- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:07:31.57 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^) 紅白が終わってしまったお
('A`) 紅白が終わってしまったね
( ^ω^) 紅白が終わってしまったっぽい
('A`) 紅白が終わってしまったかもしれない
( ^ω^) 紅白があああああ
('A`) 紅白があああああ
( ^ω^) 終わったああああああああああああ
('A`) 終わったアアアアアアアアアアアアア
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:12:34.08 ID:lkA7AQKSO
- ( ・∀・) 何!紅白が終わっただって?
( ^ω^) そうなんだお。紅白が終わったんだお
(´・ω・`) なるほど、紅白が終わったのかい
('A`) そうなんだ。紅白が終わってしまったんだ
川 ゚ -゚) 紅白が終わったのか!
<ヽ`∀´> 紅白が終わったニダか!
( ゚∀゚) 紅白がおっぱいおっぱい!
ミ,,゚Д゚彡 紅白がフサフサ
(,,゚Д゚) 紅白ゴルア
(*゚ー゚) 紅白が終わったあんあんんんんんんんんんんんんんん!!!
( ^ω^)('A`)ξ゚?゚)ξ川 ゚ -゚)( ´_ゝ`)(´<_` )(´・ω・`)( ・∀・)( ゚∀゚)
「「「「「「紅白が終わったんだ!!!!!!!」」」」」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:16:28.56 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^) 紅白が終わったから次はテレビの紅白を見るお
( ^ω^) 変なアニメソングみたいなのやってたお
( ^ω^) きるお
( ^ω^) ガキつかつまんねーお
( ^ω^) きるお
( ^ω^) なんもやることなくなったお
( ^ω^) そば食べるお
( ^ω^) ずるずる
( ^ω^) 急にウンコが食べたくなったお
( ^ω^) でもやっぱりそばを食べるお
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:20:27.72 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^) もう何もかも終わったお
( ^ω^) 僕の人生も終わったお
('A`) そんなに早く人生を諦めちゃいけないぜベイベ
('A`) ババア死んだら保険金めっちゃ入ってきたからあと二年ぐらいニートやって死ぬわ
( ^ω^) それは人生の希望だお
('A`) 人生の希望だろ?
('A`) お前もババア殺して保険金たんまり受け取れよ
( ^ω^) 生命保険はいってないお
('A`) じゃあ死ぬしかないなさよなら
( ^ω^) さよならだお
そしてドクオは首をつった
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:24:48.83 ID:lkA7AQKSO
- でもやっぱり生きていた
( ^ω^) さっさと死ねお
('A`) しにましぇ〜ん
('A`) クーにゃんとオメコするまでしにましぇ〜ん
川 ゚ -゚) さっさと死ねよ
('A`) じゃあヒーにゃんとトソンちゃんとミセリちゃんと
(゚、゚トソンミセ*゚ー゚)リノパ?゚) 殺すぞ
('A`) わー怖いブヒブヒ僕はもえ豚
キーンコーンカーンコ
( ´∀`) これで授業は終わりモナ
('A`) ハッ
('A`) 今のは夢だったのか・・・
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:29:11.27 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^) どんな夢を見たんだお?
('A`) それがさ紅白が終わる夢でさ
( ^ω^) それは恐ろしい夢だお
('A`) たしかに恐ろしい夢だった
( ^ω^) 紅白が終わるなんてとんでもなく恐ろしいお
('A`) 紅白が終わるなんてとんでもなく恐ろしいよな
( ^ω^) ところでその紅白はどうだったんお?
