(;〈i〉ω〈i〉)スニフィちゃんがUFOに攫われた日暮里!!!!
1 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:00:14 ID:0I9EwfBI0
36、72、108……この世に煩悩は数多けれど、これに勝るものなし。

( 〈-〉ω〈-〉)

男、日暮里ジョイナス。
彼は人生の窮地に立たされていた。

自室の椅子に腰かけ、腕を組み、目を閉じているようで実は薄目を開けている。
そう、煩悩の発生源は彼の視線の先にあるもの

リiz*゚ー )リ オオー ツイニ アモンサント カネキクンガ!!

それは、ジョイナスのベッドで漫画を読んでいる一人の少女。
姓は酒蔵、名はスニフィ。

( 〈-〉ω〈-〉)

何を隠そう、彼女はジョイナスの恋人である。

( 〈-〉ω〈-〉)(男、16歳、日暮里ジョイナス、童貞……)

ベッドの上には無防備な、同年代の少女の姿。
半ズボンから延びるは、陶磁器のように白い綺麗な足。
青いキャミソールの隙間隙間にちらつく胸元が、男児の劣情を著しくかきたて……

( 〈-〉ω〈-〉)(あー――)

2 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:03:06 ID:0I9EwfBI0





ニッ(#〈i〉ω〈i〉)(めっちゃエッチしたい日暮里ぃぃぃぃぃいいいいいい!!!!)ポリーン




    .

3 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:03:57 ID:0I9EwfBI0
その劣情たるや、そのセリフだけで1レスを消費するほどであった。

(#〈i〉ω〈i〉)(なんなんだ日暮里、スニフィちゃん! わかってるのか日暮里!?)

リiz*゚ー )リ オ、コレハ。ン、ドウナルンダ…

憤る少年の目の前では、無防備過ぎるほど無防備な少女の姿。

(#〈i〉ω〈i〉)(16歳童貞の頭ん中なんて一分一秒女子の体のこと考えてるといっても過言ではない日暮里よ!)

(#〈i〉ω〈i〉)(もはや野獣! 目の前にいるのは半分ケダモノ!! なのにそんな無防備に――)

リiz*゚0 )リオオー アモンサンガ アモンサンガ!!

(#〈i〉ω〈i〉)(東京喰種なんて読んでる場合かああああああ!!!!)

もう、辛抱たまらん。せめて今すぐちゅーしたい。
そんな劣情に駆られた青少年は、ベッドの上の少女に声をかける。

( 〈i〉ω〈i〉)「あの、スニフィちゃん……」

リiz ゚ー )リ「なんだいジョイナスくん、悪いけど後にしてくれるかな、今いいところで」

(#〈i〉ω〈i〉)(できるかあああああああ!!!)

席を立ち、ジョイナスはスニフィの両肩に手をかけた。

リiz ゚ー )リ「? ジョイナスくん? どうしたんだい、そんな真剣な顔で……」

( 〈i〉ω〈i〉)「スニフィちゃん、僕は! 僕はもう!!」

とにかくちゅーさせて欲しい、というようなことを少年はなるべくロマンチックに伝えようとしたが、それは叶わなかった。

4 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:06:30 ID:0I9EwfBI0

ぱりん

( 〈i〉ω〈i〉)「っぽり!?」

突然、窓が割れて

リiz;゚ー )リ「ちょっと待ってよ、今ボク手が離せないんだって」

入ってきた巨大マジックハンドがスニフィを捉え、そのまま窓の外へ連れ去ってしまったから。

(;〈i〉ω〈i〉)「っぽりいいいいいいいい!!?」

ちなみにここは2階だ。
あまりの出来事に叫ぶしかないジョイナス。

「ボクまだ東京喰種読んでるのにいいいいいいい!!!!」

空の方から空しい叫び声を残して、スニフィは消えた。

( 〈i〉ω〈i〉)

( 〈i〉ω〈i〉)

数秒、虚空に向かって手を伸ばした姿勢のまま固まっていたジョイナスだったが、

(;〈i〉ω〈i〉)ハッ「スニフィちゃん!?」

やがて気を取り戻して、窓に駆け寄ると、彼女が消えていった上空を見上げる。
視界に映るのは良く晴れた青空。
そこに一点の異物。

(;〈i〉ω〈i〉)(なんじゃこりゃああああああ!!!)

異物の正体は、空飛ぶ円盤。
下の方に先ほどのマジックハンドがついていて、そこに小さくスニフィの姿が見える。

(;〈i〉ω〈i〉)「す、スニフィちゃんが……」

5 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:09:14 ID:0I9EwfBI0







(;〈i〉ω〈i〉)「スニフィちゃんがUFOに攫われた日暮里いいいいいいい!!!!」






    .

6 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:12:00 ID:0I9EwfBI0
突然目の前で起きたわけの分からない出来事に、ジョイナスはひどく混乱していた。

(;〈i〉ω〈i〉)(どうしようどうしよう、と、とにかく……)

割れた窓ガラスを片付けないと……違う。
今すぐ電話してスニフィにちゅーしたいと伝える……違う。

(;〈i〉ω〈i〉)「と、とにかく追いかける日暮里!」

それだ、と思うと同時にジョイナスは部屋を飛び出した。

 ***

(;〈i〉ω〈i〉)(急がないと、急がないと……)

夏の強い日差しのなか、汗だくになった少年は自転車のペダルをこぐ。
早く助けないと、UFOに攫われた人間がどんなひどい目にあうか分かったものじゃない。
UFOを追いながら走る少年の脳裏に、さまざまな、嫌な想像が浮かんでは消えていく。
身体にチップを埋め込まれたり、血とか内臓を抜かれてしまったり、はたまた、エイリアンの子どもを妊娠……。

(リiz ;ー )リ「ジョイナスくん……助けて……」)

想像の中の彼女が泣く。

( 〈 〉ω〈 〉)(僕の彼女に……)

それは

(#〈i〉ω〈i〉)「なにさらすんじゃああああああああああ!!!!」

許せなかった。

(#〈i〉ω〈i〉)「まてやゴルアアアアアアアアアア!!!!!」

悠々と空を行く円盤に少年は叫んだ。
怒鳴り散らした。

7 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:16:28 ID:0I9EwfBI0
待てと言われて待つやつはいない。
そんなことは分かっているが叫ばずにはいられない。
大事な人なのだ、大切な人なのだ。
泣かすやつがいるなら、それがたとえ地球外生命体であれ容赦はしない。

と、そのとき、ぼかん、と上空から音。

(;〈i〉ω〈i〉)「っぽり!?」

見れば、空飛ぶ円盤はその下部から火を放ち

(;〈i〉ω〈i〉)「え、ちょ、ま……」

その機体は、徐々に町はずれにある山の方へと向かって高度を落としていく。

(;〈i〉ω〈i〉)(ほんとに待ってくれた日暮里? ……そんなわけないか)

ともあれ、これで自分はあのUFOに乗り込むことができそうだと少年は考えて、
そこでようやく、彼は自分がUFOを追いかけてどうするつもりなのか考えていなかったことに気づいた。

8 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:21:45 ID:0I9EwfBI0
 ***

ところ変わって、ここはUFOの内部。
そこにいるのは、4人。

(;^ω^)モグモグ「格納庫が爆発したおー!!」

肉まんをほおばりながらモニターを眺める小太りの男――通称食いしん坊ブーン。

('A`)「機体制御不能、ふひひ、こりゃやばいんじゃねーの? クーにゃん」

逆側のモニターを見ながら現状を報告するやせ細った男――通称女子高生大好きドクオ。

川#゚ -゚)「クーにゃん言うな! くそう、せっかく変身前の”ドラゴンプリンセス”を捉えたというのにっ!!」

真ん中のモニターから離れた場所でふんぞり返る、水着のようなきわどい服装にマントを羽織った美女。
――通称中身が残念クーにゃん。

川#゚ -゚)「なんだろう、誰かが私の悪口いってる気がする!!」

そして、最後の一人、正確には彼女は人ではないが――

(゚、゚トソン「そもそも捉えるくらいなら、その場で変身前のドラゴンプリンセスを始末してしまえばよかったのでは」

川;゚ -゚);'A`)「「「ひとでなしかてめー!!!」」」(^ω^;)

