( ^ν^)ストーカー戦記のようですζ(゚ー゚*ζ
- 1 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:50:00 ID:CuVrjy6E0
ある日の夜、仕事からの帰り道。
一人の男が私の目の前に現れた。
( ^ν^)ノ「よう」
ζ(゚ー゚*ζ「……あなたは」
( ^ν^)「俺か? 俺はな……」
( ^ν^)σ「お前のストーカーだ!」
ζ(゚ー゚*ζ(そういうことわざわざ言うんだ……)
.
- 2 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:51:08 ID:CuVrjy6E0
( ^ν^)ストーカー戦記のようですζ(゚ー゚*ζ
.
- 3 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:52:07 ID:CuVrjy6E0
- ( ^ν^)「……驚かないのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「……いや、律儀だなって。わざわざ自分でストーカーだって言うんですね」
( ^ν^)(あれー思ってた感じと違う)
( ^ν^)(怖がらせるつもりでストーカーだって言ったのに全然怖がってない)
( ^ν^)(まあいい。住所を言い当ててやったらさすがに怖がるだろう)
( ^ν^)σ「お前の住所は分かってるんだよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「えっ?」
( ^ν^)σ「ファイナル町四丁目の三番区の……」
ζ(゚ー゚*ζ「違いますけど」
( ^ν^)「あ? とぼけんなよ」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、本当に違います」
( ^ν^)「嘘ついてんじゃねぇよ。行ってやるからな?」
ζ(゚ー゚*ζ「いや、本当の本当に違います。その住所の人に迷惑がかかりますから、行くのはやめましょう?」
( ^ν^)「……マジで言ってんのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「マジです」
( ^ν^)
ζ(゚ー゚*ζ
( ^ν^)「ちょっと待って、仕切り直すから」
ζ(゚ー゚*ζ(仕切り直すんだ……)
- 4 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:52:53 ID:CuVrjy6E0
- ( ^ν^)o" ゴホン
( ^ν^)σ「アンタの名前は分かってるんだよ! 鬱田ドクオ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「違います」
( ^ν^)「いや、そんなはずは……え、マジ?」
ζ(゚ー゚*ζ「マジです。そもそも男性名じゃないですか、それ」
ζ(゚ー゚*ζ「もしかして、さっき言った住所って鬱田ドクオさんのじゃないですか?」
( ^ν^)
ζ(゚ー゚*ζ
( ^ν^)「……出直します」
ζ(゚ー゚*ζ(出直すんだ……)
- 5 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:54:40 ID:CuVrjy6E0
- 二日目
( ^ν^)「よう、また会ったな」
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、どうも」
( ^ν^)σ「今日こそ、お前の名前を突き止めてきたぞ」
ζ(゚ー゚*ζ「早いですね。昨日の今日で」
( ^ν^)「余裕ぶれるのは今だけだぞ?」
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ」
( ^ν^)「お前の名前はな……」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
( ^ν^)σ「流石父者だ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
( ^ν^)「どうだ? 言い当てられて言葉も出ないか?」
ζ(゚ー゚*ζ「……なんの疑問も抱かなかったんですか?」
( ^ν^)「えっ?」
ζ(゚ー゚*ζ「どう考えても男性名じゃないですか」
(;^ν^)「……あっ」
ζ(゚ー゚*ζ「昨日も今日も男性名ってどういうことですかね」
(;^ν^)「えっ、あー……えーっと……」
(;^ν^)σ「覚えてろ!!!」
┗(^ν^;)┓三 ダッ
ζ(゚ー゚*ζ(えぇ……)
- 6 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:55:20 ID:CuVrjy6E0
- 三日目
( ^ν^)(フッフッフッ、今日はあいつの家を突き止めてやったぞ)
( ^ν^)(帰ってくるまで家の前で待ち伏せしてやる)
( ^ν^)(……おっ、足音が聞こえてきたぞ。帰ってきたな?)
( ^ν^)ノ「よう、来てやったぞ」
('A`)
( ^ν^)
('A`)「……どちら様ですか?」
( ^ν^)「……間違えました」
- 7 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:56:09 ID:CuVrjy6E0
- 四日目
( ^ν^)「よう」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、どうも。昨日は来ませんでしたね?」
( ^ν^)「それに関しては何も訊かないで」
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ」
( ^ν^)「今から家に帰るのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「いえ、これから仕事です」
( ^ν^)「そうか。じゃあこのまま後をつければ職場を特定できるな」
ζ(゚ー゚*ζ「そういうことわざわざ言います?」
( ^ν^)(怖がらせるために言ってるのに全然怖がってくれない……)
ζ(゚ー゚*ζ「そういえば、お仕事は何をされてるんですか?」
( ^ν^)
ζ(゚ー゚*ζ
┗(^ν^;)┓三「うわああああ覚えてろ!!!」ダッ
ζ(゚ー゚*ζ(ニート……)
- 8 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:56:49 ID:CuVrjy6E0
- 五日目
( ^ν^)「よっ」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、こんばんは」
( ^ν^)「仕事帰りか?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
( ^ν^)「よし、後をつけてやる」
ζ(゚ー゚*ζ「そういうことわざわざ言わなくていいと思いますよ。言うことで警戒されるっていうか……」
( ^ν^)(普通にダメ出ししてくる……)
ζ(゚ー゚*ζ「……ていうか、これまでも私の後をつけていたんですよね?」
( ^ν^)「おう」
ζ(゚ー゚*ζ「だったら、どうして未だに私の家を特定できていないんですか?」
( ^ν^)「……いや、いつも途中で見失って……」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
( ^ν^)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……なんていうか、えーと……頑張ってください……」
( ^ν^)(ストーカー対象に同情されてしまった……)
- 9 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:57:36 ID:CuVrjy6E0
- 六日目
( ^ν^)「昨日も結局途中で見失ってしまった……しかし、今日の俺は違う!」
( ^ν^)「なぜなら、今日はいつも見失う場所で見失っていないからだ」
( ^ν^)「しかも気づかれていない。まあ、いつも俺から話しかけてるんだけど」
( ^ν^)「さーって、今日も元気にストーキンッ!」
( ^ν^)「ヤベェ俺テンションめっちゃ高えwwww」
(,,゚Д゚)づ「こんばんは、お兄さんちょっとお話聞いてもいいかな?」ポン
( ^ν^)
(^ν^ )