('A`) 嬉しかったような苦しかったような気持ちよかったような死にたかったような射精したいようなしたくないようなそんな気持ちさベイベ
( ^ω^) それはとてもとても楽しそうだお
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:36:06.81 ID:lkA7AQKSO
- ('A`) 夢っていうのはさ
('A`) 生きているうちにしか見れないよな
('A`) 死んだら夢見るのかな
( ^ω^) 死んだら見れないと思うお
( ^ω^) でも死んだことそのものが夢かもしれないお
('A`) 今ここでこうしていることが夢じゃないと言い切れるのかな
( ^ω^) それは夢じゃないと思えばそうじゃないし夢だと思うならそうだと思うお
('A`) なんだよそれ結局夢なのかどうか分からないじゃないかベイベ
( ^ω^) そうだお真実なんて誰にもわからないお
( ^ω^) 紅白が夢かそうでないかなんて誰にも分からないし決めることは不可能だお
( ^ω^) ただ一ついえることは
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:38:25.13 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^) 寝ているときに見るのは間違いなく夢だお
('A`) そりゃ当たり前さ
('A`) 死ぬのって、寝てるような状態なのかな
('A`) だとしたら死んだときに夢を見る可能性があるわけだ
( ^ω^) そうかもしれないおね
('A`) 確認しようがないけどね
( ^ω^) 確認しようがないお
('A`) でも
( ^ω^) 考えるのは
('A`) 無駄じゃない
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:43:13.37 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^) もう疲れたお
('A`) 疲れたな
ξ゚?゚)ξ川 ゚ -゚)( ´∀`)(*゚ー゚)(´・ω・`)( ・∀・)<ヽ`∀´>( ^Д^)(*゚∀゚)(-_-)( ´ー`)(=゚ω゚)ノ
「「「「「「「「「「「「「「「「 疲れている暇なんかないさ!!!!! 」」」」」」」」」」」」」」」」」
( ^ω^) お?
('A`) ん?
ξ゚?゚)ξ川 ゚ -゚)( ´∀`)(*゚ー゚)(´・ω・`)( ・∀・)<ヽ`∀´>( ^Д^)(*゚∀゚)(-_-)( ´ー`)(=゚ω゚)ノ
「「「「「「「「「「「「「「「「 これから僕たちは未来へと羽ばたくのに 」」」」」」」」」」」」」」」」」
ξ゚?゚)ξ川 ゚ -゚)( ´∀`)(*゚ー゚)(´・ω・`)( ・∀・)<ヽ`∀´>( ^Д^)(*゚∀゚)(-_-)( ´ー`)(=゚ω゚)ノ
「「「「「「「「「「「「「「「「 そんな辛気臭いこといってどうすんだい? 」」」」」」」」」」」」」」」」」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:45:29.19 ID:lkA7AQKSO
- ξ゚?゚)ξ川 ゚ -゚)( ´∀`)(*゚ー゚)(´・ω・`)( ・∀・)<ヽ`∀´>( ^Д^)(*゚∀゚)(-_-)( ´ー`)(=゚ω゚)ノ
「「「「「「「「「「「「「「「「 辛くても苦しくても 」」」」」」」」」」」」」」」」」
ξ゚?゚)ξ川 ゚ -゚)( ´∀`)(*゚ー゚)(´・ω・`)( ・∀・)<ヽ`∀´>( ^Д^)(*゚∀゚)(-_-)( ´ー`)(=゚ω゚)ノ
「「「「「「「「「「「「「「「「 とりあえず生きてくしかないじゃないか 」」」」」」」」」」」」」」」」」
ξ゚?゚)ξ川 ゚ -゚)( ´∀`)(*゚ー゚)(´・ω・`)( ・∀・)<ヽ`∀´>( ^Д^)(*゚∀゚)(-_-)( ´ー`)(=゚ω゚)ノ
「「「「「「「「「「「「「「「「 だって死ぬの怖いんだろ 」」」」」」」」」」」」」」」」」
ξ゚?゚)ξ川 ゚ -゚)( ´∀`)(*゚ー゚)(´・ω・`)( ・∀・)<ヽ`∀´>( ^Д^)(*゚∀゚)(-_-)( ´ー`)(=゚ω゚)ノ
「「「「「「「「「「「「「「「「 だったら死ぬときのこと考えてもしょうがないじゃないか 」」」」」」」」」」」」」」」」」
( ^ω^) たしかにそうだお!
