“違和感”のようです
- 2 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:14:27 ID:Ry1To0T60
- お前ってさ。
漫画、読んだことあるか?
まぁ、あるよな。
お前そういうの好きそうな顔してるし。
ハハ、怒るなって。バカにしたつもりはねぇからさ。
……ううん、良いんだこの話は。
お前はさぁ、漫画読んでて『あれ?』とか『ん?』とかって不思議に感じたこと……。
“違和感”を感じたことってあるか?
……無い、か。
なんでも良いんだぜ?
……………そうか。
じゃあきっと、『これ』のことも認識出来ないんだろう……な。
………いいや、この話終わり!
次体育だぞ! 早く着替えに行こうぜ!
―――とある男子中学生、クラスメイトとの会話にて
- 3 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:15:03 ID:Ry1To0T60
- 川 ゚ -゚)σ「ひーふーみーよーいつむーななやーこのとー……。
よし、全員揃ったみたいだな」
放課後の教室。
数個の机を繋げた周りに、めいめい椅子に座っている10人の生徒。
その内の1人、クーが集まった生徒の人数を数えそう宣言すると、
残りの生徒達はごそごそと自分の鞄を漁り思い思いのものを机の上に出した。
そのほとんどがお菓子やジュース、紙コップ等であり
ちょっとしたパーティーのようになっている。
- 4 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:15:40 ID:Ry1To0T60
- 川 ゚ -゚)「まずは今回のツンの無事を祝って乾杯といくか」
ξ;-⊿-)ξ「みんないつもごめんね……」
( ^ω^)「おっお!別に気にしてねーお!
ツンの【能力】なんだからしょうがないお!」
クールの宣言に、彼女の向かい側に座っていた金髪巻き毛の少女、
ツンがペコリと頭を下げた。
それをぽすぽすと頭を撫でて慰めているのは、その右隣に座るぽってりとした体格の男子高校生ブーン。
彼に頭を撫でられたツンは、その美しく整った精巧な顔を
ほんのりと赤らめ少し恥ずかしそうに微笑んだ。
- 5 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:16:27 ID:Ry1To0T60
- ('A`)「みんなジュース注いだか?」
( ;^ω^)「あっ!ぼくコーラがいいお!」
ξ;゚⊿゚)ξ「わ、私はオレンジジュースで……!」
三ツ矢サイダーのペットボトルを片手に口を開いた、首にヘッドホンをかけた男子、ドクオの言葉に慌てて紙コップを差し出す2人。
(´・ω・`)「ハイハイ、コーラね」
紙コップを差し出すブーンに答え、コーラを注いでいるのはショボン。
色素の薄い髪と眠たげな目、左手に抱えたバスタオルが印象的だ。
_
( ゚∀゚)「オレンジジュース1名様ごあんな~い!」
ツンに差し出したコップにジュースを注いでいるのはジョルジュ。
こちらはぱっちりと見開かれた瞳と濃い眉毛が特徴的である。
- 6 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:17:03 ID:Ry1To0T60
- ( ´∀`)「お菓子開けとくモナね~」
( ・∀・)「このチョコ美味しいよ!」
そう言いスナック菓子の袋を開ける
ほんわかとした雰囲気を纏った男子高校生は、モナー。
その隣で小袋に入ったチョコレートのパックを配っている
おどおどとしているものの顔立ちの整った男子高校生はモララー。
モララーがチョコレートを配り終わった所で、ジョルジュの隣に座っていた
ショートボブの少女、しぃがキラキラと目を輝かせて立ち上がった。
(*゚ー゚)「じゃあ乾杯前にあたしが一曲………」
(;'A`)「おいバカやめろ!! しぃの一曲は洒落にならん!!」
そう言い大きく息を吸い込んだしぃを慌てて抑えようとするドクオ。
- 7 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:18:13 ID:Ry1To0T60
- (*゚ー゚)「ふふー、何歌おうかなー」
(;* Д )「コパァッ」
彼女の口から危うく歌声が漏れるかというときに、
すかさず動いたのはジョルジュの反対隣に座る男子高校生。
(;'A`)「……すまんギコ」
(,,゚Д゚)「気にするな。こいつを制御できるのは俺しかいないからな」
間一髪でしぃの首に手刀を叩き込んだ
彼……ギコがふぅ、と息をつく。
(* ー ) チーン
かくり、と首を項垂れるしぃ。
(´・ω・`)「危なかったねぇ」
_
( ゚∀゚)「地獄みるかと思った!!」
( ;´∀`)「キミ達本音駄々漏れじゃないかモナ……」
(,,゚Д゚)「まぁそう責めてやるな。こいつの歌は地獄を見るが役には立つ」
( ・∀・)「それ褒めてるの?」
小首を傾げているモララーの隣で、ブーンがおもむろにコップを掲げる。
- 8 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:18:47 ID:Ry1To0T60
- ( ^ω^)「おっお!それじゃあ改めていっちょ乾杯を………」
「「「「乾杯!!!!!!」」」」
紙コップをこつんとぶつけ合う面々。
何故放課後の教室でこのようなプチパーティが開かれているのか。
時間は昨日に遡る。
- 9 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:19:23 ID:Ry1To0T60
- 昼休み。
それは高校生たちに与えられる至福の一時のひとつ。
それはしたらば高校2年A組の生徒達も例外ではない。
(*゚ー゚)「ギコくん一緒にご飯食べよー」
(,,゚Д゚)「はぁ? なんでお前と一緒に飯食わなきゃいけn」
(*゚ー゚)「ギコくんが一緒に食べてくれないと、
しぃちゃんは暇を極めて教室でゲリラコンサートを始めます」
(,,゚Д゚)「おいやめろ教室に地獄を創ろうとするな(超早口) わーいしぃと飯が食えるー」
そんな和やかな空気の中。
- 10 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:20:06 ID:Ry1To0T60
- 「キャアアアアアア!!!!!!!!!!」
唐突に、悲鳴が聞こえた。
川 ゚ -゚)「む」
_
( ;゚∀゚)そ「おぉ!?」
( ;・∀・)「このパターンはまさか……」
その悲鳴に教室にいた生徒達がざわつく。
( ;^ω^)「い、今の悲鳴!! 購買に行ったツンの声だお!!」
いち早く反応したのは教室の一番後ろ、窓際に座り弁当を広げていたブーン。
彼はがたりと立ち上がり、
三三⊂( ;^ω^)⊃「ツーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!」
ほぼ絶叫に近い声をあげ、不思議な体制ととんでもないスピードで教室を飛び出して行ってしまった。
- 11 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:21:03 ID:Ry1To0T60
- (;'A`)「…………」
その場にぽつんと取り残されたドクオはひとつ大きなため息をついた。
そして首にかけていたヘッドホンを頭につけ直し、自分とブーン、
もう一人分の弁当を片付けながらやっとのことで言葉をひねり出した。
(◎'A`)「やっぱこうなるのか……」
- 12 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:21:53 ID:Ry1To0T60
- ( ;^ω^)「ツン………!!」
購買にたどり着いたブーンは、その有り様に少しショックを受けた。
まさに惨状。
棚のパンは落ちて踏まれ、倒れた冷蔵庫からは瓶のジュースが割れて辺りを汚している。
女子生徒のすんすんと泣く声や、それを慰める先生の声。
そして何よりも異質で、この空間の異常を醸し出しているのは。
( ;^ω^)「ショボン……!」
- 13 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:22:33 ID:Ry1To0T60
- :::::::::::::::::::::
::::※%ω;;`)::::
:::::::::::::::::::
無惨な死体と成り果てた友人の姿。
近所でもセンスが良いと評判のしたらば高校の学生服は、
床に散らばった彼自身の血で真っ赤に染まり、
顔の半分も何かで抉られてほぼ原型をとどめていない。
( ;^ω^)「大変だお大変だお………」
そんな状況を目の当たりにしたブーンの行動は極めて迅速だった。
ざわめく人混みをかき分け死体の元へ。
そして死体の手元に落ちていたバスタオルを拾い上げる。
( ;^ω^)「大変だお大変だお……」
ぶつぶつと呟きながらバスタオルを一度ぎゅうと絞り水分を切る。
そしてそのバスタオルを死体の上へばさり、と被せた。
- 14 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:23:14 ID:Ry1To0T60
- ショボンがいつも左手に抱えていたバスタオルは、予想以上にサイズが大きく
被せてみると死体全体が綺麗に、その中へ収まった。
( ^ω^)「ひぃ、ふぅ、みぃ……っと!」
カウントを取り、まるでマジックをするように先程被せたバスタオルを振り上げたブーン。
勿論そんなことをしたところで、中から鳩が出てくるわけでも、財布の中の500円玉が増えている訳でもない。
しかしブーンのその行動によって。
(´ぅω-`)「あれれ? また僕寝てた~?」
しがない男子高校生が1人、地獄の底から舞い戻って来ることが出来るのである。
- 15 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:23:35 ID:Ry1To0T60
.
