- 1 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:21:05
勉強、それなり。
運動、それなり。
容姿、それなり。
総合評価、それなり。
ついたあだ名が―――
「中の上」
それなり(゚、゚トソンのようです
- 2 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:23:26
- 私の名前は津村トソン。
ξ゚听)ξ川 ゚ –゚)(*゚―゚)
そしてこの3人が私の友達だ。
みんな優しくて面白くて頭が良くて、とっても大切な友達だ。
―――大切な、友達だ。
(*゚―゚)「おはよ!」
笑顔が可愛いしいちゃん。
川 ゚ –゚)「おはよう」
長くて綺麗な髪のクーちゃん。
ξ--)ξ「おはよー……くあぁ、眠い……」
眠たげに目を擦る、それさえ可愛らしく見えるツンちゃん。
ツンちゃんを中心に、みんな凄く整った顔立ちをしている。
(*゚―゚)「あはは、ツンちゃん今日も可愛いねー」
ξ*゚听)ξ「もうっ、そんなことないって」
……私を除いては。
- 3 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:24:48
- この仲良し4人組は、私を覗けば全員、才色兼備の言わば「上」のグループなのだ。
や、私もそこまで出来ない子では無いと自負している。「中の上」に恥じない程度、いや、それ以上の行いはしているつもりだ。
なのに。
届かない。
例えばこの間の小テスト。
川 ゚ –゚)→100点
ξ゚听)ξ→97点
(*゚―゚)→94点
(゚、゚トソン→……87点。
悪い点数では無いと分かっている。むしろ難しかった今回のテストで、80点越えは自慢しても良いと先生が言っていた。
しかし、しかし。素直に喜べないのだ。
(*゚―゚)「流石クーだよ!私なんか95点切っちゃったもん」
川;゚ –゚)「いやいや、皆80点いってるんだから十分凄いと思うぞ?」
(゚、゚トソン「またそんなこと言ってー」
ξ゚听)ξ「謙遜しなさんな」
羨ましい。
- 4 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:26:11
- 体育の時間でも。
セン ゚д゚)セイ「体操するから二人組組めー」
川 ゚ –゚)「わかった。トソン、組もう」
うげえ。
いや、クーと組むのが嫌な訳じゃないんだ。
(゚、゚トソン「いいの?じゃあ―――」
川*゚々゚)「クー!あたしと組もう!」
あーやっぱり。他の運動出来る子がね、誘いにくるよね。クーちゃんとか他の2人は私と違って運動出来る子だからね、人気者だからね、うん、わかってんだけどね。
(゚、゚トソン「うん、くるうちゃんと組んだほうが良いよ」
- 5 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:27:07
- 川 ゚ –゚)
川 ゚ –゚)「申し訳ないが、断る。私はトソンとやりたいんだ」
川 ゚々゚)「えー、……分かった」
川 ゚ –゚)「すまないな」
去っていくくるうちゃんの顔はとても怖かった。
そうだよなぁ、くるうちゃんクーちゃんのこと大好きだもんなぁ。
チッ
舌打ちが聞こえる。
わざわざ聞こえるようにしなくてもいいんじゃないかな……
(゚、゚トソン「……ごめん、私のせいで」
川 ゚ –゚)「なぜ謝る?私はトソンと一緒がいいんだ」
本当いい子だクーちゃんは。
気遣いが痛いくらい。
いやホント痛い。
***
- 6 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:28:26
- 私は本当にあの素晴らしいグループにいていいのだろうか?
何度も何度も繰り返し考えた疑問がまた浮かんでくる。
何ていうか、こう、私は「グループ」とか「上」とかっていう言葉を使っている時点で既に人格のレベルがあの3人と大きく違うのだと思う。
あ、ほらまた。人格のレベルなんて言葉、彼女達は使わない。
彼女らが私みたいに傲慢で嫌な奴だったらどんなに楽か。
そしたら気がねなく3人から離れて楽な学校生活を送るのに。
まずあり得ないことを考えて、私はそっと溜め息をちいた。
3人とも文武両道才色兼備でありながら決しておごらない。
一緒にいてとても居心地が良く、3人の周りにはいつも沢山の人がいる。
私もそんな中の1人と言っても過言ではない。
それなのに私と仲良くしてくれる3人は、何か思うところでもあるのだろうか?