(^ν^;)(ポリ公じゃねぇか……)
- 10 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:58:18 ID:CuVrjy6E0
- 七日目
( ^ν^)ノ「よう」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、どうも」
( ^ν^)「昨日は家で寝ちゃっててストーキングできなかったわーいやーやらかしたわマジでー」
ζ(゚ー゚*ζ「昨日も後をつけていましたよね。そして警察に職務質問されていましたよね」
( ^ν^)「気づいてたのかよ……」
ζ(゚ー゚*ζ「駅からつけてましたよね」
( ^ν^)「最初から完全にバレてる……」
ζ(゚ー゚*ζ「で、どうなんですか?」
( ^ν^)「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方がストーカーだって宣言してからそろそろ一週間経ちますけど、何か進歩はありますか?」
( ^ν^)
ζ(゚ー゚*ζ「名前とか住所とか職場とか、特定できました?」
( ^ν^)
(;^ν^)
(;^ν^)σ「あ、明日! 明日には絶対に特定してやる!」
┗(^ν^;)┓三 ダッ
ζ(゚ー゚*ζ(多分、明日も無理なんだろうなぁ……)
- 11 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 19:59:02 ID:CuVrjy6E0
- 八日目
(*^ν^)「フッフッフッ、ついに名前を突き止めてやったぞ!」
(*^ν^)「さて、今日もこの駅であいつは降りてくる……。よし、いきなり名前を言ってやろう!」
(*^ν^)「いやー、どんな反応するか楽しみだな!」
ζ(゚ー゚*ζ ))
(*^ν^)「お、来た来た。よーし……」
(*^ν^)ノ「よう! 伊藤ペニサス!」
ζ(゚ー゚*ζ「違いますけど」
( ^ν^)ノ「えっ……」
ζ(゚ー゚*ζ「ですから、違います」
(;^ν^)「嘘だろ……俺はまた……」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、でもあの、惜しいです」
(;^ν^)「えっ?」
ζ(゚ー゚*ζ「伊藤ペニサスっていうのは私の姉なんです」
(;^ν^)「あ、姉?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、姉の名前です」
(;^ν^)「マジかよ……」
- 12 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 20:01:42 ID:CuVrjy6E0
- ζ(゚ー゚*ζ「すごいじゃないですか。今までで一番近いですよ」
(;^ν^)「でも結局間違ってたわけだし……」
ζ(゚ー゚*ζ「まあそれはそうなんですけど」
( ^ν^)「……お前って姉と似てんの?」
ζ(゚ー゚*ζ「……顔ですか? ……えーと、あまり……」
( ^ν^)「ふーん」
ζ(゚ー゚*ζ「……写真あるけど見ます?」
( ^ν^)「マジ? 見るわ」
ロ⊂ζ(゚ー゚*ζ「この写真です。右の人が姉です」
【 川*` ゥ´)('、`*川 】
( ^ν^)「ふーん、本当にお前と似てねえな。隣の人は誰だ? 二人とも地味な顔してんな」
ζ(゚ー゚*ζ「…………妹です」
( ^ν^)「ほー、三姉妹か? お前が一番可愛いな」
ζ(゚ー゚*ζ「……そうですか」
( ^ν^)「おう」
- 13 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 20:02:41 ID:CuVrjy6E0
- ( ^ν^)
(;*^ν^)(……俺今、普通に、可愛いって言っちまった……)
(;*^ν^)(女ならやっぱり可愛いって言われれば嬉しいよな? こいつだってちょっとくらい照れたり……)
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ私帰るので」
( ^ν^)「あ、はい」
( ^ν^)
( ^ν^)(顔色一つ変えなかった)
( ^ν^)(き、気にしてねーし……)
( ^ν^)
(;^ν^)「……じゃなくて! ダメだろ帰らせたら!!」
(;^ν^)「ああクソ、もういねえ! 見失った!!」
- 14 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 20:03:51 ID:CuVrjy6E0
- 九日目
( ^ν^)ノ「ようよう」
ζ(゚ー゚*ζ「どうも」
( ^ν^)「やーっと突き止めたぜ、お前の名前」
ζ(゚ー゚*ζ「……それ、本当に合ってるんですか?」
(*^ν^)「ああ、今回は間違いないぞ! 伊藤ペニサスが姉の名前だって分かったからよ。そこからちょちょいのちょいだ!」
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ」
(*^ν^)σ「お前の名前はズバリ、伊藤ヒールだろ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
(*^ν^)σ「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
(;^ν^)σ「……あれ、違うか? もしかして妹の名前?」
ζ(゚ー゚*ζ「……そうですね」
(;^ν^)「えぇー……マジか……」
- 15 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 20:04:34 ID:CuVrjy6E0
- ζ(゚ー゚*ζ「……」
(;^ν^)「クッソ……」
ζ(゚ー゚*ζ「……デレです」
(;^ν^)「……ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「名前です、私の。伊藤デレです」
(;^ν^)「デ……デレ……」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、デレです」
(*^ν^)σ「よし、明日からもストーキングしてやるからな、デレ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ」
(*^ν^)ノシ「じゃあ、俺帰るわ。また明日! 気をつけて帰れよ、デレ!」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、はい。ありがとうございます」
ζ(゚ー゚*ζ(……帰るってのは嘘で、尾行して家を突き止める算段?)
♪〜(^ν^*)))
ζ(゚ー゚*ζ(あ、本当に帰ってる……)
- 16 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 20:05:28 ID:CuVrjy6E0
- 十日目
( ^ν^)(……なんで俺、昨日帰ってしまったんだ……)
( ^ν^)(普通にあの後、尾行すればよかったのに。
デレの名前を知れてテンション上がっちまった……)
( ^ν^)(よし、今日こそは家を突き止めてやる)
(;^ν^)(……っと、やべ。考え事してたら駅に着くの遅くなった)
(;^ν^)(デレもう帰ったかな……)
川川 ) ζ(゚ー゚*ζ
( ^ν^)(あ、まだいた……誰かと話してる?)
('、`*川「どうして相談してくれなかったのよ。私じゃ力になれない?」
ζ(゚ー゚*ζ「……ううん」
( ^ν^)(あれは……デレの姉?)
('、`*川「そんなことになってるなんてビックリするじゃない。もっと早くに言ってくれればよかったのに」
ζ(゚ー゚*ζ「……ごめんね、お姉ちゃん」
(;^ν^)(……ま、まさか、ストーカーのことを相談してるのか……?)
('、`*川「別に怒ってるわけじゃないわよ。私はいつでもアンタの味方よ」
ζ(゚ー゚*ζ「……ありがとう」
('、`*川「お礼なんていいわよ。だって……」
('、`*川「──アンタは私のたった一人の妹なんだから」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
(;^ν^)(えっ……?)
- 17 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 20:06:12 ID:CuVrjy6E0
- (;^ν^)(どういうことだ? だって、妹がもう一人いるはずだろ?)
