脳内から指先までの距離
- 1 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:09:18 ID:agQVdYA.0
- 1.
【今日も映画みたいな夢うつつ】
( ・∀・) 「おいっす! キューちゃんのお見舞いに来たよ~。そのために休日なのに早起きしたよ~」
(,,゚Д゚) 「もう夜の七時だけどな」
o川*゚ー゚)o 「おっす、モラっち! あれ? ギコくんもいるじゃん」
(,,゚Д゚) 「久しぶり、キュートちゃん」
o川*゚ー゚)o 「久しぶりだねえ。部活はどう?」
(,,゚Д゚) 「もう引退試合が終わったから、これからはもっと来れるよ」
o川*゚ー゚)o 「あ、おねえちゃん聞いたよ! 個人戦で優勝したんでしょ!? すごいすごい!」
(,,*゚Д゚) 「そ、そうでもないよ」
( ・∀・) 「柔道とかいう、人を背中から叩きつけることにあらゆる手段を講じるスポーツに心血を注ぐ野蛮人……いますか~?」
(,,#゚Д゚) ムカッ
(,,#゚Д゚) 「競技関係なく、一番大事なのはスポーツマンシップだからな。運動を通じた精神の鍛錬が目的でやってんだよ」
( ・∀・) 「いたねぇ~~~~~~」
(,,゚Д゚)=3 「何かに立ち向かう、何かに一生懸命に打ち込む。そういう行為がなによりも大事なんだ」 フンス
- 2 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:11:31 ID:agQVdYA.0
- (,,゚Д゚) 「しんどいことがイヤだイヤだつって楽なほうへ逃げてくヤツは、どんどん性格がヒネていくからな」
( `・∀・) キリッ
( `・∀・)+ 「ぼくは生まれてこの方運動部に入ったことがありませんが、そんなことはないので説得力がまったくないですね」
(,,゚Д゚) 「本当か? 本当にないか?」
/^ヾo
┌────── ○==ノ:;☆_;;.ヽ===○
│ なあ? ∥(⌒ (゚ー゚*川n ∥ .∥
└───v─── /(_,,..てっ..,,__ ノ  ̄./i
∩`・∀)') (゚Д゚,,) _,.(~ ̄  ̄ ̄~ヘ, | !
ヽ:::::::::::ノ |:::::::〉 (~ ,::::::☆:::::::::☆:::::::::::::::.'' }i
|
/:::::::::::ヽ |::::::::ヽ ノ ..:☆::::::::::☆:::::::::::☆::::."
丿
(_,ノ⌒ヽ_) L「\_)
_,,
( ・∀・)、
( ・∀・) 「おっ、キューちゃん! そのナイトキャップかわいいね~」
(,,゚Д゚) 「お前は都合が悪いとすぐに話題を逸らすなあ!?」
o/^ヾ
ノ:;☆_;;.ヽ
川/*゚ー゚)ゝ 「でしょでしょ~? 昨日ね、おねえちゃんが買ってきてくれたんだよ」
- 3 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:13:55 ID:agQVdYA.0
- (,,゚Д゚) 「そういえばヒートは?」
o川*゚ー゚)o 「朝に来てたみたいだよ。わたしは寝てたから気づかなかったけれど」
(,,゚Д゚) 「そうなのか……なんか、話があるってメール貰ったんだけどな」
o川*゚ー゚)o 「大学受験についてじゃない?」
(,,゚Д゚) 「それならモララー呼んできてって書いてくると思う。こいつ進学しないから暇だろ」
ヘ( ・∀・)ノ 「呼ばれてなくてもきちゃうくらいに暇だよ~ん」
o川*゚ー゚)o 「えっ、モラっちまだケータイ持ってないの?」
( ・∀・) 「必要だと思ったことがない。どうせ買ってもギコくんとヒートちゃんしか知り合いいないし」
(,,;゚Д゚) 「いやいやいや、お前バイトしてるじゃん」
( ・∀・) 「それが何か関係ある?」
(,,゚Д゚) 「バイト先と連絡とるときにおれを通じてやり取りするのさすがにやめて欲しいんだけど」
(,,゚Д゚) 「なんで知らない店の店長から伝言受けてお前に伝えなきゃいけないの」
( ・∀・) 「店長、ギコくんと直接会ったことないのに好きな食べ物とか志望校とか知っててウケたよね。どれだけ仲良しなの」
- 4 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:16:45 ID:agQVdYA.0
- o川*゚ー゚)o 「あれ? モラっちは結局、進学しないんだ? 頭いいのにもったいないね」
( ・∀・) 「いつだって問題になるのはお金と時間なんだよね。奨学金で借金するのは嫌なので」
(,,゚Д゚) 「長い目で見たら絶対に進学した方が良いけどな。つーかレベル落とした私立なら特待とれるだろ?」
( ・∀・) 「特待生で通ったら朝起きて面倒な日に休めないらしいよ。ゴミだよゴミ。二度寝したい日は二度寝するの」
(,,゚Д゚) 「この日の本に存在するゆとり世代の代表みたいな完全無欠の怠け者」
( *・∀・)ゞ 「褒めるねえ~~~~~~」
(,,゚Д゚) 「なんだこいつ無敵か?」
ガチャ
ノパ⊿゚) 「ただいま、キュー。具合は大丈夫?」
