( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )

500 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:41:10 ID:htr3cX5M0
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日本にはお盆というものがある。
先祖の霊を祀る行事だ。

この行事、旧暦の七月十五日であったり、新暦の七月十五日であったりする地域もある。
しかし、全国的には月遅れの八月十五日が中心になっていることが多い。

七夕や迎え日、迎え火、送り火、盆踊り。
釜蓋朔日と呼ばれる地獄の釜が開く日。など、様々な風習や言い伝えが残っている。

先祖の霊を祀る行事とはいえ、地獄の釜が開くのだ。それは、先祖でない霊や、恐ろしい霊までもが現にやってくることを意味する。
昔の人々は、霊の通り道として、また霊が溜まりやすい場としての水場を恐れた。


釜蓋朔日は、お盆は、水場に行ってはいけないよ。
引きずりこまれてしまうから。

503 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:43:25 ID:htr3cX5M0

(,,゚Д゚)「海だぞー!」
  _
( ゚∀゚)「ひゃっほい!」

(*゚ー゚)「もー。二人とも落ち着いてよ」

川 ゚ -゚)「しぃの言う通りだ。まずは水着に着替えて準備運動だ」

彼らの目の前に広がっているのは海。
夏場の娯楽といえば、海水浴と言っても過言ではないだろう。
その証明とばかりに、砂浜には多くの人がいる。

家族連れや友人同士。恋人達。
四人は彼らと同じく、一夏の思い出作りにやってきた。

空は晴れ渡り、青い色をしたキャンパスにはわずかに白い雲が描かれているだけ。
輝く太陽は暑さを作り上げているが、それも海に入ってしまえば気にならないだろう。

はしゃぐ男達と別の部屋に入り、女二人は手早く水着に着替える。

504 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:45:22 ID:htr3cX5M0

(*゚ー゚)「ばーん!」

(,,゚Д゚)「おおおお!」

先に着替え終わっていたギコの前に、しぃが飛び出す。
彼女の水着は上下が分かれていないワンピースタイプのものだ。
薄いピンクの生地に可愛らしいレースがつけられている。
あまり出ていない胸の辺りにつけられているリボンもまた愛らしい。

(,*゚Д゚)「か、可愛いぞ」

(*゚ー゚)「えへへ。ありがとう!」

彼らは、昨年の秋から付き合い始めたカップルだ。
故に、二人で過ごす夏というのは始めてで、この海水浴も楽しみにしていた。

川 ゚ -゚)「ふむ。中々いい雰囲気じゃないか」
  _
( ゚∀゚)「あの堅物ギコが、女に「可愛い」って言うとはな」

カップルを眺めている二人は幼馴染だ。
もはや互いに恋愛感情を抱くことなどないほど近しい位置にいる。

三年ぶりに帰郷してきたギコとしぃを海へ誘ったのは彼らだった。
  _
( ゚∀゚)「それにしても、お前の水着は相変わらずだな」

506 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:47:23 ID:htr3cX5M0

クーの水着は薄紫を基調にしたビキニだ。
しぃの水着のようなフリルなどは存在していない。
シンプルなストライプが一部分にかかっている程度だ。
しかし、そのシンプルさがクーの持つ白い肌と凹凸のしっかりした体をより魅力的に仕立て上げる。

川 ゚ -゚)「お褒めにあずかり光栄だ。
     さあ、準備運動でもしようじゃないか」

黒く長い髪をなびかせ、ビーチサンダルを履いて砂浜へと乗り出す。

(,,゚Д゚)「それにしても人が多いな」

(*゚ー゚)「プールに比べたら広い分泳ぎやすそうだけどね」

ギコとしぃが運動の合間に辺りを見回す。
あちらこちらに立てられているパラソルの下には、荷物や人がいる。
眠っている人は、家族にでも無理矢理連れてこられた人なのだろう。
  _
( ゚∀゚)「あー。盆休みだからなぁ」

507 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:49:23 ID:htr3cX5M0

お盆は仕事に務めている人間に休みが訪れる日でもある。
普段は家族サービスなどできないお父様お母様は、貴重な休みを家族のために使っているのだ。
学生もアルバイト先が盆休みなどを取れば友人と遊ぶこともできる。
ギコとしぃのようにたまの帰郷がてら友人と遊ぶこともある。

(,,゚Д゚)「昔は、盆の時は水場に近づくなって言われたっけ」

幼い頃は父母の言うことを聞き、また恐れていたのだが、歳を取るにつれそんな感情は消え去った。
盆という日は、先祖の墓参りに行く休日へと変わったのだ。

世の人々は盆の時期にだって海水浴に行き、川へ行く。
海の家もそのことがわかっているからこそ、この時期に休業などしない。

川 ゚ -゚)「一つの風習がなくなってしまうのは悲しいことだな」
  _
( ゚∀゚)「じゃあ帰れよ」

川 ゚ -゚)「だが断る」

(*゚ー゚)「ふふ。ほら、そろそろ海に入りましょ」

508 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:51:30 ID:htr3cX5M0

四人は冷たい海に入る。

残念ながら、彼らの行動範囲内にある海は汚かった。
浅瀬にいても足元は見えず、ゴーグルをつけて水中を見ていても、すぐ傍にいる人間さえ認識できない。
極めつけは、流れているゴミの量だ。

