- 2 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:08:03
いつでも何かにおびえてるんだお
どいつもこいつも僕を嫌っているんだ
やさしい言葉がもっと欲しい、その腕でぎゅっとだきしめて
だけど、願っても願っても、かないやしなかったお
いままでずっと我慢してきたのに…
でも、もういいの
楽しい世界に連れて行ってくれないのなら
こんなつまらない毎日なんかこっちから願いさげだ!
あの空のむこう、しずんでく太陽に赤くかがやく雲の下
僕は、僕たちは
……逃げ出すんだ
ぼくらの夕焼けエスケープのようです
[紅白]
- 3 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:08:46
僕らの住む町、美府町(びっぷちょう)
その街角にある寂れた公園は、誰も使わないし通ることもない
一人しか座れないブランコ、もはや猫たちのトイレになっている砂場
そして、申し訳なさげに隅にポツンとあるベンチがあるだけ
一体誰が何の為にこんなところ作ったんだろう
鬼ごっこも出来ない広さの公園じゃ、まともに遊べやしない
でも、僕ら三人は、放課後、わざわざこの狭い公園へ来るんだ
家にも帰らず、夕暮れが空の果てに消えるまで、ここで遊んでいるんだ
- 4 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:09:53
(#*゚ー゚)「……セパタクローはもう飽きたんだよ!」
( ^ω^)「なんだお唐突に、しぃがやろうって言ったんだお」
(´・ω・`)「……何度も言ったけど、そもそも三人でやろうってのが無理なんだよ」
(´・ω・`)「どうやっても一対二か、一人審判になるかじゃないか。そもそもこれ四人、又は六人競技だよ」
( ^ω^)「けまりか何かと勘違いしてたんじゃないかお」
(*゚ー゚)「むぅ……そもそも足が上がらないんだよ! えいっ! えいっ!」
(; ^ω^)「というかやるならスカート履いてくるなお、はしたない……」
(´・ω・`)「スーパーボールも、しぃが蹴り飛ばしたせいでなくなっちゃったね」
(*゚ー゚)「エヘヘ」
( ^ω^)「おいちょっと、僕らセパタクローなめすぎてるお」
- 5 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:10:38
(´・ω・`)「じゃあ、何をしたいんだい?」
(*゚ー゚)「う〜ん……カバディも良いけど、この前やったし……」
(*゚ー゚)「ペタンクも、今日はもう球がないからできないね」
(´・ω・`)「だったらカポエイラでもやるかい?」
(*゚ー゚)「疲れるからパス!」
( ^ω^)「何がしたくて、マイナースポーツばっか極めてんだお……」
(´・ω・`)「良いじゃないか、健康的で」
(*゚ー゚)「"じんが"の"すぴりっと"を"えとく"出来たよ!」
( ^ω^)「ちゃんと意味分かって言ってんのかお」
- 6 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:12:11
(*゚ー゚)「ブーンは文句ばっかりだね! ぷんぷんだよ!」
(*-ー-)「うーん……」
(*゚ー゚)!
(*^ー^)「……じゃ、こんなのどうかな!」
( ^ω^)「お、何だお。まためんどくさいこと思いついたのかお」
(´・ω・`)「しぃの考えは独創的過ぎてついてけないからね」
(*゚ー゚)「ふんだ、今度のはね、違うんだから!」
(*゚ー゚)「その名も、『リアルおままごと』!」
( ^ω^)「……っあ〜、そうくるか」
(´・ω・`)「実にめんどくさそうだ。劇をしたい、ってことだろ?」
(*^ー^)「文句は聞かないよ! ぶっつけ本番だから!」
( ^ω^)「設定とかないのかお?」
(*゚ー゚)「学年一のマドンナ番長しぃにゃんと、下僕とのラブラブマジカルギャグサスペンスサイケデリックホラーアクション的日常、で行くよ!」
( ^ω^)「それもっかい言ってみろお」
(´・ω・`)「……本当にめんどくさそうだ」
(*゚ー゚)「じゃあ下僕のショボンちゃんのセリフから始めね! よ〜い、スタート!」
- 7 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:13:08
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(´・ω・`)「……あ〜!!超お腹減ったしっ♪♪」
(*゚ー゚)「おいブーン、ちょっちスライム肉まん買い占めてこいや」
( ;^ω^)「い、いやですお」
(´・ω・`)「まじ萎えぽよー」
(#*゚ー゚)「あ? 学年一のマドンナ、しぃにゃんを怒らせちゃって良いの?」
(#*゚ー゚)「触れるもの皆傷つけるけど良いの?」
( ;^ω^)「あ、あっあの、お、お金がないん、ですお」
(´・ω・`)「金がないなら革命だ」
(*゚ー゚)「革命するならクリスマス」
( ;^ω^)「……はぁ?」
(´・ω・`)「リア充どもは抹殺だ」
(*゚ー゚)「やらしい豚共屠殺しろ」
( ;^ω^)「あの……?」
(´・ω・`)
(´゚ω゚`)クワッ「キエエエーイイイッ!!」
( ;^ω^)!!
- 8 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:14:51
(´゚ω゚`)「我々は憎き政府軍に仇成すレジスタンスである! 今日こそ十二月二十五日、いよいよこの国の絶えぬ争いに雌雄を決するのだ!」
(´゚ω゚`)「血塗られた神の誕生日! 苦離須磨主において! 人は厳粛なる祈りをもってそれを向かえるべきだ!」
(#´゚ω゚`)「だがどうだ、この大和の民の浮かれきった顔はッ! 連れ添う男女が染めゆく頬はッ! 独りで街道を歩く我ら同胞の肩身の狭さはッ!」
(#*゚ー゚)「我々は変えるのだ、変えてゆかねばならぬのだ」
(#´・ω・`)「この国に必要なのは、独り辛き人生を耐え忍ぶ漢共への救済と!」
(#*゚ー゚)「他者への慈悲を忘れてしまった”リア充”どもへの制裁だ!」
(#´・ω・`)「立ち上がれ、我らが同胞!」
(#*゚ー゚)「集え、独身の旗の下!」
(#´・ω・`)(#*゚ー゚)「討て、我らが敵”リア充”を!」
(#*゚ー゚)「俺がッ…!」
(#´・ω・`)「俺たちがッ…!」
ドギャアアアア(#´゚ω゚`)「クリスマステロリストだッ!」(#*゚ー゚)アアアアンッ!
クリスマステロリストになったようです
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ^ω^)「なんだこの茶番」
- 9 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:15:45
(*゚ー゚)「ブーンったら、おままごとの途中で素に戻っちゃ駄目だよー」
(´・ω・`)「全く、君という奴は呆れ果てたものだね」
( ^ω^)「まず全国のネネちゃんに謝れ、な?」
(´・ω・`)「君はマイペースが過ぎるね」
( ^ω^)「ショボンはノリが良すぎると思うお、最初は嫌そうだったのに」
(*゚ー゚)「ショボンは出しゃばりすぎじゃないかな! かな!」
(´・ω・`)「やれやれ、君たちと来たらいつも自分勝手だね」
(´-ω-`)「大体ね、自分の意思を押し通してばかりで、この世の中、渡っていける程甘くはないのさ。」
(´-ω-`)「自己を貫くなんて土台無茶な話だ、流れゆく時も環境も何もかも、それに逆らわず、身を委ねることこそが必要なんだ」
(´-ω-`)「それを近頃は、個人個人の権利ばかり主張して公とい(*゚ー゚)「ブーン!こっちきてーっ」
( ^ω^)「…っお、しぃ、今いくおー」
≡≡( ^ω^)「…ショボン! 話が長いお!」
(´-ω-`)「であるからして、現代における個人主義の弊害とは以下のような……」
- 10 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:16:31
……前までは、放課後には僕らも校庭で集まって遊んでいたんだ
でも、何が楽しいんだか、校庭でサッカーをしてる僕らのクラスの連中のリーダー、
ジョルジュって奴が
_
( ゚∀゚)「サッカーに参加しないなら、校庭は使うなよ!」
なんて僕らにだけ横暴なことを言うもんだから
それならそれで良いやって、もうずっと前からここを使っている
むしろ、あぶれものの僕らにはこの狭さが丁度良かったのかもしれない
何たって他に誰もいないのが良いんだ
五時の鐘がなるまで、僕らはここで自由でいられる
- 11 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:17:25
(*゚ー゚)「ほら見てよこれ!」
( ^ω^)「一体何だお…って」
( ^ω^)「二匹のトンボが重なって飛んでるおね」
(*゚ー゚)「ねーねー、これなにしてんの? なにしてんのー?」
( ;^ω^)「いや何って言われても…」
(*>ー<)「気になるの、気になるのー!」
( ;^ω^)「知ったって何にもならないお」
(*゚ー゚)「しぃは色んなことが気になる年頃なの!」
( ;^ω^)「ググれお」
(*゚ー゚)ニヨニヨ「や! 君の口から聞きたいの、ブーン! 」
(*゚ー゚)ニヨニヨ「さぁほら! そのいやらしい口をクパァと開いてさぁ!」
(;*゚Д*゚)ハァハァ「うおおおぉぉぉぉ! 口! 口! ふぐ、ふぐりふぐあぁ!」
(;*゚Д*゚)ハァハァ「あぁくぁぁふぁ、もうたまんねーなおい、たまんねーようっひょうおおッ!」
(;*-Д")そ ビクンビクン!「あぁっもうんああぁぁぁぁぁん! くぁぁぁああぁ、ふあああぁぁぁぁんッッ!!!」
( ;^ω^)
(^ω^; )
( ;^ω^)(しくった、ショボンの長話の方がマシだったお)
- 12 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:18:10
(´・ω・`)「何か勘違いしているようだけど、それは交尾じゃないよ」
(*゚Д*゚)「あ?」
( ^ω^)「お?」
(´・ω・`)「雄が縄張り争いしてるだけじゃないかな」
(´・ω・`)「トンボの交尾って、ハート形に連結するものだからね」
( *^ω^)「お〜ショボンは流石物知りだおね」
(´・ω・`)「常識さ」
(*゚Д*゚)
(*゚-*゚)、(っち! 垂れ眉め……ブーンたんに褒められて調子のってんじゃねぇぞ)
(´・ω・`)「ん?」
( ^ω^)「しぃ、何か言ったかお?」
(*゚ー゚)「ん〜ん、何にも。雄二匹が交尾かましてるって考えれば
むしろそっちのがありかな、って」
( ;^ω^)「ねーよ」
(´・ω・`)「実に興味深い考察だね」
( ^ω^)「ねーよ」
- 13 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:19:41
……紹介が遅れたけど、僕の友達二人は変なやつらなんだ
垂れ眉が目立つ(´・ω・`)←こいつの名前は出納曙暮(すいとう しょぼ)
名前のせいでもあるけど、見た目からしてショボーンとしてるから、ショボン、って呼ばれてる
しょぼんとしてる割にはやたらと人に意味不明なことや、厳しいことを言うのが難点だ
唐突に変態的なことを言う(*゚ー゚)←こいつの名前は椎名真子(しいな まこ)
しぃ、って呼ばれてる
顔立ちは良いんだろうけど、ネジが飛んだようなことばっか言うのでちょっと引く
……いや、だいぶ、かなり引く
紅一点ぶって調子乗んなし
そしてこの僕は( ^ω^)内藤ホライゾン、ブーンと呼ばれている
何気なく両手を広げながら走ってたら、こんなあだ名になるんだから
名前ってのはずいぶん適当なもんだ
……だからって僕の名前まで適当にすんなし
こんな名前なだけあって、昔はクラスの中で個性的な方だったと思うけど
この中じゃ常識人的な扱いなのが、ちょっと不服だ。慣れたもんだけど
- 14 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:21:23
( ^ω^)「まぁつまり、この3人の中じゃ
僕はツッコミ役に徹すれば良いってことだお」
(´^ω^`)「おやおや、何を言うかと思えば
君はようやく自分の立ち位置を理解したってのかい」
(*゚ー゚)つジ「ブーンはもっと自分をだすべきだと思うなっ」
( ^ω^)「マイペース過ぎるって言われたのに……
後、その手のトンボを逃がしてやりなさいお」
(*゚ー゚)っ「ちぇ」 〜ジ プーン
(´-ω-`)「しかし、やっぱり僕はしぃの言うことには反対だね」
(´-ω-`)「個人なんてそうそう出すべきじゃないよ」
(´・ω・`)「荒れ狂う現代社会をいかに上手くやり過ごすかにおいて
個性なんて不必要な要素さ」
( ^ω^)「僕にはさっぱりだお」
- 15 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:21:55
(*゚ー゚)つジ「もっぴき捕まえた」
( ^ω^)「駄目だってのに……解放してやりなさいお」
(*゚ー゚)つジ
(*゚ー゚)づ,,グチャ
( ^ω^)
(´^ω^`)「おやおや、魂を肉体から解放してやったってかい?」
(*^ー^)づ;:「してやったのさー!」
( ´ω`)「……手を洗ってきなさい」
ゴシゴシ(*゚ー゚)つ( ´ω`)「洗ってきて下さい」
- 16 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:24:36
TTT(ちょっとトンボが通りますよ)
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
西の空低い方、太陽は落ちてゆく
町を包む茜色の化粧、遠くに子供達の楽しそうな声
どこからか耳に届く豆腐屋の笛の音は、夕空遥かに溶けてゆく
最後に活気を見せながら、町はその鼓動を弱めていく
ぼうっとしていたら、夜なんてあっという間だ
でも、何かやり残しがあるような、そんなじれったい、歯がゆい時間
夕暮れ時って、何だか不思議だ
……ただただ、心が乱れていく
( ^ω^)「何だか憂鬱だお」
(´・ω・`)「……センチな発言だね」
♪(*゚ー゚)つ オテアライオテアライ
( ^ω^)「だってそうだお、後一時間で鐘がなったらと思うと……」
(´・ω・`)「僕らはまだ、門限なんか緩いもんだからいいさ
でもしぃは…」
( ^ω^)「施設ってのはそんなに厳しいとこなのかおねぇ」
フンフンフフン♪(*゚ー゚)つ川 ジャー
- 17 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:26:49
(´・ω・`)「……正直、家よりもここにいる方が楽しいのにね」
( ^ω^)「うん……そうだおね」
(*゚ー゚)ノシ トンボサンバイバーイ
(´-ω-`)「……何と言うか、さ」
( ^ω^)「お?」
(´-ω-`)「ここにいる時以外で、楽しいことなんかないよ」
( ^ω^)「おっ……」
(*゚ー゚)ゴシゴシフキフキ
(´-ω-`)「……」
( ^ω^)「……」
ゴシゴシ(*゚ー゚)つ( ^ω^)「ハンカチないんか、おのれは」
- 18 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:28:08
ショボンも、僕もしぃも、学校はあんまり好きじゃない
……学校の近くの、大きな公園には行かないようにしてる
サッカーが終わったのか、クラスの奴らがそこを通りかかった時、僕らをみて笑うからだ
「またあの三人かよ」って、冷たい視線でみてくるんだ
……あんまり、学校のことは考えたくない
僕たち三人は、クラスからのけ者にされてる
ショボンの家は父子家庭で、しぃは孤児院育ち
いつの間にか二人は、クラスの輪の外側に立っていた
そんな二人と遊びだした僕にも、クラスの奴はいつしかよそよそしくなっていた
元々僕は、二人の家庭の事情なんて知らなかった、聞きたいわけでもなかった
なのに、クラスの奴らはそれを楽しそうに教えてくるんだ
あんな奴らなんて嫌いだ、三人でいれればそれで良い
あいつらなんかと上手くやれなくたって構うもんか!
……僕はいつからか、そう考えるようになっていた
でも、時々思うんだ
僕らは惨めなのかな、って
皆と上手くやれないのは、やっぱり辛いから
- 19 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:29:43
……だけど、もっと大きな問題がある
僕たちはもうすぐ、離ればなれにならなければならない
ショボンは、何ヶ月後かに中学受験がある。隣の県まで行くことになるだって
僕のとこも、お父さんの仕事の都合で引っ越しをするらしい
僕らは反対したんだ、この町に残りたいって
でも、大人達は皆同じ様に口を揃えて
「仕方の無いことだから」だって言うんだ
しぃだけが、この町に残ること
何だかそれが無性に寂しくて、不安で、怖い
……僕たちに出来ることは一つしかなかった
ただただ明日が来るのを引き延ばして、今の時間を出来るだけ伸ばそうとすること、それだけ
少しでも、皆と楽しもうとして
……でも、結局最後は鐘の音と共にお別れをするんだ
離ればなれは、嫌なのになぁ
- 20 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:31:15
(*゚ー゚ )キャッキャッ (^ω^# )ハンカチデフキンシャイ
(´-ω-`)「……」
(´・ω・`)「……ねぇ、二人とも。こんな話知ってるかい?」
ゴシゴシ(*゚ー゚)つ( ^ω^)「何だお?」
(´・ω・`)「”夕暮れに消えた少年の話”さ」
( ^ω^)「知らないおねぇ」
ゴシゴシ(*゚ー゚)つ「何それ気になるー!」
(´^ω^`)「ふふふ、無知蒙昧なる君たちに教えてあげるよ」
( ^ω^)(っぜぇ)
(*゚ー゚)「わーいわーい」
(´・ω・`)「……ある所に一人の少年がいましたとさ」
- 21 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:32:22
――――ある所に一人の少年がいました
彼は家にも帰らず、ただ自分の町を散歩して回るのが好きでした
でも、五時の鐘がなると、彼は家に帰らないといけません
ですが、家には誰もいません。ただいま、という声は溶けていくのみです
少年はそんな毎日がとっても気に食いませんでした
ある日の夕方、いつも通り夜が近づいてきます
だけど、やっぱり家には帰りたくありません
そこで少年は考えました、もっと夕方の散歩を楽しめないものか、と
お決まりの散歩道を歩いていく途中、少年は良いことを思いつきました
「あの夕日の下に行けば、いつまでも夕方なのでは?」と
そして少年は早速夕日に向かって歩いていきましたとさ
その後、少年の姿を見たものは誰もいなかったそうです――――
- 22 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:33:32
(´・ω・`)「……っていう話だったのさ」
(*^ー^)「わーわー、ブラボーブラボー、ふぁんたすちっく!」
(*゚ー゚)「きっとこの後少年は、その身一つで生きてく為に
透き通るような白肌を汚らしい親父どもに捧げることを決断するのね」
( ^ω^)「全くもって無駄な妄想力だおね」
( ^ω^)「……まぁ、何とも言えない話だおね、特に結末が」
( ^ω^)(結末がどうこうより、この話って……)
(´・ω・`)「まぁ、そこら辺はお話ってことで、ご了承願いたいね」
(´・ω・`)「……でも、この少年がその後どうなったか、気にならないかい?」
( ^ω^)「……」
(*゚ー゚)「それじゃ、しぃたちもあっちの方に行ってみる?」
( ;^ω^)「ちょ」
(´・ω・`)「あぁ、そうなることを願ってこの話をしたんだ」
(*^ー^)「わぁい、じゃあ早速行こうよー!」
( ;^ω^)「ほ、本当に行くのかお?」
(´・ω・`)「何だい、怖いのかい?」
(*゚ー゚)「ブーンこないの?」
( ;^ω^)「いや、僕は……ってか、門限は?」
(*゚ー゚)「んなのどうにでもなるのだー!」
( ;^ω^)「え、え! で、でも……」
- 23 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:34:55
(´-ω-`)ハァ
( ;^ω^)「な、なんだお……」
(´・ω・`)「いいかい、ブーン。僕たちはこれまでつまらない日々を過ごしてきたんだ」
( ;^ω^)「……」
(´・ω・`)「こんなつまらない世界、今すぐにでもぶっ壊してやりたい」
(´・ω・`)「でも、そんなこと、出来やしないんだ」
(´・ω・`)「だったらせめて、僕たちは僕たちの時間をもっと楽しめて当然じゃないか?」
(´・ω・`)「……今のお話の少年は、きっと僕たちみたいな奴なのさ。僕たちも、彼に習ってみようよ」
( ;^ω^)「そうかもしれないお、でも……」
(´・ω・`)「でもじゃないさ、行こうよ。夕日の下へ。夕方の世界へ」
(*゚ー゚)「楽しけりゃ良いんだよ! 行こうよ!」
- 24 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:36:50
( ;^ω^)「ふ、二人とも……」
( ´ω`)「超身勝手だお……」
( ´ω`)ハァ
( ´ω`)「……分かった、分かったお」
(*^ー^)「わぁい! さすがブーンだよ!」
(´・ω・`)「君ならそう言ってくれると思ったよ」
( ^ω^)「でも、ずっと歩いていって何にも無かったら、僕は帰るお?」
(´^ω^`)「あぁ、構わないさ」
(*゚ー゚)「無限の彼方へ、さあ行くぞ!」
( ^ω^)「あーあ、良いのかお。こんなことして……で、夕日が沈む方だっけ?西の方かお?」
(*゚ー゚)「ブーンのおばかさん!西から上ったお日様は、東へ沈むんだよ! だよ!」
(*゚^*゚)≡3 ドヤッ
(´・ω・`)「やっぱりしぃ、きみはじつにばかだな」
(*^ー^)「エヘヘ」
( ^ω^)「何故照れる」
思い立ったらすぐ行動、ということで邪魔になるランドセルは一度家に戻してきて
僕らはまたこの公園に集まった
何だか皆楽しそうな顔をしてた
ただ西へ向かうってだけなのに、何か大きなことをしてしまうような、そんな気持ちになったんだ
そうして僕らは夕日が沈む方へ歩き出した
- 25 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:37:38
公園を抜けた僕らは、いつもの並木通りを西に抜けて行く
今まで僕は自分がどこか行きたいところへ行くために、この町を出たことなんてなかった
でも、今回は違う。自分たちで決めた行きたいところに行くんだ
そりゃ、反対はしたけど、ワクワクしないはずがなかったんだ
- 26 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:38:39
(*゚ー゚)♪「えへへー」
( ^ω^)「どしたんだお?」
(*゚ー゚)「三人でお出かけするの、はじめてだよねっ」
(´・ω・`)「そうだね、遊ぶのはあの公園ばっかだったし」
( ^ω^)「こうして歩くだけでも楽しいものだお」
(*゚-*゚)「む、目的をみうしなってはだめですよ、ブーンくん」
( ^ω^)「そりゃ悪かったお。ところで、僕たちの目的って何だっけかお」
(;*゚ー゚)「え!……えーとね」
(;*゚ー゚)「んー……とね」
(;*゚ー゚)「よるのまち、でね」
(*゚ー゚)「ブーンとショボンがね」
(*^ー<)「交尾するの!」
(;**゚Д*゚)「たまんねえぇぇッよぉっほぉぉおぉい!!」
( ^ω^)「こいつ置いてこうぜ」
(´・ω・`)「それがいい」
(*´・ω・`)「二人っきりになれるからね」
( ;*゚ω*゚)そ ゾワッ
(´・ω・`)「冗談さ」
- 27 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:41:46
通り沿いには、もう葉を散らしてしまった木々が、空を隠してしまうかのように並んでいた
その後、ショボンの住んでる団地や学校近くの大きな公園の前を通った
公園で大人数が野球してたのを見て、僕達はあぁいう遊びに縁がないな、なんて思ったりした
その内に、賑やかな商店街が見えてきた
そこは美府町商店街、僕はあんまり来ないけど
学校とは違って、騒がしいのが心地よくて、楽しい感じがする場所だ
魚屋や八百屋、和菓子とかケーキを売ってたり、服とかアクセサリーとか文房具とかもある
とにかく色んな店があって、夕方時の商店街はワクワクするんだ
- 28 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:43:08
(´・ω・`)「僕、結構ここ来るけどね」
( ^ω^)「へぇ、何すんだお?」
(´・ω・`)「野菜やらお肉やら買ったり、お惣菜も買うけど」
( ^ω^)「あぁ、お手伝いかお。偉いおね」
(´・ω・`)「はは、ちょっと違うな。自分で料理して、自分で食べるためさ」
( ;^ω^)「えぇ〜、自分で料理が出来るのかお?」
(´・ω・`)「あぁそうさ。父さんの帰りが遅いからね」
( ^ω^)「……すごいお。ショボンのこと、ただのガリ勉野郎だと勘違いしてたお」
(´・ω・`)「ははは、てめぇぶち殺すぞ。まぁ簡単なのしか作れないけどね。オムライスとか、肉じゃがとか」
( ;^ω^)「米も炊けない僕には夢のまた夢だお」
(´・ω・`)「あぁ……ブーンは家庭科の成績が1だったっけね。どれだけ不器用なんだか」
( ;^ω^)「あれは班の人が協力してくれなかったから……まぁどっちにしろ、一人じゃ何も作れないけど……」
(´・ω・`)「全然駄目じゃないか……って、やけにおとなしいなと思ったら、しぃはどこに行ったんだい?」
( ^ω^)「え?……あれ、いないお。どこに行ったおー?」
- 29 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:44:01
(*゚ー゚)つ薄い本 パラパラ
(´・ω・`)「あ、あの本屋にいるよ」
( ^ω^)「本当だお。おーい、しぃー……」
(*゚ー゚)つ薄い本 パラパラ ('、`*川〜〜
( ;^ω^)「あ、店員さん来ちゃった」
(;´・ω・`)「ちょっと、しぃ、大丈夫かな」
- 30 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:45:12
(*゚ー゚)つ薄い本 パラパラ
('、`*川「お嬢ちゃ〜ん、ここは立ち読み禁止よ〜」
(;*゚ー゚)!
(;*゚ー゚)「あ、う……」
('、`*川「ってここ、BL本コーナーだねぇ。今時の女の子は成長早いなおい!」
(;* ー )「ごめ、ごめ……さい」
('、`*川「もしかして、買いたい? 売っても良いけど、その代わり……」
( ー ;*)≡≡「すみ…ん……した」
('ー`*川「金欠の私にも読ませて……」
('、`;*川「……ってあちゃー、逃げちった」
- 31 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:45:43
≡≡(*; ー ) (^ω^ )(´・ω・` )
(*; ー )ハァハァ
( ^ω^)「……しぃ」
(´・ω・`)「駄目だよしぃ、気をつけなきゃ」
(*;*゚ー゚)「……ごめん」
( ^ω^)「いいんだお、苦手なものは苦手なんだお」
(´・ω・`)「あの店員さんも不用意に近づき過ぎだしね」
(*゚ー゚)「うん……もう行こっか」
- 32 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:48:58
……しぃは、大人とまともに話せない
親に虐待を受けてたとか、孤児院に捨てられたショックだとか
皆勝手に噂してるけど、しぃは自分で語ろうとはしない、だから僕たちも無理には聞かない
ただ、大人と話せるようになりたいと思った時、僕たちは何でも協力する、とだけは言っといた
それがしぃを傷つけない一番の方法だと思ったからだ
……だけど、大人と話せないまま、来年僕たちがいなくなった時
しぃは、どうなるんだろうか
しぃは、どうしたいんだろうか
怖いけど、聞けないんだ
楽しい時間が壊れてしまいそうで
僕は、弱虫だ
- 33 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:50:01
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
( "ゞ)「……伊藤さん、ただでさえ客の来ない店なのに……」
( "ゞ)「新規の客を逃すなんて……この店潰す気ですか……」
('、`*;川「ひぃ、店長! すみませぇん!」
('、`*川「……いやでも、あの子いつも立ち読みばかりだから、あぁいう本買いづらくて帰っちゃうのかな〜って……」
('、`*川「話しかけて仲良くなれば、買ってもらえるかなって思ったんですけど……」
( "ゞ)「一見さんじゃないんですか。気持ちは分かりました……でも、言い訳無用」
( "ゞ)「あの子が読んでた本の代金分、バイト代から引かせてもらいますかね」
('、`*;川そ「ひぃぃ!」
( "ゞ)b「後、BL本コーナーの棚も一つ減らそうか!」
;:゙;`(、*川「げぼらアァッ!!」
- 34 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:50:51
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(´・ω・`)「やっと美府駅の前まで来たね」
( ^ω^)「おー、この先一人で行ったことないお」
(´・ω・`)「うん、僕もだ」
(*゚ー゚)「しぃもだよ」
( ^ω^)「……電車に乗るのかお?」
(´・ω・`)「ん、いや歩いていこうと思ってたけど。それも良いかな」
(*゚ー゚)「しぃ、お金ないよ」
( ;^ω^)「僕もだお」
(´・ω・`)「僕は多少持ってるけどね。でもやっぱり歩いていこうか」
( ^ω^)(*゚ー゚)「「賛成!」」
- 35 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:52:48
(´・ω・`)「……この交差点を渡れば、美府町とはおさらばだね」
( ^ω^)「駅の向こうに大通りがあったとは。ここから先は未開の地だお」
(*゚ー゚)「……じゃあさ、1、2の3でこの道を一緒にわたろうよ!」
(´・ω・`)「ん、しぃにしては良い考えだ」
( ^ω^)「たまには良いこと言うもんだお」
(*^ー^)「えへへ」
(´・ω・`)「じゃ、信号が青のうちにやっちゃおうか」
( ^ω^)(´・ω・`)(*゚ー゚)「……せーの」
( ^ω^)(´・ω・`)(*゚ー゚)「い〜ち」
( *^ω^)(*´・ω・`)(*^ー^)「に〜ぃの……」
≡≡≡( *^ω^)(*´・ω・`)(*^Д^)「さ〜んっ!!」
≡≡≡≡≡( *^ω^)(*´・ω・`)(*^Д^)「わああああああ!!」
......................
