- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 23:44:41.43 ID:1quU7GYQO
- 「皆様、ついにこの時がやってまいりました。
今からおよそ210年前、偉大なるオソロシアの大預言者オーナニー・シコルスキー氏の提唱された
『2222年2月22日2時22分22秒人類終末説』の時まで、あと2時間を切りました」
テレビの向こうでアナウンサーが冷静に、淡々と台詞を読み上げていた。
このアナウンサーの人もこう見えて、内心ではドキドキしているのだろう、とドクオは思った。
('A`)「なあなあ、本当に世界が滅亡したらどうするよ?」
( ^ω^)「そんなわけないおw
ヌストラダムスとかいう200年ぐらい前に流行った予言だって外れたお」
('A`)「でも今回はマジらしいって噂だぜ。根拠はないらしいけど」
( ^ω^)「じゃあやっぱり外れるお」
内藤が笑い飛ばした。
しかしその時俺は何故か背中に嫌な汗をかいた。理由はわからない。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 23:45:45.65 ID:1quU7GYQO
- 時間が刻一刻と迫っていった。
1時間を切ると、電話がかかってきた。
('A`)「はいもしもし」
「あの、もしもし、クーにゃんですか、あの、僕、き、君のことが」
('A`)「クー?」
「だ、誰だお前!? ま、まさかクーにゃんの彼氏!?」
('A`)「違いますよ。電話をかけ間違えたのでは?」
「あ、ほんとだ。てめえ! 違うなら違うって早く言えよボケ!!」
名前も知らない男は勝手にキレて、勝手に電話を切る。
('A`)「まったく……こっちもいい迷惑だよ。
クーとかいうアイドルの電話番号と似てるらしくて、
こうやって間違い電話が次から次へとかかってくる。
予言だかなんだか知らないが、こんな馬鹿騒ぎは早く終わってほしいよ」
それからさらに10分、20分と経ち、
5分を切ったところで
*(‘‘)*「お父さん!」
突然、娘のヘリカルが襖を開けてリビングへやってきた。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 23:46:42.14 ID:1quU7GYQO
- ( ^ω^)「お? ヘリちゃんまだ起きてたのかお。
早く寝なきゃ明日学校に遅れるお?」
*(‘‘)*「だって……だって……
地球が……メツボーしちゃうんでしょ……?
お父さんもブーンおじさんも友達のツンちゃんもみんなみんな、死んじゃうんでしょ……?」
('A`)「馬鹿だな。そんなわけないよ」
*(;;)*「だって……ふぇぇぇん」
「いよいよ残り10分を切りましたっ」
さすがのアナウンサーも興奮しているようで、声が上ずっていた。
テレビのチャンネルを変えていくと、
年末年始のようにカウントダウンしている番組もある。
( ^ω^)「キタコレwwww」
内藤は一升瓶をラッパ飲みしながらテレビを眺めている。
('A`)「…………」
*(;;)*「…………」
番組はカウントダウンを続けていった。
5分。
4分。
3分。
1分。
59、58───
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 23:47:37.01 ID:1quU7GYQO
- 突然、轟音と共に部屋全体が大きく揺れた。
今までに経験したことがないほどの地震だ。
(;^ω^)「な、なんだお!?」
内藤が驚きのあまり一升瓶を床に落とした。
床に落ちた一升瓶が、揺れに合わせてガタゴトと暴れている。
*(;;)*「わあああああん!!」
(;'A`)「まさか──予言は本当だったのか!?」
揺れが段々と大きくなっていく。
もはや立っていることすらままならない。
その時、後ろに何かが当たった。
感触からして、おそらくは本だろう。
本、ということは本棚だ。本棚が倒れてきてはまずい。
――そう思ったとき、既に俺は本棚の下敷きとなっていた。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 23:48:53.70 ID:1quU7GYQO
- 意識が朦朧とする中、内藤とヘリカルの悲鳴が聞こえる。
しかしその悲鳴もやがて聞こえなくなった。
激しい揺れであたりは騒がしいのに、
ドクオの心の中は、奇妙な静寂で保たれていた。
ドクオは様々なことを思い出していた。
幼稚園に入学した日。
小学校のときお絵かきコンクールで一等賞をもらった日。
中学でいじめられた日々。
死に物狂いに勉強した日々。
大学で内藤と知り合った日。
ヘリカルが生まれた日。
妻が家を出て行った日。
ヘリカルと二人で過ごした幸せな日々。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 23:50:10.71 ID:1quU7GYQO
- ああ、これが走馬灯か。
俺はこれから死ぬんだな。
人の命はこうも呆気ないものなのか。
地球の命はこうも簡単に滅び去っていいものなのか。
どこからともなく声が聞こえる。
それはカウントダウンのようだった。
「予言は本当だったのです!
この全国規模で起こった大地震が何よりの証拠です!
私は人類、いや地球最後の日にこうして皆様に情報をお伝えすることができ、とても幸せです。
皆様とはまた別の世界でお会いできることを願わずにはいられません。
さあ、いよいよです。
残り、20秒。
10秒。みなさん、さようなら。
3。
2。
1───
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 23:51:17.87 ID:1quU7GYQO
- * * *
( ^ω^)「ドクオ。なんか向こうで変なのみつけたお」
('A`)「変なもの?」
( ^ω^)「そうだお。なんか青くて、綺麗な石だお。
でも石にしては柔らかくて、握ると潰せそうなんだお」
('A`)「ああ、それチキュー石っていって珍しいものだぜ。
まあ珍しいつっても、高く売れるほどじゃねーけどな。
その石の中には何十億も微生物が住んでて、
しかもその微生物の正体がいまだに解明されていないんだとさ」
( ^ω^)「うはwww大発見だお!!」
('A`)「だからそんなに大層なもんじゃないってば」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/30(金) 23:52:02.41 ID:1quU7GYQO
- ( ^ω^)「これ潰したら、一度に何億もの微生物が死ぬってことかお?」
('A`)「まあ、理屈上ではな」
( ^ω^)「うはwwwwwwww大量殺戮ktkrwwwwww」
('A`)「はいはいワロスワロス。あ、それ薄い粘膜張ってあるだけで
潰したら水流れるぞ」
( ^ω^)「思いっきり踏み潰してみるおwwwww」
('A`)「聞いてねえなこいつ……」
( ^ω^)「カウントダウン開始だお!!
3。
2。
1───
おわり
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