砂浜に捨て置かれたゴミは海が拾い上げ、海水の上を漂う。
ナイロン袋であったり、何かの入れ物であったり。
  _
(;゚∀゚)「げっ。足に袋がついた」

(,;゚Д゚)「流石に汚すぎやしないか」

泳いでいた男達の足にはすぐにナイロンが絡みつく。
袋だけでなく、ロープのようなものまで流れているのだ。

川 ゚ -゚)「ほうら海に漂うしいたけだよー」

(*;゚ー゚)「本当になんでこんなものが流れてるのよ……」

流れているゴミには文句がつきない。
しかし、それでも彼らは海を満喫していた。

509 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:53:20 ID:htr3cX5M0

水をかけあい、泳ぎで競争をする。
浮き輪に掴まっている女は引っ張る。または落とす。

人が少ない沖の方でキャッキャッと遊んでいると、浮き輪に掴まって海を漂っていたしぃが首を傾げた。

(,,゚Д゚)「どうした?」

しぃの表情に気がついたギコが問いかける。

(*゚ー゚)「あれ」

しぃが指を差す。
ギコがまずその方向に目を向けた。
続いて、クーとジョルジュが目を向ける。

ぷかぷかと何かが浮いている。
どうせゴミの類だろうと一瞬脳が判断する。
少し眺めていると、それが緑色だと気づく。
ならば海草かと思っていると、一部に黄色が混ざっていることがしっかりと脳に伝わる。

それは植物だ。
それは花だ。
それは菊であり、ヒャクニチソウであり、ケイトウである。

端的にいえば、それは仏花だ。

510 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:55:22 ID:htr3cX5M0

(,,゚Д゚)「……気味が悪いな」

海の波に揺られている仏花から目を離さずに呟く。

灯篭流しを代表として、先祖に対する思いを川に流すということはよくある話だ。
七夕の笹も、昔は川に流していたという。
しかし、それは過去の話であるはずだ。
現在は環境問題やゴミの問題で仏花を海に流す者などそうそういない。

いるとすれば、それは海で愛する誰かを失くした者だろう。

(*;゚ー゚)「この海って、誰か死んだの?」

川 ゚ -゚)「さて。近場ではあるが地元ではないからなぁ」
  _
( ゚∀゚)「ニュースにならないだけで、溺れて死ぬ人間なんていくらでもいるだろうし」

怯えるしぃとは反して、冷静な二人だ。
不気味さは感じているようだが、だから何だという程度の認識なのだろう。

(,,゚Д゚)「まあ、一応砂浜の方に戻ろうぜ」

川 ゚ -゚)「もうか?
     海はいいものだぞ」

(,,゚Д゚)「そうだけど水分補給も必要だしな」

511 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:57:23 ID:htr3cX5M0

ギコの言葉にクーは少し暗い影を落としながらも頷いた。
四人はバシャバシャと音を立てながら砂浜を目指す。
  _
(;゚∀゚)「うおっと」

(*;゚ー゚)「ど、どうしたの?」
  _
( ゚∀゚)「あー。すまん、ちょっとゴミが足に」

奇妙な感覚に思わず声を上げてしまったのだという。
ほっとするしぃを横目に、クーはジョルジュにちょっかいをかける。

川 ゚ -゚)「ビビってるんじゃないのか」
  _
( ゚∀゚)「お? やるのか? お?」

川 ゚ -゚)「こいよビビリ君」
  _
( ゚∀゚)「よし、ちょっと殴る。絶対殴る」

川 ゚ -゚)「こっちまでおいでー」

バタ足でジョルジュに水をかけながら、クーは砂浜の方へと逃げていく。
負けじとジョルジュもクロールで追いかける。
浮き輪持ちのクーは何故か進むのが早く、運動神経の良いジョルジュでも中々追いつけない。

512 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/17(金) 23:59:27 ID:htr3cX5M0