...................
.............
.......
....
...
.
.
- 36 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:53:19
そうして、僕たちは町を出たんだ
初めて遠くへ行くという実感の湧いた僕たちは、心の底からワクワクしていた
町を出たからって特別な風景が見える訳でもないし、何かが手に入るって訳でもない
でも確かに、僕たちには何か楽しい未来が見えていたんだ
その先に実際に何があるかなんて知ったことじゃない
ただ、町から出た嬉しさで一杯だったんだ
- 37 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:54:38
(´・ω・`)「しかしアレだね、町の外も存外つまらないもんだ」
( ;^ω^)「そんなこと言っていいのかお」
(*゚ー゚)「ずーっと道が続いてるだけだもん、おもしろくないよ!」
( ;^ω^)「散々な言い方だお……まぁ僕も同意だけど」
( ^ω^)「だからって何があって欲しいという訳でもないお」
(*゚ー゚)「しぃにはあるよ! でっかい遊園地とか、クレープ屋さんとか!」
(´・ω・`)「ずっと先に繁華街があるから、いつかは見つかるさ」
(*^ー^)「ホント!? わ〜いわ〜い!」
( ^ω^)「遊園地はないと思うお」
(´・ω・`)「でも、この先に、隣町の大きな公園があるらしいよ」
(*゚ー゚)「公園か〜」
( ^ω^)「へぇ、公園ねぇ。行ったことあるのかお?」
(´・ω・`)「ある訳ないよ、昨日地図で見たのさ」
( ^ω^)「……用意が良いおね」
(*゚ー゚)「流石ショボン!」
僕らの町よりもたくさんの車やらバイクが通る大通りを、三人で進んでいきます
思ったより特に面白いこともなく
少しだけ興奮の冷めた僕たちは、スイスイと進んでいくのでした
- 38 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:55:36
(´・ω・`)「着いたみたいだね」
( ^ω^)「お〜、ホントに大きな公園だお」
(*゚ー゚)「うあ〜美府町のより広そうだねぇ」
大通りに面した公園の入り口にたどり着いた僕たち
中に見える公園には一面に芝生が広がっていて、
あるところでは鬼ごっこをしているちびっ子たちやら
あるところでは赤ちゃんを連れたお母さん達やらがいて
美府町の公園と比べて開放的に見えた
たくさんの人たちがそれぞれ好きなことをしてるってのは、何だか良いもんだ
(´・ω・`)「ここで休憩して、これから先の予定決めようよ」
( ^ω^)「ん、良いんじゃないかお」
(*゚ー゚)「おっけーい」
……ゴルァ、ゴルァ
……ワン、ワン、ワウーン
(*゚ー゚)「……んん?」
( ^ω^)「どうしたお」
(*゚ー゚)「何か猫と犬が喧嘩してるっぽい」
( ^ω^)「え?」
- 39 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:56:17
(#,,゚Д゚) ゴルァ、ゴルァ!
▼・ェ・▼ ワン!
( ^ω^)「うわ、ホントだ……」
( ^ω^)「いや待て。犬は良いとして、どうしてあの鳴き声で猫だと思えたお?」
(*゚ー゚)「? そういうもんだから」
( ^ω^)「まぁ、気にした僕が馬鹿だおね」
(´・ω・`)「どうでも良いけど、ここペット連れ込み禁止だよ。あの犬ベンチに繋がれてるけど」
- 40 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:57:00
(#,,゚Д゚) ゴルァ〜〜ッ!
▼・ェ・▼ ワウ〜!
≡≡(##,,゚Д゚) ゴルァアアアアッ!
▼・ェ・▼ アウーン!アウーン!
(*゚ー゚)「猫が突っ込んだ! いけ! 押せ! 食いちぎれ!」
( ^ω^)「こらこら……どっちが勝つんだろおね」
(´・ω・`)「そりゃまぁ……」
ハニャ!Σ(,,Д゜(と≡▼・ェ・▼ ズベシ
(;*゚ー゚)「あぁ! やられた!」
(´・ω・`)「犬でしょ」
( ^ω^)「そらそうだお」
(,,×Д×)ハニャーン……
▼・ェ・▼ アン!
- 41 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 21:59:51
(´・ω・`)「面白いもの見れたけど、こりゃベンチが使えないね」
( ^ω^)「犬の飼い主はどこだお」
(*゚ー゚)「う〜……」
≡≡(*゚ー゚)
,,(*゚ー゚) (,,×Д×) ハニャーン……
( ;^ω^)「……あ、しぃ! 危ないお、近寄るなお!」
(´・ω・`)「介抱する気なのかい?」
……(*゚ー゚) (,,×Д×)ゴルァ?
ていっ!(*゚ー゚)≡つ),,*゚Д) ギニャッ!
(´^ω^`)「何だ、魂を解放してやるのかい」
( ^ω^)「またこのパターンか」
- 42 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:00:28
( ;^ω^)「じゃなくて、しぃ! そんなことやっちゃいけませんだお! こっちに戻ってきなさい!」
(*゚ー゚)「ブーンッ! 大丈夫ですッ!」
( ;^ω^)「お?」
(*゚ー゚)「犬の方もとっちめてやっから!」
( ^ω^)「……」
( ;*゚ω*゚)「……お前はアホかおーッ!」
(´・ω・`)「おやおや、これは見物だ」
( #*゚ω*゚)「テメーは楽しんでんじゃねーおッ!」
- 43 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:03:22
テクテク.......(*゚ー゚) ▼・ェ・;▼アン!アン!アウーン!
(´・ω・`)「犬畜生でも身の危険は察知出来るようだね」
( ; ゚ω゚)「どどど、どーすんだお! 飼い主に見られたりしちゃったら! 誰か男の人呼んでー!」
(´・ω・`)「そんなに心配なら、君が止めにお行きよ」
( ;*゚ω*゚)「……」
( ;^ω^)「犬は苦手なんだお」
(´・ω・`)「おやおや、しぃでも平気だってのに」
( ;^ω^)「ショボンさん、お願いしますお……」
(´・ω・`)「……」
≡≡(´・ω・`)「仕方ないなぁ……」
- 44 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:04:39
,,(#*゚ー゚) ▼・ェ・;;▼ クウーン……
(#*゚ー゚)「君! 猫を一方的に虐めるとは何事か! 理由を四百字詰め原稿用紙三枚分で答えよ!」
( ;^ω^)(自分も虐めといて何言ってんだお)
(#*゚ー゚)「反省文! 反省文! 反省文! お待ちしてます!」
▼・ェ・;▼クゥン、クゥン
(#*゚ー゚)「鳴いていては分からないよッ! 弁明しないなら成敗するよッ!」
▼>ェ<;▼クウーン!クウーン!
(*゚ー゚)「……分からん! 殴る!」
▼>ェ<;;▼キャイーン!キャイーン!
( ;^ω^)「ダメだ、しぃはアホの子だ! ショボン早く止め……ッ!」
- 45 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:05:20
▼>ェ<;;▼´・ω) 「……汝、人の子よ! 我ら狗族に干渉する勿れ!」
( ^ω^)
(^ω^)「あいつ何やってんの」
(*゚ー゚)「わぁ! わんこが喋ってるんだよ!」
(^ω^)「……あぁ」
( ^ω^)「こいつら皆馬鹿だったんだっけ」
- 46 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:08:37
▼>ェ<;;▼#´・ω)「永きに渡る狗と猫の血で血を争う闘争劇は、いかにヒトであろうと口を挟める問題ではない!」
(*゚ー゚)「へぇへぇ」
▼>ェ<;;▼#´・ω)「下劣なる猫どもは我らが領土を我が物顔で通りおるのだ! 全くもってけしからぬ!」
(*゚ー゚)「ふんふん」
▼>ェ<;;▼´・ω)「互いの領土を侵犯する勿れ! 野生界の基本の掟である!」
▼>ェ<;;▼´・ω)「だが、かの猫の眷属共はその掟を歯牙にもかけぬ! あぁ嘆かわしや!」
(*゚ー゚)「へぇふんふん」
(**゚n ゚)〜 ファァ
(*゚~ ゚)「眠いなぁ」
- 47 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:09:54
(* ^ω^)(すげぇお、場の主導権をしぃから奪い取ったお!)
(* ^ω^)(バカみたいに見えるけど、あれはしぃを自分のペースに引き込む作戦なんだお!)
( ^ω^)(っと、しぃがこっちにきた)
( ^ω^) (ー ゚*)≡≡
(*゚ー゚)「……ブーン」
( ^ω^)「お、どうしたお」
(*゚ー゚)「ショボンって意味不明だよね」
( ^ω^)「……そうだおね」
( ^ω^)(はい違ったーッ! ショボンの方がただバカなだけでしたーッ!)
クゥーン▼@ェ@;;▼´・ω)「……よって我ら狗の勇士らは積年の戦争に終止符を打つべく今こそ……!」
- 48 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:12:08
僕らは飼い主が来る前にとっととその公園を出ることにした
もはや犬になりきったショボンを無理矢理引っ張って、何とか公園から抜け出した時
夕暮れは絶頂を迎え、燃えるような真っ赤な色を、西の空に塗り終えていた
- 49 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:13:29
( ^ω^)「……大変な目に遭ったお」
(´・ω・`)「しぃは畜生如きに喧嘩を売るし、ブーンはヘタレだし、とんだ災難だ」
(*゚ー゚)「ショボンも大概だよ!」
( ^ω^)「結局これからの予定も何も決めてないし……」
……ゴルァ、ゴルァ
(*゚ー゚)「……んん?」
( ;^ω^)「おい、嫌な予感しかしないお」
(´・ω・`)「もうフォローしないよ」
(,,゚Д゚)ゴルァ!
(*゚ー゚)「あらあら猫さんお久しぶりです」
(,,^Д^)ゴルァ!
( ´ω`)「何なんだお、殴られといてこの猫は……マゾなのかお、マゾ猫なのかお?」
(´・ω・`)「さぁね」
- 50 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:15:58
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
<(,,゚Д゚)的超解釈>
ていっ!(*゚ー゚)≡つ),,゜Д) ギニャッ!
(,,×Д×)
.
.
.
.
.
(,,-Д ゚)ハニャ……
( ,, ゚) ▲。ェ。▲ ←逆さになって倒れてる犬の図
((((;,,゚Д゚))))(あ、ありのまま、いまおこったことを(ry )
(;,,゚Д゚)(どういうことなんだゴルァ! おれっちのあたまだいかいてんだゴルァ!)
- 51 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:17:32
「ていっ!(*゚ー゚)≡つ),,゜Д) ギニャッ!」
=「(*゚ー゚)≡つ『後は俺に任せて……てめーはゆっくり寝てな……!』」
「▲。ェ。▲」
↑「ズリャッ!(*゚ー゚)≡つ)゜ェ゜▼ ぃぇぁ」
=「(*゚ー゚)『てめーの敵は討ったぜ……あでゅー』」
∴けつろん
(*゚ー゚)=あにき
(,,゚Д゚)
(,,TДT)アニキー!アニキー!
(,,TД゚)(アニキ、おれはアンタみたいになりたい!)
(,,゚Д゚)(だから……アンタといっしょにいさせてくれえぇぇッ!)
≡≡≡(,,゚Д゚)ゴルァああああああッ!
- 52 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:19:27
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(#´・ω・`)「……流石は猫畜生、誰が助けてやったか分かってないようだ」
( ;^ω^)「急に考え込み出したと思ったら、一体何だお」
ナデナデ(*゚ー゚)つ"(^Д^,,)..ゴルァ!ゴルァ!
(*゚ー゚)「……あ、この子の名前はギコ君ね♪」
( ;^ω^)「何でだお?」
(*゚ー゚)「そういうもんだから!」
( ^ω^)「さいでっか」
(´・ω・`)「……まぁ、構やしないさ。とりあえず、またあの大通りに戻ろう」
( ^ω^)「把握だお」
(*゚ー゚)「はあく〜」
(,,゚Д゚)ゴルァ!
公園の入り口に立っていた僕たちは大通りへと戻り
また西の方に進もうとしたんだ
その時だった
夕方の鐘の音が聞こえてきたのは
- 53 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:20:43
( ^ω)(´・ω)(*゚ー)(,,゚Д)
皆、黙って空を仰いだ
夕空一面に広がるその音は、僕たちにとっては夕暮れ時の終わりの合図
子供は家路に着く時間
これから先は、夜の時間
帰らなくちゃ、でも僕らはまだまだ旅をしなきゃ
……真っ赤だった西の空に、暗い陰が落ち始めているようだった
(´・ω・`)「……行こう」
( ^ω^)" (*゚ー゚)"
僕もしぃも、うなずいた
このままここにいては、僕たちの旅は無駄になってしまうから
- 54 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:21:59
大通りを西に向かう僕たちの表情は堅くなっていた
後でどうなるか考えて、怖いからなのかな
……しぃのところは門限に厳しいって聞く
だから、しぃがいつも通りの顔でいるのを見ると
僕の胸はなんだかとても締め付けられるようだ
僕のお母さんやお父さんも僕のことを怒るだろうに
何だかそれは大したことの無いように思えた
……僕は何だかどうにも辛くなってしまって
たまらず、しぃに声をかけようとした
- 55 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:22:41
テクテク,,,(*゚ー゚)
,,,( ^ω^)「……し」
(*゚ー゚)「ねぇ、ギコ君!」
(,,゚Д゚)ゴルァ!
(*゚ー゚)「……何だか寒いから、抱かせてもらうね」
(,,^Д^)ハニャーン
...(*゚ー゚)(,,^Д^)
( ^ω)「……」
(::::::^ω)(何だろう、何か、嫌な……)
(´・ω・`)「聞こえなかったみたいだよ」
( ^ω)「別に、いいお……」
(´・ω・`)「……そうかい」
- 56 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:24:06
ルンルン♪...(*゚ー゚)(,,゚Д゚)ゴルァ!ゴルァ!
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「……さっきから、どうしたってんだい?」
( ^ω^)「……何でもないお。あんな鳴き声で本当に猫なのか考えてたんだお」
(´・ω・`)「良いんじゃないかな、僕たちが猫だと思えばそれは猫だよ」
( ^ω^)「……そうだおね」
(´・ω・`)「ついでに君が不安そうな顔してるのも、その猫が原因なんじゃないかい」
( ;^ω^)「な、何だお。不安そうって、急に……」
(´・ω・`)「そうだね、急だね。あの猫がしぃの側に現れたのも」
( ;^ω^)「……何が言いたいんだお」
(´・ω・`)「つまりね……」
ババーm9(´・ω・`)「君はギコに嫉妬しているって言いたいのさ!!」ーーン!!
( ;^ω^)「な、なんだってー!!」
( ^ω^)「いや、アホちゃうん、君?」
- 57 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:24:56
( ^ω^)「どうして僕がしぃの為に嫉妬しないといけないん?」
( ^ω^)「ないわー(笑) ちょ、ちょっと、ショボン君それはないわー(笑)」
( ^ω^)「大体しょっちゅう付きまとわれて、変なことに振り回されて」
( ^ω^)「そんな僕がしぃから離れられるというならそれは喜ばしいことであって」
( ^ω^)「むしろしぃの新しい玩具となるギコ猫君には最大の感謝を払うべきであって」
( ^ω^)「それが嫉妬? Jealousy? オーマイゴ〜〜ッド(核爆笑)!」
( ^ω^)「ショボン君、お熱がでちゃったんでちゅか〜?」
( ^ω^)「っていうかお前の熱、知恵熱じゃない?」
( ^ω^)「知恵熱!知恵熱!あ、それ知恵熱!」
∩( ^ω^)⊂ チ〜エネツ!チ〜エネツ!チエネツホイ!
⊃(^ω^ )∩ ネツネツチエネツ!チエネツホイ!
(´・ω・`)∩
フンッ!(´゚ω゚`)≡つ)*゚ω)∩ シエラネヴァダ!
- 58 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:26:46
(´・ω・`)「愚者は語るというが、君はまさにその通りだ」
(´・ω・`)「語るどころか踊りだすとはね、踊る阿呆とは君のことだよ」
(´・ω・`)「……ん?」
ババ―――m9(´^ω^`)「踊るアホウたぁ、テメェのことだぁ!」――ン!!
_, ,_
((.;.;)^ω^)「……何がしたいんだお」
(´・ω・`)「いや語呂が気に入ってね。とにかく、精々後は自分で考えることだ」
((.;.;)^ω^)「何なんだお……」
(;*゚ー゚)そ「うわブーンどうしたのその顔」
(,,゚Д゚)そ ゴルァ!
_, ,_
((.;.;)^ω^)「ちょっと、ショボンに……」
(*゚ー ゚)
(;*;;;- ゚)
(*;;;;;;)(ショボンコロスショボンコロスショボンコロスショボンコロスショボンコロスショボンコロスショボンコロスショボンコロスショボンコロスショボンコロスショボンコロス)
(;,,゚Д゚)そ ゴ,ゴルァ!?
- 59 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:28:32
(*゚ー゚)「おうおうショボン、くそフグリ。ちょっとこっちにいらっしゃい」
(´・ω・`)「おやおや、随分挑発的だねぇ」
( ;^ω^)「ちょ、二人とも」
(,,゚Д゚)ヤッチマエアニキ!
(*゚ー゚)「大丈夫だよブーン!」
( ;^ω^)「……」
(*゚ー゚)「ちょっとショボンの上下のフグリをもぎ取るだけだから!」
( ^ω^)「下手したら死ぬおそれ」
(*゚ー゚)「下手しなくても死ぬよ!」
( ^ω^)「分かってて言ってんのかーい」
(´・ω・`)「まぁもぎ取らせる気はないけど、話だけは聞いてあげるよ」
(*゚ー゚)「オーケー、あそこの路地にいこうよ。一瞬でケリつけてやんよ」
( ;^ω^)「ぼ、僕もいくお」
(,,゚Д゚)オレモダゴルァ!
(´・ω・`)「いや、君はギコとでもお留守番して、さっき僕の言ったことを考えてたらどうだい」
( ;^ω^)「でも……」
(*゚ー゚)「お留守番よろしくね〜」
( ;^ω^)「……」
(,,゚Д゚)マチボウケダゴルァ!
- 60 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:29:34
( ;^ω^)「……はぁ、お前とお留守番かお。何か嫌だお」
(,,゚Д゚)オレモダゴルァ!
( ^ω^)「まぁいいお。考える暇が出来たお」
(,,゚Д゚)ゴルァ?
( ^ω^)(ショボンがさっき言ったこと……)
( ^ω^)(僕がギコに嫉妬した、ってことだおね)
嫉妬……か……
- 61 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:30:40
……僕は、しぃのことが好きなのかお?
しぃが僕以外の誰かに頼るとこを見て、僕はギコに嫉妬したのかお?
……ちょっと、違う気がするんだお
確かにしぃのことを考えると辛くなることはある
でも、僕はしぃと、こ、恋人になりたい訳じゃないお
……何言ってんだ僕は、ありえないことだお
それよりも……僕は、しぃの今と、これからとが、とても心配でたまらないんだお
出来れば僕はしぃの側にいて、しぃがいつまでも笑っていられたら、って思う
そのことを考えていつも胸が苦しくなるんだお
そうはいかないってことを、分かってるから……
僕たちが居なくなるまでに、しぃが強くなるか、新しい友達が出来たらって思ってたけれど
ギコが突然現れたもんだから……
ギコが突然しぃの傍にいるから……
しぃがギコを抱きしめたりするから……
僕は悔しくなってしまったのかも、しれない
やっぱり僕は、弱虫どころか、最低の人間だお
しぃの幸せを考える振りして、自分のことしか考えてなかったんだお……
- 62 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:31:55
( ´ω`)「……はぁ」
( ´ω`)「なぁギコよ、お前はしぃが好きかお?」
(,,゚Д゚)!
(,,゚Д゚)アタボゥダゴルァ!
( ^ω^)「まぁ好きなんだろおね」
( ^ω^)「僕もきっと、しぃが好きだお」
ワクテカ(0*゚,,゚Д゚)ライクカゴルァ!?ラヴカゴルァ!?
( ^ω^)「何だこいつ。急にてかりだしやがった」
( ^ω^)「……僕らは皆、一人っ子だお。僕は弟か妹が欲しかったけどね」
( ^ω^)「ショボンやしぃはそうでもないようだけど」
(,,゚Д゚)オレハ,テンガイコドクダゴルァ
( ^ω^)「……しぃといるとね、なんだか兄弟でいるみたいなんだお」
(,,゚Д゚)……
- 63 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:33:15
( ^ω^)「しぃが落ち込んだ時、僕以外に頼るなんてみたことなかったから」
( ´ω`)「だから、君に嫉妬しちゃったのかおね……」
(,,゚Д゚)ゴルァ……
( ´ω`)「僕、馬鹿みたいだおね……勝手な理由で、勝手に嫉妬して」
( ´ω`)「ショボンに殴られないと嫉妬したことも認められないなんて……」
(,,゚Д゚)……
...(,,゚Д゚)( ´ω`)
ポン(,,゚Д゚)つ( ´ω`)!
(,,-Д-)つ(^ω^ )「お前……」
(,,゚Д゚)ゴルァ!(じんせいってなぁそういうもんさ、ぼうず)
(,,-Д-)ゴルァ……(じぶんのきもちなんて、じぶんがいちばんわかってやれねぇもんなのさ)
(,,゚Д゚)ゴルァ、ゴルァ(ましてや、それをみとめるなんて、おれっちにだってかんたんなことじゃあねぇ)
(,,^Д^)ギコハハハ!(それができただけ、ぼうずはよくやったぜ!)
(,,^Д^)ギコハハハ!←生後3年(人間換算およそ33歳)
( ^ω^)←生後12年8ヶ月
( ^ω^)「何言ってんのか分かんないけど、こいつ偉そうだな」
- 64 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:33:51
( ^ω^)「……ま、良いお。猫風情に同情されてみるのも」
(,,^Д^)ギコハハハ!
ガシッ( ^ω^)つ(,,゚Д゚)そ ゴルァ
( ^ω^)つ(,,゚Д゚)⊂ 「……僕らは来年、町を離れるお」
「その時はギコ、お前がしぃを守ってやるんだお」
(,,゚Д゚)……
(,,^Д^)ゴルァ!
「おやおや〜、友達のいないブーン君は、猫とお話ですか〜?」
( ;^ω^)「……ッ! 誰だお!?」
- 65 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:35:10
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(*゚ー゚)「……何でブーンのこと、殴ったのさ?」
(´・ω・`)「あんまりにも彼が馬鹿だからさ」
(*゚ー゚)「……ブーンは、馬鹿じゃないよ」
(´・ω・`)「いいや馬鹿だ。自分の気持ちに素直になれない奴は、皆馬鹿さ」
(#*゚ー゚)「馬鹿じゃないって!」
(´・ω・`)「馬鹿さ、君だって馬鹿だ」
(#*゚ー゚)「ブーンは違う!」
(#´・ω・`)「違くない!」
(#*>Д<)「違うもん!」
(#´・ω・`)「絶対に違くない!」
(#´・ω・`)「ブーンは君のことが好きなの! でも、ブーンはそのことが分からないんだ!」
(#´・ω・`)「もう一緒にいられる時間もあまりないってのに、彼はそんなことにも気付いてなかったんだ!」
(*゚ー゚)「……え?」
(#´・ω・`)「……ッ!」
- 66 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:35:59
(#´・ω・`)「考えてみなよ、今まで一緒にいた僕らがバラバラになってしまう姿を」
(´・ω・`)「僕らは根っからの嫌われ者さ、周りの奴らと上手く付き合えないんだ」
(#´・ω・`)「でもブーンは違う! ブーンは元々クラスのリーダーだったんだよ!」
(#´・ω・`)「それなのに、僕らなんかと仲良くして……」
(*゚ー゚)「……」
(´・ω・`)「彼は美府町を出ても上手くやっていくよ」
(´・ω・`)「だけど、優しい彼のことだ……きっといつまでも美府町を、僕たちを覚えているんだ」
(´・ω・`)「……それで本当に彼は幸せになれるのかい?」
(*゚ー゚)「……そんなことない。向こうの町で、今までのことなんか忘れてしまえば良いよ……」
(´・ω・`)「そうさ」
(´・ω・`)「凡人ならそう考えるだろうね」
(*゚ー゚)「……え?」
- 67 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:37:47
(´・ω・`)「勘違いするなよ。美府町は確かにどうだって良い」
(´・ω・`)「でも、僕らのことは覚えていて欲しいんだ」
(´・ω・`)「だけど、僕とブーンは美府町を出て、皆離ればなれだ」
(´・ω・`)「僕はそんなのいやだ、僕らは三人で一人なのさ」
(´・ω・`)「じゃあ、僕たちはどうすれば良い?」
(*゚ー゚)「……」
(´・ω・`)「答えは、僕たちだけで美府町から逃げ出すことさ」
(´・ω・`)「僕たちの好きな場所と言ったら、あの公園だ」
(´・ω・`)「あの夕焼け時の寂しい公園。もうすぐ別れが来るというのに、知らない振りして僕らが遊ぶ、あの夕暮れ!」
(´・ω・`)「僕らは逃げ出すのさ。夕暮れ時に」
(´・ω・`)「僕らはそこでずっと暮らしていくんだ! 僕たちだけの楽園に! 僕たちだけが笑っていられる世界に!」
(#´・ω・`)「そうさ、名付けて夕焼けエスケープ! これが一番正しいんだ!」
(*゚- ゚)(怖い……)
(*゚- ゚)(良く分からないから、怖い……)
- 68 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:39:40
(´・ω・`)「……ブーンに僕の真意は伝えていない。きっと反対するだろうからね」
(´・ω・`)「でも、君は違う。君と僕は似ている」
(´・ω・`)「君なら僕と同じように考えるはずさ」
(´・ω・`)「ブーンは君を好きだから、君と僕が一緒に逃げれば、きっとブーンも来てくれるってことさ」
(**゚- ゚)「……」
(*゚- ゚)「……ショボンの言う通りかもしれない」
(´・ω・`)「そうだろ? 分かってくれた「でも!」
(*゚- ゚)「でも! 何かがおかしい気がするの!」
(*゚- ゚)「何がおかしいかは分からない! でも、きっとそんなのじゃダメだと思うの!」
(´・ω・`)「……何だい、同意してくれないのかい」
(*゚- ゚)「私もこのまま皆バラバラはやだ! でも、でも……」
(* -)「美府町から逃げても……上手くいかないって、思えてきて……」
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「……だとしても、今更町には戻ら「やめるおーッ!」
(;´・ω・`)「ッ! ブーンの声!」
(;*゚ー゚)「ブーン!?」
- 69 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:40:51
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
_
( ゚∀゚) o(;,,*゚Д゚)ゴルァ!ゴルァ!
<_プー゚)フ(=゚ω゚)ノ( ´ー`)( ゚д゚ )
( ; ゚ω ゚)
( ;^ω^)「あ、二人とも! ごめんお! あいつらが……っ!」
(*゚ー゚)「ブーン!」
(;*゚ー゚)「……あ……」
(#´・ω・`)「……何だ、君たちかい」
(#´・ω・`)「学校どころか、こんなところまで僕たちに構うなんて、よっぽどの物好きのようだ」
_
( ゚∀゚)「あらら、結局いつもの3人って訳か。勘違いすんじゃねー、てめーらの為じゃねーよ」
<_プー゚)フ「他に友達いないのかよー!」
(=゚ω゚)ノ「いるわけなぃょぅ!」
( ´ー`)「何たって、みんなから嫌われてるんだーヨ」
σ( ゚д゚ )?
( ;´ー`)「おめーのことじゃネーヨ」
- 70 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:43:14
(#´・ω・`)「それじゃあ何でこんなとこに君たちがいて
クソ眉毛野郎はギコを捕まえてるんだい?」
(#´・ω・`)「返答次第じゃぶち殺すぞ」
<_プー゚)フ「おぉ怖い怖い」
_
( ゚∀゚)o(;,,゚Д゚) 「ギコってぇのはこいつか?」
_
( ゚∀゚)「……っとにガリ勉野郎は威勢が良いなぁ、そんなんだと……」
_
( ゚∀゚) o(;,,゚Д゚)
_
ギュウ!( ゚∀゚) o(;,,゚Д゚)ゴ、ゴルアァ!
