( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )

174 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 05:58:28 ID:NUNCIp6I0

 (i,)
  |_|

175 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 05:59:34 ID:NUNCIp6I0

     いるようです





 深夜のコンビニは暇だ。
 時々客の対応をするだけで、殆どの時間を休憩室で過ごす。

 何か妙なものが映っていないか、
 監視カメラのモニターに目を光らせる。

 どうせ今日も何もないんだろうな、と思っていたが。
  _
( ゚∀゚)「あ」

 あった。
 映っていた。

( ・∀・)「どうした?」

 先輩のモララーさんが声をかけてくる。

176 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:01:32 ID:NUNCIp6I0
  _
( ゚∀゚)「何か変な人が映ってるんですけど」

( ・∀・)「ほー」

 モララーさんと一緒に、店内の様子が映ったモニターを見る。
 黒ずくめの男が、店の真ん中で立ち尽くしていた。


 何をするでもなく、ただじっと立っている。
 どこか異様な雰囲気を漂わせて。
  _
( ゚∀゚)「何なんですかね、あの人」

( ・∀・)「さーな。まあ見てみようぜ」
  _
( ゚∀゚)「はい」

 モニターを注視し続ける。


 が、五分経っても、十分経っても、男はその場から動かない。
 体が「動いていない」。

 一ミリさえも動いているように見えない。
 どう考えても、誰の目から見ても異常だろう。

177 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:02:35 ID:NUNCIp6I0
  _
( ゚∀゚)「ちょっとおかしくないですか?」

( ・∀・)「ちょっとどころじゃねーよ、かなり怪しい。ジョルジュ、見て来い」
  _
( ゚∀゚)「何で俺なんですか」

( ・∀・)「いいから見て来い」
  _
( ゚∀゚)「分かりましたよっと」


 仕方なく休憩室を出る。

 ……何でモララーさんは行こうとしないんだ。

 そうか、怖いからか。
 確かこの前にあった7月の肝試しにも、モララーさんは来なかった。

 偉そうなこと言って、結局は怖いだけじゃないのか。


  _
( ゚∀゚)「……あれ」

178 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:03:47 ID:NUNCIp6I0

 店の中央に辿り着いた。
 スナック菓子が大量に並べられているコーナーだ。


 誰も、いない。

  _
( ゚∀゚)(どこにいるんだ?)

 店内を探し回っても、誰一人見当たらない。

 俺が来る瞬間に逃げたのか。


 一旦、休憩室へ戻る。
  _
( ゚∀゚)「モララーさーん、あの男居なかったです」

 軽く報告。
  _
( ゚∀゚)「モララーさん?」

( ・∀・)「……」

179 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:05:33 ID:NUNCIp6I0

 モララーさんはモニターをじっと見つめたまま、動かない。
 金縛りにでもあったのか。
  _
( ゚∀゚)「モララーさん!」

 叫びながら、俺もモニターを
 _
(;゚∀゚)「ぁ……」


 男がいた。
 黒ずくめの男が。

 じっと、微動だにせず、見開いた目で、「こっち」を見つめている。
  _
( ゚∀゚)

 あまりの衝撃に、俺は言葉を失った。
 さっきまでいなかったのに。出ていったと思ったのに。

 人間なのかすら疑わしい。
 この世のものではないとすら感じてしまう。

 悪寒が背筋を、ぞぞ、と這いずってくるような感覚。

180 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:06:29 ID:NUNCIp6I0

(  ∀ )「なあ」
  _
( ゚∀゚)「はい?」

 モララーさんの、絞り出すような声。



(  ∀ )「あれ、なに?」



  _
( ゚∀゚)「……分かりません」

(  ∀ )「俺……帰るわ……」
  _
( ゚∀゚)「……はい」

181 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:07:16 ID:NUNCIp6I0

 モララーさんは虚ろな目をしたまま、裏口から出ていった。

 もう一度モニターを見る。
 男はまだ、こちらを見ていた。

 全く同じ場所で。

  _
( ゚∀゚)「何なんだよ」

 モニターを消す。
 それからは恐怖をかき消すように、朝までレジに立ち続けた。

182 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:08:21 ID:NUNCIp6I0

 * * *


 次の日、モララーさんは来なかった。
 体調不良だという。

  _
( ゚∀゚)「……」

 深夜のコンビニ。
 休憩室。

 何気なく監視カメラのモニターを付けると、またあの男がいた。



 今度は、最初からこっちを見つめている。
 じっと、じっと。

 何時間経っても、目を離してくれない。

183 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:09:24 ID:NUNCIp6I0

 それが、一週間続いた時。

 ノイローゼになりそうで、俺はバイトを辞めた。
 





  _
( ゚∀゚)「はー」

 帰り道。

 やっとあの悪夢から解放されると思うと、足取りも軽やかになってきた。
 空も青く清々しく、遠くには入道雲も見える。

184 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:10:41 ID:NUNCIp6I0

 別の仕事を探さないといけないな。

 家に帰ってメールを調べると、応募したサイトからメールが一件きていた。


  _
( ゚∀゚)「……」

 監視カメラの、アルバイト。

 俺は静かにそのメールを削除した。
 パソコンの電源も落とす。





 真っ暗なディスプレイには、二つの顔が映っていた。

185 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 06:13:17 ID:NUNCIp6I0
  (
   )
  i  フッ
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