考えども考えども答えは出てこない。
- 7 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:29:08
- いや、違う。
出したくないんだ。
私は3人程じゃないけど頭は悪くない。と思う。もう少し考えれば自ずと答えは出てくる筈。
しかし、その答えが否であった場合、私はどうするのだろうか。
簡単に諦めるとは思えない。最悪の場合、大勢の人を巻き込んだ挙げ句転校とかしかねない。
だから、もう少し、もう少しだけ、今、この状況を甘受させて欲しい。
後少しだけ、少しだけ。
と、こんな感じで私の中には何かが後回しに後回しに、こつこつと雪のように積もっていっていた。
*****
- 8 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:29:47
ところで。
いつも(頭の中限定で)不平を垂れている私にも幸せな時はある。
いやいつもある程度幸せだけど、特に幸せな時がある。
ある人を見ている時だ。
いつでもにこにこと周りに笑顔を振りまいて、皆を元気にしてくれる。
私とは真逆の、
太陽みたいな人。
( ^ω^)
内藤君。
- 9 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:30:30
- 「おっおっ、津村さん、ですお?」
彼と知り合ったのは私がクラスで美化委員の仕事をしていた時。
因みにその時しぃちゃんは放送委員で、ツンちゃんは学級委員、クーちゃんは生徒会長だった。
(゚、゚トソン「そうですけど……?」
( ^ω^)「合っててよかったおー」
(*^ω^)「これからよろしくお願いします、だお!」
彼も美化委員だった。
内藤君は花が好きらしく、自前の花を持ってきてはクラスの雰囲気を華やかにしている。
しかし、華やかになった原因は彼によるところも多い筈だ。
( ^ω^)「おー、津村さん、この植木鉢ここに置いていいですかお?」
(゚、゚トソン「いいよー」
毎日早くから学校に来ては、今や10種類を越えた花達に水をやり、丁寧に世話をする。
その姿は優しげで、格好良くて。
眩しかった。
***
- 10 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:31:18
- ( ^ω^)「この花は牡丹っていって云々」
(゚、゚トソン「詳しいんだね」
( ^ω^)「お褒め頂いて光栄ですおー」
彼は花をそっと撫でた。
( ^ω^)「実はこの花、素直さんっぽいな、と思って持ってきたんですお」
撫でられた白い花は、どこか嬉しそうにゆらりと揺れる。
(゚、゚トソン「うん、似てる?かも」
( ^ω^)「やっぱり!津村さんなら分かってくれると思ったんですおー」
その凛とした風貌は、確かにクーちゃんを連想させた。
( *^ω^)「しかもしかも、なんとこの花、花言葉が<高貴><壮麗>、なんだお!?もう、これだ、と思っちゃって」
(゚、゚*トソン「クーちゃんだ、クーちゃんだよそれはwww」
- 11 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:32:01
- 2人して笑う。
ひとしきり笑った後、訪ねてみた。
(゚、゚トソン「もしかして、他の花も……?」
( ^ω^)「……おっおっ、実は、そうなんですおwww」
(゚、゚トソン「教えてくれる?」
( ^ω^)「教えますおーwww」
(゚、゚*トソン「やったぁ」
( ^ω^)「これが椎名さんで、名前はトレニア、花言葉は温和、愛嬌。そこのキンギョソウはドクオで花言葉は図々しい、大胆不敵、おしゃべりだお。キンギョソウには他にも清純な心って意味もあるけど、あれで硝子のハート持ってるから意外と間違っちゃいないんだお」
そんなんでいいのか。
- 12 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:35:22
- 普段の欝田君を思い出してみる。
*****
(‘A`)「なあブーン、女の子が着てた割烹着着ると興奮しない?」
( ^ω^)「ねーお」
*****
(‘A`)「ツン!踏んで!」
ξ;゚听)ξ「はぁ?何言ってんの?いい加減変態から脱出しなさいよ!」バシッ
