( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )

155 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 04:36:09 ID:EjbC/3R.O


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156 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 04:37:22 ID:EjbC/3R.O
( ^ω^)お金を引き出すようです
8月某日午後10時
バイト上がりの僕は、明日発売するエロゲーの資金を引き出そうとコンビニのATMと格闘していた

(;^ω^)「おかしいお、なんでカード読み込んでくれないんだお」

普段ならすんなり受け入れてくれるはずのそれは、VIP銀行のカードを吐き出しては僕に押し戻され、またカードを吐き出すという流れを繰り返していた
いい加減蹴飛ばしてやろうか、と考えていた時だった

(;・∀・)「ちょっとちょっと、ブーン君」
(;^ω^)「あ、店長…」

「お疲れ様です」と小声で挨拶すると店長は軽く会釈をした

(;・∀・)「だめだようちの機械にそんなことしたら」
(;^ω^)「すみませんだお…」

店長は「こういうのは優しくやらなくちゃ」などと言いながらカードを入れた
が、やっぱりカードは読み込まれずに返ってきたあげく、画面が真っ暗になってしまった

157 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 04:38:20 ID:EjbC/3R.O
(;・∀・)「…あれ、壊れちゃった?」
(;^ω^)「…みたいですお」
(;・∀・)「困ったな…」

何秒か思案した後、店長はバックヤードから「故障中」と書かれた紙とガムテープを持ってきて、ATMの画面にぺったりと貼った

(;・∀・)「…と、まぁこういうわけだから明日の朝、銀行で引き出してほs」
( ^ω^)「それは無理なんだお! 今日じゃなきゃ困るお!

というのも明日は始発の電車に乗って、早く店に並んで先着20名までもらえるおっぱいマウスパッドをなんとしてでもゲットしたいのだ
お金を引き出す暇なんて、ない

( ^ω^)「というわけで店長、他にお金引き出せる所ないのかお?」
( ・∀・)「…あるけど行かないほうが」
( ^ω^)「いいから早く教えるんだお」

僕の熱意に負けたのか、店長は嫌々ながらも場所を教えてくれた
このコンビニから徒歩15分で行けるKスーパーの駐車場
そこにあるATMは11時までやっているそうだ
今から行ってもまだまだ間に合う!

(*^ω^)「店長ありがとうだお!」

そうして僕はスーパーに向かったのだった

158 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 04:39:12 ID:EjbC/3R.O
夜のスーパーの駐車場というのは閑散としているものである
ましてやここは田舎なものだから人通りはまったくなかった
…その、静かな空間の中で皓皓としているATMはなかなか不気味で、寂れた公園で古い電話BOXを見つけてしまったような気分を味わった

しかしそのまま引き返したらエロゲーは永遠に僕のものにはならない

( ^ω^)「さっさと済ませるお」
気合いを入れるように呟いて中に入った

機械の前に立つと無機質な声で「いらっしゃいませ」と言われた
いつも聞き慣れているはずのそれに少し驚きつつも僕は「引き出し」と表示されているパネルをタッチして、カードを入れた

「暗証番号を入力してください」

( ^ω^)「僕の嫁の誕生日は0120、だお!」
少しにやにやしながら僕はパネルをタッチした

「暗証番号が違います」

(;^ω^)「おっ?」
そんなはずはない
僕の好きなキャラクターもとい嫁は1月20日生まれで、それを元に暗証番号を設定したはずなのだ
タッチし間違えたのか?と考えているとあの機械独特の声がこう言った

「正シい アン証番ゴウハ これ で ス」

159 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 04:41:25 ID:EjbC/3R.O
パネルが、反応する

「4」

僕は何もしていないのに、

「2」

一人でに、

「7」

数字が打たれていく

「4」

( ^ω^)「……え?」

しかしその次にはいつも通り、引き出したい金額を入力する画面が映っていた
僕は、金額を入力する
心なしか指が震えていた
入力を終えて確認ボタンを押す
ATMが唸り声をあげる
中から、お札をペラペラと数える音が聞こえる

ふと、自分の背後が気になった
備え付けのミラーを見る

(  ω )「!」

……扉の外に髪の長さが不揃いな女の人がいた
彼女は夏だというのに長袖の黄色いワンピースを身に着けていて、帽子を目深に被っていた
いつ来たのだろうか?
彼女も、コンビニのATMが壊れていたから来たのだろうか?

「現金を お受け取り ください」
唐突に聞こえたその声で僕は我にかえってATMに注視した
それにしても、お札を数えるのにやけに時間がかかった
大した金額ではないし、両替を希望したわけでもないのにと思いながら受取口に手を突っ込んだ

(゛゜ω゜)っ¢

誰かに、手を掴まれた
白い手
小さな手
黄色い袖
細い指
オレンジ色のマニキュア

160 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 04:42:59 ID:EjbC/3R.O
そんな特徴を持った手が、僕の手を掴んでいる
ありえない
こんなことありえない
こんなこと……

「うシろ を みテ」

見たくなかった
でも一度意識してしまうとそれに抗うことはできなかった
じりじりと、僕の目玉はミラーへ向かう

(゛゜ω゜)「はっ、はっ……」

いやだ
見たくない
見たらいけない

…僕は、ミラーを見てしまった

川ч‡°Ш(  ω )

その瞬間、僕は手を引っ張られ、片目が潰れた女に背中を押された



………………

「カードを お受け取り ください」
「カードを お受け取り ください」
「カードを お受け取り ください」
「カードを お受け取り ください」
「カードを お受け取り ください」
「カードを ……」



終わり


  (
   )
  i  フッ
  |_|


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