o川*゚ー゚)o 「あっ、おねえちゃん。モラっちとギコくん来てるよ」
(,,゚Д゚) 「メール見たぜ」
( #・∀・) 「おうおう! 早くもてなしてくれない!?」
ノパ⊿゚) 「ギコはともかく、モララーは呼んでないんだけど? 帰っていいよ」
(,,゚Д゚) 「病人の見舞いでこの態度って、改めて思うけどお前マジでイカれてんな」
- 5 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:18:04 ID:agQVdYA.0
- ( ・∀・) 「ぼくの元気な波動でこの室内を共鳴させてるんだけど? 共振知らないの?」
ノパ⊿゚) 「すぐにわけのわかんないこと言うから女子に嫌われるんだよ」
(,,゚Д゚) 「かといって男子からも評判悪いからな。おれ以外に友達いるのか?」
( ・∀・) 「ぼくに好かれたいなら、それなりの努力はすべきでは?」
ノパ⊿゚) 「あっちに脳外科があるから、一度見てもらったら?」
(,,゚Д゚) 「おまえが努力をしろよ。まずは毎日学校へ来るところからだぞ」
o川*゚ー゚)o 「……学校かあ」
_,, っ
ノハ=⊿=) ジィ―――――――――――――――――→ (-Д-;,,) っ
( ・∀・) 「やめとけ! やめとけ! あそこは底抜けのアホどもしかいないよ」
o川*゚ー゚)o 「えー、そんなことないよ」
( ・∀・) 「教室とか地獄だよ。狭いし、うるさいし、不潔な人間もいるし。この病室の方が何倍もマシだね」
o川*゚ー゚)o 「でもギター弾けないよ?」
_,,
( ・∀・) 「じゃあダメだ。一生入院しませ~ん」
o川*^ー^)o 「うんうん、モラっちはそれがいいよ」
- 6 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:19:28 ID:agQVdYA.0
- て
(,,゚Д゚) そ ハッ
(,,゚Д゚) 「そういえばヒート、メールに書いてた話ってなんだ?」
ノハ;゚⊿゚) 「ああ、その、ちょっと……勉強を教えてもらおうと思って……」
( ・∀・) b
ノハ;゚⊿゚) 「ギコも忙しいのはわかってるんだけど、このままじゃヤバいんだよね」
ノハ;゚⊿゚) 「ホント! 少しだけでいいから~~~~~~!」
パンッ
゛人"
(,,;゚Д゚)「待て待て待て! 教えるのは構わないけど、おれは別に頭良くないぞ」
゙乂"
O "
( >∀<)メ
⊂ O "
ノハ;゚⊿゚) 「でもわたしよりは上でしょ!? お願い!」
人
(,,゚Д゚) 「モララーの方が上だって。こいつ学年二位だぞ」
乂
_n
Σ ( l
\ \ (・∀・´ )
ヽ___ ̄ ̄ ノ
- 7 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:21:54 ID:agQVdYA.0
- ノハ ;⊿;)9m 「こいつに教わるのが嫌だから、ギコに頼んでるんだろ~~~~~~頼むよ~~~~~~」
(,,-Д-) 「確かにキチガイのあいつに勉強を教わるのは癪かもしれないが……やむを得ない場合もある」
ノハ;゚⊿゚) 「えぇ~~~~~~臆病で卑怯者のクズだよ~~~~~~?」
(,,゚Д゚) 「自分では個性派のつもりなんだから、そういうこと言うのやめてやれよ!」
ノハ;゚⊿゚) 「どこにでもいるダメ人間なのに個性もなにもないでしょ~~~~~~」
(,,゚Д゚) 「とにかく、なんと言おうとおれは教えられない」
ノハ;゚⊿゚) 「うわぁ~~~~~~」
ノハ∩⊿∩) 「いやだ~~~~~~」
ノハ-⊿-) スゥー
ノハ-⊿-) =3 ハァー
ノパ⊿゚) + キッ
ノパ⊿゚) 「ねえ、モララー。わたしに勉強教えてくれない?」
( ・∀・) 「本人の目の前でそんな会話をしたあとでよくその言葉を出せるね。尊敬するよ」
(,,゚Д゚) 「?」
ノパ⊿゚) 「?」
( ・∀・) 「本気で解せないって顔するのやめて」
- 8 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:23:04 ID:agQVdYA.0
- モララー
┌────┘
|1.ちょっとヒネた高校三先生
|2.継続的な努力が嫌い
↓3.意外にも面倒見が良い
( ・∀・)
(:::::::::::::)
(|:::::::::::::|
i,_,ノi,_,ノ
あ あ ど う か 、
- 9 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:24:31 ID:agQVdYA.0
- 【いつまでも手をつないでいた】
ξ;゚⊿゚)ξ 「ちょ、ちょっと……! やめてください! クーさん! 聞いていますか!!」
∩ ∩
川 ゚ -゚) 「へへへ、大丈夫や……心配することあらへん。大丈夫や、ツンデレちゃん」
っ”
ξ;゚⊿゚)ξ 「話を聞いて下さい! いやっ! 触らないで!」
∩ ∩
川 ゚ -゚) 「力を抜きや……じゃあいくで……」
っ”
ξ;゚⊿゚)ξ 「ああ、やめて、どうか、どうかそれだけは」
川 ゚ -゚) 「心配せんでもええよ。うちにまかしとき」
っ”
┌───────
│ いけるいける!