(*‘A`)「ありがとうございます!」
*****
(‘A`)「女の子の部位なら耳の裏が好き。他も全部好きだけどさ、耳の裏ぺろぺろする妄想だけで3日はいけます」
(‘e’)「うわぁ〜」
从'ー'从「引いた……」
( ・∀・)「でもドクオだし、まだ良いほうじゃないかな」
*****
- 13 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:36:02
- (‘A`)「椎名さん良かったらその無くなりそうなリップクリーム俺に下さい」
(*゚―゚)「ごめんお断りします!」
*****
(‘A`)「文化祭で出し物するならおにぎり屋さんがいい。女の子の手の乳酸菌を自分の体に取り込みたい」
(’e’)「……うわぁ〜……」
从'ー'从「」
( ・∀・)「ごめん擁護のしようがない」
*****
残念ながら「清純な心」は見当たらない。
まあ、内藤君がああ言っているんだ、あの欝田君でもどこか真面目な部分があるのだろう。
- 14 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:37:37
- ( ^ω^)「んであれがビコーズで、ベラドンナって言うんですお」
(゚、゚トソン「花言葉は?」
( ^ω^)「沈黙」
(゚、゚*トソン「ぴったりだwww」
ひとしきり笑うと、彼は1つの小さな植木鉢を持ってきた。
( ^ω^)「……ちょっとこいつを見てくれ。こいつをどう思う?」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「すごく……小さいです……」
- 15 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:38:21
- 紫色の小さな花で、花の直径は一センチあるかないかくらいである。
( ^ω^)「ノッてくれて嬉しいお。これ、スミレって名前で、花言葉が誠実、慎み深さ、なんだお」
(゚、゚トソン「可愛いねえ」
( ^ω^)「そうそう。津村さんっぽいなあと思って」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「ふ」
今、この人は何といった?
(゚、゚トソン「……ごめん、今なんて?」
( ^ω^)「いや、スミレって、津村さんぽいおって言いましたお……?」
(゚、゚トソン「んで、可愛いと……?」
( ^ω^)「?はいお」
- 16 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:39:24
- やばい。何がやばいって心臓がやばい。
正直予想外だった。
しかもこれは本人が気付いていない確率が高い。
いやこれで確信犯だったらちょっと気持ち悪い。
うわやばいこれ私絶対顔真っ赤だよトマトレベルだよ。……なんか別の話題。なんか別の話しなきゃ。このままじゃ私、爆発する。顔が。
( 、 トソン「えっと、あれ?ツンちゃんのは?」
とりあえずなんか話せ。目についたもん全部使って話題を変えろ。後落ち着け私。
( ^ω^)「ツンかお……」
(゚、゚;トソン「そういえば幼なじみだよね」
( ^ω^)「そうだおー……」
そういうと、内藤君はどこか悲しそうな目をしていった。
( ^ω^)「ないんだお」
(゚、゚トソン「え?」
やばい焦りすぎて地雷引いたこれこのままだと
- 17 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:40:33
- ( ^ω^)「ツンだって思える花が。どれもなんかツンと比べると安っぽくなるんだお。強そうにしてても守りたくなるような、そんな花、なかなかあるもんじゃないお」
ハイ出たー。
その言い方は――――
たぶん、この人は、ツンちゃんが、好き。
そういうことを安易に思わせる程、思慕に満ちていた。
まぁ確かに幼なじみとかフラグめっちゃ立ってるし。
当たり前っていっちゃ当たり前なんだけど。
ってかツンちゃんに勝てる気がしない。
私の初恋は呆気なく終わってしまった。
ホント呆気なかった。
- 18 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:41:52
そしてとある日私はぶち切れた。
原因?
