(´・ω・`)ぼくらの「825」のようです
- 2 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:11:19 ID:SqT1CRpo0
8月26日
ごきげんよう、きっとこの日記を読んでいるキミへ。
またいつか――
(´・ω・`)ぼくらの「825」のようです
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- 3 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:12:00 ID:SqT1CRpo0
7月15日
ごきげんよう、この日記をよんでいるボク!
きょうからかくれんぼ日記を書くことになりました。
■■が「それがいい」って言ったからです。
僕もそれがいいです。
■■っていうのは、ボクのはじめてのトモダチです。
はじめてのカゾクじゃないトモダチです。
でもヒミツだから、だれにも言えません。
パパとママにだって見つけられない、ヒミツの中のヒミツの場所にかくしました。
ヒミツがあるなんて、なんだかわるい子になったキブンです。
ムネがドキドキします。
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- 4 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:13:35 ID:SqT1CRpo0
――7月22日
カナカナカナカナ...
('A`)ノ「ショボーン!はやくはやくー!」
(;´◎甘◎)「その名前で呼ばないでよー!はぁ、やっと追いついたぁ……」
('A`)「あいっかわらず遅いんだ。もたもたしてると大人たちに捕まっちゃうぞ!」
(´◎甘◎)「だってこれぇ、前が見づらいし、あついし、おまけに息もしにくいんだもん」
(´◎甘◎)「ドクオいけないんだよ、ガスマスクしないでおうちから出たら。先生がそう言ってたよ」
('A`)「オマエ知らないんだ?こんなガスマスク、ほんとは意味ないって先生が言ってたよ」
(´◎甘◎)「先生が?ウッソだぁ。ほんとに?」
('A`)「ホントホントー」
(´◎甘◎)「じゃあボクもとっちゃおうかな」
('A`)「トッチャエトッチャエー」
(´・ω・`)「ふぅ。ドクオはなんでも知ってるんだね」
('∀`)「けけけ。まあな」
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- 5 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:14:21 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「どこにいくの?」
('A`)「さあ。どこにいこうか」
(´・ω・`)「やっぱり帰ろうって言ったら怒る?」
('A`)「怒る」
(´・ω・`)「だって、もうひぐらしが鳴いてるよ」
('A`)「ここまできて帰ろうだって?ったく、だからオマエはショボンなんだよ」
(;´・ω・`)「その名前はよしてよ!」
(´・ω・`)「ドクオのせいなんだからね。みんながボクのこと、ショボンって呼ぶの」
(´・ω・`)「きっとみんな、ボクのほんとの名前すら忘れちゃったんだ」
('A`)「オマエだってオレのことドクオって呼ぶだろ。ほんとはとってもかっこいい名前なのに!」
(´・ω・`)「だって、毒ばっかりはくから……」
ポタリ
(´・ω・`)「あ。雨だ」
('A`)「うわ、めちゃくちゃ降ってきた!あそこのオンボロ屋敷まで走るぞ!」
(;´・ω・`)「えぇっ!?また走るのー!?」
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- 6 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:14:57 ID:SqT1CRpo0
7月16日
空白
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- 7 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:16:05 ID:SqT1CRpo0
サ-...
('∀`)「ふぅ。まいったなー、これじゃあ帰れないなー」
(´・ω・`)「うれしそうな顔しちゃってさ」
('∀`)「まあまあ。しばらくここいらで雨やどりだな」
(´・ω・`)「どうやら嵐やどりになりそうだよ」
ビュウゥゥゥ
ザ---
ゴロゴロ...
('A`)「どう思う?いま外に出たら雨で溺れるかな?」
(´・ω・`)「風で飛ばされちゃうのが先じゃない?」
('A`)「雷に打たれるのが早いかもよ?」
(´・ω・`)「うへぇ。どれもこれもゴメンだね」
('A`)「俺もだ」
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- 8 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:16:42 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「こんなきもちわるい色の空、見たことないよ。
なにかイヤなことが起きないといいけど」
('A`)「おっ。外の有り様に比べて、中は意外とキレイだな」
(´・ω・`)「このまま世界が終わっちゃったらどうしよう……」
('A`)「しめしめ。電気も生きてるぞ」
(・ω・`≡´・ω・)「あれ?ドクオ?」キョロキョロ
('A`)ノ「おーいおーい!こっちこっちー」
(;´・ω・`)「もうー!すぐひとりでどっか行っちゃうんだからー!」
('A`)「さーて、嵐がやむまでオンボロ屋敷の探検といきますか!」
(´・ω・`)「えっ?いいのかな?かってに入っちゃって」
('A`)「いまさらなにを。わるいに決まってるだろ」
(;´・ω・`)「どうしよう、ボクたちわるい子だ……先生に怒られるよ」
('∀`)「けけけ。オレたちがわるいんじゃない、わるいことが楽しいのがいけないのだ」
(´・ω・`)「そんなこと言って、またゴミ置き場にとじこめられてもしらないからな」
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- 9 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:17:11 ID:SqT1CRpo0
7月17日
空白
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- 10 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:17:44 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「おっきな時計だね」
('A`)「止まっちゃってるけどな」
(´・ω・`)「こっちにあるのはカンバンかな?」
('A`)「なになに、なんとか院……だめだ、ボロボロで読めないや。
いわゆるハイキョってやつだな」
(´・ω・`)「ハイキョ?」
('A`)「もうだーれも使ってないから、好きにしてくださいってこと」
(*´・ω・`)「じゃあオバケヤシキじゃないね?かってに入っても怒られないね?よかったー!」
('∀`)「オバケよりこわーいもんがいるかもしれないぜぇ?」
(;´・ω・`)「こ、こわがらせようとしてるな?そんなもんこの世にいるもんか!」
('∀`)「どうだか?オマエはいっとう怖がりだからなぁ。
怖いものは怖がり屋さんによってくるんだぞ」
(;´・ω・`)「こ、こわがりなんかじゃ……」
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- 11 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:18:57 ID:SqT1CRpo0
「~♪」
(;´・ω・`)「ひっ……いま、なにか聞こえた?」
('A`)「なにかって?」
(;´・ω・`)「なにかは、なにかだよ。だれかさんが歌ってる声」
(「'A`)「「わっ!!」
(;´・ω・`)「ひえぇ!!」
(;´・ω・`)「なに!?なになに!?」
('∀`)「けけっ。びっくりするかと思って」
(;´・ω・`)「こいつめ!なんてヤツだ!」
('∀`)「わるいわるい。その声がしたってとこにいってみようぜ」
(´・ω・`)「わるい人だったらどうする?」
('A`)「こらしめてやるのさ」
(´・ω・`)「それがいいね」
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- 12 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:19:43 ID:SqT1CRpo0
7月18日
ごきげんよう、この日記をよんでいるボク!
日記を書くのは3日に1回になりました。
■■が「それがいい」って言ったからです。
ボクも「それがいい」って言ったからです。
ママがトビラにカギをかけるからじゃないです。
きょうはキンギョバチの中から小指を見つけました。
でも頭には小指がくっつけられないみたいです。
■■には頭があります。
髪の毛と眉と目と鼻と口と耳があります。ほかにはなんにもありません。
だからなんにもできません。■■が言ってました。
でも■■はとっても歌がキレイです。
なんにもできないなんてウソっぱちです。
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- 13 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:20:24 ID:SqT1CRpo0
('A`)「しっかし広いな。かくれんぼでもするか?」
(´・ω・`)「ジョーダンよしてよ。こんなとこではぐれたら永遠に会えなくなっちゃうよ」
('A`)「大ゲサなんだよ、オマエは」
~♪
(;´・ω・`)「ひっ」
('A`)「……この部屋か」
(´・ω・`)「ほんとに開けるの?オバケが歌ってたらどうする?」
('A`)「そしたら、まあ。かくれんぼしようか」
(;´・ω・`)「えぇー……」
('A`)「開けるぞ。もういいかい?」
(;´・ω・`)「ま、まってまって」
(;´っω⊂`)「……もういいよ!」
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- 14 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:21:15 ID:SqT1CRpo0
カチャ...
ギィ...
('A`)「なんだここ」
(;´っω⊂`)「なに?オバケいた?」
('A`)「まっくろだ」
(;´っω・`)「まっくろ……オバケ?」
('A`)「オバケよりおっかないよ。見てみなって」
(;´・ω・`)「うっ……」
('A`)「壁も、床も、机も、棚まで、ぜんぶ」
(;´・ω・`)「まっくろだ」
('A`)「な?」
(´・ω・`)「歌どっかいっちゃったね」
('A`)「かくれんぼしてるのかもな。ちょっと中を探してみようぜ」
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- 15 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:21:48 ID:SqT1CRpo0
7月19日
空白
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- 16 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:22:29 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「見てよこれ。かざってある絵までまっくろけだ」
(´・ω・`)「なにがかいてあるんだろう?まっくろでよく見えないや、夜かな?」
('A`)「いやこいつはきっと、もともと黒かったんじゃなくって……」
(´・ω・`)「あれはなに?」
('A`)「んっ?」
(´・ω・`)「ほらあそこ。部屋のおくの、へこんでるとこ」
('A`)「穴があいちゃった床に布がしいてあるだけじゃないか?」
(´・ω・`)「ううん。よく見えないけど……この布の下になんかおっきいのが隠してあるみたいだ」
('A`)「さては、お宝か?」
(*´・ω・`)「オモチャとかオカシだったりして」
('A`)「よし。いっせーのでこいつをどけてみるぞ」
('A`)「いっせーの!」(´・ω・`)
バサッ‼︎
.
- 17 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:23:01 ID:SqT1CRpo0
(;;;;)
('A`)
(´・ω・`)
(´・ω・`)「なーんだ、ただのガイコツか」
(´・ω・`)「こんなにおっきいのに丸くなって、まるで赤ちゃんみたいだね」
(;'A`)「ひぃいいいい!!」
(´・ω・`)「ドクオったら大ゲサだなぁ」
(;'A`)「うるせーやい!」
(´・ω・`)「こんなのボクらの園のゴミ置き場にだってゴロゴロころがってるじゃないか」
(;'A`)「オマ、オマエなぁ!ガイコツがなにでできてるのか知ってんのかよ!」
(´・ω・`)「なにって、ガイコツはガイコツでしょ?」
(;'A`)「もういい。こんな部屋はやくおいとましよう」
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- 18 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:23:28 ID:SqT1CRpo0
7月20日
空白
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- 19 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:23:57 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)
('A`)「どうした?いくぞ」
(´・ω・`)「このガイコツ、なにかだっこしてる」
(;'A`)「おいおいウソだろショボン。そんなもんさわるなって」
(´・ω・`)「よいしょっと」
l从- -ノ!リ人
(;'A`)「な、生首っ……」
(´・ω・`)「お人形さんだよ。ちょっとその机の上のノートどけて。のっけたいんだ」
(;'A`)「ああ、うん」
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- 20 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:24:26 ID:SqT1CRpo0
l从- -ノ!リ人
('A`)「なんだよ、アクシュミだな」
(*´・ω・`)「キレイだね」
('A`)「アクシュミだって言ってるだろ。こんなのまるで、本物の人間みたいだ!」
(´・ω・`)「でも、どうして頭だけなんだろう?」
('A`)「そのガイコツのシュミに違いないぞ」
('A`)「なんせガイコツになるまでずぅ~~~っとだっこしてたくらいだからな」
(´・ω・`)「よっぽど大切だったんだね……」
(´・ω・`)「ドクオはそれ持って帰るの?」
('A`)「なに?ああ、さっきのノート持ったまんまだった」パラパラ
(´・ω・`)「なんて書いてある?宝物のありか?」
('A`)「ザンネン。だれかさんの日記みたいだ」
('A`)「なになに、7月15日……」
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- 21 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:25:02 ID:SqT1CRpo0
7月21日
ごきげんよう、この日記をよんでいるボク!
きょうは、ゴミ箱の中から首を見つけました。
これで■■をだっこしてなくっても、ごろりところがっていきません。
■■の髪の毛はふわふわで、だっこしてるととってもきもちいいです。
けれども、とってもとってもくすぐったいのです。とってもとってもとってもです。
ボクがくすぐったくってケラケラ笑うと、■■もフフフと笑います。
フシギなことです。■■が笑うと、ボクも笑ってしまいます。
きっとボクは、あしたも■■をだっこして笑うんだと思いました。
いつも■■が歌ってる歌をおしえてもらいました。
「らーらららーらーらららー」っていう歌です。
ちょっぴりおぼえました。
はやく■■といっしょに歌いたいです。らーらららー。
.
- 22 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:25:38 ID:SqT1CRpo0
7月22日
空白
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- 23 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:26:28 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「7月22日……きょうのは書いてないんだね」
('A`)「3日に1回らしいからな。24日まで書かないだろ」
(´・ω・`)「やっぱりここ、だれかいるんだ。わるい人じゃあなさそうだけど」
('A`)「えーっと……」ゴソゴソ
(´・ω・`)「だからお人形さんと日記だけまっくろじゃないんだね」
l从- -ノ!リ人
('A`)「ペン見っけ」
(´・ω・`)「あっドクオわるい子の顔してる」
l从-∀•ノ!リ人
('∀`)「どうせきょうの日記書かないんなら、オレが書いたっていいだろ」
(´・ω・`)「そういうもんじゃないと思うけど」
('∀`)「ヘーキヘーキ。お人形さんがしゃべるなんて、へんてこりんなこと書かないからさ」
l从•∀•ノ!リ人「なんのおはなししてるのじゃ?」
(´・ω・`)「なにってキミの……えっ?」
.
- 24 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:27:11 ID:SqT1CRpo0
l从*•∀•ノ!リ人「わあ!はじめて兄弟以外とおしゃべりしちゃったのじゃ!」
('A`)
(´・ω・`)
l从*•∀•ノ!リ人「なんだかわるい子になったキブンなのじゃ!」
('A`)「……いいか、ショボン。いちにのさんでうしろを向いて逃げるぞ」コソコソ
(;´・ω・`)「うん」コソコソ
('A`)「いち、にの、さんっ!!」ダッ
(;´・ω・`) ダッ
l从*•∀•ノ!リ人「あっ!おにごっこなのじゃ?よーし!」ゴロ...ゴロ...
l从;`•д•ノ!リ人「あ、あれっ、とまらな、のじゃあー!?」ゴロゴロッ
ドスンッ‼︎
.
- 25 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:27:54 ID:SqT1CRpo0
('A`)「なんの音だ?」
(;´・ω・`)「机から落ちちゃったみたいだ。大丈夫かな?」
(;'A`)「おいバカ!戻るな!食べられちゃうぞ!」
(´・ω・`)「ちょっとまっててー!机の上に戻すだけだからー!」
(;'A`)「……ああもう!そういうわけにもいかないだろっ」
l从×д×ノ!リ人「めだまがくるくるまわるじゃ〜……」
(´・ω・`)「ねぇキミ。大丈夫?痛いとこない?」
('A`)「よせよ。手なんか出したらかみつかれるぞ」
l从*×∀×ノ!リ人「へへっ……ふたりともつかまえたのじゃ~……」
(´・ω・`)「えっ?」
('A`)「はぁ。調子くるうなぁ」
.
- 26 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:28:43 ID:SqT1CRpo0
('A`)「いいか?ウソはなしだぞ」
('A`)「オマエ、オレたちのこと食べるのか?」
l从*•∀•ノ!リ人「妹者!」
('A`)「いもじゃ、えっ?」
l从*•∀•ノ!リ人「なのじゃ!ワタシ、妹者っていうのじゃ!」
(;'A`)「いまのは事故!オマエの名前を呼んだわけじゃないからな!」
(*´・ω・`)「妹者っていうんだ。あのね、ボクの名前は」
('A`)「コイツはショボンだ」
(;´・ω・`)「ちょっと!」
('A`)「知らない人形にほんとの名前を教えるなって先生が言ってただろ」
(;´・ω・`)「ぐぬぬ。ボクがショボンなら、キミはドクオだ!」
(;'A`)「おい」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオとショボン……」
l从*•∀•ノ!リ人「ドクオとショボン。ドクオとショボン!覚えたのじゃ!よろしくなのじゃ!」
(;'A`)「ちぇっ」
.
- 27 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:29:27 ID:SqT1CRpo0
l从•д•ノ!リ人「でもワタシ、なんでここにいるのじゃ?よく思い出せないのじゃ」
(´・ω・`)「キミってなに者なの?」
l从•∀•ノ!リ人「ワタシはワタシなのじゃ!キミはなに者なのじゃ?」
(;´・ω・`)「えっ?そんなこと、考えたこともなかったよ」
(;´・ω・`)「キミはワタシだから、ボクはボクで……あれ?わかんなくなってきちゃった」
('A`)「はいはいそのはなしはここまで。次だ次」
(´・ω・`)「うん。キミってオバケじゃないよね?ちがうよね?」
l从•∀•ノ!リ人「オバケ?」
(´・ω・`)「えっとね、この世界のなによりもこわーいもの、ってこと!」
l从;•д•ノ!リ人「ええっ!?ワタシ、オバケなんかじゃないのじゃ!」
(´・ω・`)「よかった。オバケじゃないってさ」
('A`)「そんなの信じられるもんか!」
(´・ω・`)「でもオバケは足がないんだよ」
('A`)「足どころか頭だけしかないぞ」
l从•∀•ノ!リ人「足ならあるのじゃ!」
.
- 28 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:30:05 ID:SqT1CRpo0
('A`)「どこに?」
(´・ω・`)「どこに?」
l从•∀•ノ!リ人「このおうちのどこかなのじゃ!」
('A`)「なんじゃそりゃ」
(´・ω・`)「かくれんぼする足なんて聞いたことないよ」
('A`)「待てよ?そういえばあの日記、指と首をここで見つけたって……」
(´・ω・`)「じゃあ、ほんとにかくれんぼしてるっていうの?お人形さんの体が?」
('A`)「つまりそういうこと」
('∀`)「けけけ。こいつはおもしろくなってきたぞ」
(´・ω・`)「またわるい子の顔してる」
('∀`)「オバケを助けるだなんて、サイッコーに悪者だろ!」
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- 29 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:31:06 ID:SqT1CRpo0
('A`)「おいそこのオマエ!足を見つけたら、オバケじゃないって信じてやるよ」
l从`•∀•ノ!リ人「やった!じゃあ、いってくるのじゃ!とうっ!」ゴロゴロ
(;'A`)「あぶなっ。まったく、自分から転がり落ちるやつがあるか!」ヒョイッ
l从*•∀•ノ!リ人「あれ?ワタシとんでるのじゃ!」
('A`)「このバカチン!オレに持たれてるのじゃ」
(´・ω・`)「このおうちを転がって探してたら、100年かかっちゃうよ」
l从•∀•ノ!リ人「ヒャクネン?あしたってこと?」
('A`)「オレたちがかわりに探してやるってこと」
l从*•∀•ノ!リ人「ほんとに?やったのじゃー!」
(*´・ω・`)「よかったねー!よかったねー!」
l从*•∀•ノ!リ人「よかったのじゃー!ありがとうなのじゃー!」
('∀`)「やいショボン。そうと決まれば、どっちが先に足を見つけるかキョウソウだ」
('∀`)「よーいどん!」
(;´・ω・`)「あっ!ずるいぞ!まってよドクオー!」
l从•∀•ノ!リ人「まってまってー!ワタシもいくのじゃー!」
('A`)「ダーメ!オマエだっこしてたらショボンに負けちゃうだろ!」
l从•д•ノ!リ人「えー!おるすばんなのじゃー?」
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- 30 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:31:54 ID:SqT1CRpo0
l从•д•ノ!リ人「……のじゃっ?」ヒョイッ
(´・ω・`)「ごめんね。ドクオったらすぐどっかいっちゃうんだ。
ボクらはおいてけぼりナカマだね」
l从*•∀•ノ!リ人「ほんとじゃ!妹者とショボンでおいてけぼり団なのじゃ!」
(*´・ω・`)「ドクオもおいてけぼり団にカンユウしなくっちゃね。
仲間はずれはかわいそうだもんね」
l从*•∀•ノ!リ人「ね!」
(;´・ω・`)「しかし困ったぞ。こんな広いとこ、パンくずでもなきゃ迷子になっちゃうよ」
(´・ω・`)「ねぇ、妹者。キミはここ知ってる?ボクのこと、つれてってくれないかな?」
l从*•∀•ノ!リ人「おうちのことならまっかせて欲しいのじゃ!ワタシについてくるのじゃ!」
(*´・ω・`)「とってもたのもしいや!へへん、ボクは妹者をだっこして勝っちゃうもんね」
(*´・ω・`)「そんでさ、ふたりでドクオをびっくりさせてやろうよ!」
l从*•∀•ノ!リ人「うん!」
(´・ω・`)「あれ?キミってかたっぽずつ目の色がちがうんだ」
l从*•∀•ノ!リ人「うん!こっちの青い目がね、とってもお気に入りなのじゃ!」
(´・ω・`)「キラキラしてキレイだね。青いほうの目も、赤いほうの目も」
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- 31 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:32:51 ID:SqT1CRpo0
7月22日
かってに日記を書いてごめんなさいなんです。
きっとすごくすごくびっくりしたと思うんです。
ボクはきょうはじめてここにきたんです。
びっくりすることがいっぱいですごいと思ったんです。
みんなで力をあわせて足を見つけたんです。
ベッドの下にあったんです。もぐりこんだら頭のてっぺんから足の先っぽまでホコリまみれです。
見つけてすごいと思ったんです。
ここはとっても広くって探すのがタイヘンです。
きょうまでキミもタイヘンだったと思うんです。
これからはボクもいっしょに探していいです?