「なんて恐ろしいことを」みたいな顔をしている3人に対して、操縦席の女性は無表情でさらりと答えた

(゚、゚トソン「あいにく人では御座いませんので」

最後の一人、女性型アンドロイド――通称冷血無比のトソン。

9 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:26:26 ID:0I9EwfBI0

川;゚ -゚)「ダメだろ、その変身前の女の子を、こ、こここ殺しちゃうとかダメだろ!」

(;'A`)「さすがトソン、俺たちには想像もつかない悪どいことを考えるぜ!」

(;^ω^)モグモグ「ぜったい暖かい血が通ってねーお、この女!」

(゚、゚トソン「ですから通ってません。私の動力源は酸素ではなく、電気ですので」

彼女たちは聖ワルワルイーダ帝国人。
銀河の果てのワルイコト=ホトンドナーイ星から地球侵略にやってきた自称極悪宇宙人である。

(゚、゚トソン「さて、皆さん着陸しますよ」

('A`)「着陸っつーか、不時着だな」

( ^ω^)モグモグ「チキューのニクマンおいしいお! 最高だお!」

川 ゚ -゚)「総員、衝撃に備えろ! 着陸し次第ドラゴンプリンセスを迎撃する!」

10 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:34:20 ID:0I9EwfBI0

 ***

(;〈i〉ω〈i〉)ゼェゼェ「やっとついた日暮里……」

さほど高くもない山の中腹に、それはあった。
それは、巨大な円盤

(;〈i〉ω〈i〉)ゴクリ「近くで見ると、でかい日暮里……」

ところどころ煙を上げているが、四本の脚で大地に固定されたその姿は、改めて見ると圧倒されるものがある。
今から自分はここに乗り込むのかと思うと、正直少し足が震える思いがした、が、

(リiz ;ー )リ「ジョイナスくん……助けて……」)

たくさんの宇宙人に囲まれ、震えている彼女の姿の姿が脳裏を掠め、動かないわけにはいかないという気持ちになった。

(#〈i〉ω〈i〉)(やって闘れ殺れじゃあああああああ!!!!)

自転車から降り、無駄に大股で地面を踏みしめてジョイナスはUFOへと向かう。
腰が引けた状態で、無意味に腕をぶんぶん振り回しながら歩くその姿は端から見て滑稽であったが、
少年としてはかなり真面目にやっているのであった。

(#〈i〉ω〈i〉)(で、これって……)

(;〈i〉ω〈i〉)(どこに入口があるんだ日暮里?)

そもそも、UFOの入口がどこにあるかなんてわかるのだろうか?
SF映画とかだと、こう、上に吸い上げられたりとか、あるいは壁に同化するように隠れていたりする気がする。
「あ、やべ、詰んだわ」と少年は思った。

(リiz ;ー )リ「ジョイナスくん……助けて……」)

(#〈i〉ω〈i〉)「関係あるかあああああ!!!」

再び脳裏を掠めた彼女の泣き顔に、いざとなったら壁を破壊してでも侵入すると決意を固めた少年は
UFOの根本まで歩を進め、そして、絶句した。

(;〈i〉ω〈i〉)「っぽり?」

少年の目の前には、巨大な門。
学校の文化祭のような見た目の、手作り感あふれるそれの上部には
大きく「おいでやす」の5文字が並んでいた。

( 〈i〉ω〈i〉)

(;〈i〉ω〈i〉)(実は友好的な宇宙人なのか日暮里……?)

11 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:35:46 ID:0I9EwfBI0
 ***

――UFO内部

( ^ω^)モグモグ「エントランスから侵入者だお!」

川;゚ -゚)「なんだと!?」

('A`)「ふひひ、来賓が来たとき用にわかりやすい装飾にしといたのが裏目にでたな」

報告を受け、クーはしばし口を抑えて黙考していたが、やがて不適に笑った。

川 ゚ -゚)「……ふっ、しかたないな」

( ^ω^)('A`)「!!」

彼女の声に、男たちがぴくりと反応する。

川 ゚ー゚)「出るぞ、ブーン、ドクオ。侵入者ともどもドラゴンプリンセスに目にもの見せてやる」

( ^ω^)「おっお」

('A`)「ふひっ」

笑う女性と、立ち上がる男たち。
そう、これから、彼らの戦いが始まる――

(゚、゚トソン ポチットナ「侵入者用トラップ起動しておきますね」

川;゚ -゚);'A`)「「「おいー」」」(^ω^;)

(゚、゚トソン「わざわざ艦長が出向くまでのこともないかと思いまして」

川;゚ -゚)「いや、あのさー。空気、空気ってあるだろ」

(;'A`)「トソンたん、今さ、ほら、まさに戦い始まっちゃいますみたいな空気でてただろ?」

(;^ω^)「僕なんて意図的にかもしだしてたお、駄々洩れだったお?」

(゚、゚トソン「大気の成分にさほど変動は見られません。それを感じ取れと言われても」

川;゚ -゚);'A`)「「「そういうんじゃなくてさー」」」(^ω^;)

12 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:38:39 ID:0I9EwfBI0
 ***

UFOの内部、少年は走る。

(;〈i〉ω〈i〉)「なんかいっぱいロボットでてきた日暮里ぃぃぃいいいいい!!!」

手と腿を高く上げて走る少年を追いかけるのは、3m級の二足歩行ロボット。

「オマチニナッテー!!」

後ろから野太い合成音声と共に追いかけてくるロボットたち。
がっちりとした体形とは裏腹に、なぜかその体にはエプロンドレスを纏っている。
そしてなぜか乙女走りである。
乙女走りなのである。

(;〈i〉ω〈i〉)「待てるかあああああああああ!!!」

汗水を垂らしながら必死に走る少年。
捕まったら何をされるか分かったものじゃない。
下手をすると貞操の危機である。

「イタクシナイカラー!!」

(;〈i〉ω〈i〉)「絶ェッ対!! 嘘だ日暮里いいいいい!!!!」

今が危急存亡の時とばかりに全力をもって走るジョイナス。
しかし、先ほどまでノンストップで自転車をこいでいた彼の体力は、すでに限界が近かった。
そして、あろうことか、

(;〈i〉ω〈i〉)「っぽり!?」

真横の壁から先端にパンチグローブをつけたマジックハンドが飛び出してきた。

(;〈i〉ω (::)ボゴォ「にっぽりゃグハァ!!!!」

13 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:41:07 ID:0I9EwfBI0
たまらず吹き飛ばされるジョイナス。

( 〈i〉ω〈×〉)「いてて……っぽり!?」

「ツ・カ・マ・エ・タ」

(;〈i〉ω〈i〉)「っぽりいいいいいいい!!!?」

気が付けば眼前に迫る、オカマロボットたち。
もうだめだ、きっと自分はこれからこのロボットたちにあんなことやこんなことされてしまうんだ。
少年が覚悟した、そのとき――

