- 4 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:16:59.41 ID:+KBBJcnw0
「君は『運命』を信じるか?」
なーんて聞かれたら、君はどうするかな?
最近はどこぞ教祖様やら先生様やらのせいで、この言葉はかなりチープになっちまった。
考えて欲しいもんだねぇ。
こちとら真意で聞いてんのに、やれ「……ナンパですか?」だの
「宗教なら間に合ってます」だの……
しかし。では。ならば。
僕はこう言い換えるのだ。
「君は『運』を信じますか?」
- 5 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:17:57.22 ID:+KBBJcnw0
( ^ω^)内藤くんは奇妙な運にモテモテなようです
- 9 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:20:36.39 ID:+KBBJcnw0
- ジリリリリリ……
「ん…………」
ξ--)ξ「…………んんー」
ξ--)ξ「うるさい……」
朝。
私が目を醒ますより先に自己主張しやがる目覚まし時計のアラームがけたたましい。
何が「爽やかな朝をお届け」、だこの目覚まし時計は。
うるさすぎるんだよ使徒の鳴き声か。
これじゃあ目覚まし時計というよりは目障り時計だ。
……我ながらうまい。座布団一枚。
まぁ実際に、座布団より毛布が一枚欲しいのだけれど。
それなりに着込んで寝たつもりだったけれど、やはり冬さんはそんなに甘くない。
- 10 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:22:27.65 ID:+KBBJcnw0
- ξ゚-)ξ「……起きよ……」
しかしさらにに甘くないのが現実。
急がないと、学校に間に合わない。
……いや、違うな。学校にはフツーに間に合うんだけど。
ブーンを迎えにいくのに、間に合わない。
- 12 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:28:20.70 ID:+KBBJcnw0
- ―――――内藤家前。
ξ゚听)ξ「おはようございまーす!」
一般的に女子は支度が遅いと言われるが、私はそうでもない。
ご覧の通り、起きてから30分で既に隣のブーンの家であの寝坊野郎を待ってるくらいだ。
つーかみんなあんなに時間かけて何してんの?
ずっと髪の毛くりくりしてんのかな。
知りたい。
J( 'ー`)し「あらおはようツンちゃん。ブーンはちょっと待ってね。いまご飯かきこんでるから」
ξ゚听)ξ「いえ、お構い無く」
J( 'ー`)し「ごめんなさいねえ毎日毎日……まったく、私が言ってもすぐ二度寝しちゃうんだから」
<チョットマッテー!!スグイクオーー!!
J( 'ー`)し「ツンちゃん待ってるわよー」
- 13 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:32:46.24 ID:+KBBJcnw0
- (;^ω^)「お、お待たせだお……申し訳ない」
ξ゚听)ξ「いいから行くわよー」
(;^ω^)「はいはい、じゃあカーチャン、行ってくるお」
J( 'ー`)し「はいはい。寒いし、気をつけてね」
( ^ω^)「はーい……」
季節は、冬。
今日から三学期。
勉強出来ない組の私たちには悲惨な学期。
惨学期。
こんなことで、私たちはホントに高校三年生になれるのだろうか……。
- 14 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:35:12.05 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「……さて、今日は何が起きますかね」
ξ゚听)ξ「わかったら苦労しないでしょ」
(;^ω^)「そうだけどね……おー、寒っ」
1ヶ月前まで綺麗な赤色を見せてくれていた紅葉が降り注ぐ中を歩く二人。
他に歩行者がいないのは、やはり寒さのせいなのか。
実際私はマフラーの隙間から入る風に悶え苦しんでいる最中である。
なんだよこの布、まったく私を守ってくれないじゃないか。
ξ;-听)ξ「もっと長めのマフラー持ってくれば良かった……」
( ^ω^)「そうかお?ツンのそのマフラー、可愛くて好きなんだけど僕は」
ξ*゚听)ξ「ば……馬鹿。誉めてもなんも出ないわよ」
( ^ω^)「誉めたのはツンじゃなくてマフラーだお」
ξ゚听)ξ「そこは嘘でも私って言えよ馬鹿」
- 15 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:39:28.02 ID:+KBBJcnw0
- 学校への道は長い。
寒さも相まって、軽い拷問にも思えるこの道のりだが
しかしこういった光景を誰かと眺めながら歩けるというのなら、女の子にとってはロマンチックでいいものだ。
殿方達はこんな感じのシチュエーションを用意してください。