機から見れば些細なことである。いきなりプッチンしたように見えたろうね。
私にとっては、大事に思えたのだ。
***
- 19 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:42:29
- またやってきた体育の時間。
セン゚д゚)セイ「はーいおまえらハードルのタイム測るから適当に並べー一列4人なー」
(*゚―゚)「ツンちゃん一緒にはしろー?」
ξ゚听)ξ「いいわよ。……クーとミセリもほら、早く並んで」
川 ゚ –゚)「ああ」
(゚、゚トソン「はーい」
誘ってくれるのは嬉しいけど。
ちょっとだけ、ちょっとだけ、嫌だった。
セン゚д゚)セイ「ハイ位置についてーよーい……スタート!」
パンッ
さて、精一杯(笑)走るか。
- 20 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:43:07
- セン゚д゚)セイ「……しい8,7秒、ツン8,9秒、クー9,1秒、んで津村が11,2秒な。いやーここのグループ足早いなあ!良く頑張ってる!」
「「「ありがとうございまーす」」」
ξ゚听)ξ「誉められちゃった」
(*゚―゚)「まぁ私の腕にかかればこんなん朝飯前だよ!」
川 ゚ –゚)「……足じゃないか?」
(゚、゚トソン「クーちゃん誰がうまいこと言えと」
この通り。この三人は運動だって良く出来る。
や、私が出来ない訳ではないのだ。ただ、努力とか、そういうのが私に足りないだけなのだ。
……言い訳がましいな。
ここまでは普通。いつも通りの日常だった。
……これが普通ってのも何だか嫌だけど。
***
- 21 名前: ◆QDH1yHV0lc:2011/12/26(月) 22:43:42
問題はうん、ここからだった。
セン゚д゚)セイ「はーい皆集まれーおまえらハードル舐めてんのかー?もっかいフォームから確認するぞー何人かうまい奴に手本やってもらうぞー」
セン゚д゚)セイ「えーじゃあしい、ツン、クーちょっと前出て」
まあ、妥当。
3人は先生のお気に入りだし。
ってか私たち「4」人が仲良いの知ってんだから私のことも名前で呼んでよ。名前で呼んで欲しい訳じゃないが後が気まずいんだよ。
あの子達空気読むのもやたら上手いから。
そんなことを考えていると、思わぬ言葉が飛んできた。
セン゚д゚)セイ「―――あ、後津村も来て」
………え?ホント?
こういうので呼ばれるような人間じゃ無いよ自分。
こう、タイム測った後「お前はもうちょっと頑張れるだろー」とか言われる人間だよ?
……ちょっと嬉しい。
と私は思った。
思ってしまった。
***
- 23 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:45:38
- セン゚д゚)セイ「ん、前出たな。じゃあ最初に津村、俺が合図したらクーツンしいが走ってくれ」
ふむ。4人同時ではないとな?
最っ悪……
この時私は何が起きるか大体予想がついてしまった。
恐らく、先生、周りは何も感じないけど、メンタルが弱い私だけやたら落ち込むものだろう。
当たったらやだなあ。
セン゚д゚)セイ「津村―。出ろー」
(゚、゚トソン「はーい」
頼まれたから、走りますけど。
……ちょっと悲しい。
***
- 24 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:46:19
- セン゚д゚)セイ「はい、今の津村の走り方見た?足のテンポが良かっただろう?」
……。
セン゚д゚)セイ 「――――だけど、手の抜き方が間違ってる」
きた。
セン゚д゚)セイ「飛んで右足を前に出した時に左手を抜くんだ。んで左足は股関節と腿を九十度に曲げて、腿とふくらはぎも九十度に曲げて。芹沢はなー、そこら辺がしっかり曲がってなかったからなー」
まぁ、先生の言うことは分かってんだけどさぁ……
セン゚д゚)セイ「じゃ、3人頼んだ」
3人の完璧な走りが目に入る。
先生のにやけ面が目に入る。
セン゚―゚)セイ「はい、3人ともありがとうな。……見たかー?今の3人すごく綺麗な走り方だったろ?皆3人を目標にして頑張るように」
- 25 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:47:22
予想はしていた。出来ていた。つもりだった。
しかし。
予想以上だった。
ただの公開処刑じゃないか。
先生は何か私に恨みでもあるのだろうか?
クスクス
一部の心のねじまがった女共の嘲笑が聞こえる。
- 26 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:48:21
やだぁ、トソンちゃんかわいそぉー
せっかく走ったのにさー
先生ひどぉーい
よりにもよってしいちゃん達の前に走らせなくてもいいじゃーん
これじゃぁまるで―――
――――前座じゃない。
- 27 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:49:05
中の上。前座。B+。
4。不釣り合い。便利なオマケ。
動く金魚の糞。
4人で写ってる写真とか見ると1人だけ影が薄い。
全部、全部聞き飽きた。
もう、言われたくない。
言わせない。
- 28 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:49:54
私より不細工な癖に。
私より鈍臭い癖に。
私より馬鹿な癖に。
そんな分際で私を笑うか。
笑う権利があるのか?
