( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )

637 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/08/18(土) 02:00:38 ID:b.YyG7kEO


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 (i,)
  |_|



638 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/08/18(土) 02:01:39 ID:b.YyG7kEO


俺は子供の頃、ばあちゃんちが嫌いだった。
べつに、ばあちゃんが嫌いってことはない。むしろ大好きだ。

ただ、天井の木目板の模様が異様に怖かったんだ。




いつもみているようです


640 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/08/18(土) 02:03:02 ID:b.YyG7kEO




夏の夕暮れ時、あの独特の匂い、まどろみにも似た心地の良い感覚。
そんな中、俺は寝転び天井を見ていた。理由なんて特にない。ただ、ぼーっとしながら上を向いていた。

どれほど時間が経っただろうか、俺はひとつの木目板の模様を凝視していた。
なんてことはない、不規則に波打ち、所々黒ずんでいるただの模様だ。


(' ,  ゙}




641 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/08/18(土) 02:03:49 ID:b.YyG7kEO
だけど俺はその模様が


(',   ゙}


徐々に


('. ゙)


人の顔にへと


('.゙)


見えてしまったんだ


(∵)

642 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/08/18(土) 02:04:38 ID:b.YyG7kEO
そのとき俺は得も言われぬ恐怖を体験した。

心臓の鼓動が速くなるのが分かる。瞳孔が開ぎそれ゙から目が離せなかった。
じわり、と、夏の暑さのせいではない別の汗をかいた。その汗が頬を垂れ、畳へと染み込んだ。


(∵)(∵)


気がつけば、顔がまた増えていた。


(∵)(∵)(∴)


またひとつ


(∵)(∵)(∴)(∵)


またひとつ

644 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/08/18(土) 02:05:41 ID:b.YyG7kEO
俺は泣いていた。静かに、瞬きも忘れ、なにもできずに。



そこへ、ばあちゃんが部屋に入ってきた。
俺の泣きっ面を見ると、やさしく抱きしめてくれた。
あれ以上にあたたかいものを俺は知らない。



―――
――

そして今、大人になってあの模様を改めて見る。

(' ,  ゙}


なんてことはない、ただの模様だ。


('A`)「ふっ…」


少しだけ、馬鹿らしくなった。

645 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/08/18(土) 02:06:31 ID:b.YyG7kEO






('A`)「よーし、かえんぞー」

ばあちゃんの三回忌が一段落したので帰ることにした。
ちなみに97歳の大往生だった。ひ孫も見せることができた。


( ・∀・)「……」

('A`)「おいモララー、帰るぞ」

息子に声をかける。しかし何も反応がない。

646 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/08/18(土) 02:07:45 ID:b.YyG7kEO

( ・∀・)「……」


ただじっと天井を見つめている。





またひとつ――




いつもみているよ うです

648 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/08/18(土) 02:09:18 ID:b.YyG7kEO

  (
   )
  i  フッ
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