.
- 32 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:33:53 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「ほんとにいいのかな?きょうの日記かってに書いちゃったけど」
(*'A`)「wwwww」
(;´・ω・`)「いつまで笑ってるんだよ!です・ます言葉なんてわかんないよ!」
(*'A`)「ひっ、ひひ、いやー、ナミダでてきたー」
(;´・ω・`)「つぎはドクオが書く番だからね!」
l从*•∀•ノ!リ人「ワタシの足!ねぇこれ見て!これね、なんと!ワタシの足なのじゃ!」
('A`)「わかってるって」
(´・ω・`)「これでオバケじゃないってわかったね!」
l从*•∀•ノ!リ人「はやくはやく!くっつけてくっつけて!」
('A`)「あーのーなー、頭に指はくっつけられないし、足もくっつけられないんだよ」
l从;•∀•ノ!リ人「えーっ!!なんでー!?」
(;'A`)「『なんでー!?』」
(´・ω・`)「あ」
('A`)「あ?」
(´・ω・`)「雨、やんだね」
.
- 33 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:34:33 ID:SqT1CRpo0
('A`)「さっきまでの嵐がウソみたいだ」
(´・ω・`)「よかった。まだ一時間しかたってないみたい」
('A`)「おっかしいなぁ。もっと長いこといたと思ったのに」
l从•∀•ノ!リ人「いっちゃうのじゃ?」
(´・ω・`)「もう帰らなくっちゃ。晩ごはんまでにおうちにいないと、先生に怒られちゃう」
('A`)「コイツのこと隠さなくっちゃな。ヒミツの中のヒミツの場所に」
(´・ω・`)「うん。ヒミツの中のヒミツの場所に」
l从•∀•ノ!リ人「ヒミツの中のヒミツの場所?」
('A`)「はじめてオマエを見つけた場所だよ」
(´・ω・`)「もとにもどしておかないと、日記のだれかさんが心配しちゃうからね」
.
- 34 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:35:23 ID:SqT1CRpo0
(;;;;)
l从•∀•ノ!リ人「このガイコツは?」
('A`)「オマエの知り合いじゃないのか?」
l从•∀•ノ!リ人「ううん。わかんないのじゃ」
l从•∀•ノ!リ人「わかんないけど、でも」
(;;;;)
l从•∀•ノ!リ人「なんだか、なつかしい気がして、よくわかんないけど……うれしいのじゃ!」
('A`)「おかしなヤツ」
(´・ω・`)「日記のだれかさんかボクらがくるまで、ここでいい子にしてるんだよ。
わるい人に見つかってしまわないように。いいね?」
l从`•∀•ノ!リ人「まかせるのじゃ!つよい子いい子妹者なのじゃ!」
('A`)「んじゃ。またいつかな」
l从•∀•ノ!リ人「いつかっていつじゃ?」
(´・ω・`)「えっと、ねぇドクオ、いつ?」
('A`)「3日ご。日記つけにきてやるよ」
(´・ω・`)「うん。また3日ごにね」
l从•∀•ノ!リ人「3日ご。まってるのじゃ」
.
- 35 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:35:58 ID:SqT1CRpo0
7月23日
空白
.
- 36 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:36:51 ID:SqT1CRpo0
――7月25日
('A`)「ショボーン!はやくこいよー!」
(;´◎甘◎)「またその名前…!なんだいなんだい、ドクオったらー!
走るのいつもより2倍はやいじゃないかー!」
('A`)「オマエがいつもより2倍おそいんだよー!まーたそんなのつけてるからー!」
(;´◎甘◎)「はあ、はっ、だって、先生が、お外はあぶないから、って」
('A`)「オレらの園にいたあの子もあの子もあの子だって、
みーんないい子につけてたのに、みーんないなくなっちゃったじゃないか!」
(;´◎甘◎)「そう、だけど、でも、先生が」
('A`)「ユウズウのきかないヤツめ。
そらハイキョについたぞ。ここならもうお外じゃないだろ?」
(;´◎甘◎)「ほんとだ。屋根があるからお外じゃないね」
(;´・ω・`)「ふぅ。あつかったーくるしかったー」
('A`)「またひぐらしが鳴いてる」
(´・ω・`)「けっきょく、夕ぐれになっちゃったね」
カナカナカナカナ...
.
- 37 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:37:39 ID:SqT1CRpo0
ガチャ
('A`)「おーい、首ー、生きてるかー?いや、ちがうな。動いてるかー?」
l从-∀-ノ!リ人
(´・ω・`)「しずかに。ねちゃってるみたいだ」
('A`)「せっかくきてやったのにつまんないの。顔にラクガキしてやれ」キュッキュッ
(;´・ω・`)「よしなよ。おこしちゃうよ」
l从-∀-ノ!リ人
('A`) キュッキュッ
(´・ω・`)「……ほんとに、ねてるだけだよね?」
('A`) キュ...
('A`)「オバケがでたぞーーーっ!!」
(;´>ω<`)「ひっ」
l从;+д•ノ!リ人「オバケッ!?こわいのどこじゃどこじゃどこじゃ!?」ゴロゴロ
l从 д ノ!リ人「ふぎゃっ!!」ドスンッ‼︎
('A`)「よし、おきたな!」
.
- 38 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:38:13 ID:SqT1CRpo0
(;´・ω・`)「妹者?妹者ったら?平気?」ヒョイッ
l从-д•ノ!リ人「うう、ドクオ……バケ?」
('A`)「だれがドクオバケじゃい」
l从*•∀•ノ!リ人「あっ!ドクオ!ショボン!きてくれたのじゃね!」
('A`)「日記つけにくるって言ったろ。ウソはつくけど約束は守るのさ」
(´・ω・`)「もうドクオ、イタズラもほどほどにしなね!」
(´・ω・`)「落っこちて妹者がケガしちゃったらどうするんだよ」
l从•∀•ノ!リ人「大丈夫なのじゃ!ワタシは兄弟の中でにばんめにつよいのじゃ!」
(´・ω・`)「キミには兄弟がいるの?」
l从•∀•ノ!リ人「うん!妹者をいれてよっつ!」
(´・ω・`)「よっついっしょに作られたってこと?」
l从•∀•ノ!リ人「うん!よっついっしょなのじゃ!」
(´・ω・`)「そうなんだ!いつか会ってみたいな」
('A`)「ショボンこれ見ろ!きのうの日記がふえてるぞ!」
.
- 39 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:38:51 ID:SqT1CRpo0
7月24日
ごきげんよう、この日記をよんでいるボク?
きょうはビンの中から指を見つけました。
どの指かは分かんないです。どれでもうれしいです。
もしも■■の手がぜんぶ見つけられたら、頭をよしよししてもらいたいです。
ボクが■■の頭をよしよしすると、■■はとってもうれしいと言ってたからです。
ためしにじぶんでじぶんの頭をよしよししました。うれしくはなかったです。
きっと自分ではないだれかに頭をよしよしされると、
頭のうれしいスイッチがカチリとはいるにちがいないです。
だれかさんへ。
だれですか?
ほんとにいっしょにさがしてくれるんですか?
トモダチになってくれますか?
.
- 40 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:39:46 ID:SqT1CRpo0
('A`)「見たか?トモダチだってさ」
(*´・ω・`)「見た見た!そんなのじゃんじゃんなっちゃうよ!」
l从*•∀•ノ!リ人「ワタシもドクオとショボンのトモダチになるのじゃ!じゃんじゃんなるのじゃ!」
('A`)「おでこに『なのじゃ』って書いてあるヤツはしずかにしてろよ!」
(´・ω・`)「自分で書いたくせに」
l从;•∀•ノ!リ人「なるのじゃ!トモダチってどうやったらなれるのじゃ?」
(´・ω・`)「あのね妹者、耳をかしてね。ヒミツのおはなしだよ」
(´・ω・`)「じつはね、ドクオったらすっかりキミとトモダチでいた気になってたんだよ」
l从*•∀•ノ!リ人「ほんとに?」
(´・ω・`)「ウソなんか言うもんか。
ボクらの園のみんなにジマンして回っちゃうくらいだったんだから」
(´・ω・`)「『はじめてトモダチができた』ってね!」
l从*•∀•ノ!リ人「ワタシも兄弟におっきな声で言いたいのじゃ!」
l从*•∀•ノ!リ人「ドクオとショボンは、ジマンのトモダチだって!」
(;*'A`)「バカ!オマエらなんのはなししてるんだ!」
.
- 41 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:41:18 ID:SqT1CRpo0
('A`)「そ、そんなことより。日記を書いてるもうひとりはどんなヤツなんだ?」
l从-∀•ノ!リ人「うんとね、えっと……よく分かんないのじゃ」
l从*•∀•ノ!リ人「でも、すっごくあかるい子なのじゃ!」
('A`)「テキトーなヤツだなぁ。はじめてのトモダチだっていうのに」
l从*•∀•ノ!リ人「ドクオとショボンだってはじめてのトモダチなのじゃ!」
('A`)「はいはい」
(´・ω・`)「その子はいい子?」
l从•∀•ノ!リ人「ショボンとおんなじくらいいい子なのじゃ!」
(*´・ω・`)「とってもいい子だって!いつか会えたらいいね、ドクオ」
('A`)「ああ。いつか、な」
('A`)「そろそろ宝さがしといくぞ。夜がきちゃう前に」
.
- 42 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:41:58 ID:SqT1CRpo0
7月25月
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうは腕のはんぶんを見つけたんです。
クローゼットにあったまっくろいドレスにひっかかってたんです。
そのドレスはとってもキレイなドレスで、■■
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- 43 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:42:47 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「あれ?おかしいな?」
('A`)「妹者の名前ぬりつぶしたのか?」
(´・ω・`)「ボクじゃないよ。ほら、書いてみせるから見ててごらんよ」
妹
■者
■■
(´・ω・`)「かってにまっくろになっちゃうんだ、ちゃーんと書いてるのに」
('A`)「そういえば、もうひとりの日記もぬりつぶされてるとこあったよな」
(´・ω・`)「あれって『妹者』って書いてあったんだ」
('A`)「なんで日記にコイツの名前が書けないんだろうな」
l从•皿•ノ!リ人「妹者っていう字はこう書くのじゃよ!」
('A`)「ばっちぃ。口でペンくわえるなよ。あーあー紙ぐちゃぐちゃじゃねーか」
l从*•∀•ノ!リ人「でもちゃんと書けたのじゃ!ほめてほめて!
自分と兄弟の名前なら読んだり書いたりできるのじゃよ!」
('A`)「日記に文字って思われてないんだろうな」
(;´・ω・`)「これは気にしないでって書かなくっちゃ」
.
- 44 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:43:23 ID:SqT1CRpo0
7月25月
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうは腕のはんぶんを見つけたんです。
クローゼットにあったまっくろいドレスにひっかかってたんです。
そのドレスはとってもキレイなドレスで、■■も「はやくきたい」と言ってたんです。
ボクもはやく体を見つけてきさせてあげたいと思ったんです。
〆¥〒
↑これは気にしないでほしいです。
だれかさんへ。
もちろんです!
今日からボクとキミとはトモダチです!
.
- 45 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:44:23 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「ドレスはここにかけておくからね」
l从*•∀•ノ!リ人「えへへ」
(´・ω・`)「さっきっから目がクギヅケだね。よっぽとキミにとってトクベツなものなんだね」
('A`)「ほんとにいいのかよ?こんなボロッボロで、シニンみたいなまっくろいドレスで」
(´・ω・`)「シニン?」
('A`)「いや……なんでもない」
l从•∀•ノ!リ人「ワタシ、これがいいのじゃ」
l从•∀•ノ!リ人「むかしね、兄弟でヒミツのパーティーをしたのじゃ」
たった一回だけ。おそろいのまっくろいスーツとドレスをきて」
l从•∀•ノ!リ人「そのときのワタシのドレスなのじゃ!」
(´・ω・`)「じゃあ、大切なものだね」
('A`)「……またすぐきれるようになるだろ。そしたら好きなだけパーティーでもなんでもしろよ」
l从*•∀•ノ!リ人「えへへっ。またやりたいのじゃ!
みんなでね、手と手をとってね、ひとつになっておどるのじゃ!」
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- 46 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:45:13 ID:SqT1CRpo0
カナカナカナカナ...
l从•∀•ノ!リ人「もういっちゃうのじゃ?」
(´・ω・`)「晩ごはんまでに帰らなくっちゃ」
(´・ω・`)「先生に怒られなかったら、お泊り会したいくらいなんだけどね」
('A`)「またいつかな」
l从•∀•ノ!リ人「また3日ご、なのじゃ?」
(´・ω・`)「3日ご、なの?」
('A`)「いやー、あしたかな」
l从*•∀•ノ!リ人「!」
(*´・ω・`)「!」
('∀`)「26日の日記でも書きにきてやるよ。オトナになるまでどうせヒマだから」
l从*•∀•ノ!リ人「じゃあ、じゃあ!またあした!」
(*´・ω・`)「またあした!」
('A`)「はいはい、またあしたな」
.
- 47 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:45:50 ID:SqT1CRpo0
7月26日
空白
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- 48 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:46:47 ID:SqT1CRpo0
――7月26日
('A`)「どういうことだよ、これ」
(´・ω・`)「これがあのハイキョだっていうの?ちがう場所にきちゃったのかな?」
('A`)「そんなわけない。ここらへんは木ばっかりで、建物といったらここしかないんだから」
(´・ω・`)「でも、ここ……ひどいありさまだよ」
(´・ω・`)「ぜんぶ、まっくろで、ボロボロだ」
('A`)「ああ。まるであの部屋みたいだ」
(´・ω・`)「まってドクオ。おねがいだよ、中にはいろうだなんて言わないで」
(´・ω・`)「わるい子になっちゃう」
(´・ω・`)「先生がだめって言ったんだ。
『タチイリキンシ』って書いてある。ここにははいれないよ」
('A`)「なんだよ、せっかくいつもよりはやくこれたのに」
('A`)「昼ごはんだってガマンしてきたってのに。
ウソつくつもりなんかなかったのに。なんだよ」
(´・ω・`)「……きょうはもう帰ろう。なにかのまちがいだよ、またいつか妹者に会えるよ」
(´・ω・`)「きっとボクら、わるい夢を見てるんだ」
.
- 49 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:47:41 ID:SqT1CRpo0
7月27日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうも指をいっぱい見つけました。
10本よりいっぱい指を見つけちゃったらどうしよう。
ボクの手の指はぜんぶで9本あります。
「このまんま指ばっかりいっぱい見つけて、■■の指がうじゃうじゃになっちゃったらどうしよう」
と、ボクが言いました。
「30本までなら大丈夫」と、■■はうなずいて言いました。
すごいことです。
もしも30本も指があったなら、って思いました。
メチャクチャのハチャメチャにこんがらがって、ほどくのでヨルになっちゃいそうです。
でも5本の指よりいっぱい手をつなげると思います。
ボクのトモダチへ。
やった。うまれてにばんめのトモダチです。
とってもうれしいことです。
パパとママにシンパイされるくらいです。
ボクは大丈夫です。
.
- 50 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:48:41 ID:SqT1CRpo0
――7月28日
(´・ω・`)「やっぱりまちがいなんかじゃなかったね」
('A`)「ちぇっ。3日に1回ならいけるかと思ったんだけどなぁ」
(´・ω・`)「きのうとまるでおんなじ。まっくろくて、ぼろぼろのハイキョだ……」
(´・ω・`)「ドクオ?どこにいくの?」
('A`)「約束したからな。ちょっと中はいってくる」
(;´・ω・`)「だめだめ!ぜーったいだめ!!言ったじゃないか!」
(;´・ω・`)「いい子は『タチイリキンシ』の中にはいれないんだよ!
わるい子になっちゃうんだから!」
.
- 51 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:49:23 ID:SqT1CRpo0
(;´・ω・`)「わるい子にはわるいことがおきるんだよ。ほんとだよ。先生が言ってた」
(;´・ω・`)「オバケみたいにこわいことがおきるんだ。
もうみんなとあえなくなっちゃうんだ。きっと。ぜったいに」
('A`)「ショボンは大ゲサだなぁ。
オレはただ中でまってるトモダチに会いにいこうとしただけだよ」
(;´・ω・`)「そりゃあ、ボクだってあいたい、けど、やっぱり」
('A`)「トモダチじゃなくっちゃトモダチには会えないよ」
('A`)「オマエはいい子か?それともトモダチか?」
(;´・ω・`)「……う、うっ。キミはほんとにずるいヤツだね」
('∀`)「けけけ。じゃあいくか」
.
- 52 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:50:08 ID:SqT1CRpo0
カチッ...
カチッ...
(;´・ω・`)「なんの音?オバケの音?」
('A`)「時計が動いてる音」
(;´・ω・`)「ああよかった」
('A`)「あれ?でもさ、この時計……止まってなかったっけ?」
(;´・ω・`)「それって、動いてたら妹者に会えないってこと?
棒でたたいて止めなくっちゃだめってこと?」
('A`)「オマエは怖がりすぎってこと!
ちょっとはこのオレを見習えよ。だからオマエはショボンなのだ」
(;´・ω・`)「うぐっ」
.
- 53 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:50:41 ID:SqT1CRpo0
ボ-ン
(;っA⊂)「ぎゃー!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
(;´>ω<`)「ひっ」
:(;っA⊂):
(;´>ω・`)「?」
ボ-ン
:(;っA⊂):
(´・ω・`)
ボ-ン
(´・ω・`)「……!」
.
- 54 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:51:18 ID:SqT1CRpo0
ボ-ン
(´・ω・`)「わあ……」
(´・ω・`)(時計の音がなるたんびに)
(´・ω・`)(ハイキョがキレイになっていく!)
ボ-ン
(*´・ω・`)「すごいや……」
「〜♪」
「――!!」
「――www」
(´・ω・`)「えっ?」
(´・ω・`)(いま、だれかの声がとおりすぎていったような)
ボ-ン
.
- 55 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:51:52 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)(……止まった?)
( ω ) ザザザッ
( ´・ω)「!」
(´・ω・`)「だれ?」クルッ
シ-ン...
(´・ω・`)「だれもいないや……」
(´・ω・`)(気のせいかな、だれかうしろにいたような気がしたんだけど)
(´・ω・`)っ「ドクオ起きて!ねぇドクオったら!」
(;'A⊂)「えっ?」
(´・ω・`)「もうおわったよ」
(;'∀`)「な、なーんだただの時計かよ。びっくりさせやがって!」
(´・ω・`)「ドクオ……」
(;'A`)「んだよ、その目は」
.
- 56 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:53:15 ID:SqT1CRpo0
(*´・ω・`)「それより、ほら!じゃじゃーん!」
('A`)「!」
('A`)「ハイキョがもとに戻ってる!」
(*´・ω・`)「ここは魔法のおうちだったんだよ!」
時計がね、ボーンって鳴ってね、そしたらパァーって!キレイになったんだよ!」
('A`)「へぇ」
(´・ω・`)「でも時計はまた止まっちゃったみたい……」
('A`)「6時……」
(*´・ω・`)「すごかったんだよ、ほんとなんだから!
いつかドクオと妹者にも見せてあげたいな」
('A`)「オレたちがここにきてたのって、いつも6時くらいだったっけ。
そんでもって帰るのは7時くらいで」
(´・ω・`)「そうだよ。あっあとね、まただれかさんの声がしたんだ」
(´・ω・`)「歌ってる声と、怒ってる声と、笑ってる声と、それとね、」
('A`)「わかったぞ!時間だ!」
(;´・ω・`)「えっ?なになに?なにが?」
('A`)「トモダチに会えるってこと!こっちだ!はやくこいよー!」
(*´・ω・`)「ほんと?ほんとに妹者に会えるの?待ってよ、ボクもいくよー!」
.
- 57 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:53:52 ID:SqT1CRpo0
ガチャ‼︎
('A`)「ついた」
(;´・ω・`)「っ、い、いもじゃ、はっ?」
l从-∀-ノ!リ人
('A`)「いた」
(ノA`)「……はぁ。ったく、もう」
(*´・ω・`)「妹者!妹者がいる!妹者だ!」ギュッ
l从-∀•ノ!リ人「のじゃ…?ショボン…?」
(*´・ω・`)「そうだよ!ドクオもいるよ!」
l从*•∀•ノ!リ人「へへっ。『またあした』ってすごいのじゃね!」
l从*•∀•ノ!リ人「いつもよりいっしゅんでふたりに会えるのじゃ!」
(´・ω・`)「あっ……」
.
- 58 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:54:27 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「ごめんね」
l从•∀•ノ!リ人「?」
(´・ω・`)「ボクたち『あした』にはこれなかったんだ。きょうは3日ごなんだ」
l从•∀•ノ!リ人「そうなのじゃ?」
(´・ω・`)「ドクオがね、いつもよりいっぱい遊べるように、って、
はやくに園からぬけだそう、って」
(´・ω・`)「でも、そのときはおうちがおうちじゃなくって、
会えなくって、ドクオはすっごくかなしそ、んぶっ」ガシッ
(;'A`)っ「これか!よけいなこと言う口は!」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオ」
(;'A`)「なんだよ。……わるかったよ、約束したのに」
l从•∀•ノ!リ人「ワタシ、よくわかんないけど、すっごくうれしいのじゃ!」
l从*•∀•ノ!リ人「ああ!いますぐ兄弟に教えてあげたいのじゃ!