(;^ν^)(名前はヒールっつったっけ。なんで……)
ヽ('、`*川「じゃあ、私は帰るわ。また何かあったら相談して」
ζ(゚ー゚*ζ「……うん。ありがとう」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
(;^ν^)「お、おい、デレ……」
ζ(゚ー゚;ζ「! き、聞いていたんですか!?」
(;^ν^)「……ああ」
ζ(゚ー゚;ζ「……」
(;^ν^)「なあ、どうなってるんだ? なんで、妹のヒールがいないみたいな扱いなんだ?」
ζ( ー *ζ「……ちょっと、複雑な事情があって。ごめんなさい、何も訊かないでください」
(;^ν^)「……そうか。悪かった」
ζ( ー *ζ「……」
(;^ν^)「……」
ζ( ー *ζ「……」
(;^ν^)「……あっ! な、なあ、姉となんの話してたんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「……えっ」
(;^ν^)「も、もしかして、俺のストーカー行為について相談してたとか?」
ζ(゚ー゚*ζ「いえ、貴方はストーカーとして恐れるに足らないので相談なんてしませんよ」
( ^ν^)(泣かないぞ。ニュッくん強い子だから泣かない)
- 18 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/19(土) 20:07:00 ID:CuVrjy6E0
- ( ^ν^)「じゃあ、なんの話をしてたんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「……なんてことない世間話ですよ」
( ^ν^)「世間話? そんな風には見えなかったぞ」
ζ( ー *ζ「……ごめんなさい、これに関しても訊かないでください」
(;^ν^)「……そ、そうか。分かった」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
(;^ν^)「よ、よし、じゃあ俺帰るわ! またな!」
ζ(゚ー゚*ζ「……優しいですよね、貴方って」
( ^ν^)「……えっ?」
ヽζ(゚ー゚*ζ「気を遣ってくれてありがとうございます。また明日」
( ^ν^)ノ「お、おう、また明日」
( ^ν^)
(*^ν^)(デレに優しいって言われた……! しかも、また明日って……!)
( ^ν^)
( ^ν^)(いや待て、ストーカーがストーカー対象に言われる言葉として正しいのか、これは)
- 29 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:35:42 ID:nWGIArRc0
- 十一日目
( ^ν^)(とりあえず名前は分かったわけだし、次は住所だな)
( ^ν^)(……名前分かったっつってもデレが教えてくれただけなんだよな)
( ^ν^)(住所は絶対、俺の力で調べてやる)
( ^ν^)(とはいえ、どうやって……)
ζ(゚ー゚*ζ「こんばんは」
(;^ν^)そ「うおっ!?」
ζ(゚ー゚*ζ「なに驚いてるんですか」
(;^ν^)「い、いや……ちょっと考え事してて……」
ζ(゚ー゚*ζ「何か悩み事ですか?」
( ^ν^)「いやー、どうやってデレの家を突き止めようかと思ってな」
ζ(゚ー゚*ζ「それ私に言うんですか」
( ^ν^)「……お前を怖がらせるために言ってるんだけど……」
ζ(゚ー゚*ζ「今までからして、貴方が怖くないのは分かってますし」
(;^ν^)「うーん……」
ζ(゚ー゚*ζ「そもそも、なんで怖がらせたいんですか?」
( ^ν^)「やっぱストーカーといえば怖いって感じじゃん?」
ζ(゚ー゚*ζ(怖いって感じ……)
( ^ν^)「怖がられる俺、ヤベェ強え!みたいな」
ζ(゚ー゚*ζ(ヤベェ強え……)
- 30 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:36:15 ID:nWGIArRc0
- ▼・ェ・▼ ワフッ
ζ(゚ー゚*ζ「あっ、ワンちゃんだ! 野良犬かな?」
(;^ν^)そ「ヒィッ、犬!!」ビクッ
ζ(゚ー゚*ζ「犬苦手ですか?」
(;^ν^)「ダ、ダメ……犬ダメ……」
ζ(゚ー゚*ζ「こんなに可愛いのにダメなんですか?」
▼・ェ・▼ ワフッ?
(;^ν^)「ダメダメダメ」
ζ(゚ー゚*ζ「怖がられる俺ヤベェ強えのにですか?」
(;^ν^)「それ忘れて」
キューン ▼*>ェ<▼"⊂ζ(゚ー゚*ζ「撫でてみてください。可愛いですよ、ほらほら」
(;^ν^)っ「うっ……」
▼・ェ・▼ ワフッ?
(;^ν^)っ
|;^ν^)っ
|ν^)っ
|っ
|
ζ(゚ー゚*ζ(初めて見せる逃げ方した……)
- 32 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:37:18 ID:nWGIArRc0
- 十二日目
壁|^ν^)「よう」
ζ(゚ー゚*ζ「どうも。……あのー」
壁|^ν^)「なんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「なんでそんなに距離を取ってるんですか?」
壁|^ν^)σ「そいつだよ、そいつ。なんでいるんだよ」
▼・ェ・▼ ワフッ?
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、飼うことにしたんです。名前はビーグルちゃんです」
壁|^ν^)「なんで飼うんだよ……」
ζ(゚ー゚*ζ「私に懐いてくれたみたいですし、貴方の反応が面白いので」
壁|^ν^)「面白がってんじゃねぇよ……」
(( ▼ ・ェ・▼ キューン
壁|;^ν^)「お、おい、寄るんじゃねぇよ……」
三▼*・ェ・▼ ワフーン
三┏(;^ν^)┛「うわあああああ!!!」ダッ
▼;・ェ・▼そ ガッ
┏(;^ν^)┛「……ん? ああ、リード付いてるからこれ以上近づけないのか」
(*^ν^)「やーいやーい、こっちまで来てみろやーい!!」
▼;・ェ・▼ ワフーン…
(*^ν^)「こっちまで来れねえだろやーいやーい!!」
ζ(゚ー゚*ζ )) ススス
三▼*・ェ・▼ ワフッ!
三┏(;^ν^)┛「あ、ちょ、近づくなデレ!! リード持ってるお前が近づくと犬まで近づくだろうが!!」ダッ
ζ(゚ー゚*ζ(面白い)
- 34 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:37:49 ID:nWGIArRc0
- 十三日目
壁|^ν^)「よう」
ζ(゚ー゚*ζ「どうも。隠れなくてもビーグルちゃんはいませんよ。仕事帰りなんですから」
壁| ((( ^ν^)「よっしゃ隠れなくていいんだな?」
ζ(゚ー゚*ζ(そもそもストーカーって隠れるものじゃ……)
( ^ν^)「今日こそは家を突き止めてやるぞ」
ζ(゚ー゚*ζ「頑張ってください」
( ^ν^)(ストーカー対象に応援される程度には舐められてるんだなぁ俺って……)
ζ(゚ー゚*ζ「そうだ、せっかくですしお茶でもしません?」
( ^ν^)「えっ」
(;*^ν^)(お……お茶!? それってつまりデデデデデート!!!?)