- 16 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:23:57 ID:Ry1To0T60
- 冒頭、放課後の教室でお菓子パーティを開いていた10人の高校生達は、
皆『【能力】持ち』である。
どれもユニークな能力であるが、彼らの持つ能力には共通点が1つだけある。
それは、“違和感”を持たないこと。
先程のシーンの続きと共に説明をしよう。
- 17 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:24:35 ID:Ry1To0T60
- ( ;^ω^)「ショボン! 生き返って早々悪いんだけどツンは!」
(σ´-ω・`)「えーとね、今回も『秘密結社V.I.P.』ってとこだったよ」
(σ´-ω-`)「あっさり死んじゃってごめーんね」
先程まで惨たらしく死んでいたというのに、あっけらかんとそう言うショボン。
( ;^ω^)「まーた『V.I.P.』の奴らかお!
懲りねーやつらだおね!」
そう言ってぷんすかと怒るブーン。
ここで聡明な読者諸君は気がついただろう。
『死んだやつが突然生き返ったのなら、周りはとんでもない騒ぎになっているのではないか』と。
ところで、漫画やアニメなどでこのようなシーンをみたことがあるだろうか。
- 18 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:25:13 ID:Ry1To0T60
- ~~~
(゚、゚トソン <どうしたのですか、杉浦くん。
真剣に何か考えている様ですが。
( ФωФ) <いやー、ずっと考えてたんであるが。
( ФωФ) <何をどうしたらトソンはそんなまな板もビックリの
断崖絶壁を得ることが出来たんだろうかと……。
(゚、゚#トソン <…………。
<ドカッ!!!バキッ!!!
(※メ)ω(メ) <すまん。
(゚、゚トソン <次言ったらチョキで殴ります。
( ФωФ) <洒落にならん。
~~~
- 19 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:26:38 ID:Ry1To0T60
- 女子をからかい、顔の形が変わるほど殴られた男子。
しかし次のシーンには殴られた傷はすっかり消え、いつも通りのビジュアルに戻っている。
勿論その事について、物語の中のキャラクター達は過剰に騒いだりしない。
先程、地獄の底から舞い戻って来た男子高校生、火鳥(ひのとり)ショボンの【能力】がそれである。
能力、【1コマ後】。
怪我をしたとしても、死んだとしても。
まるで漫画の中の世界のように、少し経てば元通り。
怪我をしたことにも、その怪我が完治していることにも
誰も“違和感”を持つことはない。
例え、能力の発動が大衆の目の前で行われたとしても。
- 20 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:27:27 ID:Ry1To0T60
- 能力の発動には多少の条件が必要だが、その事についてはおいおい説明していけば良いだろう。
(´・ω・`)「ブーン、これからどうするの~?」
( ^ω^)「決まってるお!」
ショボンと共に荒れている購買から飛び出したブーンは、
スマホを取り出し何やら入力した後、高らかに宣言した。
( ^ω^)「図書室でいつものやつら、全員集合だお!!」
- 21 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:28:07 ID:Ry1To0T60
.
- 22 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:28:52 ID:Ry1To0T60
- (っ´・ω・`)っ「じゃあ僕みんな来るまで寝てるから~」
図書室につくと、ショボンはいつの間にか綺麗になっていたバスタオルを抱えて机に突っ伏した。
本人曰く
(っ´-ω-`)っ「怪我治すのも生き返るのも体力使うんだよ~、ふぁあああ~」
と欠伸混じりに言い訳をしていたが、普段の素行から鑑みてただ単純に寝たいだけであろう。
川 ゚ -゚)「まーた『V.I.P.』か。懲りないな、奴らも」
一足先に図書室についていたクールは、頬杖をついて呆れたような顔で
たどり着いたブーン達にそう言った。
腰まで伸びたストレートの黒い髪、切れ長の目。
どこか大人びた雰囲気が印象的だ。
- 23 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:29:30 ID:Ry1To0T60
- 彼女……富楼(ふろう)クールの能力は【国民的アニメ方式】。
かの国民的アニメのように、彼女の肉体は17歳のままで時が止まっている。
勿論、その事に関して周りが“違和感”を持つことはない。
永遠のしたらば高校2年A組の1生徒として、彼女は今現在も生き続けている。
ちなみに実年齢は謎だ。
以前ブーンが聞いてみたところ、
川 ゚ -゚)「私から1つ、良いことを教えてやろうブーンくん」
川 ^ -^)「レディにはむやみやたらに歳を聞くものじゃないぞ」
の言葉と共に腹への鋭い一撃を御見舞いされた、ということだけ言及しておこう。
やはりいつの時代も女子というものは恐ろしいものなのである。
- 24 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:30:40 ID:Ry1To0T60
- (,,゚Д゚)「もう来ていたのか」
(*゚ー゚)「また『V.I.P.』なの?