こんなにステキなトモダチがふたりもい、んぶっ」ガシッ
(;'A`)っ「これもか!よけいなこと言う口め!」
.
- 59 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:55:46 ID:SqT1CRpo0
7月28日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
いろんなことがいっぺんにあって、目がまわりそう!
ベンキの中から胸を見つけた!
さっそく首と胸をくっつけたら、ぴたりとくっついてびっくりした。
だって針も糸もないのに!すごい!魔法!
■■の体がちょっとおっきくなって、もってくのがラクになったよ。
おにわにかざってある胸から上しかないセキゾウににてると思った。
でも■■ったら、だっこしてるとき動かせるところがふえたってはしゃぐんだ。
「おっこちたらあぶないよ!」って言ったすぐあとにおっこちた。
「おっこちたらもうおっこちないから平気!」って言ったあと転がって、カベにぶつかった。
あぶないよ!
ボクのトモダチへ。
ボクも園のお外でのトモダチははじめてだよ。
「うまれてにばんめのトモダチ」ナカマだね!
それとね、とってもいいことを思いついたんだけど、どうかな?
もうです・ます言葉なんてつかわなくったっていいって思わない?
ボクらはトモダチなんだから!
.
- 60 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:56:52 ID:SqT1CRpo0
7月29日
空白
.
- 61 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:57:32 ID:SqT1CRpo0
7月30日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうも指をみつけました。
そういえば「おはよう」って言いにきたパパが「指にもカゾクがある」って言ってました。
ボクはどの指なんでしょう?
聞いたらパパがにこりと笑うから、うれしくなってにこりと笑いました。
もっとおっきくなったら、教えてくれると思います。
「キミがオトナになったらね」パパの口ぐせです。
■■にあったら体がふえていてびっくりしました。
こんなにおっきくなった■■を見るのははじめてです。
おっこちたって、おっこちたんですか?
■■の目はコワレモノの目です。
下におっこちたらこわれてしまうって言ってました。
でも、おっこちたんですか?ほんとに?
びっくりしました。
■■はおそらの色の目がスキって言います。
でもボクはもうかたっぽのおひさまの色の目もスキです。
.
- 62 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:58:12 ID:SqT1CRpo0
ボクのトモダチへ。
いいんですか?
ほんとにおこったりしませんか?
「もじを書くときはケイゴを使いなさい」って、パパが言ってました。
「シツレイだから」って。
だから「それがいい」と思ってました。
すっごくすっごくいいことだと思います。
ほんとはね、こうやっておはなししてみたかったんだ。
いつかボクと■■とキミであってみたいお。
.
- 63 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:58:53 ID:SqT1CRpo0
――7月30日
(*^ω^)「らーらららー♪」
∬ ´_ゝ`)「ごきげんね、ブーン」
(*^ω^)「ごきげんの歌だお!」
∬ ´_ゝ`)「ふふ、ごきげんの歌だね」
∬ ´_ゝ`)「どんなごきげんなことがあったの?姉者に聞かせてちょうだいよ」
(*^ω^)「あのね、これ!これだお!」
∬ ´_ゝ`)「おトモダチとの日記ね?なんて書いてあるのかしら?」
(*^ω^)「えっとね、姉者の体がおっきくなったってはなしとー、
姉者の指を見つけたってはなしとー、姉者のおひさまの目がスキってはなしとー」
(*^ω^)「あとね、トモダチがね!ケイゴじゃなくっていいって!トモダチだからって!」
∬ ´_ゝ`)「よかったね、ブーン」
(*^ω^)「うん!よかったお、ブーン!」
.
- 64 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 02:59:40 ID:SqT1CRpo0
(;^ω^)「でも……日記では姉者がおっこちたって言ってたお」
(;^ω^)「おっこちたのかお?ケガしてないかお?」
∬ ´_ゝ`)「ええ。ワタシは大丈夫よ」
(;^ω^)「よかったお」
∬ ´_ゝ`)「シンパイしてくれるの?ブーンはやさしいね」
(*^ω^)「姉者はボクのはじめてのトモダチだから!」
(*^ω^)「ねぇ、姉者!ボクのにばんめのトモダチはどんな子なんだお?」
(*^ω^)「キミは見たことあるんだおね?」
∬ -_ゝ`)「ええ。とってもかしこそうな子と、とってもやさしそうな子に見えたわ」
( ^ω^)「おっ?どっちなんだお?」
∬ ´_ゝ`)「ふふふ。どっちもよ」
.
- 65 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:00:20 ID:SqT1CRpo0
――7月31日
('A`)「オレだって言ってるだろ」
(;´・ω・`)「やだい!たまにはドクオがなってよ!」
l从•д•ノ!リ人「ケンカはだめなのじゃ!ワタシがふみ台になるのじゃ!」
('A`)「オマエが台になったって、ぴょんってとんだ方が高くとべるだろ」
(´・ω・`)「どっちかが台にならなくっちゃ、タンスの上に手がとどかないよ……」
('A`)「こうなりゃあジツリョクコウシだ」
('A`)「だっさなきゃ負けよ!」
(´・ω・`)「さいしょはグー!」
('A`)「じゃんけんぽん!」(´・ω・`)
l从•∀•ノ!リ人「それなんじゃ?」
.
- 66 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:01:02 ID:SqT1CRpo0
('A`)「なんだよ、じゃんけんも知らないのか?
こうやってグーチョキパーで勝ち負けを決めるんだよ」
l从•∀•ノ!リ人「たのしそう!ワタシもやりたいのじゃ!」
('A`)「やりたいって言ってもな」
l从•д•ノ!リ人「どうすればいいのじゃ?」
(´・ω・`)「顔でじゃんけんするのはどうかな?」
(´・ω・`)「両目をとじたらグー、右目をとじたらチョキ、左目をとじたらパー」
('A`)「それだ!」
('A`)「だっさなきゃ負けよ!」
(´・ω・`)「さいしょはグー!」
(>A<)(´>ω<`)「じゃんけんぽん!」l从>∀<ノ!リ人
(>A<)(´>ω<`)「………」l从>∀<ノ!リ人
l从•д•ノ!リ人「じゃんけん、むずかしいのじゃ」
('A`)「ショボンのせいだぞ」
(;´・ω・`)「ごめんよ」
.
- 67 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:02:16 ID:SqT1CRpo0
7月31日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
今日は指を2本も見つけた!
はやく■■とじゃんけんできる日にならないかな。
■■は目を閉じればイッシュンだって言う。
でもボクにとって、ここにこられない2日はとってもとってもながーいんだ。ほんとだよ。
きっとオバケが時間をとめちゃってるにちがいないよ。
なんてイジワルなオバケなんだろう!
どうせならここにいるとき、とめてくれればいいのに。
ボクのトモダチへ。
キミはじつに頭がいいね!
トモダチに会うだなんて、考えもしなかったよ!
言ってなかったけど、じつはボクらふたりいるんだ。
だから、4人で会いたい。■■とキミとボクらと。
あんまり遠くにはいけないんだけどさ。
ボクら夕ぐれにしかお外に出られないから。
.
- 68 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:03:31 ID:SqT1CRpo0
――8月2日
∬ ´_ゝ`)
(*^ω^)「やっと右手ができたおね!」
∬ ´_ゝ`)「ありがとう。ブーンたちのおかげよ」
(*^ω^)「おっお!おやすいごようだお!」
∬ ´_ゝ`)「ワタシ、もしも手が戻ったならまっさきにやりたかったことがあるの」
∬ ´_ゝ`)「きいてもらえるかしら?」
(*^ω^)「なに?なんでも言ってよ、トモダチがのぞむならソラだってとんじゃうお!」
∬ ´_ゝ`)「この手をとって」
(*^ω^)「これでいい?」キュッ
∬ ´_ゝ`)「ええ。これがいい」
(*^ω^)「どうして笑ってるんだお?」
∬ ´_ゝ`)「ブーンこそ。どうして笑ってるの?」
(*^ω^)「ずっと姉者と手がつなぎたかったんだお!」
(*^ω^)「姉者もずっと手がつなぎたかったのかお?」
∬ ´_ゝ`)「とってもね」
.
- 69 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:05:57 ID:SqT1CRpo0
(*^ω^)「姉者の手はつめたくってきもちいいお」
∬ ´_ゝ`)「ブーンの手はあったかいね」
(*^ω^)「さむくなったらボクのあったかいのわけてあげるお!」
(*^ω^)「だからいまは姉者のつめたいのわけてもらうお!」
∬ ´_ゝ`)「あら、ブーンったら。オヒッコシのことすっかり忘れちゃってるのね」
(;^ω^)「わすれてないお!
8月のおしまいにオヒッコシ!ほら、こんなにおぼえてるお!」
(*^ω^)「オヒッコシしたとこにも、あったかい日とつめたい日があればいいおね、姉者」
∬ ´_ゝ`)「ブーンあのね。ワタシ、いつかそんな日がきたならいいなって思ってるわ、でも」
∬ ´_ゝ`)「とても言いにくいけど……ワタシはここから出られないのよ」
(*^ω^)「ボクもだお!」
(*^ω^)「でもオヒッコシするんだお。でられるんだお!」
(*^ω^)「ボクがでられるなら、きっと姉者だってでられるお!」
.
- 70 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:06:38 ID:SqT1CRpo0
∬ ´_ゝ`)「ふふ。ブーンはいい子ね」
(*^ω^)「おー!ブーンいい子だおー!」
( ) ザザッ
( ^ω^)「おっ?」
∬ ´_ゝ`)「どうしたの?」
( ^ω^)「いまそこにだれかいた気がしたんだお」
∬ ´_ゝ`)「誰もいないように見えるけど。ヨウセイさんでもとおったのかしら?」
( ^ω^)「姉者がそう言うなら、きっとそうなんだお」
∬ ´_ゝ`)「そろそろきょうの気持ちを日記につけておきましょうね」
(*^ω^)「うん!きのうのきのうのトモダチはゲンキかな?」
( ^ω^)「おっ?これって……」
.
- 71 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:07:18 ID:SqT1CRpo0
8月2日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
右手のはんぶんを見つけたお!
■■に右手がくっついたお!
ぎゅーってしたら、ボクと■■の手はあったかい手とつめたい手だってわかったお。
あったかい日だってつめたい日だって、ふたりでいればサイキョーだお!
ボクのトモダチへ。
ボクとキミらはおそろいだお!
ボクもあんまり遠くにはいけないんだお。
ここがセイイッパイだお。
それに■■をおいてけぼりにできないお。
ひとりぼっちは、にがーいオクスリよりも、
いたーいチュウシャよりも、こわいことだって知ってるお。
.
- 72 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:08:10 ID:SqT1CRpo0
だれかさんへ。
だれですか?
トモダチになってくれますか?
.
- 73 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:08:50 ID:SqT1CRpo0
――8月3日
('A`)「はあ」
l从•д•ノ!リ人「あー!タメイキ!」
l从•д•ノ!リ人「タメイキつくとしあわせが逃げちゃうのじゃ!」
('A`)「そんなんで逃げちゃう弱っちいしあわせなんかいりませんー」
l从•∀•ノ!リ人「しあわせに強いとか弱いとかあるのじゃ?」
('A`)「人間さまの気持ちなんて、お人形さんにはわからないだろうな」
l从•∀•ノ!リ人「わかるのじゃ!」
('A`)「わからないね」
l从`•∀•ノ!リ人「こうなりゃあジツリョクコウシだ、なのじゃ!」
('A`)「のぞむところだ!」
.
- 74 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:09:33 ID:SqT1CRpo0
('A`)「じゃんけんぽん!」l从•∀•ノ!リ人
l从*•∀•ノ!リ人「ワタシの勝ちー!20戦18勝なのじゃー!」
(;'A`)「まてよ。まだ19戦17勝だからな!」
l从*•∀•ノ!リ人「もう1回!もう1回!」
(;'∀`)「いいぜ。そろそろ本気だすから!」
(;´・ω・`)「けほっ。ただいま、って、ちょっとふたりとも!ずるいじゃないか!」
(;´・ω・`)「ボクが穴にはいって探してるあいだに楽しいことしちゃってさ!」
('A`)「わるいわるい。そのスキマ、オマエしかはいれないからさ」
l从`•∀•ノ!リ人「シンケンにじゃんけんして待ってたのじゃ!」
(´・ω・`)「それでシンケンショウブはどっちが勝ったの?」
('A`)「そんなことより。あったか?」
(´・ω・`)「ばっちりね」
.
- 75 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:10:26 ID:SqT1CRpo0
l从•∀•ノ!リ人
('A`)「とうとう腹部のとこまでカンセイか。ようやくドレスがサマになったな」
(*´・ω・`)「わあ!おっきくなったね!」
l从*•∀•ノ!リ人「まだまだ!これからもーっとおっきくなるのじゃ!」
('A`)「臀部を見つけたら、足もくっつけられるな」
(*´・ω・`)「そしたら妹者!ボクらといっしょに遊ぼうよ!なにがいい?」
l从*•∀•ノ!リ人「うんとね、探検ごっこがいい!
ドクオとショボンが迷子にならないように、ワタシが先を歩くのじゃ!」
('A`)「おい。タイチョウはオレだぞ」
l从`•∀•ノ!リ人「じゃんけんでシンケンショウブなのじゃ!」
('A`)「そ、それはともかく」
〜♪
(´・ω・`)「?」
.
- 76 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:11:13 ID:SqT1CRpo0
('A`)「ショボン?どこ見てんだ?」
(´・ω・`)「ううん。気のせいだったみたい」
(´・ω・`)(またあの歌が聞こえた気がしたんだけど)
('A`)「いいのか?このかんじだとショボンとおんなじか、
もしくはコイツのがおっきくなるぞ!」
(;´・ω・`)「えっ!?だめだめ!それはこまるよ!」
(;´・ω・`)「妹者!やっぱりだめ!これ以上おっきくならないで!」
l从*•∀•ノ!リ人「まかせるのじゃ!つぎはワタシがショボンだっこするのじゃ!」
(;´・ω・`)「だめー!!せめてもうちょっとまってよ!いそいでおっきくなるから!」
('A`)「どんだけ未来のはなししてるんだか。そろそろ日記を……えっ?」パラパラ
('A`)「8月1日の日記がある」
(´・ω・`)「ウソ!見せて見せて!」
.
- 77 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:11:57 ID:SqT1CRpo0
8月1日
兄弟のためにありがとう。
,
- 78 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:12:36 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「『兄弟のためにありがとう』?」
l从*•∀•ノ!リ人「兄弟!?」
('A`)「もうひとりが書いたんじゃないのか?」
(´・ω・`)「ううん。字がまるでちがう」
('A`)「じゃあいったいだれが」
l从*•∀•ノ!リ人「ワタシの兄さんなのじゃ!」
(´・ω・`)「妹者のお兄さん?」
('A`)「ってことは、人形か?」
l从•∀•ノ!リ人「ううん。おっきい兄さんは人間なのじゃ!」
(´・ω・`)「えっ?でも兄弟って?」
l从•∀•ノ!リ人「兄弟は兄弟じゃよ!」
('A`)「オレとショボンみたいなもんってことだろ」
(´・ω・`)「なるほど」
.
- 79 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:13:14 ID:SqT1CRpo0
8月3日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうはカベにあいた穴の中からお腹のとこを見つけた。
■■の体がもとに戻っていくのはうれしい。
でもほんのちょっぴり、もうすこしだけこのまんまでいたいって思っちゃうんだ。
なんでだろうね?
それとね、ボクが穴にはいって探してるあいだ、
ふたりはじゃんけんしてあそんでたんだよ!ひどいや!
穴の中ときたら、そりゃあもう!
せまくって、まっくらで、ひとりぼっちだったんだから!
でもね、ふたりが楽しそうにしてるのが聞こえてたから、あんまりこわくはなかったんだ。
ヒミツだけどね。
.
- 80 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:14:06 ID:SqT1CRpo0
ボクのトモダチへ。
ボクだっておんなじだよ。
トモダチをひとりぼっちになんかしやしないよ。
■■の兄弟さんへ。
はじめまして。
あなたもいっしょにさがしてくれるの?
.
- 81 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:15:14 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「ねぇ妹者?きょうはさ、いっしょにボクらの園に帰ってみない?」
l从•∀•ノ!リ人「園?」
(*´・ω・`)「ボクとドクオがすんでるおうちってこと!」
(*´・ω・`)「もちろん園の先生とみんなにはヒミツだよ!だめかな?」
('A`)「だめです」
(;´・ω・`)「あ、あしたの夕ぐれには戻るって言っっても?
ほんのちょっぴりいっしょにいるだけでも?ほんとにだめ?」
('A`)「だめ」
(;´・ω・`)「犬や猫とちがって、妹者は食べられないよ?」
('A`)「だーめ!」
l从•∀•ノ!リ人「ショボン、ワタシここにいるのじゃ」
(;´・ω・`)「でも」
l从•∀•ノ!リ人「また3日ごに会えるのじゃ!」
('A`)「ショボン、帰ろう。また3日ごな」
(´・ω・`)「……うん。また3日ごに」
.
- 82 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:15:53 ID:SqT1CRpo0
8月4日
左足を見つけた。
もちろんだ。
流石なオレらが未たからにはもう全心してくれ。
これはもともとオレらがはじめたことだからな。
よろしく頼むぞ、みんな。
.
- 83 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:16:46 ID:SqT1CRpo0
――8月4日
(´<_` )
( ´_ゝ%)「この足はオマエの足だな、弟者」
(´<_` )「兄者、日記にはなんて書いてあるんだい?」
( ´_ゝ%)「んっ?いま、流石な兄が書いた日記を読みたいと言ったのか?
その青と緑の目からカンドウとソンケイのナミダを流すジュンビはできたかい?
できたならば、いいだろう!これより読み聞かせをはじめる!」
(´<_` )「ぜんぶ兄弟の名前語で書いてくれたなら、
兄者なんかにおねがいしないで書いたり読んだりできるというのに」
( ´_ゝ%)「しかし兄弟の名前は日記に書けないって書いてあったぞ」
( ´_ゝ%)「オレの名前語になってしまうな?」
(´<_` )「どんな風に?」
.
- 84 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:17:32 ID:SqT1CRpo0
( ´_ゝ%)「兄兄者兄者兄者者、兄者!」
(´<_` )「ふふっ。いらない」
( ´_ゝ%)「ははっ!そうか!」
(´<_` )「なんと言ったんだ?」
( ´_ゝ%)「『流石だよな、オマエの兄!』」
(´<_` )「絶対にいらない」
( ´_ゝ%)「ははっ!照れ屋さんめ!」
( ´_ゝ%)「この中指と薬指と胸は妹者、腕と親指と人差し指と首と腹は姉者か」
( ´_ゝ%)「右手の小指もオマエだな」
(´<_` )「よくわかるな、兄者」
( ´_ゝ%)「わかるさ。なんせ兄弟だからな。わからないのか?弟者、オマエは?」
(´<_` )「わからないさ。なんせ兄弟だからな。だれがだれだっておんなじだよ」
.
- 85 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:18:12 ID:SqT1CRpo0
――8月5日
(*^ω^)「姉者ーおようふく持ってきたおー!」ドサッ
∬ ´_ゝ`)「まあ!ワタシのために、こんなにたくさん?」
(*^ω^)「好きなだけえらんでよ!これとかどうかお?」
∬ ´_ゝ`)「そうね。ワタシ、これがいいわ。ブーンがえらんでくれたんだもの」
(*^ω^)「姉者がそれがいいって言うなら、それがいいお!」
(*^ω^)「おっ?これボウシもついてるお!キレイだお!
でも姉者のお顔がかくれちゃうお……」
∬ ´_ゝ`)「ふふふ。せっかくだから帽子もいただくわ」
( ^ω^)「ほかにはどれがいいお?」
∬ ´_ゝ`)「ううん。これだけでいいわ」
( ^ω^)「ひとつだけでいいのかお?」
∬ ´_ゝ`)「ひとつだけで充分よ。ありがとう、ブーンはやさしい子ね」
.
- 86 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:18:56 ID:SqT1CRpo0
8月5日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうは指をいっぱい見つけたお!
ママのおへやから■■のおようふくを持ってきたお。
どれがいいのかわかんなくって、両手いっぱい持ってきたお。
■■はまっくろいワンピースを「これがいい」って言ったお。
■■がいいって言うなら、ボクも「それがいい」って言ったお。
ほんとはね、なんだっていいんだお。きっとなんだって似合うお!
あとからママたちがきて、カミナリをおとされたお。
いたくていたくて、ナミダがポロポロでてきたお。ちょっとしたらとまったお。
ママが「ソウギヨウのおようふくがない」って言ってたお。
ヒミツの中のヒミツの場所にかくしたから、■■もおようふくもぜったいに見つからないお。
ママ、ちょっとだけかしてください。あとでぜったいに返しますから。
ボクのトモダチへ。
やった。トモダチがいっきに4人も!
左手さんがいっぱいだお。
.
- 87 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:19:52 ID:SqT1CRpo0
――8月6日
(´・ω・`)「妹者のお兄さんってたのもしい人だね」
l从*•∀•ノ!リ人「えへへっ。おっきい兄さんはねー、たのもしくっておもしろくって!
ちっこい兄さんはー、しっかり者でいつもみんなのお世話してくれて!