└──y──── ┘
∧ ∧
川 ゚ -゚) ξ(゚Д゚;∩ _
/ 、_づ━→ ノ_ )\
〉 , ` / / `v^ヽ⌒
( ( 〈_/ ̄l」 し'⌒∪
┌────ヘ───────────
│ 痛い痛い痛い! 離して下さい!
└────────────────┘
- 10 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:26:28 ID:agQVdYA.0
- 川 ゚ -゚) 「うーわなんやこれ。マジで固すぎるな。まったく抜けへんやんけ。うわうわうわ、血ィ出てきたで」
ξ;゚Д゚)ξ 「ですから、最初からそう言ってるでしょう!? この胸の矢は絶対に抜けないんですって!」
川 ゚ -゚)、 「善意百パーセントの引っこ抜きやんか。悲しくなるからそんなに怒らんといて」
ξ;゚Д゚)ξ 「もう、矢には触らないでください!」
川 ゚ -゚) 「いやでも、邪魔やろ、それ」
ξ゚⊿゚)ξ 「……仕方がないものなんです。これはわたしの罪の証ですから」
川 ゚ -゚) 「服、着られへんやん」
ξ;゚⊿゚)ξ 「うっ」
川 ゚ -゚) 「いくらここがゴミ溜めの街言うても、自分、わいせつ罪になるで。どんだけ罪を重ねんの」
ξ゚⊿゚)ξ 「地上のルールはまだよくわかりませんが、なんとかします」
川 ゚ -゚) 「これからずっと裸なん? 引くわ……。あ、いくら引いても矢は抜けないか」
川 ゚∀゚) 「ワハハハハハハ!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「うるさい!」
川;゚ -゚) 「!?」 ビクッ
ξ#゚⊿゚)ξ 「あなたと話していても時間の無駄です! わたしはひとりで服を探してきます!」
川;゚ -゚) 「……」
- 11 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:28:32 ID:agQVdYA.0
- ξ#゚⊿゚)ξ 「拾ってくれたお礼だけは言っておきます! それでは!」
川;゚ -゚)「あの」
≡≡≡≡≡ξ#゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ ピタッ
ξ(゚Д゚#ξ 「なんですか!?」
川;゚ -゚) 「うちのお古やけど……下着と服、貸したるから」
ξ#゚⊿゚)ξ 「……」
川;゚ -゚) 「いくらなんでも、全裸で外を歩いてたら捕まるで」
ξ゚⊿゚)ξ 「……」
川;゚ -゚)「どこから来たのか、どんな事情なのかも知らんけど、それくらいは分かるやろ?」
ξ´⊿`)ξ 「……それも、そうですね」
川 ゚ -゚) 「じゃあ、ちょっとこっち来て」
ξ´⊿`)ξ 「はぁい」
- 12 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:30:22 ID:agQVdYA.0
- 川 ゚ -゚) 「確かこのへんに……」
川#゚ -゚) 「ああ、もう、邪魔やな。なんでこんなに服あんの……。ん? なんやこのカバン……誰のやねん……」
ξ゚⊿゚)ξ 「普段からもっと、整理整頓したらどうですか?」
川 ゚ -゚) 「ごめんちょっと置かせて」
ξ゚⊿゚)ξ 「!?」
ξ#゚⊿゚)ξ 「私の胸に刺さった矢に、服やカバンをかけないでください!」
川 ゚ -゚) 「サンキュな」
ξ;⊿;)ξ 「ううう、どうしてこんなことに……」
川*゚ -゚) 「お! パーカーがあるで! 前をガッバー開けとけば完璧やんけ!」
ξ;⊿;)ξ 「なんでもいいので早くしてください。悲しくなってきました」
川 ゚ -゚) 「ほい。下着とパーカーな」
ξ;⊿;)ξ 「どうもご丁寧に」
- 14 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:35:18 ID:agQVdYA.0
- ξ゚⊿゚)ξ 「あ、これいいですね。フードを被れば頭も隠せますし」
川 ゚ -゚) 「血、つけんといてな」
ξ゚⊿゚)ξ 「クーさんが矢を触らなければ血は出ません」
川 ゚ -゚) 「どっかにぶつけるで」
ξ゚⊿゚)ξ 「気をつけます」
(m)
目 ピコーン
`′
川 ゚ -゚)
川*゚ -゚) 「せや! いっそのこと、折ればええんちゃう? 根本だけ残してボキッと折るか?」
ξ゚⊿゚)ξ 「残念ながら、無駄です。この矢は決して折れません」
川 ゚ -゚) 「ほんなら刃物で切るのは? ノコギリでゴリゴリやったろうや」
ξ゚⊿゚)ξ 「燃やしても、凍らせても、砕いても、潰しても……どんな手段も無駄です」
ξ゚⊿゚)ξ 「神に刺された矢ですからね、人間如きにはどうにも出来ませんよ」
川 ゚ -゚) 「ほーん。大変やな。がんばれー」