まだーきれーいなままのー、みたいな。
ξ゚听)ξ
さて、こんな和気藹々とした登校姿を見られては周りの人に勘違いされるかもしれないが、
私とブーンは別に恋人とかそんなんじゃあない。
ならばただの友達なのかと聞かれたら、それもちょっと違う。
とてつもなく奇妙な関係なのだ。
- 16 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:44:25.41 ID:+KBBJcnw0
- ξ゚听)ξ「…………新しく学期が始まるけど」
ξ゚听)ξ「問題、起こさないようにね」
( ^ω^)「僕に言うなお……」
ξ゚听)ξ「あんたに言ってないわよ」
ξ゚听)ξ「私はね、なるべくフツーの生活が送りたいの。別にこれといって幸でも不幸でもないような、ね」
( ^ω^)「『普通』ね……」
ξ゚听)ξ「そう」
ξ゚听)ξ「もう今学期からは、振り回されるような事はしたくないのよ」
( ^ω^)「振り回されにきてんのはツンだお……」
ξ゚听)ξ「これもアンタに言ってないわよ」
( ^ω^)「……」
- 17 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:48:20.87 ID:+KBBJcnw0
- ξ゚听)ξ「漫画やドラマみたいに劇的じゃなくていい、無い物ねだりな凡人の幸せ」
ξ゚听)ξ「なんだかんだでそれが最高じゃない?」
( ^ω^)「どうだかなぁ……僕は、ドラマとか好きだけどね」
ξ゚听)ξ「……とにかく何でもいいから、問題だけは起こさないでね。もし問題が起こっても、近づかないように」
( ^ω^)「はーい」
( ^ω^)
( ^ω^)「あ」
ξ゚听)ξ「?」
- 19 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:52:21.34 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「……あれ」
ξ゚听)ξ「」
( ^ω^)「ああいう問題とかにも、近付いたらいけないわけかお」
ξ;゚听)ξ「……あ」
ブーンが指を指したのは、目の前。
目の前。
横断歩道。
点滅した青。
('A`)
渡る、自分達と同じ制服姿の少年が一人。
そこにそぐわない、横から迫り来る車。
- 20 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 16:57:17.66 ID:+KBBJcnw0
- ξ;゚听)ξ
ξ;゚听)ξ「じっ」
ξ;゚听)ξ「人命は別っ!!!」
⊂ニニニ( ^ω^)ニニ⊃「はいはいっ!!!」
(;'A`)
トラックに気付いた少年。
でも、気付くのが遅すぎる。
動けない。
緊急時の硬直。
動けない。
⊂ニニニ(;^ω^)ニニ⊃
全速力で突っ込んでいく、ブーン。
トラックに。
- 21 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:02:39.64 ID:+KBBJcnw0
接触―――――
ξ;><)ξ「っ!!」
ξ;><)ξ
いつまでたっても鳴らない、衝突音。
ξ;><)ξ「……」
ξ;>听)ξ「あれ……」
(;^ω^)「ふぃー……大丈夫?」
(;'A`)「え、あ……あれ?え、ぶつかって……あれ?」
(;^ω^)「どうやら、トラックのタイヤ下を抜けれたみたいだおね、僕ら」
(;'A`)「えっ……え?ええ?」
(;^ω^)「いやー……」
( ^ω^)「『運が良かった』お」
- 24 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:06:26.58 ID:+KBBJcnw0
- (;^ω^)「にしてもひでぇな。朝っぱらから睡眠運転かお?あれは」
(;^ω^)「さすがの僕もびっくり……」
(;'A`)「あ、あの……あ、ありがとう……!」
( ^ω^)「あ、うん。ケガはなかったお?」
(;'A`)「うん、あ……ごめん」
( ^ω^)「いやいいお。君のせいじゃないし……」
(;'A`)「……」
( ^ω^)「こういうトラブル、いつもの事だし」
(;'A`)「……」
ξ;゚听)ξ「ブーン、大丈夫!?」
( ^ω^)「おー、ツン。まったくなんともなかったおー」
- 27 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:09:40.67 ID:+KBBJcnw0
- ξ゚听)ξ「そ……良かった、とりあえずは無事みたいね」
( ^ω^)「うん。君は?」
(;'A`)「……」
( ^ω^)「ん?」
(;'A`)「また……俺のせいで……また……」
( ^ω^)「……なぁ、君?」
('A`;)ミ「……ごめん、ありがとうっ!!」ダッ
( ^ω^)「お」
ξ゚听)ξ「あ」
少年は膝を払って、そのままどこかへ走っていった。