ツンちゃんもいい加減飽きてきたんじゃない?」
そう言いながらしぃがギコと共に図書室に入ってきた。
川 ゚ -゚)「私もそう思うよ、いい加減諦めてくれればいいのだが……」
( ^ω^)「諦めてくれないから面倒くさいんだお」
(,,゚Д゚)「またブーンの胃痛が増すな……」
( ^ω^)「ツンは何も悪くないから……」
(*゚ー゚)「いい加減ぶっ潰しても良いと思うんだけどねー!」
そう言いながら自分の制服のスカーフをいじるしぃ。
何気に女子の方が発想がバイオレンスである。
- 25 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:31:38 ID:Ry1To0T60
- ('A`)「すまん、モナーとジョルジュと合流してた」
( ´∀`)「ツンさんも苦労してるモナね……」
_
( ゚∀゚)「あれ? モララーは?」
そこにドクオ、モナー、ジョルジュが合流。
ブーンがあれ、と声をあげた。
( ^ω^)「一緒じゃなかったのかお?」
( ´∀`)「すぐ行くって言ってたモナけど……」
首を傾げるモナーにジョルジュが閃いたように口を開いた。
_
( ゚∀゚)「また【能力】で大変なことになってる?」
- 26 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:32:19 ID:Ry1To0T60
- ( ;・∀・)「なっっっっっってた!!!!!!!!!!」ガラガラーーーー!!!!!!!!
ジョルジュの言葉に被せるように、先程図書室にたどり着いたモララーは、
叫びながら扉を思いっきり開けた。
('、`*川「モララーくん、図書室で騒いじゃダメですよ」
( ;・∀・)「あっごめんなさい!!」
即座に司書の先生に怒られていたが。
彼の能力についても言及しておこう。
- 27 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:33:16 ID:Ry1To0T60
- ~~~
( ;ФωФ) <きゃー遅刻遅刻ーー!!
( ФωФ) <なんで朝からフルコース食わされてたんだろう我輩
( ;ФωФ) <まぁいい!遅刻するーー!
(゚、゚;トソン <うわあああ!遅刻です!!
(゚、゚;トソン <まさか目覚ましが止まってるなんて……!
三三( ;ФωФ) (゚、゚;トソン三三
ドンッ!!
Σ ( ;+ω+)(>、<;トソン そ
ムニッ( ;+ω+) <うわっ!
( ;ФωФ) <むに?
(//、///;トソン カァアアアア
( ;ФωФ) <うわぁああああ!!すまない!!
~~~
- 28 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:34:26 ID:Ry1To0T60
- 誰もが見たことがあるであろうラノベ御用達のラッキースケベ。
正直書いていて辛かったが、これが図書室に滑り込んできた気弱系イケメン、玉坂(たまさか)モララーの能力。
能力、【To LOVE ルメイカー】。
なお、某ちょっとエッチなジャンプコミックスとは一切関係ない。
( ;-∀-)「さっき先輩とぶつかっちゃって……。
ボクホント胃が痛いよ……」
更にこれはモララー以外にも言えることだが
彼らの持つ能力、オンオフは一切出来ない。
その上、クーやショボンなどの常駐型と違い
モララーやツンは
能力の発動も不定期であり、本人の都合への容赦は一切無い。
イケメンの割にナード気質のモララーは、能力が発動する度に胃を痛めているそうだ。
ざまぁみろである。
- 29 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:35:21 ID:Ry1To0T60
- ( ・∀・)「みんないるってことはやっぱりそっち関係?」
( ^ω^)「うむ、ツン関係だお」
川 ゚ -゚)「おら全員集合したぞ、起きろ火鳥」
(っ´-ω-`)っ「う~、あと7世紀は寝てたい……」
('A`)「お前あと何世紀生きるつもりなんだ……」
目をしぱしぱさせて唸るショボンを軽く揺さぶるドクオ。
ギコは、鼻歌を歌おうとしていたしぃの頭を小突くと、口を開いた。
(;*゚ー゚)「うがぁあああ」
(,,゚Д゚)「場所はわかってるのか?」
(;*゚ー゚)「ぶつならせめて何か言えやぁあああ」
- 30 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:36:14 ID:Ry1To0T60
- ( ^ω^)「そこに関しちゃ心配いらんお。ドクオの【能力】があるから。
当然5、6時間目はサボることになっちゃうけど……」
ブーンがギコにそう言った時。
『♪~♪~』
校内放送を伝えるチャイムが鳴った。
( ・∀・)「……ん?」
『全校生徒に連絡いたします。
緊急の事情により、5,6時間目の授業及び
放課後の部活を休止します』
『生徒は直ちに下校してください。
繰り返します……』
- 31 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:37:13 ID:Ry1To0T60
- ( ´∀`)「……5,6時間目綺麗につぶれたモナね」
(´・ω・`)「願ったり叶ったりじゃないの~?
ドクオとかジョルジュなんか頭悪いから授業サボったら余計バカになっちゃうし~」
(;'A`)「喧嘩売ってんのか天才型!!!」
_
( ゚∀゚)「お? 褒めてる?」
( ^ω^)「どこを聞いたらそんなポジティブに考えられるのやら」
川 ゚ -゚)「まぁまぁ、都合が良いのは良いことだ。これからツン奪還作戦に赴く。
ドクオ、頼んだ」
('A`)「へいへい了解ですよっと。
お前ら今ちゃんと財布持ってるよな?んじゃ行くか」
そう言って椅子から立ち上がったドクオに次いで立ち上がる面々。
('A`)「【場面転換】」
- 32 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:37:41 ID:Ry1To0T60
.
- 33 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:38:43 ID:Ry1To0T60
- ドクオがそう言うと同時に周りの景色がぐりん、と変わる。
顔を上げれば、本がこれでもかと並べられていたしたらば高校の図書室は消え去り、目の前には廃ビルがでんとそびえている。
( ;´∀`)「なんかおばけとか出そうモナ……」
( ^ω^)「ツーン!今助けにいくおーー!!」
('A`)「今回意外にかかったな」
ちらりと財布のなかを覗いたドクオがそう呟く。
場飛(ばとび)ドクオの能力、【場面転換】。
移動にかかるおおよそのお金と、おおよその時間(およそ分単位、秒以下は切り捨て)を消費して距離を無視した移動が出来る能力。
とは言っても、理解するのはなかなかに難しいと思うので例をあげて説明しよう。
- 34 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:39:45 ID:Ry1To0T60
- ~~~
(゚、゚トソン <杉浦くん杉浦くん。
( ФωФ) <んであるかトソン。
(゚、゚トソン <でずにーランドに行きたくないですか?
( ФωФ) <でずにーランドじゃなくてデ●ズニーランドな。
( ФωФ) <……消されたりしないであるな?
(゚、゚トソン <行きたいですか? 行きたくないですか?
( ФωФ) <そりゃ行きたいなーとは思うであるが……。
(゚、゚トソン <じゃあ行きましょうよ。
( ФωФ) <え?
(゚、゚*トソン <という訳でやって来ちゃいましたよでずにーランド!!
( ФωФ) <思い立ったが吉日精神の極みかよ……。
(゚、゚*トソン <ほらほら行きますよ杉浦くん!
