( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )

221 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:03:54 ID:0k3QzLHQO

  .,、
 (i,)
  |_|


ξ゚听)ξおばあちゃんの人形のようです

223 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:05:03 ID:0k3QzLHQO


大好きな大好きなおばあちゃんは私の三歳の誕生日に
それはそれは可愛らしい人形をプレゼントしてくれました

大好きな大好きなおばあちゃんと同じ名前をつけたその人形は
大好きな大好きなおばあちゃんの手作りでした

豪華な服が破れては繕い
美しい髪が乱れては直し

滑らかな肌が汚れては洗い
輝く瞳が曇れば磨き


私は
常に彼女と共にありました

.

224 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:06:31 ID:0k3QzLHQO


あれはまだ私が小学校の三年生くらいの頃の出来事でしょうか。
とても親しい二人の友人がいました。
彼女らを家に呼び、私の部屋で遊んでいた時のことです。

(*゚ー゚)「ツンちゃん、まだ人形なんかで遊んでいるの?」

友人の一人が、私の寝床の脇に置かれた祖母の人形を指して言いました。
私は当然、その言葉を否定しました。
当時の私は、いい年をして人形と一緒でないと快適な眠りに就けない自分が嫌いだったのです。

川 ゚ -゚)「私は小学校に上がる時に人形は全部妹にあげたよ」

(*゚ー゚)「私も」

彼女らの視線が、突き刺さりました。
自分たちより幼い趣味の私を、排除したいというような眼差しでした。

225 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:07:34 ID:0k3QzLHQO

ですから私は、彼女らの目の前で言ってやったのです。
「私だって、こんな汚い人形いらない。明日のゴミに出してやるわ」と。

子供とはくだらないものです。
私は、見栄のために祖母の優しさを裏切ったのです。

私の言葉を信じた友人らは再び、すぐに私を仲間と認めました。
その日は夕方に彼女らと別れました。


その日の夜、家族が寝ている間に、私はそっとベッドから抜け出しました。
件の人形を、ゴミ袋に紛れ込ませるためです。
この時、祖母はすでに亡くなっていましたから、
形見を捨てたなんてことが母に知れたら大変なことになるのは分かっていました。

その夜はあまり眠れませんでした。
大好きだった祖母の夢を見ては、何度も目を覚ましました。

226 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:08:48 ID:0k3QzLHQO

翌朝、目覚めた私は驚愕しました。
私の枕元、普段人形を置いていた場所に、その人形はあったのです。

もしや気付いた母が戻したのでは、そう思った私は「人形に触った?」と訊ねました。

ノパ听)「人形って、おばあちゃんがくれたやつか?
     昨日の昼前に布団を取り込んだ時にちょっと触ったかもな」

母が触ったというのは、私が人形を捨てる前です。
ですから母の言葉を信じるのなら、人形は勝手に動いたというのです。

しかし内心、私は安心もしていました。
大好きな祖母の形見を捨てることに抵抗があったのは事実ですし、
私はまだ人形のことが大好きでした。

そしてそれ以降、私は人形に今まで以上に世話をやくことになったのです。
友人らが来た時だけは人形をクローゼットに隠しましたが、
それ以外は常に私の視界に入る場所に置き続けました。
人形の優しい瞳は祖母を思い出し、とても安心出来ました。

.

228 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:09:48 ID:0k3QzLHQO


ξ*゚听)ξ「大好きよ、デレ」

ζ(゚ー゚*ζ

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229 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:11:06 ID:0k3QzLHQO


事が起きたのは、私が高校生の頃でした。
寒い冬の事です。
私は同じクラスの心ない女子生徒たちにいじめられていました。

彼女らは私の容姿が気に入らないと言っていました。
私に人形をくれた祖母というのは実は外国人で、私はクオーターなのです。
人より白い肌と茶色い髪、薄い瞳の色が、彼女らは大嫌いでした。

从 ゚∀从「体操服破いてやろうぜ!」

o川*゚ー゚)o「証拠残っちゃうからダメだよー。もっと賢くなんなきゃ」

*(‘‘)*「じゃあ腹パンしよ、腹パン」

从 ゚∀从「なら男子も呼ぼーぜ!」

o川*゚ー゚)o「病院行きにならないよう加減しないとね」

リンチは日常茶飯事でした。
幸か不幸か、いじめっ子の中に自分たちのしている事が公になるのを恐れる少女がいたため、
私の苦痛が周囲に悟られることはありませんでした。

しかし、恨みというのは溜まるものです。
毎日のように痣をさすり枕を涙で濡らしました。
その中で、私は唯一の相談相手に心の内を吐露していたのです。

230 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:12:07 ID:0k3QzLHQO


ξ )ξ「痛いよ……もう嫌……」

ζ(゚ー゚*ζ

ξ )ξ「どうして、私が……」

ζ(゚ー゚*ζ

ξ )ξ「あんな奴ら」

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚听)ξ「死ねばいいのに」

『死ね』なんて言葉、冗談でも使う人がいます。
ですが、私の『死ね』は本気でした。

.