- 28 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:16:55.71 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「行っちゃったお……」
ξ;゚听)ξ「……また、私のいったそばから問題おこして」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「まぁいいわ。どっちみち、今の子とも合わないだろうし」
( ^ω^)「……いや」
( ^ω^)「たぶん、また会う気が……」
ξ゚听)ξ「ん?」
( ^ω^)「なぁツン」
( ^ω^)「たぶんアイツも、『好かれてる』」
ξ゚听)ξ
ξ;--)ξ「……マジで……?」
- 31 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:20:52.14 ID:+KBBJcnw0
- そしてブーンの言った通りに、件の子とはすぐにまた会う事になった。
担任「転校生を紹介します。鬱田ドクオ君だ」
(;'A`)
( ^ω^)「ほら」
ξ;゚听)ξ「ほらじゃないわよ。あの子あからさまに『うわっ……』みたいな顔してるじゃん」
( ^ω^)「まぁまぁ」
担任「じゃあ、鬱田。とりあえずまぁ、自己紹介しようか」
(;'A`)「え、あ……はい……」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 17:26:02.65 ID:+KBBJcnw0
(;'A`)
(;'A`)(……ちゃんと、言わなきゃ……でも……)
(;'A`)
ξ゚听)ξ「?なんかあの子、固まってるけど」
(;'A`)「……っ」
(;'A`)「鬱田、ドクオです。……あの」
( ^ω^)
(;'A`)「……ぼっ、ぼくには」
「ぼくにはあまり近付かないで下さい。とっ、あんまり友達とかも、いらないので……」
ξ゚听)ξ
クラス中の空気が固まった。
びっくりするくらい引いた。
担任も泣きそうな顔になってる。
ちょっとシュール。
- 35 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:35:15.75 ID:+KBBJcnw0
――――昼休み。
こうして、転校生ドクオは一瞬でぼっちになった。
しかしぼっちとは大抵望んでなるものではない。
このクラス中の戸惑いを隠せない空気が何やら面白い。
他人の戸惑いでタコさんウインナーが美味い。
たこうま。
ん、とまうま?
ξ゚听)ξ「……まぁ、転校そうそう事故に巻き込まれるくらいだから変なのは覚悟してたけど」
ξ゚听)ξ「とてつもなく変な子だったね」
( ^ω^)「そうだおね」
ξ゚听)ξ「まぁあれが『好かれてる』として……端っこで大人しくしてるなら何もないでしょ」
( ^ω^)「……」
- 36 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:36:03.34 ID:+KBBJcnw0
- ξ゚听)ξ「ともかくは、これ以上は何も起きなくて済みそうね。良かった。幸せ。ハッピー」
( ^ω^)
\ξ><)ξ/「うぇるかむ平凡なじんせーい!」
( ^ω^)
ξ゚听)ξ
ξ゚ー゚)ξ「……行ってらっしゃい」
( ^ω^)「ありがとう。ツンのそういうとこ、大好き」
ξ゚听)ξ「はよ行けや」
( ^ω^)「はいはい……」
- 38 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:39:28.28 ID:+KBBJcnw0
- ぼっちのご飯どころと言えば、だいたい相場が決まってる。
まずは空き教室。
しかしドクオは転校生なのでこの線は消える。
ならば。
―――――三階男子便所。
( ^ω^)「ドクオ君。いるんだろ?」
( A )「……っ」
( A )「なんでわかったの」
( ^ω^)「さぁ?たまたま歩いてたら見つけただけだお」
( A )「……へぇ」
- 40 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:43:35.85 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「……なんであんな自己紹介を?」
( A )「なんでもいいだろ」
( ^ω^)「なんでもいいことないだろうお」
( A )「……しつこいな。怒るぞ」
( ^ω^)「そうやって斜に構えて何が変わるんだお」
( A )
( A )「……お前にっ、何が……!」
( ^ω^)「そうやってわざと周りの人間に嫌われて……」
(# A )「うるさいッ!お前に!お前に何が!」
- 42 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:45:44.35 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「周りの人間に嫌われて」
( ^ω^)「自分の、極度の『不幸体質』に巻き込ませたくないからって」