('A`) たしかにそうだな
( ^ω^) どうせ死なないんだから別に考えなくてもいいじゃないか
('A`) たしかにそうかもしれない
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:47:51.80 ID:lkA7AQKSO
- ('A`) でもやっぱり死ぬは
チーン
( ^ω^) ナンマイダブ
( ^ω^) 本当に死んじゃったお
( ^ω^) と見せかけて本当は生きてるお
( ^ω^) と見せかけて本当に死んじゃったお
( ^ω^) ガーン
( ^ω^) ショックだおー
( ^ω^) ショックショックショック〜
('A`) そんなにショックを受けることはないさ!
('A`) なぜならショックを受けているからさ!
( ^ω^) まじかおじゃあショック受けるお
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 00:52:10.82 ID:lkA7AQKSO
- ( ´∀`)ブーンはショックを受けてショック死しましたとさ
( ´∀`)めでたしめでたし
おわり
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 01:06:28.92 ID:lkA7AQKSO
- ところが
ショック死したはずのぶーん君が
復活した!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
( ^ω^)復活だお!!!!!!!!!!!!!!!
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 01:12:13.64 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^) 復活してしまったものはしょうがないお
( ^ω^) ながらきつすぎんだお
( ^ω^) しかももう一つ投下しなきゃならないしさ
( ^ω^) ほっといたらすぐ落ちるからどっちかに集中することもできないしさ
( ^ω^) 超ギリギリまで投下しなかった俺が悪いからだよカスが死ねよ
( ^ω^) ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ
( ^ω^) おおおおおおおおおおおおおおおお!復活したお!
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 01:16:18.09 ID:lkA7AQKSO
- 疲れた眠い
もう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴールしてもいいよね?
↑名言をさしはさむことで鍵チューへの媚もばっちり!
究極完全アルティメットおわり
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 02:04:32.41 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^)「今年もこれで終わりかお」
ほっ、とため息をつき、ブーンは無造作にテレビのチャンネルをガラスのデスクの上に放り投げた。
ガシャンという音が少しうるさく、傍にいたペットの犬が反射的に驚く。
( ^ω^)「おっ、すまんおドクオ」
('A`)「くぅ〜ん」
飼い犬のドクオは先ほどの音がしたガラステーブルのほうをチラチラと見ながら怯えていた。
ブーンは舌を細かく鳴らしながらこっちへ手招きするが、一向に近寄ってくる気配はなかった。
この犬を飼ってもう半月になるが、まだまだ懐く様子はない。
それどころか、常に心も心ならずといった、落ち着きの無い仕草をしている。
( ^ω^)「どうにかして懐かせたいお」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 02:12:37.71 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^)「そうだお!」
たしか、ドクオはビーフジャーキーが好きだったはず。
ラブラドール・レトリバーにしては若干小柄で少食なドクオは、好物のビーフジャーキーとなると脇目もふらずに飛びついてくる。
キッチンの引き出しの中からビーフジャーキーを一切れ取り出す。
ブーンは目の前でぷらぷらとビーフジャーキーを見せびらかす。ドクオはそれを目を輝かせながら眺めている。
どうやら、餌で釣る作戦は成功したようだ。
( ^ω^)「ふっふっふ、所詮は犬っころ。ちょろいもんだお」
('A`)「わんわん」
( ^ω^)「ほらほら。お前の大好きなビーフジャーキーだお? ほっれほれ」
('A`)「……くぅ」
(;^ω^)「む、これでもダメか?」
先ほどの音の衝撃は思う他大きかったようだ。
ドクオは他の犬(とはいってもあまり知らないから推測に過ぎないが)よりも臆病なほうであろう。
人間でもビビるあの音は、犬にとっては非常に精神的ダメージが大きいだろう。
ドクオはぷるぷる震えながら小動物のようにこちらを見ている。
なんだか今のドクオはチワワにも負けそうなほど貧弱だ。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 02:19:12.72 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^)「ええい!ではこうだ!」
ブーンはビーフジャーキーをドクオの目の前に投げた。
一瞬びくっと反応し後ずさる。ブーンはソファーに身を潜め、少しだけ顔を出す。
('A`)「……」
ビーフジャーキーのほうにおそるおそる近づいていく。
( ^ω^)(そうだお。それパクッと!)
