- 559 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:51:27 ID:a5ikS/nY0
(i,)
|_|
_
( ゚∀゚)不可解な着信 のようです
- 560 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:52:16 ID:a5ikS/nY0
- 真夜中、友人からメールが来た。
_
( ゚∀゚)「こんな時間になんだよ……。お、兄者か」
兄者と言うのは俺の遊び仲間の一人だ。
普段からひきこもり気味で、友達と言えば俺くらいしか居ないレベルの上級ぼっちだが
アニメとかの話題を中心に何かと気が合い、長年友達を続けている。
俺の名前以外ほとんど登録されて無い
携帯のアドレス張を見せて笑ってたあいつの顔は記憶に新しい。
日頃から割と頻繁にメールや電話のやりとりはしているのだが、
こんな時間に奴が連絡してくるのは初めてだ。
若干の眠気に襲われながらも、何かあったのかとメール画面を開く。
- 561 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:53:03 ID:a5ikS/nY0
受信トレイ
from: 兄者
sub:無題
―――――――――――――――――
いわいわいわいわいわいわいわいわいわい
わいわいわいわいわいわいわいいらいらいら
いらいらいらいらいらいらいらいらいらいらいら
_
( ゚∀゚)「……はぁ?」
だが、その内容は理解不明なものだった。
間違いか?悪戯か?どっちにしてもなんの真意も掴めない。
もしかしたら、謎かけか何かかもしれない。
しばらくその意味不明な文字列の意図を掴もうと、ぼんやり眺めていると
すぐに通話の方の着信画面へと切り変わった。
発信主は、思ったとおり兄者だ。
- 562 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:53:44 ID:a5ikS/nY0
- _
( ゚∀゚)「兄者?さっきのメールなによ?」
『………』
だが、通話口の向こうから返ってきたのは無言。
_
( ゚∀゚)「おい?……なんかあったのか?」
尚も問いかけるも、平たい機械の向こうからいつもの喧しい軽口は聞こえず。
さっきのメールの意味不明さに加え、いつもの兄者らしくない振る舞いに不安感を覚えた。
携帯をぴったりと当て、耳に神経を集中し様子を伺う。
_
( ゚∀゚)「兄者?」
『…〜……、〜……』
_
( ゚∀゚)「……」
黙って耳を済ませてみると、唯無音なだけでは無いようだ。
時々、微かだが空気が漏れるような、くぐもった音がすぐ傍から聞こえてくる。
- 563 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:54:24 ID:a5ikS/nY0
- _
( ゚∀゚)「……」
無音の時間が経つにつれ、段々心配が疑惑に変わってきた。
やっぱり悪戯か?あいつ、やたらふざけるの好きな傾向があるし。
なんにせよ俺は眠いんだ。今は遅いし、くだらない冗談に付き合う気分でも無い。
もう切ってしまおうか。そう思い始めた時
- 564 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:55:08 ID:a5ikS/nY0
- 『……〜〜ゥ゙、〜〜ゥ゙ゔゥ゙ヴ゙、ヴ゙〜〜』、
空気の漏れる音が除々に大きくなって、唸り声のようなものに変わってきた。
_
(;゚∀゚)「……!?」
『、ン゙〜……〜ゥ゙〜ン゙ゔヴ……ゔゔゔ゙ヴうぅ゙ゔ』
言葉として意味を成さない、謎の重低音。
獣の唸りともとれるその不気味な声に、自身の早まった心臓の音が重なる。
耳の奥で不快に響くそれは、必死で何かを訴えかけているようにも聞こえた。
_
(;゚∀゚)「おい!どうしたんだよ!!」
本気で何かあったのかと、胸騒ぎを通り越して危機感さえ感じてきた。
だが、それと同時に今すぐ携帯電話を放り投げて耳を塞いでしまいたい衝動に駆られる。
- 565 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:56:03 ID:a5ikS/nY0
『ゥ゙ゔゔうゔゔぅ゙ゔぅゔうゔヴヴヴゔゔゥ゙ぅ゙ゥ゙ぅ゙゙』
_
(;゚∀゚)「ひィッ」
ついに耐えられなくなって、俺は通信を切った。同時に携帯の電源も落とす。
_
(;゚∀゚)「な、なんなんだよっ!今の……」
正直もう関わりたくない、忘れて眠ってしまいたかった。
だがやはり、只事では無いという不吉な予感と、奴の安否が気になって落ち着く事が出来ない。
しばらく経ってから携帯の電源を入れてみた。
映し出された画面には、兄者からの着信が3件。
その着信履歴を眺めていると、ますますモヤモヤとした焦燥感が大きくなっていった。
俺は割と普段から能天気だと言われる方だ。
だが生憎、このまま無視して安眠出来るような図太い神経は持ち合わせていない。
仕方なく発信ボタンに指を持っていき、恐る恐るかけ直してみた。
- 566 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:56:51 ID:a5ikS/nY0
- 一回目。
………繋がらない。
虚しく響く呼び出し音は、しばらくして音声ガイドに切り替わった。
二回目。
………何コール経過しても、奴は出ない。
_
(;゚∀゚)「……」
……やはり、俺を怖がらせるのが目的の質の悪い悪戯だったのか?
冗談にしても悪趣味すぎる。
普段から馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが
俺の知ってる兄者はこんな不愉快な悪ふざけをする奴では無かった筈だ。
あいつ、ぼっちを拗らせてとうとうおかしくなったのか?
