('∀`)楽しい夢のようです
1 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:27:18 ID:4Th2fkcA0
('A`)「皆さん、さようなら、っと」カキカキ


('A`)「......」


('A`)「......うん、ま、こんなもんかな」


('A`)「えっと、あとは......」


クスクス......


('A`)「これを机の上においておいて」


ガタガタ......


('A`)「っとと、急がねーと警備の人がきちまうかも」


「......」

2 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:27:50 ID:4Th2fkcA0
('A`)「......それじゃ、覚悟を決めますかな」


川∀川「......あははははははははは!!!」


('A`)「......」チラッ


川∀川「......」


('A`)「......」プイッ


川д川そ「!」


('A`)「......」


川д川「......あの」


('A`)「......なに?」


川д川「......私、幽霊なんですけど」


('A`)「あ、そうなんだ」

3 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:28:16 ID:4Th2fkcA0
川д川「......それだけ?このパターンは初めてね」


('A`)「何だ?リクエストがあるなら受付するぜ?」


川д川「怖くないの?」


('A`)「ん?んー、どっちかっていうと怖いな。世界で3番目くらいに」


川д川「その割には怖がらないのね。困ったわ、前のやつらは怖がってたのに」


('A`)「上位が強すぎてね。もう感覚が麻痺しちまった」


川д川「......それは?」


('A`)「2位は死ぬこと。昔、死んでどうなるかなんて考えた日にゃ震えてた」


川д川「え?でも、あなた今......」


('A`)「んで、単独トップは人間」


川д川「......え?」

4 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:28:51 ID:4Th2fkcA0
('∀`)「あは、驚いた。幽霊も驚くんだな」


川д川「......私も元人間ですし」


('∀`)「へー、それはそれは」


川д川「興味なさそうですね」


('∀`)「今から死ぬのに知ってどうすんだよ」


川∀川「......私みたいに幽霊になるかもしれないじゃないですか」


(ノ∀`)「っと、それもそうだな。とりあえず握手でもすりゃいいのかな?」


川д川「幽霊にはまず初対面は驚くものよ」


('∀`)「そりゃ失礼した。初めて幽霊に会ったもんでね」


川д川「......変な人間ね、あなた。今更だけど」


('A`)「そうかい?」

5 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:30:05 ID:4Th2fkcA0
川д川「本当に死ぬの?」


('A`)「ん?死ぬよ?」


川д川「軽いわね」


('∀`)「さっきも言ったけど感覚が麻痺しちまったからな」


川д川「そんなに怖いの?人間」


('A`)「怖いよ」


川д川「あなたも人間じゃない」


('∀`)「だから死ぬんじゃないか」


川д川「......ふぅん」


('∀`)「興味なさそうだな」


川д川「私はもう死んでるからね」


('A`)「そうかい」


川д川「えぇ」

6 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:30:27 ID:4Th2fkcA0
('A`)「それで?あんたはなんで死んだんだ?」


川д川「事故よ。地震で天井が崩れて下敷きに。ちょうどここでね」


('A`)「あぁ。そういや昔この学校、地震で崩れたって話があったな」 


川д川「そう。それで死んだわ」


('A`)「ふぅん。じゃあここであんたは死んだのか」


川д川「えぇ......私だけね」


('A`)「ほぅ?」


川д川「私だけ逃げそびれたのよ。運悪く、私頭上の天井が崩れてね。避けられなかったわ」


('A`)「......」

7 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:30:58 ID:4Th2fkcA0
川д川「それでそのまま即死。呆気なかったわ」


('A`)「誰も助けてくれなかったのか?」


川д川「即死した人を助けるほどお人好しな人間はいないわ」


('∀`)「確かに。目の前の生きてる人間だって助けないからな」


川д川「......あなた、虐められてるの?」


('∀`)「ピンポーン、良く分かったね」


川д川「あなたのボロボロで落書きされた机と今までの行動を見てれば大体分かったわ」


('A`)「やるね。さてはお前の前世はホームズの親戚だな」


川д川「残念、ハズレ。あなたの前世は毛利小五郎の親戚ね......それで?」


('A`)「ん?」

8 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:31:25 ID:4Th2fkcA0
川д川「何で虐められてるのよ」


('∀`)「はっ、あいつらが玩具を欲しがるのに理由なんかねーよ」


川д川「......」


('A`)「そこにいたから、殴りたいから、蹴りたいから、壊したいから」


('∀`)「こんなところじゃねーの?良くあることだろ?」


川д川「確かによくあるわね。何回も聞いたことがあるもの。もう聞き飽きて吐き気がするわ」


('∀`)「ははっ、だろ?俺もよく吐いてるぜ?」


川д川「なるほどね、それであんたは人間が怖いと」


('A`)「いや、それよりも怖いのがさ」


川д川「?」

9 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:32:12 ID:4Th2fkcA0
('∀`)「これが俺じゃなくて他のやつならいいと思っちまうのがこえーんだよ」


川д川「......」


('∀`)「とくに虐めてくる奴ら。あいつらが苦しむ姿を見たいって思っちまうんだよ」


('∀`)「あいつらをそこにいたから殴りたい、蹴りたい、壊したいってさ」


('∀`)「あはは、俺も同類でやんの」


川д川「......」


('A`)「周りも皆そうだ」


('A`)「自分じゃないからいい」


('A`)「自分でなければいい」


('∀`)「学校で習った通りだ。みーんな平等、皆同じ人間でーす、ってね」


川д川「あら、じゃあ私もまだ人間なのかも」


('A`)「ん?」


川д川「あのとき死ぬのが、私じゃなければ良いのにって今でも思ってるから」


('∀`)「ははは、かもな。となると今度あったときは怖がらないといけないな」

10 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:32:34 ID:4Th2fkcA0
川д川「あら、次に貴方に会うときの楽しみが一つ増えたわ。次が楽しみね」