_
( ゚∀゚) o(;,,゚Д゚) 「こいつ、殺しちゃうよん?」
(#´・ω・`)「……ッ! クソッ!」
(*;ー;)「やだぁ! やめてよぉ!」
- 71 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:44:31
- _
( ゚∀゚)「こっちも聞きたいことがあるけどよ」
_
( ゚∀゚)「とりあえずショボン、テメー土下座して俺に詫びろ」
(#´・ω・`)「はぁ? 何がしたいんだ君は!」
_
( ゚∀゚)「俺の眉毛を馬鹿にする奴は許せねぇんだよなぁ」
<_プー゚)フ「ジョルジュは朝昼晩、一時間の眉毛ケアを欠かさないのだ!」
(=゚ω゚)ノ「さすがジョルジュ! 眉毛のキューティクルが光り輝いて、とってもキュートだょぅ!」
_
( ゚∀゚)「馬鹿にしてんのかてめぇ」
( ;^ω^)「ぼ、僕が謝るお! だからショボンは許してお!」
_
( ゚∀゚)「あぁん? 意味不明だな。お前が謝ってどうなんだ」
( ´ー`)「お涙頂戴誘ってんじゃネーヨ」
(;Д; )
( ;´ー`)「ミンナ、オメーが泣いてんじゃネーヨ」
(#´・ω・`)「ブーン、僕がやらないとダメだ」
( ;^ω^)「……ごめんお! ホントにごめんお!」
- 72 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:45:58
そういうとショボンは、固いコンクリートの道の上に正座して、頭を下げてしまった
何も出来ない僕は、責任の重さを感じながら、ただそれを歯軋りしながら見ているしかなかった
(#´・ω・`)「……ごめん」
_
( ゚∀゚) 「はいはい、ほら立てよ。みっともないからさ」
<_プー゚)フ「ジョルジュにしては優しい方だな!
土下座にストンピングかましてもおかしくないのに!」
(=゚ω゚)ノ「今日のジョルジュはちょっと違う! 優しくて、人の痛みが分かるんだょぅ!
お前はヒールじゃなかったのかょぅ!」
_
( ゚∀゚)「エクスト、いよう。てめーら後でコブラツイストかましてやっから覚悟しとけ」
<_プー゚)フ(=゚ω゚)ノ「「やめたげてょぅ!」」
_
( ゚∀゚)「……それで何だっけ? どうして俺らがここにいるかだっけか?
ミルナ、説明してやれ」
(;Д;)「俺が説明しようグスッ」
( ;´ー`)(何でまだ泣いてんダーヨ)
( ゚д゚ )「ここの近くの商店街の本屋だと週刊少年ジャブーンが一日早く買えるのでね」
( ゚д゚ )「我々はそれを買いにきたんだ。帰りに内藤君を見かけたのは偶然と言う他ない」
(#´・ω・`)「……ッ! 何で今日に限って……ッ!」
( ;^ω^)「……」
- 73 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:47:59
- _
( ゚∀゚)「こっちの事情は説明したんだ、そっちも教えてくれたって良いだろ?」
(#´・ω・`)「……嫌だね」
_
( ゚∀゚)「おうおう、強情だねぇ。お兄さんそういうの大嫌いだぜ」
<_プー゚)フ「何だかとっても怪しいぞ! さては人にはいえないあんなことやこんなことが!」
(=゚ω゚)ノ「お宝! お宝の匂いがぷんぷんするんだょぅ!!
げへ、げへへだょぅ!世紀末だょぅ!」
<_プー゚)フ「汚物は消毒だーってか!ってか!」
(=゚ω゚)ノ「トキーッッ!!」
_
( ゚∀゚)「あの、お前らホント黙ってもらえないかな」
- 74 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:48:35
(´・ω・`)「……分かった、言う。言うよ。大した理由なんかじゃないからね」
_
(´・ω・`)「僕らはただ、気分転換に散歩しにきただけさ。それ以外には( ゚∀゚)「嘘だな」
(;´・ω・`)「……何を根拠に!」
_
( ゚∀゚)「俺を見れば親の仇か、ってぇ位に睨んでくるてめぇの顔がよ」
_
ニタァ( ゚∀゚)「わざわざ普通の顔に戻るってぇことは、よっぽど隠したいことがあるんだろうなぁってね」
(;´・ω・`)「クソがッ……!」
_
( ^∀^)「いひひひひぃ! やりぃ! ついに口で打ち負かしたぜぇい!」
<_プー゚)フ「つまり、「(#´・ω・`)」が「(´・ω・`)」になったってことだな!
アホでも分かるってもんだぜ!」
(=゚ω゚)ノ「流石名探偵ジョルジュ! でも、メタネタに走るのは目に余るものがあるょぅ!
反省するんだょぅ! 氏ねぃ!」
<_フ×ー×)フ(=×ω×)ノ キュウ……
_
スタスタ...( ゚∀゚)
- 75 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:49:24
- _
( ゚∀゚)「……大体よ、良い子ちゃんのお前らが
五時過ぎてこんなとこ、ぶらつくわきゃねーんだよなぁ」
_
( ゚∀゚)「ま、そーゆう訳でよ。ホントのとこの理由教えてくれや」
(#´・ω・`)「嫌だね……」
_
( ゚∀゚) o(;,,゚Д゚) 「言わなきゃ言わないでいい、でもな。教えてくれるまで、こいつは返さねぇよ」
(#´・ω・`)「……ッ!」
(*;ー;)「ショボン……っ!」
( ;^ω^)「ショボン! 癪に触るけど、僕はもう教えてしまうお!」
(;´・ω・`)「ダメだ! こんなふざけた奴らなんかに、教えてたまるもんか!」
_
( ゚∀゚)「あ〜あ、嫌われたもんだぜぇい」
( ´ー`)「……この僕らがふざけてるなら、あんたら一体、何様のつもりダーヨ!」
( ゚д゚ )「あ、『僕の宗教へようこそ』? 筋少良いよね〜」
( ´ー`)「うんうん、俺ファンでさぁ。活動再開したの超うれしぃんだよねぇ」
( ゚д゚ )「分かる分かるぅ、今度のライブ行きたいなぁ」
_
(III ゚∀゚)「何なんだよこいつら、話がすすまねぇよ……俺、ぜってぇ付き合う友達間違えたよ……というかもっと硬派なキャラ出すべきだったよ……」
( ^ω^)(何だろう、こいつに親近感が持てる)
(=×ω×)ノ「メタネタ氏ねだょぅ……」
_
(# ゚∀゚)「るせぇ!」
- 76 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:50:38
- _
(# ゚∀゚)「だーもういい! こいつ連れて美府町に帰っちまうぞ! それで良いのか!」
(*゚ー゚)「っ! だめぇ!」
_
( ゚∀゚)「……なんでぇ、こいつはしぃの飼い猫かい」
(*゚ー゚)「お願いだから返してぇ……!」
_
( ゚∀゚)「他のやつはどうだか知らないがよ、お前のこと可愛いとか思ってないから、色仕掛けは効かねぇからな!」
_
( ///∀)「……効かないんだからな!」
( ^ω^)「何故二回言ったし」
( ^ω^)「何かもう、ジョルジュたちに話しても全然大丈夫なような気がしてきたお」
_
( ゚∀゚)「おうおう、俺っちは人畜無害だからよ。何でも話しちまいなよ」
(;´・ω・`)「ブーン! 僕らは今まで散々こいつらに虐められてきたんだよ! そんなこと言うな!」
( ;^ω^)そ「ご、ごめんお」
_
(# ゚∀゚)「……ホントショボンはねっとり根にもつ根暗野郎だな。略してNNNだな
しまいにゃてめーを締めてやんぞ」
( ;´ー`)「……NNNって、NNNってお前……うわぁ、面白いと思ってるのカーヨ」
( ゚д゚ )「ジョルジュ君は奇特な趣味を持っているのですね、先生は個性的で面白いと思いますよ」
_
:(#*゚"Д*゚"):「てめぇらからぶっ殺すぞ」
- 77 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:51:26
- _
(# ゚∀゚)「……しゃーねぇ、てめぇらのノリに合わせてよ、油断させる作戦だったが」
_
( ゚∀゚) o(;,,゚Д゚)ゴ,ゴルァ「作戦変更だ、こいつぶっ殺す」
<_プー゚)フ「ヘイヘイ? DJジョルジュ? 何言ってんだぜ? これがいつもの俺たちのノリなんだぜ?だぜだぜ?」
(=゚ω゚)ノ「YOー! YOー! 俺様IYO-! ショタッ気ムンムン美少年だYO!」
(# ´ー`)「どーでも良いけどYO! 俺だけ名前呼ばれてないダーYO!」
(# ゚д゚ )「みっみみ、みみんな、みんみんな! HEY! こ〜っち〜を、みんみんな! チェケ!」
_
(::::::::*゚)「……おイィ、いイ加減黙っとケ」
_
(::::::*゚∀::)「……死ぬのは怖くないか?……」
<_プー゚)フ(=゚ω゚)ノ( ´ー`)( ゚д゚ )「はいすみませんでしたー!」
(*゚ー゚)「……っ! やめて! 止めてってば!」
_
( ゚∀゚)「……うっせぇな。恨むならクソ垂れ眉野郎を恨めよ」
_
( ゚∀゚) o(;,;Д;) 「おめーも可哀想な猫だな。ま、死なない程度にしてやっから」
- 78 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:53:02
ジョルジュがそう言うと、手に持ったギコを頭上高くへと振り上げて、地面へと叩き付けた
ギコは、か細い声で一声鳴くばかりで、それきりだった
その瞬間、僕の心の中に水滴が落ちたかのように、スーッと冷えた波紋が広がるのを感じた
だのに、ギコの元に駆けつけようとしても、体が焼けるように熱く、何故だか全く動けない
そんな僕を尻目に、ショボンは勢い良くギコの元に駆け出していった
しぃは……目の前で何が起きてるか分からないようだった
- 79 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:54:11
(#´・ω・`)「ジョルジュウウウウゥゥゥゥ!!」
_
(# ゚∀゚)「こいよクソ垂れ眉! ぶっ殺してやらぁ!」
ショボンとジョルジュは取っ組み合いの喧嘩を始めた
ショボンはいつもと違い、凄まじい勢いで向かっていったけど
まるで勝負になってなかった……
ショボンの顔もお腹も、何度も何度も殴られていく
なのにジョルジュは、かわしたり、掌で受け止めるだけだ
それでも僕は……まだ動けなかった
(*;ー;)「ブーン! ブーン! お願い、助けて! お願い!」
( ;^ω^)「……あ! い、行くお!」
僕がやっと動けたのは、しぃの声を聞いた時だった
- 80 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 22:54:54
(,, メд )
≡( ;^ω^)「ギコ! ギコ! 大丈夫かお!」
<_プー゚)フ「お〜っと、ここを通す訳には」
(=゚ω゚)ノ「いかないんだょぅ!」
( ; ゚ω ゚)「ふ、ふざけんなお! 早く手当してやらなきゃ! ギコが! ギコが!」
<_プー゚)フ「そう言われてもな〜!」
(=゚ω゚)ノ「折角の人質を逃す訳ないんだょぅ!」
( ´ー`)「つう訳でーヨ」
( ゚д゚ )「ショボンが意地になって戦っている今、お前の口で言ってやるんだ」
『僕たちの負けです』ってな
- 81 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:00:46
( ; ゚ω ゚)「……ッ! 誰が、誰が言うもんか! お前らなんかに!」
( ゚д゚ )「……周りを良く見たまえ」
( ;^ω^)「何だお……何なんだお!」
……しぃを、見た
顔の前に両手を絡ませ、必死に何かに縋っているようだった
何もない地面をただじっと見つめていたが、もうその眼には何も映ってないのだろう
……ショボンとギコを、見た
ボロボロだ。ギコはピクリとも動かない。ショボンはもうただ殴られるだけの人形みたいだ
もういい、もう降参してくれ……なんで、なんでまた立っているんだ……
僕は、もう、ただただ逃げ出したかった
この、見てられない現実から
だから……
言葉が突いて出てくるのに、時間はかからなかった
- 82 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:02:14
.....................
................
.........
.....
....
..
.......(´(.;.;)ω`)
......( ω)
......(* -)(,, メд )
最悪の気分だった
どうして僕らは何もかも上手くいかないんだ
どうして町の外でまで、僕たちは大嫌いなあいつらに打ちのめされるんだ
……結局、僕たちの目的は教えてしまった
当たり前かもしれないけど、あいつらは笑って馬鹿にしたんだ
理由を知るだけ知ったら、とっとと帰っていってしまった
悔しい、ただただ、悔しい……
- 83 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:02:52
何で僕たちは自分で決めたことまで、馬鹿にされるの?
……どうして僕たちはこんなに惨めなの?
町にいてもダメ、町の外でもダメなら……
僕たちは一体、どこへ行けば良いの?
……僕にはもう、西へ行く意味が分からなかった
……でも、もう遅い
今町に戻ったら、僕らは一生惨めなままだろうから
- 84 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:03:42
(´(.;.;)ω`)「……急ごう、ギコの外傷はひどくないようだけど、心配だ」
( ω)「……ねぇ、ショボン。僕たちは、一体どこへ向かうんだお?」
(´(.;.;)ω`)「……ギコの治療が先決だ。公園くらいあるだろう。まずは……」
.(* -)(,, メд ) 「ギコ……」
.(* ;-)
:(* ;-):「もうやだ……もうやだよぅ……」
(´(.;.;)ω`)「……」
( ω)「……」
- 85 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:05:00
……しぃに、何も言ってやれない僕が恨めしい
あの場で、ジョルジュがギコを叩き付ける前に動いていたら
ショボンがどう言おうと、初めから僕たちの目的を告げていたら
ギコが叩き付けられた瞬間、ジョルジュなんかぶっとばせてしまえたら
あいつらの言葉なんかに屈しないで、みんなまとめてやっつけられてたら
今思うことはそればかりで、それが出来ていたら
僕はしぃを泣かせることも、ショボンに傷が出来ることも、なかったんだお
だけど、僕は何も出来なかった
本当に、弁明の余地なく、何もしなかった
笑える程、僕はクズなんだ
僕は、今までしぃを守っていたつもりだったけど、全然そんなことはなかったんだ
誰からも、何からも守ってこれやしなかったんだ
つくづく、自分は弱虫だ
僕には何も出来やしない
- 86 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:07:22
大通り沿いに西へ進んでいくと、路地裏に小さな公園が一つあった
...............
...........
........
....
..
(*゚-*゚)つ(,,-Д-)「ギコ、気絶してるだけみたい……」
フキフキ( ;^ω^)つ□(´(.;)-ω・`)「ギコには手加減したのかな。いてて、僕にもしてくれっての」
( ;^ω^)つ□「……」
( ;-ω-)つ□「……皆、ごめんだお」
(*゚ー゚)「……どうしてブーンが謝るの?」
( ;-ω-)つ□「僕が不注意だったから、こんなことになったんだお」
( ;-ω-)つ□「ジョルジュがギコを奪ったり、叩き付けたり、僕はそれを防げた筈だお。でもしなかった」
( ;-ω-)つ□「ショボンが殴られているのを見ても、僕には何もできなかったお」
(´(.;)-ω・`)「……」
( ;-ω-)「……僕が、悪いんだお」
- 87 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:08:18
(´(.;)-ω・`)「……あのね、ブーン」
( ;^ω^)「お?」
(´(.;)-ω・`)「それを言ったら、この三人全員に当てはまるんだ」
(*゚ー゚)「……うん、そうだよ……」
( ;^ω^)「だって……」
(´(.;)-ω・`)「その前に、拭いてくれないならハンカチ貸してよ。僕もハンカチ持ってないんだ」
( ;^ω^)「あ、うんだお……」
- 88 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:12:12
つ□(´;-ω・`)「君は自分に出来なかったことを悔やんでるようだけど、僕だってそうさ」
つ□(´;-ω・`)「そもそも僕たちが君と一緒に路地裏に行けば
君がジョルジュに見つかることだってなかったはずだしね」
( ;^ω^)「……そんなこと! 僕は責めないお!」
つ□(´;-ω・`)「そうさ、君は責めなんかしない」
つ□(´;-ω・`)「じゃあ逆に聞くけどさ、どうして僕たちが君を責めようだなんて思えるんだい?」
( ;^ω^)「責めるとかじゃ、ないお……ただ、僕のせいで、迷惑をかけたなって」
つ□(´;-ω・`)「なんだ。ただの自己批判なんて、それこそ迷惑だよ」
( ;^ω^)「!……ごめんだお……」
(*゚- ゚)「ショボン……」
つ□(´;-ω・`)「まぁまぁ、最後まで聞いてよ」
- 89 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:13:13
つ□(´;-ω・`)「今回は、誰にも落ち度がないよ」
つ□(´;-ω・`)「……そりゃ、僕らがあいつらから嫌われてるのが悪い、とも言えるかもしれないけどね」
つ□(´;-ω・`)「この三人の誰かのせいになんか、絶対にすることは出来ないはずさ」
( ; ゚ω ゚)「っ……! でも僕は! 君がジョルジュと喧嘩してる時、動くことも出来なかったんだお!」
( ; ゚ω ゚)「君がやられるのを、僕はただ見てただけなんだ!……自分が気持ち悪くて仕方ないお!」
つ□(´;-ω・`)「……どうしてそんな風に言うんだい?」
( ω )「……ショボンは、大事な友達なのに、守ることも、一緒に戦うことも出来なかったお」
(# ω )「……しぃも、しぃの大事なギコを守ることすらも、あいつらに邪魔されたお」
(# ; ω )「僕、何も守れなかったお。僕は、ふ、二人のことが好きなのに、本当に何にも出来なかったお!」
( ⊃ω;)「そんなぼ、僕なんか、ひ、必要ないお。いらないお。」
:( ⊃ω⊂):「ごめんだお、ごめんだお! 何も出来なくて、ごめんなさいだお!」
つ□(´;-ω・`)「……っとに、ブーンは」
(*゚ー゚)(,,-Д-)「……」
- 90 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:15:27
(*゚ー゚)「……あのね、ブーンは、ちゃんとブーンの出来る事したと思うよ」
( ;ω;)「……何もしてないお」
(*゚ー゚)「してないわけないよ。しぃこそ、何も出来なかったけど……」
( ;ω;)「……」
(*゚ー゚)「……確かに、ショボンはジョルジュに向かっていったよ」
(*゚ー゚)「でもね、ブーン。あそこで二人ともジョルジュに向かっていった方が
もっと悪いことになってたと思うよ?」
( ;ω;)「……どうしてだお?」
(*゚ー゚)「そしたら、ショボンの代わりに『僕たちの負けだお』だなんて言ってくれる人、居なくなってたもの」
( ;ω;)「そんなの……!」
(*゚ー゚)「それにね! ショボンにはごめんだけど……」
(*゚ー゚)「……ブーンが動かないで、しぃの傍に立っていてくれたから」
(*゚ー゚)「しぃ、あの時、何とか立ってられてたの」
(*゚ー゚)「もし、ブーンもジョルジュにやられたらって考えると……」
(*゚ー;)「しぃ、とっても怖く、て……だから、ね……」
(*;ー;)「ブーン、な、泣かないで……し、しぃもかなしく、なっちゃう、よ……」
( ;ω;)「……!」
- 91 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:16:20
( つω⊂)ゴシゴシ
( ^ω;)「……僕は馬鹿だお。これ以上、しぃを泣かせたくないお……」
(*;ー;)「……ん! それで良いんだよ! だよ!」
つ□(´;-ω・`)「ったく、立ち直ったのかい。僕の方こそ泣きたい気分だってのにね」
□⊂(´;-ω・`)「ほら、ハンカチ返すよ。腫れが引いてきたようだ」
( ^ω^)「お……」
- 92 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:17:10
( ^ω^)「……ギコの調子は、大丈夫かお?」
(*;ー;)「ん、寝息きこえる」
(,,-Д-)zzz
( ;^ω^)「大丈夫そうだおね」
( ^ω^)「……あ、しぃ」
(*;ー;)「……ふぇ?……ふぁ」
フキフキ( ^ω^)つ□(;ー;*) 「君に涙は似合わないお」
( ^ω^)つ□「今度は君のこと、ちゃんと守ってみせるお」
(*゚ー゚)「……」
(*///)「……っ! は、はわわ! は、はいっ!」
- 93 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:20:56
(´;-ω・`)「……ッ!? ん? あれ? あっれれ〜? おっかしぃぞ〜?」
(´;-ω・`)「は? なんで急にストロベってるのこいつら? 死ぬ? 死ぬの?
こいつら死ぬの? それとも僕が死ぬの? ってかそのハンカチ血ついてるよ? 良いの?」
(´;-ω・`)「あ〜死にそ! 糖分高すぎて死にそ! オエ、オエエ〜
ブーン、おいブーン! 僕の心の涙も拭いてくれよ! おい、お〜い!」
(# ゚A ゚)「オラー、俺の家の前でストロベってんじゃねーぞゴラー!!」
( ;^ω^)(;*゚ー゚) (´;-ω・`)「ちょwwwwwwwお前誰wwwwwww」
(# ゚A ゚)「リア充嫌いの毒島毒男たぁ俺のことだぁ!」
( ^ω^)(*゚ー゚)(´;-ω・`)(あ、こいつダメな大人だ)
(,,゚Д゚)クズダゴルァ
(# ゚A ゚)「あ、今俺のことバカにしたろ? そういうの敏感だからな!」
(# ゚A ゚)「人のことコケにしやがってよ! 特にリア充気取りのそこのクソフグリ! ぶっころす!」
( ;^ω^)「え!?」
(´;-ω・`) (^ω^; )
(^ω^; )「ショボン! 何したんだお!? 早く謝るお!」
(´;-ω・`)「お前マジいい加減にしないとぶち殺すからな」
- 94 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:21:31
≡(# ゚A ゚)「キエェェ〜!」
( ;^ω^)「来た! しい、ギコは抱いてるおね!ショボンも!早く逃げるお!」
(;*゚ー゚)(´;-ω・`)「「おう!」」
(,,゚Д*゚)ゴルァ!
≡(# ゚A ゚)「待てや!」 ≡≡≡(´;-ω(;*゚ー(,,;*゚Д(; ^ω^)「逃げるお!」
- 95 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:23:17
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
<('A`)的解釈>
俺は毒島毒男、24歳
大学受験の時、止せば良いのに田舎から独り立ちして
適当にブラブラ遊びながら地方の三流大学を卒業した後
就職も帰省もしないまま、大学近くのアパートでその日暮らしをしてる
言わばフリーターだ
趣味は特にない。休日にはPC弄って寝るだけさ
人付き合いは長続きしやしねぇから、友達もいない
下らないお喋りで時間をムダに出来る奴らの気がしれねぇよ
リア充なんかは大嫌いだ
でもよ、人生に何の希望も目的も見いだせないままに
のんべんだらりと生きている
そんな俺の方がクズだって実感はあるさ
何をやっても長続きしない、本気になれない
……まるで、ダメなんだな、俺って奴は
- 96 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:25:45
('A`)「……今日も今日とてすることねぇ」
('A`)「VIPも何だか見飽きちまったしよぉ」
('A`)「……」
〜〜('A`)「……タバコでも吸うかな」
- 97 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:27:12
スー('A`)yー・~
プハー('A`)yー・~
('A`)yー・~「……あぁ」
('A`)yー・~「……今日はクリスマスだっけか」
('A`)yー・~「……あ〜、紅白に提出する作品まだ書いてねぇや」
('A`)yー・~「……」
('A`)yー・~「逃亡でいいか」
……どうせ誰も、俺なんて見ちゃくれやしねぇし、よ
……
- 98 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:27:51
俺はいつもベランダでタバコを吸っている
平日の夕方からこのアパートに籠ってるような奴はそうそういないから
誰も文句を言ったりはしないさ
……多少は居るだろうが、今更、止めてやる気もないね
他人なんざどうだっていいさ
ってか、大体、何だよこの肌寒さ
ちょっと、もうちょっと人間に優しい気候になってくれても
損はしねぇんじゃねぇですかね、地球さんと太陽さんよ
バイト以外は引き蘢りな俺には
生きていくのを諦めたくなる程の厳しさだぜおい
- 99 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:29:50
('A`)yー・~「まぁ、死んだって今と何も代わり映えしねぇか」
('∀`)yー・~「へっへっへ」
('A`)yー・~「……あン?」
- 100 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:30:23
俺のアパートの裏には公園がある
小さくて遊具もないし、薄汚れた公園だから
小煩いガキ共もあまり来なくて良いんだが
……今日は違うようだ
何だか辛気臭いガキ二人と、小さな猫一匹抱えた……
女の子一人がいるじゃねぇか
- 101 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:31:07
('A`)y-・~「……おいおい、あの子可愛くないか?」
('A`)y-・~「えぇぇ? 何あの子、ちょっと久々にときめいてきちゃったよ」
Σ(;'A`)y・~「……って、熱っ!」
(;'A`)「あ〜、もったいね、あんま吸ってね〜や」
('ν`)「ってか良く考えたら、女一人男二人とか逆ハーレム気取りかよ。中古ビッチ氏ね」
- 102 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:33:27
そんな毒を吐きながら、俺は、女の子から目を離せなかった
何でかは分からん、俺にロリコンの気なんてなかったはずだ
俺にとってロリコンとは、一線を超えそうなもので、怖かったからだ
でも、この子は違う
胸のずっと奥から鼓動が体一面に響いてるようで
一瞬一瞬の表情も逃したくない……そんな気持ちで
ただ、ただその子だけを、俺は眼で追っていたんだ
おいおい、待てよ……
これ……もしかして………
一目惚れ、か?
- 103 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:34:03
(;'∀`)「いやいやドクオさん、何おっしゃってはるんですか」
(;'∀`)「それじゃロリコンですから! 犯罪ですから〜! 残念!」
(;'∀`)「大体拙者、恋というのは精神病の一種だと信じて止みませぬぞ!」
(;'∀`)「ドゥフフ、ドゥフフフフ! 小学生に恋とかwwwwwwそれなんてエロゲwwwそれなんてエロゲ?wwww」
('A`)「あ〜、オナニーして寝よ」
(#'A`)「……って、あン?」
- 104 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:39:19
……目に入るのも汚らわしいから無視してたけど
何だか憎たらしい、フグリ口のガキが急に泣き出したようだ
なっさけねぇガキだな!
そんなに汚らしい水を流したいってんならよ
ケツの穴にホース突っ込んで、体中の穴という穴から放水させてやろうか?
……って、おいおい、一緒になってあの可愛い女の子も泣き出しなさったじゃねぇか
……あんの野郎! 女泣かせるたぁ男の風上にも置けねぇ! ぶん殴ってやろうか!
華麗に登場する俺! その後、持ってるハンカチで、あのオニャノコの眼から落ちる涙を拭って、言ってやるんだ……ッ!
「俺が、君を守ってみせるよ」
ってな! ヒュー!
ってそんなん出来たら今頃リア充してるっつの
大体それやる相手が小学生ってのもあれだな
どっちにしろ出来ないから良いけど
と、そんなことを考えて、身悶えしている時だった
- 105 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:39:52
( ^ω^)つ□(;ー;*)
( ^ω^)つ□(*゚ー*゚*)
( ^ω^)つ□(///*)
('A`)「…………」
('A`)「……俺には分かる、俺には分かるぞ!」
('A`)「あ、あ、あ」
(#'A`)「あのクソフグリが〜!」
(#'A`)「俺の口説き文句、パクりやがった!!」
(# ゚A ゚)「ぶっ殺してやる!」
- 106 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:41:31
あのクソガキ、絶対に許さねぇぞ!
大体、俺とどっこいどっこいのツラしてる癖によ
リア充ぶってんじゃねぇぞオラァ!
……あぁ、確かにこりゃあ醜い嫉妬さ、分かってる
でもよ、良いだろ。どうせこいつらとはもう二度と会わねぇんだ!
だったら俺の好きなようにさせてもらうぜ!
……たとえ相手が小学生だろうとよ!
(#*゚A*゚)「リア充探して三千里! 四方八方駆け巡り! 羨ま死ねと口ずさみ! 今日も今日とて俺独り!」
(#*゚A*゚)「男一匹、毒島毒男ぉぉ!! いざ、参るぅぅ!」
≡≡(#*゚A*゚)「リア充めッ! お前らみんなッ! 爆ぜて散れッ!!」
……そう、今こそ後にクリスマステロリストと呼ばれるドクオ様の初出陣さ……ッ!
