- 252 名前：（ ＾ω＾）ξﾟ⊿ﾟ)ξちびっこ共の秋のようです ◆IbLbXrlinE 投稿日：2011/10/29(土) 10:21:30 ID:Ty16CS4MO
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「げーじゅつの秋なのよ」
（ ＾ω＾）「げーじゅつかお」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「だから、げーじゅつするのよ」
大好きなツンに言われたとあっては、内藤ホライゾン、通称ブーンも従うより他にない。
５歳児といえども、好きな女の機嫌をとるのには必死である。
そんなわけで、園庭で走る方がいいのにな、なんて思いながら
教室の片隅でクレヨンを握り、画用紙と睨めっこを始めたのであった。
（ ＾ω＾）「どんなのを描いたらいいんだお？」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「何でもいいのよ。げーじゅつはね、自由なのよ。
誰にでも与えられた、己を自由に解放出来る、表現方法の一つなのよ。
こむずかしいことに捕らわれていてはいけないのよ」
難しい顔で答えるツンは、ブーンに目もくれない。
そんなツンも可愛くて好きで堪らないので、
きっと言っている本人もよく理解してはいないんだろうなと悟りつつ、
そうなのかお、と返しておいた。
５歳児だって、空気は読める。
- 253 名前：（ ＾ω＾）ξﾟ⊿ﾟ)ξちびっこ共の秋のようです ◆IbLbXrlinE 投稿日：2011/10/29(土) 10:23:02 ID:Ty16CS4MO
画用紙に肌色のクレヨンを押しつけ、ブーンは輪郭を描いた。
描きたいものも表現したいものも考えつかないので、とりあえず、
目の前のツンを描くことにしたのだ。
ふと顔を上げる。
ツンが、眉間にぎゅっと皺を寄せ、うんうん唸っていた。
彼女の手元の画用紙は、真っ白なまま。
_, ､_
ξ;ﾟ⊿ﾟ)ξ
（ ＾ω＾）「……でも、何を描いたらいいか、なかなか思い浮かばないお」
ξ;ﾟ⊿ﾟ)ξ「ふ、ふん。ブーンは、だめね。げーじゅつはね、直感が大事なのよ」
（ ＾ω＾）「難しいおー。だから、テーマを決めてもいいかお？」
ξ;ﾟ⊿ﾟ)ξ「しょうがないわね、私もブーンに合わせてあげるわ」
（ ＾ω＾）「おっおっお、じゃあ、『大好きなもの』ってテーマはどうだお？」
ブーンにしては、いいお題じゃない。
そう言って、ツンはクレヨンを手に取った。
ようやく描きたいものが決まったようで、何よりである。
- 254 名前：（ ＾ω＾）ξﾟ⊿ﾟ)ξちびっこ共の秋のようです ◆IbLbXrlinE 投稿日：2011/10/29(土) 10:23:57 ID:Ty16CS4MO
黙々と「げーじゅつ」に耽る２人。
窓の外、園庭からは、楽しそうな笑い声や、ブランコのきいきいという音が聞こえてくる。
（ ＾ω＾）（僕も遊びたいおー）
うずうず、そわそわ。
体を目一杯動かしたい。
ちらりとツンの顔を窺うと、彼女も、頻りに窓を見遣っていた。
ツンもブーン同様、外で遊ぶ方を好む。
こうして室内で絵を描こうと言い出すなんて、そもそもからして珍しいことだ。
（ ＾ω＾）「描き終わったお」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「私も。見せ合いっこしましょ。げーじゅつは、鑑賞して楽しむのよ。
まずはブーンから見せなさい」
改まって、正座などするツン。
ブーンも正座をし、ツンに画用紙を差し出した。
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「これは？」
（ ＾ω＾）「お外で遊ぶツンだお。僕、このときのツンが一番好きだお」
ξ*///)ξ「……まっ、まあまあね！ ブーンのくせに、なかなかやるじゃない！」
（＊＾ω＾）「おっおー」
- 255 名前：（ ＾ω＾）ξﾟ⊿ﾟ)ξちびっこ共の秋のようです ◆IbLbXrlinE 投稿日：2011/10/29(土) 10:24:51 ID:Ty16CS4MO
ξ*///)ξ「……ねえ、ブーン」
（＊＾ω＾）「お？」
ξ*///)ξ「ほんとに、お外で遊ぶ私のこと、好き？」
（＊＾ω＾）「大好きだお」
ツンの顔を見て、ブーンは、父親が晩酌のつまみに食べていた酢ダコを思い出した。
真っ赤だ。
ξ*///)ξ「じゃ……じゃあ！ 仕方ないわ、ブーンのために、今からお外で遊ぼうじゃない！」
（ ＾ω＾）「ツンの絵は見せてくれないのかお？」
ξ*///)ξ「私のげーじゅつは、ブーンに理解出来るほど簡単じゃないからね！
……ほら、行こ」
（＊＾ω＾）「いっぱい遊ぶお！」
手をつなぎ、２人は園庭へ駆けていった。
実はブーン、ツンが絵を描いている最中に、少しだけ覗いていた。
画用紙の中に笑顔で走る自分が描かれていたのも、ばっちり見てしまっている。
元気に遊び回るお互いが大好きなのだから、これはもう、元気に遊び回るしかないではないか。
- 256 名前：（ ＾ω＾）ξﾟ⊿ﾟ)ξちびっこ共の秋のようです ◆IbLbXrlinE 投稿日：2011/10/29(土) 10:26:13 ID:Ty16CS4MO
（＊＾ω＾）「運動の秋だお」
ξ*ﾟ⊿ﾟ)ξ「そ、そうね」
ちなみに。
後で聞くところによると、ツンは「げーじゅつに精通している女の子」を演じれば、
大人っぽい、とブーンが惚れ直してくれるのではないかと考えたのだそうだ。
そういうところが、また、可愛いったら。
（ ＾ω＾）ξﾟ⊿ﾟ)ξちびっこ共の秋のようです おわり
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