作品投下スレ

280 名前:ぼくらせかいのひとつのようです ◆1FfGA0hfXg 投稿日:2011/10/29(土) 12:33:47 ID:jOuC4pVI0


真っ白な世界

大きな牡丹雪の中が舞う世界で ふたりきり
真っ白い羽を持った少年と
真っ黒い羽を持った少女が

真っ白い世界で 手を繋いで横たわっている


彼らの空いた手には、ガラスのコップ

周りに散らばるのは まっしろな錠剤


天使のように優しげな顔をした 白い羽の少年は呟いた

( ^ω^)「……きもち、いいお」

天使の人形のような顔をした 黒い羽の少女は応えた

ξ--)ξ「えぇ、とても」


彼らは此処で生きている
二人の世界だけで 生きている
誰も知らない (二人の中の)世界の果てで

281 名前:ぼくらせかいのひとつのようです ◆1FfGA0hfXg 投稿日:2011/10/29(土) 12:34:20 ID:jOuC4pVI0

( ^ω^)「ツ―――ン―――!」

ブーンは駆ける
彼女の元へ 一目散に

ξ゚听)ξ「なっ!なによっ!!」

ツンは拒絶する
これは習慣化されていることで、ブーンもそれを解っている

ブーンはツンに追いつき、隣に並ぶ
ツンは拒絶しない
これも 習慣化されていることだ


今日も二人で歩く            ―――行き先は、違うけど
並んで  笑顔で  笑い合いながら


二人は仲良し

ツンの小さなポシェットがしゃらしゃらと鳴っている
それを楽しむかのように、慈しむかのように



最後の時間を 愛でている

282 名前:ぼくらせかいのひとつのようです ◆1FfGA0hfXg 投稿日:2011/10/29(土) 12:34:57 ID:jOuC4pVI0

さく さく
雪に残る 二人だけの足跡

この先には 小さな丘がある
こんな日に、こんなところに来る人はいない
二人の白いコートが、二人を白の世界へ隠していった

二人だけの 世界になる

   *

目的地に到着して、雪原に飛び込む

(*^ω^)「おーんっ」

ξ゚听)ξ「ちょっ  コート濡れるわよ?」

(*^ω^)「だって、ふわふわサクサクできもちいいおっ」

そしてツンの手を引っ張って、ツンも雪原に紛れる

(*^ω^)「これでぼくら この世界といっしょになれたお」

ξ゚听)ξ「……融け込むことは、できたかしら」

(*^ω^)「世界の一部 幸せだお」

ξ゚听)ξ「幸せね」

283 名前:ぼくらせかいのひとつのようです ◆1FfGA0hfXg 投稿日:2011/10/29(土) 12:35:52 ID:jOuC4pVI0

( ^ω^)「…………じゃあ、始めるお」

ξ゚听)ξ「…………うん」

ツンはポシェットから、大きな瓶を二本取り出す
ブーンは背負ってきたリュックサックを下ろして大きなボトルを取り出す

グラスをそっと取り出して、ボトルから水を注ぐ
二人で瓶とグラスを一本ずつ持ち合って、小さく乾杯をした


( ^ω^)「世界の一部の僕らに 乾杯」

ξ゚听)ξ「世界に融け込む私達に 乾杯」


瓶の中身一気に飲み干した

ξ+听)ξ「っほ! ごほっ!!」

喉につまったら、もう片手にある水で流し込む

( ^ω^)「ツン 頑張るお」

ξ+听)ξ「だ、だいじょう、ぶ……うん……」

口の端から白い錠剤を零しながら、それでも飲むのをやめはしない

284 名前:ぼくらせかいのひとつのようです ◆1FfGA0hfXg 投稿日:2011/10/29(土) 12:36:22 ID:jOuC4pVI0

幻覚が見える
くるくる くるくるする
羽が見える
ぼくらはもう 召されるのだろうか
召されるのだろう
それでいい


( ^ω^)「なんで つんのはねは くろいんだお?」

ξ--)ξ「なんででしょうね」


( ^ω^)「きもちいいお」

ξ--)ξ「えぇ、とても」


それだけでいい
二人一緒で せかいとひとつ


( ^ω^)「せかいとひとつ ツンともひとつ」

ξ--)ξ「…………ブーンのて  …あったかぁい……」


( ^ω^)「    ……     …ほくら、せかいの……                         …」

285 名前:ぼくらせかいのひとつのようです ◆1FfGA0hfXg 投稿日:2011/10/29(土) 12:37:11 ID:jOuC4pVI0
以上です ありがとうございました

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