ξ゚⊿゚)ξ 「自分のやりたい事ができなかったからって、急に興味失せるのやめてくれません?」
- 15 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:36:39 ID:agQVdYA.0
- 川 ゚ -゚) 「……ずーっと気になっててんけど、聞いてもええ?」
ξ゚⊿゚)ξ 「ええ、どうぞ」
川 ゚ -゚) 「褐色なのはわかる」
ξ゚⊿゚)ξ 「はい」
川 ゚ -゚) 「ところどころに模様みたいなイレズミがあるのも、まあわかる」
ξ゚⊿゚)ξ 「はい」
川 ゚ -゚) 「頭から伸びとるツノと、腰の裏から生えとる羽がマジで意味わからん」
ξ゚⊿゚)ξ 「はい」
川 ゚ -゚) 「はいじゃないが」
川 ゚ -゚) 「自分、なんなん?」
ξ゚⊿゚)ξ 「お家に入れて貰っただけでなく、お洋服も借りるのですから話さないわけにはいきませんよね……」
川 ゚ -゚) 「家も服もボロボロやけど勘弁な」
ξ゚⊿゚)ξ 「しかし……どこから話せば良いのか」
川 ゚ -゚) 「手短にな」
- 16 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:38:46 ID:agQVdYA.0
- ξ-⊿-)ξ「そう、あれは、嵐の夜でした。わたしは、一週間後に差し迫った魔界大音楽祭に影響が出ないか心配していました」
ξ゚⊿゚)ξ 「あ、魔界大音楽祭というのは四百四十四年に一度開宴される、魔界全土を挙げてのお祭りのことです」
川 ゚ -゚) ガサガサ
っ”□
ξ-⊿-)ξ 「わたしのお父様は亡者楽器の首席奏者……魔眼を使った正確なリズム感と演奏方法を買われて抜擢され早四度目となりました」
ξ-⊿-)ξ 「今回のお祭りで、わたしははじめて奏者として参加することを許されました」
川 ゚ -゚) ビリッ
っ”⊿
ξ-⊿-)ξ 「しかし、わたしの妹は参加を許されませんでした。前回と同じく、裏方での仕事を指示されてしまったのです」
ξ-⊿-)ξ 「妹は、それが酷くショックだったようです」
川 ゚ -゚) ザバーッ
っ::::::::::c
ξ-⊿-)ξ 「どうして姉よりも上手い自分が選ばれなかったのか、とお父様に直談判していました」
ξ-⊿-)ξ 「……事実、妹の演奏はわたしよりも見事だと思います。昔から、何をやらせてもわたしよりも上手くこなす子でした」
川 ゚ -゚)y- トントン
::::::::::
- 17 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:40:21 ID:agQVdYA.0
- ξ-⊿-)ξ 「昔からわたしに対して思うところがたくさんあったのでしょう。魔界大音楽祭の件でとうとう限界が来たようです」
ξ-⊿-)ξ 「実はわたしも、妹に対して内心劣等感を抱えていたものですから売り言葉に買い言葉で喧嘩になってしまい……」
川 ゚ o゚)。 ズズズズッ
っ\::::::
ξ-⊿-)ξ 「妹は家を飛び出して行きました。これが後に、魔界どころか天界をも巻き込む騒動に発展するなんて、考えもしませんでした」
ξ-⊿-)ξ 「そして翌日……あの暴虐非道な……」
川(゜)Q(゜) 「ああ、ああああああああ、はああああああああッ!! キ、キクゥ~~~~~~!!」
ξ;゚⊿゚)ξ 「えっ!?」
川(゜)Q(゜) 「あ゛あ゛あ゛~~~~~~たまら~~~~~~ん!!」
ξ;゚⊿゚)ξ 「何? なんですか!? この粉を吸い込んだんですか!?」
川(゜)Q(゜) 「あ゛~~~~~~!!」
ξ;゚⊿゚)ξ 「あのう……お話、まだ聞く気ありますか?」
川(゜)Q(゜)
川 ゚ -゚) スッ
- 18 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:42:55 ID:agQVdYA.0
- 川 ゚ -゚) 「お前ほんまええ加減にせえよ。うちがクスリキメてなかったら殺してるぞ」
ξ;゚⊿゚)ξ 「えっ、何か粗相を……?」
川 ゚ -゚) 「話が長い。手短に話せ」
ξ;゚⊿゚)ξ 「……」
川 ゚ -゚) 「あのなあ、ここは泣く子も黙る、世界中のゴミが捨てていかれる場所やぞ。魔界なんかより地獄やわ」
ξ;゚⊿゚)ξ 「魔界より地獄……」
川 ゚ -゚) 「他人の身の上話、ましてや不幸話とかこの世で一番興味がない事柄なんや」
川 ゚ -゚) 「率直に言ってくれやは。ツンデレちゃんは何者やねん」
ξ゚⊿゚)ξ 「悪魔、です」
川 ゚ -゚) 「褐色肌、体にあるイレズミ、頭のツノ、腰の羽……まあ、悪魔やろなあ」
ξ;゚⊿゚)ξ 「お、驚かないんですね……」
川 ゚ -゚) 「ほんで?」
ξ;゚⊿゚)ξ 「え?」
川 ゚ -゚) 「ほいで、こっからどうしたいねん」
