愛しい お人形
ねえ なんで
ぼくはただ 愛して 傍にいて欲しいだけだったのに
なんで何故
ぼくは 人間じゃ なかったんだ
人間だったら 君は僕を愛してくれた
でもなれないんだ なれない
ぼくはぬいぐるみのまま
ああ
お願い
僕のことを
愛してよ
クー」
- 161 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 18:07:30.08 ID:gJMVknwJ0
- 川 - )「うわぁぁぁあああああ」
私は目の前のぬいぐるみをつかんで
思いっきり引き裂いた
- 162 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 18:08:42.47 ID:gJMVknwJ0
- はぁ、はあ
ぜぇぜぇ
ただひたすら走る
川 - )「ああ ああ」
お母さん
あの光景が脳裏に焼きついて離れない
あの表情が
川 ;-;)「ああ ああ ああ」
ただひたすら走る。
- 164 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 18:11:08.81 ID:gJMVknwJ0
- どれくらい走っただろうか。
今どこにいるかさえ分からない。
川 - )「はあ、はぁ」
目の前に店が見える
-助かった
そう思った次の瞬間
後ろで あいつの 声がした
「ねぇ、わらって くー」
にたぁと笑う奴の顔が目の前に
川 - )「っ」
目の前が真っ暗になった。
- 165 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 18:13:07.34 ID:gJMVknwJ0
- ――
気がついたら病院のベットの上で寝ていた。
どうやら道端で気を失っていたらしい。
助かった。助かったんだ。
('A`)「ビックリしましたよ。泥だらけで倒れてらっしゃったものですから」
川 ゚ -゚)「有難う御座います…」
('A`)「それにしてもどうかされたのですか?」
川 ゚ -゚)「あ、ああぅ」
('A`)「…無理なさらなくても結構ですよ」
川 ;-;)「ああぁ、うう」
大声を上げて泣いた。
体の中の水分が無くなってしまうんじゃないかという位。
声が枯れてしまうんじゃないかという位。
- 167 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 18:14:37.52 ID:gJMVknwJ0
それから後日、警察へ行った。
吐きそうになりながらもすべて話したが、まともに取り合ってくれない。
屋敷に行けば分かるだろう、と場所を目指すも、そこには寂れた廃墟しか存在せず、
幻覚を見たんだろう、と言う言葉で全て片付けられてしまった。
母は居なくなったまま。
ごめんなさい。ごめんなさい。
- 168 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 18:16:00.63 ID:gJMVknwJ0
- いーち、にーい、さーん…
もーいーかい?
まーだだよ。
もーいーかい?
もーいーよ。
少女が隠れたその木の下に
落ちていたのは一つの人形。
耳がもげて綿飛びだして
綺麗な瞳でこちらを見てた。
ウサギのヌイグルミ。
貴方は何で怪我をしているの?
誰かにいじめられたの?
ζ(゚ー゚*ζ「私が守ってあげる!」
- 170 名前: ◆/RtqBUGz8o 投稿日:2009/06/07(日) 18:17:24.60 ID:gJMVknwJ0
罪人は消えない
終わらない謎
人は皆気付かずに
罪を犯す
それもまた罪
ああ ああ
貴方は
気付いていますか?
きいきぃきい
fin
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