(; A )「―――――ッ」
( ^ω^)「お。当たりかお?」
(; A )「……なんで……」
( ^ω^)「……なぁ、ドクオ」
「今から学校サボって、外に遊びにいかないかお?」
- 43 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:47:35.20 ID:+KBBJcnw0
- ―――――5限
担任「……ん?鬱田と……内藤は?」
ξ゚听)ξ「二人とも体調が悪くて帰りましたよ」
担任「なん……ああ、内藤か。なら仕方ないな」
ξ゚听)ξ「はい」
まったく、あいつは。
- 44 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:52:52.18 ID:+KBBJcnw0
- ('A`)「俺の人生、散々だった」
( ^ω^)
('A`)「『幸運に嫌われてる』って言うよりは……『不幸に好かれてる』って言えばいいのかな」
('A`)「ふっと、誰かが微笑むんだよ。そして周りで、何かが起きる」
('A`)「……こんなのばっかだ、俺は」
( ^ω^)「ふふ」
二人が歩いた先は、ゲームセンターだった。
物色するように歩くブーンの後ろに、ドクオは俯いて語り続ける。
('A`)「最初は、親が事故で死にかけた」
('A`)「親友もいなくなった。優しくしてくれた担任も」
('A`)「そして……」
(;^ω^)「あーうるさいうるさい。集中出来ないだろうがお」
('A`)
いつの間にかブーンは、UFOキャッチャーに夢中になっていた。
- 48 名前:◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:55:41.41 ID:+KBBJcnw0
- (;'A`)「おま、俺の悩みを聞いてk……」
(;^ω^)「うっせーな。ぼくはお前の不幸自慢に付き合う為に呼び出したんじゃないお?」
(;'A`)「はぁ!?」
( ^ω^)「言ったお。遊びにいこう、って。ただそれだけだお」
(;'A`)「……!!」
(;'A`)「帰る!!」
( ^ω^)「まぁまぁ」
- 49 名前:◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 17:58:07.43 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「さてと。お前、不幸なんだってね」
(;'A`)
( ^ω^)「『不幸不幸と言うけれど』」
( ^ω^)「『君は努力したのかな』……なーんて」
(;'A`)「……バカにしt」
( ^ω^)「まぁまぁ」
( ^ω^)「ちょっとやってけよ、これ」
つんつん、と指で叩いた『これ』とは、UFOキャッチャーだった。
どうやらブーンは取れなかったらしい。
( ^ω^)「ぼくがおごってやるから、ほら」
- 50 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:00:53.52 ID:+KBBJcnw0
- ('A`)「……お前、人の話聞いてたのかよ。こんなもん、ラッキーなやつが取れるもんなんだろ」
( ^ω^)「んな事ないお。知略と集中力があればもうちょい確率はあがるお」
(;'A`)「だから、俺は確率とかじゃ……」
( ^ω^)「じゃあ賭ける」
( ^ω^)「ドクオ。お前はこの一回で取れる」
(;'A`)「……」
- 51 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:03:18.98 ID:+KBBJcnw0
- (;'A`)
取れる?これを?
何をやっても駄目な俺が?
( ^ω^)
何を言ってるんだこいつは。ありえない。
たった今日あったばっかの俺の、何をわかってるつもりだ。
俺は生まれつき、幸せを『引けない』体質。
それなのに。
それなのに。
(;'A`)「……」
それなのに俺は、クレーンを動かすボタンに手をかけていた。
- 52 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:05:24.10 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「もうちょい前!そう、そこ!」
クレーンが降りる。
垂直に。
手を開けたまま。
(;'A`)
クレーンの位置取りとしては問題がない。
可愛らしいぬいぐるみの頭をがっしり掴める位置。
しかし、クレーンの強さにもよる。
ひっかけすら出来ない可能性だって。
……。
- 53 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:07:21.16 ID:+KBBJcnw0
- (;'A`)
(;゚A゚)
フィギュアが、浮いた。
いい位置。まっすぐ持ち上がってる。
大丈夫。
これは、もしかして。
ホントに。
(;゚A゚)(嘘だろ!?不幸体質の俺が!!アンラッキーマンの俺が!)
(取れ―――――!!!)