(;*^ν^)「そ、そんな、そういうのはまだ早いだろ!!! 不健全だ!!!」
ζ(゚ー゚*ζ「はい?」
┗(^ν^*;)┓三「覚えてろ!!!」ダッ
ζ(゚ー゚*ζ(純情童貞……)
- 35 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:38:28 ID:nWGIArRc0
- 十四日目
( ^ν^)
イチャイチャ(,,*゚Д゚)(^ー^*) ξ*゚⊿゚)ξ(^ω^*)イチャイチャ
( ^ν^)
( ^ν^)(なんで俺一人で喫茶店来たんだろ)
( ^ν^)(いつかデレと来たときの為に予行演習しようと思ったら、なんか今日カップルデーらしくて? カップルは割引らしくて?)
( ^ν^)(恋人いる時点で人生勝ち組だろうがよ……優遇されすぎだろ……むしろ高くしてやれよ……)
( ^ν^)(クソッ、あの赤い髪の店員め……『おひとり様ですかあああ!!?』じゃねぇよ……無駄にデケェ声しやがって……)
( ^ν^)(あーあ、ニートデーとかできねぇかなー)
( ^ν^)(つーか、よく見たらこないだのポリ公いるじゃねぇか。ケッ、どうせ警察官っていうご立派なご職業が目的なだけですよその彼女は)
('A`)っ凵「お待たせしました、アイスココアです」コトッ
( ^ν^)「あ、どうも……あっ」
('A`)「あっ……あの時の……」
( ^ν^)「うわぁ覚えられてた……」
('A`)「ドヤ顔で『よう、来てやったぞ』とか言ってたのが印象に残ってて……」
( ^ν^)「至急忘れて」
- 36 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:39:49 ID:nWGIArRc0
- ('A`)(……この人、なんでカップルデーに一人で来てるんだろう)
('A`)(今日カップルデーだってこと知らなかったのかな……)
('A`)(ご愁傷様、同志よ……)
< イラッシャァッセェェェェェ
('A`)「いらっしゃいませー」
( ^ν^)(赤髪の店員うるせえな……喫茶店向きの挨拶じゃねぇだろアレ)
( ^ν^)(まーたカップルのご来店ですか)
ζ(゚ー゚*ζ「どうも」
( ^ν^)
(;^ν^)「デ、デレ!? なんで……」
ζ(゚ー゚*ζ「外から見えたのでつい……。あ、もしかして誰かと待ち合わせしてますか?」
(;^ν^)「いや……一人……」
ζ(゚ー゚*ζ「良かった。ご一緒していいですか?」
(;*^ν^)「え、あ……おう」
('A`)
('A`)(世界は不平等だ)
- 37 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:40:43 ID:nWGIArRc0
- 十五日目
( ^ν^)「なんかたまには別の攻め方をしてみたいな……」
( ^ν^)「世の中のストーカー達は一体どんなことをしているのか……」
( ^ν^)「……あっ、そうだ。手紙を送りつけるとかどうだろうか」
( ^ν^)Ф「よし、そうと決まったら早速手紙を書くか」
( ^ν^)Ф"「えーと……拝啓この手紙読んでいるあなたは……」
( ^ν^)Ф「……この出だしだと送り主がアンジェラ・アキだと勘違いされるかもしれない」
( ^ν^)Ф"「書き直しだ。えー……盛夏の候、ますますご健勝のことと存じます……」
( ^ν^)Ф「……ちょっと堅いか? もっと柔らかい文章にしてみるか」
( ^ν^)Ф"「よっ、元気か!? 俺は元気だ!!」
( ^ν^)Ф"「俺はお前のことをいつでも見ているぜ!! マジ激マブ!! 今度家に行ってやるからな!!」
( ^ν^)「こんなもんか。これを送りつけてやれば、さすがのデレも恐れおののいて……」
( ^ν^)
( ^ν^)(住所分かんないんだった)
- 38 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:41:36 ID:nWGIArRc0
- 十六日目
( ^ν^)ノ「よっ」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、こんにちは」
▼・ェ・▼ ワフッ
(;^ν^)そ「うおおおいたのかよそいつ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「今ビーグルちゃんの散歩中なんです」
(( ▼*・ェ・▼ クーン
(;^ν^)))「寄るな寄るな! なんでこっち来るんだ!」
ζ(゚ー゚*ζ「遊んでくれると思ってるんじゃないですか?」
(;^ν^)))「冗談じゃねぇ! 遊ばないから寄るな!」
(( ▼*・ェ・▼ キューン
ζ(゚ー゚*ζ「逃げるから追いかけられるんですよ」
(;^ν^)))「んなこと言われても……」
(( ▼*・ェ・▼ ワフーン
▼;・ェ・▼そ ガッ
三┏(;^ν^)┛「よっしゃ、今だ!!」ダッ
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ちょっと……行っちゃった……」
ζ(゚ー゚*ζ「……? 何か落として……手紙?」
□ζ(゚ー゚*ζ「『伊藤デレ様』……私宛てだ」
□ζ(゚ー゚*ζ ペラ
□ζ(゚ー゚*ζ
□ζ(゚ー゚*ζ …クスッ
▼・ェ・▼ ワフッ?
- 39 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:42:22 ID:nWGIArRc0
- 十七日目
(;^ν^)(……やっべえ、あの手紙落とした……)
(;^ν^)(冷静に考えるとあの手紙意味わかんねえし……何が激マブだよ)
(;^ν^)(誰も拾ってないといいんだけど……もし、誰かに読まれてたら……)
(;^ν^)。oO(('A`)「何この手紙キモーい」)
(;^ν^)。oO(('A`)「激マブとか言っちゃってる〜激サブ〜」)
ζ(゚ー゚*ζ「こんにちは」
(;^ν^)そ「うおっ!?」
□ヽζ(゚ー゚*ζ「なに驚いてるんですか。昨日この手紙落としました?」
(;^ν^)σ「お、落とした! 俺が落としたやつ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、やっぱり」
(;^ν^)「……読んだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「読みました」
(;*^ν^)「か、返せよ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「なんでですか? 私宛てなんでしょう?」
(;*^ν^)「……そうだけど」
ζ(゚ー゚*ζ「だったら、ありがたくいただきます」
(;^ν^)「ど、どうせ警察にストーカーの証拠として出すんだろう!?」
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、ストーカーでしたっけ、貴方」
(;^ν^)(もはやストーカーだってこと忘れられてる……)
- 40 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:43:08 ID:nWGIArRc0
- 十八日目
(*^ν^)(ついに……ついに突き止めてやったぞ、デレの家!!)
(*^ν^)(これで汚名返上だ! ストーカー入江ニュッの恐怖を知らしめてやる!)