- 107 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:42:17
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
気味の悪いおっさんに追いかけ回されて、大通りまで逃げ出した
そして他の路地裏に入って、とにかく西に向かうように走って逃げたんだ
でも、あのおっさん足は早くないみたいで、案外早く振り切れたみたいだ
- 108 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:42:49
( ;^ω^)「……フゥ」
(;*゚ー゚)「……ハァ、ハァ!」
(;´・ω・`)「…ハァハァ、ゴホッ、ゴホッ!」
( ;^ω^)「逃げ切れたみたいだけど……何だったんだお、あのオッサン」
(;*゚ー゚)「怖い……というかキモい……」
(;´・ω・`)「彼の気持ちは察するけどねゴホッゴホッ」
(#;'A`)(ハッ! 俺から逃げられるとでも?)
(#;'A`)ゴホッゴホッ!ハァ……ハァ……オエ……
(#;'A`)(流石は坊やだ、油断しやがってよ!)
(#;'∀`)「このまま付け回して、お前らのクリスマス、滅茶苦茶にしてやんよ」
ヒヒっ! ヒヒヒっ! ひひひぃぃ……ウェッヘ、ゴホッ! ゴホッ! オェ、オエェ〜!
( ^ω^)「悪寒がするから、ここから離れるお」
- 109 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:44:52
あのおっさんに見つかりやすいから怖いけど
人通りもあるから、こっちの方が安全だ
っていうショボンの主張を聞き入れて、僕たちは大通りを進んでいった
おっさんの追跡から逃れ、落ち着いた頃、僕は決心した
……ずっと、気になっていたことがあるんだ
今僕たちがしていることの目的、そしてその理由
ショボンは何か、隠している気がする
……いま、それを明らかにしないと、ダメな気がするんだ
- 110 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:45:40
( ^ω^)「ショボン、言いたいことがあるお」
(´・ω・`)「……どうしたんだい?」
( ^ω^)「さっきも聞いたことだけど……」
( ^ω^)「僕たちは、一体どこを目指しているんだお?」
(´・ω・`)「……それはもちろん西の方さ。夕日が沈む、ずっと向こう。夕方の世界さ」
(*゚ー゚)「……」
(,,゚Д゚)ゴルァ?
(*゚ー゚)つ"(,,゚Д゚) ……ゴルァ
( ^ω^)「……それだお、ショボン。それが、ずっと引っかかってたんだお」
(´・ω・`)「……へぇ。それは一体何だい」
( ^ω^)「まず、単刀直入に言うお」
( ^ω^)「”夕暮れに消えた少年の話”。あれ、君が作った話だおね?」
- 111 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:49:16
(´・ω・`)「…………どうして、そう思うんだい?」
( ^ω^)「簡単だお、そんな話があったとして
どうしてショボンが知ってて、僕としぃは知らなかったんだお?」
(´・ω・`)「……そんなの、僕が先に聞いただけじゃ( ^ω^)「ありえないお」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「ショボンは僕やしぃと比べて、本当にクラスの他の誰とも話さないお」
( ^ω^)「それなのに、ショボンだけがそんな話を知ってるってのが、どうも納得出来ないんだお」
( ^ω^)「大体、根も葉もない噂話なんて、ショボンが信じる訳もないし」
(´・ω・`)「……なるほどね。じゃあ仮にそうだとして、何で僕はそんな話なんか、君たちに教えたんだい?」
( ^ω^)「……そうだおね。そこが問題だお」
(* ー )つ"(,,゚Д゚)……
- 112 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:49:47
( ^ω^)「聞きたいお。ショボン、しぃ。僕たちは、美府町が嫌いだお?」
(*゚ー゚)
(*゚ー゚)” コク
(´-ω-`)「……そりゃそうさ、あんな町、いたくない」
( ^ω^)「僕もそうだお」
( ^ω^)「でもね、僕たちは、僕ら三人のことが好きだお」
(*゚ー゚)(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「……だから、だと思うお。ショボンが、あの『話』を教えて、美府町から出ようとしたのは……」
- 113 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:51:13
(´-ω-`)「…………」
(´-ω-`)「……やってらんないね。そんなんで、僕の気持ちを決めつけるとは」
( ^ω^)「……でも、僕も同じようなこと考えてたから、だから気持ちが分かったんだお」
( ^ω^)「それだけが、理由になるんだって……」
(´-ω-`)「そう、かい」
( ^ω^)「ショボン……もう、良いんじゃないかお」
( ^ω^)「美府町に、帰っても……」
(* - )そ「……!」
ギュ(* - )つ(,,゚Д゚)ゴルァ……
(´・ω・`)「……うんそうだね、ブーン……」
それだけは絶対に受け入れられないんだ
- 114 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:52:17
( ;^ω^)「ど、どうして? 君の意図は分かったんだお? それに!」
( ;^ω^)「結局、上手くいかないことも分かったお!
ジョルジュみたいな奴らは、きっとどこに行ってもいるんだお!」
( ; ω )「逃げたって、上手くいかないんだ……ッ!」
(´・ω・`)「あぁ、そうかもしれないね。でもね、」
本当に、今更帰れると思ってるのかい?
( ;^ω^)そ「……!」
- 115 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:54:43
(´・ω・`)「見てみなよ、東の空を、じっくりとさ」
( ;^ω^)「…………っ……!」
(* - )「……」
視線の向こう、そこには真っ暗の闇が大きく広がっていた
そこはもう、夜なんだ
さっきまではこんなんじゃなかった、まだ薄明かりが空を覆ってて
その空の下には美府町があって……
でも今はもう、美府町は闇夜の空に覆われているんだ
……それを知った途端に、僕の体は震えだした
恐怖、不安、これから先、僕らは一体どうなるんだろうか
……そんな、漠然とした何も見えない暗闇の中に
僕らは放り投げられそうに、なっているのだ……
- 116 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:55:27
(´・ω・`)「分かったかい? もう、手遅れさ……」
(´・ω・`)「あそこに僕たちの居場所があるのかい?」
(´・ω・`)「帰ったら両親は君を叱るだろう、君の気持ちなんて何も知らずにね」
(´・ω・`)「それだけじゃない、明日になったらまたあいつらが僕たちをバカにするだろうね」
(´・ω・`)「結局、僕たちのやったことはムダだったんだってね」
(´・ω・`)「……それに、しぃ」
:(* - ):
(´・ω・`)「……君は、特にひどく叱られるかもね」
( ;^ω^)「ショボン……ッ!」
(´・ω・`)「良いかい。僕の中じゃ、決着なんか着かないんだ」
(´・ω・`)「……西の空は、まだ明るいようだね」
- 117 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:55:59
そこにはまだ辛うじて夕日が残っていた
沈みかけの夕日の空、消えかけの赤色は突き刺すように光っていた
……悔しいけど、その空には縋り付きたくなる何かがあったんだ
まだ希望が残ってるような、僕たちに出来る何かがあるような……
そんな気が、したんだ
- 118 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:57:50
( ;^ω^)「……分かった、分かったお……」
( ;^ω^)「君の決着が着くまで、僕は付き合ってやるお……」
(´・ω・`)「ははっ、まるでいつかは決着が着くみたいな言い方だ」
( ;^ω^)「……ショボン、君はどうしたいんだお!」
(´・ω・`)「……しぃには言ったけどね、僕は今回の逃亡劇に名前を付けたんだ」
『夕焼けエスケープ』ってね
- 119 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/26(月) 23:59:05
僕たちは逃げるんだ、どこまでもどこまでも
僕たちだけに残された最後の光、夕日の沈む空の下
そこが目的地なんだ
分かるだろ?
はじめっからないんだ、そんなとこ
夕日の下に、夕日なんてありゃしない
僕らからみたあの夕日の真下は、地上なんだ
太陽の真下の地上って、ただの昼だよ
……だからね、僕たちはいつまでも、ありゃしない目的地を求めて歩いてるに等しいんだ
そうさ、夕日の向こうに夕方の世界は存在しないんだ
……あえて言うとするならね、”ここ”が目的地なんだ
今、ここでこうしている僕たちが、目的地なんだ
夕日への旅を続けている僕たちこそが、ね
だから……
- 120 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 00:03:17
(´・ω・`)「……僕が、こうして”ここ”にいる意味を失うまで、僕は死んでもこの旅を続ける気だ」
( ;^ω^)「ショボン! 君はホントに頑固な奴だお!」
(* ゚- ゚)「……ブーン」
( ;^ω^)「……どうしたお、しぃ?」
(*゚- ゚)「ごめんね、ブーン。しぃも、しぃもまだこうしていたいの」
(*゚- ゚)「ダメだって分かってるのに、でもね、何でだか、まだ帰りたくないの」
(*;- ゚)「このまま帰ったら、なにもかもがダメになりそうで……」
(*;-;)「ブーン、ごめんね……そんなの……嫌なの……!」
(*;-;)「このままじゃ……皆……バラバラ……で……」
(*;-;)「……うぅ、ああ、あぁぁん! うあぁぁぁぁん!」
( ;^ω^)「しぃ……」
( ;^ω^)「ごめんお……また、泣かしてしまったおね」
( ^ω^)「……分かったお、今度もまた、僕が折れるお。だから……」
続けるお、その『夕焼けエスケープ』っていう、馬鹿げたおままごとを……
- 121 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 00:04:55
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 前編終わり 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
- 124 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:40:14
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 後編始まり 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
だ…駄目だ まだ笑うな…
こらえるんだ…
し、しかし…
:;*.":;('∀`)ブフォ
('∀`)「夕焼けエスケープってwwwwっwwwww夕焼けエスケープって何wwwwwっっw」
('∀`)「ウヒーwwwwwヒーwwww」
('∀`)「小学生の内から厨二病っすかwwwww先輩早熟っすかwwwかっけーすねっwwwwww 」
('∀`)「ひょえーwwwww」
('A`)「アホか。カッコつけようが、所詮逃げは逃げだっつーの」
- 125 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:41:17
いやぁ笑わせてもらった
しかしまぁ、ストーカーしてたおかげで、
ガキどもと……し、しぃたんの事情は薄々分かってきたぜ
要は今の現実が嫌で嫌で仕方ないから、友達揃って家出しましょう! ってこったろ?
若いなぁ、全く若いなぁ!
俺もそんなことが出来たら良かったのになぁ!
大人ってのは辛いもんだぜ
そう簡単に、「逃げる!」だとか、「こんな現実、認めない!」だとか
「こんなの絶対おかしいよ!」だなんて、言ってられやしねぇからな
そんなの皆薄々心に感じながら、矛盾を抱えながら生きてんだよ
だから、あいつらは幼いな、羨ましくなるほどだ
まぁ、俺だって定職にも就かないでふらふらしてるけどさ……
- 126 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:43:08
('A`)「……しっかし、そうなるとこいつら、非リア充説が浮上してきちまったな」
('A`)「クリスマステロリストである俺が追いかけ回す理由もない、と……」
('A`)「…………ふふっ」
*('∀`)キリッ「誰かを付け回すのに理由がいるかい?」
('∀`)「どうせ俺仕事サボれるし! 好きな事できるし! こいつら見てるの面白いし!」
('∀`)「だったら、こいつらがどういう破滅の道を辿るのか、最後まで見届けてやるぜ!」
('A`)(……ん? 破滅ってことは、しぃたんもピンチに遭うってこったよな)
(*'A`)(やべぇ、興奮してきた……)
('A`)(けど……待てよ。あわよくば、しぃたんのピンチを救ったりしたら……)
(* ゚A ゚)「シィ、ドクニィノ、オヨメサンニナルー!」
(*'A`)「ってか!? ってか!?」
('A`)(YES! YES! YES!……よし、こうなったら!)
「この俺が、本当のリア充になってみせるぜ!」
- 127 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:44:07
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
……その後、僕たちは何も喋らず、ただひたすら西へと向かっていた
ショボンの気持ちが分かった今、僕らの中にどことなく緊張感があった
……楽しげに雑談をしたって、何だか不自然になってしまう
しぃはギコを抱えたまま、暗い顔をしていた
いよいよ旅を続けることの意味が分からない……
かすかに東の空に残っていた夕日の残骸が、いよいよ高層ビルの向こうへ隠れてしまった頃
僕たちは、そこに着いてしまった
僕達のいる県の、繁華街と言われるところだ
- 128 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:44:55
行き交う人々の数も、車の数も、美府町とは比べ物にならない
それどころかそこらに歩く人々も、何かが僕らと違う
オシャレな人たちや、サラリーマンとか、そんな大人ばっかりで
僕たちみたいな子供をほとんど見かけないんだ
途端に僕は不安になった
ここは僕たちのいるべき場所なのだろうか
……しぃも、不安そうな顔つきだった
ただショボンだけが、まっすぐ前を見て
止まりもせずに進んでいくんだ
そこは、よるのまちだった
夕暮れ時の世界は、とうに消え果てていた
- 129 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:47:19
( ^ω^)「……」
(*゚- ゚)(,,゚Д゚) 「……」
(::::::::´ω) 「…………」
( ^ω^)「……しぃ、ショボン」
(*゚- ゚)(,,゚Д゚)「……」
(::::::::´ω)「……」
( ^ω^)「僕は最初に言ったお。何も無かったら、僕は帰るって」
( ^ω^)「この先には何もないと思うお」
( ^ω^)「……帰ろう。ここはもう、僕たちの居て良い場所じゃないお」
(* - )「……」
(::::::::´ω)「……」
(::::::::´ω)「……嫌だ……嫌だ……ッ!」
(´;ω;`)「嫌だッ!!」
(´;ω;`)「こんなの何かの間違いだ!!」
- 130 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:48:10
( ^ω^)「……間違いじゃないお。夕方の世界は、ここなんだお」
(´;ω;`)「嘘だ、嘘だよ!」
(´;ω;`)「それならどうして! どうして、全然楽しくないんだ……!」
(´;ω;`)「僕は、僕は……」
( ^ω^)「……」
(´;ω;`)「ただ、いつまでもあの夕焼けの公園で、一緒に遊びたかっただけなのに……」
- 131 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:48:54
( ^ω^)「……明日があるお」
(´;ω;`)「明日なんてあっという間さ!」
( ^ω^)「明後日もあるお」
(´;ω;`)「それだってあっという間だ……」
( ^ω^)「でも、来週だって……」
(´;ω;`)「来月には、僕はもう受験間近さ! そして、来年が来たら、僕はあの町を出る! 君もそうさ!」
(´;ω;`)「しぃ! そんなのは嫌だろう?」
(*゚- ゚)「……い、やだ。けど……」
( ^ω^)「でもだお。町を出ても、また町に来れるお。これからも遊べるはずだお」
(´;ω;`)「そんなんじゃダメだ……そんなんじゃダメなんだよ……」
( ^ω^)「……今帰らなかったら、もう帰れないし、あの公園で遊ぶこともなくなる、と思うお」
(´;ω;`)「…………」
( ^ω^)「だから、ショボン。帰ろうお」
- 132 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:49:34
僕たちの傍を、何人もの大人たちが通っていく
何事かとこちらを見る人たちもいるけど、僕がそれに視線を向けると
皆目を逸らして、行ってしまう
……大人は皆そうだ。僕たちのことを考えてくれる人なんて、いない
僕たちの周りには、ろくでもない大人ばっかだ
僕たちのことを気にかけて、救って、導いてくれる人なんて
探しても、探しても……いやしなかったんだ
だから僕たちは……いつでも何かにおびえているしかなかったんだ
美府町でも、この街でも……
いよいよ夜が深まってきた
薄明かりが差していた東の空にも、闇夜が覆おうとしている
僕たちがそれを止めることなんて、出来やしなかったんだ
- 133 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:50:26
(´ ω `)「…………ハハッ。ブーンに諭されるとはね」
( ;^ω^)「ショボン……」
(*゚- ゚)「……」
(´・ω・`)「不愉快だ」
(#´・ω・`)「本っ当に不愉快だよ!」
(#´・ω・`)「帰りたいなら帰れば良い! あんなバカばっかの美府町に! お前らなんか帰っちまえ!」
(#´・ω・`)「僕は一人でもここに残る、絶対帰ったりしてやるもんか!」
( ;^ω^)「ショボン! お前は本当に……ッ!」
(;*゚ー゚)「ショボン! ショボンが言ったんだよ! 皆は、三人は一人だって!」
(;*゚ー゚)「今は、ギコも居る! 三人と一匹だよ!」
(* )「だから……そんなこと……言わないで……」
(;,,゚Д゚)ゴルァ!ゴルァ!
(#´・ω・`)「そういう問題じゃないんだ……ッ!」
(#´・ω・`)「……ははっ。じゃあさ、僕の埋め合わせはギコにお願いするよ。それで良いだろ?」
≡≡≡(#´・ω・`)「僕はここに残るからさ!」
( ;^ω^)(;*゚ー゚)「ショボン!」
- 134 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:50:58
(,,゚Д゚)タレマユ,ハシッタ
(,,゚Д゚)アニキ,コマッテル
(,,゚Д゚)……
(,,゚Д゚)ゴルァ!
(*゚ー゚)そ ≡≡≡(,,゚Д゚)ゴルァ!
(;*゚ー゚)「ギコ君! 無茶はしないで!」
≡≡≡(,,゚Д゚)ゴルァ!
- 135 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:52:05
……目の前の現実に、追いつけない
ショボンは全速力で、見た事も無い道を駆け出していく
今すぐ追いかけないと、姿を見失ってしまうぐらいに……
( ;^ω^)「う……」
なのに、足は動かない
突然の出来事があると、いつもこうだ
しぃをここに置いてくべきか、一緒に追うべきか
ショボンに声をかけて止めようとするべきか、見捨てるべきか
誰か周りの大人を呼び止めて、手伝ってもらうか
一番の選択肢は、ショボンを追うことだ。分かってる、分かってるのに……
無数の選択肢が、急に存在感をもって僕の目の前に現れて
僕は混乱して、動けなくなる
だから……
(;*゚ー゚)「ブーン、ショボンとギコ君、追わなきゃ!」
( ;^ω^)「お、お!」
また、しぃの声を聞くまで、僕は僕の意思で動くことが出来なかった
- 136 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:54:20
...................
..............
........
.....
..
.
結局、僕らはショボンを見失った
それどころか自分たちがどこにいるのかも分からなかった
繁華街のジャングルは、人もビルもたくさんで、僕たちは何をして良いか分からないんだ
いよいよ僕たちは、夜の世界に来てしまった
僕の頭はおかしくなりそうだった
(*゚-* ゚)「……ブーン、怖い」
( ;^ω^)「……だ、大丈夫だお。僕がいるから、大丈夫……」
( ;^ω^)(とにかく、しぃだけは守らないと……)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(´・ω・`)「僕は何をやっているんだろう……何を、したいんだろう」
(,,゚Д゚)ゴルァ……
- 137 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:54:52
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(;'A`)ゼヒ-ゼヒ-、ヒュ-、ヒュ-
(;'A`)「あいつら、ハァ、走るの、好きだなハァハァ」
(;'A`)「あいつらバカか? こんな夜の街で離ればなれとか……携帯なかったら、大人でも泣き出すレベルだわ」
('A`)「いや泣かないけどさ」
('A`)「あいつら……携帯は持ってないみたいだし、う〜ん……」
('∀`)「しぃたんの身に危険が迫るチャンスが増えたってことだな!」
(*'∀`*)「彼女が出来るよ! やったねどくちゃん!」
('A`)「……ウッシ、こっからは気合い入れていくぞ!」
('A`)「俺の目的は! ピンチの渦中にあるしぃたんを、救う騎士になること!」
('A`)「オッケオッケ……お、動き出したみたいだな」
- 138 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:55:50
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
( ;^ω^)「……ショボンだって、この街のことは知らないお。きっと見つかるお」
(*゚ー゚)「ん……」
( ;^ω^)「でも、無闇に追ったら僕たちも迷うだけだお。
嫌だけど……そこらの人に、ショボンを見たか聞いてみようお」
(*゚- ゚)そ「……! う、うん……!」
( ;^ω^)「安心してお……皆大人だから……僕が聞くお
しぃは、僕の側に居てくれるだけで良いお」
(*゚- ゚)「ごめんね……本当にごめんね……っ」
( ^ω^)「大丈夫だお…………きっと、何とかなるんだお」
- 139 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:56:31
しぃに言い聞かせた言葉は、自分に言って聞かせるようだった
……僕だって、知らない大人と話すのは、好きなんかじゃない
それに、ここの街の人たちは、何だか怖いひとばっかだ
何だかこの街は騒がしい。ここに居ても、ちっとも楽しくないんだ
耳を澄ますまでもなく聞こえる大量の足音
ギラギラとしていて、吐き気が湧いてくる広告音楽
どこまでも流れていく人の海、海、海
……この街は賑やかだけど、全く好きじゃない……
あぁ僕たちは、こんなとこにきて何をしようとしていたんだ
- 140 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:57:06
( ;^ω^)「す、すみません……」
(´・_ゝ・`)「…………急いでるから」
( ;^ω^)「あ、あの……」
(# ・3・)「……あっち行けYO!」
( ;^ω^)「……」
( ´ω`)「何で話すら聞いてくれないんだお…」
(*゚- ゚)「……」
- 141 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:57:46
…マス…ー……タイー!!
ク……スハン……ー!
( ´ω`)「……」
( ´ω`)"「……ん? 駅前が騒がしいお」
( ^ω^)「こうしてても仕方ないし、行ってみるかお?」
(*゚ー゚)" コク
- 142 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:58:24
(# ゚_ゝ ゚)「クリスマスー! 反対ー!」
(´<_` )「クリスマスー、はんたーい」
(# ゚_ゝ ゚)「クリスマスをー! 中止しろー!」
(´<_` )「クリスマスをー、ちゅうししろー」
( ^ω^)「う、うわぁ……」
(*゚ー゚)「は、恥ずかしい……」
- 143 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:59:20
(# *゚_ゝ*゚)「クリスマスー! 止めちまえー!」
(´<_` )「クリスマスー、ほにゃらららー」
(# *゚_ゝ*゚)「クリスマスはー! 人権侵害だー」
(´<_` )「ほにゃほにゃにゃー、ほにゃほにゃほにゃにゃー」
(# *゚_ゝ*゚)「キリスト教じゃー! あるまいしー!」
(´<_` )「…………」
(# *゚_ゝ*゚)「…………」
(´<_` )「あ、お、おう……そうだな、日本人ってキリスト教徒じゃないもんな」
( ´_ゝ`)「え、やめてよ、なんで素に戻るの。兄者超恥ずかしい」
( ^ω^)(*゚ー゚)
( ^ω^)(*゚ー゚)(なんだこいつら……)
- 144 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 19:59:58
(# ´_ゝ`)「というか弟者! そんなんじゃ全然気持ち伝わんないよ! もっと腹のそこから声を出して!」
(´<_` )「……兄者、もう止めようぜ」
(# ´_ゝ`)「やだぁ! この街からリア充カップルが殲滅されるまで続けてやるぅ!」
(´<_` )「俺らがどうしようと、リア充はリア充のまんまさ。
どうしたって、どうにもならんものさ」
(# ´_ゝ`)「それでもどうにかするのが流石兄弟ってぇもんだろーがよ!」
(# ´_ゝ`)「ほら、クリスマス中止デモ、再開すんぞ!」
(´<_` )「……まぁ、別に良いけどさ」
(´<_` )「おまわりさん来ちゃうよ」
(´<_` )"チラッ
(# ´_ゝ`)「あぁ? おまわりさんだぁ? そんなの……」
( ´_ゝ`)"チラッ
( ´_ゝ`)「……あー、はいはいはい」
( ´_ゝ`)「そっかー、なるほどねー」
( ´_ゝ`)「なら仕方ないか、帰ろうぜ」
(´<_` )「あぁ、そうしよう」
( ^ω^)(*゚ー゚)(えぇ〜〜〜)
( ^ω^)(*゚ー゚)(ええぇ〜〜〜〜〜〜〜)
- 146 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:18:32
〜( ´_ゝ`)「まぁこれだけ演説したんだから、クリスマスは中止したも同然だろ」
〜〜〜(´<_` )「流石だな兄者。現状を正しく認識出来ないのはダメ人間の始まりだぞ」
〜( ´_ゝ`)「こらこら、褒め過ぎだぞ」
〜〜〜(´<_` )「……本当に流石だな」
( ^ω^)(*゚ー゚)
( ^ω^)「……あれ、僕たち何しに来たんだっけ?」
(*゚ー゚)「ショボン探さないと」
(; ^ω^)「そ、そ、そうだお、ショボン探さないと!」
.............
.........
......
...
..
.
( ´ω`)「ダメだったお……」
(*゚- ゚)「……」
( ´ω`)「誰も答えてくれようとしなかったお……」
……いよいよ、僕がすべきことが分からなくなっていた
ショボンを追うべきだけど……しぃも守らなくてはならない
……出来れば、いや、絶対に、どっちも成し遂げないといけない
なのに……このままじゃ、何もかも崩壊してしまいそうだ……
- 147 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:19:05
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(*-@∀@)「うい〜、もう一軒いくぞ〜オィ!」
川*д川「お〜!」
(;-_-)「ちょっと、もう飲み過ぎだってば」
从; ゚∀从「俺もう帰って良いすか?」
(*-@∀@)「wwww何をwwwwwおっしゃるwwwwwwうさぎさんwwwwwwwwww」
川*д川「先っちょだけだから! 先っちょだけだから!」
(;-_-)「な、何いってんだよもう」
从; ゚∀从「あぁ……折角のクリスマスなのになぁ……」
(*-@∀@)「うっひょ〜ぅぃぅい!」
川д川 ゲロゲロゲロゲロ
从; ゚∀从「ちょ! 貞子先輩大丈夫すか!?」
- 148 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:20:02
(*-@∀@)「……あ〜ン!? おいヒッキー? あれは俺の幻覚か?」
(-_-)「はいはいおクスリの過剰摂取ですか。ビガバトリン仕入れたんで臨床実験してみます?」
(*-@∀@)「ちげ〜ッ! いや違くないけど、今ちげ〜ッ!」
(*-@∀@)「あの子供カップルは気のせいかってんだよ!?」
(* - )(^ω^; )
(;-_-)「……ホントだ、こんなとこで大丈夫かな……」
(*-@∀@)「……あァ、アグネスが飛んでこないか心配だぜェ……ッ!」
(;-_-)「いやそういう心配じゃなくてね」
(*-@∀@)「それとも都知事かい! 都知事がこんな地方まで来て取り締まるってのかい!」
(;-_-)「君はあれか、社会派気取りたいのか……」
≡≡≡(*-@∀@)「けしからんぞ! リア充憎い! リア充どもは代わりに俺がしょっぴいてやらぁ!」
≡(;-_-)「結局それかよ……」
- 149 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:21:18
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(*゚- ゚)( ;^ω^)
……まずい、どうすれば良いのかが本当に分からない
闇雲に時間ばかりが過ぎていく
このままじゃ深夜までいることになるかも……
ダメだ、しぃをそんな時間までいさせたくない
何かがあった時、助けてやれるか分からない……
( ;^ω^)「しぃ、このままここにいても仕方ないお……どこかに行くお」
(*゚- ゚)"「ん……んん?」
(*゚- ゚)「何か、来てるよ」
( ^ω^)「え?」
. ...
。 。。
○ ぃぁぅぅ…
(#-@∀@) リア充〜
⊂(#-@∀@)リア充〜!
ヽ ⊂ )
(⌒)|
三 `J
(*゚ー゚)(^ω^)
(*゚ー゚)(^ω^)「僕らが何したってんだお」
- 150 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:22:28
(#-@∀@)つ( ;^ω^)そ 「はい捕まえたー!」
つ(* - )そ
(#-@∀@)「こんなところでお前らは〜! 不良児童か! 援助交際なのか〜!」
つ( ;^ω^)「しぃから手を離せ! 離せお!」
つ:(* - ):
(;-_-)「ちょ……怯えてる、怯えてるってば。やめなよ」
(#-@∀@)「ヒッキー!」
(-_-)「な、なんだい」
(#-@∀@)「このふざけた中産階級のガキ共をぶちのめす為に……」
(#-@∀@)「俺の存在をッ! 頭から否定して……」
∧_∧
(ill-@∀@) ぐれェェェェェェッエ!!
