優しい綺麗なお姉さんのようです
540 名前: ◆WHslCw5N5. 投稿日:2017/08/26(土) 23:50:06 ID:KnC0PiU60


 優しい綺麗なお姉さんのようです

541 名前: ◆WHslCw5N5. 投稿日:2017/08/26(土) 23:50:42 ID:KnC0PiU60
 どこかの古い神社の中で、幼い男の子が泣いている。

(,,メ;д;)  ヒックヒック

 涙でグチャグチャになった幼い顔には、大人に殴られたのか痛々しい痣が残っている。
 いや顔だけではなく、長い間洗濯していない汚い子供服の裾から出ている華奢な手足にも、まだ新しい痣がある。

(,,メっдn) エグエグ

(,,メ^дn) ゴシゴシ

 泣いているうちに、少し落ち着いたようだ。

(,,メ^д^)「おなか、すいたぁ……」

 キュウゥと小さな音を立てる腹部をおさえ、男の子は独り呟く。

(,,メ^д^)「……なんかのおかしないかなぁ……」

 神社のお供え物を食べるつもりなのだろう、軽く右足を引き摺りながら神社を散策する。

(,,*メ^ワ^)「あったぁ!」

 木製の小さな賽銭箱の上に置かれた、(男の子から見れば)大きめな饅頭を見付けて歓喜の声を上げる。結構前に供えられたのか、真っ白いはずの饅頭の表面には緑色の斑点が所々浮かんでいる。
 少し前まで泣きじゃくっていた男の子は、満面の笑みで斑模様饅頭を掴む。