(,,゚Д゚)「まったく。あいつらは……」

(*゚ー゚)「仲良いよねー」

先に砂浜についた二人は、互いを小突きあっている。
遠目からではあるが、その様子は楽しそうだ。

(,,゚Д゚)「オレ達も早く戻るか」

(*゚ー゚)「うん」

浮き輪についている紐を握り、ギコが泳ぎ出す。
引っ張られるだけのしぃは鼻歌を歌いながら青い空を眺める。
海も青ければ最高だったのだが、贅沢は言えない。

(,,゚Д゚)「ん?」

(*゚ー゚)「どうしたの?」

(,,゚Д゚)「いや、何かいたような……」

(*;゚ー゚)「や、やめてよ!」

(,,゚Д゚)「はは。ごめんごめん」

514 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:01:13 ID:NHuJFSSI0

二人は海の上での時間を楽しんでいた。

(,,゚Д゚)「そういや、クーは……」

海を楽しんでいた風のクーは、あっさりと先に砂浜へ行ってしまった。
自分達ばかりが海で楽しんでいると、さぞ怒るだろう。
そんな思いで砂浜に目を向ける。

(*゚ー゚)「あれぇ?」

だが、そこにクーの姿もジョルジュの姿もない。
かぼちゃや大根のように、彼らにとっては判別する必要もない人間がいるばかりだ。

(,,゚Д゚)「遅いから怒ったのか?」

(*゚ー゚)「かもね。早く戻ろう」

(,,゚Д゚)「だな」

見た目に反してクーは恐ろしい。
ピアスを開け、髪を染めているジョルジュの方が優しいくらいだ。

彼女を怒らせてはならない。ギコはしぃの浮き輪を強く引っ張る。

515 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:02:30 ID:NHuJFSSI0

不意に、ギコの目に「本当」に、何かが映った。

(,,゚Д゚)「……ちょっと待っててくれよな」

ギコはゴーグルをつけ、海に潜る。
海の上から、しぃの足元に黒い何かが見えたのだ。
おそらくは海草だろうけれど、怖がりの彼女の足にでもついたら大変だ。

ついでに、何かの正体が海草だというオチを見せれば安心もするだろう。
そんな軽い気持ちだった。

(,,゚Д゚)(あれ……)

潜ってから思い出す。
視界はほとんどが汚れた海の色だ。
すぐ傍にあるはずのしぃの足だって本当に薄っすらと白さがあるように見える程度。

ならば、海の上から、しぃの足元のあたりという深さのところにある黒い何かが、どうして見えたのだ。
ギコの背筋が粟立つ。

何か、見てはいけないものだったのではないか。
例えば、あの仏花に関係のあるような、今日という日が関係するような。

慌てて水面に顔を出す。

(*゚ー゚)「ギコ、くん……?」

516 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:04:23 ID:NHuJFSSI0

不安気なしぃを励ます余裕もない。
青い顔をしたギコは浮き輪を引いた。

(,;゚Д゚)「……?」

砂浜へ戻るために動かさなければならない足が動かない。
何かが絡みつき、動かすことができない。

(*;゚ー゚)「どうしたの?」

不穏な空気を察したしぃが尋ねる。
ギコは浮き輪に掴まりながら海を見た。

薄っすらと黒い何かが見える。
漂うような、細長い何かが集まっているような。

(,,゚Д゚)(ああ、これは)

それは、髪だ。
長い、女の黒髪だ。

517 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:06:24 ID:NHuJFSSI0


認識すると同時に、髪はギコを引きずりこもうとする。

(*;゚ー゚)「ギコ君!」

しぃがギコの手を取る。
だが、このまま彼女の手を握っていれば、間違いなく二人して海の底に沈んでしまう。
潮水に顔をつけながらギコは考えた。

(,,-Д-)(しぃ、愛してしる)

ギコはしぃの手から逃れた。
落ちるのは一人でいい。
死ぬのは、嫌だけれども。一人でいいのだ。

薄く目を開けて足を見る。
黒い髪はうねり、ギコの太ももまでしっかりと絡みついている。
動かすことなどできるはずがない。

最後の抵抗とばかりに、手でその髪を引き千切ろうとするが、何百本も束になっている髪は容易には切れない。
もがいてみるものの、体力と酸素を消費するだけだ。

息が続かない。
ギコは肺の中に残っていた酸素を全て吐き出してしまう。

518 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:08:20 ID:NHuJFSSI0

(,;゚Д゚)(死にたく、ない……)

願いだけで叶うのならば、世界中の人間が生きていられるだろう。
わかってはいても、願うことはやめられない。

黒い髪の中で、二つの目がぎょろりと浮かび上がる。
ぱっちりとした瞳はギコを見つめている。
血走っているわけでも、異様な形をしているわけでもない。
よくよく知っている瞳の形をしているだけだ。

それでも、異形の者のそれは恐ろしい。
ギコは目を閉じる。
もう何も恐ろしいものは見たくない。

黒く長い髪がぞわぞわとギコを侵食する。
太ももから腰へ、腰から胸へ、肩へ、腕へ。
最後は顔だ。顔が黒く埋め尽くされる。
二度と浮かび上がることのない死体になる。

(,, Д )(怖い。怖い。怖い。いやだ。いやだ!)


