- 63 名前：これが終わりのようです 投稿日：2011/10/28(金) 21:56:43 ID:NlXrz5WI0
- 処刑台で男は請うた。
涙ながらに、止めてくれと。
断頭台の上で何度も請うた。
首を切るなと何度も請うた。
('A`)「ならぬ、そなたは咎人よ」
一人頭巾をかしずけて、ぽつり一言漏らしたる。
男の罪は多種多様。
千変万化の顔持ちて
あれよあれよと罪を着た。
どれもこれもがこやつの仕業。
聴衆、物見、執行人。
ぐるり囲んで睨みたる。
「いざや罪人をば見せしめに！」
色めき立ちざわめく民衆よ
好奇の色を鮮やかに
目に目に映るその景色
二度と忘れることはなし。
＊＊＊
- 64 名前：これが終わりのようです 投稿日：2011/10/28(金) 21:57:18 ID:NlXrz5WI0
- (,,ﾟДﾟ)「花をくれるのか？ ありがとう」
( ＾ω＾)「どういたしましてだお」
しかし、その花摘んではならぬ、
地主が育てし稀有なもの。
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「お腹空いてるの？ これ、そこで買ったパンあげるわ」
（ ＾ω＾）「ありがとうだお！」
しかし、かの品、盗品と
疑い持たれ、窃盗に。
かの人抱きし幸福に、対なす仇が付きまとう。
常々日頃の幸せに、まとわりつきし不幸せ。
誰も彼もが驚くほどの奇運変運持ち合わせ、
あれよあれよと罪を着て、しばし後には大悪党。
( ；ω；)「もう、もう嫌だお……何もしたくないし、してほしくないお……」
さりとて人は営み止めぬ。
良かれとなすこと悪しきを生みて、巡り巡りて全て黒。
かくて男は囚われた。
- 65 名前：これが終わりのようです 投稿日：2011/10/28(金) 21:57:55 ID:NlXrz5WI0
- ＊＊＊
処刑台にて男は請うた。
涙ながらに、止めてくれと。
断頭台の上で何度も請うた。
首を切るなと何度も請うた。
( ´∀｀)「ならぬ、そなたは罪人よ」
二人頭巾をかしずけて、ぽつり一言漏らしたる。
男の罪は万に及ぶ。
一から百は気が付けば、百から万は無意識に
あれよあれよと罪浴びて
どれもこれもがこやつの仕業。
聴衆、物見、執行人。
ぐるり囲んで睨みたる。
「いざや罪人をば見せしめに！」
色めき立ちざわめく民衆よ
好奇の色を隠さずに
目に目に映るその景色
二度と忘れることはなし。
＊＊＊
- 66 名前：これが終わりのようです 投稿日：2011/10/28(金) 21:58:26 ID:NlXrz5WI0
- ( ＾ω＾)
男は一人牢にいて、口をつぐみて膝抱え
鼻歌さえも混じらせつ、孤独を横に伴った。
( ＾ω＾)
男は一人、膝抱え、口さえ開かず、眼さえ閉じ
身じろぎひとつ、とらざりて。
( ＾ω＾)
男は一人、幸もなく、不幸もなき世を嬉しんで
何事さえも遠ざけて
( ＾ω＾)
男は一人、笑いたり。
零の滴を口にして、無しのつぶてを頬張りつ。
( ＾ω＾)
男は一人、男は一人。
- 67 名前：これが終わりのようです 投稿日：2011/10/28(金) 21:58:59 ID:NlXrz5WI0
- ＊＊＊
処刑台で男は請うた。
涙ながらに、止めておけと。
断頭台の上で何度も請うた。
首を切るなと何度も請うた。
( ･∀･)「ならぬ、今こそ断罪す」
全ての頭巾かしずけて、ぽつり一言漏らしたる。
男の望みは全ての終わり。
すなわち黄泉路、死の活路。
終わりはこやつの幸か不幸か。
誰もかれもがいづれか知らぬ。
聴衆、物見、執行人。
ぐるり囲んで睨みたる。
「いざや罪人をば見せしめに！」
ぎらり断頭刀光り、その煌めきに雷が――
目に目に映るその景色
二度と忘れることはなき。
その場のすべてが焼き払われた。
- 68 名前： ◆o8PBpa.S7g 投稿日：2011/10/28(金) 21:59:32 ID:NlXrz5WI0
- おしまい
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