ドクオは端っこのほうを一瞬つまみ──
( ^ω^)「よっしゃーだお!」
('A`)「ビクゥ!」
(;^ω^)「……あ」
少しはしゃぎすぎたようだ。大きな声を出して余計驚かせてしまったらしい。
こうなると悪循環というもので、ますますドクオは警戒心を強めるだろう。
先ほどの警戒レベルが2ぐらいだとしたら、今は4ほどの跳ね上がってるかもしれない。
ちなみに最大レベルは5。
もう、これ以上下手をこくわけにはいかない。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 02:26:24.03 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^)「小中高大学そして会社に入った今でも人を怒らせることにかけては天才的な僕だお。
ドクオが怖がったりイライラしてしまうのも致し方ないことだお。
だからこそ、僕は誠心誠意を持ってドクオに接しなければならないお」
ブーンは抜き足差し足でドクオのほうに近づく。
ドクオはそれに合わせて後ろに後ずさる。
これではまるで女の子を襲おうとしている変態だ。
ブーンはほふく前進の要領で近づく作戦に決めた。
動物は自分より下にいるものには警戒心が薄いと、ブーンはどこかで聞いた覚えがあった。
犬は中でも家族内で序列を決める動物だ。自分よりも下の存在だと認識させれば怖がることもないだろう。
('A`)「……」
ドクオは身じろぎ一つせずこちらを凝視していた。
まるで珍獣でも見るような扱い。どこまで犬に舐められるかが、勝負。
さあ、存分に僕を見下したまえ。ブーンは心の中でドクオに諂う。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 02:31:14.01 ID:lkA7AQKSO
- ('A`)「……わん」
( ^ω^)「お?感触アリかお?」
('A`)「……」
( ^ω^)「ほーれほーれ。僕はこのとおり卑しい卑しいご主人様だお。
顔を舐めるなり馬乗りするなり体当りするなり何なりとしてくれお」
('A`)「……」
ドクオがゆるり、ゆるりと近づいてきた。
( ^ω^)(キタコレ!)
('A`)「……」
さあ、あと一歩だ。
その一歩で僕たちの間に新しい主従関係が生まれるのだ。
召使いのようなご主人様と、飼い主のような飼い犬。
ブーンはドクオに足蹴にされるのをじっと待つ。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 02:40:58.75 ID:lkA7AQKSO
- と、その時。
家中に大きな呼び鈴の音が響く。
(;'A`)ビクッ!!!
慌てて逃げていくドクオ。それをため息まじりに見るブーン。
( ´ω`)「お……誰だおこんなときに」
見れば、時刻は午前十時。通販で頼んだ宅配が来るにしては早すぎる時間帯だ。
ダダダ、と何かが駆け抜けていくような音。
ブーンは渋々インターホンのカメラで外の様子を見る。
数人の子供が逃げていくような様子が一瞬映った。
やんちゃそうな子供が、こちらに振り返り、あっかんべーをするとそのまま逃げるように去っていった。
(#^ω^)「ピンポンダッシュかお!! 腹立つお!!」
いつもあの近所の子供たちは嫌というほど絶妙なタイミングでピンポンダッシュをしてくる。
今回も奴らにしてやられたらしい。親の顔が見てみたかったが、近所づきあいが悪いので見ることはできない。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 02:49:26.25 ID:lkA7AQKSO
- そしてまた振り出しに戻ってしまった。
これで警戒レベルは最大まで上がってしまったことだろう。
(;^ω^)「ぐぬぬ……一体どうしたらドクオに懐いてもらえるかお」
このままでは散歩にも行けない。散歩をしないと犬はストレスが溜まってしまうという。
どうにかして、懐かせなければ──
ふと、気が付く。
( ^ω^)「散歩?普通に散歩させればいいんじゃないかお?」
ストレスが溜まるなら、ストレスを発散させてやればいい。
そんな簡単なことも分からなかったのかとブーンは自分の頭の悪さを呪った。
散歩をしていれば、そのうち警戒心も薄れるに違いない。
それは人間にも同じことがいえるわけで、やはり辛いことを忘れるためには楽しいことをすることが大事なのだ。
ブーンはマフラーを巻いてその上からジャンパーを着、散歩セットを用意した。
( ^ω^)「さあ、大好きな散歩に行こうじゃないかお!」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 02:56:25.64 ID:lkA7AQKSO
- ('A`)「……」
(;^ω^)「お?……いつもなら目を輝かせて飛びついてくるのに」
( ゚ω゚)!!!