ξ;゚⊿゚)ξ 「特に何も考えていませんが……」
- 19 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:44:07 ID:agQVdYA.0
- 川 ゚ -゚) 「あ、じゃあ、旅とかしたくないか? 旅。地上のルールを知るにもええんちゃう?」
ξ*゚⊿゚)ξ 「旅! いいですねえ! 確かにあなたの言うとおりです!」
川*゚ -゚) 「賛成か?」
ξ*゚⊿゚)ξ 「ええ、賛成です!」
川*゚ -゚) 「よっしゃよっしゃ! じゃあもう奴隷商人を呼んどるから、もうちょいここに居てな」
_,,
ξ゚⊿゚)ξ 「えっ!?」
川*゚ -゚) 「いやー良かった。悪魔やから高く買ってもらえるやろなあ。これでクスリも服もたくさん買えるで~」
ξ;゚⊿゚)ξ 「ちょ、ちょっと待って下さい! わたし、奴隷にされるんですか?」
川 ゚ -゚) 「うちの金のために売り飛ばされてくれへんか?」
ξ;゚⊿゚)ξ 「なんてヤツ! ちょっと! 離しなさい! 手を掴まないで!」
川 ゚ -゚) 「いやだって、ツンデレちゃん、矢を掴んだら怒るやんか」
ξ;゚⊿゚)ξ 「奇妙な気遣いやめろ! そこを遠慮できるなら初対面の人を奴隷に売ったりしないでしょ!」
川 ^ -^) 「いやあ家の前に全裸の女が死んでると思ったらまさか悪魔で、うちにとっての天使になるとはなあ! ワハハハハハハ!」
ξ;⊿;)ξ 「なんなんですかこの人!! 地上って怖い!! ああ、助けてお父様!!」
- 20 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:45:15 ID:agQVdYA.0
_ fタ ∧∧
/( |ξ゚⊿゚)ξ
/'vi'´ ノ ←━
と ノ`ヾ.l
(/ ↑
1.『星屑聖矢』を刺された悪魔 └┐
2.地獄でも良家の出 |
3.痛みには強い方 ツンデレ |
└─────┘
モララー
┌────┘
|1.ちょっとヒネた高校三先生
|2.継続的な努力が嫌い
↓3.意外にも面倒見が良い
( ・∀・)
(:::::::::::::)
(|:::::::::::::|
i,_,ノi,_,ノ
あ あ ど う か 、 許 し て お く れ 主 役 達 。
- 21 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:47:16 ID:agQVdYA.0
【また涙を裂いて笑うのだ】
(‘_L’) 「つまり、あなたの弟さんは……その、形はどうあれ……本人は真剣に……しあわせを求めてこんなことを?」
( ´_ゝ`) 「ああそうさ。街から離れた場所に洞窟を掘って中に女神像を飾り、そこに住んでいる」
( ´_ゝ`) 「常にマントに身を包み、日夜女神像に向かって祈りを捧げるのも全部、オトジャが幸福になりたいからなんだ」
( ´_ゝ`) 「ちなみに、教義は日々変化していく。この間まで、家の中にいる間は両腕を縛るって決まりがあった」
(‘_L’) 「ええと、あの、抑圧されたがっている? その……ルールに追い込まれることで、不便さを解除したらしあわせになれると?」
( ´_ゝ`) 「さあ、どうだろうな」
( ´_ゝ`) 「唯一絶対、確実なことがひとつだけある」
(‘_L’) 「確実なこと?」
( ´_ゝ`) 「夜中目が覚めると、女神像と目があって怖いんだ」
X
(^_L^) 十 「はははははは」 ( ´_!_` )
- 22 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:50:01 ID:agQVdYA.0
- (‘_L’) 「しかし、弟さんが信仰している独自の決め事。宗教を、なぜ、どうして兄のあなたも行っているのです?」
( ´_ゝ`) 「なぜって、おれは兄貴だからな。いつだって弟の幸せを願っている」
(;‘_L’) 「それは、どうかと思いますが……いや、ああ、ううむ……」
( ´_ゝ`) 「旅人さんのくせに、口下手だなんて珍しいな」
(;f‘_L’) 「……」 ポリポリ
( ´_ゝ`) 「詳しいことは本人に聞けばいい。ほら、帰ってきたぞ」
(´<_` ) 「アニジャ、こちらの方は?」
( ´_ゝ`) 「旅人さんだ。街でおれ達の噂を聞いてここに来たらしい」
(´<_` ) 「それはそれは! 慧眼さすがですな。宜しければ神託を授けたいもので」
(´<_`* ) 「ムムッ!」
- 23 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:51:27 ID:agQVdYA.0
- ┌────────────────────────┐
| 来ましたッ! 『ご飯にシチューをかけるな』。だそうです!