……ぽろり。
- 54 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:12:44.43 ID:+KBBJcnw0
- (;'A`)
ぬいぐるみは、すんでのところでクレーンから外れた。
クレーンが、何も持たずに帰ってくる。
(;'A`)
(;'∀`)「はは」
なんだ。いつも通りじゃん
ぜんぜん駄目な、いつもの俺だ。
ちくしょう。
すんでのとこまでいったのに。
( ^ω^)
おいブーン。
何黙ってんだよ。
ダメだったぞ。無理だったぞ。
お前、いけるっつったのに。
ほら。無理じゃんか。
(#'A`)「ほら!無理だったじゃん」
(;゚A゚)「か……?」
まさにその時。
- 55 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:14:50.25 ID:+KBBJcnw0
((( ^ω^))))
(((;゚A゚))
ブーンが揺れた。
違う。揺れてるのはブーンだけじゃない。
俺もだ。
……地震。
( ^ω^)「……ふせた方がいいね」
(;゚A゚)「ひ、ひィィィィィ!!!」
- 57 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:19:03.04 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「ううん、毎度ながら、もうちょい節度が欲しいな」
( ^ω^)「これは……『地運』さんかな」
(;゚A゚)「おいブーン!早く!早く逃げっ……!」
しかしブーンはこちらを見ながら笑っていた。
( ^ω^)「ほら見てみ、ドクオ」
( ^ω^)「取れてるお」
UFOキャッチャーの取り出し口から、地震で揺れた中身が大量に吐き出されていた。
(*'A`)「あ……」
(;゚A゚)「……ってそれどころじゃねえだろォォォォォ!!!!」
- 58 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:22:58.07 ID:+KBBJcnw0
- ―――――学校。
担任「お前ら!!揺れがとまるまで動くなよ!!机の下待機!!」
ξ;゚听)ξ
ξ;゚听)ξ(……あの馬鹿ッ……!!!)
ブーンのしわざだ。
絶対そうだろ。
ξ;゚听)ξ(また『なびいた』な……何のためかは知らんけど!!)
- 60 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:25:02.23 ID:+KBBJcnw0
- 勝負運。博打運。金運。
希望運。家族運。住居運。貯蓄運。
交友運。結婚運・恋愛運。仕事運。人気運。健康運。
天運。地運。命運。
幸運・好運。不運・悪運。
えとせとら。
えとせとら。
えとせとら……
ξ;゚听)ξ(帰ってきたら……絶対しばく!!)
私の幼なじみ、ブーンは
様々な「運」から、異常なまでに好かれているモテモテ野郎なのだ。
- 61 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:29:15.12 ID:+KBBJcnw0
(;>A<)「……!!」
しばらくして、揺れが止まった。
(;'A`)「……止まった?」
( ^ω^)「止まったね」
(;'A`)「……いまの」
( ^ω^)「あ、わかっちった?」
(;'A`)「お前が、やったのか?」
( ^ω^)「んなわけないじゃん。大地操れたら今頃海賊王目指しとるわ」
(;'A`)「……でも」
( ^ω^)「うん」
( ^ω^)「ま、一言で言えば僕も君と一緒なんだお」
- 64 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:33:11.47 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「例えば宝くじで3億引いちゃうやつ。競馬で大穴直撃させるやつ」
('A`)「……そう言うやつは『金運』に好かれてるってこと」
( ^ω^)「そ」
( ^ω^)「でもフツーは、好かれるのは一瞬なんだお。もちろん一発当てたギャンブラーだって次は外す」
( ^ω^)「でも、たまーに……恒常的に『運』に好かれる人が、いるんだお」
( ^ω^)「お前が不運に好かれているように」
(;'A`)「……」
- 65 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:39:46.73 ID:+KBBJcnw0
- あれから俺とブーンはファミレスに来ていた。
未だに困惑する俺の前で、ドリンクバーをこれでもかと堪能するブーン。
こいつはあまり、遠慮とかってない生物なのかもしれない。
( ^ω^)「僕は……何がどうなのかは知らないけど、ひどい量の運に好かれてるんだお」
( ^ω^)「好かれ過ぎてもう、一日一回どれかの運にかまってあげなきゃ、運のバランスが崩れて世界崩壊すんじゃね?ってくらい」
(;'A`)「へ、へぇ……」
軽く流したが、内心かなり驚いている。
そんな膨大な量の運に好かれていて、よく平常心でいられる者だ、と。
まるで「運に好かれる」という事が、大した事ではないみたいに。
( ^ω^)「あ、大した事じゃないお?」
心を読んだように、ブーンはいきなり語り出した。
- 66 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:42:01.22 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「そりゃ出来れば可愛い女の子に好かれたかったけど」