ノ つ!;:i;l 。゚・
と__)i:;l|;:;::;:::⊃
⊂;::;.,.';;;;'::.:.;::.⊃
(;*゚Д ゚)(; ゚ω ゚)「UWAAAAAAAAAAAA!!」
(-_-)「……安心しろよ、既に君はINU畜生以下だ。存在否定が追いつかないよ」
- 151 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:23:39
:( ; ゚ω ゚):「お前ら殺す! 殺してやる!……しぃ!」
:(* ):
( ;^ω^)「あぁ、くっそ……お前ら絶対ぶっ殺してやるお!」
( ;^ω^)「逃げるお。しぃ、掴まれお……」
≡≡≡:(* ):⊂( ;^ω^)「クソッ! クソッ! 何でこうなるんだお!」
- 152 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:25:03
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(;-_-)「あっ! ま、まって……」
(;-_-)「あー行っちゃった」
(-_-)「……アサピー、君ホントに人間やめといたら?」
(ill-@∀@)「ま、待って……き、気持ち悪い……」
从; ゚∀从「ちょ、アサピーさん……ってくっさー! 酸っぱ臭!」
川*д川「アwwwwサwwwピwwwwwーwwがwwwwww吐wwwwwwいwwたwwwwwww」
川д川「はwwいwたwww……」
川iiiд川「は……い……た、は…………は……………」
川д川ゲロゲロゲロゲロ
从; ゚∀从「あーまた! んだよもうっ! もう〜っ!」
(ill-@∀@)「あー……」
(-_-)「君はホント酒弱いってのに無理して……」
(ill-@∀@)「ヒッキー、あの子達もう行ったのかい……?」
(-_-)「行ったとも。君のせいで、いつか僕たち殺されちゃうかもね」
(ill-@∀@)「……なぁ、もしかして僕ってさ……」
「最低の人間かい?」
「そうでもないよ、ギョウ虫と見間違える程度かな」
- 153 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:26:49
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
≡≡≡(* )⊂( ;^ω^)「しぃ、しっかりするお! そこの公園で休むお!」
(* - )「……」
(* - )「ブーン……」
(* - )⊂(; ^ω^)
そんなにおっきくない背中
でも、私は今までその背中の後ろにいたんだ
私をまもってくれるその人を
私をたすけてくれるその人を
ずっと、ずっと後ろから見てきたんだ……
- 154 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:27:26
(; ^ω^)「……ショボンなら大丈夫だお! あいつは僕なんかよりよっぽど頭良いから!」
(* - )「……ブーン」
……でもね、もう良いんだよ
前へ進もうとしている君は
後ろなんかみないで良いの
君の後ろにいる私はね
もう、君のそばにいない方がいいの
……だからね
(* ー )「ブーン、もう、良いんだよ」
( ;^ω^)「何言ってんだお! 大人と話すことも出来ないしぃが、触られたりしたんだお!」
( ;^ω^)「……平気な訳ないお!」
(* ー )「……違うの、ブーン」
( ;^ω^)「……?」
(*゚ー゚)「もう、しぃたちのことなんか、構わなくて良いんだよ、だよ」
- 155 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:27:59
.................
..............
.........
......
..
.
(´・ω・`)「どこへ行こうか、ギコ」
(,,゚Д゚)ゴルァ
(´・ω・`)「どこなら僕は生きていけるんだろう」
(,,゚Д゚)ゴルァ
(´・ω・`)「家も町も、大嫌いなんだ」
(,,゚Д゚)ゴルァ
(´・ω・`)「……ブーン達だけが、全てだったのかな」
(,,゚Д゚)……
- 156 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:28:43
(´・ω・`)「……君に話してもしょうがないのは分かってるさ」
(,,゚Д゚)ゴルァ
(´・ω・`)「ただ、何かを誰かにぶつけたいだけなんだ……」
(,,゚Д゚)ゴルァ……
(,,゚Д゚)(おってみたはいいが、なにをしたらいいんだゴルァ)
- 157 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:30:50
ここはどこなんだろう
こんなに煌びやかな街なのに
どの人も、笑いながら誰かと話している
なのに僕には、この街で生きていく隙間が少しもないように思えた
……たまらなくなって、人気のない方へと目指す
駅前の階段を上り、どこへ繋がるのだろうか、連絡橋を渡っていくと
だんだんと人の数がまばらになっていった
……代わりに、カップルばっか増えてきた
どうも、皆ここのお綺麗なイルミネーションに惹かれてきたようだ
まるで虫みたいだな
でも、人のことは全く言えないことに気付いた
柵の向こう側にはたくさんの人が忙しなく歩いている
ギラギラした明かりがどこもかしこもあって、なんだかあっちのほうこそ虫の大群みたいだ、と思った
ふと嫌になって、明かりから遠い、建物の陰の薄暗がりへと向かった
先客たちがいたようで、僕なんかお構いなしに一心不乱に何かをしてる
彼らの身なりはどことなく汚い
繁華街の駅前にもホームレスはいるんだな、と驚いた
どうやらダンボールを組み立ててこの寒さを凌ごうとしているようだ
その瞬間、思わず心臓がドキリとした
ホームレスなんて、僕には非日常的な存在に急に出くわしたからってこともある
……でも、それだけじゃない
だって、もし僕がこの街に住むのなら
最も現実的な方法はあれなのかもしれないって、気付いたんだ
- 158 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:31:26
「おい」
(;´・ω・`)「……」
「おい、お前じゃよ。そこの坊主」
(;´・ω・`)「……!」
間違いない、僕のことだ
僕以外に子供なんていない
……何てこった、僕はどうしたら良い?
ダメだ、心臓がバクバクいってる
怖くて、仕方ない
ギュ(;´・ω・`)つ"(,,゚Д゚)ゴルァ!
- 159 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:31:56
/ ,' 3「お前じゃとゆうのが分からんのか」
(;´・ω・`)「う……あ、はい」
/ ,' 3「何じゃ猫なんざ抱えて……散歩だったら歩かせろ」
/ ,' 3「ったく、最近の若いもんは……なんて愚痴を言うてもつまらんしのう」
/ ,' 3「タバコ」
(;´・ω・`)「え?」
/ ;' 3「え、じゃない。タバコ持っとらんのかと聞いとるんじゃ」
(;´・ω・`)「も、持ってないです……」
/ ;' 3「酒は!」
(;´・ω・`)「ないです……」
/ #。*゚ 3「か〜っ! 家出しといてそんなのも持ってきておらんのか!」
(;´・ω・`)「は、え、あ、はい」
(,,゚Д゚)カッテナヤツダゴルァ!
- 160 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:32:26
/ #,' 3「……じゃあお前は何を持っとる?」
(´・ω・`)「何を……?」
(´・ω・`)「お金、ぐらいしか……」
/ ,' 3「……いくら持っとる?」
(;´・ω・`)「え!……いや、三百円位し「嘘は言うな」
/ ,' 3「この儂の前で嘘を言うのは許さん」
(;´・ω・`)「す、すみません」
(´・ω・`)(僕って顔に出るタイプなのかな……)
- 161 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:32:56
(´・ω・`)「……五千円、です」
/* ,' 3「ほっほ、最近のガキは金持ちだの」
/ ,' 3「よし! お前の金で、飲み屋まで行くとするか!」
(;´・ω・`)「は、はぁ?」
/ ,' 3「冗談じゃよ。だがまぁ酒は飲みたい。そこのコンビニで酒を買ってこい、ガキ」
(;´・ω・`)「え、あ、はい」
(´・ω・`)(何だこのおじいさん。頭がボケてるのかな。逃げ出すに決まってるじゃないか)
/ ,' 3「行っとくが、逃げ出したら地の果てまで追いつめて、かみついてやるからのぅ」
(´・ω・`)「す、すぐ買ってきます」
- 162 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:34:09
言われた方に行くと、コンビニが見えてきた
(´・ω・`)「ギコはちょっとここで待っててくれよ」
(,,゚Д゚)ゴルァ!
何を買えば良いのか分からなかったので
"鬼殺し"っていうカッコいい名前のお酒を手に取った
……って、よく考えたら僕が酒なんか買える訳ないよな
僕は馬鹿か。いや、あのおじいさんが馬鹿なだけだ
仕方ない、店員に聞くだけきいてみよう……
あのおじいさんに、やるだけのことはやったアピールをしよう
(´・ω・`)「すみません、これ……」
( ><)「105円なんです」
(;´・ω・`)「え、え、僕未成年なんですけど……」
( ><)「……ッチ、良くわかんないんです。良いから105円」
(;´・ω・`)「何だよもう……」チャリン
( ><)「お預かり〜。ありゃした〜なんです」
スタスタ......(#´・ω・`)「こんなとこ潰れろ!」
.....(;,,゚Д゚)ドシタンダゴルァ!
- 163 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:34:41
何だよ、なんなんだよこれ
あの薄汚いホームレスのおじいさんに絡まれたかと思ったら
コンビニのバイトは適当なやつだし。というかクリスマスにバイトとか、彼女いないのかよ
綺麗で窮屈な街だな、と思ったけど、何でこんな汚くて適当な奴らがいるんだよ
というか良く見たらコンビニの前とか、連絡橋の階段の前とか
普通にゴミ、めっちゃ落ちてるな! バカみたいな落書きとかもあるし!
何なんだよこの街、全く意味が分からないよ
何で僕こんなとこ来てるんだよ
訳わかんないよ……
- 164 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:35:21
(´・ω・`)「……持ってきました」
/* ,' 3「おうおう、よーやった……」
/ #,' 3「って、安い酒1個か。喜んで損したわい」
(´・ω・`)「……じゃあ返品してきます」
/; ,' 3「ままま、まぁ待て。最近の若いもんはすぐ物を粗末にするから良くない」
(,,゚Д゚)オレニクレダゴルァ
- 165 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:36:01
/ ,' 3「……っあ〜、久々の酒は、まぁまぁ上手いの」
(´・ω・`)「……」
/ ,' 3「ん、そうだ。お前が買ったんだから、お前も飲んどけ」
(;´・ω・`)「え、良いですよ別に。僕未成年だし」
/ #。*゚ 3「儂の酒が飲めんというのきゃ!」
(;´・ω・`)「わか、分かりましたよ……」
(´・ω・`)(うわ、口臭くっせ。ストローに口つけたくない……だから嫌だったのに)
(´・ω・`)(しかも全然美味しくない。なんなのこのジジイ、急性アルコール中毒になってくれないかな)
/ ,' 3「うむうむ、上手そうに飲みおるな」
(´・ω・`)「……はい、ウマイです」
/ ,' 3「後は儂が飲んでやる」
(,,゚Д゚)(いってきだけちょうだいよ)
- 166 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:36:57
/ ,' 3「それで、お前はどうしてこんなとこにいるんじゃい」
(´・ω・`)「……」
/ ,' 3「こんなとこにいて良いのは、ここでお似合いの奴らだけじゃ」
(´・ω・`)「……おじいさんに引き留められたから」
/ ,' 3「そういうことを言っとるんじゃないわい」
/ ,' 3「家出か知らんが、小学生のガキが、こんな街を一人ぶらつき、寄りにもよってこんなとこだ」
/ ,' 3「儂じゃなければ、ガキよ。皮をはぎ取られ、肉をもぎ取られ、内蔵も余すところ摘出されてな」
/ ,' 3「中国マフィアに売買されておったところじゃぞ」
:(;´・ω・`):「へ、変なこと言わないで下さいよ」
つ(,,゚Д゚)⊂ ギュ
/ ,' 3「ほっほ。精々、大人の食い物にされないように気をつけい」
:(´・ω・`):(もう、されている気がする)
つ(,,゚Д゚)⊂オレハヌイグルミカゴルァ
- 167 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:38:27
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「確かに、家出みたいなもんだけど。家出じゃない」
/ ,' 3「ほうほう」
(´・ω・`)「僕は、美府町から来た。美府町なんか捨ててきたんだ」
/ ,' 3「ふむふむ」
(´・ω・`)「それだけだよ……」
/ ,' 3「へぇへぇ……鬼殺しは量が少なくていかんの」
(#´・ω・`)(ぶち殺したい)
- 168 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:39:17
(´・ω・`)「……そろそろ僕は行きます」
/ ,' 3「待て待て。これだから最近の若いもんは、辛抱っちゅうもんを知らんの」
(´・ω・`)「……でも、僕には行くところが……」
……ない
あれ、どうしよう? 僕、この先どこへ行けば良いんだ?
こんなおじいさんと話してる場合じゃないよ、考えなきゃ
美府町に帰らないで済む方法を……
/ ,' 3「ほっほ、実はの、美府町は儂の出身地じゃ。あそこは良い町じゃの」
(´・ω・`)「えっ! でも……良い町なんかじゃないです」
/ ,' 3「何を言うとる。あそこ程夕日が奇麗に見れる場所、儂は他に知らん」
(´・ω・`)「!……」
/ ;' 3「それなのに美府町を出るなんてな……全く、ガキ、お前はバカだの」
(#´・ω・`)「……ッ! ガキじゃない! 曙暮って名前がある!」
(,,゚Д゚)そ
/ ,' 3「分かった、分かった。ショボ、お前はガキだ」
- 169 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:40:05
(#´・ω・`)「何で! あの町は全然良いとこじゃない! 皆皆大ッ嫌いだ!」
(#´・ω・`)「……夕方は好きだけど、そんなのあっという間に夜になるから!」
/ ,' 3「じゃあ聞くがの。お前の好きな町とは一体どこなんじゃ」
(#´・ω・`)「……美府町以外のどこか」
/ ;' 3「……もうね、アホかと、バカかと。お前は世間知らずのガキんちょじゃ。クソガキ〜、や〜いクソガキ〜」
:(#´・ω・`):「ぶ、ぶ、ぶ……」
:(´゚ω゚`):「ぶち殺すぞ!」
:(,,゚Д ゚): ゴルァ!ゴルァ!
/ ;' 3「おうおう、猫が怯えとるのう……殺してみぃ。老いてもガキには殺されんわい
というかマジでお前、見た目以上に頭悪いのな。引くわ〜」
(#´・ω・`)「な、何! 何なの、はっきり言って!」
/ ,' 3「あのな、どこか他のとこなんてな、どこにもないんじゃよ」
(#´・ω・`)「……」
/ ;' 3「つまり……逃げ出した先に楽園なんてありゃしねぇ、ってことさ……」
(#´・ω・`)「……ベルセルクかよ」
/ /// 3「し、知っておったか」
(#´・ω・`)(うぜぇ)
- 170 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:41:19
/ ;' 3「……美府町からここまでは遠い。子供の足だと三時間位かの?
途中には何個か町があっただろう」
(#´・ω・`)「ありました」
/ ,' 3「お前、その町のどれかに住むことになったら、どこに住む?」
(´・ω・`)「……そんなの、分かりません」
/ ,' 3「そんなのも、見てこなかったのか。それじゃ、家出なんか上手くいきっこないのう」
(#´・ω・`)「……何が言いたいのか分かりません。僕は失礼します」
/# 。 ゚ 3「たわけもの!」
(;´・ω・`)そ
(;,,゚Д゚)そ
/ 。 ゚ 3「自分に都合の悪いことがあると、すぐ逃げ出す! お前はホントにバカものじゃ!」
(;´・ω・`)「……」
(;´;ω・`)「…」
(´;ω;`)
(´;ω;`)「う、うあぁ、うあぁぁぁ……」
/; ,' 3「な、泣き出すなバカもの。じじい、困っちゃうだろうが!」
(´;ω;`)「うあぁぁあぁ! うぁぁぁぁん!」
/; ,' 3「あわわわわわ……」
(,,;Д;)オレモ,ナンダカナケテキタゾ,ゴルァ!
- 171 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:41:58
(; ´∀`)「荒巻さん、子供は泣かすものじゃないモナよ」
/ ;' 3「む、茂名か。泣かす気なんてなかったわい。最近の若いもんは……」
(´;ω;`)「う、うぅぅ、うぅぅ」
( ´∀`)「ほらほら、泣くのは止めにするモナ。泣いたって、疲れるだけなんだモナ」
( ´∀`)「そこの猫さんも一緒になって泣くものじゃないモナ」
(´⊃ω⊂`)「う、うう……うん……」
(,,゚Д゚)ゴルァ!
(´・ω・`)「ご、ごめんなさい……うるさくして……」
( ´∀`)「別に良いモナよ。子供はみんな、そんなもんだモナ」
/; ,' 3「……ったく、まるで儂が悪者みたいだろうが」
( ´∀`)「まさにその通りだと思うモナ」
/ ;' 3「なんじゃい、やってられんのう!」
- 172 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:42:53
( ´∀`)「……ところで、申し訳ないけど、話は聞かせてもらってたモナ」
/ ,' 3「ここじゃ耳を塞いだって、世間話なんか筒抜けだわい」
(´・ω・`)「……」
( ´∀`)「……ショボ君。君は、本当に美府町が嫌いなのかモナ?」
(;´・ω・`)「っ嫌いです! 僕は、あんな町、嫌いです……」
/ ,' 3「町が嫌ってのが良くわからんな。町にあるもの全てが嫌って言いたいのか」
(;´ ω `)「家族だって、学校だって嫌いだ……僕の居場所なんて、あそこにない……」
( ´∀`)「……居場所なんて、元からあるものじゃない。作るものだ」
/ ,' 3「ほっほ」
(´ ω `)「……?」
( ´∀`)「君の居場所は、本当に一つもないモナか? 心休まる時間は、どこにもないモナ?」
(´ ω `)
(((´ ω `))) フルフル
(´・ω・`)「……あるよ。夕暮れ時の美府町の、あの街角の公園」
(´・ω・`)「そこで……僕の友達二人と……遊んでる時だけが……」
- 173 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:43:33
/ ;' 3「なんじゃい! それがあるなら、人間何とかやっていけると思うがのう」
(; ´∀`)「子供にはそれだけじゃ足りないと思うモナよ」
(´・ω・`)「……でも、そんなの、ホントに短い時間だよ。夜が来たら、皆帰っちゃう」
/ ,' 3「……明日また会えば良かろう?」
(´・ω・`)「明日は会える、明後日も会える……でも、来月から、僕は受験だし……」
(´ ω `)「来年になったらブーンは引っ越ししちゃう……僕も、引っ越しする……」
/ ,' 3「どうしてそこで悲観的になるんじゃか。また美府町に顔を出せば良かろう」
(´ ω `)「そんなんじゃダメなんだ! ホントはいつでも、一緒に居たいんだ……」
( ´∀`)「……ショボ君は、もっと自分の居場所を作るべきだと思うモナ」
(#´ ω `)「作れないよ! クラスの奴らは皆僕を嫌ってるんだ! 父子家庭だからって!」
/ ,' 3「む……」
( ´∀`)「……」
(´ ω `)「……それに、それに! お父さんだって僕の言う事何も聞いてくれないもん!」
(´ ω `)「……友達いないなんて言ったら絶対怒られるもん! 勉強以外の話は嫌がられるんだ!」
(´;ω;`)「どうすれば良いってんだよ!」
(´ ω `)「今まで……今までずっと……我慢してきたんだ……今更……ッ!」
- 174 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:47:23
……今まで溜め込んできたものが、一気に流れ出した
どうして見ず知らずの人たちに、僕はこんなこと話しているんだろう
僕は馬鹿だ
……涙なんか、流して、僕は馬鹿だ……
不意に、僕の頭の上に大きな手がゆっくりと置かれた
とても、暖かいその手は、何だか安心出来て……
昔、まだお母さんが生きてた頃、僕を良く撫でてくれたその手の
優しい暖かさを思い出してしまった……
あぁ、僕はここにいるんだな
- 175 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:48:41
( ´∀`)つ"(´;ω;`) 「大丈夫だモナ、大丈夫……」
( ´∀`)「……ショボ君。君はね、我慢し過ぎなんだモナ。他の子がしないような我慢をしてるモナ」
(´;ω;`)「……」
( ´∀`)「……良く今まで我慢出来たね、凄いことだと思う
でもね、それは決して偉いことじゃないんだモナ。」
(´;ω;`)「……」
( ´∀`)「家にも学校にも居場所がない。でも、ブーン君? ともう一人の友達……」
(´;ω⊂`)「しぃ、しぃって言うの。ブーンと、しぃ」
( ´∀`)「……ブーン君と、しぃ君、二人と公園で遊ぶ時だけは楽しい」
( ´∀`)「……そうモナね?」
(´⊃ω・`)「……うん」
( ´∀`)「それは良い事モナ。でもね、それだけが楽しいなんて、ちょっと寂し過ぎるモナ」
(´・ω・`)「……うん」
/ ,' 3「ショボにはこの飼い猫も居るんじゃないのか? この猫、首輪しとらんが大丈夫かの」
つ(,,゚Д゚)ゴ、ゴルァ!
(´・ω・`)「……あ、ギコって言うの。それは今日拾ったから……」
/; ,' 3「そ、そうか」
/ ,' 3 (後で手洗っとこう)
- 176 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:49:14
( ´∀`)「それだけしか楽しみがないから、その公園のことをあまりにも大事にし過ぎているんじゃないかと、思うモナ」
(;´・ω・`)「でも、それが無くなったら、僕ホントにどうしていいか分かんないんだ」
(;´・ω・`)「ブーンとしぃと別れたら、僕はまた一人に戻りそうで嫌なんだ……」
/ ,' 3「聞いておれば、『ブーンとしぃ』『ブーンとしぃ』ばかり……ショボ、お前には!」
ババ―――/ ,' 3「この荒巻と、茂名という心強い友達が居るじゃろうが!」――ン!
(´・ω・`)( ´∀`)「…………」
( ´∀`)「それでね、」
/ ,' 3「無視か〜い。良いもん、儂はギコきゅんと遊んでるも〜ん」
つ(;,,゚Д゚)ク、クチクサイゾ、ジジィ!
- 177 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:50:09
( ´∀`)「君は、君の言いたいことをもっとはっきりと言うべきだと思うモナ」
(´・ω・`)「……誰に? 僕は、僕の言いたい事、結構言ってると思う……」
( ´∀`)「例えば、お父さん」
(´・ω・`)「……」
( ´∀`)「君はさっき、お父さんに話したいこと、話してないって言ってたモナ」
( ´∀`)「そして、例えば君のクラスメート」
( ´∀`)「君の家庭の事情を馬鹿にするような奴とは仲良くしなくても良いモナ」
(´・ω・`)「……」
( ´∀`)「……でもね? 君はそんな連中に言ってやったかい? 『僕の家庭を馬鹿にする奴は、僕は許さない』って」
( ´∀`)「馬鹿にしてくる連中一人一人に向かって、君の本当の本当に伝えたい事、伝えたかい?」
(´・ω・`)「……それは、伝えてないかも、しれない」
( ´∀`)「そういう奴らは、大抵群れのリーダーに従って動いてるモナ」
( ´∀`)「そいつ一人説き伏せれば、確かに何とかなるとは思うモナ」
(´・ω・`)「そう……かな……」
( ´∀`)「……でもね、それだけじゃ、やっぱりダメだとも、思うモナ」
( ´∀`)「君はそのリーダーとだけとしか関係を持たない、って訳じゃない。色んな人と付き合わないといけないモナ……」
- 178 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:51:13
/ ;' 3「何じゃい何じゃい、この儂に向かって威勢良く『ぶち殺すぞ』だなんて、言いたい事言っといて」
/ ;' 3「他のクソガキには、言えないってのか」
/ ;' 3「全く……どれだけ捻くれとるんじゃ、ショボは」
(;´・ω・`)「あ、さ、さっきのは……」
(´・ω・`)「割と本心だったな、そういえば」
ケラケラ( ´∀`)"「それで良いモナ」
/ 。 ゚ 3「ほうかほうか、そんなに儂にぶち殺されたいのか、ショボは」
ギュッ つ"<;,,゚Д゚)イデデダゴルァ
(´・ω・`)(でも、ジョルジュには割と好きなこと言ってたかな。クソ眉毛とか)
(´・ω・`)(……それは、本当の本心って訳じゃ、ないんだね……)
- 179 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:51:58
( ´∀`)「それでね、一番先に話をすべきなのが」
( ´∀`)「君の友達、ブーン君としぃ君だモナ」
(´・ω・`)「え? どうして、それこそ僕の言いたいこと言ってると思うよ」
( ´∀`)「だったらどうして、こんな街で一人で居るモナ」
(´・ω・`)「え、だってそれは……」
(´゚ω゚`)「アッー!」
/; ,' 3(; ´∀`)そ
つ(,,゚Д゚)ゴルァ!
(;´・ω・`)「ぼ、僕、実はその二人と一緒にここまで来たんだ。で、でも」
(;´ ω `)「もう帰ろうって言うから、本当は僕も帰りたかったけど、帰れないから……」
(;´ ω `)「二人を置いて逃げ出しちゃって、は、離ればなれになっちゃってて……」
/ ,' 3 (あ、こいつ本物のバカだな)
( ´∀`)(若いって良いモナ。面白いモナ)
- 180 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:52:36
(; ´∀`)「……って、そりゃあこんなとこで、のんびり話をしてる場合じゃないモナね」
(;´・ω・`)「ま、待って。もう少しだけお話させて下さい」
(;´・ω・`)「今まで悩んでいたことが少しだけ馬鹿みたいに見えて」
(;´・ω・`)「誰にも話せなくて困ってたことが、解決しそうで……」
/ ,' 3「……甘えるでない!」
つ(,,゚Д゚)そ ゴルァ!
(;´・ω・`)そ
/ ;' 3「今はこうして話してはいるが、お前が儂らのような者たちと、話していて良い訳ない」
/ ,' 3「お前の居場所は、他にあるでの」
(;´・ω・`)「でも……」
- 181 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:53:13
( ´∀`)「大丈夫だモナ」
(;´・ω・`)「……」
( ´∀`)「君が、『誰にも話せないから困ってたことがある』って自覚できたのなら」
( ´∀`)「まずは、君の親友にそれを話せば良いんじゃないかモナ?」
(;´・ω・`)「……でも……」
( ´∀`)「でも、じゃないモナ」
(´・ω・`)「……」
( ´∀`)「君に必要なのはね」
( ´∀`)「自分の居場所を自分で作る力と」
( ´∀`)「自分の事をちゃんと伝える力、それだけだと思うモナ」
( ´∀`)「そして君はもう、やろうと思えばそれを出来る筈だモナ」
/ ,' 3「後、老人への差し入れには、もっと良い酒を持ってくるべきだって事も覚えとけぃ」
(´・ω・`)
(´^ω^`)
(´^ω^`)「僕、行ってくる! ブーンと、しぃに会って、謝ってくる!」
/ ,' 3「それでえぇ」
つ(,,゚Д゚)ヤットカイホウサレルゾゴルァ……
- 182 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:53:57
/ ,' 3「後な、もうここには二度と来んでえぇ」
/ ,' 3「来ても、こっちに顔を向けんでえぇ」
/ ,' 3「今日のことは何かの間違いだと思って、ショボはただ、真っ直ぐ前に進んでけ」
/ ,' 3「やっぱりそれが一番の差し入れじゃ」
ケラケラ( ´∀`)"「何上手い事言おうとしてるんですかモナ」
( ´∀`)「……でも、荒巻さんの言う通りだモナ」
( ´∀`)「君はただ、君の居るべき場所に、居続ければ良いんだ」
(´・ω・`)
(´・ω・`)「……はい!」
- 183 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:54:28
(´・ω・`)「でも……でもね」
(´・ω・`)「……荒巻じいちゃんと茂名おじさんは、僕の友達、って言ったよね……?」
/ ;' 3「そ、そんなことも言ったかの」
(* ´∀`)「モナモナ」
(*´^ω^`)「だからね、僕の居場所、もう一つ出来たんだ!」
(´^ω^`)「こんな綺麗だったり汚かったり良く分からない街だけど……」
(´・ω・`)「荒巻じいちゃんと茂名おじさんのおかげで、僕はここ、好きになったんだ!」
/ ,' 3「……そうかえ」
/ ,' 3「それなら、のぅ?」
( ´∀`)「モナモナ、君の居場所に、何故だか僕達がいるんだモナ」
( ´∀`)「例えまた会う事になってしまっても、それは仕方のないことだモナ」
(*´^ω^`)「うん! えへ、えへへ!」
/ ,' 3 (……孫、か)
( "´∀`)モナモナ
- 184 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:55:04
/ ,' 3
つ(,,゚Д゚)!
≡≡≡(,,゚Д゚)
(,,゚Д゚)ゴルァ!ゴルァ!
(´・ω・`)「ギコ! どうしたんだい?」
/ ,' 3「何やら尋常じゃない様子だの」
(,,゚Д゚)ゴルァ……
≡≡≡(,,゚Д゚)ゴルァ!ゴルァ!
(;´・ω・`)「あ、ま、待ってよ!」
(;´・ω・`)「あ、うぅ……」
( ´∀`)「追ってやるモナ。きっと良いことあるモナ」
/ ;' 3「早くしろー!!! 間に合わなくなっても知らんぞーーー!」
- 185 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:55:38
(;´・ω・`)
(´-ω-`)
(´・ω・`)「……またね!」
/ ,' 3「……あぁ、またの」
( ´∀`)「……またね、だモナ」
≡≡≡(;´・ω・`)マッテヨ ギコ! ≡≡≡(,,゚Д゚)ゴルァ!
- 186 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:56:10
/ ,' 3「ふぅ……ガキはいなくなったことだし、もう寝るかの」
( ´∀`)「そうモナね……そうだ、荒巻じいちゃん?」
/ ;' 3「な、何じゃい気色悪い」
( ´∀`)「じいちゃんは、別に美府町の出身じゃなかったですよね?」
/ ,' 3「そうじゃよ、生まれも育ちもここじゃもん」
( ´∀`)「……じゃあ何で夕日が綺麗だなんて……?」
/ ,' 3「ほっほ、そんなことも分からんとは、まだまだモナは子供だのう」
(; ´∀`)「ハハッ、これでも50代です……」
/ ,' 3「若い若い。ま、そりゃあな……」
「夕日なんざ、どんな町にいようが、いつだって綺麗なもんなのさ」
- 187 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 20:57:58
..............