姉さんはー、強くってキレイでやさしいのじゃ!」
(*´・ω・`)「大スキなんだね」
l从*•∀•ノ!リ人「大大大大大スキなのじゃ!」
('A`)「オマエのでっかい方の兄さん、かっこつけてるけど字まちがってるぞ」
('A`)「『未た』は『来た』、『全心」は『安心』だろ」
(´・ω・`)「ドクオだって人のこと言えないじゃん。字へたっぴだから書かないくせに」
('A`)「ぶつぞ」
(;´・ω・`)「やめてよね」
.
- 88 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:20:35 ID:SqT1CRpo0
l从•∀•ノ!リ人「ワタシも日記書きたいのじゃ!」
('A`)「自分の名前しか書けないんだろ?自分の名前語でもつかうのか?」
l从*•∀•ノ!リ人「名前語……名前語!名前語!」
(*´・ω・`)「それはいい考えだね!」
(;'A`)「いいもんか!ああもう忘れろ忘れろ」
l从•д•ノ!リ人「ドクオ、おねがいなのじゃ!」
(´・ω・`)「ボクからもこのとおり!晩ごはんのおかずいっこあげるから!」
('A`)「はあ。しょうがないな、一言だけだぞ?」
(*´・ω・`)「そうこなくっちゃ!」
l从*•∀•ノ!リ人「わーい!がんばるのじゃー!」
('A`)「一言だけだからな。どの言葉にするんだ?」
l从`•∀•ノ!リ人「それならもう決めてあるのじゃ!」
.
- 89 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:21:23 ID:SqT1CRpo0
8月6日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
ツボの中から腕のはんぶんを見つけた。
もうひとりが「ニノウデだからくっつけられる」ってくっつけたよ。
でもなんだかさみしそう。はやく先っぽを見つけてあげなくっちゃ!
それとね、じつはいま■■とヒミツのトックン中なんだ。
ヒミツの中のヒミツのトックンだから、みんなにはヒミツだよ!
いつか見せられる日まで、楽しみにしておいてね!
ボクのトモダチへ。
おようふく?まっくろいボロボロのドレスをきてなかった?
前に■■が兄弟みんなでパーティーをしたときのドレスだよ。
.
- 90 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:22:11 ID:SqT1CRpo0
8月7日
会おう。
日付は8月10日。
時間は6時。
場所はここの入り口。
侍ってるぞ。
.
- 91 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:23:00 ID:SqT1CRpo0
――8月8日
(*^ω^)「ずんちゃっちゃーずんちゃっちゃー♪」
∬ ´_ゝ`)「ブーン、重くない?」
(*^ω^)「クマさんのぬいぐるみみたいに軽いお!」
(*^ω^)「体がなおったら、またボクとおどってくれるかお?」
∬ ´_ゝ`)「よろこんで。ブーンがそれがいいなら、ワタシもそれがいいわ」
(*^ω^)「やった!ずんちゃっちゃーずんちゃっちゃー♪」
∬ ´_ゝ`)「ふふ。楽しいね、ブーン?」
(*^ω^)「ごきげんのおどりだお!」
∬ ´_ゝ`)「ごきげんのおどりだね。よっぽどごきげんなことがあったのね?」
(*^ω^)「これからあるんだお!えっとねー、ほら、日記のここのとこ!」
(*^ω^)「8月10日、6時!みんなに会えるんだお!」
.
- 92 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:23:53 ID:SqT1CRpo0
(*^ω^)「ヤクソクとか、マチアワセとか、はじめてのことばっかりでドキドキしてるお」
∬ ´_ゝ`)「ほんとね、すっごくドキドキ聞こえる。ブーンはすごいね」
(*^ω^)「ドキドキってすごいことかお?」
∬ ´_ゝ`)「ええ。こんなにすばらしい音ってないわ」
(*^ω^)「ねぇ、姉者?ボクはまだお外に出られないからできないけど、姉者は知ってるかお?」
(*^ω^)「ヤクソクとかマチアワセって、どうしたらいいんだお?」
∬ ´_ゝ`)「待ち合わせの相手を見つけてあげるのよ」
(*^ω^)「わかった!みんなを見つけてあげるお!」
∬ ´_ゝ`)「もし約束の時間になっても相手が見つからなかったら、
ずっとそこで待っていてあげるか、キミから迎えにいってあげてね」
(*^ω^)「うん、わかったお!」
.
- 93 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:24:50 ID:SqT1CRpo0
8月8日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
会いたいお!
でもボクはまだお外にでられないないお……。
だから、ここからみんなを見つけたら、おっきな声で歌うお!
「らーらららー」って歌が聞こえたら、それがボクだと思ってお!
.
- 94 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:25:49 ID:SqT1CRpo0
――8月9日
(´*・ω・`)「どうしよう、ドクオ!みんなに会えちゃうよ!」
('A`)「いくっきゃないだろ」
l从*•∀•ノ!リ人「会うっきゃないのじゃ!」
(;´・ω・`)「あっでも、先生が知らない人に会ったらだめだって」
('A`)「でたな、ヨウカイいい子ちゃんめ」
(;´・ω・`)「なんだって!」
l从•д•ノ!リ人「ショボンはおっきい兄さんたちに会いたくないのじゃ?」
(;´・ω・`)「そりゃあ会いたいよ!だってトモダチだもん!あっ……」
『トモダチじゃなくっちゃトモダチには会えないよ』
『オマエはいい子か?それともトモダチか?』
(;´・ω・`)「……うっ、会う!会うよ!トモダチのがいいもんね!」
l从*•∀•ノ!リ人「うん!ショボンはトモダチなのじゃ!」
.
- 95 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:26:39 ID:SqT1CRpo0
('∀`)ノ「けけけ。ショボン」
(;´・ω・`)ノ「な、に?」
(;´・ω・`)人('∀`) パシンッ
('∀`)「ようこそのハイタッチ」
(;´・ω・`)「えっ?えっ?」
ヾl从*•д•ノ!リ人「あー!ワタシもやるー!ワタシもやるのじゃー!」
('∀`)「なんでだよwwwあーはいはい」
('∀`)人l从•∀•*ノ!リ人 ペチッ
l从*•∀•ノ!リ人「ようこそのハイタッチ?」
('∀`)「よくやったのハイタッチ」
ヾl从*•∀•ノ!リ人「ショボンも!ショボンも!」
(*´・ω・`)ノ「うん!」
(*´・ω・`)人l从•∀•*ノ!リ人 ペチッ
(*´・ω・`)「なんのハイタッチ?」
l从*•∀•ノ!リ人「えっとね、大スキのハイタッチ!」
.
- 96 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:27:20 ID:SqT1CRpo0
(´・ω・`)「もしもみんなに会ったらどうする?」
('A`)「決まってるだろ、約束するんだよ」
('A`)「またいつか会おう、って」
(´・ω・`)「またいつかの日に会えたら?」
('A`)「また約束するんだよ」
(´・ω・`)「いいね、それ」
('A`)「……なあオマエさ、これはもしものはなしなんだけど、もしもだよ?」
('A`)「もしも、先生がわるい人だったらどうする?」
(´・ω・`)「えっ……どうしてそんなこと聞くのかな?」
(;'A`)「いや、もしものはなしだよ!わかるか?ウソんこのはなしってこと!」
(´・ω・`)「どうするって、そんなの……」
(´・ω・`)「こらしめるに決まってるじゃないか!」
.
- 97 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:28:06 ID:SqT1CRpo0
8月9日
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
会おう会おう!こんなのってまるで夢みたい!
知らない人と会っちゃだめって先生は言ってたけど、ボクたちトモダチだもんね!
もしも会えたら、ヤクソクしようね!
「またいつか会おう」って!ぜったいだよ!
.
- 98 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:28:46 ID:SqT1CRpo0
8月10日
どうしてこなかったんだ?
.
- 99 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:29:23 ID:SqT1CRpo0
――8月11日
l从•∀•ノ!リ人「のじゃ?」
(´・ω・`)「おはよう、妹者」
l从*•∀•ノ!リ人「ショボン!」
(´・ω・`)「へへっ。きちゃった」
l从*•∀•ノ!リ人「3日ってあっというまなのじゃ」
l从*•∀•ノ!リ人「ちょっとまぶたを閉じたら、みんなとすぐ会えるのじゃ」
(´・ω・`)「それがまだ2日なんだよ」
(´・ω・`)「10日にみんなで会う約束してるって言ったね?」
(´・ω・`)「でもね、ずーっとまってたって、だーれもこなくってね」
.
- 100 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:30:17 ID:SqT1CRpo0
(#'A`)「一言わるぐちを言ってやらないと気がおさまらない。
このままでは世にもおぞましいことをしてしまいそうだ!」
(´・ω・`)「ドクオがずっとこんなかんじなんだよ。10日の日記を見てから、もっと怒っちゃって」
(´・ω・`)「みんなと会うの楽しみにしてたからね」
l从•∀•ノ!リ人「世にもおぞましいことって?」
(´・ω・`)「なんだろう?ゴミ置き場にとじこめられること?」
l从•д•ノ!リ人「ひとりだけオヤツぬきにされること?」
(´・ω・`)「棒でたたかれたり、紐でぐるぐるにされたり、石をなげられること?」
l从•д•ノ!リ人「おっきい兄さんとのイタズラがバレて、ちっこい兄さんにセッキョウされること?」
(;´・ω・`)「ひゃ〜!」
l从;•д•ノ!リ人「ひゃ〜!」
('A`)「それは、こっちの、セリフだ、と」キュッキュッ
.
- 101 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:30:48 ID:SqT1CRpo0
8月11日
それはこっちのセリフだ。
(;´・ω・`)「よしなよ。きょうはボクらの日じゃないでしょ」
('A`)「よさなくない!」
(;´・ω・`)「『これは気にしないで』って書かなくっちゃ」
(´・ω・`)「えっ」
.
- 102 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:31:22 ID:SqT1CRpo0
8月11日
それはこっちのセリフだ。
どういう
(´・ω・`)「『どういう』
8月11日
それはこっちのセリフだ。
どういうことだ?
(´・ω・`)「『ことだ?』」
.
- 103 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:32:00 ID:SqT1CRpo0
(;´・ω・`)「ドクオー!!ドクオドクオドクオ!!」
('A`)「な、んだよ急に。怒ったのかよ?」
(;´・ω・`)「いいから見て!!すごいよ!魔法だよ!
日記からね、文字がね!うかんできたんだ!」
('A`)「なに言ってんだよ」
8月11日
それはこっちのセリフだ。
どういうことだ?
だれかいるのかお?
('A`)「なんだこれ……」
.
- 104 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:32:43 ID:SqT1CRpo0
8月11日
それはこっちのセリフだ。
どういうことだ?
だれかいるのかお?
日記に文字が浮かんできた。
これはただごとじゃないぞ。
みんなかお?いるのかお?
みんなそこにいるの?でも見えないや。
ときに落ちつけ。
このままではだれがだれだかわからないな。
まずはオレの自巳紹介からはじめようじゃあないか。
みんな、流石なオレに読いてくれ。いいな?
オレは兄者……流石兄者だ。よろしく頼む。
.
- 105 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:33:38 ID:SqT1CRpo0
おっおー!ボクは内藤
↑まって!知らない人にはほんとの名前じゃなくっていいんだよ!
えっ。
わかったお。ボクはブーンだお!
そ、そうだぞブーン!ほんとの名前じゃなくっていいんだぞ!
(;´・ω・`)「書く前に書かれちゃったけど。もしかして流石兄者ってほんとの名前なのかな」
l从•∀•ノ!リ人「おっきい兄さんのほんとの名前じゃよ!ワタシ、流石妹者っていうのじゃ!」
(;´・ω・`)「あちゃー……だまっておいてあげようね」
('A`)「また字まちがってるんだよなあ」
ドクオ「この方が見やすいかな。オレはドクオ。こっちはトモダチのショボン」
ショボン「↑またかってにショボンって言った!」
ショボン「はじめまして!あれ?はじめまして、はちょっとちがうかな?」
ショボン「でもこうやって文字でおはなしするのははじめましてだよ!すごいや!」
.
- 106 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/25(金) 03:34:41 ID:SqT1CRpo0
兄者「きのうはどうしたんだ?」
ドクオ「↑ソイツはカガミにむかって言うんだな」
ショボン「きのうボクらちゃんと時間どおりいったよ。
6時に。オバケヤシキの入り口に。まっくらになるまで待ってたんだから」
ブーン「オバケヤシキ?」
ショボン「だってここときたら、ハイキョでまっくろ!
オバケだってにげちゃうくらいのオバケヤシキだよ!」
兄者「カガミの中のオレも流石だったぞ」
ドクオ「ほんとにカガミにむかって言ってきたのか?あきれた!」
兄者「きのうはオレも狐児院の入り口にいたぞ。
日ごとに赤くなっていく夕ぐれを見てた」
ブーン「ボク、マドからおうちの入り口を見てたお。ひとっこひとり見つからなかったけど」
ショボン「みんなここにいた、ってこと?」
ドクオ「なあ。これって、もしかして」
ショボン「きっとボクもキミとおんなじこと考えてる」
ブーン「おっ?なになに?なんだお?」
兄者「どうやらオレらは別世界にいるようだな」
.
- 109 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:37:35 ID:OaVkALts0
ドクオ「パラレルワールドってやつだ」
ブーン「パラレルワールド」
ショボン「パラレルワールド」
ドクオ「オレたちは絶対に会えないくらい遠い遠いとこにいる、ってことだよ」
ブーン「会えないのかお?ほんとのほんとに?
ボク、トモダチに会えるならなんだってするお!」
ショボン「なーんだ、がっかり。一回でいいからみんなに会いたかったな」
ドクオ「こうしてはなしてるだけで、キセキみたいなもんなんだよ」
.
- 110 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:38:31 ID:OaVkALts0
兄者「みんな、オレのはなしを聞いてくれ。ずっと気になってた」
兄者「ブーンのところにいるのはオレの姉、
ドクオとショボンのところにいるのはオレの妹だと思う」
兄者「オレのところにいるのはオレの弟だ」
ショボン「3人ともベツジンってこと?どおりではなしがすれちがうと思った!」
ドクオ「どういうことだ?集めてるのはひとりの体だろう?」
ショボン「どうしたら■■と兄弟をまた会わせてあげられるかな?」
ブーン「おっ?おっ?どういうことだお?」
兄者「まあ侍て。くわしい自巳紹介は自分の番になったらすることにしよう」
ドクオ「↑あちこち漢字まちがってる」
兄者「えっ」
.
- 114 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:44:10 ID:OaVkALts0
――8月12日
(´・ω・`)「空が真っ赤だね」
('A`)「きのうよりずっと赤いな」
(´・ω・`)「赤い。あしたになるごとに、どんどん赤くなってる気がするよ」
l从•∀•ノ!リ人「お部屋が真っ赤っかじゃ!もえてるみたいなのじゃ」
('A`)「もえるわけないだろ」
('A`)「そろそろ戻った戻った。
オレは体さがし、ショボンは日記、オマエは文字の練習だ。返事は?」
(´・ω・`)「はーい」
l从•∀•ノ!リ人「はーい!レンシュウはまかせるのじゃ!」
('A`)「あー……オレのマネっこからはじめような」
('A`)「まずペンを持つ!」
l从•∀•ノ!リ人「持つ!」
(;´・ω・`)「キミたちってまるで、ナイフを持つようにペンを持つね」
.
- 115 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:44:52 ID:OaVkALts0
('A`)「紙に書く!」
l从•∀•ノ!リ人「書く!」
('A`) 妹者
l从•∀•ノ!リ人 〆¥〒
l从`•∀•ノ!リ人「じょうずに書けたのじゃ!」
('A`)「なんてこった。オマエこれ、口でペンくわえて書いたときと変わらないぞ」
(´・ω・`)「ジコショウカイってなに書けばいいの?」
('A`)「なんだっていいんだよ。オレたちのことなら」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオ!つぎこそじょうずに書けたのじゃ!どうじゃ?」
(´・ω・`)「ねぇドクオ、ジコショウカイってこれでいいのかな?」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオ、ドクオ!」
(´・ω・`)「ねぇドクオったら」
(;'A`)「だあああ!うっとうしい!」
.
- 116 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:45:45 ID:OaVkALts0
8月12日 ショボン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
日づけのトナリに書いてる人の名前をつけてみたよ。
これドクオの案なんだ!
自巳紹介いき←まちがえた
自己紹介いきます。
ボクらの世界は先生にガスマスクをつけるように言われるような、そんな世界です。
なんだかここのとこ、おかしなことが起きてるみたい。
先生はなんにもおしえてくれないけど、ボクらは知ってるんだ。
「ガイコツ病」って言うんだって。ドクオが教えてくれた。
ボクらは「いい子の住処」って園にすんでいてね、
そこのゴミ置き場にもガイコツがいっぱいやってきたんだ!
園のみんなも何人かつれていかれちゃったみたい。
もともと園のみんなはいっぱいやってきて、いっぱいいなくなって、ってことだらけだったけど、
ゴミ置き場のガイコツはどんどんふえていくんだ。
やっぱりドクオの言ったとおり。
ガスマスクなんて意味なかったね。
.
- 117 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:46:30 ID:OaVkALts0
ブーン「ガイコツ病ってなんだお?」
ショボン「ガイコツいうしろいカタマリが、どこからともなくやってくるんだよ」
兄者「人間が病気でなるんじゃなくってか?」
ショボン「えっ?ガイコツってボクらがなるってこと?」
ドクオ「ガイコツがやってきて、人間をどっか遠いとこへつれていっちゃうんだよ」
ショボン「そうそう。でもこわがらなくって大丈夫だよ」
ショボン「ガイコツってオバケじゃないからね!だって足があるんだもん!」
兄者「しかし狐児院か
ドクオ「↑孤児院な」
兄者「孤児院か。どうやらオレらとオマエらは、同じ遠命のもとに生ま
ドクオ「↑運命な」
兄者「世界一流石なオレの弟みたいなことを言うヤツだな」
ドクオ「弟さんもタイヘンだな」
兄者「ほめ言葉か?オレの兄弟はみんな最高なのさ。なんせオレの兄弟だからな」
.
- 118 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:47:50 ID:OaVkALts0
――8月13日
(´<_` )「これは読める。ヤジルシというやつだろう?どうだ!」
( ´_ゝ%)「流石だな、弟者」
(´<_` )「兄者の言葉にむけられてるが、なんと書いてあるんだ?」
『ドクオ「↑あちこち漢字まちがってる」』
( ´_ゝ%)「オレが世界一流石でかしこくって強くってかっこよくって流石だと書いてあるんだよ」
(´<_` )「ウソをついてるな?」
( ´_ゝ%)「えっ」
(´<_` )「いつもナマケ者の兄者がかっこいい?
そんなこと、世界が逆さまになったってあるもんか」
(´<_` )「どうせ『兄者は流石だ』と書いてあるんだろう?」
( ´_ゝ%)「ははっ!バレちゃあしょうがないな!」
(´<_` )「おみとおしだぞ」
( ´_ゝ%)「ははははは。そのとおりだよ。そのとおりだ」
.
- 119 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:48:56 ID:OaVkALts0
(´<_` )「ではこれはなんと書いてあるんだ?」
( ´_ゝ%)「おお。なんでもこの兄に聞くといい」
『兄者「世界一流石なオレの弟みたいなことを言うヤツだな」』
(´<_` )「オレの名前の一文字がはいってるが、どうせロクなことじゃないんだろう」
( ´_ゝ%)「おっと!何故バレてしまうんだ?オレの弟は口うるさいと書いたんだ」
(´<_` )「そんなことだろうと思ったさ。どうせこちらも悪口なんだろう?」
『兄者「ほめ言葉か?オレの兄弟はみんな最高なのさ。なんせオレの兄弟だからな」』
( ´_ゝ%)「ははは!よくわかったな!」
(´<_` )「いまいましいヤツめ。
オレの体のなにもかもがもとに戻ったら、兄弟ケンカだからな…………」
( ´_ゝ%)「楽しみにしてるよ」
(´<_` )「……なにか言ったか?」
.
- 120 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:50:27 ID:OaVkALts0
8月13日 兄者
オレらの世界でもおかしなものがはやってる。
「ゾンビ病」と「人形病」というやつだ。
いや「ゾンビ病」はなくなったんだったかな?
いっしょにすんでた他の子供たちはみんな逃げてしまったよ。
いま孤児院に残ってるのはオレと兄弟とおじさんだけだ。
おじさんは狐児院をつくったおじさんだ。
たしか「杉浦ロマネスク」といったか。
いや侍て、本当の名前は言ったらいけないんだよな?
見てしまったな?
……オマエらはなにも見なかった、そうだろう?
「はい」とうなずくんだ。
.
- 121 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:51:16 ID:OaVkALts0
ブーン「ゾンビ病ってなんだお?」
兄者「人間が少しずつ少しずつくさっていく病気だよ」
ショボン「じゃあ、人形病って?」
兄者「人間が少しずつ少しずつ人形になっていく病気さ」
ドクオ「ちょっと待てよ。それじゃあ、■■は」
兄者「だから言ったろう?兄弟のためにありがとう、と」
兄者「おい、オマエら?なぜいきなり静かになるんだ?」
兄者「さみしいじゃないか。相手がオレだからってキンチョウすることはないんだぞ?」
兄者「おーい?」
.