( ^ω^)「まぁ運も運で、可愛いお。好かれたならば、答えてあげるまで」
( ^ω^)「僕は、そう思うんだけどな」
( ^ω^)「わからないかな」
(;'A`)
(;'A`)「わかる、けど……」
( ^ω^)「……例えば」
- 68 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:47:34.61 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「例えばお前の飲んでるオレンジジュース」
('A`)「うん?」
( ^ω^)「そこにハエの死骸が入ってます、としよう」
(;'A`)「えっ!!?」
(;^ω^)「ちょ、例えな。例え。もし入ってたとしたら……」
( ^ω^)「それは誰のせいだお?」
('A`)「え?」
('A`)「そりゃ不幸が」
( ^ω^)「店員のせいだお」
('A`)「……」
( ^ω^)「不幸のせいじゃないお。それは、店員のミスだお」
( ^ω^)「今のお前は、そういう悩みかたをしてんだお」
('A`)「……!」
( ^ω^)「な」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 18:52:00.59 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「お前、自分で言ったお?『幸運に嫌われてるわけじゃない』って」
( ^ω^)「その通りだお。幸運は、そう簡単に人を嫌いにならないお」
( ^ω^)「いくら不幸でも、幸運がこないわけじゃないんだお」
('A`)「……うん……」
( ^ω^)「だから、今日から頑張って」
( ^ω^)「自分の不幸体質を、治してみないかお?」
('A`)「……!」
- 71 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 18:58:47.80 ID:+KBBJcnw0
- ('A`)「……そんな簡単に」
( ^ω^)「治るってば」
(;'A`)「な、何を根拠に」
( ^ω^)「見てるんだお、ぼく」
( ^ω^)「君以外に、努力して自分の運を克服した子を」
- 74 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:07:24.06 ID:+KBBJcnw0
――――なに、アンタ。
( ^ω^)「……昔、『絶交運』に好かれた少女がいてね」
――――ふ、ふざけないでよ。友達?馬鹿じゃないの。
( ^ω^)「友達が出来ても、必ず嫌われてしまう、君以上のぼっち体質だお」
(;'A`)「…おお………」
―――――キモい!離れてよ!
( ^ω^)「幼なじみなんだけど、ほんっっと素っ気なかった」
―――――……なんで離れてくれないの?
( ^ω^)「ふふ。でも」
( ^ω^)「今、そいつはクラスの委員長だお」
('A`)「ほぇ……」
- 76 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:13:14.61 ID:+KBBJcnw0
- ( ^ω^)「だから、ちょっと頑張ってみないかお?」
( ^ω^)「協力するから」
('A`)「……」
('A`)「なんでそこまで、してくれるんだよ?」
( ^ω^)
('A`)「わかんないよ俺は。そんな鬱陶しい人間に、お前が手を出す意味が」
( ^ω^)「うん」
( ^ω^)「特に意味はないお」
(;'A`)「え?」
( ^ω^)「ふふ。それと……」
( ^ω^)「運に振り回されてる人間は僕だけで十分だと思うんだお」
('A`)
('∀`)「理由、あるじゃんか」
( ^ω^)「はは」
- 78 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:20:48.02 ID:+KBBJcnw0
ちょっとだけ、わかった気がする
要はこいつも不器用なんだろう。
運に好かれたちょっと自分もわかる気がする。
( ^ω^)「さぁ」
('∀`)「はは」
( ^ω^)「じゃ、外に出るか」
……。
- 79 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:22:53.69 ID:+KBBJcnw0
「――――――――――」
('A`)
('A`)「あ」
それ以上声は出なかった。
俺の後ろで、ふと何かが微笑んだ。
そう言えば、そうだ。
『不運』は、突然やってくる。
- 80 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:26:08.96 ID:+KBBJcnw0
「―――――」
ガタガタガタガタ。
('A`)「」
(;゚A゚)「ブーン!!!!」
(;^ω^)
襲ってきたのは、さっきと同じく地震。
しかしながら、規模が違う。
ファミレスが簡単に倒壊して―――――
その瓦礫は。
二人を襲い。
(;゚A゚)
(;^ω^)「―――――やば」
- 82 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:34:22.05 ID:+KBBJcnw0
(;#゚A`)「大丈夫か!!おい、ブーン!!ブーンったら!!」
(;メ´ω^)「……お、おぉ。おはよう」