「ジョイナスくん!? なんでこんなところに!!?」

(;〈i〉ω〈i〉)「っぽり……?」

Σz#゚ー )リ「ドラゴンプリンセス! クリティカルゥ・ブロオオオオオオオオオ!!!」

「アラヤダアアアアアアアアアアア!!!!」

目に映ったのは青い閃光。自分をとり囲んでいたロボットたちが粉々になって吹き飛んでいくのが見えた。
立ち上る煙。その中に拳を固めた一人の少女の姿があった。

(;〈i〉ω〈i〉)「ど、”ドラゴンプリンセス”ちゃん!!?」

Σz ゚ー )リ「ふぅ、危なかったね、大丈夫だったかい?」

燃えるような真っ青の髪。
少しウロコに覆われた端正な横顔。
それはテレビのニュースなどでよく見る姿。
強きをくじき弱きを守る、『正義のヒロイン』。

”ドラゴンプリンセス”がそこにいた。

14 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:43:23 ID:0I9EwfBI0

(;〈i〉ω〈i〉)「いやぁ、助かりました日暮里。ありがとうございます、あ、握手いいですか日暮里?」

テレビに出る人に会うのは初めてだったので、若干固めに挨拶するジョイナス。
ドラゴンプリンセスは一瞬「ん?」みたいな顔をしたが、すぐに「あ、そうだった」みたいな顔になり、

Σz;゚ー )リ「え、ああ、うん。そうだね、握手? もちろんさ」

(;〈i〉ω〈i〉)「ありがとうございます日暮里、あとで彼女に自慢できます日暮里」

Σz;゚ー )リ「そ、そっかぁ、うん。自慢ね、自慢するといいよ、うん。ははは」

どこかぎこちないドラゴンプリンセス。
テレビで見るときはもっとはきはき対応していたが、実際にあうと印象が違うものだなぁとジョイナスは思った。

( 〈i〉ω〈i〉)「あれ、そういえばさっき僕の名前知ってた日暮里……?」

Σz;゚ー )リ「ぎくぅ!!!」

( 〈i〉ω〈i〉)「あーーーーーー!!!!」

Σz;゚ー )リ ドキー「な、なにかな?」

(;〈i〉ω〈i〉)「そうだ、スニフィちゃん――僕の彼女がここに捕まってるんだ日暮里! 見ませんでした日暮里?」

心配そうに聞く少年に、ドラゴンプリンセスは「ああ、そのことか」となぜか胸を撫でおろした。

Σz ゚ー )リ「彼女ならさっきボクが助けたよ、大丈夫。もうこの船の外だ。キミの名前も彼女に聞いたのさ」

(;〈i〉ω〈i〉)ホッ「な、なんだそうだったのか日暮里。よかった……」

Σz ゚ー )リ「……彼女を助けに、わざわざここまで?」

15 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:45:15 ID:0I9EwfBI0

(;〈i〉ω〈i〉)「そうなんだ日暮里。宇宙人にひどいことされてないか、心配で心配で」

言って、少年はふいに力が抜けたように地面にへたり込んだ。

(;〈i〉ω〈i〉)「あ、安心したら、はは、急に力が……」ヘナヘナ

Σz* ー )リ ボソッ「そっか、がんばってくれたんだね……ありがとう」

( 〈i〉ω〈i〉)「……っぽり?」

Σz;゚ー )リ「な、なんでもない。肩を貸そう」

( 〈i〉ω〈i〉)「ありがとうございます日暮里、早くここから出てスニフィちゃんのところに行かないと、
           スニフィちゃん図太い性格だけど……さすがに今回はまいってるとおもうから」

Σz ゚ー )リ「そうだね。ただ、今は侵入者用のトラップが作動している。一人で行動するのは危険だ」

ドラゴンプリンセスの肩を借り、ジョイナスは立ち上がる。

Σz ゚ー )リ「ボクは、”ここのやつら”にお仕置きしないといけない。それまで同行してくれるかい?」

( 〈i〉ω〈i〉)「っぽり、いいんですか日暮里? お邪魔じゃ……」

Σz ゚ー )リ「なーに、なんてことないさ。道中彼女の話でも聞かせてくれたまえよ」

( 〈i〉ω〈i〉)「わかった日暮里。ドラゴンプリンセスさんがいいなら。それにしても……」

Σz ゚ー )リ「ん?」

( 〈i〉ω〈i〉)「よく名前だけで、僕がジョイナスだってわかった日暮里ね?」

Σz;゚ー )リ「ひ、ヒーローだからね! それぐらいお手のものさ」

(;〈i〉ω〈i〉)「ヒーローってやっぱりすごい日暮里……」

16 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:46:32 ID:0I9EwfBI0
 ***

(;^ω^)モグモグ「ドラゴンプリンセス、エリアCまで進攻してるお!」

('A`)「ふひっ、オカマロボ軍団が軒並みスクラップだぜ、やべーなクーにゃん!」

川 ゚ -゚)ソワソワ「だからクーにゃんっていうな! ふん
       ……まあ? これなら? 今度こそ私たちの出番だよな? な、トソン? な?」

(゚、゚トソン「ネカマロボ『ナリスマーシ』配備完了。すでに出撃準備ととのってます」

川*゚ -゚)*'A`)「「「やったぜ!」」」(^ω^*)

てきぱきと作業を進めるアンドロイドの後ろで、手を取り合って喜ぶ残念な大人が3人。

川*゚ -゚)「誰かが私たちの悪口言ってる気がするが、別にいいか。ついに私たちの出番だ」

(*'A`)「ふひひ、こつこつ作ってきたネカマロボの実力見せてやるぜ!」

(*^ω^)モグモグ「おっお、操縦したあとのニクマンはさいこーだお!」

(゚、゚トソン「ま、メイン操縦は私なんですけどね」

川*゚ -゚)「そうそう、メイン操縦はトソン……」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「ん?」

17 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:47:45 ID:0I9EwfBI0

川;゚ -゚)「ちょ、ちょっとまてトソン。メイン操縦は私のはずでは……?」

(゚、゚トソン「だって艦長、操縦下手じゃないですか。私が操縦するほうが合理的です」

川;゚ -゚)「ちょっと待て! え、じゃあ私の出番は……?」

(゚、゚トソン「後ろの方で指示でも出しててください。艦長らしく」

ガー川;゚ -゚)ーン

配下のアンドロイドに言われて、うなだれる女性。
流石は中身が残念クーにゃんである。

川;  - )「やっぱり誰かが私の悪口言ってる気がする……」

川;  - )

川;  - )「……ん?」

そのとき、項垂れるクーの目に映ったもの。

【Σz*^ー )リ(〈i〉ω〈i〉 )】

それは、モニターに映る監視カメラの映像。

川   - )

川 ゚ -゚)

川 ゚ー゚)「……『悪いこと』考えたぞ」

18 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:49:33 ID:0I9EwfBI0
 ***

迫りくる、巨大なマジックハンド。

Σz ゚ー )リ「ほい、ほいっと」

正義の味方は、それを右、左のパンチのコンビネーションで跳ね返す。

Σz ゚0 )リボオオオオ

しまいに口から吐く青い炎で、それを燃やし尽くす。
その間、わずか3,4秒。
実に手際がいい。さすが正義のヒロインだ。

(*〈i〉ω〈i〉)「すごい日暮里、あざやかだ日暮里」

Σz ゚ー )リ「長いことヒーローやってると、これくらいはね。お手の物さ」

灰になったマジックハンドにふっ、と息を吹きかけるところまでなかなか様になっている。
ヒーローは違うなぁと、改めてジョイナスは感じた。

Σz ゚ー )リ「で、さっきの話なんだけどさ……」

( 〈i〉ω〈i〉)「っぽり?」

Σz*゚ー )リ ドキドキ「あの、す、スニフィちゃんって、キミから見てどういうコなのかな」

どこかおそるおそる、といった様子で聞いてくるドラゴンプリンセス。
改めて聞かれると困るが、と、ジョイナスは口を開く。

( 〈i〉ω〈i〉)「そう日暮里ね……いつも漫画読んでる日暮里。僕の家で、彼氏ほったらかしで」

Σz;゚ー )リ「う、ご、ごめん」

( 〈i〉ω〈i〉)?「なんでドラゴンプリンセスさんが謝る日暮里?」

Σz;-ー )リ「え、あ、いや。ほ、ほかには?」

19 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:51:54 ID:0I9EwfBI0

( 〈i〉ω〈i〉)「女の子なのに自分のこと『ボク』って言う変わった子で……あ、これドラゴンプリンセスさんもいっしょ日暮里ね」

Σz;゚ー )リ ギクゥ「そ、そうだね、奇遇だなー、ははは……」

(*〈-〉ω〈-〉)「運動も勉強もそつなくこなすし、おまけに見た目もかわいいんだ日暮里。あ、僕彼氏だからたぶん贔屓目入ってるとは思うけど」

Σz*゚ー )リゞテレテレ「え、いやそんなぁ、あははは……」

(*〈i〉ω〈i〉)「でも、変なとこでヌけてるから、ほっとけないっていうか」

Σz;゚ー )リ「え、そうかn……そうなんだ、へぇー」

(*〈i〉ω〈i〉)「ほんとたまにひどいんだ日暮里。
           自分で頼んだ用事忘れるし、ローソンで絶対ファミチキ頼むし、この前なんかゴキブリとカブトムシ間違えて飼ってたし」