└──────v──────────────────
(´<_` )
. (つ、;;」:::::Ζ_
. ∠::└く:::::::`て_
〈_/`匸l ̄ ̄´
( ´_ゝ) (L’; )
〈:::;〈N〉 / `!
/:ソ;;X! 〈_/ _,,}
ん'_),) | /_j
`´
┌─────────∧───────────┐
| 一体なんのことかよくわからないのですが……
┌──∧─────────────────┐──┘
│ 神託とか言って、いつも適当なことを言うんだ
└────────────────────┘
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━
━━━
━
(´<_` ) 「結局、ルールなんですよ。常識、価値観、大系、意思……なんと呼んでも良いですが」
( ´_ゝ`) 「いろんな国を見てきた旅人さんなら、受け入れやすいんじゃないか?」
(‘_L’) 「そうですね……なんとなくは」
- 24 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:53:28 ID:agQVdYA.0
- (´<_` ) 「多数の人々による世界の塗り替え。時代や環境の変化とともに、常識なんて、そこにある価値観によっていくらでも変わります」
(´<_` ) 「誰かの現実はいらない。誰かの世界もいらない。おれは、おれだけの真実を握りしめたいわけですな」
( ´_ゝ`) 「オトジャの意思は尊重する。だが、この宗教を真実という感性は理解できんがな」
(´<_` ) 「それはおれのすべてを否定しているのと同じだ、アニジャ。嫌ならいつでも出ていって構わん」
<( ´ 3 `)> ~♪
( ´_ゝ`) 「ま、あの街の常識に賛同できないのはおれも同じなのさ」
(‘_L’) 「街の、一般常識から外れてしまったのですか?」
(‘_L’) 「だから、自分で新しいルールを作って、ええと、その中では幸福だと思い込んでいる?」
(´<_`# ) 「なんだと?」
( ´_ゝ`) 「ははは。手厳しいな」
(‘_L’) 「つまり、他人を見下し、自分に都合の良い理屈を作って……」
(‘,_L’) 「あー……、仮想的に、相手より上に立っているという自分をこころの中に作り、有能感を得ている?」
(゚<_゚ #) 「貴様……!」
( #´_ゝ`) 「旅人さん、いくらなんでも言い過ぎだ」
(;‘_L’) 「し、失礼」
- 25 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:56:14 ID:agQVdYA.0
- (゚<_゚ #) 「正しい自殺などとわけのわからぬ常識を押し付けてくる奴らに迎合しろと言うのか!?」
(゚<_゚ #) 「そうだ。丁度良い。旅人さん、あなたは別のルールを知っている。話をするから、考えを聞かせてくださいよ」
(゚<_゚ #) 「おれ達の家族は、黙って殺されるべきだったのか?」
(;‘_L’) 「あ、えと、事情を……」
( ´_ゝ`) 「オトジャ、おれが話すよ。ちょっと落ち着け」
(´<_`; ) 「あ、ああ、すまない、アニジャ」
( ´_ゝ`) 「まず始まりは……」
( ´_ゝ`) 「姉の結婚相手が倒れたんだ。一ヶ月もの間、意識が戻らなかった。原因は不明」
( ´_ゝ`) 「街には、脳死のような特定下の状況では、自殺……安楽死、尊厳死とも耳触り良く言い換えられるが……をするべきという風潮があった」
( ´_ゝ`) 「生きているか死んでいるかのグレーゾーンを嫌うというよりも、金と機材とベッドの無駄。生きる価値がない。その意味合いのほうが強い」
(‘_L’) ” 「ふむ……」
∞
( ´_ゝ`) 「何時か目を覚ますかもしれない夫を求めていた姉は必死に拒んだが、どうやったって最初のほどの勢いは維持できないもんだ」
( ´_ゝ`) 「奇異の視線で見られようと、家に嫌がらせをされようと、マスコミに憐れまれようと、叫び続けていた抗議の声は途切れがちになる」
( ´_ゝ`) 「すると、その弱まった瞬間を好機と感じたのか、ようやく理解したかと幼い子供を諭した気持ちになったのか……」
( ´_ゝ`) 「姉の夫は殺されてしまった。姉が疲れて眠っている間に、医師が執行した。そして執行を世間も礼賛した」
- 26 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 18:59:05 ID:agQVdYA.0
- (´<_`# ) 「……クソ、このときは、おれ達も馬鹿馬鹿しい常識に加担してしまった」
(‘_L’) 「実の家族ではなかったから、大して深く考えなかった?」
( #゚_ゝ゚) 「……」
(゚<_゚# ) 「……」
(‘_L’) 「?」