(;#゚A`)「く、っそ……」
頭が痛い。
小さいながら、瓦礫にぶちあたっちまったみたいだ。
軽く血が流れるが、今は気にしている場合じゃない。
気がついたらこれだ。
どこから引火したのか、周りは火の海。
逃げたくても、瓦礫の山はあらゆる道を防いでしまっている。
退路皆無。
絶対絶命。
俺達は―――――。
(;#゚A`)「……ちくしょう」
畜生。
- 83 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:38:26.25 ID:+KBBJcnw0
- なぜ今なんだ。
よりによって、今日なんだ。
なぜ。
(;#゚A`)「ふざけんなよ……」
不幸はわかった。
もういい、諦める。
でも、ブーン。
(;メ´ω^)
やっと出会えたこいつまでも、また巻き込んでしまってる。
なぁ、『不運』。
お前、何がしたいんだよ。
俺はお前が嫌いだよ。
なんで、俺を好きになったんだよ。
畜生。
(;#;A;)「畜生……」
もう、おしまいだろ。
- 85 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:41:49.29 ID:+KBBJcnw0
「―――わたしが――」
「――――わたしがあなたを好きな理由?―」
「――言わなくても、わかるくせに―――」
「―かっこいいからよ――――」
「――卑屈で、諦め早く―――」
「――何かあればすぐ私のせいにしてくれる―――」
「―――あなたが、だーいすきなの――」
(;#;A;)
(;#;A;)「……くそが」
くそ。
くそ。くそ。くそ。くそ。くそ。くそ。くそ。くそ。くそ。くそったれ。
俺の、クソ野郎。
- 86 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:44:43.80 ID:+KBBJcnw0
(;#;A;)「畜生ォォォォォ!!!」
火の粉が舞う。
周りはガレキしかない。
逃げ道はない。
煙だけが強くなっていく。
畜生。
(;メ´ω^)「―――――ふふ」
―――――ブーン。
- 87 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:48:08.01 ID:+KBBJcnw0
- (;メ´ω^)「ふふ、ドクオ。ちゃんと逃げる準備はしたかお?」
(;#゚A`)「!? どうやってだよ!?」
(;メ´ω^)「知らん。でも、諦めちゃ駄目だお」
(;メ´ω^)「ここで諦めたら、お前が幸せになれない……」
(;#゚A`)「もういいよブーン!俺は!俺はダメなんだ!」
(;#゚A`)「こうやってお前まで巻き込んで!周りを傷つけてばっかで!」
(;#゚A`)「俺は……俺はっ……!!」
(;#;A;)「いつまでも幸せになんかなれない運命なんだよっ!!」
(;メ´ω^)「うっせばーか」
(;#;A;)「!?」
- 88 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:50:10.99 ID:+KBBJcnw0
(;メ´ω^)「これだけ言ってやるお、ドクオ」
(;メ´ω^)「『幸運』が好きな男のタイプは、『頑張る人』だ」
(;メ´ω^)「例え何が起こるか、まったくわかんなくても!!目の前が真っ暗なままでも!!」
(;メ´ω^)「それでも笑って頑張っていられてこそ、幸運は来るんだお!!」
(;#゚A`)「……!」
(;メ´ω^)「さぁ」
(;メ´ω^)「僕は絶対諦めない!!だから―――――だから!!」
- 89 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:51:23.50 ID:+KBBJcnw0
「―――――力貸せや、愛する運ども!!!」
- 91 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:53:08.66 ID:+KBBJcnw0
その時。
とある運が。
数ある中の、ある運が。
>>100が、ブーンに力を貸した
- 103 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 19:59:20.58 ID:+KBBJcnw0
>>100
微笑んだのは、勝負運。
(;#゚A`)(;メ´ω^)「うおおおおおおおおおおお!!!」
- 104 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:02:09.52 ID:+KBBJcnw0
それは愚行と呼べたものかもしれない。
二人はガレキを全力を込めて押し崩す。
もはやどちらが入口に通じてるかもわからない状態。
それでも諦めない愚直な二人には、勝負運こそはおあつらえ向きなのだろう。
「―――――!!」
光は、切り開かれた。
- 105 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:06:23.67 ID:+KBBJcnw0
- ―――――
(;メ´ω^)「……」
(;#゚A`)「……出れた」
(;#;A;)「出れたあああああああ!!!」
涙が出た。感動なのかはわからない。
でも、止まらなかった。
(;メ´ω^)「よくやったお、ドクオ」
(;メ´ω^)「お前はいま、自分の不運を乗り越えたんだお」
(;#;A;)「なに、なに言ってんだよ……それはブーンの力だろ……」
(;メ´ω^)「ちがうお。お前はいま、自分の力で助かったんだお」
「お前の力なんだお」