(,,*メ^д^)「よもぎまんじゅうだ」

542 名前: ◆WHslCw5N5. 投稿日:2017/08/26(土) 23:51:12 ID:KnC0PiU60

 お供え物を食べるなんて罰当たりな行為だが、男の子にとっては神罰――賽銭箱を漁って中の金を盗むよりは大分軽いだろうが――より空腹と殴る父の方が恐かった。

(,,メ^д^)「いただきまーすっ」

「おやめなさい」

(,;メ^д^)「ひゃあぁっ」

 誰も居ないと油断していた男の子は、急な呼びかけに驚いて斑柄饅頭を地面に落としてしまった。

(,;メ^д^)「あわわわ」

 空腹といえど盗み食いをしようとした罪悪感で、男の子は慌てて斑柄饅頭を拾おうとした。

∬´_ゝ`)「そんな古いもの、お腹を壊すわよ」

 それより先に、――さっき男の子呼びかけたのと同じ声の――綺麗な女の人が、斑柄饅頭を拾った。

∬´_ゝ`)「この饅頭の緑色のところは、ヨモギじゃなくてカビよ」

(,;メ^д^)「…………」

 いつからいたのかな?
 そんなシンプルな疑問が、男の子の頭を満たしていた。

∬´_ゝ`)「坊や、おなかが空いているの?」

(,;メ^д^)” コクン

 タイミングよく、男の子が頷くと同時に腹が再び鳴った。

(,;メ^д^)「ボ、ボク、きのうから、たべてなくて……」

∬´_ゝ`)「可愛いお腹の音」

543 名前: ◆WHslCw5N5. 投稿日:2017/08/26(土) 23:51:59 ID:KnC0PiU60

 女の人は小さく笑いながら、男の子を軽々と抱き上げる。

(,;メ^д^)「わっ」

∬´_ゝ`)「右足、痛いんでしょ? 私の家に、運んであげるわ」

(,;メ^д^)「……どうしてわかるの?」

∬´_ゝ`)「匂いでなんでもわかるの」

(,,*メ^д^)「おねえさんって、なんでもわかるんだ!」

 スゴイひとなんだね!と、感嘆の目を向ける男の子に、女の人は優しく微笑むばかり。
 空腹と幼さ故の無知だろう、男の子は先程までの疑問をすっかり忘れていた。

∬´_ゝ`)「お風呂も、新しい服もあるわよ。
     でもその前に、ご飯を食べさせてあげる。さっきの饅頭より、美味しい魚や果物よ」

(,,*メ^д^)「…………………………」

∬´_ゝ`)「どうしたの?」

(,,メ^д^)「…………ボク、きのうと きょうも いいこじゃなかったから、ごはんぬきなの
     ……いいこじゃないから、おねえさんの いえにいけない」

∬;´_ゝ`)「だけど、食べなければ死んでしまうわ……」

 急に明らかに落ち込む男の子の姿に、女の人は困り果てる。

(,,メ;д;)「だってぇ、パパが、おまえなんかしねって……」

∬;´_ゝ`)「坊やのママは、坊やが死んだら悲しむわ。 坊やに幸せになって欲しいのに……」

(,,メ;д;)「……ママが?」

544 名前: ◆WHslCw5N5. 投稿日:2017/08/26(土) 23:52:29 ID:KnC0PiU60

∬;´_ゝ`)「ママは勿論、私も坊やが死んだら悲しいわ」

(,,メ;д;)「…………おねえさんは、どうしてぼくに やさしいの?」

∬´_ゝ`)「私? 私はね、子供が大好きなの。 坊やが好きだから、坊やの事を守りたいの」

(,,メ;д;)「……よくわからない」

∬´_ゝ`)「そのうち分かるようになるわ。 坊やが大きくなるまで、私が守ってあげるわ」

∬ _ゝ )「だから坊やのパパみたいに、下卑たオスになっちゃダメよ」

 女の人がギリリと噛み締めた口元に鋭く光る犬歯があるのを、男の子は気付かなかった。


 果物にキノコ類と魚、一般家庭では料理と呼べない代物だが、ロクに食べさせてもらえない男の子にとっては、十分なごちそうである。

(,,メ^д^)「コレ、たべていいの?」

∬´_ゝ`)「喉に詰まらせないように、ゆっくり食べてね」

(,*メ^~^) ムシャムシャッ

 男の子は食べるのに夢中で、女の人が魚を生のまま食べるのを気にしていない。

∬´_ゝ`)「坊やのお名前は?」

(,,メ^д^)ゲプッ「タカラ! てんごくのママが かんがえてくれたの!」

∬´_ゝ`)「タカラくんは、ママにとっての宝物なのね」

 でもパパは違うみたいと、女の人は小さく小さく呟く。

(,,メ^д^)「ママだいすき! おねえさんみたいにあったかいし、ごはんもくれるし、
     パパみたいに ぶたないんだ!」

545 名前: ◆WHslCw5N5. 投稿日:2017/08/26(土) 23:53:00 ID:KnC0PiU60
∬´_ゝ`)「……ありがとう、タカラ」


 お腹いっぱい食べた男の子は、女の人の膝に寝転がっている。
 果汁で汚れた口や手を綺麗に拭いてもらい、痣には薬草を貼ってもらっている。

∬´_ゝ`)「明日の夜は、お肉を食べさせてあげる」

(,*ロ^д^)「おねえさんと いっしょなら、なんでもいいよ!」

∬´_ゝ`)「ふふふっ。 明日の朝は、お姉さんと水浴びをしましょうね」
っ(,*ロ^д^)c

(,*ロ^д^)(おねえさん、あったかいなぁ おかあさんのだっこみたいに、あったかい)

(,*ロ-д-) グゥ……

∬*´_ゝ`)「疲れていたのね、可愛い子」
っ(,*ロ^д^)c

∧__∧
∬ トェェイ )「おやすみなさい、可愛いタカラ」
っ(,*ロ-д-)c

 夜中に泥酔した父親に叩き起こされる心配もなく、空腹に苛まれることもなく、男の子はぐっすりと眠った。
 男の子は途中で目覚めなくて幸いだ、大きな大きな狼が優しく男の子の頬を舐めていたのだから。


綺麗なお姉さん?のようです

546 名前: ◆WHslCw5N5. 投稿日:2017/08/26(土) 23:54:13 ID:KnC0PiU60


 後日談?

(゚、゚トソン「最近、幼稚園児のタカラ君が行方不明だそうです」
 λ_λど” ナデナデナデナデ
(;ノAヽ)

ミセ;゚ー゚)リ「ちょっと、ノーネがグレードデーンで大人しいからって、ベタベタ触らないでよ!」

(゚、゚トソン「行方不明と言うか、虐待親父が殺して山に埋めたって説が強いですけどね!」
づλ_λど”  ナデナデナデナデナデナデナデナデ
(;ノAヽ)

ミセ#゚ー゚)リ「3秒以内に離さないと、熱々のフライパンで顔面殴るぞ」

ヽ(゚、゚;トソンノ「だけど糞親父が惨殺死体で発見されて、大騒ぎになったのですよ!」

ミセ*゚ー゚)リ「えーっと、大型の肉食獣に食い荒らされたみたいな跡、だっけ?」

(゚、゚トソン「たしか、子供を守ってくれる犬神様の神社があったような気が……」

ミセ*^ワ^)リ「罰でも当たったんでしょw 案外犬神様が保護した子供に食べさせたりしてー!」

(゚、゚;=(゚、゚;トソン「愛犬の前で、そんな話します!?」

ミセ*゚ー゚)リ「犬の気を引きたくて、高速反復横跳びする奇行種には言われたくないなぁー」

 λ_λ
(#ノAヽ) ウルルル…

ミセ*゚ー゚)リ「「まぁ私達には関係ない話だよね」」(゚、゚トソン



(狼が化けた)綺麗なお姉さんのようです


 本当に了



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