Σz;゚ー )リ「そ、そんなこともあったかn……あったんだー、へぇー」

(;〈-〉ω〈-〉)「あとデート中にしょっちゅう居なくなる日暮里。たまに僕、彼氏だってこと忘れられてるんじゃないかって不安になる日暮里」

Σz;゚ー )リ「そ、それは大丈夫……なんじゃないかな、女の子なんてそんなもんだよ、ははは」

(;〈i〉ω〈i〉)「え、そうなのか日暮里?」

Σz;゚ー )リ「お、女の子にしかわからないアレやらソレやらいろいろあるんだよ、うん」

(;〈i〉ω〈i〉)「それでそのあと一日帰ってこなかったりするんだけど……」

Σz;゚ー )リ「せ、世界でも救ってるんじゃないかなー……なんちゃってー」

(*〈i〉ω〈i〉)「まさかドラゴンプリンセスさんじゃあるまいし、それはない日暮里よ~」

Σz;゚ー )リ「そ、そうだよね~、あははは~……」

20 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:53:51 ID:0I9EwfBI0

Σz;゚ー )リ ……。

( 〈i〉ω〈i〉) ……。

しばし、なぜだか気まずい沈黙が流れた。

Σz;゚ー )リ「……あ、あのさ、嫌になることって、あるかな」

( 〈i〉ω〈i〉)「っぽり?」

ぼそりと、呟くように言われた言葉に、ジョイナスは意味がよくわからず、聞き返すと

Σz;゚ー )リ「ジョイナスくんはさ、そんな彼女、嫌じゃないのかな? もっと普通の女の子がいいって、思うことってない?」

おそるおそる、という感じで尋ねられて、うーんと考えた少年は、答えた。

( 〈i〉ω〈i〉)「無い日暮里」

Σz;゚ー )リ「ほんと? ほんとにほんと?」

( 〈i〉ω〈i〉)「ほんとだ日暮里。なんていうか……スニフィちゃんはたしかにところどころぶっ飛んでるけど、
           そういうところも、全部含めてスニフィちゃんなんだ日暮里」

Σz;゚ー )リ ……。

( 〈i〉ω〈i〉)「自分で頼んだ用事を忘れちゃうところも、ローソンでファミチキ頼むとろこも、部屋でゴキブリ飼ってたとこも、
           そんなヌけたところ全部含めて、僕はスニフィちゃんが好きなんだ日暮里」

Σz* ー )リ「ジョイナスくん……」

(*〈i〉ω〈i〉)「ま、正直たまに嫌になることもなくはない日暮里。でも、僕はそれでもやっぱりスニフィちゃんが好きなんだ日暮里」

Σz*^ー )リ「そっか……キミは、いい彼氏だね」

( 〈i〉ω〈i〉)「うーん、それはどうなのか日暮里? 僕、正直あんまり取り柄とかないし。
           スニフィちゃんと釣り合ってるのかなってたまに不安になる日暮里」

Σz*゚ー )リ「そんなことはないさ。キミにはいいところがたくさんあるよ、自分で気づいてないだけさ」

( 〈i〉ω〈i〉)「そうか日暮里?」

Σz*^ー )リ「そうだよ。帰ったら彼女に聞いてみるといい。きっとたくさん答えてくれるさ」

21 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:55:50 ID:0I9EwfBI0

(*〈i〉ω〈i〉)「なんか面と向かって聞くのは恥ずかしい日暮里~」

Σz*゚、 )リ「ま、う、うん。そうだね。ボクもちょっと照れ臭かった」

( 〈i〉ω〈i〉)「っぽり? 『かった』?」

Σz;゚ー )リ「い、いやなんでもない!」

そんな話をしながら歩いていると、ふいに開けた空間にでた。

( 〈i〉ω〈i〉)「なんだ日暮里、ここ……?」

Σz ゚、 )リ「気をつけてジョイナスくん……雰囲気が違う」

「はーっはっはっは!!!」

警戒する二人に、上の方からいかにも「悪者です」という感じの笑い声が降ってきた。

Σz ゚、 )リ !

気付いたドラゴンプリンセスが声のする方を見やると、そこには高い場所で腕を組む、見慣れた美女(中身は残念)の姿

川 ゚ー゚)「よく来たなドラゴンプリンセス! 囚われの身でありながらここまで来たことほめてやろう」

Σz ゚、 )リ「でたなワルワルイーダ帝国! よくもボクの漫画タイムを邪魔してくれたね! 今日はいつもよりきつめにとっちめるからそのつもりで!」

川 ゚ー゚)「残念だが、とっちめられるのは貴様のほうだ。カモン、ネカマロボ『ナリスマーシ』!!」

女性――クーが指をぱちんとならし、転瞬、上から落ちてくる巨大な影。

「ジツハオトコデシターーーーーーーー!!!!」

どすん、と大きな音を立てて落ちてきたのは先ほどのオカマロボの倍ほどのサイズがある巨大ロボだった。

22 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 00:58:37 ID:0I9EwfBI0

Σz ゚、 )リ「毎回毎回よくこんな巨大ロボを……予算とかいろいろ大丈夫なのかい?」

川;゚ -゚)「ええい、うるさいうるさい! 私も上からいろいろ言われてるのだ! それ以上やめろぉ!!」

Σz -、 )リ「ま、今回もボクが壊しちゃうから、もっと上から言われることになるよ。
       ジョイナスくん、危ないから少し下がって――」

そこで初めてドラゴンプリンセスは気づいた。

Σz;゚ー )リ「あ、あれ? ジョイナスくん……?」

先ほどまで後ろにいたはずのジョイナス、その姿がどこにもなくなっていることに。

「ここだ日暮里ぃぃいいいいいい!!」

Σz;゚、 )リ !?

ふいに聞こえる叫び声、そこには

( 〈T〉ω〈T〉)「ごめんなさい日暮里! 捕まっちゃった日暮里ー!!」

天井から、巨大なマジックハンドで宙づりにされたジョイナスの姿があった。

Σz;゚0 )リ「ジョイナスくん!! いつの間に……くそっ、ジョイナスくんをどうするつもりだ!!」

ジョイナスを捉えたマジックハンドは、クーの眼前までジョイナスの身体を運ぶ。

川 ゚ー゚)「どうするつもりか……だって? いいだろう、くくく、教えてやろう」

( 〈T〉ω〈T〉)「っぽりぃ……」

宙づりにされて身動きが取れないジョイナスの顔を、女性はつ、と撫でる。

川 ゚ー゚)「偵察ドローンで見ていたぞ、同じ部屋で漫画を読んだり、お前この男とずいぶん親しそうだったな……さては彼氏だろ」

Σz;゚、 )リ !!