(((*^ν^)(どうすっかなー、どこから入ってやろうか……)ウロウロ
(^ν^*)))(あえての正面突破もアリか……)ウロウロ
('A`)っ「あのー、なんで人の家の前でウロウロしてるんですか?」ガチャッ
( ^ν^)
('A`)
( ^ν^)「は?」
('A`)「は?じゃないですよ……」
- 41 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:44:04 ID:nWGIArRc0
- (;^ν^)「お前、なんでこの家にいるんだよ」
('A`)「そりゃあ、ここ俺の家だからですけど……」
(;^ν^)「いやいや、前に会ったときの家は……」
('A`)「ああ、引っ越ししたんですよ。つい最近」
(;^ν^)「マジで? え、本当にここお前の家?」
('A`)「当たり前じゃないですか」
(;^ν^)「一人暮らし? 女と一緒に住んでるとか……」
('A`)「当てつけですか? 一人暮らしですよ」
( ^ν^)「独り暮らしか」
('A`)「なんか今漢字違いませんでした?」
( ^ν^)「家間違えたわ。邪魔したな」
('A`)「漢字違いませんでした?」
( ^ν^)「じゃ、帰るわ」
('A`)「違いましたよね? ねぇ、ちょっと。ねぇ」
- 42 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:44:43 ID:nWGIArRc0
- 十九日目
( ^ν^)ロ"「ストーカー行為、で検索っと」
( ^ν^)ロ「後をつけるとかはやっぱり定番だな。他には……」
( ^ν^)ロ「……おっ、帰宅と同時に『おかえりなさい』と電話する」
(*^ν^)ロ「いいじゃねぇかこれ! すげぇストーカーっぽい!」
(*^ν^)ロ「よし、早速試すか!」
( ^ν^)ロ
( ^ν^)ロ(住所分かんないから家に着く瞬間なんて分かるわけねえや)
( ^ν^)ロ(そもそも連絡先知らない)
( ^ν^)ロ
- 43 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/21(月) 00:45:48 ID:nWGIArRc0
- 二十日目
( ^ν^)「よう」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、どうも」
( ^ν^)σ「今日はな、お前の連絡先を暴いてやる!」
ζ(゚ー゚*ζ「連絡先? ああ、交換しますか?」
(;^ν^)σ「……えっ?」
ロζ(゚ー゚*ζ「電話番号ですか?」
(;^ν^)「い、いいのか?」
ロζ(゚ー゚*ζ「構わないですよ。ほら、スマホ出してください」
(;^ν^)ロ「お、おう……本当にいいの?」
ロζ(゚ー゚*ζ「何度も訊かないでくださいよ。……はい、交換できました」
( ^ν^)ロ「デレの連絡先……」
(*^ν^)ロ
ヽ(^ν^*)ノ三「イエーイ!!!!」ダッ
ロζ(゚ー゚*ζ(あ、帰った)
- 54 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:33:08 ID:5YanLMAQ0
- 二十一日目
ζ(゚ー゚*ζ )) テクテク
ζ(゚ー゚*ζ プルルルル
プルルルル > ロζ(゚ー゚*ζ「電話……」
ロζ(゚ー゚*ζ「もしもし」
『よう』
ロζ(゚ー゚*ζ「あ、どうも」
『今家に着いたな? おかえりなさい』
ロζ(゚ー゚*ζ「今帰ってる途中ですけど」
『えっ』
ロζ(゚ー゚*ζ「ていうか、私の家を知らないんですから、私が帰るタイミングなんて分からないでしょう?」
『勘でいけるかなって……』
ロζ(゚ー゚*ζ「無理ですよ」
『無理か……』
ロζ(゚ー゚*ζ「そもそも勘で電話かけてくる時点で全く怖くないですし」
『うっ……』
ロζ(゚ー゚*ζ「ていうか、貴方が怖かったことなんて一度もないんですけどね」
『ぐっ……お、覚えてろ!!!』
ブツッ ロζ(゚ー゚*ζ
ロζ(゚ー゚*ζ(捨て台詞吐いて電話切った)
- 55 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:33:51 ID:5YanLMAQ0
- 二十二日目
( ^ν^)っロ パシャッ
ζ(゚ー゚*ζ「こんにち……なんですか急に」
( ^ν^)「いや……ストーカーって写真とか撮るもんかなって……」
ζ(゚ー゚*ζ「はぁ。今撮った写真見せてください」
( ^ν^)っロ「ほい」
【 ζζ(゚(゚ー゚*゚*ζζ 】
ζ(゚ー゚*ζ「ブレッブレじゃないですか」
(;^ν^)っロ「あ、あえてだよ、あえて」
ミロ⊂ζ(゚ー゚*ζ「ちょっとスマホ借りますよ」ヒョイッ
(;^ν^)っ「えっ」
(;^ν^)ζ(゚ー゚*ζ )) ズイッ
(;*^ν^)「お、おい、デレ!?」
(;*^ν^)ζ(゚ー゚*ζ パシャッ
ロ⊂ζ(゚ー゚*ζ「はい、これでどうですか?」
(;^ν^)「デレとツーショット……」
ζ(゚ー゚*ζ(喜んでくれてる?)
(;*^ν^)「か……家宝!!」
ζ(゚ー゚*ζ(すごい喜んでくれた)
- 56 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:34:25 ID:5YanLMAQ0
- 二十三日目
( ^ν^)
( ^ν^)(今日は職場を突き止めてやろう)
( ^ν^)(そう意気込んでデレの後を追い電車に乗ったはいいものの、完全に見失った。どこの駅で降りたんだよ……)
( ^ν^)(仕方ねえ、帰るか)
( ^ν^)
( ^ν^)(金無くて切符買えねえ)
( ^ν^)(ど……どうしよう……)
- 57 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:35:29 ID:5YanLMAQ0
- ( ^ν^)(そもそも、何をするにも金が要る世の中が間違っているんだ。もっとニートに優しい世界になってくれ)
( ^ν^)(本当にどうしよう……歩いて帰る?)
('A`)「あれ、こんにちは。どうしたんですか?」
( ^ν^)
('A`)
( ^ν^)「きゅ……救世主!! メシア様!!」
(;'A`)「なんですか急に」
( ^ν^)「メシア様、お金を貸してください」
(;'A`)「えっなに、丁寧なカツアゲ?」
( ^ν^)「カツアゲじゃないです。本当に困ってるんですメシア様」
(;'A`)「俺、鬱田ドクオっていいます。その呼び方やめてください」
( ^ν^)「……鬱田ドクオ?」
(;'A`)「えっ、はい。何か?」
( ^ν^)「おま……お前かよ……鬱田ドクオってお前かよ……うーわ、お前かよ……」
(;'A`)「なんなのこの人!!」
- 58 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:36:17 ID:5YanLMAQ0
- ( ^ν^)「いやー、助かったわ」
(;'A`)「後でちゃんとお金返してくださいよ」
( ^ν^)「俺さ、昔ジャイアンってあだ名つけられてたんだよ」
(;'A`)「ああー貸さなきゃ良かった絶対返ってこない」
( ^ν^)「いや、返すよ。音痴だからジャイアンって呼ばれてただけ」
(;'A`)「なんで誤解されるタイミングでその話したんですか」
- 59 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:37:11 ID:5YanLMAQ0
- 二十四日目
壁|^ν^)「今日も今日とて尾行尾行」
壁|^ν^)「陰から監視して、後をつける俺。圧倒的にストーカーだわー」
ζ(゚ー゚*ζ「ビーグルちゃんがいると本当に距離とりますよね」
▼・ェ・▼ ワフッ?
