作品投下スレ

214 名前:【鳥籠のようです】 ◆zfe4VYIPbk 投稿日:2011/10/29(土) 03:09:12 ID:zJ5/H5Ag0
絵に描いたような青い空に白い雲。
庭では木々が青々とした葉を茂らせ、風に枝を揺らしていた。

(*゚−゚)「……」

時計の針がチクタクと動く音を聞きながら、私は窓の外を眺めていた。
嵌め殺しの窓は、私が外に手を伸ばす事を許してくれない。
だからせめて、窓際に置いた椅子に座りながら想像する。
草木や花の匂いが香り、風が吹き、その中を駆け回る自分を。
彼女達と笑いながら駆け回る、シアワセな自分を。

(*゚−゚)「――っ!」

そうしていると、遠く、部屋の外からバタバタという足音が聞こえてきた。
その音は、だんだんこちらに近づいてくる。
静かな屋敷でこんな音を立てるのは、私が知っている中で二人。
しかし彼はこの部屋に来る事は無いから、おそらく彼女の方だろう。
そんな事を考えていると足音は部屋の前で止まり、勢いよくドアが開いた。

(*゚∀゚)「しぃー!」

現れたのは予想通り、私の姉だった。

(*゚ー゚)「姉さん、駄目だよ。
     お屋敷の中は走っちゃいけないって、いつも言われてるでしょう?」

意味は無いだろうと思いながら、とりあえず注意をしておく。

(*゚∀゚)「アヒャ、しぃは固いなぁ。そういうのは破るためにあるもんさ」

215 名前:【鳥籠のようです】 ◆zfe4VYIPbk 投稿日:2011/10/29(土) 03:09:49 ID:zJ5/H5Ag0
分かってはいたが姉さんに反省の色は無く、ケラケラと笑う。
そう、姉さんは本当によく笑う。
楽しい時や嬉しい時。
怒られた後でさえ、すぐに笑って流してしまう。
私とは大違い。
これで双子だというのだから、カミサマは性格が悪い。

(*゚ー゚)「まったくもう、姉さんったら……。それでどうしたの?」

(*゚∀゚)「おおっと、そうだった!
     今からブーちゃん達と庭で遊ぶんだけど、しぃも一緒にどうだい!?」

そう言った彼女の瞳はキラキラと輝いていて。
『未来には楽しい事しかないんだ』と、そう言わんばかりのその瞳を。
私は真っ直ぐに見れず、嘘を吐いた。

(* ー )「……ゴメンね。今日はちょっと、身体の具合が悪いから」

(;*゚∀゚)「おやっ、そうなのかい!? アヒャー、こっちこそ気付かなくてゴメンよ!」

(* ー )「いいの。別に寝てなきゃいけないってほど、悪いわけじゃないから」

(*゚∀゚)「そうかい? でも何かあったら、すぐにお姉ちゃんに言うんだよ!
     しかしそうさねぇ、しぃが具合悪いならどうしようかねぇ」

人数がなぁ、と呟きながら姉さんは一人考え込む。
彼女は他人を疑う事を知らない。
特に妹である私の事は、無条件で信じているのだろう。
聞こえないようにそっと呟く。
……ごめんなさい。

216 名前:【鳥籠のようです】 ◆zfe4VYIPbk 投稿日:2011/10/29(土) 03:11:11 ID:zJ5/H5Ag0
(*゚∀゚)「ん? しぃ、今なんか言った?」

(*゚ー゚)「ううん、何も言ってないよ?
     それより姉さん。人数が足りないなら、ドッくんを誘ってみたら?」

(*゚∀゚)「ドッくんかぁ……、そうだね。そうしよう!
     アイツも部屋に篭ってばっかりだから、ちょうどいいさね! ありがと、しぃ!」

(*゚ー゚)「ううん、どういたしまして」

(*>∀<)b「それじゃあ、行って来るねー!!」

姉さんは親指をグッと立てると、大きく足音を立てながら出ていく。
部屋には私と秒針の音だけが残される。
そして入れ替わりのように響く、重く低いノックの音。

(;*゚−゚)「――――ッ!?」

思わず身体が固まる。
その間にドアはゆっくりと、ゆっくりと開いていく。
現れたのは、この館の主。

( ・∀・)「やぁ、しぃ」

彼――モララー様はそう言うと、後ろ手でドアを閉めて静かに鍵をかけた。
あの人は音も無く私に近づき、身を屈めて目線を合わせてくる。
そうしてブラウスのボタンを一つずつ、一つずつ外し始めた。

(  ∀・)「可愛いなぁ……。しぃは、本当に可愛いなぁ……」

217 名前:【鳥籠のようです】 ◆zfe4VYIPbk 投稿日:2011/10/29(土) 03:12:17 ID:zJ5/H5Ag0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                             ダレカ タスケテ

218 名前:【鳥籠のようです】 ◆zfe4VYIPbk 投稿日:2011/10/29(土) 03:13:02 ID:zJ5/H5Ag0
(* − )「……ぅ、ぁ?」

気付けば、いつの間にか服を着たモララー様が居た。

( ・∀・)「しぃ? 気が付いたのかい? ああ、無理に起き上がろうとしなくていい。
      それよりも、今晩も頼むよ」

(* − )「…………ぁ、い」

ポーッとした頭で頷く。
あの人は私の頭を一撫ですると、部屋を出て行った。

(* - )「……」

ベッドの脇に落ちた服を拾う気にもなれず、そのまま身体を伸ばす。
汗や汚らわしいモノでべとついた身体はとても不快だった。
すぐにでも洗いに行きたいけど、今は気だるさの方が勝っていた。
外からは姉さん達の笑い声が聞こえる。
その声につられて見た窓の先では、小鳥が親鳥の後をよろよろ飛んでいた。

ああ、そうか。

あの小鳥は彼女達だ。
今はまだ上手く飛べなくても、それでも自由に飛ぶ事が出来る。
同じ小鳥でも私は、籠の中から彼女達を見ることしか出来ない。

(* − )「どうして……?」

呟いた言葉は誰の耳に届く事も無く、消えた。

219 名前: ◆zfe4VYIPbk 投稿日:2011/10/29(土) 03:14:14 ID:zJ5/H5Ag0
以上です
酉が変わらない……何故だ……

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