( ФωФ) <……まぁいいか。
~~~
- 35 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:40:36 ID:Ry1To0T60
- ふと思ったのだが何故能力の説明をするのにわざわざリア充を引き合いに出さなければならないのか。
別にイチャつくリア充なんざ都会へ行けば吐くほど見ることが出来るし田舎でも吐くほど見れる。
決して羨ましいとかそんなんじゃない。
思えば中学生時代のリア充のイチャつきっぷりは酷いもので
正直思い出すだけで口を押さえてトイレにダッシュしたい位
……話が逸れた。
『と言う訳で』、というフレーズと。
金銭を消費した、時間と距離のスキップ。
簡単に言ってしまえばこれがドクオの能力の説明だ。
- 36 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:41:18 ID:Ry1To0T60
- スキップした時間分なら巻き戻すことも可能らしい。
ドクオがそれを何に使っているかは謎ではあるが。
なお、【場面転換】は本来であれば目的地への行き方を
誰かが把握していなければ使用することが出来ない能力である。
その辺りについては
川 ゚ -゚)「まぁ『秘密結社V.I.P.』と私たちの間にはただならぬ因縁があるし……、
その過程で『基地を探す過程のスキップ』が可能になってもおかしくないよな」
とクーがコメントを残している。
- 37 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:41:57 ID:Ry1To0T60
- ⊂( ^ω^)⊃「ツーン!!」ドドドドドド
_
( ;゚∀゚)「ブーン早ぇえ!!落ち着いて!!」
やはり不思議な体制で入口に突進しようとするブーン。
それを何とか止めようと腰に捕まるジョルジュ。
Ω「む、侵入者だ!!」
そんな目立つことをしていたため、外に出てきていた敵にあっさり見つかった。
まぁ敵のアジトの前でどったんばったん大騒ぎしていれば当然である。
- 38 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:42:35 ID:Ry1To0T60
- (*゚ー゚)「あららぁ」
(,,゚Д゚)「下がってろしぃ、俺がやる」
驚いたような間抜けな声を出したしぃを下がらせ、
ギコは目にも止まらぬスピードで相手の背後に回った。
そして相手の首筋に手刀を叩き込む。
Ω「ぐぁああああ」
ばたり、と倒れる敵。
( ´∀`)「相変わらずお強いモナね……」
(,,゚Д゚)「【能力】のお陰だ。俺自身はそこまで強くない」
( ・∀・)「空手黒帯なのによく言うよ……」
- 39 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:43:26 ID:Ry1To0T60
- 振手(ふりて)ギコの能力、【急所打ち】。
その名の通り、相手の急所を的確に突くことの出来る能力だ。
普通の人なら不可能な、首トンによる気絶も可能。
かなり強力な能力だ。
更にギコは元々幼い頃から空手を習っており、
その技術に能力が重なったことによって、彼自身の強さも増幅している。
(,,゚Д゚)「ほら、行くぞ皆」
(*゚ー゚)「ギコくんつよーい!」
Ω「あっ!侵入者!」
即対応したにも関わらず、建物の影から
再び敵がやって来てしまった。
その後ろからも何人かの声が聞こえてくる。
- 40 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:44:33 ID:Ry1To0T60
(,,゚Д゚)「チッ……」
(´・ω・`)「待ってギコ」
構えを取るギコの肩にショボンがぽん、と手を置いた。
(,,゚Д゚)「……なんだ」
(´・ω・`)「ここでみんなで固まって戦ってても時間の無駄だよぉ」
川 ゚ -゚)「あぁ、火鳥の言うとおりだ。
だからここは私と火鳥と……」
川 ゚ -゚)「しぃ、一緒に来てもらってもいいか」
σ(*゚ー゚)「あたし?」
- 41 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:45:38 ID:Ry1To0T60
- きょとんとした顔のしぃにショボンが言葉を繋げる。
(´・ω・`)「確かに、妥当な判断じゃない~?」
(,,゚Д゚)「そうだな、室内でしぃの【能力】ぶっぱなされたら堪ったもんじゃない」
( ´∀`)「無差別兵器モナね」
( ;・∀・)「ぶっちゃけ庇えない」
('A`)「俺らじゃなきゃ死んでる」
( ^ω^)「思い出しただけで寒気が……」
(;*゚ー゚)「酷くない!?」
そう嘆くしぃの肩をクーがぽん、と叩く。
- 42 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:46:58 ID:Ry1To0T60
- 川 ゚ -゚)「まぁそう言うわけだ、ここは任せて先に行け」
( ^ω^)「了解だお!」ダッ
(,,゚Д゚)「巻き込まれる前にとっとと行くぞ」ダッ
(・∀・; )「あっ、えーと、とっても独創的だと思うよ!」ダッ
(;*>ー<)「覚えてろよ~~!!」
中へ走っていく男子高校生達の背中に向かって叫ぶしぃ。
しかしその直後、敵の方にぐるりと振り返る。
(*゚ー゚)「さぁさぁ!しぃちゃんのコンサート、はじまるよー!」
そう言いしぃはにっこりと笑った。
- 43 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:47:44 ID:Ry1To0T60
- (*゚ー゚)「思いっきり歌っちゃうよ!」
くるりと回転したしぃは思いっきり息を吸い込んだ。
クーとショボンはすかさず自身の耳をふさいだ。
(*゚ワ゚)「~♪~♪」
そしてしぃは歌い出す。
しかしその歌声は酷いもので、とても聞けたものではない。
Ω「ぐわぁああああ」
Ω「うわぁああああ」
駆け寄ってくる敵達は、ある一定の距離に踏み入った瞬間ものすごい勢いで吹き飛んだ。
_, ,_
川∩゚ -゚)「やべーしぃマジやべー」
_, ,_
(∩-ω-`)「流石としか言いようがない」
それをしぃから離れた所で耳を塞ぎ眉間に皺を寄せてながら眺める二人。
- 44 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:48:58 ID:Ry1To0T60
- 歌荷(うたに)しぃの能力、【音痴】。
その名の通り、彼女は音痴だ。
その音痴っぷりは酷いもので、彼女が1フレーズ歌うだけで
窓ガラスは割れ衝撃波で人々が吹き飛ぶ。
当然普通の音痴にそんな芸当は不可能だ。
だからこそ彼女の音痴は能力であり、凶器でもあるのである。
しぃの歌声が襲いくる敵をどっかんばっこん吹き飛ばすのを、二人は眉をしかめながらもどこか信頼した表情で眺めていた。
- 45 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:49:43 ID:Ry1To0T60
.