23 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 01:00:18 ID:0I9EwfBI0

川 ゚ー゚)「そして部屋の中での位置は、お前はベッドの上、こいつは下!
      年頃のカップルであれば、二人っきりで男の部屋ならもっといちゃいちゃするはず! つまりお前ら……」

そこでクーは少し間をあけ、そして、言った。

ドドー川 ゚ー゚)9mて「ち ゅ ー も ま だ だ ろ ! ! !」ーン

Σz#゚0 )リ「よ、よけいなお世話だ! それとジョイナスくんを拘束することと、なんの関係が――」

川 ゚ー゚)「くっくっく、まだわからんか? 少年よ、お前、女の子とちゅーしたことあるのか?」

( 〈T〉ω〈T〉)「えっ、あの……ないです日暮里」

川 ゚ー゚)「つーまーりー、お前、ファーストキスはまだだということだな?」

( 〈T〉ω〈T〉)「はいです日暮里……」

川 ゚ー゚)「聞いた通りだドラゴンプリンセス! ところで私はとても『悪いこと』を思いついた」

Σz#゚0 )リ「だからなんだ! いい加減にしないと、お仕置き2割増しのところを5割に――」

怒りのあまり、文字通り火を噴きそうなドラゴンプリンセスに、クーは言った。

川 ゚ー゚)「お前の彼氏のファーストキス。お前がもらうはずだったものを”私が奪う”」

Σz;゚0 )リ「なっ……!!?」

( 〈T〉ω〈T〉)「っぽり……!?」

24 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 01:01:49 ID:0I9EwfBI0

(*'A`)「ふひひ!! さすが俺たちのクーにゃんだぜ!!」

(*^ω^)「おっおっお! 僕たちが考えつかないような悪いことを思いつく! そこに痺れる憧れるお!!」

(゚、゚トソン「手っ取り早くその少年を始末してしまったほうが精神的ダメージを与えられるかと思いますが」

(;'A`)「「なんて恐ろしいことを!!」」(^ω^;)

巨大ロボの操縦席でいつものメンツが騒いでいるが、ドラゴンプリンセスの心中はそれどころではなかった。

Σz# 、 )リ「ふっざ……けるな……!!」

大地に沈み込むように膝を曲げ、次の瞬間

Σz#゚0 )リ「ジョイナスくんを返せええええええええ!!!!」

高く、飛び上がった。

「オトコデシタ、ザマアアアアアア!!!」

Σz#゚、 )リ「くっ……!!」

天井付近の足場にいるクーに向かって飛び上がったドラゴンプリンセスだが、途中で巨大ロボに足を掴まれ、
地面に叩き落される。

('A`)「ふひひ、そうは問屋がおろさねえぜ」

( ^ω^)「ナリスマーシの機動力をなめるんじゃねーお」

(゚、゚トソン「さらに本日のメインパイロットは私です、残念ですが今日あなたには消えてもらいます」

25 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/19(土) 01:02:46 ID:0I9EwfBI0

川 ゚ー゚)「くっくっくっ、では、私は別室でこの少年とちゅーするとしよう」

( 〈T〉ω〈T〉)「っぽりぃ!! やめて日暮里!! ああ、そこは僕の腹斜筋だ日暮里~!!!」

ジョイナスを拘束しているマジックハンドの手の部分だけを切り離し、クーは少年を担ぎあげる。
マジックハンドとともに、背後の暗闇へと消えるクーとジョイナス。

Σz#゚0 )リ「ジョイナスくん!! ジョイナスくうううううん!!!」

――今、ここに戦いの火ぶたが切って落とされた。

32 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:39:10 ID:3sgeqSL20
 ***

眼前に迫るのは巨大な金属製の拳。

「オッサンダッテジェーケーニナリタインダヨオオオオオオオ!!!!」

Σz#゚、 )リ「くっ……!!」

少女――ドラゴンプリンセスこと酒蔵スニフィはその巨大な拳を、自らの拳で受け止める。
二つの拳がぶつかり合い、発生するは衝撃破。
周りの地面がびりびりと揺れる。

Σz#゚、 )リ「うっとおしいデカブツだね、これでもくらえ――」

少女の口が大きく開く。

Σz#゚0 )リボオオオオオ「プリンセス・ドラゴンブレス!!!」

放たれるは、青き灼熱の吐息。
拳を振り切っているためがら空きになっている眼前へ、それを容赦なく吹きかける。

(;^ω^)「あっちぃお……」

(;'A`)「耐火炎放射コーティングしてても結構熱さはあるな……だが、ふひひ、それだけだぜ」

(゚、゚トソン「空調のしっかり完備された本機には夏の暑さのようなものです」

「アアアアビショウジョニナリテエエエエエエ!!!!」

Σz#゚、 )リ「ちっ……」

33 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:40:29 ID:3sgeqSL20
逆側の拳がスニフィに迫る。
スニフィはそれを間合いを一気に詰めることで回避。
敵の懐に飛び込み、ロボットの股間にアッパーカットを繰り出す。

Σz#゚0 )リ「フェイタルゥ・ライジングドラグネス!!!!!」

青い炎を纏った強力な上昇攻撃。

「オンナノコニナッチャウ!!!」

ロボットはそれを膝を前に出すことで防御。
しかし衝撃を完全には殺しきれず、後ろにしりもちをつく。

Σz#゚、 )リ「今だ!!! ドラゴンプリンセス! クリティカルゥ・ブロオオオオオオオオオ!!!」

青い炎を体に纏い、ロボットの操縦席が見えている首元に向かって突撃する。

( ^ω^)「タイミング的に今かお?」

('A`)「ふひひ、今だぜ。ポチっとな」

(゚、゚トソン「胸部つめものミサイル発射」

「ニセチチニキマッテンダロバアアアアアアアアカ!!!!!」

Σz#゚、 )リて「なにっ……!!?」

ロボットの胸部にある二つの突起が、スニフィに向かって飛んでくる。
それは先端に火薬を装備したロケット、いわゆるミサイルだ。

Σz  Д )リ「ぐわあああああああああああ!!!!」

34 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:42:00 ID:3sgeqSL20
直撃。
凶悪な爆炎と衝撃に吹き飛ばされるスニフィ。

Σz# 、 )リ「くぅ……!!」

地面に叩きつけられ、転がりながら体制を立て直す。

Σz# 、 )リ「あ……!」

しかしその瞬間には、敵の拳が目の前に迫っていた。

('A`)「ふひひ、いいねいいね。今日の俺たちいい感じじゃん」

( ^ω^)「おっお、トソンの操縦がうまいってのもあるけど、彼氏攫われて冷静さを欠いてるおー」

(゚、゚トソン「ともあれ、これは好機です。連打」

一発目の拳で地面にめり込んだスニフィに対して繰り出される、容赦ない拳の雨。
大質量の拳が地面を抉り、削る。

('A`)「ふひひ、さらにおまけにポチっとな」

Σz# 、 )リ !!