- 122 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:52:17 ID:OaVkALts0
――8月14日
( ^ω^)「姉者は人間なのかお?」
∬ ´_ゝ`)「ええ。人間だったわ。驚かせちゃったかしら」
(*^ω^)「じゃあ、じゃあ!ボクとおそろいだおね!じつはボクも人間なんだお!」
∬ ´_ゝ`)「ふふ。そうね、おそろいね」
(*^ω^)「おそろいだお!体がそろったら、もっとおそろいになるお!」
∬ ´_ゝ`)「ブーンはすごいね」
(*^ω^)「ブーンすごいお?ママにはよく、イラナイ子って言われるお?」
∬ ´_ゝ`)「ブーンのステキなところが見えてるワタシはとっても幸福ね。
キミをいらないだなんて……残念だけど、彼女たちは重要な幸福を逃してるわ」
∬ ´_ゝ`)「兄弟に会ったら、胸を張って自慢したいくらいよ。
ワタシの大切なトモダチ、ってね!」
(*^ω^)「おー!姉者もボクの大切なトモダチだお!」
.
- 123 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:53:17 ID:OaVkALts0
8月14日 ブーン
ごきげんよう、これを読んでいるキミへ!
ボクは……よくわかんないお。
パパママボクとみんなで、このおうちで仲よくくらしてるお。
パパはパパはいつもおしごとでいないけど、おはようって言ったり、
ごはんくれたり、おやすみって言ったりしてくれるお!
ときどき痛いこともするけど、やさしくって大スキだお!
ママたちはボクがなにかするといつも怒るんだお。
大スキだけど、ちょっぴりこわいお。大スキだけどね。
.
- 124 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:54:23 ID:OaVkALts0
ドクオ「ブーンの世界はとっても平和な世界なんだな」
兄者「きっとオレらの世界ともっとも遠くはなれているのかもしれないな」
ショボン「ブーンにはパパとママがいるんだね」
ブーン「ドクオとショボンにはいないのかお?」
ショボン「パパとママがいないかわりに先生がいるよ」
ブーン「先生?」
ドクオ「父さんと母さんのかわりにオレたちの親をしてるってこと」
兄者「オレにも父者と母者はいないな。だが、兄弟がいるぞ」
ブーン「ボクにも■■がいるお!だからさみしくないお!」
ブーン「それにいまは、ドクオもショボンも兄者もいるお!」
兄者「そうだな」
ドクオ「ああ」
ショボン「いつか会いたいね」
ブーン「いつか会おう!ヤクソクだお!」
.
- 125 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:55:14 ID:OaVkALts0
8月15日 ショボン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
夕ぐれになったからいつもの待ち合わせ場所にいったら、ドクオがいなかった。
とうとうドクオにも置いてかれたんだ!って思った。
泣いちゃいそうになったけど、メモを見つけた。
「探しものをしてくるから、きょうはいけない」って。
ドクオがいないとうまく見つけられないや。
なんにも見つけられなかった。
.
- 126 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:56:24 ID:OaVkALts0
兄者「やれやれ。とうとうドクオまでかくれんぼはじめたのか?」
ブーン「おっ!かくれんぼお?ボクが見つけるお!」
ショボン「ううん。探しものって言ってたから、たぶん先生のお部屋にいったんだと思う」
兄者「まさかその先生とやらにオレらのことを教えてないだろうな?」
ショボン「それはないんじゃないかな。
ドクオったら先生と、あんまり相性よくないみたいだから」
ショボン「先生のお部屋には、ご本とシンブンがあるからね。
ドクオはここで文字を覚えて、ボクに教えてくれたんだよ」
ブーン「シンブン?」
ショボン「過去の人が書いた、世界の日記ってことだよ」
.
- 127 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:57:29 ID:OaVkALts0
ショボン「ブーンは文字がじょうずだね、パパとママに文字を教えてもらったの?」
ブーン「パパだお!いつでもお外にでられるように、って!」
ショボン「ブーンは体が弱いんだっけ?はやくでられるといいね」
兄者「うつくしい家放愛だな。まあオレらの兄弟愛も負けてはいないがな!」
ショボン「兄者は兄弟たちに文字を教えてあげないの?」
兄者「えっ」
ショボン「■■は自分と兄弟の名前しか読み書きできないって言ってたよ」
ブーン「■■もおんなじこと言ってたお!」
兄者「なぜだ?いらないだろう、なんせ読み書きできる者がいつもそばにいるのだから」
ショボン「なるほど。それもそうだね」
ブーン「だおね!」
.
- 128 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:58:31 ID:OaVkALts0
――8月15日
(´・ω・`)「見つからないねー」
l从•∀•ノ!リ人「見つからないのじゃー」
(´・ω・`)「いつもならドクオが『きょうはここ探すぞ!』ってつれてってくれるのに」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオ、どこいっちゃったのじゃ?」
(´・ω・`)「きっといまごろ園のゴミ置き場だよ」
l从•∀•ノ!リ人「ゴミおきば」
(´・ω・`)「うーん、なんて言えばいいかな、クマのぬいぐるみとか、
むかし大切だった宝物とか、あとはガイコツだとか、
みんなのいらないものが集まってくるとこ、ってこと……かな?」
(´・ω・`)「まいにちいろんなものが捨てられるんだ。山になっちゃうくらいに。
とっても臭くって汚くって、そりゃあもう、たまらないんだよ」
l从•д•ノ!リ人「タイヘン!ドクオをおたすけするのじゃ!」
(´・ω・`)「へっちゃらだよ、ドクオはいつもそう。
いい子のオキテをやぶって、ゴミ置き場に閉じこめられるんだ」
l从•∀•ノ!リ人「いい子のオキテ?」
(´・ω・`)「先生のいうとおりにしなくてはいけません、ってこと」
.
- 129 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 03:59:08 ID:OaVkALts0
(´・ω・`)「はいってはいけないところにはいってはいけません。
でてはいけないところにはでてはいけません」
(´・ω・`)「お外にでるときはガスマスクをつけなくてはいけません。
知らない人についていってはいけません。
顔を見られてはいけません。名前を知られてはいけません」
(´・ω・`)「ごはんを食べるときは両手をあわせて『いただきます』しなくてはいけません。
ごはんを食べるときに手をつかって食べてはいけません。
こぼしても、のこしても、はいてもいけません」
(´・ω・`)「トビラはしずかに開け閉めしなくてはいけません。
トビラを開け閉めするときは右手しかつかってはいけません」
(´・ω・`)「夕ぐれどきはみんなでおひるねしなくてはいけません。
ねむるときは片目を開けなくてはいけません」
(´・ω・`)「わるい人はこらしめなくてはいけません。
先生のいうとおりにしなくてはいけません」
(´・ω・`)「まだまだいっぱいあるよ。きのうまたひとつふえたんだ」
.
- 130 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:00:02 ID:OaVkALts0
l从•∀•ノ!リ人「すごいすごい!そんなに長いのぜんぶ覚えてるのじゃ?」
(*´・ω・`)「へへっ。まいにち朝と昼と夜5回みんなで読むからね」
l从•д•ノ!リ人「いい子ってタイヘンなのじゃ。ワタシも覚えられるかな」
(;´・ω・`)「覚えてくれなくっちゃ困る!
覚えられないわるい子は、みーんないなくなっちゃったんだから!」
l从•∀•ノ!リ人「さみしかった?」
(´・ω・`)「えっ?どういう意味?」
(´・ω・`)「ボクはさみしかったのかな?よくわかんないや。
みんなボクが自己紹介するとなんでか逃げちゃって、トモダチいたことないんだ」
(´・ω・`)「いっぱいやってきて、いっぱいいなくなって、いつもボクとドクオだけがのこるんだ」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオとショボンは兄弟なのじゃね」
l从•∀•ノ!リ人「ワタシもいつか、いい子になれるかな?」
(;´・ω・`)「妹者はとっくにいい子だよ!」
l从*•∀•ノ!リ人「ほんとなのじゃ?いい子のオキテ知らなくっても?」
(;´・ω・`)「そういえばそうだね。でもいい子だよ。これはぜったい!なんでかな?」
l从•∀•ノ!リ人「ドクオは?ドクオはいい子?」
(´・ω・`)「もっちろん、いい子だよ!ときどきわるい子の顔をするけどね」
.
- 131 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:00:47 ID:OaVkALts0
――8月16日
(´<_` )
( ´_ゝ%)「痛みはないか?」
(´<_` )「とっくにね」
( ´_ゝ%)「そうか!それはよかった!」
( ´_ゝ%)「ようやく胴体が完成したな。残るは片腕と両足か」
(´<_` )「兄者の針と糸さばきはザツすぎて、いまにも縫い目がほどけてしまいそうだ」
( ´_ゝ%)「ワガママ言うんじゃありません」
(´<_` )「机の上に座るのはよくないぞ。椅子に下ろしてくれ」
( ´_ゝ%)「さんざん机の上にいたくせに。そんなこと姉者も妹者も気にしないぞ」
(´<_` )「置かれるのと座るのとじゃ話がちがうのだ」
( ´_ゝ%)「先に言っておくぞ。また落としたらごめん」
(´<_` )「先に言っておくぞ。また割れたらごめん」
.
- 132 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:01:36 ID:OaVkALts0
「―――!」
( ´_ゝ%)「んっ?」
(´<_` )「んっ?」
( ´_ゝ%)「おじさんの声か?」
(´<_` )「おじさんって話すのか?」
( ´_ゝ%)「いや、オレが声を聞いたのは会ったときだけだが」
(´<_` )「なんにも聞こえないぞ」
( ´_ゝ%)「ふふん、きっとオレの流石っぷりに、ヨウセイさんが耳元で愛をささやいたんだな」
(´<_` )「かわいそうに」
( ´_ゝ%)「ヨウセイさんのことを言ってるのか?
そういうときは『かわいそう』ではなく、『かわいい』と言うんだ」
(´<_` )「かわいそうに」
( ´_ゝ%)「んー?弟者ー?」
.
- 133 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:02:36 ID:OaVkALts0
ヒタヒタ
(´<_` )「んっ?」
( ФωФ)
(´<_` )「!」
( ´_ゝ%)「おっと、おじさんはいまやって来たようだ。
やっぱりさっきの声は気のせ、いやヨウセイさんだな」
(´<_` )「気のせいって言った」
( ´_ゝ%)「気のせいじゃないか?」
( ФωФ)
(ФωФ )
ヒタヒタ
(´<_` )「いってしまった…………」
( ´_ゝ%)「よし書けたぞ。流石なオレの弟よ、そう待ちわびた顔をするな。
流石な兄の日記が読みたくって仕方ないんだろう?」
(´<_` )「……えっ?なに?聞いてなかった、もう一回」
( ´_ゝ%)「よし書けたぞ。流石なオレの弟よ、そう待ちわびた顔をするな。
流石な兄の日記が読みたくって仕方ないんだろう?、と言ったんだ」
(´<_` )「うわあ」
.
- 134 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:03:45 ID:OaVkALts0
8月16日 兄者
臀部を見つけた。
どうやらオレはかくれんぼのオニも流石にこなしてしまうようだ。
自分の才熊がこわい。
これでやっと胴体が完成だ。あとは片腕と、両足と、小指か。
1日に見つけられる体の数が決まっているのがユウウツだな。
いっそ一度にすべてを隠してくれたなら、眠らず探すことができるのに。
.
- 135 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:04:49 ID:OaVkALts0
ブーン「兄者はクマさんこわいお?」
ショボン「たぶんだけどね、才能、じゃないかな?」
兄者「いまなにか聞こえた気がする」
ショボン「ボクもいまなにか聞こえた気がする」
ブーン「ボクもだお。だれかさんの声がしたお」
兄者「オマエらもか。てっきりヨウセイさんのささやきかと思ったが、どうやらちがうらしい」
ブーン「兄者の世界にはヨウセイさんがいるんだお?」
ショボン「おはなしできるなんてすごいや!」
兄者「お、おお!流石だろう、オレ!」
ブーン「流石だお!」
ショボン「流石流石ー!」
ブーン「でもボクらにも聞こえたのはなんだったんだお?」
.
- 136 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:05:35 ID:OaVkALts0
ショボン「だれかさんの声が聞こえるだなんて、
やっぱりここってクウカンがゆがんでるのかな?」
兄者「どういうことだ?」
ショボン「わかんない。ドクオが言ってたんだ」
兄者「そのドクオはまたきてないのか?」
ショボン「そうなんだよ。探しものしてからおかしいんだ。
なんかずっとむずかしい顔しちゃってさ」
ブーン「おなか痛いのかお?」
ショボン「だったらいいんだけど。いまごろおなかをすかせてるだろうね」
ブーン「ボクもおなかへってきたお。ふたりともごはん食べたお?」
.
- 137 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:06:25 ID:OaVkALts0
兄者「ごはん?食べてないが……前はみんながおいてったおかし食べてたな」
ショボン「ずっとおかしだけってこと?」
兄者「ああ」
ブーン「いいなー」
ショボン「いいなー」
ブーン「ずっとおかしだけだと、怒られないお?」
兄者「怒られてたさ。弟にな。自分はなんにも食べないくせに」
( ´_ゝ%)「なあ?弟者」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「……弟者?」
.
- 138 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:07:42 ID:OaVkALts0
8月17日 ブーン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
右足と左手を見つけたお!
おっきなオナベでグツグツされて、
あやうくママやみんなに食べられちゃうところだったお!
あぶないあぶない!
「暑くない?痛くない?」ってボクは言ったお。
■■は「暑くない。痛くない」って言ったお。
でもボクの手は「あったかい」って。
オナベよりボクの手があったかいってことかお?
ためしにオナベをさわってみた。やっぱり、あつくなくないお!
.
- 139 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:08:40 ID:OaVkALts0
――8月17日
(*^ω^)「いまから右足をくっつけるから、姉者はお歌を歌ってよ!」
∬ ´_ゝ`)「ふふ。いいわよ」
∬ ´_ゝ`)「〜♪」ザッ
∬ ´_ゝ∀ ノ!リ人 ザザッ
( ^ω^)「えっ?」
( A )「ーーーー」ザザッ
(´ ω `)「ーー!」ザッ
( ^ω^)「!」
( _ゝ%)+「ーーーー、ーーーー。ーーーー、ーーーー!」ザザッ
( <_ ) ザザザ
.
- 140 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:09:42 ID:OaVkALts0
( ^ω^)「みんな……?」
l从 ∀ ノ!リ人
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ
∬ ´_ゝ`)「〜♪」
∬ ´_ゝ`)「キレイにくっついてるわ。ありがとう、ブーン」
( ^ω^)
∬ ´_ゝ`)「ブーン?」
( ^ω^)「おっ?みんな?みんなは?」キョロキョロ
∬ ´_ゝ`)「日記の中にいるわよ」
.
- 141 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:10:35 ID:OaVkALts0
ブーン「みんなー!!」
ブーン「みんなー!!」
兄者「呼んだか?」
ショボン「どうしたの、ブーン?」
ドクオ「よっ。ただいま」
ブーン「ドクオ!おかえり!」
ブーン「いま!いっしゅん!見えたんだお!みんな!」
ブーン「■■の右足をくっつけてね、それでお顔を上げたら!
知らない女の子がいて!■■が■■じゃなくなってたんだお!」
ブーン「まわりを見たら、みんないたんだお!みんな!みんな!
■■の兄弟も!ドクオもショボンも!兄者はふたりもいた!」
.
- 142 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:11:50 ID:OaVkALts0
ショボン「兄者はふたりいるの?」
兄者「もうひとりは兄弟だ。かっこいい方がオレで、流石な方がオレの弟だぞ」
ブーン「みんなお顔がなかったんだお……」
ブーン「かたっぽは机にすわってもうかたっぽにはなしかけてて、
もうかたっぽは椅子にすわってたお!かたっぽの目がガンタイで隠れてた!」
兄者「ほんとに見えていたというのか?椅子にすわってたのが兄弟だ」
ブーン「ショボンはちっちゃくって、マドのお外を見てた?」
ショボン「これからおっきくなるんだよ!!でもピンポンだよ。
また赤くなってるーって空を見てたんだ」
ブーン「ドクオはひょろひょろで、床でねっころがって日記開いてたお?」
ドクオ「ひょろひょろ言うな。ねっころがってたけど。なんでわかった?」
ブーン「見えたんだお!いっしゅんだけど!絶対に見えたんだお!」
ショボン「だれもうたがってなんかいないよ!いいないいな、ボクも見たいな」
兄者「ロマンだな」
ドクオ「やっぱり空間がゆがんでいってやがる」
ドクオ「夕ぐれはどんどんまっかになっていくし、時間だって昼と夜の間で止まってる」
兄者「それもロマンだな」
.
- 143 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:12:43 ID:OaVkALts0
――8月18日
(´・ω・`)「見つからないね」
('A`)「ああ」
(´・ω・`)「むずかしいこと考えてるときのお顔だね」
('A`)「い、いや別に……そう、アイツの体の部位がさ、
呼んだら返事してくれりゃ楽なのにな、って思ってさ」
('A`)「おーい、おーい!いないならいないって言えー!」
(´・ω・`)「おーい!妹者ー!」
<ナンジャー?
(´・ω・`)「あっ……ごめーん!妹者の体の部位の方ー!」
<ワカッタノジャー!
('A`)「あそこはもう見たっけ?」
(´・ω・`)「見てないと思う」
('A`)「よし、ついてこいショボン!」
(;´・ω・`)「なんですぐ走るのー!」
ドタドタ
.
- 144 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:14:32 ID:OaVkALts0
l从•∀•ノ!リ人 キュッキュッ
「〆¥〒」
l从•д•ノ!リ人 キュッキュッ
「〆¥〒」
l从*•∀•ノ!リ人「!」
l从*•∀•ノ!リ人「ドクオー!ショボンー!」
ドタドタ
(;'A`)「はあはあ、ど、した?」
l从*•∀•ノ!リ人「見て!いままでの中でイッチバンじょうずに書けたのじゃ!」
(ノA`)「オマエ……毎回それ言ってるじゃん……」
l从*•∀•ノ!リ人「マイカイじょうずになってるのじゃ!」
('A`)「ハイハイソウネ。もう一個の練習は?」
l从*•∀•ノ!リ人「これじゃ!」
.
- 145 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:15:52 ID:OaVkALts0
('A`)「……こっちはまあまあだな」
l从*•∀•ノ!リ人「やった!」
( ) ザザザッ
(;'A`)「うわっ」ガタッ
l从•∀•ノ!リ人「のじゃ?」
ドタドタ
(;´・ω・`)「もうー!ひとりぼっち怖いのしってるくせにー!ドクオここにきてるー?」
l从•∀•ノ!リ人「いるのじゃー」
(´・ω・`)「ありゃりゃ。尻もちなんかついてどうしたの?」
l从•∀•ノ!リ人「どうしたのじゃ?」
(;'A`)「そこでだれかがこっちを見てた気がして……」
(;´・ω・`)「ほんとに?まさか……わるい人?」
(;'A`)「いやなんでもない。気のせいだ、気のせい気のせい」
(´・ω・`)「おかしなドクオ。そうだ妹者、さっきボクらを呼んでなかった?」
l从*•∀•ノ!リ人「ショボンもこれ見て見て!」
.
- 146 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:17:11 ID:OaVkALts0
8月18日 ショボン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうはかなしいお知らせをしなくっちゃいけない。
まずはひとつめ、なんにも見つからなかった。
そしてふたつめ、■■がひとりで持てなくなっちゃった。
だっこしていこうとしたんだけど、■■の体ってばボクとおんなじくらいあるんだ。
おっきくって重くって、フラフラヨロヨロしてあぶないからだめだって。
お部屋でおるすばんさせちゃってごめんね。
ドクオが「だれかに見られてる気がする」って言ってびっくりしたよ。
そう思ってたのはボクだけだと思ってたから。
人間の目ってなんにも言わないのに、どうしてあんなにおしゃべりなんだろうね。
あとね、ドクオがみんなにだいじなおはなしがあるんだって。
.
- 147 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:17:59 ID:OaVkALts0
ドクオ「みんなそろってるか?」
ブーン「おはなしって?」
ショボン「じつはボクもまだ聞いてないんだ」
兄者「なんでもはなしてみろ。全て愛け止めるぞ」
ドクオ「↑漢字まちがってる」
兄者「えっ」
ドクオ「落ち着いて聞いてくれ」
ドクオ「気になることがあったから、ちょっとむかしのことについて探したんだよ」
ドクオ「それでわかったんだけどさ……」
ドクオ「『杉浦ロマネスク』は殺人鬼の名前なんだ」
ショボン「殺人鬼」
ドクオ「とってもわるい人ってことだよ、ショボン」
.
- 148 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:18:43 ID:OaVkALts0
ドクオ「先生の部屋にあったむかしの本に、
『たくさんの人にわるいことした』って書いてあったんだ」
ドクオ「くわしく調べる前に見つかったから、まだわかんないことだらけだけど……」
兄者「それは別世界の杉浦ロマネスクの話のだろう?」
兄者「オレらの世界の杉浦ロマネスクはそんなんじゃないぞ」
ドクオ「……そうだよな。そうかもしれないな。ただなんとなく、気になってさ」
兄者「ブーンの世界に杉浦ロマネスクはいるか?」
ブーン「見たことも聞いたこともないお。よく似た名前の人ならいるけど」
兄者「ふむ。ドクオとショボンのハイキョにはオマエらしかいないのか?」
ドクオ「ガイコツがいたよ」
兄者「それってもしかしてオマエらの世界の杉浦ロマネスクじゃないのか?」
ショボン「そんなはずないよ」
.