- 46 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:50:45 ID:Ry1To0T60
- 外にしぃの歌声が響き渡っている頃。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
広院(こういん)ツンは、小さな部屋に閉じ込められていた。
閉じ込められた、といっても部屋の外に出られないだけで、
室内に限った話で言うのならV.I.P.の彼女に対する扱いは非常に良いものだった。
彼女の能力は【被害体質】。
彼女がいるだけで何かしら事件が起こる。
更に言えば、彼女の前世はどこかの国のお姫様だったらしいし、
先祖にはなんかすごい霊媒体質の人とかいたらしい。
他にもエトセトラ。
V.I.P.は彼女の前世に関係していた組織らしく、
こうして定期的にさらわれる。
さながらツンはピ●チ姫といったところか。
- 47 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:51:38 ID:Ry1To0T60
┗(⌒)(^^) 「暇なのかい?」
そこへがちゃり、と扉を開いて一人の少女が顔を出した。
猫のような糸目と真っ白な短髪。
申し訳程度にある胸に巻かれた包帯とショートパンツ、太腿まである編み上げブーツ。
そして右肩に生えた羽。
彼女の名前は、ラプチャー=フェリシエンヌ。
秘密結社V.I.P.に所属する幹部の1人だ。
- 48 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:52:36 ID:Ry1To0T60
- ξ゚⊿゚)ξ「まぁ、暇よね」
┗(⌒)(^^) 「悪く思わないでね、あの方的には貴女のこと心配してるだけだから」
┗(⌒)(;^^) 「……まぁ、貴女的には迷惑だよね」
ξ゚⊿゚)ξ「多分今後の成績に支障が出る気がするわ」
┗(⌒)(;^^) 「ご、ごめんね……」
眉をへにゃんと下げて謝る少女に合わせてぺたん、と右肩の羽が折り畳まれた。
いつもツンがさらわれる度にこうして顔を出して話をしてくれる辺り、
あながち悪い子では無いのかもしれない。
ξ゚⊿゚)ξ「(それに……)」
┗(⌒)(;^^) オロオロ
ペターン
ξ゚⊿゚)ξ「(なんか親近感わくのよねぇ……)」
主に胸囲の辺りとか。
- 49 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:54:16 ID:Ry1To0T60
- ┗(⌒)(^^) 「ところでお腹はすいてない? さっきミセリが買ってきてくれたんだけど、私はそういうの要らないから」
ぽい、と放られた袋を受けとってみれば、今コンビニで人気のフルーツサンド。
ξ゚⊿゚)ξ「あ、ありがと」
そういえば昼食を買いに購買に行った時にさらわれたんだった、とツンは思いだしありがたく頂くことにする。
ξ゚~゚)ξ「美味しい」
┗(⌒)(^^) 「そう?私はミセリと違ってこの世界には詳しくないから、喜んでくれたのなら良かったよ」
ξ゚~゚)ξ「ん」
┗(⌒)(^^) 「じゃあ、私は1回戻らなきゃいけないから」
┗(⌒)(^^) 「何かあったらドアの脇にあるボタンを押してくれれば誰かしらが来てくれるからね」
そう言って、ラプチャーはとことこと部屋を出ていった。
ツンは1つ目のフルーツサンドを咀嚼しながらそれを見送った。
- 50 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/24(木) 18:55:41 ID:Ry1To0T60
- ξ゚~゚)ξ「(そういや……またさらわれちゃったけど、もう対して驚かないなぁ)」
ξ゚⊿゚)ξ「(大分慣れちゃったわね、私も)」
フルーツサンドを飲み込み2つ目に手を伸ばす。
昔は何かに巻き込まれる度に泣きわめいていたものだが現在となっては随分と図太くなったものだ。
( * ω )
それとも。
必ず助けに来てくれる幼なじみがいるからだろうか。
ξ;-⊿-)ξ「うーん……」
一瞬頭をよぎった誰かさんを振り払い、ツンは手に持ったままだったフルーツサンドにかぶりついた。
きっとまだ、この気持ちは知らないままで良い。
そんな呟きは飲み込んだフルーツ達と共に喉の奥へ消えていった。
- 51 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2017/08/24(木) 18:58:07 ID:Ry1To0T60
- 今回はここまで。
後半は多分明日辺りに。
- 53 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:22:20 ID:A9OrxQuE0
- _
( ゚∀゚)「こん中意外と綺麗だね!」
('A`)「また例のアレソレでどーにかしたんだろうなぁ……」
( ´∀`)「それにしても、ツンさんは一体どこにいるんだろうモナ……」
( ^ω^)「あのジジィアホだから多分上の方にいるんじゃないかお?」
('A`)「仮にも相手の親玉に向かってひどい言いぐさ」
( ^ω^)「いいんだお、ぼくあいつのこと嫌いだし」
(,,゚Д゚)「あーな」
( ・∀・)「チャラいよね」
_
( ゚∀゚)「わかるわ!」
( ;´∀`)「皆否定しないんだモナね……」
そんな間抜けな会話をしながら歩みを進める男子高校生達。
時折襲ってくる敵もいたのだが、ギコが全て片付けてくれた。
- 54 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:23:18 ID:A9OrxQuE0
- と、そんな彼らの前に、一人の少女が立ちはだかる。
('A`)「あ」
_
( ゚∀゚)「お!」
ミセ*゚ー゚)リ「くっくっくー!遂にやって来たわね男子諸君!」
ミセ*^ー^)リ「ミセリ待ってたのよぉ!」
あまりのふわふわっぷりに動きづらくないのかと問いかけたくなる程、女の子らしさを前面に押し出してくるピンク色のロリータ。
それでいながらも、彼女の豊満な胸元は腰をコルセットで締めていることによって強調されており、女性らしさも演出している。
軽く癖をつけられたエメラルドグリーン色の髪はフリルのついた鮮やかな真紅のリボンで纏められている。
彼女の名前はミセリ=ミストラル。
ラプチャーと、同じく秘密結社V.I.P.の幹部だ。
- 55 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:24:26 ID:A9OrxQuE0
- ミセ*゚ー゚)リ「ひゃっほい!!会いたかったぜモララーくん!!」モミッ
( ; ∀ )「きゃーーーーー!!?」
(,;゚Д゚)「今の一瞬で後衛にいたモララーの元にたどり着いた……だと……!?」
それでもって、モララーの天敵だ。
全自動ラッキースケベマシン(命名ドクオ、不名誉)のモララーは、
かつてのミセリとの遭遇でなんやかんやあったらしくこうして会うたびに胸を揉まれている。
おっぱいでかくてかわいい女の子にセクハラされるとかご褒美どころの話じゃないのでもっと喜んで頂きたいところなのだが、
残念ながらモララーは度重なる能力の発動の影響でやや女性恐怖症になりかけているため生娘のような反応しか返せない。
多分そういうところも彼の胃痛が収まらない原因なのだろう。
ちなみに個人的に胃痛には太○胃散が割と効くと思う。
- 56 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:25:24 ID:A9OrxQuE0
- _
( *゚∀゚)「おぁあ、いいなぁ………」
ミセ*゚ー゚)リ「お?ジョルくんどうした?ミセリンのおっぱいにご興味がおありで?」
_