壁|^ν^)「だって無理だもん……犬無理……」
ζ(゚ー゚*ζ「なんでダメなんですか?」
壁|^ν^)「噛むじゃん……」
ζ(゚ー゚*ζ「ビーグルちゃんは噛まないですよ」
壁|^ν^)「油断してると噛まれるし……」
▼・ェ・▼ キューン
壁|^ν^)σ「ほら今噛むって言った」
ζ(゚ー゚*ζ「言ってないですよ」
▼・ェ・▼ ワフーン
壁|^ν^)σ「『今なら見逃してやる。とっとと失せろ糸目野郎』って言った」
ζ(゚ー゚*ζ「ビーグルちゃんに変なキャラ付けしないでください」
- 60 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:37:55 ID:5YanLMAQ0
- 二十五日目
( ^ν^)「ストーカー行為のバリエーションを増やしたい」
( ^ν^)「今までやったのは……尾行とか、手紙を送りつけるとか、写真撮るとか……」
( ^ν^)「そうだ。物を送りつけるのはどうだろう。住所分かんねえから手渡しで」
( ^ν^)「何を贈るかだな……。女が喜ぶもの……花束とか?」
( ^ν^)「……ていうかプレゼント買う金ねぇじゃん……。鬱田に借りた金返してねぇし……」
( ^ν^)「……」
( ^ν^)ロ ピッ
( ^ν^)ロ「もしもし、鬱田?」
『なんですか?』
( ^ν^)ロ「また金貸してくんね?」
『ふざけんな』
( ^ν^)ロ(ですよねー)
- 61 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:38:41 ID:5YanLMAQ0
- 二十六日目
( ^ν^)「……よう」
ζ(゚ー゚*ζ「こんにちは。後ろ手に持っているのはなんですか?」
(;^ν^)「なんで一瞬でバレるの……」
ζ(゚ー゚*ζ「後ろ手に持っていたからです。で、何を持ってるんですか?」
(;^ν^)*「……」スッ
っノ
ζ(゚ー゚*ζ「あ、可愛いお花。くれるんですか?」
(;^ν^)*「萎れてるけどいいのか?」
っノ
*ζ(゚ー゚*ζ「萎れちゃうのは仕方ないですよ」
l⊂
(;^ν^)「その、金無くて……道端に咲いてたやつだけど……」
*ζ(゚ー゚*ζ「関係ないですよ。嬉しいです。ありがとうございます」
l⊂
(;*^ν^)「お、おう」
('A`)←通りすがりのドクオくん
('A`)(世界滅べばいいのに)
- 62 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:39:22 ID:5YanLMAQ0
- 二十七日目
( ^ν^)「よっ」
ζ(゚ー゚*ζ「どうも。昨日貰ったお花、花瓶に生けてますよ」
(;*^ν^)「マジで?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい。……あの、前から思ってたんですけど」
( ^ν^)「ん?」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方っていつも私の後ろを歩きますよね」
( ^ν^)「まあ、ストーカーだし……」
ζ(゚ー゚*ζ「隣を歩けばいいじゃないですか」
(;*^ν^)「とっ、とな、隣!?」
ζ(゚ー゚*ζ「後ろを歩くから毎回見失うんじゃないですか? 隣なら見失うことはないと思いますよ」
(;*^ν^)「い、いいのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「どうぞ」
(;*^ν^) ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ「……この距離は隣って言っていいんですかね」
(;*^ν^)「ス、ストーカーは距離を取って歩くのが美学っていうか……」
ζ(゚ー゚*ζ「照れてるだけでしょう」
(;*^ν^)「恥ずかしいから言わないで……」
- 63 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:40:33 ID:5YanLMAQ0
- 二十八日目
( ^ν^)「おっす」
ζ(゚ー゚*ζ「こんにちは。昨日、距離あったとはいえ隣にいたのになんで見失ったんですか」
( ^ν^)「分からん……」
ζ(゚ー゚*ζ「でも今日は昨日より近くなりましたね」
( ^ν^) ζ(゚ー゚*ζ
( ^ν^)「文字どおり進歩したぞ」
ζ(゚ー゚*ζ「もう少し寄れないんですか」
( ^ν^)「まだ無理かな……」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
(;*^ν^)そ ζ(゚ー゚*ζ )) スッ
スッ(;*^ν^))) ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ「……ストーカーの方が逃げるってどういうことですか」
(;*^ν^)「ごもっともです……」
ζ(゚ー゚*ζ「もう逃げないでくださいよ」
Σ(;*^ν^)ζ(゚ー゚*ζミ スッ
ζ(゚ー゚*ζ「これで見失いはしないでしょう?」
(;*^ν^)(近い近いなんかいい匂いする何これヤベェ近い近い近い)
ζ(゚ー゚*ζ「一緒に写真撮った時もこれくらいの距離でしたよね?」
(;*^ν^)(いやあの時は一瞬だったしっていうか近いしいい匂いするし近い近い近い)
"ζ(゚ー゚*ζ「……聞いてます?」
(;*^ν^)(顔を!!覗き込みながらの!!!上目遣い!!!!)
┗(^ν^*;)┓三「生きてて良かった!!!」ダッ
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ちょっと……」
ζ(゚ー゚*ζ「……逃げないでくださいって言ったのに……」
- 64 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:41:17 ID:5YanLMAQ0
- 二十九日目
( ^ν^)「デレの家……デレの家……この辺だと思うんだけどな……」
( ^ν^)「いつも見失う場所からして、おそらくこの辺りのはず……」
((( ^ν^)「うーん……」
(;^ν^)そ ワフッ! >
(;^ν^)(犬の鳴き声……あの家だな。よし、避けて通るか……)
( ^ν^)(……待てよ)
((( ^ν^)(今の鳴き声って……)
▼*・ェ・▼ ワフッ!