連打がやんだ瞬間に、ミサイルによる追撃。
爆炎がスニフィを包み込んだ。
それと同時に、飛び上がる巨大ロボ。

Σz# Д )リ「ぐああああああああああ!!!!」

(゚、゚トソン「さて、これでとどめです」

宙空に浮いたロボは、その両手を組み、それを地上のスニフィに振り下ろした。

(゚、゚トソン「コード:『ギャクギレハンマー』」

背中のスラスターから炎を吹き出し、急激に高度を下げるロボット。

「ダマサレルホウガワルインダロバアアアアアアアカ!!!!!」

その巨体の大質量に、上空からの位置エネルギーを上乗せした強力な一撃がスニフィを襲った。

35 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:43:34 ID:3sgeqSL20
 ***

一方その頃

(;〈i〉ω〈i〉)「あの……」

マジックハンドで天井からつるされたジョイナスは困惑していた。

川;゚ -゚)スーハースーハー「……ん?」

(;〈i〉ω〈i〉)「さっきから何してるんですか日暮里?」

自分にキスをするといきこんでいたはずの女性が

川;゚ -゚)スーハー「き、決まってるだろ、深呼吸だ! み、見てろ、今からお前に、ちゅ、ちゅちゅちゅちゅーしてやるからな!!」

(;〈i〉ω〈i〉)「あの……もしかしてなんですけど、キス、初めてなんですか日暮里?」

川;゚ -゚)「あ、当たり前だろ! 嫁入り前の娘だぞ私は!!」

もう、娘って歳でもないような……かと言っておばさんと呼ぶには若すぎるが。
はじめはいつキスされるのかとびくびくしていたジョイナスだが、
先ほどから彼女がずっとこんな感じなので、今は一周回って平常心を取り戻している。

(;〈i〉ω〈i〉)「あの、さっきの話なんですけど」

川;゚ -゚)「わかってる! ちゅーだろ! してやるから待っておけ、心の準備がだな……」

(;〈i〉ω〈i〉)「いや、そっちじゃなくて……ドラゴンプリンセスさんのことだ日暮里」

川;゚ -゚)「ドラゴンプリンセスの……? なんだ?」

(;〈i〉ω〈i〉)「あの……」

ジョイナスはそこで一度口をつぐんだが、やがて意を決して口を開いた。

(;〈i〉ω〈i〉)「ドラゴンプリンセスさんは……スニフィちゃんなのか日暮里?」

36 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:45:06 ID:3sgeqSL20

川 ゚ -゚)「スニフィ……ああ、たしかそんな名前だったな。なんだ、知らなかったのか?」

(;〈-〉ω〈-〉)「やっぱりそうなのか日暮里……全然知らなかった日暮里……」

ショックだった。
ドラゴンプリンセスの正体がスニフィだったことにショックを受けているのではない。
それを自分が知らなかったことにショックを受けているのだ。

(;〈-〉ω〈-〉)(知ったつもりになってた日暮里、スニフィちゃんのこと……)

ちょっとヌけてるだけの、漫画が好きなだけの、可愛いだけの、
”普通の女の子”だと思っていた。
それがまさか、テレビにも出ている”正義の味方”だったとは……。

(;〈-〉ω〈-〉)「なんで言ってくれなかったんだろう、スニフィちゃん……」

自分が知っているスニフィは、果たして本当にスニフィだったのだろうか?
そんな根本的なところまで不安になってしまう。

川 ゚ -゚)「なんだ……なんだかよくわからんが落ち込んでるのか? 今から絶世の美女とちゅーできるんだぞ」

(;〈-〉ω〈-〉)「それも含めて落ち込んでるんです日暮里……」

「ふむ」と女性は少し考えるそぶりを見せた。

川 ゚ -゚)?「それで、なんで落ち込むんだ? あの娘がドラゴンプリンセスだったことで変わるものでも?」

(;〈i〉ω〈i〉)「そ、それは……ないけど」

なにかこう、複雑な心中が……と説明しようとしたがやめた。
目の前の女性が、

川 ゚ -゚)??

あまりに「よくわからん」という顔をしていたから。

37 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:46:24 ID:3sgeqSL20

( 〈i〉ω〈i〉) ……。

川 ゚ -゚)?

(*〈i〉ω〈i〉)「……ぷっ」

川 ゚ -゚)?「お、なんだ、落ち込んでたかと思ったら急に笑い出して、情緒不安定か?」

(*〈i〉ω〈i〉)「……いや、なんでもないです日暮里、ぷぷっ」

しょうもないことで悩んでいたな、とジョイナスは思った。
それを敵のはずの、この女性に気づかされたことも含めて、なんだかおかしかった。

その通りだ、彼女がドラゴンプリンセスだったからといってなんだというのだろう。
自分はさっき彼女に言ったではないか、”全部含めて彼女が好き”だと。
日暮里ジョイナスの、酒蔵スニフィが好きな部分がちょっと増えた。
考えてみれば、ただそれだけのことなのだ。
  _, ,_
川 ゚ -゚)「なんかよくわからんが、もしかしてバカにしてるのか?」

(*〈i〉ω〈i〉)「し、してないです日暮里。ぷーくすくす」
  _, ,_
川 ゚ -゚)「やっぱりなんかバカにされてる気がする……」

「まあ、いい」と女性は改めてジョイナスに向き直った。

川 ゚ー゚)「元気になったのならちょうどいい。辛気臭い顔をしたやつにちゅーするのも気がひけるしな」

ぎょ、とジョイナスの表情が固まった。

38 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:48:03 ID:3sgeqSL20

(;〈i〉ω〈i〉)「も、もうか日暮里? もうちょっと深呼吸してからの方が……」

川 ゚ー゚)「いや、貴様の笑い声を聞いていたらある程度緊張が和らいだ、やるなら今だと思う」

言いながら向かってくる女性。

(;〈i〉ω〈i〉)(まずい! まずい日暮里ー!!!)

川;  - )「さて、じゃあ……するぞ」

迫ってくる女性の顔。
女性の体が近づくにつれ、なんとも言えないいい匂いが鼻をくすぐる。
それにしても露出が多い服を着てるなぁ、水着みたいで、ああ、胸元にびっくりするくらいたわわな……

(;〈i〉ω〈i〉)(自重する日暮里いいいいいい僕の煩悩!!!!!)

このままではキスと同時に自分の立ち上がってはいけない部分がスタンダップしてしまう。
それだけはまずい、ガチな浮気だ。彼女への裏切りだ。
それだけは許してはいけない。

(;〈i〉ω〈i〉)(でも目がおっぱいにいっちゃう日暮里ぃぃぃぃいいいいいいいい!!!!!)

この世に煩悩は数多けれど、これに勝るものなし。
男性は下半身が本体だというが、それはひょっとすると本当なのかもしれない。
少年が自らの劣情に敗北しかけて、そして

川;゚ -゚)「い、今どこを見ていた!!!!」

ばっ、と女性が離れる。胸を両手で隠して。

39 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:49:18 ID:3sgeqSL20

(;〈i〉ω〈i〉)「ど、どこも見てません日暮里!!!!」

川;゚ -゚)「う、うううう嘘つけ! 見てたろお前! 私のむ、むむむ胸を!!!」

( 〈i〉ω〈i〉)

( 〈i〉ω〈i〉)(あれ……ひょっとして……)

この女性”こういうこと”に耐性がない……?
そういえば、さっきもキスすることにあれだけの準備運動を挟んでたし……
しめた、と少年は思った。

( 〈i〉ω〈i〉)「そうです日暮里……ばっちり見てました日暮里」

川;゚ -゚)「や、やっぱりか!! この変態!!!」

言われたジョイナスは、「ぐぇっふぇっふぇ」と自分でも聞いたことのないような気持ち悪い笑みを浮かべた。

( 〈i〉ω〈i〉)「そうなんです日暮里。僕実は近所でも有名な変態なんだ日暮里……」

川;゚ -゚)「な、なんだと!?」

( 〈i〉ω〈i〉)「おねーさんが悪いんだ日暮里……おねーさんは知らないかもしれないけど、
           日本男子の8割はド変態なんだ日暮里……その変態の目の前に、そんな露出が高い服で現れるなんて
           魚にエサ撒いてるようなもんだ日暮里よ、ぐぇーっへっへっへ」

川;゚ -゚)「き、気持ち悪い声で笑うな! これは我が母国の士官制服でっ……」

( 〈i〉ω〈i〉)「そんなこと言っちゃって誘ってるんだ日暮里~?
           もっと見てほしいんだ日暮里~? 舐めまわすように見ちゃう日暮里よ、ほらほら~」

川;゚ -゚)「や、やめろ!! 見るな!!! 見るなあああああああ!!!」

生理的嫌悪感をその顔に浮かべる女性。
あと一押しだ、とジョイナスは思った。

40 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:50:20 ID:3sgeqSL20

( 〈i〉ω〈i〉)「日本男児はケダモノなんだ日暮里。今夜はおねーさんをネタにあんなことやそんなこと……ぐぇーっへっへっへ」

川;゚ -゚)

川;゚ -゚)

川 ; -;)ブワッ

突如目に涙を浮かべる女性。
そのまま彼女は部屋の外へと走り去っていく。

川 ; -;)「うわーーーーんバカーーーーーーーー!!!! すけべーーーーー!!!!」

( 〈i〉ω〈i〉)(勝った……勝った日暮里……)

( 〈i〉ω〈i〉)(僕は……大切なものを守ったんだ日暮里……)

勝利した、そのはずだ。
しかし、少年の心を満たしているのは、空しさ、その一色だけであった……。

( 〈T〉ω〈T〉)(なんだろう、なんで勝ったのに涙がでる日暮里……?)