答えろよ。
おい。
答えろよ。
答えろよ。
*****
- 29 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:50:54
- 川;゚ –゚)「トソン、やめろ!」
ぐいっと肩を引っ張られる。目の前には私のことを一番笑っていた女生徒。
振りかぶった私の手。
どうやら知らぬ内に殴りかかっていたらしい。
しぃちゃんが私の手を止めてくれていた。
(;゚―゚)「もうっどうしたのさ!?らしくもない」
うん。心配してくれてありがとうね。まだ力がこもってる私の手を握りしめてくれてありがとうね?
川;゚ –゚)(トソン……)
(;゚―゚)(この子、なんか)
ξ;゚听)ξ(………消えそう)
- 30 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:51:41
でもね?
私は少し笑っていたと思う。
私の口は止められないみたいだね?
私の、卑屈で、それでいて傲慢な口は止められない。
……留まらないよ。
そして私は、今後の学校生活の暮らしやすさとかそういうのを無視した言葉を吐き出した。
今までの鬱憤を吐き出した。
- 31 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:52:24
- ( 、 トソン「あぁわかってるよわかってるんだよそうだよ私はどうせ中の上で3人の前座で成績は全部4でレポートはA-かB+ですよどうせツンちゃんより可愛くないし堂々としてないししいちゃんより運動出来ないし明るくないしクーちゃんより勉強できないしいい子じゃ無いですよでもね私より不細工で鈍臭くて馬鹿な人に言われたくないかなあそういう人って結局心もねじまがっているんだと思うんだよねだから人の気持ちも考えないでぬけぬけと毒吐けるんだよいいや吐いてるのは毒って言う名の■■だねそうだね私はそんなこと恐ろしくて口になんてできないものだけど実際みんなの言うことはあってるんだよだから私は今まで何も言わなかったよどうせ言ってもあなた達が正論なんだから私が勝てる訳ないんだからねってかこういう所でやっぱり差が出ちゃうね私だいぶ頑張ってると思うんだけどなあ今どき朝ランニングする女子中学生っているのかよいねえだろそれでも頑張って続けてやっとシャトルラン70回いくようになったのに周りが90とか100とかぽんぽん出すもんだからそりゃあ自信無くすよもう
っテストでもさぁ私相当勉強したよ自分で言うのもアレだけどキチガイレベルだったよそれで97とったよ今度こそ3人に追い付けるんじゃないかなって期待したよそれなのになんで全員100点とるかなぁあれだいぶ堪えたよもうこの辺りから周りがいくら褒めてくれてもあんまり嬉しくなくなっちゃったよもうっお母さんも妹もお父さんもみんなツンちゃんしぃちゃんクーちゃん!はあ?家族が娘とその友達を比べてんじゃねーよ!私の身にもなってみてよ!もうやだよ!比べられたくないよ!やめて!