まさか。
そんな馬鹿な。
ブーンは恐ろしい考えに突き当たった。
考えたくも無いほど、悪い状況に向かっていることを確信した。
──まさか。
散歩に行かないストレスよりも、僕と一緒に散歩をするストレスのほうが上回っているのか!?
( ;ω;)「ひいいいん……ショックだお」
ブーンはあまりのショックに落胆した。
僕と一緒にいるぐらいなら、家に引き篭もっていたほうがマシ。そう言われたも同然である。
完璧に、嫌われてしまった。自分のあまりの惨めさに涙がとめどなく溢れ出る。
これは、警戒レベルがどうという問題ではない。既に家族としての絶縁宣言をされたことを意味する。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 03:01:48.43 ID:lkA7AQKSO
- ( ;ω;)「うっうっ……そんなに僕といるのが嫌かお?」
('A`)「……」
無垢な、あまりに無垢すぎる視線が痛い。
( ;ω;)「こんなに嫌われてまでうちに置いておく理由はないかもしれないお。
悲しいけど、次のご主人様のもとで幸せに暮らしてくれれば僕はそれで──」
と、再びインタホーンが鳴った。
きっ、とドアのほうをブーンは睨む。
( `ω´)「元はといえばさっきのガキンチョがイタズラするからだお。
こうなったらキッチリお説教してやらねばならないお」
ブーンはずんずんとドアのほうに向かった。
( `ω´)「クルァ!いい加減に……」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 03:06:08.92 ID:lkA7AQKSO
- (*゚ー゚)「あっ……内藤さんでしょうか?」
意に反して、そこには女性が立っていた。
意表をつかれ、ブーンは目を丸くした。
(;^ω^)「はぁ、そうですけど……」
(*゚ー゚)「あの、申し訳ありません、うちの弟たちが迷惑をかけて……」
(;^ω^)「弟?」
(,,゚Д゚)「……」
後ろを見ると、先ほどピンポンダッシュをして振り向き様に舌を出した少年がいた。
(*゚ー゚)「ほらギコ!謝りなさい!」
(,,゚Д゚)「ふーんだ」
(*゚ー゚)「この!」
女の人は少年にゲンコツを振り下ろした。
(,,゚Д゚)「何すんだよ姉ちゃん!」
(*゚ー゚)「あんたが悪いんでしょあんたが!」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 03:17:46.80 ID:lkA7AQKSO
- (,,;Д;)「だってー!ここお化け屋敷だからいいじゃんよー!」
(#゚ー゚)「どこがお化け屋敷だ!」
ゲンコツの鈍い音が響いた。さっきよりも格段に痛そうな音がした。
少年は泣きじゃくりながら走り去っていった。
見ると、後ろには友達と思しき数人の少年少女がいた。
(;゚ー゚)「本当にごめんなさい……あとでしっかりと言い聞かせますんで……」
(;^ω^)「あ、いや、気にしなくていいですお。子供は遊ぶのが仕事ですお」
(*゚ー゚)「そう言っていただけると助かります」
女の人は深々とお辞儀をした。ブーンはすっかり説教する気が削がれてしまった。
(*゚ー゚)「また後ほど改めて──」
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 03:36:41.44 ID:lkA7AQKSO
- (;^ω^)「!?ど、ドウゾデスオ……むさくるしいというか暑苦しいところですが……」
心臓が早鐘を打つ。女の人を家に上がらせるのは、母ちゃんに次いで二人目のことだった。
玄関の扉を大きく開ける。と、先ほどの少年の声。
(,,゚Д゚)「あー!姉ちゃんがお化けに連れ去られていくー」
ミ,,゚Д゚彡「なんだとー!」
(=゚д゚)「ねーちゃんをどうするきだー!」
(;^ω^)「おわ!」
子供たちが一斉に玄関に上がってくる。
とんでもないスピードで靴を脱ぎ、あっという間にリビングに向かっていてしまった。
(;゚ー゚)「ああっ、すいません……」
( ^ω^)「あ、いえいえ。弟さんを仲間はずれにすると可哀想ですんで」
(*゚ー゚)「ありがとうございますっ」
にこっ、と眩いばかりの笑顔に、ブーンの心臓は再び早鐘を打った。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 03:47:08.93 ID:lkA7AQKSO