(;^ν^)「やっぱり! ビーグルじゃねぇか!」
(;^ν^)「……ということは、ここがデレの家……?」
- 65 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:41:54 ID:5YanLMAQ0
- ( ^ν^)「……や」
ヽ(*^ν^)ノ「やったああああ!!! ついに、デレの家を突き止めてやったぞ!!!!」
(((*^ν^)「今度こそ間違いねえ! なぜならビーグルがいるから!」
(^ν^*)))「どうしよう、どこから入ろうかなー」
(((*^ν^)「やっべー、超テンション上がる!!」
(,,゚Д゚)づ「君、ここで何してるんだ?」ポン
(*^ν^)
( ^ν^)
( ^ν^)(テンション下がるわー……)
- 66 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:42:41 ID:5YanLMAQ0
- (;^ν^)「はー……やっと解放された……。まさか交番に連れて行かれて話聞かれるとは……」
(;^ν^)「あのポリ公め……彼女にフラれろ」
(;^ν^)「せっかくデレの家を突き止めたけど、今日はもう疲れた……。明日行こう……」
( ^ν^)ロ「……そうだ、デレに連絡しとくか」ピッ
『もしもし?』
(*^ν^)ロ「デレ、聞いて驚け。ついにお前の家を突き止めてやったぞ」
『……本当にですか?』
(*^ν^)ロ「今回はマジ。ビーグルがいたから分かったんだ!」
『……その様子だと本当みたいですね。おめでとうございます』
(*^ν^)ロ「ありがとな。いやー、長かったわー」
( ^ν^)ロ(待て、家を突き止めて祝福されるってストーカーとしてどうなんだ)
- 67 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:43:39 ID:5YanLMAQ0
- ( ^ν^)ロ「明日行くからな! 覚悟しとけよ?」
『あ、はい。明日は仕事休みですし、いつでもどうぞ』
( ^ν^)ロ「ストーカーの恐ろしさを思い知らせてやる!」
『はいはい。じゃあ待ってますね、ニュッさん』
( ^ν^)ロ「おう! じゃあ明日な!」
( ^ν^)っロ ピッ
(*^ν^)(やっべ、明日が超楽しみだ!)
(*^ν^)(ていうか今、名前呼ばれたよな!? 初めて呼ばれたよな!?)
(*^ν^)(ヒョオオオオオオオオオオ!!!!)
( ^ν^)「……あれ」
( ^ν^)「俺……デレに名前教えたっけ?」
- 68 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:44:18 ID:5YanLMAQ0
三十日目
.
- 69 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:44:53 ID:5YanLMAQ0
- ( ^ν^)σ ピンポーン
⊂ζ(゚ー゚*ζ「こんにちは。本当に突き止めたんですね」ガチャッ
(*^ν^)「やっと辿り着いたぜ。本当に長かった」
ζ(゚ー゚*ζ「さ、中にどうぞ」
(;*^ν^)「お、おじゃまします」
- 70 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:45:43 ID:5YanLMAQ0
- ζ(゚ー゚*ζ「紅茶でいいですか?」
(;*^ν^)「あ、お、おう」
ζ(゚ー゚*ζ「座って待っててください。淹れてくるので」
(;*^ν^)「あ、ああ」
(;*^ν^)" ソワソワ
"(^ν^*;)ソワソワ
"凵a⊂ζ(゚ー゚*ζ「お待たせしました。どうぞ」コトッ
(;*^ν^)っc凵「サ、サンキュ」
(;*^ν^)ゴッゴッゴッ
っc凵”
ζ(゚ー゚*ζ「わ、飲むの早いですね」
(;*^ν^)っc凵「あ……わ、わりぃ」
ζ(゚ー゚*ζ「気にしないでください。おかわり淹れますから。そうだ、お茶菓子も持ってきます」
(;*^ν^)「すまん……」
ζ(゚ー゚*ζ「いいんですよ。待っててください」
- 71 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:46:18 ID:5YanLMAQ0
- (;*^ν^)(落ち着け俺。ダサすぎるぞ俺)
(;*^ν^)(落ち着いて、部屋の中を眺めるくらいの余裕を……)
( ^ν^)(……あっ、あっちにも部屋があるのか……結構広いな)
( ^ν^)
( ^ν^)(あの部屋って寝室かな)
( ^ν^)
(^ν^*;)(ま、まだ戻って来ないよな?)
(((;*^ν^)(ちょ、ちょっと覗くだけ……)
(;*^ν^)(チラッと見てすぐドア閉めるだけ。一瞬、一瞬だけ)
(;*^ν^)っ| ガチャッ
- 72 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:47:19 ID:5YanLMAQ0
薄暗い部屋。それが最初の印象だった。
遮光カーテンがきっちりと閉められ、昼間の明るさはまるで感じられない。
予想どおり寝室として使っているらしく、シンプルなベッドがある。近くには小さいローテーブルが見えた。
全体的に家具は少なく整然としている。にも関わらず、息苦しさを感じる閉鎖的な空間だ。
一際、異質なのが部屋の奥でぼんやりと光るモニター。動きのない画面を映し続けている。
(;^ν^)「……なんだ、この部屋……。あのモニターはなんなんだ……?」
ゴクリ、と唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。そっと振り向き、デレがキッチンから戻って来ないことを確認した。
おそるおそる、部屋の中へと足を踏み入れる。音を立てないようゆっくりとモニターへ近づいた。
(;^ν^)「一体何が映っ……て……!?」
モニターに映っていたのは、散らかった部屋、風呂、トイレ、玄関。どれも複数の角度から撮られている。
なんの変哲もない、どこにでもありそうなボロアパートの一室だろう。
(;^ν^)「……これ……」
汗が一滴、顎から垂れた。
夏だというのに、体の震えが止まらない。ついさっき紅茶で潤ったはずの喉は既に乾ききっていた。
(;^ν^)「これ……俺の部屋じゃねぇか……」
- 73 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:48:14 ID:5YanLMAQ0
- (;^ν^)「なんで、俺の部屋が……。どういうことだよ……」
静かな部屋に俺の呟きが落ちていく。
モニターは変わらず、気配のない俺の部屋を映し続けている。見たくなくて顔を背けた。
逸らした視線が捉えたのは壁。否、壁に貼られた写真。壁一面に隙間なくビッシリと写真が貼られていた。
写っているのは、どれも同じ人物。痩せた糸目の男。
俺の写真だ。
(;^ν^)「ヒッ……!」
壁を覆い尽くす俺の写真は、どれもがカメラから視線が外れたものだ。当然撮った覚えなどない。全て盗撮だ。
中には、俺の家の中で撮影された写真もあった。
(;^ν^)「なんだよ……なんなんだよ……!」
腰が抜け、床にへたり込む。ふと、床の感触に違和感を覚えた。
見ると、床にまで大量に貼られた俺の写真。まさかと思い、見上げると俺の写真で覆われた天井が目に入った。
見た限りでは、同じ写真は一枚もない。
(;^ν^)(ヤ、ヤバい……とにかく逃げないと……!)