(;#;A;)
(;#;A;)「……うう」
- 107 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:08:20.83 ID:+KBBJcnw0
(;メ^ω^)「だからもう、ドクオは不運になんか負けないお。どんな不運が来ても、お前はそれに打ち勝てるんだから!!」
(;メ´ω^)「お前の不幸体質脱却、一歩前進だお!」
(;#;A;)
(;#;∀;)「……ははは」
ははは。
- 108 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:09:43.42 ID:+KBBJcnw0
―――――後日談、というか……この話のオチ、になるけれど。
数日後には、ドクオの不幸体質は綺麗さっぱり無くなった。
- 110 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:13:44.94 ID:+KBBJcnw0
- ドクオは翌日に、クラスの皆に謝罪と、改めて自己紹介をした。
その後人間関係を地道に構築していく中で……間もなくあっけなさすぎるほど不運はこなくなった。
解消された、という言い方でもアリか。
彼はブーンとの出会いを経て、どんな困難にも立ち向かう強い心を手に入れた。
そうだ。不幸は絶対に、人を苦しめたままじゃ終わらない。
こうやって人間を成長させて、幸せを呼び込む為に存在するのだ。
('A`)「結局、不幸だ不幸だって騒いでるだけじゃダメだったって話なんだよな……よく分かったよ」
('∀`)「俺は不幸に対してとじ込もってばかりで、戦おうとしてなかった。これがダメだったんだな」
('∀`)「向き合えば、必ず人は成長出来るんだな!それに気付かせてくれたのは、君だよブーン!」
初日の彼とは違い、実に爽やかにそう言っていた。
彼は今も素敵な学園生活を送っている。
- 111 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:14:13.11 ID:+KBBJcnw0
……とまぁ、こんな綺麗事で終わるわけがないわけで。
- 114 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:18:35.77 ID:+KBBJcnw0
- (;^ω^)「……」
(;^ω^)「やっべぇ……」
ξ゚听)ξ「? どうしたの?」
(;^ω^)
(;^ω^)「財布、落とした……」
ξ;゚听)ξ「……えっ?いつ?」
(;^ω^)「……いつ、だっけ……さっきまでポケットに入れてたはずなのに……」
ξ;゚听)ξ「……もしかして……」
(;^ω^)「……うん」
(;>^ω^)>「不幸だあああああああ!!!」
ドクオは自分の不幸体質を、自力で乗り越えたかのように言っていたが……
悲しいかな、実際は違う。
ドクオを好いていた『不運』が、ドクオよりブーンを好きになったというだけ。
ドクオの不幸体質は、ブーンが引き継いだだけという事だ。
- 116 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:21:12.50 ID:+KBBJcnw0
- (;^ω^)「また一つ、厄介な『運』に好かれちゃったもんだお……」
ξ;゚听)ξ「なんでアンタってまぁ、そんなに不思議なもんに好かれるのかしらね?」
( ^ω^)「知らねーお。……あぁ、でも、たぶん」
ξ゚听)ξ「ん?」
( ^ω^)「僕がカッコイイからじゃないかお?」
ξ゚听)ξ
ξ*゚ー゚)ξ「……あはは。馬鹿!」
( ^ω^)「おっおっお」
まったくもう。
- 117 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:26:17.86 ID:+KBBJcnw0
- 大変なもんをいくつも抱えてるのに……
あなたはそうやっていつも飄々としてる。
私の夢。
「あなたを好く全ての運に嫌われてもらう事」。
また、平凡を取り戻す事。
でもあなたは、周りの不運を見過ごせずにいられる。
それがどれだけ凄い事か、あなたはわかってないよ。
私をあなたが救ってくれた時だって。
こうやってドクオを救ったことだって……。
ξ゚ー゚)ξ「あはは……」
( ^ω^)「どうしたお、ツン?早くしないと、委員長の仕事があるんじゃなかったかお?」
ξ*゚听)ξ「はいはい、わかってるわよブーン」
その通りだよブーン。
あんためちゃくちゃかっこいいよ、馬鹿。
- 118 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:29:26.99 ID:+KBBJcnw0
( ^ω^)「さて、今日は何が起きますかね―――――」
―――――
世にはいろんな運があります。
そんなに様々な運があるんだから、誰か感じた事はあってもおかしくないかな?
異常に幸せ。異常に不幸せ。
それを「ラッキー」「アンラッキー」で終わらせるのは、非常にかわいそう。
彼らも、ヘソ曲げちゃうよ。
だから。君の運は、君で掴んで離さないで。
- 119 名前: ◆zZHJeLXNl. 投稿日:2011/12/30(金) 20:30:11.85 ID:+KBBJcnw0
そうすれば、こいつみたいに
モテモテになれるかもよ?
( ^ω^)内藤くんは奇妙な運にモテモテなようです
終わり
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