('A`)「とりあえずその時俺が人間かどうかすら分からんね」


川д川「......断言するわ。次会うときもあなたは人間よ」


('∀`)「あはっ、そいつは怖い。三位にランクインだ」


川д川「あら低い。幽霊と同率なのね」


('A`)「残念、幽霊は無念のランク外落ちだ。来世頑張りましょうってところかね」


川д川「ふふっ......来世、ね」


('A`)「ん?」


川д川「もし、来世があるなら恐ろしいわね」


川д川「姿が変わっても貴方のまま」


川∀川「死んでも死んでもずーと、貴方のまま、人間のまま。なーんにも変わらない」


('A`)「......」

11 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:33:11 ID:4Th2fkcA0
川д川「それで?これからどうするの?人間さん?」


('A`)「とりあえず人間を辞めるよ」


川д川「出来るかしら?出来たとしてもそれはもう、貴方じゃないわよ?」


('A`)「......」


川∀川「だって貴方は人間なんだもの」


('A`)「とんだブラック企業に勤めちまったな、俺」


川д川「給料日は一体何時なのかしらね」


('A`)「さあね、とりあえず今までもらった記憶はないな」


川д川「来世にツケられてるのかしら」


('A`)「それは大変だ。すぐにとりに行かなくちゃな」


川∀川「あら、気が早いわね。早期退職は退職金良くないわよ?」


('∀`)「そこら辺は来世の俺に任せるってことで」

12 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:33:39 ID:4Th2fkcA0
川д川「そ。それじゃあまたね。次に会えるときを楽しみにしてるわ」


('A`)「おう、じゃな」


川д川「確実に死ぬために飛び降りるなら頭から行った方がいいわよ」


('∀`)「はいはい。こんなときまで注意とかお前は俺のカーちゃんか何かかよ」


川д川「少なくとも母親はこんなこと言わないでしょ」


('∀`)「はは、確かに。ま、あんがとな。行ってくる。あんたと会えて良かったよ。機会があればまた会いに来るからな」


川д川「えぇ、ぜひともお願いするわ」


川д川「......」


グシャッ


川ー川「......いい音」


川ー川「それにいつも通りいい色ね......綺麗だわ」


川ー川「......」


川д川「人類皆同じ人間、ね」


川ー川「確かにその通りよ」


川д川「......」


川д川「次はどうなるか、楽しみね」

13 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:34:02 ID:4Th2fkcA0


























.

14 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:34:36 ID:4Th2fkcA0
('A`)「皆さん、さようなら、っと」カキカキ


('A`)「......」


('A`)「......うん、ま、こんなもんかな」


('A`)「えっと、あとは......」


クスクス......


('A`)「?今......」


ガタガタ......


(;'A`)「っ!?」


「......」

15 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:35:20 ID:4Th2fkcA0
('A`)「......気のせい、かな?」


川∀川「......あははははははははは!!!」


(;'A`)そ「どわっ!?」


川д川「あら、良かった。本当に今回は驚いてくれたわ」


(;'A`)「......幽霊?」


川д川「ええ、そうね。貴方は幽霊に対する礼儀がなってて良かったわ」


(;'A`)「はは、お褒めの言葉どうも。今後の参考にするよ」


川д川「ふふ、流石学生ね。勉強熱心だこと」


('A`)「幽霊のこと学べるのは今しかないからな」

16 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:35:45 ID:4Th2fkcA0
川д川「それはどうかしらね。えっと、それで?貴方はどうしてここに?」


('A`)「見ての通り死にに来た」


川д川「あら、虐められたの?」


('A`)「残念、逆だよ。虐めてきた」


川д川「へぇ、そうなの。それで何で貴方が死ぬのよ」


('∀`)「へへっ、おかしいだろ?」


川д川「そうね、前のやつもひどかったけど」


('∀`)「そうなんだよ、おかしいんだよ俺。普通に人を虐められちゃったんだよ」

17 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:36:06 ID:4Th2fkcA0
('∀`)「しかもそれがどうしようもなく気持ちよくってさ......」


('A`)「......そしてどうしようもなくこえーんだよ」


('A`)「こんなにやっちゃいけない、もうこんなことしちゃいけないって声が聞こえるのに無視できちゃうんだよ」


('A`)「もし、俺とあいつが逆だったらと考えると......すげぇ怖くてな」


川д川「ふふふっ、そうね。そんな世界もあり得たわね」


('A`)「だろ?......それでさ、いろいろ考えてたんだよ。いじめを辞める方法とか」


川д川「ここにいる時点でオチが見えてるわね」


('∀`)「はは、そういうこと。ま、簡単にいや人間がやになっちまったってところだな」

18 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:36:53 ID:4Th2fkcA0
川д川「そう......それで死ぬのね」


('A`)「ああ、これから絶賛自殺をする予定。応援よろしくな」


川д川「勿論、背中を押してあげるわ」


('∀`)「そりゃあ心強い。力一杯頼むぜ?遠慮せず殺しちゃってくれよ」


川д川「えぇ......でも安心したわ」


('A`)「安心?」


川∀川「貴方、やっぱりまだ人間なのね」

19 名前: ◆EQgrQatdpY 投稿日:2017/08/23(水) 21:37:15 ID:4Th2fkcA0
もう何度も繰り返したこの光景。

これは多分、夢だ。

最後の夢。

この夢が覚めるのは一体何時なのか。

それは誰も知らない。

この夢は覚めるのか。

それは誰も知らない。

ただもし叶うのなら。

もっとあの音を聞きたい。

もっとあの赤を見たい。


この楽しい夢がいつまでも覚めないことを祈っている。




('∀`)楽しい夢のようです
おしまい


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