――それほど嫌か。

519 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:10:50 ID:NHuJFSSI0

声がした。
髪の間から何かが見える。

川 ゚ -゚)

友人だ。
先に砂浜に行ってしまったはずの友人だ。

川 ゚ -゚)(それほど死にたくないのか)

海の中だというのに、彼女の声がはっきりと聞こえる。
黒く長い彼女の髪が海に揺れている。

川 ゚ -゚)(生きていたいのか)

彼女がいるならば、ジョルジュもいるはずだと、漠然と思う。
しかし、ギコの視界ではクーしか見つけることができない。

川 ゚ -゚)(私だって、生きていたかった。死にたくなかった)

クーの冷たい瞳がギコをじっと見ている。

520 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:12:22 ID:NHuJFSSI0

川 ゚ -゚)(何故、私達が死ななければならなかったのか。
     生きたいって願っても叶えてもらえなかったのか)
     海の中でもがいた。
     息ができなくなった。
     体はぶよぶよになった。
     ちょっと魚に食べられた。
     醜い姿だった。
     誰にも見せられなかった。
     親にも、友人にも)

(,, Д )


知らなかったが、脳が答えを叩きだす。
彼女は、友人であったクーは。

死んでいるのだ。


川 ゚ -゚)(だから――)

521 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:14:23 ID:NHuJFSSI0

川 ゚ ー゚)(助けてやろう。
      醜くならないように。
      誰かを悲しませないように)




彼女の笑顔が見えた。
 なぜか、ジョルジュの泣き顔が脳裏によぎった。

522 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:16:29 ID:NHuJFSSI0

(,; Д )「ぶはっ!」

(*;゚ー゚)「ギ、ギコ君!」

(,; Д )「ごほっ。うっ……ごほっ」

空っぽになってしまった肺に空気を入れる。
目からは涙が溢れる。

(*;゚ー゚)「は、早く戻ろう。ほら、掴まって」

しぃはギコに浮き輪を持たせると、自身が紐を引いて砂浜へ泳いだ。
何も見ていない彼女だが、何かが起こったことくらいはわかる。
一刻も早く、この海から出なければならない。
そのことで頭がいっぱいだった。


だからこそ、彼らがいた場所に、あの仏花が浮かび上がってきたことには気づかなかった。

523 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:18:31 ID:NHuJFSSI0

砂浜に戻ったギコは青い顔をしているジョルジュに迎えられた。
そして、クーがが三年前の夏に死んでしまっていたことを教えられた。
お盆でも何でもない時期にあの海水浴場に行き、溺れてしまったのだという。
死体は見るも無残な姿だったらしい。

しかし、毎年夏になるとあの海にクーがいるのだという。
正確には、あの海にジョルジュを誘いにくるのだという。
昔馴染みのジョルジュは、それをずっと受け入れ続けていた。

今回は、クーが危ないと告げ、海に消えていったため、慌てて監視の人を呼びに言っていたのだそうだ。


  _
( ゚∀゚)「お前はいい奴だよな」

(,,゚Д゚)「……ありがとうクー」

(*゚ー゚)「ありがとうね」

二人はクーの家にきていた。
仏壇に手をあわせ、クーの遺影を眺める。
あの時、助けてくれたのは間違いなくクーだ。

524 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:20:19 ID:NHuJFSSI0

海の中にいた何かはどういった霊なのかわからない。
ただ、あの時ジョルジュが言っていたように、知らぬだけで去年も一昨年も海で人が死んでいるらしいということだけはそれとなく知った。
その家族の人が仏花を海に投げ込んだとしても、不思議はない。

(,,゚Д゚)「お前は命の恩人だ」
  _
( ゚∀゚)「もう死んでるけどな」

からりと笑う彼は、クーが死んだときに散々泣きつくしたという。
もう彼女のために流す涙は一滴も残っていないそうだ。

ジョルジュ曰く、クーは海に引きずりこむでもなく、ただ遊びたかったのだという。
砂浜に上がろうと言ったとき、残念そうだったのは、まだ海で遊びたいという未練からだ。
毎年、中々海からあがろうとしないクーに困っているのだそうだ。
おかげで、夏場は真っ黒になってしまっているのが常だ。

525 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:22:20 ID:NHuJFSSI0

(*゚ー゚)「まあ、せっかくのお盆なんだし、残りの日は家族とゆっくりしてあげてね」

(,,゚Д゚)「助けてもらっといて何だが、それが一つの風習だからな」

二人が笑いながら告げる。



――余計なお世話だ。


遺影が少しだけ笑ったような気がした。


┏━━━━━┓
┃  /  \  ┃
┃/     \┃
┃ 川 ゚ ー゚) .┃
┃        .┃
┗━━━━━┛


お盆に海へ行くようです



526 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:23:07 ID:NHuJFSSI0
  (
   )
  i  フッ
  |_|

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