( ;興∀味)「なーなな、何言ってんのー!?そんなこと全然ないしーー!!」
ミセ*゚ー゚)リ「うーん、やっぱジョルくんすぐ顔に出るから好きだわ」
能力、【表現技法】。
彼の感情はマンガのように分かりやすい。
例えば、嬉しい時には自身の周りに花やシャボン玉が舞い、落ち込んでいるときは人魂が舞ったりする。
嘘をつけない性格なので、思ったことは大体目に出る。
_
( ;胸∀胸)「なんも考えてないよ!おっぱいのこととか考えてないよ!」
こんな感じに。
彼の指差した先に集中線が出来ることはざらだ。
それが背景(せかげ)ジョルジュの能力である。
- 57 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:26:30 ID:A9OrxQuE0
- ミセ*゚ー゚)リ「へっへ~い!おっぱいぞ!おっぱいぞ~~~!」ボインボイン
_
( ;オッ∀パイ)「ぬわぁ~~~~~~!!!!」
( ;・∀・)「うーんジョルジュってば素直」
そんな感じでジョルジュを一通りからかったミセリは男子高校生達の元に向き直る。
ミセ*゚ー゚)リ「さ!他のいたいけな少年達もからかって遊び……」
ミセ;゚-゚)リ「あらん?」
向き直ったミセリが間抜けな声をあげる。
(,,゚Д゚)「ん?やっと気づいたのか?」
( ・∀・)「ブーン達3人、ドクオの能力でもう先に行っちゃったよ?」
ミセ;゚-゚)リ「えぇー!!そこはみんなで力合わせて戦いなさいよ!!セオリーじゃないの!!」
_
( ゚∀゚)「セロリ?食えるの?」
( ・∀・)「ブーンみたいなこというのやめてね」
- 58 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:27:45 ID:A9OrxQuE0
- (,,゚Д゚)「いや……6人でごちゃごちゃしてるとやりづらいって……」
ミセ;゚-゚)リ「どこ情報よそれ!!」
そう叫ぶとミセリは、自分の額にぺちんと手を当てた。
ミセ;- -)リ「んん~」
ミセ*゚ー゚)リ「ま、いっか!」
ミセ*゚ー゚)リ「いいよ!遊んだげる!」
ミセ*^ー^)リ「やれるもんならやってみろーってね!!」
ミセリがそう宣言すると同時に、彼女の腕を淡い光が包み込む。
光が消えると、彼女の拳には装備されたごてごてのメリケンサック。
拳のちょうど当たるところは、ご丁寧に硬い金属で覆われている。
結論。当たったら絶対痛い。
- 59 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:28:44 ID:A9OrxQuE0
- ミセ*^ー^)リ「おりゃーい!!」ブンッ
(,;゚Д゚)「うぉお!?容赦ねぇなお前!!!」
_
( ;゚∀゚)「オレたち普通の高校生なのに!!」
ミセ*^ー^)リ「やかましーーー!!!うちらとナチュラルにやりあえてる時点でお前らは普通の高校生失格じゃーーー!!!」
ふわふわふりふりの見た目に反して。
秘密結社V.I.P.幹部、ミセリ=ミストラルは武闘派なのである。
ミセ*^ー^)リ「あたしが君たちをぶっとばすか、先に行った子達が姫ちゃんを助けるか!」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、あたしがモラぴっぴを手籠めにするかでもいいよん!」
( ;・∀・)「勘弁してぇ!?」
モララーのほぼ泣きかけの悲鳴を皮切りに、時間制限つきの鬼ごっこが始まった。
- 60 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:30:09 ID:A9OrxQuE0
- 一方その頃ツンは。
爪*'ー`)ノ「姫~~~~~~~!!!!!!!!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」シタタタタタタタタ
変態に襲われていた。
ツンは迷い無くドア脇のボタンを押した。
自分の持ちうる限りの全力で連打した。
爪*'ー`)「また会えましたね姫!これも運命ですかね!」
ξ;゚⊿゚)ξ「さらってきたのはあんたでしょーーーーーーーがーーーーーーー!!!!!!!!!!」
┗(⌒)(^^) 「ハイハイツン様、呼ばれたから来たよ……って」
┗(⌒)(;^^) 「何してらっしゃるんですかこの変態ーーーーー!!!!すけべーーーーー!!!!」
- 61 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:30:54 ID:A9OrxQuE0
- ツンの呼び出しに応じてやって来たラプチャーの第一声は罵倒だった。
申し訳程度に使われていた敬語は完全にお飾りだった。そこに敬意などは一切無かった。
ラプチャーは頬を怒りやら羞恥やらの感情に赤く染めながらばさり、と右肩の羽を羽ばたかせた。
羽ばたかせた勢いでひらりと羽が何枚か抜けた。
刹那。
┗(⌒)(^^) 「国分寺ーーーー!!!!」ピョイン!
┗(⌒)(^^) 「国分寺ーーーー!!!!」ピョコン!
抜け落ちた羽が一瞬にして形を変え、小さなラプチャーを形作る。
そのサイズはもともと小柄なラプチャーよりも更に小さく、70センチほどしかない。
- 62 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:32:05 ID:A9OrxQuE0
- ┗(⌒)(#^^) 「『私達』!!!そいつぶっ飛ばしといて!!!」
┗(⌒)(^^) 「国分寺ーーーー!!!!」ダッ
爪;'ー`)「ちょ、まってラプちゃん!!国分寺ーズはマズイって!!」
┗(⌒)(#^^) 「ご心配無く!!大魔法使い様は偉大でいらっしゃるので多少の痛め付けはダメージの内に入りません!!!」
爪;'ー`)「ちょちょ、姫、なんとか言って……」
ξ゚⊿゚)ξ「構わないわ、やっちゃって」
┗(⌒)(#^^) 「かしこまりましたツン様!!!!覚悟しやがれこのド変態!!!!地獄の更にその先を見せてやります!!!!」
爪;'ー`)「ヒェッ」
┗(⌒)(^^) 「国分寺ーーーー!!!!」ドカッ
爪;'ー`)「あぁッッ、ちょ、国分寺ーズまた力強くな……痛い!!めっちゃ痛い!!」
- 63 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:33:38 ID:A9OrxQuE0
- 体長70センチほどの少女幾人か(全員同じ顔)に取り囲まれリンチを受ける変態。
なかなかにイカれた絵面ではある。
ξ゚⊿゚)ξ「うーん容赦ない」
ツンも微妙に引いた。
しかしこの変態すけべおやじこそが秘密結社V.I.P.を統べる総統、フォックス=ファルギエールである。
なんかツンの前世に仕えててそんでなんか色々うんたらかんたら。
なんやかんやでツンのことをピ○チ姫をストーキングするク○パのごとく追い回しているのである。
立派な犯罪、早く捕まれば良いのに。
しかし残念ながらこの男、天賦の魔法の才能がある上、証拠も無いため普通の人には絶対に捕まえることが出来ない。
- 64 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:35:21 ID:A9OrxQuE0
- ( #^ω^)「どりゃああああ!!!!」バキィイイイイイイイ!!!!!!!!!
爪#)ー`)そ「何事ーーーーー!!!!!??」
ξ*゚⊿゚)ξ「ブーン!!」
( ^ω^)「ツン!」
ξ*゚ー゚)ξb グッ
グッ d(^ω^* )
だからこうしてブーン達がツンを助けに来てくれるのだ。
いつも、諦めること無く、絶対に。
- 65 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:37:34 ID:A9OrxQuE0
.