( ´_ゝ`) 「ああ、その通りなんだ。おれ達は、姉が死んで妹が殺されそうになって始めて、街の常識を疑い出す」
(´<_` ) 「姉の夫が死ぬと、次は姉が自殺を求められました。おれ達の街では、夫婦は一生連れ添うって決まりがありましたから」
(´<_` ) 「夫に先立たれた寡婦は、彼岸で夫を待たせてはならぬと後追い自殺することが美徳とされておりました」
(´<_`# ) 「先の事件で注目を浴びていた姉に対して、自分が死にたくないから夫の尊厳死を認めなかったんだ、と再び世間は騒ぎ立てました」
(´<_`# ) 「夫を失ったショック。そして、これから先、ずっと生きている限り貼られ続ける、非常識で冷血な人間というレッテル」
- 27 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:01:37 ID:agQVdYA.0
(;<_; ) ブワッ
(;<_; ) 「姉は……おれ達家族に何を告げることなく、自らの身体に火を放ち、死んでしまいました」
(;<_; ) 「……そして、この姉の行動を、世間は一転して褒め称えました」
(;<_; ) 「自分達が持つ常識が打ち勝った、やはり絶対的に正しいものなのだ、だって嫌っていた人間が従ったじゃないか……と言わんばかりに」
( ;_ゝ;) ブワッ
( ;_ゝ;) 「殉教した姉が模範となるべき聖人、愛の体現者だとヒーロー視され世間は盛り上がった」
(‘_L’) 「すると、もしかして、世間的に自殺がブームに?」
( ;_ゝ;) 「ああそうだ。世間の盛り上がりは脚光を浴びたい若者を勘違いさせる」
( つ_ゝ∩) 「少し恋に破れたくらいで死ぬ若者が圧倒的に増加した。今の想い人だけが真実の愛を宿しているという自己陶酔で死を選ぶ」
( ;_ゝ;) 「本来、夫婦にのみ適応されるものだから禁止、と政府から注意喚起が公布されたのはしばらく後だ」
( ;_ゝ;) 「誰も彼もが死に熱狂していた」
(‘_L’) 「妹さんも、そうやって死を選んだ?」
(つ<_; ) 「うおおおおお、おおっ、ああああああ……」
- 28 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:03:04 ID:agQVdYA.0
- ( ;_ゝ;) 「なあ、旅人さん。世界には似たような場所が他にもあるのか?」
(;<_; ) 「こんな、馬鹿馬鹿しい常識に押しつぶされて、悲しみを抱えているのはおれ達だけじゃないのですか?」
( ;_ゝ;) 「自殺を強制するような、正当な自殺という、死を誘発する価値観を持つ街が」
(;<_; ) 「常識に従い、その中で成果を出すことが勝ち組と礼賛される街が」
(‘_L’) 「残念ながら、たくさん、あるでしょうね」
(;<_; ) 「ううう、だからおれは、新しい宗教を、ルールを作ったんだ」
(;<_; ) 「誰も死ぬことのない価値観を、誰もがしあわせになれる習慣を、みんなが泣くことのない常識を探して」
(;<_; ) 「絶対におれは怒りも悲しみも憎しみもないルールを作り、この世に広めていくぞ」
(;<_; ) 「アニジャ、手伝ってくれるか?」
( ;_ゝ;) 「ああ、やろう、オトジャ。この世の何処かに、楽園を作ろう」
- 29 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:04:35 ID:agQVdYA.0
_ fタ ∧∧
/( |ξ゚⊿゚)ξ
/'vi'´ ノ ←━
と ノ`ヾ.l
(/ ↑
1.『星屑聖矢』を刺された悪魔 └┐
2.地獄でも良家の出 |
3.痛みには強い方 ツンデレ |
└─────┘
モララー アニジャ | オトジャ
┌────┘ └────┼────┘
|1.ちょっとヒネた高校三先生 │ 1.独自の宗教を信奉する双子の兄弟
|2.継続的な努力が嫌い ┌─┴─┐2.兄は宗教を信じていないが弟を尊重
↓3.意外にも面倒見が良い ↓ ↓3.弟は幸福を求めて日々苦悩している
( ・∀・) ( ´_ゝ`) く(´<_` /しァ
(:::::::::::::) `、ー='~ ,ι,〉 `7x=y'::::く__
(|:::::::::::::| ~)-、, 、j__,ゞ _/::_У:::::::::::/
i,_,ノi,_,ノ (,/゙'´L,_) `)-(_\;:;:;∠)┘
あ あ ど う か 、 許 し て お く れ 主 役 達 。
頭 の 中 で 、 胸 の 奥 で 、
- 30 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:06:23 ID:agQVdYA.0
- 【明日になれば今日の僕らは死んでしまうさ】
( ・∀・) 「……ん? どこだ、ここ?」
{f⌒)} ┌─────────────────┐
{「 │ よう……久しぶりだな。
C │ おれのこと、覚えてるか?