..........
.......
......
...
.
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(;'A`)「チクショウ! 折角のチャンスだったのに!」
俺は足下にあった缶を蹴飛ば……すのは止めて踏みつけた
しぃたんたちが変な奴らに絡まれてた時、俺はビルの隙間でその様子を伺っていた
まさにしぃたんのピンチ! これを救えば俺はヒーローになれる!
……でも、ダメだったさ。体が動かなかった
もうね、怖いのね
いざ俺が出て行って止めたとして、俺に何が出来た?
あの眼鏡野郎をぶっ飛ばす?
しぃたんをつかむその手をぶち折る?
……ダメだ、そうなるとあの眼鏡野郎の次の矛先は、俺だ
それは、怖い
でも、もっと怖いのは、しぃたんの俺を見る目だ
夕方にあいつらを怒鳴り回したせいで、多分俺の顔は覚えられてしまった
そこに急に俺が現れるんだ。あいつらにとっては恐怖でしかないだろう
……折角勇気出してそんなんだったら、俺は、絶対に折れる……
- 188 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:09:28
……結局、自分たちで逃げていくしぃたんたちを見守るだけだった
不甲斐なかったから、しぃたんたちを追う途中で、あの眼鏡野郎どもの横を通った時
俺は舌打ちをかましてやったさ
それも特大のな!……いや、中ぐらいかも……あぁ口を閉じながら舌打ちしたからなぁ、わかんねぇなぁ
ま、まぁそれは良いんだがよ
もっとむかつくのが、しぃたん達を追ってる時の会話さ!
「もう、しぃたちのことなんか、構わなくて良いんだよ、だよ」
だってよ! くぅ〜たまんねぇぜしぃたん、大和撫子だね!
でも、あのガキャぁ、何も言い返さなかったんだ!
俺があのガキだったら、しぃたんを抱きしめて否定してやるってのにな
全く人生ってのは叶わないことばっかの連続だ、やってられんよ
そして結局あのガキ共は、近くの公園へと走ってった
('A`)「まぁ良い……次だ」
次、チャンスがあったら
……俺はそれを、確実にものにしてみせる……!
(#'A`)「見てろよイエス! てめぇの名前で神に祈らなくともよ!」
(#'A`)「俺は俺の力で! 俺の恋を成就してみせるのさ!」
……そのとき俺は、気付けなかったんだ
ガキたちを尾行していたのは、俺だけじゃないってことによ
- 189 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:10:46
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
しぃは、僕にこう言った
「もう、しぃたちのことなんか、構わなくて良いんだよ」と
何のことか分からなかった。どうしてそういうのか、分からなかった。
でも、僕の胸に、突き刺すような痛みが走った
……その痛みは、ジョルジュ達からしぃ達を守れなかった時感じた痛みに似ていた
いや、それよりも、もっと痛かったんだ……
ただただ僕は動転してしまって、何も言えなかった
痛々しい沈黙が続くまま、僕らは、美府町の公園と同じ位寂れた公園に入っていった
そして、今にも壊れてしまいそうなオンボロのベンチに座ったんだ
(; ^ω^)「……しぃ、調子は大丈夫かお?」
(*゚ー゚)「うん……もう平気」
(; ^ω^)「そうかお……」
聞きたかった、どうしてあんなことを言ったのか
怒りたかった、どういう理由があろうとも、あんなことを言うのはひどいって
……でも、何も言えないんだ。怖い、ただ怖い
もうすでに僕ら三人はひどい状態だ
ショボンはどこかに行ってしまった
その上、しぃはあんなことを言う
……卒業式を迎える前に、僕たちの何かが崩壊してしまいそうだった
……これ以上、傷口を広げたくなんか、ない
- 190 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:11:27
……でも、聞かなきゃダメなんだ
傷口が痛むからって、そのままにしていて良い訳がない
……このままだと、僕ら三人は本当に崩壊しそうだ
そんなのは、絶対にダメだ
だから、今はしぃの話に耳を傾けるんだ
そうだ、聞くんだ、聞け、僕
しぃの言葉を逃しちゃいけない
しぃが僕を遠ざけようとするなら
僕が、近づいてあげないといけないんだ
さぁ! 言葉を出せ、内藤ホライゾン!
(; ^ω^)「……しぃ、あのね!」
(*゚ー゚)「……なぁに?」
(; ^ω^)「あのね……さっきのは、どういうことなんだお?」
(*゚ー゚)「……」
- 191 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:12:41
(*゚ー゚)「……ブーン、あのね、しぃね、たくさん考えたんだよ」
(*゚ー゚)「三人がこれからもずっと一緒にいられる方法を」
(*゚ー゚)「……でもね、思いつかなかったの。しぃ、頭悪いから……」
( ^ω^)「……そんなことないお」
( ^ω^)「……僕だって、たくさんたくさん考えたお。でも、何も思いつかなかったお……」
(*゚ー゚)「……そっかぁ、ブーンも考えてくれてたのかぁ……」
(*゚ー゚)「……だからね、今日ショボンが、皆でお出かけしようって言ったとき、とっても嬉しかったの」
(*゚ー゚)「このまま三人でずっといられるかもって思ったから」
(*゚ー゚)「だけどね、とっても不安にもなったの」
( ^ω^)「……」
(*゚ー゚)「ブーンに迷惑をかけるんじゃないかなって」
(*゚ー゚)「それに、ショボンは勝手に色々考えて、それを教えてくれないところがあるから……」
(* ー )「それでもね、五時の鐘が鳴って、すぐ帰らないといけないの、ずっと嫌だったんだよ」
( ^ω^)「そんなの、僕だって……」
(*゚ー゚)「それだけじゃないよ!」
(; ^ω^)「……」
- 192 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:13:42
(*゚ー゚)「最初は上手くいくと思ってたの!」
(*゚ー゚)「ショボンは頭が良いから! きっと夕日が沈んでもどうにかなるって!」
(* ー )「でも、ショボンはこの先のことを考えてなかった……」
(* ー )「しぃも、何も考えてなかった……」
( ^ω^)「……」
(* ー )「始めから、美府町から逃げるだなんて、上手くいくはずなかったのに……」
(* ー )「それが分かってたのに……」
(* ー )「こんなところまで来ちゃったの。ブーンに迷惑かけちゃったの」
( ^ω^)「……なんで、僕に迷惑をかけることを気にするんだお?」
(*゚ー゚)「……ショボンがね、言ったんだ」
(*゚ー゚)「僕たちは三人で一人だ、ってね」
( ^ω^)「うん……その通りだお」
(*゚-;)「……でもね、来年、皆バラバラになっちゃうの。それなのに、しぃもショボンも、ブーンから離れたくないの」
(*;-;)「……皆、ブーンが好きなの、ブーンがいないと、ダメなの……」
- 193 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:15:01
( ^ω^)「……ごめんお、泣かしてしまって……」
( ^ω^)「……僕だって、勿論嫌だお。僕だって、しぃとショボンが居ないとダメだお」
(*;ー;)「違うもん……ブーンは二人が居なくてもやっていけるよ……」
(; ^ω^)「……どうしてそんなこと言うんだお?」
(*;ー;)「……ショボンが言ってたよ。ブーンは元々はクラスのリーダーなんだって」
(*;ー;)「それなのに、しぃたちなんかと仲良くしてくれたから」
(*;ー;)「クラスの人たちから守ってくれたから」
(*;ー;)「……だから、ブーンはしぃ達としか遊ばないの」
(*;ー;)「だから! しぃ達から離れたら、美府町を引っ越したら! ブーンには友達がいっぱいいっぱい出来るんだよ!」
(*;ー;)「もう、しぃ達はこんな風に、ブーンの邪魔をしちゃ、いけないんだよ!」
(*;ー;)「だから、だからもう、ブーンはしぃ達に構ってちゃ、いけないんだよ…………ッ!」
( ^ω^)「しぃ」
(*; - ;)
- 194 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:15:55
( ^ω^)つ□"(; - ; *)
( ^ω^)つ□「まずは、涙を拭くお」
( ^ω^)つ□「泣いても疲れるだけなんだお」
(* - )「……ん……」
( ^ω^)つ□"「……」
(* - )「……」
- 195 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:16:44
( ^ω^)つ□「……あのね、しぃ」
(* - )「……」
( ^ω^)つ□「僕はね、君といて、迷惑だなんて感じた事、一回もないお?」
(* - )「……」
( ^ω^)つ□「ショボンがどんなに長ったらしくて良く分からない話をしても」
( ^ω^)つ□「しぃがどんなにおかしなことを言って、僕を困らせても」
( ^ω^)「僕はそれを迷惑だなんて、絶対に思えないんだお」
(* - )「でも……」
( ^ω^)「今回のことだって、いつもと同じだお」
( ^ω^)「ショボンが変なことを考えて、僕たちに何も教えてくれないまま大変なことになるのも」
( ^ω^)「しぃだって勝手に色々考えて、こうやって僕を困らせることを言うのも」
( ^ω^)「結局いつも通りなんだお」
( ^ω^)「いつも通り僕はそれに振り回されるだけなんだお」
- 196 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:18:34
(* - )、「ほら、やっぱり迷惑かけてる……」
( ^ω^)「違うんだお」
( ^ω^)「振り回されることは必ずしも迷惑じゃないんだお」
( ^ω^)「確かに僕はしぃとショボン以外、友達がいなくなってしまったお」
( ^ω^)「でもね、だったらどうして僕は学校に行くんだお?
どうしてしぃとショボンも学校に来るんだお?」
(* - )「……そんなの、決まってるよ」
( ^ω^)「うん……」
僕らは三人で一人なんだから……
(*゚ー゚)「でもね、それもね、もうおしまいなんだよ。もう皆離ればなれなの」
(*゚ー゚)「……ブーンは元々人と上手く付き合えるから、美府町を出てもやっていけるよ」
(*゚ー゚)「だからね、ブーンには私たちのこと、美府町のこと、いつまでも覚えていて欲しくないんだよ」
(*゚ー゚)「それが、しぃ達がブーンの迷惑になっちゃいけないってことなんだよ……」
( ^ω^)「……言いたい事は、それだけかお」
(*゚ー゚)「……え?」
- 197 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:19:30
( ω )フー
( ^ω^)「しぃ」
(*゚ー゚)「な、なぁに?」
( ^ω^)「僕は、君が好きだお」 ( ゚ー゚*)
(*゚ー゚)「……え」
(*゚ー゚)「え、ブーン、え、え」
(*゚ -//)「な、何言ってんのそんな」
(*///)「ば、ばかぁ、そんなこと……何でそんな急に」
- 198 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:20:54
( ^ω^)「……ごめんお。でもね、伝えなきゃいけない気がして」
( ^ω^)「僕は君が好きだから、だからいつまでも一緒にいたいんだ。本当に、それだけなんだお」
(*///)「は、恥ずかしいよ……」
( ^ω^)「君も言ってくれたお。皆はブーンのこと好きだって」
(*゚^ ゚)「それとは"おもみ"が違うんだよ! だよ!」
(* ^ω^)「……おっおっお」
(*゚ー゚)「な、なに?」
( ^ω^)「何だかやっと、しぃらしい顔が見れたなって」
(*゚ー゚)、「な、なにさ、ブーンの癖に……んっ」
- 199 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:21:39
僕は、しぃを僕の左肩に寄せ、僕の腕はしぃの左肩にまわしたんだ
しぃは、始めは恥ずかしそうにしてた。僕も恥ずかしかったけど
でも、そのうち、それが自然であるかのように
二人はお互いの体温を感じていたんだ
好きなんだ
君といたいんだ
でも、いつかは離れなければならなくなる
だから
何だか、とってもしぃの事が愛おしくて
何だか、とってもしぃの体温を感じたくて
僕は、僕の胸に空いた大きな大きな隙間を埋める為に
今はしぃを、感じていたいんだ
- 200 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:22:58
( ^ω^)「……ねぇ、しぃ」
(*゚ー゚)「なぁに」
( ^ω^)「僕はね、もしかしたら二人よりも、わがままなのかもしれないお」
(*゚ー゚)「ふふっ、どうして?」
( ^ω^)「僕は、好きな人と一緒にいる時だけが、楽しいんだお」
( ^ω^)「好きでもない人と一緒にいたって、きっと楽しくないんだお」
(*゚ー゚)「……しぃもだよ。ショボンだって、きっとそう」
( ^ω^)「僕は色々悩んでたお。来年、三人がバラバラになった後どうするのか」
( ^ω^)「……でも、やっぱりそんなのアホらしいお」
( ^ω^)「三人は仲良しなんだお、離れたって仲良しなんだお」
( ^ω^)「それを忘れることなんて、出来やしないんだお」
(*゚ー゚)「……」
- 201 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:24:18
( ^ω^)「……僕は、向こうで友達が出来るかもしれない」
( ^ω^)「でもね、しぃにもショボンにも、きっと友達は出来るお」
( ^ω^)「だって、僕は知ってるお。二人とも、とっても良い奴なんだって」
(*゚ー゚)「……ん」
( ^ω^)「だからね、中学校に入っても寂しくなんかないお」
(*゚ー゚)「そうかも、しれないけど……」
(*゚ー゚)「でも、そこにブーンとショボンがいないよ?」
( ^ω^)「……しぃ、中学校に入ったら、携帯を買ってもらえるおね?」
(*゚ー゚)「え、多分、頼めば……」
( ^ω^)「毎日話をしよう、メールだってしよう。ショボンも一緒に、皆で話をするんだお」
( ^ω^)「確かに三人とも離ればなれだお。夕暮れ時、あそこの公園で遊ぶことは出来なくなるお」
( ^ω^)「でも、僕らは中学生なんだお。大人になるんだお」
( ^ω^)「会えない分、たくさん楽しい話をしようお」
(*゚ー゚)「ん……」
( ^ω^)「今日やった、おままごとなら出来るお」
( ^ω^)「セパタクローとか、カポエイラとかは出来なくても」
( ^ω^)「お話だけなら出来るんだお」
(*゚ー゚)「そう、だね……」
- 202 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:24:50
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「しぃ、僕ら、大人になろうお」
(*゚ー゚)「なれるの、かな」
(*゚ー゚)「心配で仕方ないの。いつか三人とも、三人のこと忘れてしまうんじゃないかって」
(*゚ー゚)「怖くて仕方ないの……」
( ^ω^)「忘れることなんて、出来ないお」
( ^ω^)「だって、この三人でいること以上に、楽しいことなんてないんだお」
(*゚ー゚)「……」
- 203 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:25:27
( ^ω^)「しぃのこともショボンのことも忘れられない」
(*゚ー゚)「でも、三人で美府町から逃げても、上手くいかなかったよ」
( ^ω^)「だからね、僕らはこのまま流れに身を任せるんだお」
( ^ω^)「一旦離ればなれになろうお。中学校で、普段は他の友達と遊んで、寂しさを紛らわすんだお」
( ^ω^)「夜にはね、また僕としぃとショボンとで、三人に戻るんだお」
( ^ω^)「僕らはきっと、そうなれるんだお」
(*゚ー゚)「なれる、のかな」
( ^ω^)「なれるお」
- 204 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:26:46
(*゚ー゚)「……ふふ」
(*^ー^)「そっかぁ、それで、良いんだね……なんだか、色々考えてたのが馬鹿みたい」
( ^ω^)「おっおっ、そうだお。僕達は色々考え過ぎてたんだお」
(*゚ー゚)「……ショボンみたいに、たくさんのこと考えられないもの」
( ^ω^)「そうそう、ショボンみたいに……」
( ^ω^)「ショボン、ショボン……」
(*゚ー゚)「ん、ショボン?」
( ^ω^)(*゚ー゚)「……あ」
- 205 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:27:35
(; ^ω^)「やべ、僕達、またショボンがどっか行っちゃったこと忘れてたお」
(; ^ω^)「このままじゃ全然解決してないじゃないかお」
(;*゚ー゚)「ど、どうしよう。もっかい探さないと」
(; ^ω^)「しぃはもう体調大丈夫なんだおね」
( ^ω^)「よし! 行くお! 今度こそショボンを見つけて、美府町に帰るお!」
(*゚ー゚)「うん!……」
(*゚ー゚)「……あ、後、ブーン、あのね」
( ^ω^)「なんだお?」
(*゚ー゚)「言いそびれちゃったけどね、あのね」
(*゚-//)「しぃもね、ブーンのことがね」
(*////)「す「ちょ〜っと待つでゴンス!」
(; ^ω^)「だ、誰だお!」
:(*゚ー゚):(いいもん、しぃ、告白邪魔されたって泣かないもん、強いもん)
- 206 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:30:24
(;;;;;ゝ;;;)(::<_::::::)「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」
( ´_ゝ`)「ラストチョイヤクこと流石兄者です」
(´<_` )「不本意ながら左にいるダメ人間の弟、弟者だ」
( ^ω^)
(^ω^)
(^ω^)(ちょい役にしたって、もうちょっと良い人選でも、罰は当たらないと思うお)
- 207 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:31:07
( ´_ゝ`)「OK、掴みは成功したようだ」
(´<_` )「何だよゴンスって」
( ´_ゝ`)「いいじゃんいいじゃん、キャラ変えってやつ〜?」
(´<_` )「流石だな兄者。何が流石ってどこまでもダメ人間ぽいってとこが流石だな」
( ´_ゝ`)「ははっ、褒めるなって」
( ^ω^)(話しかけといて放置とか、超怖い)
(;* - )「怖いよ、ブーン」
(; ^ω^)「あ、しぃ。大丈夫だお、もう行こうお」
(´<_` )「おっと、そうは問屋が」
( ´_ゝ`)「卸さないんだZE!」
- 208 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:31:40
( ;^ω^)「さ、さっきから何なんだおアンタ達は!」
( ´,_ゝ`)「フフフ……その言葉を待っていたのだよ、少年!」
( ´_ゝ`)「何だかんだと聞かれたら!」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「き、きかれたら!……」チラッ
(´<_` )「…………」
( ´_ゝ`)「たら!……」チラッチラッ
(´<_` )「…………」
( ´_ゝ`)(´<_` )「「答えてあげるが世の情け」」
(; ^ω^)(か、被った!)
(*゚ー゚)(もう死ねよ)
- 209 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:32:34
( ; ゚_ゝ ゚)「キエェー! 被ったあああああ!」
(´<_` )「折角俺が合わせてやったというのに、流石だな兄者は」
(。´_ゝ`)「良いもん、どうせロケット団にはなれないもん」
(´<_` )「そんな国際犯罪組織を目指していたのか」
(; ^ω^)(こいつらちょっと、本気で怖いお)
(*゚ー゚)(告白邪魔したのに用がないとか、果てしなくうざい)
- 210 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:33:25
(; ^ω^)「あの、用あるんで帰りたいんですけど……」
( ´_ゝ`)「まぁまぁブーン君、事情は分かるが、僕たちの用事を聞いてからにしておくんなまし」
(´<_` )「それ、どこの方言か分かってて使ってるのか?」
( ´_ゝ`)「え、さぁ……?」
(´<_` )「流石だな兄者、自分の使ってる言葉のことも分からないとはな」
(; ´_ゝ`)「わ、分かってるしぃ、さっきのは兄者ジョークだしぃ!」
(´<_` )「フーン、じゃあどこの方言か言ってみろよ、ほら、ほら」
(; ´_ゝ`)「え、え〜とぉ、え〜とぉ」
テヘペロ( ゝ_ゝ<)⌒☆「わかんにゃい☆」
(´<_` )「深海魚並みの気持ち悪さだな」
( ^ω^)「もうどうでも良いから死んでくれお」
(*゚ー゚)「同意」
(*゚ー゚)「超同意」
- 211 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:34:14
(*゚ー゚)「割とマジで同意」
(; ´_ゝ`)「お、弟者、子供たちが怖いよ。レス越しに同意までしちゃってるよ!」
(´<_` )「あぁ、俺も諸手を挙げて同意の念を示そうか」
( ´_ゝ`)「えぇ〜弟者も怖い〜」
( ;^ω^)「……あの!」
( ´_ゝ`)「何だい少年、サインはやらんよ」
(´<_` )「兄者のサインなど、誰がもらおうとするのやら」
( ´_ゝ`)「えぇ〜いる(ry( ;*゚ω*゚)「いい加減黙れお!」
( ; ゚ω ゚)「話が進まねーだろが! どうでも良いとこでレス数使っちゃってるだろが!」
( ; ゚ω ゚)「まいてこ!? レス数まいてこ!? 無駄話やめてこ!?」
( ; ゚ω ゚)「こっから解決編! みたいなムード出してたの見えたでしょ!?」
( ; ゚ω ゚)「大体良い歳して、何をどうでも良いことくっちゃべってんだお!」
( ; ゚ω ゚)「こっちゃあ割とマジで生死に関わる問題抱えてんだお!」
( ; ゚ω ゚)「いい加減黙ってろお!」
( ´_ゝ`)シュン「…………」
(´<_` )シュン「…………」
(*゚ー゚)(人に怒られると弱いとか、マジ内弁慶)
- 212 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:35:25
( ; ゚ω ゚)ハァーハァー
( ; ゚ω ゚)「……で、何なん? 君ら何なん?」
( ´_ゝ`)「…………あ、喋っても?」
( ; ゚ω ゚)「良いよ。ほら、はよせな」
( ´_ゝ`)「あ、はい、えーとですね」
( ´_ゝ`)「ぶっちゃけて言うとですね、えぇと、僕ら……」
( ´_ゝ`)「クリスマステロリスト、やってまして……」
( ; ゚ω ゚)「は? なに? クリ? クリなに?」
(´<_,` )ボソッ「クリトリス手揉みすと……」
( ´_ゝ`);:":`ブフォ
:( ´,_ゝ`):「お、弟者っっwww不意打ちすぎwっっwっっww」
(´<_,` )「……こんなんで笑うとか」
( ´_ゝ`)「流石だよな俺ら」(´<_` )
( ^ω^)「あ、勝てねぇやこれ」
(*゚ー゚)(ブーンは頑張ったよ……)
- 213 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:36:39
( ´_ゝ`)「……と、まぁお遊びはこれまでにしてだね」
( ´_ゝ`)「本題に入ろうかい」
(; ^ω^)「……」
( ´_ゝ`)「さっきも言ったが、俺たちはクリスマステロリスト」
( ´_ゝ`)「クリスマスにイチャイチャぬちゃぬちゃしているカップルどもが、心底憎い!」
( ´_ゝ`)「だから今日は大々的にクリスマス中止デモを行っていたのさ!」
(*゚ー゚)(テロリストってあんなデモやるのかな)
( ^ω^)「でもあんたら、さっきデモの途中で飽きて帰ってたお」
( ´_ゝ`)「……んっふっふ〜、それはぁ違うんですねぇ、ブーンさぁん?」
(´<_` )「無理に古畑任三郎演じなくて良いぞ」
(´<_` )「ところで。そう、そこが大事だ。俺たちがデモを止めたのはだな」
m9( ´_i_` )6m「君たちを見つけたからなんだよ!」
(´<_` )「どっちがどっちか分からなくなるからその顔やめて」
( ´_ゝ`)「あ、はい……」
- 214 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:38:27
……ちょっと待て、「僕たちを見つけたから」?
おかしい、そんなのはおかしい
僕たちは駅前では、随分遠くの方から彼らを見ていたから
彼らが僕たちを見つけるなんて、よっぽど注意してないと出来ないはずだ……
どうして、そんなことが……
……そういえば、どうして僕の名前を知ってるんだこいつらは……
もしかして……ストーカーか?
だったらこのしつこさもうなずけるかもしれない
- 215 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:39:27
(; ^ω^)「……僕たちを見つけたからって、どういうことだお?」
( ´_ゝ`)「……あぁ。ははっ! 聞いてくれるかい」
( ´_ゝ`)「でもね、その前に……ッ!」
(´<_` )「本当の前口上を語らせてもらうとしようか」
( ´_ゝ`)「我々の崇高なる理念が分かってもらえるだろう! わくわくするなぁ弟者よ!」
(´<_` )「あぁ、ちゃんと分かってもらえるか楽しみだよ、ホントね」
(; ^ω^)「……ッ」
(; ^ω^)(何だか分からない……何だか分からないけど)
(; ^ω^)(聞いたら元には戻れないような、気がする……!)
(*゚- ゚)「ブーン……」
ギュッ(*゚- ゚)つ(; ^ω^)
- 216 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:40:02
( ´_ゝ`)「全国に散らばる死屍累々の諸君! 今こそ聞け!」
(´<_` )「その胸に抱える咎を! 嫉妬を! 羨望を! 今こそ払う時が来たのだ!」
( ´_ゝ`)「……我々はクリスマステロリスト……大いなる闇を抱えし者たちだ!」
(´<_` )「そして! 病める現代社会に迷える者たちへ指針を示す者たちだ!」
( ´_ゝ`)「聖夜に伴侶を得る事はなく……!」
(´<_` )「祈りを捧げる神などおらず……!」
( ´_ゝ`)「完全なる弱者の身に落とさざるを得なかったのが我らだ!」
(´<_` )「馬鹿にされ! 嘲られ! 罵られ! 虐げられ!」
( ´_ゝ`)「我々は圧倒的多数派の純粋なる暴力による被虐者だ!」
(´<_` )「蹴られ! 潰され! 殴られ! 踏みにじられ! 」
( ´_ゝ`)「そうだ、今この時に置ける革新を!」
(´<_` )「だから、不当な正義に酔いしれるブルジョワジーを叩き落とすことを!」
( ´_ゝ`)「我らによる我らの為の!」
( ´_ゝ`)(´<_` )「我らに基づく新たな世界を!」
( ´_ゝ`)「クリスマステロリストは求めて止まないのである!」(´<_` )
( ´_ゝ`)「果たそう! その目的を達成する為に! 全ての不当に恵まれた者共を粛正する事を!」
(´<_` )「満たそう! その願望が成就する為に! 全ての哀れな持たぬ者共を救済する事で!」
( ´_ゝ`)「そう! 我らクリスマステロリストは! 今ここにィ!」
(# ´_ゝ`)「ク リ ス マ ス 中 止 の お 知 ら せ を お 伝 え し ま す !」(´<_` #)
- 217 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:40:35
(; ^ω^)
(; ^ω^)(馬鹿なことを言っているのは分かる、だけど……)
(; ω )(ただ、怖い。本気の相手が、話が通じない相手が……)
:(* ):
:(; ω ):(しぃ……ごめん、僕には何も出来ない……)
- 218 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:42:54
( ´_ゝ`)「……あぁ、そういう訳で」
(´<_` )「君たちは我々の粛正対象になる訳さ」
:( ω ):「つ、つまり……?」
先を聞くことは怖かった
目の前の大人たちが、一切の冗談の余地を残さぬ顔をして僕らに言葉をかけるのは
もはや死刑宣告を刻々と告げていく執行官のそれと同一に思えた
……しかし、罪状と刑罰を、詳しく聞かずにいる事の方が
絞首台に立たされた者にとって、最大の恐怖であるのだろう
だから、僕はその先を求めてしまった……
( ´_ゝ`)「ハハハ、安心してくれ。何も殺そうってんじゃないんだから」
(; ω )
( ´_ゝ`)「ただね、俺らの野望の為に、ちぃとばかし利用しやすい、君たちみたいなカップルが欲しかったんだよ」
(´<_` )「あぁ、俺たちの示威の為に、ピッタリの相手だもんな」
( ´_ゝ`)「あぁ、小さくて、可愛くて、大人達が大事にしてるもの……そして、そいつらがリア充であること」
(´<_` )「そういうものを刺激することが、俺たちの大義には大事なんだよな」
(´<_` )「……だからね」
チョットイタイメニアッテモラウヨ
( ^ω^)「え?」
- 219 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:44:26
間抜けにも、僕がただそれだけの言葉を漏らした瞬間
目の前の大人に、僕の横っ面は思いっきり殴り飛ばされていた
避けることなんて出来なかった
無様に地面に転げ回った僕は、溢れるような頬への痛みを感じた
体の力が抜けてしまう、でも立ち上がらなきゃ……
その時、口の中に異物感を覚えた
ずっと前に生え変わった大人の歯が抜け落ちてしまっていたんだ
僕は、体の奥底から叫び声をあげた
- 220 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:47:28
:(* - ):「あ、あ、ぶーん、ぶーん……」
( ´_ゝ`)「あーあ、受け身とらないから」
(´<_` )「ははっ、痛がってら」
( ´_ゝ`)ノ[◎]「まぁ無様な方が、反響も良さそうだから良いけどね」
( ´_ゝ[◎]パシャパシャ「良いよ良いよ〜扇情的だね〜」
(´<_` )「全国発信するんだからな、ちゃんと分かりやすい写真にしろよ」
( ´_ゝ[◎]パシャパシャ「あぁ分かってらい」
((.;.;) ;ω;)アアアァァァァァァ!ウアアアァァァァァァ!
