( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )

317 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/20(月) 04:02:31 ID:Q7ucvMh6O
片思いを成就させるようです

  .,.
 (i,)
  |_|


318 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/20(月) 04:03:40 ID:Q7ucvMh6O
……いつまでたっても、僕の記憶は色褪せない




ある昼下がりの、寂れた喫茶店の二階
僕はそこで人を待っていた
けれども、約束の時間になっても彼女は来なかった

( ^ω^)】「…電話にも出ないお」

携帯電話をしまい、ため息を一つ
彼女の機嫌を損ねるようなことをしてしまっただろうか?
いや、そんなことはないはずだ
約束をしようと電話をかけてきたのはツンの方からであった
それに、僕と会うのを楽しみにしている、と言ったのだから
…僕は、今日ツンに告白をしようと思っていた
ツンはとても乱暴な女の子だ
だけど長い時間を共に過ごしてきた僕はいつしか彼女に好意を抱いていた
フラれてもいい、思いさえ伝えられれば…
そう考えていた

320 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/20(月) 04:04:42 ID:Q7ucvMh6O
( ´ω`)「お腹へったお…」

待ち合わせから五時間が経つ
最初に来た時にコーヒーを一杯頼んでからは何も飲み食いしていなかった
どうして喫茶店というのはこんなにもメニューが高いのだろうか
それに加えて、二階席だからか店主が全く様子を見に来ない
こんな無愛想な喫茶店では流行るほうがおかしい
そんなことを考えていた時だった

「あ、ブーンくんだ」
( ^ω^)「おっ?」

視線を上げると、ツンそっくりの顔が見えた
( ^ω^)「デレ、久しぶりだお!」
「……」
ζ(^ー^*ζ「ええ、そうですよね、お久しぶりです」

デレはツンの双子の妹だ
彼女はツンと違ってお淑やかで優しい女の子だ
それでもあまり会ったことはないから正直印象は薄いけど…

322 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/20(月) 04:05:55 ID:Q7ucvMh6O
ζ(゚ー゚*ζ「なんだか顔色悪いけど大丈夫ですか?」

悪い子では、なかったはずだった

( ^ω^)「平気だお、ちょっとお腹空いてるだけで…」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、サンドイッチ食べますか?」
ζ(^ー^*ζ「さっき家で作ったんです」

( ^ω^)「おお!食べてるお!」

差し出されたランチボックスの中にはハムサンドや白身フライのサンドが入っていた

(*^ω^)「ありがたくいただくお」

ζ(^ー^*ζ「はい、いっぱい食べてください」

どうしてデレはタイミングよく来たのだろう
どうしてデレはタイミングよくサンドイッチを作ってきたのだろう
普段ならすぐわかる違和感だが、空腹によって鈍くなった思考回路ではそこまで及ばなかった…

325 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/20(月) 04:10:20 ID:Q7ucvMh6O
ζ(゚ー゚*ζ「そういえばブーンくんは人魚って知っていますか?」

いつの間にか僕の向かいの席に座ってハムサンドを摘んでいた彼女はそう問い掛けた

( ^ω^)「もちろんだお、女の子と魚が合体した萌えだよね」

ζ(^ー^*ζ「ブーンくんは面白いね」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、人魚の肉を食べたらどうなるかは?」

( ^ω^)「不死身になるんだおー」

ζ(゚ー゚*ζ「詳しいんだね」

( ^ω^)「漫画で読んだことあるお」

ζ(゚ー゚*ζ「ふーん…じゃあ人魚の寿命は?」

(;^ω^)「それはちょっとわかんないお」

ζ(゚ー゚*ζ「人魚はね、300年生きるんだよ」

( ^ω^)「それはすごい長生きだお」

ζ(゚‐゚*ζ「でも人魚は魂がないの」
ζ(゚‐゚*ζ「空っぽだから、死んだら消えてしまう」
ζ(゚‐゚*ζ「天国にも地獄にも行けないって、とても悲しいと思わない?」

( ^ω^)「初めて知ったお、デレは物知りだお」

ζ(^ー^*ζ「ありがと、嬉しいな」
ζ(゚ー゚*ζ「ああそれでね、人魚が魂を得るには好きな人と両思いになるしかないんだって」

( ^ω^)「ほうほう、なるほどだお」

ζ( ー *ζ「ねぇ、サンドイッチおいしい?」

326 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/20(月) 04:12:09 ID:Q7ucvMh6O
( ^ω^)「? おいしいけど食べたことない味がするお…」

ζ(゚ー゚*ζ「うん、なかなか人魚の肉なんて手に入らないからね」

( ^ω^)「え…?」

ζ(^ー^*ζ「おいしい、だってさ」
ζ( ー *ζ「食べてもらえてよかったね、お姉ちゃん」


( ゜ω゜)

ぽとり、と僕の手からサンドイッチが落ちる
じゃあ、今まで食べていたのは…

(;゜ω゜)「う゛っ…ぇ、あ…げぇっ…!」

「ブーンくん、お姉ちゃんのこと好きなのに吐いちゃうの?」

(#゜ω゜)「ふ、ふざけるなお!」
(#゜ω゜)「狂ってるお…家族を殺して、こんな…」

ζ(^ー^*ζ「狂ってるのは、ブーンくんのせいだよ」
ζ( ー *ζ「ブーンくんがお姉ちゃんに片思いしてるせいで私はお姉ちゃんを殺さなきゃいけなかったんだから」
ζ(^ー;*ζ「私だってお姉ちゃんのこと、大切だったのに」

泣き笑いを浮かべながら、デレは言った

ζ(^ー^*ζ「…でもいいの」
ζ(^ー^*ζ「ブーンくんが私のことを愛してくれたら、私は初めて人になれるから」
ζ(^ー^*ζ「時間はまだまだたくさんあるよ」


ζ(^∀^*ζ「だって私達、不死身なんだから」

327 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/20(月) 04:13:08 ID:Q7ucvMh6O
  (
   )
  i  フッ
  |_|


ζ(゚ー゚*ζ片思いを成就させるようです( ^ω^)


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