231 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:13:21 ID:0k3QzLHQO


翌朝、登校した私を待っていたのは、吉報でした。

o川;゚ー゚)o「ハイン、聞いた!?」

从;゚∀从「……ああ。しっかり聞いたよ。ヘリカルが死んだってな!!」

朝のホームルームのために教室に入ってきた担任教師は、
悲しそうに目を伏せて訃報を伝えたのでした。

教室中を、ざわめきが満たしました。
しかし私は、不思議と落ち着いていました。

彼女は、自宅マンションから飛び降りて死にました。

o川*゚ー゚)o「あの子、何で……」

从 ゚∀从「警察は事故っつってるらしいが、あてにならん」


ξ゚听)ξ

ξ*゚ー゚)ξ

その日、私は久しぶりに平穏な一日を過ごしました。

232 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:14:29 ID:0k3QzLHQO


それから一週間後、またしても私の願いは叶いました。
大嫌いないじめっ子の一人が、近所の川で溺死したのです。
目撃者もなく、彼女がなぜ真冬の、それも前日の雨で増水した川に入ったのかも誰にも分かりません。

从#゚∀从「おい、ツン!」

いじめっ子の中のリーダー格の少女が、私を呼びました。

从#゚∀从「お前……」

血管を浮かせて、彼女は力の限りに私の顔を殴りました。
自分の席に座っていた私は、思わず床に倒れこんでしまいました。

233 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:15:26 ID:0k3QzLHQO

从#゚∀从「お前が! お前がキュートとヘリカルを殺したんだろ!?」

床に伏す私を、彼女は蹴り上げました。
休み時間でしたが、教室が静まり返っていました。

私だって、ただやられるばかりではありませんでした。
「証拠は?」と問えば、彼女はより一層、怒りに我を忘れたようでした。

自分勝手です。
彼女は、あまりにも自分勝手でした。

何も言わなくなった私は、騒ぎを聞き付けた教師たちによって救出されるまで、
いつも以上の暴力にさらされることとなりました。

234 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:16:16 ID:0k3QzLHQO


ξ゚听)ξ「今日はいつもより痛かった」

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚听)ξ「あいつには、最大限の苦痛を……」

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚听)ξ

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚ー゚)ξ「おやすみなさい、デレ」

ζ(゚ー゚*ζ

.

235 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:17:23 ID:0k3QzLHQO


もうすぐ春、そんな季節に、最後の一人が死にました。
彼女は胸から腹にかけてを引き裂かれ、臓物をぶちまけて死にました。

ξ゚听)ξ「……デレ?」

彼女が死んだことが私たちに伝わる前に、すでに学校は大騒ぎでした。
生徒達には戒口令が敷かれ、授業は中止になりました。
ですから私は早い時間に家に帰ったのですが、
父は会社で母はパートだったために、私は家に一人きりでした。

適当な昼食を済ました後、部屋に戻って、私は何気なくデレを見たのです。

ξ゚听)ξ「何……これ……」

愛らしいデレの顔には、赤黒い何かがこびり付いていました。

ξ゚听)ξ「……血?」

ξ゚听)ξ

236 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:18:21 ID:0k3QzLHQO

気が動転した私は、むやみやたらに彼女の顔を拭きました。
しかし、その気持ち悪い血のようなものは余計に広がり、
デレの可愛らしい顔をみるみる醜くしていったのです。

ξ;゚听)ξ「汚い、汚い、汚い、汚い……」

落ちない、落ちない、落ちない、落ちない。

ξ; )ξ「あいつは、死んでも私を苦しめるのね」

汚い汚い汚い。
私のデレを汚すなんて、当然のことながら許せません。

ξ )ξ

私は呪いの言葉を吐きながら、ひたすらデレを綺麗にしました。

.

237 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:19:20 ID:0k3QzLHQO


***



( ^ω^)「また、いつもと同じ話だったお」

彼女に『あの事件』の話を聞いても、いつも同じ。
仕事とはいえ、気が狂いそうだ。

( ^ω^)「お母さんも可哀相に」

仕事から帰った彼女の母親は、夕食の支度をしていないことに不信感を持ち、彼女の部屋に入った。
待っていたのは狂気の世界だった。

娘が恐ろしい形相で、血塗れの人形を拭いていたのだ。

それでも正気を保ち、彼女を止めようとしたというのだから、母の愛には驚くばかりだ。

238 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:20:49 ID:0k3QzLHQO

( ^ω^)「何もわからないお」

彼女の話はオカルトじみている。
何が本当で何が嘘かなんて、本人以外に知りようはない。
それを突き止めるのが僕の仕事だと理解はしているが、
それでも全て放り出してしまいたくなる。

しかし、そんな僕にもこの数ヶ月でひとつだけ、わかったことがある。

( ^ω^)「彼女は、とんでもなく『異常』だお」

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239 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:21:58 ID:0k3QzLHQO


ξ゚ー゚)ξ「もう誰も私に意地悪しない」

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚ー゚)ξ「全部全部、デレのおかげよ」

ζ(゚ー゚*ζ

ξ゚ー゚)ξ「おやすみなさい、デレ」

ζ(゚ー゚*ζ

ζ(^ー^*ζ

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240 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/12(日) 23:23:02 ID:0k3QzLHQO


  (
   )
  i  フッ
  |_|


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