- 149 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:19:25 ID:OaVkALts0
(´・ω・`)「そんなはずない」
(´・ω・`)「だって……ボクのほんとの名前が杉浦ロマネスクなんだから」
('A`)「ショボンだよ、オマエは」
(´・ω・`)「杉浦ロマネスクなんだよ」
('A`)「オレと妹者にはただのショボンだよ」
(´・ω・`)「ねぇ、怖いよ。いつかボクはこの世界で会った兄者たちをいじめるの?」
('A`)「バカなこと言うなよ。できるもんか、オマエみたいな弱虫で泣き虫な、ただのいい子に」
.
- 150 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:20:12 ID:OaVkALts0
8月19日 兄者
流石なオレが見つけたぜ。これでようやく両足そろった。
兄弟は歩きたいと言ったが、まあときに落ちつけ、小指を見つけてからだ。
オマエらなにかかんちがいしてないか?
おじさんは殺人鬼じゃない、救世主だ。
オレらの世界の杉浦ロマネスクは、ずっとオレらと孤児院に住んでる。
フシギな男でな、気まぐれにあわられては、オレら兄弟4人をじっと見つめるんだ。
なんにも言わずに、なんにもせずに、ただじっと。
オレが兄弟を見るような目で。
なにかして欲しいとか、なにかが言いたいとか、そんなんじゃないと思う。
しばらくしたら「異常なし」と言わんばかりにいってしまうから。
正直なにを考えてるのかわからない男ではあったよ。
でももう何年もそんな関係だったから、安心してたんだ。
まさか兄弟の体を隠されるとは思わなかった。
.
- 151 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:20:55 ID:OaVkALts0
ドクオ「ちょっとまて。
■■たちの体にかくれんぼさせたのは、杉浦ロマネスクだったってことか?」
兄者「そうだが?」
ドクオ「そうだが?じゃないだろ。いますぐそこから逃げるんだよ!」
兄者「えっ。それはなぜ?」
ドクオ「人形とはいえ、オマエの兄弟の体をバラバラにしちゃうようなヤツだぞ!」
兄者「やっぱりオマエなにかかんちがいしてるな」
兄者「たしかに兄弟の体を隠されたせいで、
ぜんぶ見つけるまでここから出られなくなってはしまったが」
兄者「兄弟の体をバラバラにしたのは、オレだよ」
.
- 152 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:21:49 ID:OaVkALts0
兄者「姉と妹と弟はゾンビ病にかかっていてな」
兄者「体の先っぽからまっくろになって、つめたくなって、くさっていった。
父者も母者も先生もなんにもいないオレらは、
ただただ兄弟の命までくさるのを待つしかなかった」
兄者「これでおしまいだと思った。だから兄弟で最期のパーティーを開いた。
そこにやってきたのが、杉浦ロマネスクだ」
兄者「杉浦ロマネスクは指を持っていた。人形の小指だ。すべては一本の指からはじまった。
世界でイチバンの「宝物」だと言ってたが、少しだけけずってオレの兄弟に分けてくれた」
兄者「あれは人形病カンジャの指だったんだろう、兄弟はみんな人形病になった」
兄者「これで体がくさることはなくなったが、
すでにあちこちがくさってぐずぐずで、ずるりと落ちてしまっていてな。
幸い頭はみんな生きていたが、兄弟たちの生きてる部分を切ってつなぎ合わせたら、
ひとり分の体しかできなかったんだ」
兄者「それがいま、オレの目の前にいる■■だよ」
兄者「おい?だからなぜいきなり静かになる?」
兄者「続めない字があるのか?オレがおしえてやろうじゃあないか!」
兄者「おーい、おーい?」
.
- 153 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:22:56 ID:OaVkALts0
8月20日 ブーン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
■■が立ってるお!歩いてるお!トナリにいるお!
ボクがいつもフツウにやってたことが、こんなにうれしいなんて!
「いつものお礼に」って■■はおどり方を教えてくれたお!
むかしパパが見せてくれた、モノガタリの主人公になったみたいだった!
でもむずかしくって、じょうずにできなくって。
そしたら■■はボクの手をぎゅってして、くるくるって回って、
「ずんちゃっちゃーずんちゃっちゃー♪」って、いつもみたいにしてくれた!
「レイギとか、サホウより、楽しい方がいい」って■■は笑ってた。
■■が「それがいい」って言うなら、ボクも「それがいい」って思ったお。
体はぜんぶそろったって思ったけど、まだなにか足りないみたいだお。
いまのまんまでも、ボクとおそろいでステキなのに。
でも足りない「小指」を見つけたなら、きっともっとステキになるお!
.
- 154 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:23:47 ID:OaVkALts0
――8月20日
(*^ω^)ノシ「パパ、オシゴトいってらっしゃいお」
パタンッ
ヒラッ
(*^ω^)「おっ?なんだお?パパからボクへのお手紙かお?」ペラッ
(*^ω^)「おーん、むずかしい字ばっかりだおー。ヨコ、ヨコ、タテ、タテ……病院?」
(*^ω^)「あとでパパに読んでもらおうっと!」
コンコン
カタッ
(*^ω^)「もう大丈夫だお。でておいでよ!」
∬ ´_ゝ`)「驚いたわ。いきなり現れるんですもの。いまの人がブーンのパパ?」
(*^ω^)「そうだお!かっこいいんだおー!」
.
- 155 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:24:27 ID:OaVkALts0
(*^ω^)「パパがね、25日にオヒッコシだから、
大切なものをカバンにつめこんでおきなさい、って!」
(*^ω^)「だから姉者がはいるでっかいカバンをパパにおねがいしたお!」
∬ ´_ゝ`)「ブーンったら。またそんなこと言って」
(;^ω^)「うう、でもだめって言われたお」
(*^ω^)「ほんとはね、このおうち丸ごとはいるカバンが欲しかったんだお」
(*^ω^)「そうすればドクオとショボンと兄者と、姉者の兄弟もみんなずっといっしょだお!」
∬ ´_ゝ`)「そうだね、ずっとみんないっしょがいいね」
(*^ω^)「うん!ボク、こんなに楽しいの生まれてはじめてだお!」
.
- 156 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:25:17 ID:OaVkALts0
(;^ω^)「オヒッコシしたくないおー。
もしもオヒッコシしたら、みんなとどれくらい会えなくなっちゃうんだおね?」
∬ ´_ゝ`)「きっとまた、いつか会えるわ」
(*^ω^)「いつかっていつだお?」
∬ ´_ゝ`)「いつかは未来よ」
(*^ω^)「ずっとずっと先のことかお?」
∬ ´_ゝ`)「ふふふ。ブーン次第ね」
( ) ザザッ
(*^ω^)「おっ?」
(´・ω・`)「 ?」
(*^ω^)「ショボン?」
(´・ω・`)「 ?」
( ) ザザザザザザザッ
(*^ω^)「あっ!待って!」
.
- 157 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:25:57 ID:OaVkALts0
ショボン「ねぇ!いま!」
ブーン「見えた見えた!」
ドクオ「さわぐなさわぐな。どうどう」
兄者「そんなにいいものが見えたのか?」
ブーン「とびっきりいいものがね!」
ドクオ「イッシュンだけブーンにはショボンの、
ショボンにはブーンのことが見えたんだとさ」
兄者「なんと」
ショボン「うん!ヒミツの中のヒミツの場所にいたの、ブーンでしょ!」
.
- 158 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:26:40 ID:OaVkALts0
ブーン「なんでわかったんだお?」
ショボン「わかるとも!だってキミったら、まさしくブーンってかんじだった!
なんてあかるい笑顔をしてるんだい!」
ブーン「まっさきにボクの名前をよぶもんだから、声が聞こえたのかと思ったお!」
ショボン「えっ?ブーンにはボクが言ったことが聞こえたの?」
ブーン「聞こえないけどわかったお!」
ドクオ「へぇ。どうやって?」
ブーン「お口の動きでわかるんだお!
ボクのおうちには、お口がきけない子もいっぱいいるから」
兄者「すごい特技じゃないか。いつかオレにもやり方教えてくれ」
ブーン「もちろんいいお!」
.
- 159 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:27:45 ID:OaVkALts0
8月21日 ショボン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
まずはドクオからの伝言だよ。
「きょうほど■■の兄弟たちに会いたいって思ったことはない!」
きょうはみんなで探検ごっこをしたよ!
ドクオと■■はどっちがタイチョウやるかでケンカしてたんだけど、
ドクオがイケメンタイチョウで、■■がグレイトタイチョウで決まったみたい。
■■、ずっと走ってた!
ドクオ、おいかけてた!
ボク、おいてかれた!泣いた!
さいごはドクオも「だれかアイツとめてくれ」って言ってた。
■■は「まだまだー!」って、ボクとドクオの手ひっぱってった。
はしゃぎすぎてつかれちゃったのかな?いまはもうぐっすりだよ。
すっごく楽しかったけど、体は見つけられなかった。
小指さんはかくれんぼがおじょうずみたい。
- 160 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:28:52 ID:OaVkALts0
――8月21日
l从-∀-ノ!リ人 スヤスヤ
(´・ω・`)「それってどういうこと?」
('A`)「ここ、はじめは精神病院で、そのあとは孤児院になって、それから廃墟になったんだよ」
('A`)「兄者は孤児院にいるって言ってた」
('A`)「あのあと調べてびっくりしたよ。あの孤児院を作った人の名前、なんだと思う?」
(´・ω・`)「まさか!」
('A`)「そのまさかさ」
(´・ω・`)「杉浦ロマネスク……」
(´・ω・`)「もしかして、ボクたち……別世界にいるんじゃなくって……」
('A`)「ああ」
('A`)「過去と、現在と、未来にいるんだ」
.
- 161 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:29:59 ID:OaVkALts0
(´・ω・`)「ブーンはパパとママたちとおうちにいる、って言ってた」
(´・ω・`)「いつかここにはブーンのおうちができるんだね」
('A`)「兄者のいる世界が過去、オレたちは現在、ブーンは未来にいるってことか」
(´・ω・`)「未来」
('A`)「未来だ」
(´・ω・`)「ゾンビ病も、人形病も、ガイコツ病も知らない世界」
('A`)「いつかそんな未来がくるんだ。オレたちが守ってやらなくっちゃな」
(*´・ω・`)「こうしちゃいられないよ!はやくみんなに伝えなくっちゃ!」
('A`)「あーショボン、まだはなしの続きがあるんだ」
(´・ω・`)「あれ、でも、まって」
(´・ω・`)「じゃあ、妹者は……過去の人、ってこと?」
('A`)「……それがはなしの続きだよ。妹者が眠るまで待ってたんだ」
(;´・ω・`)「じゃあ、じゃあ!」
(;´・ω・`)「妹者はいつか……自分の時間に帰っちゃうってこと……?」
.
- 162 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:30:34 ID:OaVkALts0
ドクオ「よっ」
ブーン「おいすー!」
兄者「侍たせたな」
ドクオ「↑間違ってる」
兄者「特たせたな」
ドクオ「↑待たせたな」
兄者「待たせたな」
ドクオ「よし」
兄者「オレの弟かよ」
ブーン「ショボンは?」
ドクオ「……それより。オマエらにはなしておかなきゃいけないことがある」
ドクオ「じつはこの世界は――」
.
- 163 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:31:40 ID:OaVkALts0
――8月22日
( ´_ゝ%)「聞いたか弟者?もうすぐ人形病がなくなるらしい。
代わりに生まれたのがガイコツ病で、そのあとは平和な世界になるんだと」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「ははっ。覚えてるか?むかし、兄弟4人で虫をつかまえたな。
あの日もきょうみたいに、燃えるようなあつい日だった」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「ほう?セミ?それはまた、オレのように流石なイタズラを思いつくヤツもいたもんだな」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「名前までオレとそっくりとは!
こいつは見た目もそっくりにちがいないぞ。オマエじゃないのか?」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「ははははは!そう怒るな怒るな。
オマエら兄弟との思い出は、ひとつ残らずちゃんと覚えてるさ」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「ああ。窓からはいってきたひぐらしがひっくり返っていたよ。もうすぐ夏が終わるんだな」
(-<_` )「……兄、者?」
.
- 164 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:32:47 ID:OaVkALts0
(´<_` )「オレはどれくらい寝てたんだ?」
( ´_ゝ%)(3日だ、弟者。気がくるってしまうぞ)
( ´_ゝ%)「30分だ、弟者。目がくさってしまうぞ」
(´<_` )「ガラスの目がくさるものか。また眠ってる時間が増えてしまったな」
( ´_ゝ%)「どうだか。オマエのその青い目は、
空より澄み海より深いうつくしい青は、もともとオレのものだからな。
兄弟のだれかがかまってやらないと、いともたやすくイジけてしまうぞ」
(´<_` )「だからいらないと言ったのに」
( ´_ゝ%)「そうはいかない。兄弟を落として片目にヒビをつくったツミビトはどこのだれだ?
……この流石兄者さ!」
( ´_ゝ%)「それに、いまその目は姉者や妹者とつながってるんだろう?」
(´<_` )「ああ。ぜんぶではないけど、おたがいが見てるものが見える。
いま兄者のことも見てるかもな」
.
- 165 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:33:31 ID:OaVkALts0
(´<_` )「姉者や妹者はちゃんと楽しくやってるよ。ふたりのことは見えないけど、
兄弟ふたりに向けられる笑顔がうらやましいくらいにあたたかい」
( ´,_ゝ%) フッ
(´<_` )「なに」
( ´,_ゝ%)「あたたかい笑顔だ」
(´<_` )「兄弟がうらやましいよ」
( ´_ゝ%)「そうか!流石なオレがうらやましいか!」
(´<_` )「ああ、もういい」
(´<_` )「そういえばむかしのユメを見たよ。兄者はきっと、覚えていないだろうな」
(´<_` )「兄弟4人で食料の虫をつかまえにいったときのことだ。
どこかのバカときたら、つかまえたひぐらしをオレの背中からいれたあげく」
.
- 166 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:34:13 ID:OaVkALts0
(´<_` )「おい兄者?聞いてるのか?」
( ´_ゝ%)「ふ、ふふ。なんでもないさ」
(´<_` )「笑いごとじゃないぞ!そら見たことか!やっぱり忘れてるじゃ…………」
(-<_- ) カクッ
(-<_- )
( ´_ゝ%)「とうとう起きている時間のが短くなったか。
そのまま本物のお人形さんにでもなるつもりか?」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「病気ごときに負けるとは流石じゃないぞ、弟者。
それにくらべてこのオレ、もう数年も寝ていない!」
(-<_- )
( ´_ゝ%)「素晴らしいだろう?ナミダがでるだろう?
少しはオレを見ならって起きていたらどうだ?」
(´<_` ) パチッ
(´<_` )「……えっ?なに?聞いてなかった」
,
- 167 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:35:08 ID:OaVkALts0
8月22日 兄者
見つからない。
まだオレが知らない場所があるっていうのか?
.
- 168 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:35:55 ID:OaVkALts0
ブーン「ヒミツの中のヒミツの場所は?」
兄者「ヒミツの……なんと?」
ショボン「ヒミツの中のヒミツの場所だよ!」
兄者「んー?ハアクした」
ドクオ「ぜったいわかってない。床の下だよ」
兄者「床の下だと?」
ドクオ「そうか。オマエの時間の世界だと、まだ床に穴あいてないのか」
兄者「いやあったぞ、なかったが」
(´・ω・`)「えっ?それってどっち?」
.
- 169 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:36:45 ID:OaVkALts0
ブーン「『それってどっち?』」
ショボン「えっ?」
兄者「いまの声はなんだ?」
ドクオ「まさかショボンの声がみんなに聞こえたのか」
( ^ω^)「ごきげんよう、ごきげんよう、聞こえますかお?」
ショボン「あはは!これはブーンの声だね!」
ドクオ「わっかりやすいな」
兄者「つまり……」
( ´_ゝ%)「この声も聞こえてるということだな!よく聞くがいい!」
.
- 170 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:38:21 ID:OaVkALts0
ショボン「兄者もなんか言ってごらんよ!」
ブーン「聞きたいお!」
ドクオ「ほらはなせ、やれはなせ」
(´<_` )「聞こえなくなったようだ」
( ´_ゝ%)+「ふっ……いいさ、今日はこのへんにしておいてやろう……」
兄者「さて、そろそろはなしをもとに戻そう」
ショボン「えー」
ブーン「おーん」
ドクオ「いるって感じたり、姿が見えたり、声が聞こえたり……、
少しずつオマエらが近くなってる気がするな」
兄者「ああ。正直なにが起きてるのかはわからないが、これだけはわかる」
兄者「兄弟の体がもとにもどったら、きっとオレらは会える!」
.
- 171 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:39:25 ID:OaVkALts0
8月23日 ブーン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
目を覚ましたらまっくろいカゲがいてびっくりしたお。
どれくらいびっくりしたかというと、思わずおっきな声をあげちゃうくらい!
びっくりしておっきな声をあげたら、カゲたちもボクの声にびっくりした!
怖くってしばらくおふとんに隠れて見たら、
カゲも椅子にいるもうひとりのカゲを守りながら隠れてこっち見てて。
わかったんだお。
あれは別の時間にいる兄者たちだって。うれしくって追いかけたお!
声だって聞こえたお!
でもザザザッて音がおっきくって、なに言ってるのかまではわかんないお。
お空が真っ赤になって時計がなったら、ドクオとショボンもきた!
ふたりがはいってきて、うれしくってとびついたら、ふたりはおっきな声をだしてにげだした!
びっくりさせちゃってごめんって思ったお。
口でおはなしできないから、日記でおはなししながら、みんなで探しものをしたお。
■■の小指は、見つからなかった。
.
- 172 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:40:29 ID:OaVkALts0
ブーン「なんだがまるで、みんなまっくろこげみたいだお!」
ドクオ「よせよ、エンギでもない」
ショボン「兄者はいつもおかしな体勢してない?」
兄者「素直にかっこいいと言っていいぞ」
ショボン「みんな、ひとつ、いいかな?」
ショボン「あのさ、そんなにいそがなくってもいいんじゃないかな?」
兄者「なんだって?」
ショボン「えっとね、いそいで小指を探さなくってもいいんじゃないかな、って」
ショボン「だってそうすれば、もっとみんなといっしょに」
ドクオ「ショボンだめだ。オレたちはいそいで探すんだ」
兄者「ドクオの言うとおりだ。いそがなきゃいけない」
ブーン「うん。いそがなくっちゃだお」
ショボン「ちぇっ。ちょっと言ってみただけだよ」
.
- 173 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:41:17 ID:OaVkALts0
コンコン
カタッ
∬ ´_ゝ`)「ブーン?眠れないの?」
(*^ω^)「きょうはずっと起きて姉者とおはなしする日なんだお」
∬ ´_ゝ`)「まあ、そんなステキな日とはしらなかったわ。いらっしゃい」
(*^ω^)「ヒミツの中のヒミツの場所でねっころがるなんてはじめてだお」
∬ ´_ゝ`)「床の下に宝箱を作るなんて、とっても冴えたやり方だわ」
(*^ω^)「ここでかくれんぼしたなら、100年だって見つからないお!」
∬ ´_ゝ`)「ふふふ。ほんとだね」
.
- 174 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:42:22 ID:OaVkALts0
(;^ω^)「姉者、姉者。姉者は体がなおったら、自分の時間にいっちゃうってほんとかお?」
∬ ´_ゝ`)「そしたら悲しまないでいてくれる?」
(*^ω^)「姉者がそれがいいって言うなら、それがいいお!」
∬ ´_ゝ`)「……ねぇ、ブーン。ワガママ言っていい?」
(*^ω^)「いいお!」
∬ ´_ゝ`)「ワタシね、ブーンには自分の見たいものを見て、
自分の聞きたいものを聞いて、自分の生きたいように生きて欲しいな」
(*^ω^)「おっ?」
∬ ´_ゝ`)「キミがほんとにやりたいことって、なにかしら?」
(*^ω-)「ボクが、やりたい……こと?」
∬ ´_ゝ`)「ブーン?そろそろ寝ましょ?」
(*うω^)「ねてないお!ねてないお!こんなのへっちゃらだお!
きょうは姉者と朝になるまで、ずっとおはなししてるんだお!」
.
- 175 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:43:37 ID:OaVkALts0
( -ω-) スヤスヤ
∬ ´_ゝ`)「〜♪」
( -ω-)
∬ ´_ゝ`)
∬ ´_ゝ`)「おやすみなさいね、ブーン」
( -ω-)
∬ -_ゝ-)
ドタドタ
ガラガラ
.
- 176 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:44:44 ID:OaVkALts0
( -ω-)(外がにぎやかだお……パーティーかお……?)
( -ω-)(いいな、パーティー……みんなで音楽に合わせて、ずんちゃっちゃー……おどって……)
( -ω-)(でも……もう、ねむくって……目が…………)
( -ω-)
「はやく毛利先生を呼んで!」
「最近ウワサになってる奇病の患者さんですって」
「感染した患者さんが多すぎて、普通の病院だけじゃ対応しきれないらしいわ」
「とうとう精神科の病院にまで……」
「まだ詳しいこと分かってないんでしょ?」
「なんでも『ゾンビ病』って呼ばれてるらしいわよ」
.