――――やめろ!」
- 32 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:53:27
パァン
∬ д )
しぃちゃんの手の力が抜けると、私は未だに力んでいたその手で前の女子をぶん殴っていた。
その子は赤い頬に手をあてて、信じられないような顔で私を見ている。
(゚、゚トソン「あーあやっちゃった」
みるみる内に涙目になっていく彼女を見て、私は思う。
(゚、゚トソン「だから女の子()って嫌い。泣けば悪くないもんね」
∬ ― )「う」
∬ ;―;)「ふえぇぇん」
泣き出してしまった。
- 33 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:54:20
(゚、゚トソン「ふえぇってなんだよ気色悪いなぁ」
∬ ;―;)「うぐっ、えぐっ、だ、だってトソンちゃ――」
(゚、゚トソン「だって?だってって何?自分は悪くないと?悪いのは全部わたしだと?そういいたいの?大丈夫だよもうなってるから」
(゚、゚トソン「世渡り上手でクラスのムードメーカーなあなたが泣いてて、傍には不器用で3人のオマケな私が仁王立ち。どう見てもあなたは悪くないよ?」
(゚、゚トソン「まああなたがムードメーカーとか冗談にも程があるけど。見ていて頭痛どころか吐き気を催すくらいあなたの男の人へのアピールは不愉快かな」
(゚、゚トソン「これがスイーツ(笑)って奴なのかなって最初は思ったけどね、あんた只のビッtムガッ――――」
一度思ったことを吐き出したんだ、最後までいってしまえ。
という私の野望は叶わなかった。
- 34 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:55:44
- ξ゚听)ξ「はいしゅーりょー」
ツンちゃんが私の前に立っている。
クーちゃんは私の口を押えている。
しいちゃんは相変わらず手を掴んでいる。
離せ。
(゚ ゚;トソン「モゴッフガッ」
川 ゚ –゚)「落ち着いてくれ」
ξ゚听)ξ「何て言ってんのか全く分かんないし分かんなくさせてんだけど、これだけ言わせてもらうけど」
ξ゚听)ξ「人にあたるなら私達にしときなさい」
ξ゚听)ξ「見てるとトソンが私達に言いたいことをデレにぶつけてる様にしか見えないわ」
- 35 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:56:26
- (*゚―゚)「相談くらいしてよー」
川 ゚ –゚)「トソンが日頃から何か抱えているのは分かっていたけど、自分のことだとは思ってもみなかった。気付けなくてごめんな」
―――なんで、3人ともこんなに優しいの?
(゚、゚トソン「なんでツンちゃんもクーちゃんもしぃちゃんも私にこんなに優しいの!?普通こんなこと考えていたなんて分かったら引くでしょ!?意識しないようにしても距離とっちゃうでしょ普通!?なんで変わらないままで私と話してくれるの!?」
(#゚―゚)「引いてないから!」
ξ゚听)ξ「元々トソンがそういう性格なのは分かってたし」
川 ゚ –゚)「今まで口に出していなかったんだから良いんじゃないかな」
(*゚―゚)「今回は先生とあの子に悪意があったからしゃーない」
ξ゚听)ξ「この年でそういうこと言っちゃうってのは、もう性格の矯正は難しいからね。諦めが肝心よ」
川 ゚ –゚)「自分がまともであれば十分だからな」
- 36 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:56:58
- 3人は当たり前のように答えてくれる。
なんで気付かなかったのだろう。
その光景を見ているだけで、3人が私のことを真摯に考えてくれていたのがわかった。
分かった瞬間に、もう嬉しくって嬉しくって。
(;、∩トソン
少し、目から汗が出てきてしまった。
何も気にすることはなかったのだ。
- 37 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:58:26
- 運動勉強容姿性格全てがそれなり?
それなりだったらいいじゃないか。
体力が無い訳でもない。
頭も自分で言うのもあれだが悪くない。
告白されたことだってあるんだぞ?
周りと自分を比べすぎていつの間にか自分を卑下していたようだ。
そんなことする必要はまったく無いんだよ。
いくら周りがすごくて自分が霞んでても、自分がそこにいることに変わりはないんだよ。
自信を持って良いんだよ。
………大丈夫だから。
- 38 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 22:59:04
今度は三人に訊いた。
( 、∩トソン「………いいの?」
(*゚―゚)「何が?」
今まで、自分の中で終わらせようとして、出来なかった問い。
前座じゃなくて。
オマケじゃなくて。
( 、∩トソン「私は、3人、いやクーちゃんツンちゃんしぃちゃんの――――――」
―――友達でいて良いですか?
、
- 39 名前:紅白の名無しさん:2011/12/26(月) 23:00:50
返事はすぐに帰ってきた。
ξ゚听)ξ「当たり前じゃない」
川 ゚ –゚)「何を今更」
(*^―^)「いわずもがな!」
ξ*゚―゚)ξ川 ゚ ―゚)「「「トソンは私の一番の友達だよ!」」」(^―^*)
(゚、∩トソン
(^―∩トソン
……初めて、何かで一番になれた気がした。
Fin
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