- 66 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:38:53 ID:A9OrxQuE0
- ブーン達がフォックス達の元に乗り込む少し前。
( ´∀`)「えーと、武器はどうするモナ?」
( ^ω^)「何があるんだお?」
( ´∀`)「エアガンとか鉄パイプとか」
(;'A`)「なんでそんな物騒なもん持ってるんだよ………」
ツンの居場所をうまいこと突き止めたブーン達は、装備を整えていた。
- 67 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:40:05 ID:A9OrxQuE0
- ( ´∀`)「モナモナ……モナは心配性だから何でも持ってきちゃうんだモナ」
(;'A`)「そっか……じゃあ俺エアガンでいいや……」
( ´∀`)「うん、今出すからちょっと待ってモナ」
と、ここで首をかしげた者も多いだろう。
彼らは、学校の図書室からここまでショートカットで来たのだ。
そんな物騒な大荷物は持ってこれないのではないか、と。
( ´∀`)「はい、どうぞモナ」
('A`)「さんきゅ」
( ^ω^)「あいっかわらず便利極めてるおねぇ、その【能力】」
( ´∀`)「ボクってば心配性だからありがたいモナァ」
- 68 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:41:01 ID:A9OrxQuE0
- モナーが手を背中側に回してごそごそと探れば、正面に戻った手にはお望みのエアガンが握られている。
それをドクオに渡した後、モナーは再び手を後ろに回し、片側にグリップテープが巻かれている鉄パイプを取り出した。
( ´∀`)「ブーンには鉄パイプあげるモナ」
( ^ω^)「いらねぇwwwwちゃんと返すおwwww」
これこそがモナーの能力、【謎収納】。
どこかの空間から自分の持ち物をひょいと取り出す能力。
直接取り出すところを見ることはできないし、どこから取り出しているかも不明。
そこに違和感は一切ない。
それが納芽(おさめ)モナーの能力だ。
- 69 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:42:51 ID:A9OrxQuE0
- ( ´∀`)「怪我してるとこないモナ?バンソコーあるモナよ」ヒョイ
('A`)「いや、俺は平気」
( ^ω^)「大丈夫だおー!」
( ´∀`)「そう!それは良かったモナ!じゃあそろそろいくモナ」
立ち上がり扉の前にたどり着いた3人、ブーンが扉に手をかけてみたが開きそうにない。
( ;´∀`)「ありゃ」
(;'A`)「どうする?モナーに針金出してもらって俺がどうにか………」
( ^ω^)「いや、その必要は無いお」
ペロリと舌なめずりをしてブーンはドアの正面に立った。
( ^ω^)「今日はお昼ごはん食べ損なって『お腹が空いてる』から……」
- 70 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:43:39 ID:A9OrxQuE0
.
- 71 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:44:26 ID:A9OrxQuE0
- 爪#)ー`)「何事ーーーーー!!!!!??」
突如ドアを蹴りやぶって来たブーン達に、フォックスは目を白黒させた。
( ^ω^)「ツンを取り返しに来たんだお!!!」
爪#)ー`)「いやだって扉!!鍵は!?」
( ^ω^)「食った!!!!!!」
爪#)ー`)「食った!!!!!!?????」
ブーンの言葉に、ツンは先程ブーン達が蹴りやぶったドアの残骸に目を落とした。
確かにかつてドアノブと鍵のつけられた部分には、ぽっかりと空間があいている。
もっと目を凝らせば、開いた空間の近くに『歯形』が付いているのがわかった。
- 72 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:45:36 ID:A9OrxQuE0
- ブーンは食いしん坊だ。
筋金入りの食いしん坊だ。
授業中にお腹がなれば『またお前か!』と笑われ、お腹が空けば道端の雑草すら口に入れようとしてツンに怒られる。
その食に対する貪欲さから、歯の固さはダイヤモンドを凌駕し、彼が食べると決めたものは何でも食べられるという。
それが歯噛(はがみ)ブーンの能力、【悪食】。
ξ゚⊿゚)ξ「……お腹壊すわよ?」
( ;^ω^)「久しぶりすぎて壊したお!!!!!!!!!!!!」グギュルルル
………ただし稀に腹を壊す。
( ;´∀`)「えー!胃薬のむモナ!?」
('A`)「(今俺めっちゃ空気)」
┗(⌒)(^^) 「(あそこにいる人『今俺めっちゃ空気』とかって考えてるんだろうなぁ)」
- 73 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:48:43 ID:A9OrxQuE0
- ( ^ω^)σ「だからとっととお前しばいてツン取り戻すお!!」
( ^ω^)σ「ぶっちゃけ巻いてかないと無理だって言ってたし!!」
ξ゚⊿゚)ξ「(誰が言ってたんだろう)」
爪'ー`)「くっくっく、やれるものならやってみたまえ!!」
ブーンにそういったフォックスは、手をかざし何やらぶつぶつと唱え始めた。
彼お得意の魔法の詠唱だ。
- 74 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:51:08 ID:A9OrxQuE0
- ( ^ω^)「あぁ、やってやるお!」
ブーンは魔法詠唱中のフォックスに向かってダッシュし、
( ^ω^)「オラァッ!!!!!!」ゴスッ
爪;'ー`)「グワーーーーー!!!」バタリ
思いっきりぶん殴った。
フォックスは倒れた。
正直戦闘シーン書くのが面倒だったんじゃないかってくらい早期決着だった。
日曜朝ならきっと子供が泣いていた。
ξ゚⊿゚)ξ「(ホントに巻いていった……)」
毎度のごとく、ブーンはフォックスに対して容赦がないのだった。
- 75 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:52:20 ID:A9OrxQuE0
- ξ゚⊿゚)ξ「ブーン!!」
( ^ω^)「ツン!!」
ヒシッ!!!!!
ξ*゚⊿゚)ξ(^ω^* )
抱き合い再会を喜ぶ2人。
この二人、付き合っていないのだが妙に距離が近い。
クラスではほぼ事実婚だとかなんとか言われているが、本人達は知らない。
┗(⌒)(^^) 「うんうん、二人が幸せそうならなによりだよ」
('A`)「あれ?お前一応このおっさんの仲間なんじゃねぇの?」
┗(⌒)(^^) 「いや私今こいつに怒ってるから。ざまぁみやがれって思ってるから」
┗(⌒)(ノシ^^) ノシ「国分寺っ!!」
('A`)「」
ドクオは女性の怖さに触れていた。
やっぱり女を怒らせちゃいけないなぁ、とフォックスの顔面を踏んでいるラプチャーを見ながら、ドクオはそう思った。
- 76 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:52:52 ID:A9OrxQuE0
- そしてモナーは。
( ´∀`)「ブーン、これ胃薬モナ」
( ^ω^)「ん、ありがとうお」グギュルルル
( ;^ω^)「……助かるお」
( ;´∀`)「そんじゃモナはミセリと戦ってるギコたち迎えにいってくるモナ!!」
ブーンに胃薬を渡し、どこからか取り出したバールを抱えて慌ただしく部屋を飛び出していった。
<オッパイガ!!オッパイガアタッテル!!
<イヤァアアアア!!ドコサワッテルンダヨォオ!!
<アハハハハハハハ!!タノシイネェ!!
<モララードイテ!ソイツコロセナイ!
<ワーー!!ミンナオチツイテモナーー!!
下は阿鼻叫喚だった。
- 78 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:53:27 ID:A9OrxQuE0
- 室内が慌ただしくなった頃、外に残った3人は、
川*゚~゚)「旨いなこの菓子パン」モッチャモッチャ
(*゚~゚)「でしょでしょー!あたしおすすめなのー!」モグモグ
(´・ω・`)「へぇ~、今度買ってみようかなぁ」パクパク
一足先に戦線を離脱し、呑気に遅い昼食を食べていたのであった。
- 79 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:55:04 ID:A9OrxQuE0
.