大切な人とのファーストキスを守った少年は、人間として、とても大切なものを失ったような、そんな気がしていた。

41 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:51:40 ID:3sgeqSL20
 ***

ところ変わって、ここは大広間。
たたずむは6メートル級の巨大ロボット。

('A`)「ふひひ! 今回は勝ったな!」

( ^ω^)「ドラゴンプリンセスもこうしてみるとあっけなかったお!」

眼前には巨大な破壊の跡――クレーター。
その中心には――

Σz# 、 )リ

――ボロ布のようになった、ドラゴンプリンセスの姿。

(゚、゚トソン「待ってください、まだわずかに生体反応があります」

トソンが言って、そしてロボットが腕を振り上げる。

「オトコデシタ!!」

(;'A`)「お、おい。殺すつもりか!?」

(;^ω^)「ちょ、トソン。そこまでしなくても……」

(゚、゚トソン「この娘の存在は我が国にとっての脅威になります。いまここで排除すべきです」

高く振り上げた大質量の腕を、ロボットが振り下ろす。

「ザマアアアアアアアアア!!!!」

その巨大な腕が、少女の身体を叩きつぶそうとして――転瞬

42 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:53:37 ID:3sgeqSL20

どかん

(゚、゚トソン !!

衝撃と共に吹き飛ばされる腕。
と、立て続けに衝撃。

どかん

(;'A`)「ふひっ、なんだなんだ」

どかん

(;^ω^)「わかんないお! なんか”すごく早いもの”がナリスマーシの周りを飛んで攻撃してるお!!」

どかん

(゚、゚トソン「! あれは……!!」

”それ”は、ゆっくりと彼らの眼前に降りてきた。

Σz  、 )リ「キミたち相手に”この姿”になるとはね、ボクも焼きが回ったかな」

”それ”には、コウモリのような翼と、ワニのような尻尾がある。
全体が青い光に包まれていて、そしてそいつの顔は半分以上ウロコに包まれている。

そう、そいつはまるで――『龍』のような姿をしていた。

Σz ^ー )リ グルルルル「覚悟はいいかな、キミたち。お仕置きの時間だ」

(;'A`)「ひぃいいいいいい!!!」

(;^ω^)「なんだおあれ! あんな姿見たことないお!!!」

43 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:54:39 ID:3sgeqSL20
人間たちが戸惑う中、アンドロイドだけは冷静で

(゚、゚トソン「胸部つめものミサイル発射」

発射されるは、2つのミサイル。

Σz ゚、 )リ「またそれかい、やれやれなんとかの一つ覚えだね」

Σz  、 )リ「たしかに威力の高いミサイルはやっかいだけど」

ぎゅおん、と空気を裂く音。

Σz ゚ー )リ「当たらなければ、どうということはないね」

(;'A`)「なっ……!!?」

(;^ω^)「よけたのかお!? ミサイルを!?」

Σz ゚ー )リ「見ての通りさ……さて、お礼をしないとね」

スニフィは、禍々しい爪の生えたその手を振り上げる。

Σz ゚ー )リ「ドラゴンプリンセス! フェイタルゥ・クロウ!!!!」

龍と化した少女の手から、音速を超える爪撃が放たれ

「ビショオオオオオジョニ……?」

巨大ロボットは

「ナリタ……カッタ……!!」

見事に首を落とされた。

44 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:55:51 ID:3sgeqSL20
がしゃん、と音を立ててネカマロボットの首が落ちる。

Σz ^ー )リ「やあ、キミたち。今回はずいぶんやってくれたね」

丸裸になったコクピットに舞い降りるはドラゴンプリンセス。

(;'A`)「いやー、今回はちょっと僕たちもやりすぎたかなーなんて思うっていうか……」

(;^ω^)「僕は反対したんだお! なのにドクオが無理やり……!!」

(;'A`)「あ、てめーずりぃぞ!!! ノリノリだったじゃねーか!!!!」

わいわい騒ぐ男たち。
それを冷たく笑って見下ろすドラゴンプリンセス。

Σz ゚、 )リ「む」

ふいに物凄い勢いで巨大な何かがスニフィの上に振ってきた。
スニフィはそれを片手で受け止める。

(゚、゚トソン「ちっ……」

振ってきたのは、巨大ロボットの腕。
目をやれば、そこには操縦桿を握る女性型アンドロイドの姿。

Σz ゚、 )リ「あぶないねぇ。下手するとお仲間に当たってたよ、これ」

(゚、゚トソン「国家の脅威を排除するためであればいかしかたありません」

(;'A`)「「トソンちゃーん!!?」」(^ω^;)

45 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:57:03 ID:3sgeqSL20

Σz ゚、 )リ「そういう考え方嫌いだなぁボク。お説教したいところだけど、今は彼氏を待たせてるから」

Σz ゚0 )リ パカッ「また今度、ね」

大きく口を開けるドラゴンプリンセス。

Σz#゚0 )リ ボオオオオオ「ドラゴンプリンセス! ヘルファイア・インフェルノオオオオオ!!!!」

放たれるは、青い炎。
それは一瞬のうちに巨大ロボットの全身を包み込み、そして、爆発した。

爆風に吹き飛ばされるバカ二人と、アンドロイド一体。

(;'A`)「やっぱりこうなるのねー!!!」

(;^ω^)「うすうすそんな気はしてたおー!!!!」

(゚、゚トソン「くっ……次は必ず……!!!」

(;'A`)「それじゃあ皆さん!」

(;'A`)「「さよーならー!!!」」(^ω^;)

天井を突き破り、三人はどこかに飛んで行った。

Σz ゚、 )リ「ずいぶんと時間がかかっちゃった……ジョイナスくん、今助けるからね!!」

46 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 21:58:27 ID:3sgeqSL20
 ***

白い廊下を、スニフィは物凄い速さで疾走する。
身体は宙に浮き、背中の羽を用いて――飛んでいる。

廊下の突き当りにあった部屋に、少女は文字通り飛び込んだ。

Σz;゚、 )リ「ジョイナスくん!! 大丈夫かい!?」

(;〈i〉ω〈i〉)「スニフィちゃん!? わ、なんかすごい姿になってる日暮里!!」

部屋の中心で宙づりにされている恋人。
そのもとにスニフィは駆け寄る。

Σz;゚、 )リ「……よかった、怪我はないみたいだね。待ってて、今降ろすから」

スニフィはその手の鋭利な爪で、ジョイナスを拘束しているマジックハンドを切り裂いた。
重力に引かれ、少年は床に落下し、腹を打ち付けた。

(;〈 〉ω〈 〉)「ぐぇっ」

Σz;゚0 )リ「だ、大丈夫かい? ごめん、下で受け止めればよかったね……」

::(;〈 〉ω〈 〉):「ふ、腹斜筋が……あ、いや、大丈夫だ日暮里。ありがとうスニフィちゃん」

Σz;゚、 )リ「……うん、それでその……ジョイナスくん……」

(;〈 〉ω〈 〉)「っぽり?」

よろよろ、と起き上がりジョイナスは目の前のスニフィを見やる。
なにか、とても言いにくそうな、もじもじとしている。

47 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 22:01:28 ID:3sgeqSL20

Σz;゚、 )リ「えと……その……」

(;〈i〉ω〈i〉)?