- 女の人の名前はしぃと言った。どうやら半年ほど前に越してきたお隣さんであった。
夏季休暇のすぐ後にVIP高校へ正式に転入したらしく、それからはずっと近くのVIP高校に通っていたという。
ブーンは近所付き合いをまったくしないため、気づかなかった。
たしかに思えば、ピンポンダッシュが始まったのも三ヶ月ほど前のことだ。
となるとしぃさんは女子高生ということになるが、見た目はどう見ても女子中学生だとブーンは思った。
(*゚ー゚)「ブーンさんはずっとこの町に住んでいらっしゃるんですね」
( ^ω^)「そうですお。僕は二駅先の丹生速大学に通ってましたお」
(*゚ー゚)「へえ、あそこって凄く偏差値が高いですよね。実は私も第一志望なんです」
( ^ω^)「おっ!それは奇遇だお」
(*゚ー゚)「でも……私成績悪いから、いけるかどうか分からないんですけどね
ばたばたとリビングを走り回っている弟たちを、しぃさんはピシャリと注意する。
さすが、手馴れているだけあってすぐに弟たちは大人しくなった。
いい奥さんになれそうだな、とふとブーンは思った。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 04:13:46.92 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^)「あそこは偏差値のわりに、案外問題がワンパターンなんですお」
(*゚ー゚)「えっ、そうなんですか?」
( ^ω^)「そうですお。赤本やり込めば他の大学より受かりやすいはずですお」
(*゚ー゚)「お詳しいんですね。さすが卒業生です」
三回も浪人していれば、嫌でも問題の傾向は掴めるというものである。
( ^ω^)「もしよかったら、家庭教師でもやりますかお?僕はこう見えても塾講師なんですお」
(*゚ー゚)「え、本当ですか!?でもうちは貧乏だし……」
(*^ω^)「お金なんかいりませんお。仕事が始まるまで暇なんで、少しでもお力になりますお」
(*゚ー゚)「わ、私、どうしても丹生速に入りたいんです……お願いします」
( ^ω^)「まっかせてくださいお!」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 04:20:56.13 ID:lkA7AQKSO
- (,,゚Д゚)「お化けのにーちゃん。ここにワンワンいるよー」
(;^ω^)「んお!?」
ブーンは慌てて椅子から立ち上がった。人見知りなドクオにあんなに大勢が近寄るとますます怯えてしまう。
(;^ω^)「だ、ダメだお、その犬は噛み付くから……」
(,,゚Д゚)「えー?でもすごく大人しいよー」
('A`)「……」
見ると、たしかにドクオは大人しかった。
お腹を見せながら寝転がり、気持ちよさそうに撫でられている。
(*゚ー゚)「こら、大人しく座ってなさい!あとでお尻叩くわよ!」
(,,;゚Д゚)「げえ、やだー」
( ^ω^)(あんなに従順なドクオは初めて見たお)
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 04:27:10.21 ID:lkA7AQKSO
- ミ,,゚Д゚彡「あーー!これあの犬だー!」
弟のうちの一人が声を張り上げた。しぃが犬のほうを見に行くと、同じように驚いた顔をした。
(*゚ー゚)「本当だ。ずっとペットショップで欲しい欲しいって言ってた子でしょ?」
ミ,,゚Д゚彡「うんそうだよ。だってここの耳のところが黒いもん」
(=゚д゚)「ぜったいおなじだよ!」
どうやら、この人たちもドクオを買うつもりだったようであった。
(*゚ー゚)「まさかここで再会するとは思わなかったね」
(,,゚Д゚)「うん!お化けのにーちゃん、ありがと!誰かに取られる前にもってきたんでしょ!」
(;^ω^)「お?」
なんだか物凄い誤解をされているが、そうということにしておこう。
ドクオは驚くほど子供たちに懐いており、先ほどまでの警戒心はまったくといっていいほど感じられなかった。
ブーンが近づいても反応を示さず、しきりに子供たちに撫でられている。
撫でることはおろかお腹を見せてくれたことなど一度もなかったブーンは複雑な心境だった。