震える足腰を無理やり立たせ、振り向く。瞬間、金縛りにあったかのように体が固まった。
開け放たれたドアには、人影。形のいい唇が、ゆっくりと弧を描く。
ζ( ー *ζ「あーあ、見ちゃったんですね」
.
- 74 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:49:08 ID:5YanLMAQ0
- (;^ν^)「デ……デレ!」
ζ(゚ー゚*ζ「どうですか、この部屋? ニュッさんがたくさんいて、とっても素敵でしょう?」
(;^ν^)「ど、どういうことだよ、これは……」
ζ(゚ー゚*ζ「どういうことも何も、見たまんまですよ」
(;^ν^)「一体いつから……」
ζ(゚ー゚*ζ「ずーっと前からですよ。ニュッさんが私のことを知るよりもずっとずっと前です」
(;^ν^)「それって……お前の方が俺より先に、俺のストーカーだったってことか……?」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですよ。まったく、ニュッさんったら気づくのが遅いんですから」
ζ(゚ー゚*ζ「ね、ニュッさん。私、頑張ったんですよ? 街でニュッさんに一目惚れしてからずっと」
ζ(゚ー゚*ζ「まず名前と家を特定して、侵入してカメラを仕掛けて、ニュッさんの部屋にあったエロ本とかAVとかパソコンの中のエロ画像を見てニュッさんの好みを研究して、ニュッさんに好きになってもらえるように髪型を変えて口調を変えて、服も下着も新調して、顔も体も整形して」
(;^ν^)「……今、整形したって言ったか?」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、言いました。ニュッさんのために整形しましたよ」
(;^ν^)「……まさかとは思うが……お前、整形したヒールなんじゃないのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「……気づいちゃいました? やだなあ、ニュッさんったら変なところで勘がいいんですから」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、ニュッさんだって今の顔の方が好きでしょう? 整形前の私の顔を地味って言ってましたし」
(;^ν^)「……なんで妹がいるなんて嘘ついたんだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「嘘なんてついてないですよ」
(;^ν^)「言っただろ、妹だって。写真を見せてくれたときに」
ζ(゚ー゚*ζ「『私の妹』とは言ってませんよ。ただ『姉であるペニサスの妹』という意味では言いましたけど」
(;^ν^)「でも、三姉妹だって……」
ζ(゚ー゚*ζ「それはニュッさんが勝手に勘違いしただけです。二人姉妹ですよ。
そもそもニュッさんが言った三姉妹に対して、私は肯定してませんよ。まあ、否定もしなかったんですけどね」
(;^ν^)「……屁理屈だ」
ζ(゚ー゚*ζ「なんとでも言ってくださって結構です。ニュッさんと結ばれるためには必要だったんですから」
- 76 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:50:28 ID:5YanLMAQ0
- ζ(゚ー゚*ζ「他にも、いっぱい頑張ったんですよ?
ニュッさんの家の近くを頻繁に通ってわざとニュッさんの視界に入るようにしたり、ニュッさんが夜に歩いてるときに無防備に前を歩いてストーキングしてくれるように仕向けたり」
ζ(゚ー゚*ζ「本当は襲ってほしかったんですよ? でも、ニュッさんってチキンで童貞だからそんな勇気出ないですよね。だから、私のストーカーになるよう仕向けることで妥協したんですよ?」
ζ(゚ー゚*ζ「ストーカーになってくれたと思ったらニュッさんポンコツなんですもん。名前も住所もまともに調べられないなんて……」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、名前は当ててましたね。伊藤ヒールって言ってましたよね」
(;^ν^)「……デレってのは偽名なのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「改名の手続きはしましたから、今の私は間違いなくデレです。昔の名前とは決別する必要があったんです」
ζ(゚ー゚*ζ「全部、全部ニュッさんのためですよ」
(;^ν^)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「あっ、もしかして重い女だって思ってます?」
(;^ν^)(重いどころじゃねぇ……こいつ、ヤバイ……。逃げないと……)
ζ(゚ー゚*ζ「ニュッさん、もしかして逃げようだなんて考えてませんか?」
(;^ν^)「……ッ」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、ニュッさんって分かりやすいですよね。そういうところも好きですけど」
- 77 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:51:12 ID:5YanLMAQ0
- ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、ニュッさん。よーく考えてみてください」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方好みで、貴方のことが大好き。こんな女、この先一生私以外に現れませんよ?」
(;^ν^)「……」
ふと、目の端にローテーブルが映った。
背の低いテーブルの上には花瓶に挿された花。すっかり萎れて下を向いてしまっている。傍らには見覚えのある手紙が置かれていた。
背後からは、俺の部屋を映し続けるモニターのノイズが聞こえる。
ζ(゚ー゚*ζ「ニュッさん」
(;^ν^)「……なんだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「私じゃダメですか?」
.
- 78 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:52:06 ID:5YanLMAQ0
静寂が部屋を、二人のストーカーを包む。時間にすると一分程度だろうが、何時間も経過したように感じた。
デレの目を見据える。瞳に俺の姿が映り込んでいるのが見えた。まるで、デレの目に俺が囚われているかのようだ。
意を決し、震える唇をゆっくりと開く。
(;^ν^)「俺は──」
突如、目の前のデレがぼやけた。
瞼が落ちてくる感覚を覚え、視界が狭まっていく。目の前が黒く染まるのと同時に、プツン、と意識が途切れた。
.
- 79 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:53:08 ID:5YanLMAQ0
まるで、操り人形の糸を切ってしまったみたい。
床へと倒れるニュッさんを見て、私はそんなことを考えていた。
ζ(゚ー゚*ζ「やっと睡眠薬が効いたみたい。ふふ、ニュッさんったら、何にも疑わずに紅茶を飲むんだから」
ζ(゚ー゚*ζ「あーあ、返事聞きそびれちゃった。まあいっか」
眠ってしまったニュッさんを抱え、すぐ近くのベッドに寝かせる。ニュッさんは痩せているとはいえ、成人男性。女が抱えるには少々重かった。
ベッドの端に頬杖をつき、規則正しく呼吸を繰り返すニュッさんを見つめる。
ニュッさんが目を覚ましたら、さっきの返事をもう一度訊いてみようかな。
ベッドの上でニュッさんが身じろぐ。
ζ(゚ー゚*ζ(返事次第では、身じろぎすらさせてあげられなくなるなぁ)
ニュッさんの髪の毛を撫でて、ひとり微笑んだ。
ζ( ー *ζ「ニュッさん、大好きです」
ζ(^ー^*ζ「絶対に、逃がしませんからね?」
.
- 80 名前: ◆UVzfRCLqYA 投稿日:2017/08/24(木) 00:53:57 ID:5YanLMAQ0
今日をもって、私とニュッさんの、三十日間のストーカー戦記は幕を閉じた。
.
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