(´<_` )「……黙ってもらう?」
( ´_ゝ`)「良いさ。子供はみんな、そんなもんだ」
( ´_ゝ`)「人払いなら出来てるし」
- 221 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:47:59
( ´_ゝ`)「……んじゃまぁ、彼氏さんだけやられてるのも不平等だしな」
:(* ;- ;):
( ´_ゝ`)「俺はこっちやるか」
(´<_` )「フェミニストの俺には出来ない仕事だな」
(´<_` )「……あぁ、写真に映るんだから、なるべく無様にやられてね」
(* ;- ;)「あ、あ、あ、あ、や、や、や」
(* ;- ;)「……あぁ」
(; ´_ゝ`)「うわ、小便もらした!」
(´<_` )「焦らすからさ、とっととやれよ」
( ´_ゝ`)「しゃーねぇなぁ……ま、これも俺らの使命だから、我慢してね」
- 222 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:50:00
痛い、体中が痛い
頬だけのはずなのに、体を強く地面に打ち付けたみたいだ
……嫌だ、もう嫌だ、帰して、家に帰して
心臓の鼓動音が、胸を貫く程痛い
頭に血が上り過ぎて、目の前が霞んできた
……でも、しぃは、しぃだけは守らなくちゃ
しぃ、しぃ、しぃ……!
:(* ): (´く_` )(´<_` )
- 223 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:52:22
……しぃの目の前に、あいつらがいる
何の表情も見せず、冷淡な顔でしぃを見ている
僕を殴り飛ばした時と同じ顔だ
……ダメだ、それだけはさせちゃいけない
それをさせたら絶対に取り返しがつかない!
動かなきゃ、動かなきゃいけないのに
……でも、僕の体が動くのを許してくれない
こんなときに動かなきゃ、何の意味もない僕の体なのに
今度こそしぃを守るって約束したのに!
(* ー )
(*゚ー゚)
不意に、しぃと目が合った
しぃは僕を見て、天使のような微笑みを浮かべていたんだ
しぃ!……しぃ!
あぁ……僕は……僕はッ!
- 224 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:55:23
((.;.;)#^ω)「あああああぁぁ(# ゚A ゚)「あああああぁぁぁわああああぁぁぁぁッッ!」
≡≡≡(# ゚A ゚)「ああぁぁてめええぇぇぇッッ!」
((.;.;)#^ω)!
( ´_ゝ`)!
(´<_` )!
- 225 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:56:10
≡≡≡(# ゚A ゚)つ)# ゚_ゝ)そ ッ!
- 226 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:56:42
(# ゚A ゚)ハァーハァー「っの外道共がぁッ!」
(# ゚A ゚)「お、お前ら無事か!」
((.;.;)#^ω)「……あ、あ、お、おじさん」
(*;ー;)「お、おじさん」
(# ゚A ゚)「おじさんじゃあねぇ! ドクオお兄さんって呼べぃ!」
((.;.;)#^ω)「「ドクオお兄さん!」」(*;ー;)
('A`)(……あぁ、何かが満たされていく……)
(´<_` ;)「おい兄者! 大丈夫か!」
(# ´_ゝ`)「グッ、痛ってぇ……歯折れたろコレ……」
- 227 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 21:59:23
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
……しぃたん達が公園に入って、周りに誰もいないのを確認すると
しぃたん達が座るベンチの、裏の方の草むらの中に俺は潜んだ
人生の悩み事とか、ふぐりの坊主の告白とか、惚気とか
たっぷり聞かせられた俺は、最初は滅入ったもんさ
(;A;)「畜生、しぃたんは、あんなガキが好きなのかよ……!」
(;A;)「しぃたん……しぃた〜ん!」
(*^ー^) (^ω^ )
(;A;)「あぁぁぁ、あんな幸せそうな顔しちゃってよ〜」
(;A;)「……クソッ! 俺の恋は実らねぇってか」
(;A;)「……俺の代わりに幸せにしてやれってんだいバ−ロィ」
……しぃたんが俺の彼女じゃなくなるのは惜しい
だけどさ、もっと心にきたのはよ
こんな小さな子供達が、本当に相手の事を思いやって、前に進もうと苦しんで
やっと二人でこれから先の答えを見つけ出したってことなんだよ
俺は感動していたんだ
……だから、気付けなかった
その公園の周りで、人払いの為か、「工事中」なんて立て札を
のうのうと立てているあいつらの姿に……
- 228 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:00:36
(*゚ー゚)(; ^ω^) ( ´_ゝ`) (´<_` )
('A`)「……ん? 何だあいつら、しぃたん達に話しかけやがって」
突然、あいつらがしぃたん達に接触した
最初は、変な奴らだな、としか思っていなかったが
よくよく考えてみると、あいつらは、駅前でしぃたん達があいつらを見かけてから
何度も俺の視界の中に入っていたんだ
(#'A`)「……つまり、しぃたんの可愛さにつられたストーカー野郎だな! 許せねぇ!」
('A`)「許せねぇ!……けど……」
('A`)「ストーカーとか超怖いよ……絶対病んでるって……」
('A`)「俺が出てっても絶対何も出来ないよ……ナイフとか持ってんだろどうせ」
(iii'A`)コワイコワイコワイ
- 229 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:01:14
そんなことを考えていた矢先だ
突然あいつらはクリスマステロリストなる意味不明の単語を出して
つらつらとご立派な前置きを喋っていた
(iii'A`)「うわぁ……思っていた以上に電波だよこいつら……」
(iii'A`)「これちょっと警察ものじゃない? 電話しちゃう? 電話しとこうよ……」
- 230 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:01:44
俺はズボンの左ポケットに手を伸ばし
あるはずの携帯を探そうとしたんだ
(;'A`)「……っと、あれ、え、ない?」
(;'A`)「……えぇ〜、これは色々まずいぞ。何で無いんだ」
(;'A`)「あぁそっか、夕方、ガキたちをいきなり追い回したもんだから」
('∀`)「タバコ位しか持ってきてないんだっけ」
('A`)「どうしよう」
- 231 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:03:10
('A`)「……ん? って」
(:'A`)「あ」
……早いとこ止めておけば良かった
奴らは急に、坊主をぶん殴りやがった
(;'A`)「あ、あ、あいつら、やりやがったな〜」
(;'A`)「どうする、この公園にゃ他に誰もいない。
今止められるのは、俺しかいないぞ……」
会話から察するに、あいつらはしぃたんだって殴るだろう
……今こそ、しぃたんのピンチのはずだ
でも……
- 232 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:04:13
('A`)「怖ぇ、超怖ぇ」
('A`)「……そうだ、走って、け、警察のとこに行けば……」
('A`)「お、お、俺なんかがあいつらに勝てる訳ねーしさ」
('A`)彡「ご、ごめんよしぃたん……」
- 233 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:04:56
そうさ、俺はダメ人間さ
すぐ目の前にあるやらなきゃいけないことを放棄して
自分の身が一番可愛くなってしまうクズ野郎さ
……ダメなんだ、ダメなんだよ
俺は、土壇場で臆して動けなくなってしまう人間の方なんだよ……
だから……
ごめん、俺には、何も出来そうにない……
- 234 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:06:09
……不意に、しぃたんが坊主を見ていたことに気付いた
別に、俺に向けて微笑んでいた訳でもなんでもない
なのに、自分のことを省みない笑顔に、俺の視線は吸い込まれていくようだった
……その穏やかな表情は、頑な俺の心を溶かすには十分だった
……あんなに可愛くてよ、あんなに健気でよ
あんなに幸せな顔を見せようとするあの子をさ
傷つけるような奴は誰だって許されるはずがねぇよな
自分勝手な狂人の論理なんかで、いたいけな子供の夢を切り捨てて良いはずがねぇよな
だったら俺がいくらでも代わりに傷ついてやろう!
それであの子が笑ってくれるなら良いだろう!
……そしてついでにあの子が俺のこと好きになってくれたら尚良いよなぁ!
(#'A`)(俺もクリスマスには反対だがよ……あんなのは外道中の外道だ!)
(#'A`)(どんな奴であれ! 可愛い女の子を殴る奴は絶対に正義じゃねぇ!)
(#'A`)(だから……俺は……ッ!)
(# ゚A ゚)「いくぞ……いくぞ……ッ!」
(#A)「守る……守るんだ……ッ! うし、うっし!」
(# ゚A ゚)「あああああぁぁぁわああああぁぁぁぁッッ!」
≡≡≡(# ゚A ゚)「ああぁぁてめええぇぇぇッッ!」
- 235 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:07:22
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(# ´_ゝ`)「……ってえなクソっ、一体どこのどいつだ!」
(´<_` ;)「わ、分からんが、大丈夫なのか兄者」
(; ゚A ゚)(勢いで殴っちゃったけど、どうしよう、逆切れとかナイフとか超怖いよぉ)
(# ´_ゝ`)「……てめぇ! そこのおっさんよぉ!」
(; ゚A ゚)「ひゃ、ひゃい! おんとしにじゅうよんさいです!」
(# ´_ゝ`)「歳はどうでも良いんだよ! 誰だか知らんが……俺たちの邪魔をするってんならよぉ」
(# ゚_ゝ ゚)「ぶっ殺してやらあぁぁッッ!」
('A`)(あーこれあれだ、怒らせると怖いやつだ、現代社会の病める若者だ)
('A`)(死んだか俺)
- 236 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:08:27
((.;.;)#^ω)「ど、ドクオおじ、お兄さん! 僕も一緒に戦うお!」
((.;.;)#^ω)「しぃ! 僕らの後ろにいるんだお」
:(*゚- ゚):"コク
(;'A`)「お、おい、お前らはとっとと逃げりゃ良いんだよ! そうすりゃ((.;.;)#^ω)「ダメだお!」
((.;.;)#^ω)「こいつらはしぃを怖がらせたんだ!」
((.;.;)#^ω)「ぜったい、ぜったい! 許してやるもんか!」
(;'A`)「……っち、ガキがよ」
('A`)(でもよ、独りぼっちは寂しいもんな……いいよ、一緒にいてくれよ)
- 237 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:11:27
(;'A`)(とはいえどうしたら良い? 兄の方は今にも俺たちを襲いかかろうとしている)
(;'A`)(弟の方は焦っている感じだが、あの長身だと、喧嘩は強そうだ)
(;'A`)(対してこっちは俺と子供二人。でも、しぃたんは戦えないから、人数的には五分
むしろ守らないといけないから不利か)
(;'A`)(というか俺が守ってもらいたいよ……)
(;'A`)(…………)
('A`)(あれ、これ詰んでる?)
('A`)(うわーなにこのクソゲー、リセットボタンを高橋名人張りに連打してやりてぇ)
(# ゚_ゝ ゚)「おらぁ! じっとしてねぇでかかってこいや!」
(´<_` ;)「あ、兄者、時に落ち着いてくれ」
(# ゚_ゝ ゚)「……そっちが来ないならよぉ……」
≡≡(# ゚_ゝ ゚)「こっちから行ってやらぁッ!!」
≡(; ´_>`)「ま、待てよ兄者!」
('A`)(さよなら人生、悔いはある)
- 238 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:13:24
((.;.;)#^ω)「ドク兄ちゃん、きてるきてる!」
('A`)「……あぁ、やるしかねぇのか……」
('A`)「おい坊主、俺が出来る限りあいつらを引きつける……」
('A`)「おまえらはやっぱ逃げろ」
((.;.;)#^ω)「……やだお! 今度こそしぃを守るお!」
(;'A`)「聞き分けろよ!……あぁきちゃった!」
ヒィ(;'A`)つ ど(´く_` #)オアァァー≡≡≡
((.;.;)#^ω)
エ、エイ!≡('A`)つ)#*゚_ゝ)そ グヘアァァ!
((.;.;)#^ω)!
('A`)つ(……え)
('A`)つ(えぇ〜〜〜、こいつ弱い〜〜〜〜)
- 239 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:14:32
((.;.;);´_ゝ`)「な、な、な」
((.;.;); ゚_ゝ ゚)「何すんじゃワレーッ!」
('A`)「え、いや、殴っただけだけど……」
((.;.;); ゚_ゝ ゚)「喧嘩上手なら先に言ってーっ!?」
('A`)(えぇぇ……)
((.;.;)#^ω)「ど、ドク兄ちゃんすげーお!」
('A`)「え、あ」
(*'∀`)「まぁ、余裕ですわwww」
- 240 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:15:05
((.;.;)´_ゝ`)「弟者えもん〜っ! アイツらが虐めてくるよ〜っ!」
(´<_` ;)「言わんこっちゃない……たかがニートの分際で、喧嘩出来る訳なかろう」
(*'∀`)「まぁ何ですか、痛い目に遭いたくないなら、早いとこお縄につきなさいってことですわwww」
((.;.;)#^ω)「しぃを泣かせた責任とってもらうお!」
((.;.;)´_ゝ`)「悔しい〜、兄者超ショック〜」
(´<_` ;)「兄者は大人しくしててくれ」
(´<_` )「あのクズどもは俺が片付けるからさ」
(*'A`)「あれ、来ちゃう? 弟ちゃん来ちゃうの? いいの? やっちゃうよ〜?」
((.;.;)#^ω)「僕だってやってやるお!」
(´<_` )「……ゴミが、騒ぐんじゃねーよ」
- 241 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:16:38
(*'A) (´<_` )≡≡≡
((.;.;)#^ω)
(*'A(ど(´<_` )三三二一 (;;;;;;;;;;;;) タッ
((.;.;)#^ω)
(´<_` ) (;;;;;;;;;;;;)
≡つ).;.;)#^ω)
- 242 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:17:45
(;A;#( 「い、痛ぇ、いてぇよ……」
((.;.;.:)#;ω)「あぁぁぁ、い、痛いお痛いおぉぉ!」
(´<_` )「粋がるからそうなんだよ」
- 243 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:19:12
何にも出来なかった、何にも見えなかった
気付いたら奴は僕たちを圧倒的にぶっ飛ばしていた
ただただ、僕は惨めだった
……どうして僕は本当に何も出来ないのだろう
クラスの皆がしぃを虐めている時だってそうだ
ジョルジュにショボンが殴られてる時だってそうだ
そして、今この様だ
どうして、どうして、何で僕ばっかり何もしてないんだろう
……アイツに殴り飛ばされた僕たちは、地面に這いつくばっている
アイツはそれを見ても、顔色一つ変えやしない
……もう、しぃを見ていたんだ
- 245 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:20:34
(´<_` )「じゃあ嬢ちゃん、一発殴られてくれるか」
::(* )::
(´<_` )「まぁ嫌でも殴るけどな」
(´<_` )「兄者ー早くこーい、俺はフェミニストなんだからよー」
((.;.;)´_ゝ`)「はいはいはい、今行きますよー」
((.;.;.:)#;ω)「し、しぃに触れんじゃねーお……」
(´<_` )「だったら俺をぶっ飛ばしてみろっての」
- 246 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:21:53
((.;.;.:)#;ω)「……」
(´<_` )「ほら、何にも出来ない。だったら黙ってろっての」
((.;.;.:)#;ω)「上等だお……」
(´<_` )「……あ?」
≡≡≡((.;.;.:)#;ω)つ「上等だっつってんだお! このダボが!」
(´<_` )「……っぜー、まじっぜー」
- 247 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:23:20
≡((.;.;.:)#;ω(ど(´<_` )≡
((.;.;.:)#;ω##)「んぐっ! あぁぁ!」
(´<_` )「いい加減そういうの良いから黙っててくれる?」
((.;.;.:)#;ω#)「うっせーお! しぃを泣かす奴は殺してやる!」
(´<_` )「……殺すとかさぁ、そういう物騒なこというの……」
((.;.;.:)#;ω#(ど(´<_` #)「やめろや!」
((.;.;.:)#;ω#(⋂(´<_` #)「邪魔すんじゃねーよ、アァ!?」
((.;.;);´_ゝ`)「お、弟者、殺すのは流石に……」
( ゚<_ ゚ #)「っせぇ!」
((.;.;)´_ゝ`)「あ、はい」
- 248 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:24:43
(;A;#)「……あ〜くっそ、何で俺こんなとこにいるんだよ〜」
(;A;#)「か、帰りてぇよ、帰りてぇ」
(;A;#)(あいつが殴られてる間なら、しぃを連れ出して帰れっかな……)
(;A;#)コソコソ「おい、しぃ、しぃ!」
::(* )::ブツブツブツブツ
(;A;#)「し、しぃ?」
::(* )::「やめてたすけて、ブーンを殴らないで、おねがい誰か、だれかたすけて、このままじゃこのままじゃだめ」
::(* )::「ブーン、ブーンお願い死なないで、ひとりぼっちはだめ、だめなの、あぁ、あぁぁ」
('A`;#)「あーもう!……くっそ!」
('A`;#)「……分かったよ、助けりゃ良いんだろ助けりゃよ!」
- 249 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:27:01
('A`;#)(ってもどうすりゃ良いんだよ! 野垂れ死にはやだぜ、おい!)
('A`;#)(何か手はないか、手は……警察!……いや、それじゃ坊主がやばい……)
('A`;#)(クソが! つまり坊主が人質みたいなもんか……)
('A`;#)(人質は……)
('A`;#)(ん……もしかしたら……いや、でも、これしかないのか? 他に良い手は……?)
('A`;#)(くっそ、思い浮かばん、やるしかねぇのか!)
('A`;#)「おい、しぃちゃんよ!」
::(* )::そ
('A`;#)「あの坊主の為に祈ってやれ! 今日はクリスマスだ! 神様も聞いてくれるかもしれねぇ!」
::(* )::
::(* )"::コク
- 250 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:27:58
('A`;#)「ちくしょう、こっちもヤケだ……ッ!」
≡≡≡(#'A`)「上手くいけ……ッ!」
((.;.;.:)#;ω#( (´<_` #)「おいガキ、いい加減足から手ぇ離せ」
「離したらしぃを殴るお。絶対離すもんか」((.;.;.:)#;ω#( (´<_` #)
((.;.;.:)#;ω#( (´<_` #)「ホントに殺してやろうか、お前」
「殺せるもんなら殺してみろお!」((.;.;.:)#;ω#( (´<_` #)
(´<_` #)「……っのやろう」
「てめぇら動くんじゃねぇ!」
((.;.;.:)#;ω#(! (´<_` #)!
- 251 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:30:28
((.;.;);´_ゝ`)ど('A`#)
(´<_` #)「……何? 何の真似?」
((.;.;);´_ゝ`)ど('A`#)「動いたらこいつ殺すぞ! そのガキから離れろ!」
「お、弟者〜捕まっちゃった〜」((.;.;);´_ゝ`)ど('A`#)
(´<_` #)「……っとに、つかえねぇクソ兄貴」
((.;.;.:)#;ω#(ど(´<_` #)「……で? どうする気なの? 俺もこいつ離す気ないけど?」
((.;.;);´_ゝ`)ど('A`;#)「は、離れろよ! こいつ殺すぞ!」
((.;.;.:)#;ω#(ど(´<_` #)「どうぞご勝手に。そしたらこいつ殺すけど」
('A`;#)「……! お前イカれてるんじゃねぇのか!?」
(´<_` #)「ははっ、そりゃ褒め言葉だ」
((.;.;.:)#;ω#(ど(´<_` #)
((.;.;);´_ゝ`)ど('A`;#)「ど、どうすりゃ良いんだ……」
(* )
- 252 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:33:45
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
(*゚ー゚)のこころのなか
……おとなはみんなきらい
おとうさんもおかあさんも、私をおいてどこかへ行ってしまったから
その日から、おとなはみんなきらい
……わたしの人生は、あの日から全く変わってしまった
目に見える全てに興味なんてない
耳に入る全てをきょぜつした
わたしは、ひとりになりたかった
……あの日、ブーンが私に話しかけてくれる日まで、は
- 253 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:34:37
ブーンが私と友達になってから、私には友だちというものが出来た
それでも、やっぱりおとなはみんなきらいだった
らんぼうなしせつのおとなたちがきらいだ
道行く町のひとたちの、私を見る目がきらいだ
……おかしい、こんなのおかしい
どうしてそんな目で見られなきゃいけないの?
私はあなたに何かしたの?
……ふざけんな、こっちは自由に生きてたいのに!
何で勝手にこっちのこと決めつけて、それで判断されなきゃならないの!
やめてよ! そんなの私は知らないよ!
お父さんが誰だって! お母さんが誰だって!
私は私なんだよ! それをみて!
- 254 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:35:33
あぁ……
やさしい言葉がもっと欲しい……
その腕でぎゅっと、だきしめて……
- 255 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:36:29
……なのに、目の前のこいつらときたら、暴力暴力暴力!
……ふざけるなよ、そんなに楽しいかよ!
何でそんなに自分勝手になれるの?
どうして人のこと、考えないでいられるの?
ブーンみたいに誰かに優しくすることは出来ないの?
どうしてブーンが虐められなきゃいけないの?
私たちみたいな奴らは生きてちゃいけないの?
……認めたくない、そんな世界
どいつもこいつもサイテーだ!
私は、絶対に、認めない!
- 256 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:38:28
::(* )::
:(* ):
(* )
(* - )
(*゚- ゚)
(*゚ー゚)「てめぇらよぉ……本当に……」
(#*゚Д ゚)「いっい加減にィッッ!! しやがれよおぉぉぉッッ! ゴルアァァァアッ!!」
- 257 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:41:54
〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ 〜〜ジ
「いっい加減にィッッ!! しやがれよおぉぉぉッッ! ゴルアァァァアッ!!」
(´<_` #)!
('A`#)!
('A`#)「ちょ……今の……?」
(´<_` #)「あんな声出せたのかよ、カマトト野郎め」
(#*゚Д ゚)「なにこっち見てんのさ! とっととその薄汚い手をブーンから放しなよ!」
(´<_` #)「……あぁ? どいつもこいつも舐めやがってよ…」
ど(´<_` #)≡≡≡「ひっこんどけ!」
((.;.;.:)#;ω#)「しぃ……よけて……!」
(*゚ー゚)「ブーン大丈夫だよ」
スッ(**゚ー ゚))))彡ど (´<_` #)≡
(*゚ー゚)「落ち着いてれば、大丈夫」
- 258 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:44:34
(´<_` #)「……あー……っぜー、っぜー! まじうっぜー! 何で、てめぇなんかに!」
((.;.;.:)#;ω#)「しぃ……すごいお……」
(:::*::ー)「何でって?……ブーンには言ったはずだよ……ッ!」
(*゚ー゚)「ジンガのスピリットを会得したってことはね!」
( ゚ <_ ゚ )「〜〜〜〜〜ッ!」
(´<_` #)「まさか、カポエイラッ! こんな奴がッ!」
ど(´<_` #)≡≡≡「……関係ねぇ! 当たりゃこっちのもんよ!」
スッ(*゚ー゚))))彡ど (´<_` #)≡
ど(´<_` #)「……避けてんじゃねぇぞクソがぁ!」
(*゚ー゚)「嫌なら当てれば? 出来ないなら黙ってなよ」
ど(´<_` #)「いちびってんじゃねぇぞクソガキがよぉ!」
- 259 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:45:49
(.;.;)´_ゝ`)「カポエイラはその独特のステップが特徴だ……」
('A`;#)「……! 知っているのか雷電!」
(.;.;)´_ゝ`)「雷電ではない……ただ、このままだと」
「弟者は手痛い一発を喰らう」
('A`;#)「ま、まじかよ……!」
- 260 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:48:14
(*゚ー゚)「熱くなっちゃって……バッカみたい!」
スッ(*゚ー゚))))ど (´<_` #)んだとぉ!
クルッ ( *)彡(´<_` ;)!
スパン≡(*゚ー゚) つ)<_` ;;) ウアッ!
('A`;#)「い、今何やったんだ?」
(.;.;)´_ゝ`)「ジンガステップからのアルマーダさ……」
('A`;#)「何だそれ」
(.;.;)´_ゝ`)「……ジンガというステップで相手の攻撃を避け、
前に出した足を軸に、相手に一度背を向け、
軸足を交代した後に、強力な体のバネを利用した、カポエイラ流のハイキックさ」
('A`;#)「……分かった、つまりハイキックだな!」
('A`;#)「……つうか、俺もお前も蚊帳の外って感じだな」
(.;.;)´_ゝ`)「あぁ、解説役の宿命というやつだ」
- 261 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:51:57
(*゚ー゚)「どうしたの? 怖いの? 散々人には暴力振るっといてさ
いざ自分が振るわれたら何にも出来ないの?」
(#´<_` )「なめやがってえぇ……!」
(*゚ー゚)「……どうして暴力なんかに頼るの? クリスマスが嫌だからって……」
(#´<_` )「うるせぇ! うるせぇ! てめぇなんぞに分かるもんか!」
(#´<_` )「クリスマスに兄貴と二人で寂しくケーキを喰って! 友達も彼女もいないんだよ!」
(#´<_` )「テレビ越しにも、窓の向こうにも! チャラチャラした奴らが綺麗な街を優雅にデートしてるのさ!」
(#´<_` )「ふざけんな! ふざけんな! みんなむかつくんだよ! 死ね! 死んじまえ!」
(*゚ー゚)「……ホンット、そういうのサイテー! 他人の幸せで自分を惨めにするなんてさ!」
- 262 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:56:12
(*゚ー゚) ど(#´<_` )≡≡≡「うるせぇんだよぉ! あぁぁあぁぁぁぁ!」
(*゚ー゚)「ワンパターンね……とどめ、さしちゃうよ!」
ど(#´<_` )「……ハッ!……止めを刺されるのはな……」
オマエノホウサ!
(;*゚ー゚)「……っ!!!」
('A`;)「しぃ!」
(.;.;)´_ゝ`)「……ま、そりゃあいつかはこうなるさ」
- 263 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 22:58:44
(;*゚ー゚)つど(#´<_,` )「つ〜かまえた」
(;*゚ー゚)つ「……ん! ん!」
ど(#´<_,` )「脚さえ動かなきゃ、こっちのもんよ……」
(#´<_` )「ま、お痛が過ぎたってことで、数発で許してやるよ」
(;*゚ー゚)「は、放して、よ……放して!」
(#´<_` )「今放してやるさ……直々に俺が殴ってからな」
(#´<_` )「おら、くら((.;.;)^ω^)「うあああああぁぁぁぁぁ、おらあぁぁ!」
(;*゚ー゚)つど(#´<_`((^ω^(.;.;))≡≡ドンッ!
- 264 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:01:45
(#´<_` )「……っ! 邪魔すんじゃねぇ!」
((.;.;)^ω^)「っせー! しぃが戦ってんのに僕だけ寝てる訳にはいかねーお!」
((.;.;)^ω^)「しぃ! 大丈夫かお!……色々と!」
(;*゚ー゚)「ブーン、ありがとう!……しぃはもう、ふっきれたよ!」
(#´<_` )「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ! 二人とも死ねぇぇぇぇ!」
((.;.;)^ω^)「……こいつなんてぶっとばしてやろうお!」
(*゚ー゚)「うん!……あのね、ブーン」
((.;.;)^ω^)「お?」
(*^ー^)「しぃもね、ブーンのこと好きなんだよ」
((.;.;)^ω^)「……お! 分かってるお!」
(#´<_` )≡≡≡「イチャイチャすんじゃねぇぇぇぇ!! 惨めにすんじゃねぇぇぇ!!」
- 265 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:02:48
「ち ょ っ と 待 っ た ぁ ぁ ぁ ぁ !」
(#´<_` )!
((.;.;)^ω^)!
(*゚ー゚)!
(.;.;)´_ゝ`)!
('A`;#)!
(#,,゚Д゚)ゴルァアアアぁぁぁぁ!
(#´・ω・`)「僕の友達に手を出すとはね! 二度と世間に顔向け出来ないようにしてやらぁ!」
(#-@∀@)「大の大人が子供を虐めるとか、大スクープだろうが! 酒飲んでる場合じゃねぇ1」
(-_-)「ま、まってよ二人とも……」
- 266 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:05:22
(-_-)「……っ! あ、アサピー! さっきの子たちだ!」
(-@∀@)そ「あん!?……あ、ええぇぇぇ! マジで!?」
(;-@∀@)「僕たち殺されちゃうの?」
(;-_-)「今はそんなこと、気にしてる場合じゃないよ!」
(#´・ω・`)「お兄さんたち! あいつらぶっ飛ばさないと!」
(#,,゚Д゚)ゴルァ!ゴルァ!