とにかくこのままだんまりを決め込まれたままでは俺の気が済まない。
文句の一つでも言ってやろうと、これが最後のつもりで三回目の発信ボタンを押す。
- 567 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:57:31 ID:a5ikS/nY0
…………。
…………。
…………。
…………『もしもし』
出た!
通話口の向こうから届いた聞き慣れたその声に、ほっとして一瞬怒りを忘れた。
- 568 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:58:19 ID:a5ikS/nY0
- _
( ゚∀゚)「もしもしじゃねぇよ。
なんなんだよ、冗談にしたって悪趣味すぎるぞ。何か用なのか?」
『………。ああ、悪い。間違えて、かけた』
_
( ゚∀゚)「はぁ?間違い?……あの変なメールもか?」
『ああ。あれも間違いだ。悪かったな。気にしないでくれ』
_
( ゚∀゚)『さっきの唸り声みたいのはなんだったんだよ?すげぇ気持ち悪かったんだけど」
『……、なんでもない。携帯の調子が悪くてな。雑音が……』
_
( ゚∀゚)「そういやなんか声聴こえ辛いな。今何処にいるんだ?電車か?」
『ちょっと、電波が……。とど……くくて』
_
( ゚∀゚)「おい、大丈夫か?
……電車ではないみたいだけど。一体何処にいんだよ」
『………』
_
( ゚∀゚)「兄者?おい、本当になんでもねーのか?」
『………、悪い……もう切……な』
―――ブツッ
- 569 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 00:59:18 ID:a5ikS/nY0
- _
( ゚∀゚)「あ、おい!……ったく……」
通話は一方的に切られた。
なんなんだよあいつ。結局どういうつもりだったんだか。
真意は分からないが、まあとにかく本人の声が聞けたことでさっきよりは落ち着いた。
その声の調子はいつもと変わらず、いや、むしろ普段より物静かに感じるくらいで
先程の不気味な唸り声に感じた切迫感は微塵も無かった。
何かとんでも無い事が起きているような不吉な胸騒ぎがしたが、ただの気のせいだったようだ。
一人、脳内であれこれ不吉な想像を展開させて
奴の安否を本気で心配していた自分が馬鹿らしく感じる。
とにかくもう夜も遅いし、今回の妙な騒動の真相は今度直接聞くことにしよう。
携帯のアラームをセットして、俺は眠りについた。
- 570 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:01:14 ID:a5ikS/nY0
(жゝж)
翌日、目と口を糸で縫付けられた兄者の遺体が山中で見つかった。
どうやら昨夜、帰宅途中に異常な殺人鬼に捕まって殺されたらしい。
ニュースの報道を聞いたところによると
検死の結果、兄者は目と口を縫いつけられた後しばらくは生きていた痕跡があり
最終的にバットか何かで撲殺され、山奥に遺棄されたとの事だ。
それで納得した。
昨夜通話が聴こえにくかったのは、兄者が山の奥深くに居たからだったんだ。
あの時は何でもないような様子だったのに。
まさかあの会話の後、頭のおかしい殺人鬼に出くわして
そんな恐ろしい殺され方をするなんて、当人も思いもしなかっただろう。
兄者は、ちょっと世間から外れてる所もあるけど、馬鹿で良い奴だった。
何より俺の大事な友達の一人だったのに。なんでこんな惨い殺され方しなくちゃいけないんだ。
俺は異常な殺人犯に対する怒りと、友達を失った悲しさでいっぱいになった。
- 571 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:02:15 ID:a5ikS/nY0
- この猟奇的な事件は世間の注目を集め、瞬く間に人々の間を様々な噂が行き渡り
ニュースでもしばらく連日報道されて、普段は穏やかなこの町に静かな戦慄が走った。
テレビやネットでは日々色んな考察や推理が交わされたが、それでも犯人は一向に捕まらず。
さらにはその人物像が全く見えないと言う点で、恐怖はますます増長していくばかりだった。
- 572 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:03:28 ID:a5ikS/nY0
- 事件の後、俺は兄者の友人として焼香くらいはしようと葬儀に出かけた。
そしてそこで、ちょっとした驚きに出くわす事となる。
(´<_` )
一瞬、本気で兄者かと思った。無念さのあまり化けて出たのかと。
だがそんな訳は無い。
きっちりとした喪服に身を包んだその男は、正真正銘生きている人間だ。
その姿を見て、以前に兄者から実家に双子の弟がいるという話を聞いたのを思い出した。
確か名前は弟者とか。
今まで会った事は無かったが、あれがその弟に違いない。見れば見る程兄者とそっくりだ。
双子の兄があんな殺され方をして、しかもその犯人は手掛かりすら掴めず世間を騒がせている。
その胸の内を思えば、ただの友人である俺の立場から何と声をかけていいのか分からなかった。
だが礼儀上挨拶くらいはしようと、おずおずと近寄り、彼に話しかける。
- 575 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:04:25 ID:a5ikS/nY0
- _
( ゚∀゚)「あ、あの。兄者の友人だった者です。
この度は本当に、何て言ったらいいか……」
(´<_` )「……ああ。
わざわざ足を運んでくださってありがとうございます。
兄もきっと喜んでいることでしょう」
やはり悲しみに沈んでいるのか、それとも、これが平素彼の調子なのか。
静かな物腰と、落ち着いた声で丁寧に会釈する。
俺も慌てて頭を下げた。
やっぱり双子だなぁ。声まで兄者とそっくりだ。
- 576 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:05:05 ID:a5ikS/nY0
犯人は未だに捕まっていない。
.
- 577 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:05:47 ID:a5ikS/nY0
(
)
i フッ
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