少女は聞くのをためらっていた。
それを聞くのはあまりに怖すぎた。

Σz;゚、 )リ「ちゅ……」

( 〈i〉ω〈i〉)「ちゅ?」

だってここに彼が一人でいるということは、すでに”コト”は終わっているということで、
だから、彼氏の初めての”それ”が自分ではないということを、自分は確認しなければならないわけで、

Σz;>、 )リ「ちゅーの件なんだけどっ!!!」

意を決して訊ねた少女に、

(*〈i〉ω〈i〉)bて「あ、大丈夫だ日暮里。ばっちり守った日暮里よ!」

少年はあっけらかんと答えた。

Σz;゚、 )リ「へ……?」

(*〈i〉ω〈i〉)「僕がスニフィちゃんを泣かせるようなことするわけない日暮里。
          あの女の人はやっつけて、ファーストキスはばっちり守った日暮里よ!」

そう話す彼の笑顔を見ていると、

Σz;゚、 )リ

Σz*゚ー )リ

Σz*;ー )リ

なぜか、とても安心して。
気が付けば、彼女は彼にむかって飛びついていた。

48 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 22:02:39 ID:3sgeqSL20
抱きしめる。
彼を、抱きしめる。

Σz*;ー )リ ギリギリギリ「ジョイナスくううううううん!!!」

(;〈i〉ω〈i〉)「ギエーーー、スニフィちゃん、苦し、苦しい日暮里ぃぃぃ!!」

彼から伝わる、彼の体温。心音。
温かなぬくもりを肌で感じると、ウロコで覆われたこの身体も……ウロコ?

Σz*;ー )リ「あ、ごめん……ボク、変身解くの忘れてたよ」

(;〈i〉ω〈i〉)「もう、そういうところほんとに、スニフィちゃんだ日暮里ね……」

「ごめんごめん」と言いながら、スニフィは一旦彼から離れて、そして光に包まれる。

ポΣz*;ー )リ ワッ

シュ リiz*;ー )リ ン

リiz*;ー )リ「じゃ、改めて」

(*〈i〉ω〈i〉)「はいだ日暮里!」

リiz*;ー )リ ギュウウウ「ジョイナスくううううううん!!! よかった、ほんとによかったよおおおおお!!!!」

(*〈-〉ω〈-〉)ヨシヨシ「スニフィちゃん、無事でよかった日暮里」

――かくして少年と少女の、短くて長い戦いは幕を閉じた。

49 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 22:04:28 ID:3sgeqSL20
 ***

翌日、ここはジョイナスの部屋。

リiz*゚ー )リ「……と、言うわけでボクは地球龍と融合して、星を守るドラゴンプリンセスになったのさ」

(;〈i〉ω〈i〉)「っぽり、僕の知らないところでそんなことが……」

ベッドに並んで座る、二人。
一通り事情を聞き終わったジョイナスは、彼女がずいぶん大層なことに巻き込まれていたと知って驚いていた。

(;〈i〉ω〈i〉)「大変だった日暮里ね……」

リiz*^ー )リ「あはは、それほどでもないよ。基本、襲ってくるのって昨日の3バカみたいなのばっかりだし」

(;〈i〉ω〈i〉)「あの人たちは……うん。まあ、それはそれで大変なような……」

リiz*゚ー )リ「まあね、正直、痛い目みることもあるけどさ、大丈夫だよ」

そこで少女はちょっと間をおいて、少年の方を見て、そして微笑みかけた。

リiz*^ー )リ「……戦いが終わって、ボクが帰る場所にキミがいてくれれば、ね」

(*〈i〉ω〈i〉)ジーン「スニフィちゃん……」

自分が彼女を想うように、彼女にも自分は想われていたのだと少年は実感した。
昨日、彼女がドラゴンプリンセスだと知ったときは、
もしかすると自分は邪魔なのかもしれない、とちょっと思ってしまっていた。
でも、それは違った。たとえ自分が彼女の正体を知らなくても、
戻ってくる場所に自分がいるだけで、それが彼女の助けになるのだ。

それがわかっただけで、とても、救われた気持ちになった。

50 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 22:05:51 ID:3sgeqSL20

リiz*゚ー )リ「それで、ジョイナスくん」

( 〈i〉ω〈i〉)「っぽり?」

リiz*゚、 )リ モジモジ「あの……昨日の、ちゅーの件なんだけどさ、ほんとにあいつとは、その、してないんだよね?」

(*〈i〉ω〈i〉)「もちろんだ日暮里。大丈夫だ日暮里よ」

他に人として大切なものは失ったけど……という部分は省略した。
男子の戦いに犠牲はつきもの、仕方がないのだ。

リiz*゚、 )リ「じゃあさ……今、する?」

(*〈i〉ω〈i〉)「そう日暮里ね! 今……へ?」

驚いて、ジョイナスは彼女を見やる。

リiz*゚、 )リ「……嫌?」

普段とは違う、何かを恐れるような伏し目がちな目。
うるんだ瞳。赤みをおびた頬。そして、ぷるんとしたくちびる。

(;〈i〉ω〈i〉)「嫌じゃないです日暮里!!」

なぜか敬語になって、気を付けの姿勢で少年は答える。

リiz*-、 )リ「じゃ、させてあげる……ほら」

(;〈i〉ω〈i〉)「は、はいです日暮里!」

(;〈i〉ω〈i〉)「し……」

(;〈-〉ω〈-〉)「失礼します!!!」

目を閉じて、彼女に顔を近づけて、いい匂いが鼻をくすぐって、彼女の体温が、かすかに顔にかかって、
そして――

51 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 22:07:40 ID:3sgeqSL20

ぱりいん。

窓が割れて

(;〈i〉ω〈i〉)「っぽり!!?」

身体が浮いて

リiz;゚、 )リ「じょ、ジョイナスくん!!?」

身体が、窓の外に

「はーっはっはっは!! 少年! 昨日はよくもやってくれたな!!!」

高笑いが聞こえて、上を見上げれば

川#゚ー゚)「よくも! よくも私にあんな破廉恥なことを!!! 許さん!!!」

('A`)「ふひひ! 青少年だもんなぁ、しかたないよなぁ」

( ^ω^)モグモグ「はれんちってなんだお? うまいのかお?」

昨日のロボほどの大きさの飛行ロボに乗った、3バカの姿。
見れば自分の身体は、ロボットの腕でがっちり掴まれている。

リiz#゚、 )リ「じょ、ジョイナスくん!? 破廉恥ってどういうこと!!!?」

(;〈i〉ω〈i〉)「誤解をまねく言い方はやめてください日暮里!!
           スニフィちゃん、違う日暮里! 僕はなにもしてない日暮里いいいいいい!!!!」

52 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 22:08:33 ID:3sgeqSL20

川#゚ー゚)「今日は貴様を攫って、私が味わった以上の辱めを受けさせてやるのだ!!!」

(;〈T〉ω〈T〉)「スニフィちゃん! 僕はなにもしてない日暮里!! 信じて日暮里!!!」

叫びながら空に登っていく少年と

ポ リiz#゚、 )リ ワッ

シュ Σz#゚、 )リ ン

Σz#゚ー )リ「言い訳は、帰ってからききます!!」

変身して、翼をはやしてそれを追いかける、少女。

(;〈T〉ω〈T〉)「だから誤解だ日暮里いいいいいいいいいい!!!!」

こうして日暮里ジョイナスは、またキスから遠ざかってしまったのだった。

53 名前: ◆7sDC7O1MLw 投稿日:2017/08/20(日) 22:09:02 ID:3sgeqSL20





  (;〈i〉ω〈i〉)スニフィちゃんがUFOに攫われた日暮里!!!!

             おしまい




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