(#´<_` )「……っちぃ! 何で人が入ってきたぁ! 立て札立てといたはずだぞ!」
(-@∀@)「……あぁん? 立て札ぁ?」
(-_-)「ほら、公園の前の! 工事中って書いてあった立て札だよ」
(-@∀@)「あぁ、あれ……」
(#-@∀@)んなもん無視に決まってんだろタコスケがぁ!」
(.;.;)´_ゝ`)(#´<_` )(えぇ〜〜〜〜〜〜)
- 267 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:07:51
(-@∀@)「僕らオカルト研究会に、遠慮という言葉はないのさぁ!」
(-@∀@)「どんなところだって潜入して、どんなものだって写真にとってやる!」
(-@∀@)「むしろ隠された場所の方に僕たちは進んで入っていくんだ!
それで誰も見た事のない真実を写真に納めるのさ!」
(#-@∀ノ[◎]パシャパシャパシャパシャ「……ついでにテメーラも納めてやらぁぁぁぁぁぁぁ!」
(#´<_` ;)「うわ、やめろ! 顔を写すんじゃねぇ!」
(.;.;);´_ゝ`)「おい弟者! もう逃げんぞ!」
(# ゚<_ ゚ ;)「馬鹿兄貴は俺の名前を呼ぶんじゃねぇぇぇ!」
マテマテー≡≡≡(-@∀[◎] ≡≡≡(.;.;);´_ゝ`)(#´<_`; )ヒィィィィ
- 268 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:09:50
(;´・ω・`)「ブーン! しぃ! 大丈夫かい!?」
(;,,゚Д゚)ゴルァ!
((.;.;)^ω^)「しょ、ショボンにギコ……助かったのか、お?」
(*>ー<)「ショボン〜、ギコ〜、怖かったよ〜」
('A`;#)「あ〜良かった良かった……」
('A`;#)「って、良かねぇぞ! あいつら逃がしちゃったじゃんか!」
(-_-)「あ、それなら大丈夫だと思う。公園の周りに、後二人待機してるからさ」
(-_-)「警察も呼んでおいたし、じきに来ると思うよ」
('A`;#)「……あ〜そうかい。何から何まで手際良いんだな。ありがとよ」
(-_-)「構わないよ……こっちも、汚名返上っていうか、罪滅ぼし出来た訳だし」
(-_-)「さて……さっきは迷惑かけてごめんよ、君たち」
((.;.;)^ω^)(*゚ー゚)
((.;.;)^ω^)(*゚ー゚)「……だ、誰?」
(-_-)
(-_-)ウツダシノウ
- 269 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:16:25
……こうして、僕たちは
何がなんだか分からないままに巻き込まれてしまった事件を
何とかして、抜け出したんだ
……夕方の世界を目指して来て
夜の街に着いた僕たちを待ってくれていたのは
こんな下らなくて、つまらなくて、痛くて
……本当に不愉快な事件だけだったんだ
張りつめた空気の夜の公園に、冷たい風が吹く
ふと見上げた夜空には、星なんか全く浮かんでいない
何だか、力が抜けてしまう
- 270 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:20:57
- ……その後、色々話を聞いて、僕たちを助けてくれたのは
さっき僕たちに絡んできた人たちであることが分かった
ショボンによると、こういうことだって
ショボンが迷子になっていたところ
傍にいたギコが、この公園の方に凄い勢いで走って行ったから
何事かと思って、ショボンがそれを追っていると
偶然見かけたアサピーさんが「こいつはくせぇッ―!オカルトの匂いがプンプンするぜ――――ッ!」
とか言いながら一緒に追ってくれたらしい
結局、この公園で殴られている僕たちを見つけて、他の仲間の人と協力して
警察の手配やらあいつらを捕まえる作戦とか手早く決めてくれた、だってさ
そして、危ういところにいた僕たちは見事に助けられたって訳だ
……大人って凄いんだな、って思った
さっきは、どうにかして目の前の奴らを打ち倒そう、とだけ考えてたけど
……今考えれば、そんなの無理だ、って分かる
……アサピーさん達が助けてくれなかったら、僕たちは、どうなっていたんだろう
どうしようもない窮地を救ってもらったんだ
絡まれた時はすごく嫌だったけど、今はこうして助けてくれたから、どうでもよくなっちゃった
- 271 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:25:01
公園で待っていると、アサピーさんとその仲間の人たちがあいつらを連れて帰ってきた
流石兄弟を、一回位殴ってやろうかとも思ったけど
何があったのか、ゲロまみれになってたから近寄れなかった
その後、僕は貞子さんという、アサピーさんの仲間の人に傷の手当をしてもらい
しぃとショボンはギコを連れ、皆にお礼をしに回っていた
……その内、パトカーがサイレンを鳴らしながらやってきた
ドクオ兄さんから事前に事情を聞いていたアサピーさんが
何故か意気揚々と警察に事件の顛末を伝え
僕らに事情聴取するまでもなく、警察はあいつらをパトカーに押し込んでいた
僕らの代わりとしては、ドクオ兄さんが、保護者として色々応対していた
僕たちはただそれをぼうっと眺めていたんだ
……大人は、もっと頼れないものだと思っていた
今、ここにいる人たちは、皆僕たちの為に頑張ってくれた
初めてのことだったんだ、こんなに良い大人たちに会うなんて
だから、僕の胸が何だか一杯になってしまったみたいだった
……流石兄弟は、絶対に許せない
でも、これ以上仕返しとかをする気はもうなかった
だって、しぃがとてもキラキラした顔で大人と話すなんて、初めてだから
本当に、良かった
もしも流石兄弟のせいで、しぃが本当に大人と話せなくなってしまったら、と思うととても心配だったけど
……でも、杞憂だったみたいだ
しぃはもう、大丈夫そうだ
- 272 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:28:48
……パトカーのサイレンが街の中に消えていくと
アサピーさん達は、どこか居酒屋に行く途中だったらしく
連絡先をドクオ兄さんに教えると、すたすたと行ってしまった
その背中が見えなくなるまで、僕らはずっと手を振った
どれだけお礼を言っても足りないから
僕らはどうしてもそうしたかったんだ
その後、もう遅いから僕たちは帰ることになったんだ
ドク兄さんは、僕たちを家まで送っていこうと言ってくれた
本当に良い人だと思う
……僕たちを守ってくれるどころか、そこまでしてくれるなんて
- 273 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:31:08
((.;)^ω^)「……でも、どうしてドク兄さんは、こんなに僕たちに親切してくれるんですか?」
と聞いたら、
('A`)「ばっきゃろーおめぇ、かわいこちゃんがいたら、誰だって守りたいに決まってんだろうがよ」
('A`)「……ついでに、お前らがこれ以上ストロベることがないよう、見張っておく為でもあるな」
と言っていた
……そこでやっと思い出したが、ドク兄さんは、夕方に出会った、変人のおっさんだったのだ
思い出したけど……何だか申し訳なくなったので、そのことに触れるのは止めておいた
だったらどうしてこんな所で会うことになるのかも気になったけど、聞かないでおいた
それを聞いたら、ドク兄さんのことを尊敬出来なくなるような、そんな気がしたからだ
- 275 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:40:17
(´・ω・`)「ドクオさん、ブーンとしぃを守ってくれて本当にありがとうございます」
('A`)「あぁ別に、いいってことよ」
(*^ー^)「ドクにぃ、本当にありがとうね!」
(*'A`)「あ〜もうしぃたんってば、L・O・V・E・L・Yなんだからぁ! お礼なんかいらないさぁ!」
((.;)^ω^)(´・ω・`)(,,゚Д゚)
???
……ドク兄さん、何かちょっと
しぃへの態度がおかしいような
- 277 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:43:15
(*゚ー゚)「ドクにぃがいなかったら、ブーンが危なかったんだよ! だよ!」
キリッ+('A`)「いや、そんなことはないさ! しぃたん一人でも、きっとやれたさ! 俺はあくまで力添え!」
(*゚ー゚)「うれしいな! うれしいな! ありがとうなんだよドクにぃ!」
(*'A`*)「……くぁぁ! あぁもう、しぃたん結婚してくれよ!」
((.;)^ω^)(´・ω・`)(,,゚Д゚)
いや、まさかね、まさかありえないと思うけど
ドク兄さん……
もしかして……夕方から今まで追い掛けてきたのって……?
- 278 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:45:58
(*゚ー゚)「えへっ! しぃもドクにぃ大好きだよ!」
(*'A`)(あー、しぃたんしぃたん、可愛いおしぃたんしぃたん! あっ、あっ、あっ!)
(*'A`)「ハァハァ……ハァハァ!」
(* ゚A ゚)「た、たまんねぇぇぇあああぁぁぁ!!」
((.;);;^ω^)(;´・ω・`)(;,,゚Д゚)!!!
('A`)「あ、俺トイレ行くわ」
('A`)「おいショボン、ちょっと来てくれ。連れションしようぜ。ギコも一緒にな」
(;´・ω・`)「え! 僕ですか?」
(;,,゚Д゚)オレモカゴルァ…
('A`)「ほらほら早く行こうぜ、暴発しそうだ」
- 279 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:47:32
……突然の奇声を上げたドク兄さんは、前屈みになりながらトイレに向かっていった
何か、なんだろう……うん……
……ふと、公園の時計を見てみると既に夜の9時を回っていた
いつもならもう寝る時間、か
お父さん、お母さんは怒っているだろうか。心配、してくれてるのかな……
- 280 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:48:40
公園のベンチ、しぃと二人、座っている
お互いに疲れてしまって、黙っているけど、気まずくなんかはない
冷たい夜の空気が、さっきまで汗ばんでいた体に染みて
風邪を引いてしまいそうだな、と思った
不意に、僕はしぃに声をかけた
- 281 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:50:27
((.;)^ω^)「……ねぇ、しぃ」
(*゚ー゚)「ん、ブーン……あ、怪我はどう?」
((.;)^ω^)「まー何とかなるお……それよりしぃは、本当に大丈夫なのかお? 色々あって……」
(*゚ー゚)「んーまぁね、今は色々吹っ切れちゃったって、感じかな」
(*^ー^)「大人の人たちにも、良い人はいるってことも分かったし!」
((.;)^ω^)「あぁ、それは良かったお。心配してたから」
(*゚ー゚)「何だかね、来年からもきっとやってけるような気がしてきたんだ」
(*゚ー゚)「友達とか! ブーンより作っちゃうかも!」
((.;)^ω^)「ん、そりゃすごいお」
((.;)^ω^)「……これで安心して、僕は中学校に行けるおね」
- 282 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:52:02
三人が離ればなれになることを受け入れてもらうよう説得したのは僕だし
大人に苦手意識を持っていたしぃを心配していたのも僕だ
でも、こんなに早く乗り越えられてしまうのを見ると
……なんだかちょっとだけ、寂しい
- 283 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:53:39
(*゚ー゚)「……でもね」
(*゚ー゚)「ブーン、これだけは覚えててね?」
((.;)^ω^)「……ん、何だお?」
(*゚ー゚)「……しぃの本当に好きなのはね、いつまでも一緒にいたいのはね……」
- 284 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:57:06
ブーン、君だけなんだよ……
((.;)^ω^)「……そう、かお」
(*゚ー゚)「……」
(*゚3 ゚)「ちぇっ、今のは結構心込めたのに」
((.;)^ω^)「いや、嬉しかったお。本当に」
(*゚ー゚)「……そう? じゃあさ、ブーンも、もっかい言ってよ!」
((.;)^ω^)「……? 何をだお?」
(*゚ー゚)「え、いや、だからさ……」
(*///)「ぶ、ブーンがぁ、しぃのことをぉ、す、す、す」
(*///)「す(*´^ω^`)「いやぁ〜快便だったなぁ! ブリブリでたよブリブリ!」
(*゚ー゚)((.;)^ω^)
(,,゚Д゚)ゴルァ! ゴルァ!
(´^ω^`)「おっと邪魔しちゃったかなぁ!? 気にしないで続けてくれよ! ハハッ! ハハハハハ!」
('A`)(やだこの子……俺以上に下衆の子よ……)
- 285 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/27(火) 23:58:02
((.;);^ω^)「ショボン、汚いお」
(´^ω^`)「悪い悪い! ブ〜リブリブリブリ!」
(*゚ー゚)凸「お前、マジで、後で泣かす」
(´^ω^`)「おやおや、怒らせちゃったかな! 悪い悪い! でもね……」
(´・ω・`)「ブーンは独り占めさせやしないから」
(*゚ー゚)凸「アンタがこのしぃちゃんに勝てる訳ないだろうが!」
((.;)^ω^)「何でこいつら喧嘩してんの」
('A`)(折角しぃたんとブーンを二人っきりにさせてあげたのに……この子空気読まないのね)
(,,゚Д゚)ゴルァ!
('A`)「お〜ギコきゅんよしよし、子供の喧嘩は怖いものでちゅね〜」
(,,゚Д゚)「触るなクズ」
('A`)「え……」
- 286 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:00:28
('A`)「ま、まぁいいさ……こんな時間だからな、そろそろ帰ろう」
(´・ω・`)「そうですね……って、ドクオさん、ずっと気になっていたんですが……」
('A`)「ん、何だね」
(´・ω・`)「僕たち、夕方頃にお会いしませ((.;)*゚ω*゚)「俺たちは反省なんかしないんだおおおぉぉぉぉ!」
(,,;Д;)そ ハニャーン!
(;'A`)「おい、ギコがビビってんぞ。何してんだ……まぁ、そうだな」
('A`)「話したいことあんならさ、帰りながらでも話そうぜ」
(´・ω・`)「……はい、そうですね」
(*゚ー゚)「美府町に帰るんだよ!」
((.;)^ω^)「そうだお! 帰るんだお!」
- 287 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:02:43
(´・ω・`)「あれ? でも、ドクオさん美府町じゃなくて、隣の⊂((.;)* ゚ω* ゚)「止めて!! それ以上いけない!!!」
((.;) ゚ ω ゚)(ドク兄さんが、しぃをストーカーしてこんなところまでついてきたこと、バラしちゃいけない!)
(;'A`)「お前、マジで何がしたいんだ」
(*゚ー゚)「やっとブーンが自分らしさを出してきたんだよ! 良い感じだよ!」
(´・ω・`)「僕には何が何やらさっぱりだね」
(,,゚Д゚)ゴルァ!
- 288 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:03:48
('A`)「……ま、いいさ」
帰ろうぜ、我が家へ
((.;)^ω^)" (*゚ー゚)" (´・ω・`)" (,,゚Д゚)ゴルァ!
- 289 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:06:09
……不意に沈黙が僕らに訪れた
今はもう落ち着いたけど、僕たちはさっきまで、とっても大変なことに巻き込まれてたんだ
だから、溜まりに溜まった疲労がどっと押し寄せてきたようだ
そんな僕たちは、ゆっくり、ゆっくりとその場を後にする
騒がしかった公園は、もうあんなこと、忘れてしまったかのように
僕たちの背中の向こう、シンと張りつめた静けさの中に沈んでいった
- 290 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:07:02
('A`)(あーあ、疲れちまったぜ)
(,,゚Д゚)(おねむのじかんだゴルァ……)
((.;)^ω^)(結局僕ら、何しにこんな街まで来たんだお……)
(*゚ー゚)(晩ご飯食べ損なっちゃったなぁ)
(´・ω・`)(……それにしても、何だか今日は)
変な一日だったなぁ……
- 291 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:10:14
四人と一匹は、公園からゆっくりと歩き出した
皆疲れた顔をして、何も喋らないままで
僕たちは、一体何をしたくてこんなところまで来たのだろう
夕日が沈まない世界、夕日の世界を目指して
ショボンに言われるままに来てしまったけど
そこにあったのは、僕たちのいるべき場所じゃない、夜の街だけだった
そこで会うどんな人も、変な大人ばかりでろくなことがなかった
終いには、本当に怖い、清々しい程身勝手な大人に殴られてしまう程だった
……でも、大人の中にも良い人はいた、僕たちを助けてくれる人はいた
だけどやっぱりこんな街、二度と来たくはない
まだ美府町の方がマシだ
ジョルジュ達の虐めなんか全然可愛いもんだ、って思える
……そうなると、結局僕たちは、意味の無いことをしてしまったのかな、と思ったけど
そんなこともないのかな、なんて考えたりして
夜の風が通り沿いを吹き抜けていって、皆でくしゃみをしながら駅に向かう途中
……少なくとも思い出に残る一日ではあったな、なんて思ったりしてみた
- 292 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:12:00
- ('A`)「と、ところでしぃちゃん」
(*゚ー゚)「なぁに?」
('A`)「ブーン君と仲が良さそうだけど、付き合ってはいないの?」
(*゚ー゚)「……ぁ」
(*///)「わ、わかんない!」
(; ^ω^)「ど、ドク兄さん!」
('A`)「そ、そうか……そうか……」
('A`)(まぁ、チャンスはなさそうか)
('A`)「しぃちゃん程可愛い女の子だったら、どんな男の子とでも付き合えそうなのになぁ」
( ^ω^)(´・ω・`)(,,゚Д゚)?
(; ^ω^)(;´・ω・`)(,,゚Д゚)ナニイッテンダゴルァ!
- 293 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:14:47
(; ^ω^)「あ、あのですねドク兄さん?」
(;´・ω・`)「ドクオさん、非情に申し上げにくいことなんですが……」
(*゚ー゚)「おい」
(; ^ω^)(;´・ω・`)「「は、はいっ!」」
(*゚ー゚)「いいから……言わなくていいから……」
( ^ω^)(´・ω・`)「「は、はい―――ッ!」」
(,,゚Д゚)アニキ!カッコイイゾゴルァ!
(;'A`)「お、おい何なんだよ、俺変なこと言ったのか?」
(*゚ー゚)「うぅん、何でもないんだよ! 褒めてくれてありがとなんだよ! だよ!」
(*゚ー<)⌒☆「だぁいすき! ドクにぃ!」
('A`)
('A`)「死んでも、いい……」
( ^ω^)(哀れなドク兄さんだお……)
(´・ω・`)(パッと見分からないからね。何と言う初見殺しのしぃ……)
- 294 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:17:12
( ゚A ゚)「し、しぃちゃん!」
(;*゚ー゚)「ふ、ふぁ、は、はい!」
( ゚A ゚)「君が内藤君のことを好きなのは重々承知ですが!」
(;*゚ー゚)「へ、は、あ」
(# ゚A ゚)「僕ともお付き合いしてくだしあ!」
(;*゚ー゚)「へぁ、は、いや、え」
(*///)「ふぁぁ……ドクにぃ、急すぎるよぉ」
(* ゚ A ゚)「愛にブレーキなんかないのさ!」
(*///)「ひゃあぁぁん、ドクにぃ、激し過ぎるよぉ」
(*///)「……でも、ドクにぃなら……しぃ、いいかも」
('A`)
('A`)「……あぁ、クリスマスって……」
('A`)「こんなにも良い日だったんだな……」
- 295 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:18:37
( ^ω^)「あぁいうのって、わざとやってるのかおね?」
(´・ω・`)「だろうね、吐き気がする程あざといよ
やれやれ完全にビッチって感じだ。エロゲ脳なんじゃないかな」
(*゚ー゚)「ショボン、後で屋上な」
(´・ω・`)「おやおや」
(,,゚Д゚)ザマァ
('A`)「クリスマスが俺に輝けと言っている……」
- 296 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:21:42
('A`)「……」
('A`)「……ん?」
○ 。 ゚。
゚ ○ 。 ゚
゚ ゚ 。 ○
('A`)つ ゚
- 297 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:22:12
('A`)「……これ、雪か?」
( ^ω^)「お! 本当だお、雪降ってるお」
(´・ω・`)「おー、ホワイトクリスマスってやつかい」
(*゚ー゚)「吐き気がするほどロマンチックだぜ!」
(,,^Д^)ゴルァ!ゴルァ!
- 298 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:23:27
……駅の前の繁華街は、とても大勢の人で賑わっていた
その誰もが空を眺めては、口々に何かを言っている、反応の仕方は様々だ
……でも、どんな人も、その顔はとても嬉しそうで、楽しそうで……
なんだか、クリスマスってのは案外良いものなんじゃないかな、なんて、不覚にも思ってしまった
( ^ω^)「……ま、どっちにしろ……」
( ^ω^)「クリスマステロリストなんかに出番はないってこったお」
(*゚ー゚)「……そうだね」
('A`)「あぁ、あいつらはただの馬鹿だったってことだな」
(´・ω・`)「気持ちは分からないでもないけどね……」
- 299 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:27:02
(* ^ω^)( ゚ー゚*)
(´・ω・`)「ブーンたち、嬉しそうにしちゃって……街の人たちも馬鹿みたいに空を眺めてるね」
('A`)「どうであれ、雪は綺麗だからなぁ」
(,,゚Д゚)(あーこたつでまるくなりてぇー)
(´・ω・`)「ホワイトクリスマスだとか浮かれてるし……」
(´・ω・`)「クリスマスなんかに救えない世界だってのに……」
('A`)「……まぁなぁ」
('A`)「でも、さ」
('A`)「だからこそ、クリスマスなんかに縋りたい世界なんじゃないのか?」
(´・ω・`)「何それ」
('A`)「さぁなぁ、何かの歌詞で見ただけだから、俺にはよう分からん」
(´・ω・`)「……そっか」
- 300 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:27:54
(,,゚Д゚)、ペッ「童貞ごときが詩人ぶってんじゃねぇぞゴルァ!」
('A`)そ「ご、ごめんなひゃあぁぁい!」
(;´・ω・`)「ど、どうしたの?」
('A`)「え、いや……」
(,,゚Д゚)ゴルァ!
('A`)(なんだ幻聴か……)
- 301 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:28:58
……僕たちは少しの間、賑やかな街でホワイトクリスマスを満喫した後
駅に入って、ホームへと向かったんだ
切符を買おうとして、ショボン以外誰もお金を持っていなかったから、ショボンがお金を払ってくれた時は
みんなしてショボンを褒めたり、抱きしめたりもした
顔色一つ変えずに、電車に乗り遅れるから離してくれ、なんて言ったのは、ショボンらしいな、と思った
ホームには、クリスマスだってのに、いやだからこそか、
たくさんの人でごった返していて、静かに帰りたいなって思ってた僕たちは
これだからクリスマスミーハーは嫌なんだよね、とか話したりした
ちょっとクリスマステロリストしたくなる気持ちも分かってしまった
ようやく電車に乗り込んだ後、美府駅まで何駅なのか確認すると、九駅もあった
僕らが美府町を出てから、二、三個の町しか通らなかったのに
僕らはそんなたくさんの駅を歩いてきたんだな、って
本当に遠いところまで来たんだな、って
実感してしまった
- 302 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:31:19
電車に揺られていると、次の駅で丁度良く丸々四人分の席が空いたので
疲れていた僕たちは迷いもなく座った
その次の駅に着く頃にはドク兄さんもしぃも
ついでに言えば、しぃの腕の中のギコも、すやすやと眠ってしまった
何だか二人は案外お似合いのカップルなのかも、と思ってしまった
……ドク兄さんなら、しぃと付き合っても全然悔しくない、なんでだろ
ショボンはずっと起きていた
寝なくていいのか尋ねると、寝過ごしたらいやだからね、だって
本当に生真面目なやつだな、と思った
……僕も、なんだか今日一日のことを考えてると眠気も湧かなかった
けど、聞きたいことがあったから、ショボンに話しかけてみた
- 303 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:32:57
( ^ω^)「……ねぇショボン」
(´・ω・`)「ん、どうしたんだい」
( ^ω^)「今日一日、どうだったお」
(´・ω・`)「……そうだね……というかさ、ドクオさんが居て、驚いてて忘れてたけど」
(´・ω・`)「僕は君と、しぃには、まず謝りたかったんだ。
僕の勝手で連れてきてごめんねって」
(´・ω・`)「君の制止も振り切って、迷子にもなってしまった
……あれは本当に僕らしくなかった」
(´-ω-`)「ごめんよ、ブーン。迷惑かけたね。後でしぃにも謝りたい」
( ^ω^)「良いんだお……何だかんだで楽しかったし……
まぁ、もうこんなの嫌だけどおね!」
(´・ω・`)「ははっ、僕だってそのつもりさ。楽しかったけどね」
(´・ω・`)「って言っても、君たちとはぐれてる間に起こったこと
聞いてなかったし話してもなかったね」
(´・ω・`)「長いし、しぃとも話したいことだから後で話すけど」
( ^ω^)「ん、分かったお」
- 304 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:34:02
( ^ω^)「そうだ、ショボン」
(´・ω・`)「なんだい?」
( ^ω^)「僕はずっと気になってたことがあるお」
(´・ω・`)「ふぅん、気になってたことね、何だい」
( ^ω^)「うん、なんというか……僕たちは一体何をしたくて西に向かってたんだろうな、ってことだけど」
(´・ω・`)「何をしたくて、か……」
(´・ω・`)「そりゃ、美府町から逃げようとして、じゃ、ないかな」
( ^ω^)「あぁ、そうだけど……うん、じゃあこう言った方がいいかお」
( ^ω^)「……僕たちは、あの街で一体何を見つけたんだろうおね」
(´・ω・`)「何を見つけた、か……」
(´-ω-`)
- 305 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:37:02
(´・ω・`)「後で話そうと思ったけど……うん、良いか、話しちゃうよ」
(´・ω・`)「……僕に関して言えば、だけどね」
(´・ω・`)「こんなこと言うと、生意気かな
この街にくるまでの僕はガキもガキ、本当に我が侭な子供だったと思う」
( ^ω^)「……そこまで言わなくても」
(´・ω・`)「いや、良いんだ、言わせてくれ」
- 306 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:39:25
(´・ω・`)「……君たちに散々迷惑をかけて、あの街で彷徨っていた時にね」
(´・ω・`)「荒巻っておじいさんと、茂名っていうおじさんと会ってね」
(´・ω・`)「……そうだな。簡単に言うと、僕は変わったんだ」
(´-ω-`)「嫌なことを嫌って言わない癖に、勝手に突っ走ってしまって
……いざ問題が起きると、自分の周りの人まで否定してしまう」
(´・ω・`)「……そんなの、間違いだって、気がついたのさ」
( ^ω^)「……そう、かお」
( ^ω^)「僕には、ショボンに問題があるなんて思えなかったお」
(´・ω・`)「僕だってそうさ、でもね」
(´・ω・`)「あの街で、僕は僕と出会えたんだ
あの人たちが僕を見つけてくれたんだ」
(´・ω・`)「……それが、君の質問の答えに、なるかな」
( ^ω^)「ん……良く分からんけど、それで良いお」
- 307 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:39:59
(´・ω・`)「君が見つけたことも聞きたいけど」
(´・ω-`)「申し訳ない、僕も眠くなってきちゃって……」
(´-ω-`)「後で、いや、明日にでも、しぃと交えて話そう」
( ^ω^)「ん、いいお。お休み」
(´-ω-`)「お休み……」
- 308 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:41:31
( ^ω^)(ショボン……結局、僕達の逃亡劇は失敗に終わってしまったお)
( ^ω^)(誰も追い掛けてくれやしなかったお。ハラハラドキドキも、何だか微妙なものだったお)
( ^ω^)(……でも、それで良いんだ。僕たちはただの小学生だお)
( ^ω^)(明日から、また明日が始まるんだ。それで良いんだお)
- 309 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:44:25
(´-ω-`)
( ^ω^)(ショボン、僕は思うお。今回のこと、いや)
( ^ω^)(君のいう"夕焼けエスケープ"ってやつは、無駄なんかじゃなかった、って)
( ^ω^)("夕暮れに消えた少年"は、きっと、
夕日に向かって歩けば夕日が沈まないだなんて、本当は思ってなかったと思うお)
( ^ω^)(……ただ、向かっていかざるを得なかったんだお)
( ^ω^)(今の辛さから逃げる為に、現実を否定する為に……)
( ^ω^)(でもやっぱり、自分の居るべき場所から逃げたって
上手くいきっこないんだおね)
( ^ω^)(……僕らはやっと、そのことに気付けたんだ)
- 310 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:48:49
……今、電車はどの辺りなのだろう……
窓の向こうには、しんしんと雪が降っている
繁華街から離れていって、お店の明かりなんか見えなくなっていって……
あぁ、僕たちの町の方なんて真っ暗だ
……本当に、僕たちは遠くまで行っていたんだなぁ
あぁ、こんなに美府町が愛しいと思えたのは
生まれて初めてだ……
- 311 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:50:10
( ^ω^)(ただいま、美府町。僕らはもうすぐ帰るお)
( ^ω^)(もう、逃げたってしょうがないんだおね)
( ^ω^)
( ^ω-)(あぁ……僕もなんだか……眠くなってきたお……)
( -ω-)(おやすみ、みんな……また、美府町で……)
.......................
.................
............
.........
.......
....
...
..
.
- 312 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:50:56
……電車は、走る
雪降る夜の下、僕らを乗せて
美府町までは、まだまだ遠い
でも、僕らは帰るんだ。居るべき場所に、僕達の町に……
- 313 名前: ◆iivpg8FzE2:2011/12/28(水) 00:51:31
ぼくらの夕焼けエスケープ!のようです・完
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