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 04:42:03.78 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^)(この人たちなら、ドクオを譲ってもいいかもしれないお)
どうせ、ここにいても懐きはしないのだ。ならば懐く家庭のところにいけば、犬にとっても幸せだろう。
( ^ω^)「あの、よければその犬……」
(,,゚Д゚)「決めた!僕毎日ここくる!」
(;^ω^)「お!?」
(;゚ー゚)「ちょ、何いってるの!」
あまりの予想外さに言葉が出てこない。子供とは時として予想外な行動を起こす。
ギコとほか二人の弟たちの意見は既に満場一致のようであった。
(;゚ー゚)「そんなことしたら、内藤さんにご迷惑が……」
( ^ω^)「あ、あの……しぃさん。僕は全然構いませんお」
(;゚ー゚)「でも……そこまでしてもらってはさすがに……」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 04:49:01.56 ID:lkA7AQKSO
- ( ^ω^)「実は、僕その犬に嫌われちゃったんですお。
全然懐いてくれなくて、さっきも必死に懐かせようとしてましたお。
僕が無神経だからすぐ大きな音を出したりして、ドクオを何度も驚かせてしまったんですお。
そのうち、一緒に散歩にも行かなくなって……」
(*゚ー゚)「……」
話しているうちに、この半年間のドクオとの思い出が頭をよぎった。
ブサイクで、ノロマで、覇気がなくて、いつもダルそうで大人しくて、
だけど、見ているだけで心が安らいだ。室内小屋で寝ている姿を夜中に見ていたこともあった。
心は開いてくれなくても、たしかにドクオは家族だと、少なくともブーンは思っていた。
( ;ω;)「でも……ずっと僕といると、きっとドクオは不幸になりますお。
できれば……本当にできればでいいですお、ドクオをお宅のところで……」
(*゚ー゚)「優しいんですね、内藤さんは」
( ;ω;)「僕なんか……」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を見せたくなく、下を俯いた。
と、しぃはブーンの肩に手をやった。
(*゚ー゚)「不幸になんてなりませんよ。飼い主さんがいい人なんですから」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 04:50:05.05 ID:lkA7AQKSO
- ( ´ω`)「でも……現にここ半年まったく懐いてなくて……」
(*゚ー゚)「懐かせればいいんですよ」
(;^ω^)「で、でも……」
(*゚ー゚)「うちの弟たちを使ってください。今まで散々迷惑かけてきましたから。
それに、勉強も教えてもらえるんですから、これくらいお安い御用ですよっ」
しぃが人差し指と中指でVの字を作りながらウィンクをした。
ブーンはドクオのところに行ったしぃをいつまでも眺めていた。
涙を拭き、ブーンもドクオの元へ近づいた。
('A`)「……」
( ^ω^)「……」
ドクオは撫でられながら、さっきとまったく同じような無垢な視線でこちらを見つめていた。
ブーンは目を瞬かせながら、じっとドクオの目を見据えた。
吸い込まれそうなほど綺麗な瞳。
今まで何度も見てきた瞳が、今は一際澄んで見えた。
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/12/31(土) 04:52:02.39 ID:lkA7AQKSO
- ('A`)「わん」
相変わらず元気のない吠え方をした。ギコたちは大はしゃぎでドクオの吠え方の真似をしている。
しぃはブーンの手を掴み、そのままドクオを触らせようとした。
一瞬ピクリ、とドクオは反応したが、そのまま寝転がった状態で、ブーンは久しぶりにドクオの体に触った。
暖房を切って微妙に冷えた手に心地よい暖かさだった。
外を見ると、雪が降っていた。今年はよく雪が降る年だった。
( ^ω^)「今年ももう終わりかお」
来年は忙しくなりそうだな、とブーンは思った。
( ^ω^)ブーンは飼い犬に嫌われたようです おわり
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