( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )

589 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:13:25 ID:15gYk5gwO


('A`)はつかれたようですζ(゚ー゚*ζ


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 (i,)
  |_|

591 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:14:53 ID:15gYk5gwO
初めて彼女と会ったのは、俺が小学生の頃だった
夏に、母と実家に帰省した時のことだった
俺が離れ家の近くの庭で遊んでいると綺麗なお姉さんが話し掛けてきたのだ

ζ(゚ー゚*ζ「初めまして、あなたがドクオくんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「私は長い間、鬱田家の世話役を勤めさせていただいているデレといいます」

よろしくね、と笑いながらデレさんは俺の手を取った
俺は人見知りが激しかったから、デレさんの手を振り払ってしまった
けれども彼女は大して傷ついたわけでもなく、

ζ(^ー^*ζ「あらあら、案外恥ずかしがり屋さんなのですね」

なんて笑いながら俺の手を握った
…力が前よりも強くてかなり痛かったことをよく覚えている
デレさんの手はとても冷たくて、なんだか陶器のようにすべすべしていた
人独特の柔らかさや暖かさは、なかった
それが恐ろしくて俺は祖父がやってくるまで大声で泣いてしまった

593 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:16:41 ID:15gYk5gwO
( ´ー`)「デレは、怖い人じゃあないよ」

祖父はそう言ったけれども、俺は信用できなかった
だって、彼女からは、それとなく死の匂いがしたのだから



二度目に会ったのは、俺が大学生だった時
祖父が倒れて入院した際のことだ
彼女は前に会った時とまったく変わらない容姿で、祖父の寝ているベッドの周りでうろうろとしていた

ζ(゚‐゚*ζ「主人様、私になにか用を言いつけてください」

困ったように言うデレさんには、祖父を気遣う様子がなかった
それどころか祖父が死にかけているという認識すら持っていなかったようだった

(#'A`)「いい加減にしろよ!見てわかんねぇのかよ、じいちゃんは今死にかけてるんだよ!お前の相手なんかできねぇよ!」

思わず俺はそう怒鳴ってしまった
もしここが個室でなかったら、周りから白い目で見られていたに違いなかった

ζ(゚‐゚*ζ「……では、主人様はこれからたくさん苦しまねばなりませんね」
(#'A`)「はぁ?」

ζ(;‐;*ζ「ああ、可哀相、可哀相です…」

勝手に決め付けて、悲しんでいるデレさんを、俺は殴ってしまった
鈍い音が響いた
デレさんの表情は変わらなかった
俺はあまりの痛さに右手を抱え込みながらしゃがんでしまった
石か何かを平手打ちしたような感じだった
ますます気味が悪くて、俺は病室を飛び出した


…数日後に祖父は亡くなった
一度意識は取り返したものの、容態が急変してあっさりと逝ってしまったらしい
死に顔はやけにやすらかで、デレさんが言ったような苦しみとやらはなかったようだった

595 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:20:03 ID:15gYk5gwO
……その日を境に、デレさんは俺に付きまとうようになった
「今日から私の主人様はドクオ様になります、どうぞなんなりとお申付けくださいませ」

('A`)「……意味がわからん、どういうことだ」

ζ(゚ー゚*ζ「あなたのお祖父さまが今際に『ドクオを次の主人にしろ』とおっしゃいましたので」

俺は祖父を恨んだ
俺が彼女を苦手としていることは知っていたくせに

( ´ー`)「デレは何を頼んでもすぐに用事を済ませてくれるから有り難いよ」

祖父もそう言っていたし、デレさんは綺麗だからそばにいても困ることはないだろう
でも彼女はどこか人間らしくなくて、何かもっと別なものに思えて仕方がなかった

ζ(゚ー゚*ζ「さぁ主人様、用事をお申付けください」
ζ(^ー^*ζ「お金に困ったのなら金を生み出しましょう」
ζ(^ー^*ζ「食事がしたいならどんな料理人でもかなわないご馳走を作りましょう」
ζ(^ー^*ζ「いわれのない中傷を受けたのなら相手の首を括らせることだってできます」
ζ(^ー^*ζ「ですから私に何か用事を作ってください」
ζ(゚‐゚*ζ「でないと私は、あなた様を呪わなければなりません」

物騒な一言を聞いて、俺は問う

(;'A`)「呪う…!?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ、元々私は人形神と呼ばれる物憑きでございます」
ζ(゚ー゚*ζ「私は欲望を叶えるために作られたものです」
ζ(゚‐゚*ζ「それが満たされないのなら私は壊れてしまうのです」
ζ( ‐ ζ「作り手…もしくはその子孫の魂と共に」

(; A )「っ……!」

つまり、俺が生きるにはデレさんに命令し続けなければいけないのだ
そんなこと、出来るだろうか

(; A )「…そんなの、無理だ」

うめくように言葉が出る

ζ(゚‐゚*ζ「諦めるなら構いませんが…さぞ苦しい思いをするでしょうね」

( A )「…とりあえず、出てけ」

596 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:22:21 ID:15gYk5gwO
ζ(゚‐゚*ζ「…ではお早めに次の用事を考えてください、呼べばすぐに行きますから」

少しだけ悲しそうにデレさんは言って、俺の部屋を出ていった
…人形神
いったい、俺の祖先は何を考えて作ったんだろうか
祖先に対してムカつきながら、俺はうたた寝をしてしまった


…………

………………

……音がする
ねち、ぬちっ
粘りけを持った何かが、したたる音
そういえばどうしてだか、腹が熱い
……熱い?
違う、痛い!

(; A )「…っ、ぁ!」

目を開けようとしたが開かない
それでも痛みは続く、広がる、ひどくなる、もっと、たくさん、たくさん

(; A )「ぁぁあぁ゛あ゛あ゛あ゛あぁ!!」

痛い
引き裂かれる痛みは腹を越えて胸や足、手や目にまで広がった

(; A )「い゛、い゛だぃぃぃあぁあ゛あ゛!!」

指が、じわじわと裂けていく
繊維を一つ一つ、ほぐしていくように
頭が割れそうだ
誰か、誰か助けてくれ

(; A )「で、れ…デレー!!」

やっとの思いで精一杯叫ぶ


ζ(゚ー゚*ζ「はい、来ましたよ」

デレの声が聞こえた瞬間、さっきまで開かなかった目が開いた

(;'A`)「あ、あぁ…デレ…」

ζ(゚ー゚*ζ「その様子だと、とっても苦しい夢を見たのでしょう?」

597 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:25:21 ID:15gYk5gwO
その言葉に俺はうなずいた
ζ(゚‐゚*ζ「あれが私の呪いの、ほんの一部です」

(;'A`)「嘘だろ…」

本当です、なんて言って彼女は俺をじぃっと見つめた

ζ(゚ー゚*ζ「それで、用事はどうしましょう?」

('A`)「…とりあえず飯作ってくれ」

ζ(^ー^*ζ「承知しました」

今度は嬉しそうに、デレは笑って部屋を出た
俺は、これから先、彼女にどんな用事を言いつけて生き延びていこうか頭を悩ませることになった
…祖父並みに長生きする自信がなかった
もしかしたら、早々に死ぬかもしれない
あの夢のように、果てしない拷問を受けながら、じわじわと彼女に嫐り殺されながら

('A`)「……次、何をさせよう」

一人呟きながら、俺は頭を抱えた

599 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2012/08/18(土) 01:28:11 ID:15gYk5gwO
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