- 177 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:45:39 ID:OaVkALts0
――8月24日
('A`)「空が真っ赤だ」
(´・ω・`)「これまで見てきたどの赤より赤いね」
('A`)「オマエの顔も真っ赤だぞ」
(´・ω・`)「ドクオの顔こそ」
('A`)「きっとアイツの顔も真っ赤にちがいないぞ」
(;´・ω・`)「もう。名前で呼んであげなよね、
せっかく妹者っていうステキな名前があるんだから!」
('A`)「一回くらいわな」
('A`)「名前といえばさ。なんでオマエの名前が『杉浦ロマネスク』だと思う?」
(;´・ω・`)「イジワルなことを言うね。そんなの、ボクが聞きたいよ」
('A`)「名前ってさ、たくさん人を助けた医者とか、警官とか、科学者とか、
有名な『えらい人』の名前をもらってつけるんだって」
('A`)「これがどういう意味かわかるか?」
(´・ω・`)「ううん」
.
- 178 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:46:48 ID:OaVkALts0
('A`)「杉浦ロマネスクは『えらい人』だったってこと!」
('A`)「先生が持ってた本に書いてあったんだ!
杉浦ロマネスクはさ、たしかに人形病を世界にひろめたよ。
すべてが一本の指からはじまった。
みんなは人形病になって、ちょっとずつ動かなくなっていった」
(´・ω・`)、
('A`)「でもな、ショボン」
('A`)「ゾンビ病だった人が人形病になって、助かったって人もいるんだよ。
痛いのも苦しいのもなくなって、大切な人たちといっしょにいられて、
幸せだって人たちが!」
('A`)「妹者たちみたいに」
(´・ω・`)「……!」
.
- 179 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:47:40 ID:OaVkALts0
('A`)「大人たちはヒミツにしてたけど、オレは知ったんだ!
兄者の言ったとおりだよ!
杉浦ロマネスクは殺人鬼であり、救世主でもあったんだ!」
('A`)「オマエは殺人鬼なんかじゃない!救世主になれるんだよ!」
(´・ω・`)「救世主」
('∀`)「みんなを救うヒーローってことさ!」
(´・ω・`)「どうすればなれるの?」
('A`)「それは……」
('A`)(先生の部屋……新聞の記事……8月25日……
杉浦ロマネスク……孤児院……放火……全焼……)
(´・ω・`)「ドクオ?」
('A`) ハッ
('A`)「……そら部屋についたぞ。話はまたあとだ、あと」
.
- 180 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:48:33 ID:OaVkALts0
ガチャッ
(´・ω・`)「やあ、おは」
ヾ(*^ω^)ノシ「ドクオー!ショボンー!」タタタッ
ヾl从*•∀•ノ!リ人ノシ「ドクオー!ショボンー!」タタタッ
(;´>ω<`)「わわっ!?」
('A`)「おっと」ヒョイッ
(ノ ω )ノ 「おんっ」ズシャッ
l从ノ д ノ!リ人ノ「ふぎゃっ」ズシャッ
( ´_ゝ%)「おいおい、ブーン?言っただろう?見えるし聞こえるけど、さわれないと」
( ×ω×)「おっおー……」
(;´・ω・`)「えっ?ごめん?えっ?えっ!?」
l从×д×ノ!リ人「ドクオはなんでよけたのじゃー……」
('A`)「あー。つい」
.
- 181 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:49:22 ID:OaVkALts0
∬ ´_ゝ`)「妹者、ブーン、大丈夫?ケガは?」
(*^ω^)「おっおー!へっちゃらだお!」
l从*•∀•ノ!リ人「へっちゃらおじゃー!」
(*´・ω・`)「あっ……ああ!わああ!ブーン、兄者、みんな……!!」
(*^ω^)「ショボン!やっと会えたお!」
( ´_ゝ%)「会いたかったろう?このオレに」
(*ノ´・ω・`)ノ「みんなー!!」タタタッ
( ´_ゝ%)「いま説明するが、オレらは別の時間の世界にいるから、見たり聞いたりはできるが」
(ノ´ ω `)ノ ズシャッ
( ´_ゝ%)「さわれないぞ。おっと、これは失礼。おそかったかな?」
('∀`)「けけけ。なんだこりゃあ」グーパーグーパー
( ´_ゝ%)「ドクオー?なぜオレの顔面の中で手グーパーするんだドクオー?」
.
- 182 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:50:07 ID:OaVkALts0
l从*•∀•ノ!リ人「おっきい兄さんったら、タイヘンだったのじゃよ!
ナミダでおぼれちゃうかと思ったのじゃ!」
l从*•∀•ノ!リ人「ねー!姉者!」
∬ ´_ゝ`)「ねー?タイヘンだったわね、ワタシと妹者に抱きつこうとして、
何回も何回もズシャーってしてたのよ」
( ´_ゝ%)「ふふん。そういう姉者だって、オレらを見つけたとたんに走りだしたじゃないか?
ズシャーこそしなかったが、机にぶつかったろう?
オレは見ていたぞ、なんせ四つ子の長男だからな!」
∬ ´_ゝ`)「あら。ぶつかってなんていないわ」
(*^ω^)「まだズシャー!ってしてないのは?ドクオだお!」
('A`)「あー……せっかくだけどエンリョしておく」
(´・ω・`)「この子は?」
(*^ω^)「姉者だお!えっとね、ドクオとショボンにとっての、妹者!」
∬ ´_ゝ`)「はじめまして。ドクオ、ショボン。兄弟やブーンとなかよくしてくれてありがとうね」
(*´・ω・`)「はじめまして!」
('A`)「はじめまして。……待てよ?ひとり足りないんじゃないか?」
.
- 183 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:51:21 ID:OaVkALts0
(-<_- )
l从•∀•ノ!リ人「ちっこい兄さんなのじゃ」
(;´・ω・`)「ひっ」
(;'A`)「!」
(*^ω^)「ふたりともどうしたんだお?」
l从•∀•ノ!リ人「ちっこい兄さんのこと、怖いのじゃ?」
( ´_ゝ%)「ゾンビ病の後遺症と、人形病の末期症状のせいだ。
弟はなんにもわるくない。縫い目がザツなのはオレのせいだ」
∬ ´_ゝ`)「お願い。怖がらないで。これがワタシたちのほんとの体なの」
(;´・ω・`)「怖くなんかないよ。ちょっと、びっくりしただけ」
(´<_` ) パチッ
(´<_` )「……あれ?なんのはなしをしてたんだっけ?」
.
- 184 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:52:07 ID:OaVkALts0
(´<_` )
( ´_ゝ%)「紹介しよう、弟者だ」
(´・ω・`)「よろしくね」
('A`)「よろしく」
( ´_ゝ%)「ショボンとドクオが『よろしく』だと」
(´<_` )「こちらこそ。兄弟が世話になったね」
( ´_ゝ%)「弟者が『こちらこそ』と言ってるぞ」
('A`)「言われなくても聞こえてるって」
(´<_` )「兄弟以外の人とおはなししたのははじめてだ」
( ´_ゝ%)「よかったな」
('A`)「さて。はじめましてもすんだことだし、ちゃっちゃと探しにいこうぜ、ショボン」
(;´・ω・`)「えぇ〜……やっと会えたんだよ?もうちょっとみんなと遊んでいたいよぉ」
('A`)「やっと会えたからだよ」
(´・ω・`)「どういうこと?」
('A`)「みんなといたら楽しすぎるだろ?夕ぐれなんてあっという間にさようならしちまうぞ!」
(´・ω・`)「なるほど。それは困るね、とっても」
.
- 185 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:53:00 ID:OaVkALts0
(´・ω・`)「そうだよね。ボクたちにはあんまり時間がないもんね」
(´・ω・`)「あーあ。いまだけ時間がとまってくれたらな」
('A`)「……いい方法がある」
(´・ω・`)「えっ?」
('A`)「ほら、この大時計だ。
コイツが6時に鳴るとみんなに会える、7時にもう一回鳴るとみんなに会えなくなる」
(´・ω・`)「壊れてるのかな?はじめに見たときより、すっごくゆっくり動いてるね」
('A`)「この秒針を、こうだ!」
(;´・ω・`)「とっちゃった!なんてわるいことを!」
('∀`)「けけけ。これで時間がとまったぜ」
(´・ω・`)「永遠に?」
('A`)「まさか。これはちょっと借りてるだけ。小指が見つかったらもとに戻すさ」
(*´・ω・`)「わるいことってすごいね、なんでもできるんだ……!」
.
- 186 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:53:49 ID:OaVkALts0
ガチャッ
(*´・ω・`)「みんなー!みんなー!」
(*^ω^)「きたー!!ドクオー!ショボンー!大スキだおー!!」
l从*>∀<ノ!リ人「大スキなのじゃー!!」
( ´_ゝ%)+「愛してるぜぇ」
(;*´・ω・`)「えっ?えっ?」
('A`)「なにごと?」
∬ ´_ゝ`)「探しものをする前にね、ブーンがみんなに一生分の大スキを言ってたのよ。
いつまた言えなくなっちゃうかわからないからって。
あとからもっと言っておけばよかったって思わないようにって。
そしたらみんなも言いはじめちゃって」
(*´・ω・`)「ボクもみんなが大スキだってお返ししてこなくっちゃ!
もちろん姉者、キミのこともね!大スキだよ!」
∬ ´_ゝ`)「ふふふ。うれしい言葉をありがとう、ショボン。ワタシもキミたちが大スキよ」
(;*'A`)「よ、よせやい。オレはぜったい言わないからな、ぜったいにだ」
(*´・ω・`)「あー!ドクオ赤くなってる!ドクオ流の大スキってことだね!」
.
- 187 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:55:12 ID:OaVkALts0
(;*'A`)「ちがう。こんなんぜんぶ、夕ぐれのせいだ!」
(*^ω^)「聞いたかお?ドクオが大スキだってさ!」
∬ ´_ゝ`)「聞いたわ。ありがとう、ドクオ。とってもうれしいわ」
(;* A )「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああ……」
(-<_- )
∬ ´_ゝ`)「弟者、大スキよ」
l从•∀•ノ!リ人「ワタシもじゃ。大大大大大スキなのじゃ!」
( ´_ゝ%)「愛してるぞ、兄弟」
l从•д•ノ!リ人「ねぇドクオ、おっきい兄さんがみんなに言ってる
『あいしてる』って、どういう意味なのじゃ?」
('A`)「オレたちはまだしらなくっていいの!それよりはやく、探しにいくぞ!」
( ´_ゝ%)+「いいぞ。タイチョウはオレだがな」
l从`•∀•ノ!リ人「ワタシなのじゃ!」
.
- 188 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:56:13 ID:OaVkALts0
――台所
(;^ω^)「おーん。オーブンの中にもないみたいだおー」
(;´・ω・`)「ひっ」
(*^ω^)「おっ?」
(;´・ω・`)「ブーンって、ユウキがあるんだね。
そんなぐちゃぐちゃなオーブン、ボクには探せないよ」
(*^ω^)「ショボンはミートパイが苦手なんだお?ボクは大スキだお、ママのミートパイ!」
(´・ω・`)「えっ?でも……」
(´・ω・`)(オーブンの中には、まっくろでどろどろのなにかが……)
(´・ω・`)「んーと、現在と未来だから、置いてあるものがちがう、ってこと?」
(*^ω^)「えっと、どういうことだお?」
(´・ω・`)「よくわかんないや。でも、ブーンのママのミートパイ、
目の前にあったらボクもきっと大スキになるってこと!」
.
- 189 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:56:55 ID:OaVkALts0
――広間
l从•д•ノ!リ人「こっちにもないのじゃー」
∬ ´_ゝ`)「どこにいったのかしら、ワタシの小指」
l从•д•ノ!リ人「小指がないと、ゆびきりげんまんできないのじゃよ!」
∬ ´_ゝ`)「あら。ゆびきりげんまんってなに?姉者に教えてよ」
l从*•∀•ノ!リ人「えへへっ。ゆびきりげんまんっていうのはねー、
ヤクソクをヤクソクするってことじゃよ!」
l从*•∀•ノ!リ人「こうやって、小指と小指をむすんでね、
『ゆーびきった♪』って。ゆびきりするのじゃ!」
∬ ´_ゝ`)「そうなの。ありがとう、妹者のおかげでひとつかしこくなったわ」
l从*•∀•ノ!リ人「ドクオが教えてくれたのじゃ!
あとでじゃんけんっていうのも教えてあげるのじゃ!」
∬ ´_ゝ`)「ふふっ。楽しみにしてるね」
.
- 190 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:57:40 ID:OaVkALts0
――廊下
('A`)「ったく、兄者のヤツ。ひとりでどっかいくヤツの気がしれないな」
ギシッ
( 'A)「兄者か?オマエかってになー」クルッ
( ωФ) ザザザッ
(;'A`)「っ」
ダダダダダ‼︎
ガチャッ
バタンッ‼︎
(;'A`)「はあ、はあ、はあ……!くっそー、なんなんだよアイツ……!本物のオバケかってn」
.
- 191 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 04:58:32 ID:OaVkALts0
(´<_` )
(;'A`) ヒュッ
(´<_` )「……あっ。ド、ク」
(;'A`)「あ、兄者のヤツ見なかったか?どっかいっちまったんだよ」
(-<_- ) カクンッ
(;'A`)っ「おい?大丈夫か?おい?」グイッ
(;'A`)(あれ?いま、さわれた……?)
(-<_-;;#) ピシッ
(-<_-;;#) パラパラ...
('A`)「えっ」
('A`)(顔に……ヒビが……)
(;'A`)「弟者……?」
.
- 192 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:02:40 ID:OaVkALts0
ガチャ
( ´_ゝ%)「ここにいたか!ああよかった。ぶじ迷子になったドクオをホゴしたぞ」
(;'A`)「兄者、いいところに!……いや、いくない。
もとはといえば、オマエがかってにいなくなったから!……いや、これもちがう」
(;'A`)「とにかく弟者が、もうタイヘンなんだよ!」
( ´_ゝ%)「どうどう。ときに落ちつけ、ドクオ」
(;'A`)「オマエは落ちつくなよ!オマエの兄弟だろ!」
(-<_-;;#)
( ´_ゝ%)「はじめから、わかっていたのさ。なんせ兄弟だからな。
このまま兄弟がくさり落ちるか、眠ったままか、くずれ落ちるか」
( ´_ゝ%)「あるいは、オレが人形になるのが先か」
('A`)「やっぱり、オマエもか」
.
- 193 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:05:01 ID:OaVkALts0
( ´_ゝ%)「だがしかし!それはオレらにとって、大きな問題じゃあない」
( ´_ゝ%)「兄弟がはなればなれになってしまうことの方が、よっぽど大事件なんだよ。
いっしょに生まれたんだ。ずっといっしょだったんだぞ。ずっと、ずっとだ」
( ´_ゝ%)「オレらはな、ドクオ?兄弟をひとりでもなくしてしまうくらいなら、
いますぐ月が頭の上に落ちてきて、世界が終わってしまえばいいのにと思うんだよ」
('A`)
('A`)「もしも、さ。きょう、8月25日6時に、世界が終わっちゃうとしたら、どうする?」
( ´_ゝ%)「なに?」
('A`)「もしも、だよ?6時に、この孤児院に。……ひ、……火を、つけられたとしたら……」
('A`)「オマエら兄弟が、みんないっしょに……燃えちゃうと、したら……」
( ´_ゝ%)「ああオマエは……なんてはなしをするんだ……」
(*´_ゝ%)「なんてはなしをするんだ……!」
.
- 194 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:05:49 ID:OaVkALts0
∬ ´_ゝ`)「もう夜だっていうのに、大時計がならないのね」
(´・ω・`)「えっ?でもまだ、お空は真っ赤だよ?」
(*^ω^)「おっ?もう8時だお。お外はまっくらだお」
l从•∀•ノ!リ人「のじゃ?まだ6時ちょっとなのじゃ」
( ´_ゝ%)「どうやら妹者の世界の時間が止まってしまったようだ」
( ´_ゝ%)「おかしなこともあるものだ。
さては、どこかのわるい子がなにかしたかな?」
('∀`)「けけけ。オレたちの時間はあしたの6時まで、ずっとこのまんまだよ」
(*´・ω・`)「きょうはずっとここにいるんだ。ユメにまで見たお泊り会ってやつだよ!」
('A`)「オマエなー、もっとシンケンに……」
l从*•∀•ノ!リ人「お泊り会!?やったー!お泊り会お泊り会!一回やってみたかったのじゃ!」
('A`)「だれのために探してると思って……」
(ノA`)「ったく。あしたの6時までに見つけなくっちゃいけないっていうのに」
(*^ω^)「そのとおりだお!あしたの6時までに見つけなくっちゃお!」
(´・ω・`)「あしたの6時まで?」
.
- 195 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:06:34 ID:OaVkALts0
8月24日 ショボン
ごきげんよう、この日記を読んでいるキミへ!
きょうはみんなに会えたトクベツな日!
せっかくだから■■の一言のオヒロメ!
……したかったけど、もうちょっとレンシュウがいるみたい。ザンネン。
またいつかね。
みんなで探しものしたり、遊んだり、おはなししたり。
こんなに楽しいのって生まれてはじめてだよ!
■■のお顔がこわれちゃったのは、ちょっとびっくりした。
でももう「痛くない」って聞いて、「よかった」って思ったよ。
■■ったら、体のあちこちがぐちゃぐちゃだったり、ヒビがはいってたり、
糸でぬってあったりして、見てるボクまで痛かったもん。
あしたはおはなしできたらいいな。まだ一回もおはなしできてないや。
いっこだけわからないことがある。
どうしてみんな、「あしたまでに見つけなくっちゃ」って言うんだろう?
8月25日になにがあるのんだろう?
.
- 196 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:07:38 ID:OaVkALts0
――8月25日
('A`)「探してるときってなんで見つからないんだろうな」
(´・ω・`)「杉浦ロマネスクはいったいどこに隠したんだろう?」
(*^ω^)「もしショボンが杉浦ロマネスクだったら、どこに隠すお?」
(´・ω・`)「ボクが杉浦ロマネスクだったら?」
(*^ω^)「うん!キミが杉浦ロマネスクなら」
(;´・ω・`)「どこって、ええと、ボクが杉浦ロマネスクなら、
ボクが杉浦ロマネスクなら、ボクが杉浦ロマネスクなら……」
('A`)「いま何時だ?」
l从•∀•ノ!リ人「6時ちょっとすぎなのじゃ!」
('A`)「オマエには聞いてない」
(*^ω^)「えっとね、5時1分だお!」
('A`)「5時5分な」
(っAс)「もうだめだ、おさきまっくらだ、まちがいない」
ザッ
( ωФ) ザザザッ
.
- 197 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:08:28 ID:OaVkALts0
(;´・ω・`)「ひぇっ」
('A`)「でやがったな!」
( ФωФ)
l从•∀•ノ!リ人「こっちにおいでって言ってるみたいなのじゃ」
('A`)「バカなことを言うんじゃない」
(´・ω・`)「ついてってみようよ。この人だって、『杉浦ロマネスク』なんでしょ?」
(´・ω・`)「『杉浦ロマネスク』は救世主の名前だもんね!」
( ^ω^)「きゅうせいしゅ?」
(´・ω・`)「ヒーローってことだよ!」
.
- 198 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:09:45 ID:OaVkALts0
( ФωФ)
( ω ) ザザザザザザザッ
( ^ω^)「消えちゃったお」
('A`)「ここって」
(*^ω^)「ヒミツの中のヒミツの場所だお!」
l从•∀•ノ!リ人「はじめにワタシがいた場所なのじゃ!」
(*^ω^)「ほんとかお?姉者もはじめはここにいたんだお!」
(´・ω・`)「ガイコツがいる場所……」
(;;;;)
(´・ω・`)(もしもボクが……杉浦ロマネスクなら……)
(´・ω・`)(ぜったいになくさないように、大切に大切にするよ)
(´・ω・`)(きっとイチバンさいごに、『ボクのことも見つけてほしい』って、思うよ)
.
- 199 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:10:49 ID:OaVkALts0
(;;;;)
(´・ω・`)「ちょっとごめんね」
l从•∀•ノ!リ人「ショボン?なにしてるのじゃ?」
(;'A`)「げぇっ。なんてことを。ガイコツにさわるなんて、オマエ」
(´・ω・`)「……!」
(´・ω・`)「ガイコツの小指のさきっぽ、これ、ガイコツじゃない……、
なにかぬいつけてある……これって!」
(*´・ω・`)「指だ!ちいさくってまっくろい指!さいごの小指!」
l从*•∀•ノ!リ人「姉者の小指!」
(;'A`)「見せてみろ!」
(*^ω^)「みんなに知らせなくっちゃ!みんなーみんなー!」」
.
- 200 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:11:39 ID:OaVkALts0
( ´_ゝ%)「準備はいいか?」
(´<_`;;#)「いつでも」
(*^ω^)「シンゾウがドキドキしてるお!
いますぐマドからとびおりて、ソラをとんじゃいたいくらい!」
∬ ´_ゝ`)「ふふふ。そうね、逃げだしたいくらいワクワクするね」
(´・ω・`)「妹者、怖くない?」
l从•∀•ノ!リ人「どうなるのじゃ?」
('A`)「わからない。でもきっと、みんなに会える」
l从*•∀•ノ!リ人「……うん!」
(´・ω・`)「これで、さいごだよ」
l从•∀•ノ!リ人
l从-∀-ノ!リ人
.
- 201 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:12:44 ID:OaVkALts0
l从•∀•ノ!リ人「!」
l从•∀•ノ!リ人「みんな……?」
トントン
∬ ´_ゝ`)「ここにいるわよ」
l从*•∀•ノ!リ人「姉者?いま、いま!ワタシにさわった?」
∬ ´_ゝ`)っ「ふふっ。よしよし。相変わらずくせっ毛ね」
l从*•∀•ノ!リ人っ「姉者だって、くるくるのふわふわなのじゃ!」
(´<_`;;#)「兄者、いってきなよ。兄弟のところに。オレのことはいいから」
( ´_ゝ%)「なにを言ってるんだ?」
.