- 80 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 10:58:16 ID:A9OrxQuE0
- 「「「お疲れ様でしたーーー!!!」」」
という訳で、冒頭の放課後のプチパーティへと場面は帰って来たのである。
(´・ω・`)「ツンが無事でよかったぁ」
(,,゚Д゚)「俺らは死にかけだったけどな」
_
( ゚∀゚)「モララーなんか息上がって顔死んでたよ!!!」
( ・∀・)「思い出させないで辛くなる」
('A`)「(しぃがさっきから白目剥いてんだけど大丈夫かな)」
川 ゚ -゚)「しっかし『V.I.P.』の動きも大胆になってきたな……何か対策を考えなければ……あ、このチョコ美味しい」
( ・∀・)「でしょでしょ!ボクそれ好きなんだよ!」
_
( ゚∀゚)「マジで!!食べる!!」パクリ
_
。( *゚∀゚)゚。「うまーーー!!」ホワワーン
( ;・∀・)「うわっ!喜んでくれるのは嬉しいけどシャボン玉自重して!!」
- 81 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:00:16 ID:A9OrxQuE0
- 男子達がわいわいと騒ぐなか、意識を取り戻したしぃが、ツンの表情が沈んでることに気がついた。
(;*゚ー゚)「ふがっ!まーたギコくんはー……」
(*゚ー゚)「あら?どしたのツンちゃん?」
ξ゚⊿゚)ξ「ううん、大したことじゃないの」
ξ゚⊿゚)ξ「ただ、また私のせいでみんなに迷惑かけちゃったから……もう嫌になっちゃったかなって……」
そんなツンの言葉に一同は顔を見合わせた。
しかしすぐに、にこりと笑った。
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ?えっ?」
予想外の反応にうろたえるツン。
- 82 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:01:41 ID:A9OrxQuE0
- クーが口を開く。
川 ゚ -゚)「うふふ、もう決まりきってることじゃないか」
(´・ω・`)「ブーン、言ってあげなよ」
('A`)「俺たちが言ってやってもいいんだけどな、お前の方がツンも嬉しいだろ」
( ^ω^)「えっ、ぼくかお!?」
唐突に話を振られたブーンは目を白黒させて咀嚼していた煎餅を飲み込んだ。
( ^ω^)「え、えーと」
( ^ω^)「ツンの【能力】の辛さはツンしか知らないから、ぼくらにはなんにも言えないお」
( ^ω^)「でもぼくたちには、ツンの【能力】が認識できて、対策ができる」
( ^ω^)「だからぼくたちは……」
- 83 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:02:27 ID:A9OrxQuE0
- (,,゚Д゚)「あーあ!まだるっこしいぞブーン!」パカン
( ;^ω^)「あいたっ!?」
( ´∀`)「理屈なんかいいモナ。助けたいからいつだって助けるよ、でいいモナ!」
( ・∀・)「そんでそれに広院さんが申し訳なく思うなら、言ってあげれば良いんだよ」
(*゚ー゚)「『勘違いしないでよね!あたしのためなんだから!』って?」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ξ*^ー^)ξ「ふふ、それ私の台詞じゃない!」
- 84 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:03:13 ID:A9OrxQuE0
- ツンがクスリと笑ったのを見て、ジョルジュが椅子からガタンと立ち上がった。
_
( >∀<)+「めんどい話は抜きにして!今日ははしゃぐぞーー!!!」
('A`)「お前今の話の流れ理解して無かっただろwwさっきまで黙ってたから薄々感づいてたけどww」
( ^ω^)「じゃあ今からww歌荷のwwゲリラコンサート始めるときのギコの物真似するおwwwwww」
(,,゚Д゚)「やめーやwwwww」
ξ゚ー゚)ξ クスッ
ξ゚ー゚)ξ「(まぁ、こんなおかしな日常も、悪くはないかな)」
教室での大騒ぎは下校時刻を過ぎて、担任に乱入され全員が頭に拳骨を落とされるまで続いたという。
- 85 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:04:47 ID:A9OrxQuE0
きっと彼らは生きていくのだ。
今日も、明日も、これから先も。
お互いだけが知っている“違和感”を抱えて。
ー おしまい! ー
- 86 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:05:17 ID:A9OrxQuE0
.
- 87 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:05:53 ID:A9OrxQuE0
.
- 88 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:07:01 ID:A9OrxQuE0
- 「……とまぁ、こんな感じでまとめてみたんですがどうでしょう?」
「なぁ。1つ聞きたいんだが」
「ハイハイ、何でしょう」
「このちょいちょい挟まってる謎の例えは一体なんなんだ?」
「分かりやすいかと思ったんですけど、ダメですか?」
「いや、ダメじゃあないが……」
「じゃあいいじゃないですか」
「あと途中すごい私怨入ってるし。
どうしたのこれ」
「せめて例えの中だけでも、と思ったんですけど
やっぱリア充の波動で吐き気が凄くて」
「リア充の波動って何さ……」
- 89 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:07:33 ID:A9OrxQuE0
- 「それにしたって『V.I.P.』は厄介ですよ。折角襲撃によって1人……広院ツンを無力化できると思ったのに火鳥ショボンに庇われちゃいましたし」
「あー、『V.I.P.』の邪魔も入って失敗しちゃったんだったか」
「一応情報収集の為に『V.I.P.』に此方側の人員も幾らか潜らせてはみたんですけどね。
内部にたどり着く前に歌荷しぃに吹き飛ばされる始末……」
「そっか、ドンマイドンマイ」
「励ましてる場合じゃ無いですよ。こうしている間にも、確かな“違和感”がじわじわと広がってきているんですから。
現に富楼クールや火鳥ショボンの【能力】は以前よりも確実に世界に溶け込んできているんですし」
「よりによってその2人かぁ……一番世界に溶け込んじゃマズいやつじゃん……」
「だから問題なんですよ。場飛ドクオや歯噛ブーンを初めとした他の面子も“違和感”の扱いに慣れてきていますし」
「そっかぁ……まだまだ俺たちがするべきことは沢山あるねぇ……」
- 90 名前: ◆T7j3n76Cc. 投稿日:2017/08/26(土) 11:08:10 ID:A9OrxQuE0
- (゚、゚トソン「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」
大量のレポート用紙を集め揃えながら、少女はそう言った。
( ФωФ)「うん、そうだね」
それに答えた両目に傷のある青年も、腰掛けていた椅子から立ち上がる。
(゚、゚トソン「私たちの“信念”を貫くために」
( ФωФ)「世界を“あるべき姿”に戻す為に」
そう言い微笑みあった二人は、振り返らずに部屋を出ていく。
[ξ*゚ー゚)ξb]
[(◎'A`)]
[d(^ω^* )]
_, ,_ [(,,゚Д゚)]
[川∩゚ -゚)]
[(っ´-ω-`)っ] [(*゚ワ゚)]
[( *´∀`)]
_ [(・∀・; )]
[( >∀<)+]
後に残されたのは、青年が座っていた椅子の元に散らばる写真達。
少年少女達はまだ、自分達の身に降りかかる運命を知らない。
To be continue …… ?
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