- 202 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:14:23 ID:OaVkALts0
l从っ•∀•ノ!リ人っ「おっきい兄さん!ちっこい兄さん!」ガバッ‼︎
(´<_`;;#)「う゛っ」パキッ
(*´_ゝ%)「おお妹者!よーしよしよしよしよしよし!」
∬ ´_ゝ`)っ"「こら、妹者ったら。弟者にヒビが増えちゃたじゃない。
もっとやさしくさわってあげないと……」
(´<_`;;#) パラパラ...
l从*•д•ノ!リ人「ああっ!やっぱりくずれちゃってるのじゃ!」
(´<_`;;#)「オマエらな……!」
( ´,_ゝ%)「なっ?こちらからいかなくても、兄弟はきてくれるだろう?」
(´<_`;;#)「……きょうにでも、なでこわされてしまいそうだ」
( ´_ゝ\\)「ははっ。それはいいな!」
.
- 203 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:15:53 ID:OaVkALts0
(*^ω^)っ「ごきげんよう、ショボン」
(*´・ω・`)っ「ごきげんよう!よろしくのアクシュをしよう!」
(*^ω^)っ「ごきげんよう、ドクオ!」
('A`)っ「ごきげんよう、ブーン。あれ?オマエ、指が……いやなんでもない」
(*^ω^)「みんなに会ったらやりたいことがいーっぱいあったのに、ほんとに会ったら
うれしくって頭がまっしろになって、なんにも思いうかばないお!」
(*´・ω・`)「ほんとだね。ブーンがいて、ドクオがいて、妹者がいて、
兄者がいて、弟者がいて、姉者がいて、ボクがいて……。
世の中にこんな幸せなことって、ほんとにあるんだね。知らなかったよ!」
(*´・ω・`)「またみんなに会えるなら、ボクどんなことだってやるよ」
(*^ω^)「ボクだっておんなじ気持ちだお!」
('A`)「まさかガイコツの小指になってるとは思わなかったな。
でもなんでだ?他の指よりもこの指だけ、ずっとむかしのものみたいなような」
( ^ω^)「どうしてそのガイコツは、小指を隠してたんだお?」
(´・ω・`)「隠してたんじゃないよ。きっと守ってたんだ」
('A`)「はじめて見たときも、妹者を守るようにだっこしてたもんな」
( ´_ゝ%)「どうやらみんなオレらの時間の世界にきたようだな」
.
- 204 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:17:26 ID:OaVkALts0
('A`)「5時45分……」
(´・ω・`)「あれ?ドクオ、ドクオったら。あれなんだと思う?」
(´・ω・`)「ほらあそこだよ。見える?
ドアの外からケムリみたいのがはいってくるのが見えるよ」
('A`)「そうだな」
(´・ω・`)「なんだか様子がおかしいよ」
('A`)「そうだな」
(´・ω・`)「キミのことだぞ。ドクオ?」
('A`)「……先生の部屋で見たんだ」
('A`)「オレたちの世界にあるガイコツ病は、人形病が進化したものだ。
ガイコツ病を治すクスリは、いまのところオレたちの世界にはない」
('A`)「オレたちの世界にはない。けど、この世界にはある。あるんだ。
ガイコツ病と、そして人形病を治すクスリは……人形病の人の体を燃やしたときのケムリ」
('A`)「杉浦ロマネスクの起こした事件で、人形病は一気に減ったんだ。
あの事件がなければ、もっとひどいことになってたって、シンブンで……」
.
- 205 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:19:18 ID:OaVkALts0
('A`)「なあショボン、オレはさ、流石兄弟4人を助けたいって思ったよ。
でもそうしたら、オレたちの世界が……未来のブーンの世界が……」
(´・ω・`)「ドクオ?まるでわからないよ、なにを言ってるの?」
('A`)「ここはこれから燃えちゃうってことだよ。あのハイキョみたいになるんだ」
(;´・ω・`)「燃えちゃうって、なに?もっとわかんなくなったよ!」
(;´・ω・`)「妹者!おねがい聞いて!すっごくイヤな気持ちなんだ。
いますぐここからでよう。みんないっしょに!」
l从•∀•ノ!リ人「ううん。ワタシはここにいたいのじゃ」
(;´・ω・`)「でもここ、燃えちゃうんだよ?燃えたら、その、あついって聞いたよ?」
l从*•∀•ノ!リ人「えへへ。ショボンはいつもシンパイしてくれるのじゃ!」
l从*-∀-ノ!リ人「ショボンはしらないかもしれないけど、
ワタシにはそれが、とってもうれしかったのじゃよ」
.
- 206 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:20:55 ID:OaVkALts0
l从•∀•ノ!リ人「でも、もういいんじゃよ」パキッ
( ´_ゝ )
(´<_`;;#)
∬#;;´_ゝ`)
l从•∀•;;#リ人「わかるじゃろう?」
(´・ω・`)
.
- 207 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:24:34 ID:OaVkALts0
( ´_ゝ )「また兄弟にも、トモダチにも会えた。
これ以上のぞむことなんて、なんにもありはしないさ」
(´<_`;;#)「素晴らしいことだと思わないか?トモダチの未来を守ることができるなんて」
(´・ω・`)「いいの……ほんとに、それで……?」
( ´_ゝ )「それがいい」
(´<_`;;#)「それがいい」
l从•∀•;;#リ人「ドクオ、ショボン。ワタシの小指をあげるのじゃ」
( ´_ゝ )「オレと弟者のも持ってけ」
(´<_`;;#)「こら。かってに弟の指を折って人にあげるヤツがあるか」
( ´_ゝ )「よく聞くんだ。自分の世界に帰ったらこれを粉にして、
毎日あちこちでちょっとずつ燃やすんだ。
ヒトカケラも残さずに、ぜんぶだぞ。いいな?」
l从•∀•;;#リ人「いつかきっと、ガイコツ病はなくなって、
ふたりは世界の救世主になるのじゃ!」
(´・ω・`)「救世主……」
.
- 208 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:26:32 ID:OaVkALts0
(´<_`;;#)「気をつけて。ぜったいにカケラを体の中にいれてはいけないぞ。
もしも取りこんでしまったなら、そのときは……兄者やめろ、つっつくな」パラパラ...
( ´_ゝ )「こうなるぞと言いたかったんだろう?手伝ってやろうと思ってな」
(´<_`;;#)「オマエはオレをからかわないとどうにかなってしまう病気なのか?」
( ´_ゝ )「ははは!なんだわかってるじゃないか。気をつかわせないよう隠しておいたんだがな」
l从•∀•;;#リ人「ドクオ」
('A`)「ああ」
l从•д•;;#リ人「じゃんけんぽん!」
(;'A`)「へっ?あっ!」
l从*•∀•;;#リ人「えへへっ。またワタシの勝ちなのじゃ!」
(;'A`)「ずるいぞ。こういうときは、普通ゆびきりげんまんだろ!」
l从•∀•;;#リ人d「うん。ふたりとも、きっとステキな救世主になってね。ヤクソクなのじゃ」
(´・ω・`)d「ヤクソクするよ」
('A`)d「妹者こそ。日記ちゃんと書いておけよな。帰ったら読むからさ」
l从*•∀•;;#リ人d「っ!!うん!!ゆびきりげんまんなのじゃ!」
.
- 209 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:27:35 ID:OaVkALts0
(*^ω^)「どうしてお部屋が燃えてるんだお?」
(*^ω^)「ボク、なんにもわかんない。なにが起きてるんだお?」
(*^ω^)「どうして姉者の体が。せっかく治ったのに」
∬#;;´_ゝ`)「もとの時間に戻ってきたワタシたちの体は、もうすぐ消えてなくなってしまうの。
わるいことじゃないわ、すべてもとに戻るのよ」
(*^ω^)「痛い?」
∬#;;´_ゝ`)「ふふっ。痛くないわ」
∬#;;´_ゝ`)「ブーン。これを。兄弟にはヒミツよ?」
(*^ω^)「おっ?ゆびきりげんまん?」
∬#;;´_ゝ`)「ワタシの小指を持っていって。だってワタシたち、ずっといっしょにいたんだもの。
ブーンも人形病になっちゃったかもしれないわ」
(*^ω^)「うん。わかったお!」
∬#;;´_ゝ`)「それでね、もしもアナタの世界にゾンビ病が広まってしまったら、
ワタシの小指を『杉浦ロマネスク』に渡して欲しいの」
(*^ω^)「杉浦ロマネスク」
∬#;;´_ゝ`)「この世界を救ってくれる、救世主の名前よ。……ほんとに、いい?」
(*^ω^)「キミがそれがいいって言うなら」
∬#;;´_ゝ`)d「いい子ね。ヤクソクよ、ブーン」
(*^ω^)d「ゆびきりげんまんだお!」
.
- 210 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:28:24 ID:OaVkALts0
「ゆーびきーった♪」
ポキンッ
.
- 211 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:29:26 ID:OaVkALts0
(´・ω・`)「みんな、ヤクソクだよ!またいつか、ね!」
('A`)「ああ、またいつかだ」
(*^ω^)「またいつか、ぜったいに」
( ´_ゝ )「またいつかな」
l从•∀•;;#リ人「またいつかなのじゃ!」
∬#;;´_ゝ`)「またいつかね」
(´<_`;;#)「また、いつか……」
.
- 212 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:30:58 ID:OaVkALts0
ゴウゴウ
('A`)「ショボン、熱いか?」
(´・ω・`)「ううん。フシギだね、こんなに燃えてるのに」
('A`)「オレたちはこの世界からすっごく遠いところにいるからな」
(´・ω・`)「すっごく遠いのかぁ。まださわれるのにね」
「〜♪」
(´・ω・`)「!」
('A`)「姉者の歌だ……」
(´・ω・`)「あのね、ドクオ」
('A`)「うん?」
(´・ω・`)「ボク、ボクね。みんなに一生分の大スキを言ったんだよ」
('A`)「うん」
(´・ω・`)「あとから『もっと大スキって言いたかった』って思わないように」
('A`)「うん」
(´・ω・`)「でもね、でも。なんでかなぁ?」
.
- 213 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:31:49 ID:OaVkALts0
(´ ω `)「シンゾウがね、痛いんだ。きゅってして、苦しいんだよ。泣けないくらいに」
('A`)「うん」
(´ ω `)「こんなのはじめてなんだよ。どうしたらいいか、わからないんだよ」
('A`)「うん」
(´ ω `)「園のだれかさんがいなくなったって、こんなのなかったのに。
どうしたってとまらないんだよ」
(´ ω `)「ボク、ガイコツになっちゃうのかな?」
('A`)「みんなオマエの大切なトモダチだった、ってことだよ」
('A`)「渡せない大スキがあふれて苦しいんだよ」
(´ ω `)「そっかぁ……この気持ちは大スキなんだね……」
(´ ω `)「よかった……よかったぁ……」
ボ-ン
('A`)「6時だ……」
ボーン
.
- 214 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:32:44 ID:OaVkALts0
「〜♪」
ボーン
( ФωФ)
(´ぅω・`)「!」
('A`)「杉浦ロマネスク……!」
ボーン
( ФωФ)「 」
( ФωФ)「 」
ボーン
(´・ω・`)「えっ?なに?」
(´・ω・`)「なんて言ったの?聞こえないよ……」
(´・ω・`)「聞こえない……」
ボーン
.
- 215 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:33:54 ID:OaVkALts0
l从•∀•;;#リ人 キュキュッ
∬#;;´_ゝ`)「妹者」
l从•∀•;;#リ人「なぁに?」
∬#;;´_ゝ`)「すごいわ。字が書けるのね」
l从*•∀•;;#リ人「えへへっ。うん!たったいま、書けるようになったのじゃ!」
∬#;;´_ゝ`)「なんて書いてあるの?」
l从•∀•;;#リ人「 なのじゃ!」
∬#;;´_ゝ`)「妹者」
l从•∀•;;#リ人「なぁに?」
∬#;;´_ゝ`)「よかったね」
l从•∀•;;#リ人「うん。よかったのじゃ」
∬#;;´_ゝ`)「ワタシ、兄弟に『またいつか』は言わないわ」
l从•∀•;;#リ人「うん。ずっといっしょなのじゃ」
.
- 216 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:35:39 ID:OaVkALts0
(´<_`;;#)「兄者」
( ´_ゝ )「なんだ」
(´<_`;;#)「ごめん」
(;´_ゝ )「どうしたヤブからボウに?どこかわるいのか?
その『ごめんなさい』は、ほんとにオレ宛で合っているのか?」
(´<_`;;#)「やっぱりいまのはなしだ」
( ´_ゝ )「えっ」
(´<_`;;#)「いまさらオマエに言いたい言葉なんか、なにひとつないさ」
( ´_ゝ )「……ごめんな」
(´<_`;;#)「きもちわるい」
( ´_ゝ )「ははは、そうか!」
(´<_`;;#)「ふふふ」
.
- 217 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:37:06 ID:OaVkALts0
「おっきい兄さん、ちっこい兄さん、みーつけたのじゃ!」
「おや?見つかってしまったか!」
「オレらの妹はかくれんぼの天才だな」
「こっちにおいで。みんないっしょよ」
「みんないっしょにおどるのじゃ!」
「むかしやったパーティーを思い出すな」
「ずんちゃっちゃーずんちゃっちゃー♪」
「ほら見て見て!ワタシたち、ひとつになってるのじゃ!
「あら。ほんとね」
「もうさみしくないな
「これで、もう
.
- 218 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:37:56 ID:OaVkALts0
8月25日 〆¥〒
了└|ヵ:|-ゥ
.
- 219 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:38:53 ID:OaVkALts0
カナカナカナカナ...
(´・ω・`)
('A`)
(´・ω・`)「戻ってきたの、かな?」
('A`)「みたいだな」
(;;;;)
('A`)
(´・ω・`)「どうしたの?」
('A`)「このガイコツさ、杉浦ロマネスクだったんだな」
(´・ω・`)「泣いてるよ」
(;A;)「へっ?」
(;A;)「なんでだろ。わかんねーや」
(;A;)「わかんねーけど」
(;A;)「やっと会えた気がする、って言ったら笑うか?」
(´・ω・`)「笑っちゃうね」
(´・ω・`)「だってボクだって、おんなじこと考えてた」
.
- 220 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:40:09 ID:OaVkALts0
カナカナカナカナ...
('A`)「……なあショボン。どうすれば救世主になれるか、って聞いたな?」
('A`)「いかしたこと思いついたぞ。
ガイコツ病をなくしたあと、オマエがいい先生になればいいんだよ」
(´・ω・`)「いい先生」
('A`)「ここに、オレたちの新しい園をたてよう。
未来のブーンがくるまで、ここを守ってやらなくっちゃな」
(*´・ω・`)「いずれここにブーンが来るんだね。
ドクオ、それってとってもステキなおはなしだよ!」
('A`)「オレたちみたいな子供たちを7人集めて、
オレたちの名前をつけて、『またいつか』の日をつくるんだ」
.
- 221 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:41:00 ID:OaVkALts0
(´・ω・`)「楽しみだね」
('A`)「ああ。楽しくなる」
(´・ω・`)「そうと決まったら、さっそく新しい園の名前をつけなくっちゃだ!」
('A`)「気のはやいヤツめ。まだまだ未来のはなしだぞ」
('A`)「どんな名前がいい?」
(´・ω・`)「えっとね、えっと、ボクらのほんとの名前なんてどう?」
('A`)「いいんじゃないか?タイチョウはオレだけどな」
(´・ω・`)「ねぇドクオ、教えてよ。キミのほんとの名前は?」
('∀`)「モララーだよ。毛利モララー」
.
- 222 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:41:39 ID:OaVkALts0
8月26日
きっとこの日記をよんでいるキミたちへ。
またいつか会える日を楽しみに
.
- 223 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:43:21 ID:OaVkALts0
( ^ω^)「ま、っ、て、る」カリカリ
( ^ω^)「お」カリ
( ^ω^)「でも」
( ^ω^)「いつかっていつだお?」
『いつかは未来よ』
( ^ω^)「ほんとにくるのかお?」
『ふふふ。ブーン次第ね』
( ^ω^)「ボク次第?」
『ワタシね、ブーンには自分の見たいものを見て、
自分の聞きたいものを聞いて、自分の生きたいように生きて欲しいな』
( ^ω^)「うん。わかったお」
.
- 224 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:44:04 ID:OaVkALts0
『キミがほんとにやりたいことって、なにかしら?』
( ^ω^)「ボクがほんとにやりたいこと」
( ^ω^)「ボクがほんとにやりたいことってなんだお?
わかんないお。わかんない。みんながいないから」
( ^ω^)「ボクがやりたいこと。ボクの一生に一度のお願い。
ボクが好きなもの。ボクが見て、聞いて、幸せなもの」
(*^ω^)「……なーんだ!カンタンなことじゃないか!」
『ほんとに、いい?』
(*^ω^)「うん。ボク、これがいいお」
(*^ω^) ケシケシ
(*^ω^) カリカリ
.
- 225 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:44:41 ID:OaVkALts0
コンコン
ガチャッ
( ・∀・)「おはよう、内藤くん。おや?日記をつけるほどいいことが、もうあったかい?」
(*^ω^)「パパ!」
( ・∀・)「先生さ」
( ・∀・)「うん?なにを隠してるんだい?」
(*^ω^)「隠してるんじゃないお!守ってるんだお!」
( ・∀・)「これは……指?」
(*^ω^)「紹介するお、姉者だお。ボクのトモダチ!」
( ・∀・)(お人形さんの指か)
.
- 226 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:45:23 ID:OaVkALts0
( ・∀・)「よろしくね、姉者くん。ボクは毛利モララー先生さ。
ちょっとおトモダチの内藤くんをお借りするよ」
( ・∀・)「喜びたまえ。キミの新しい里親……いや、パパとママが迎えに来たよ」
( ・∀・)「とってもお金持ちなんだ。きっとどんな夢だってたちまち叶うよ」
( ・∀・)「ああでも、我が子のように思っていた内藤くんが、
この病院からいなくなるのは寂しいよ。とてもとてもね」
( ・∀・)(しかし、いずれここもゾンビ病が広まってしまうだろうね……)
(*^ω^)「先生!」
(*^ω^)「このカケラをゾンビ病の人に飲ませてあげてお!」
( ・∀・)「これは、なんの粉だい?」
.
- 227 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:46:40 ID:OaVkALts0
(*^ω^)「人形病の指のカケラだお!」
( ・∀・)「人形病だって?ははっ……ゾンビ病よりはずっと可愛らしい名前だね。
ありがたくもらっておくよ」
(*^ω^)「おっ?机の上におくんじゃなくって、箱の中にいれといて欲しいお!」
(*^ω^)「もしも風に飛ばされて、だれかさんが飲みこじゃったら、お人形さんになっちゃうんだお!」
( ・∀・)「わかったわかった。あとでそうしておくよ」
(*^ω^)「絶対、絶対だお!」
ボ-ン
( ・∀・)「時計が鳴ってしまったね、もう約束の時間のようだ」
( ・∀・)「さあ新しいパパとママのところにいこうじゃないか、お部屋にさようならは?」
ボ-ン
( ^ω^)「またいつか、だお」
.
- 228 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:47:33 ID:OaVkALts0
モララー先生には、きっと見えてないんだお。
時計の音が鳴るたんびに、ボクのお部屋がごうごうと燃えている。
姉者の歌が、聞こえてくる。
ボ-ン
目を開けたまんま、ユメを見てるのかな?そんなことってあるのかな?
きのうのことがまるで、きょうのことみたいに見えるお。
モララー先生のうしろに、きのうのボクたちがいるんだ。
幸せだって笑いながらひとつになっていく姉者たちと、
手をふりながら消えていくドクオとショボンと、
それをただじっと見つめていた知らないオトナの人。
左手の小指がない。
ボ-ン
ない小指の代わりに、ふるいお人形さんの小指を縫いつけていた人。
ヒミツの中のヒミツの場所に立って、ボクを見てうれしそうに笑った人。
( ФωФ)
.
- 229 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:48:17 ID:OaVkALts0
ボ-ン
( ・∀・)「退院おめでとう、内藤……」
( ・∀・)「違うね、新しいパパとママが来たから、キミはもう、
『内藤ロマネスクくん』じゃなくなるんだよね」
ボ-ン...
( ^ω^)
ねぇ。聞こえなくてもわかるんだお。
あの人はたしかに、ボクにこう言ったんだ。
.
- 230 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:49:13 ID:OaVkALts0
( ФωФ)『またいつか』
( ФωФ)『だお』
.
- 231 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:49:59 ID:OaVkALts0
「おめでとう」
「杉浦ロマネスクくん」
.
- 232 名前: ◆zfMiV6C5M2 投稿日:2017/08/26(土) 05:53:23 ID:OaVkALts0
8月26日 杉浦ロマネスク
ごきげんよう、きっとこの日記を読んでいないキミたちへ。
またいつか、だお。
ボク、もう一度みんなに会えるなら、どんなことだってするお。
どんなカタチになったっていい。もしもイッシュンだったって、それでもいい。
「杉浦ロマネスク」は救世主の名前だから。
ぜったいに、ぜったいに、助けにいくから。
だから、8月25日で待っていて。
( ω )ぼくの「825」のようです 了
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