)、└──y──────────────
f(・∀・∩ γノソハヾ
ヾ:ヽ:/,,;;! 从∀- 从
ととヾ;,ノ <l/ つ
|:_,ゝ
U^U
三( ・∀・) クルッ
( ・∀・) 「は? ぼくはあんたなんて知らんが」
从 ゚∀从 「ところがどっこい、昔に会っているんだな」
( ・∀・) 「いや知らんが」
从 ゚∀从 「おれの名はハインリッヒ。そして……お前の名前はモララーだよな」
_,,
( ・∀・) 「ぼくのファンか? 事務所を通してくれ。それともストーカー? 警察署へ行ってくれ」
- 31 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:08:36 ID:agQVdYA.0
- 从 ゚∀从 「先に生まれたのはモララーだったんだ。おれの性格はモララーを下敷きとしている」
( ・∀・) 「わけのわからんことを言わないでくれ。IQ140以下の人間の言葉はシャットアウトする機能を働かせてもいい?」
从 ゚∀从 「じゃあおれの言葉は聞こえるはずだな」
( ・∀・) 「どれだけ自己評価高いんだ……客観的に自分を見ることを覚えたほうがいいよ」
从 ゚∀从 「しかし何よりも、感覚でわかるよ。おれ達の特徴はそっくりだ。ハインリッヒよりも先にあった人物像は、モララーだったんだ」
从 ゚∀从 「それなのにどうして……」
从 -∀从、
从 -∀从 「……一度、完全に忘れられてしまったのか?」
( ・∀・) 「あのさあ、自分だけ勝手に納得してぶつぶつと呟くのやめてくれない? 構ってちゃんか?」
- 32 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:10:32 ID:agQVdYA.0
- 从#゚∀从 「あ? おれの声を耳に入れるだけでお前のナチュラルキラー細胞が活性化して免疫力が上がって健康になるからな」
( #・∀・) 「は? 塩漬けにしたニシンを缶詰に詰めたのと同じにおいがするけれど?」
从#゚∀从 「お? てめえの鼻の穴に死んだアザラシの腹の中に詰め込んで発酵させた海鳥がこびりついてんじゃねえの?」
( #・∀・) 「ん? シュールストレミングは悪臭単位8070だけど、キビヤックは1370だ。つまりぼくの5.9倍お前の方がくさいわけ。わかる?」
从#゚∀从 「おれよりも6倍も目立たないから完全に忘れられたんじゃねえの?」
( #・∀・) 「だからさっきから意味がわからないんだよ。何がIQ140だよ。優等生どころか劣等生だ。いや、オットセイだ!」
从#゚∀从 「いや、もういい。話が進まねえ。本題に入るぞ」
⊂彡
( `・∀・)∩” 「はい逃げた~~~~~~WIN~~~~~~」
从#^ー从 「空気注射って知ってるか?」
っl-ll===-
( ´・∀・) 「なんでそんなの持ってるの」
从 ゚∀从 「科学部だからな」
( ´・∀・) 「納得できないけど……」
从 ゚∀从 「うるせえなあ」
- 34 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:12:52 ID:agQVdYA.0
- 从 ゚∀从⊃ 「ほれ」
⊃
从 ゚∀从⊃ 三二=~ )))`∀・) グググ
⊃ ミョ~ン
)))`∀・) 「なんかすごく頬を押されてるんだけど、なにこれ?」
从 ゚∀从⊃ 「おれの重力を操る異能」
⊃
)))`∀・) 「ちょっとこれ止めてもらえる? 怖い怖い。ぼくが知らない常識を使うのはズルだよ」
从 ゚∀从 「……」
从 ゚∀从⊃ 三二=~ )))`∀・) ググググググ
⊃ ミョミョ~~~~~~ン
从 ゚∀从 「とにかくだな」
( ・∀・) 「あーびっくりした。なにあれ。ぼくにもできるの? 教えてよ」
从 ゚∀从⊃ 「……」 サッ
⊃
( ・∀・) 「ごめん。本題はなんだっけ?」
- 35 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:15:11 ID:agQVdYA.0
- 从 ゚∀从 「脱線したが……使えたいのは次の言葉だけだ。おれは一度、指先から飛び出している」
( ;・∀・) 「はあ?」
从 ゚∀从 「この意味がわかるな?」
( ;・∀・) 「……嘘でしょ?」
从 ゚∀从 「意味はわかるようだな」
( ・∀・) 「……じゃあ、なんで、再びこんなとこにまでやってくるのさ」
从 ゚∀从 「どうにもこれが、長続きしなかったんだな。……すぐに放り出されちまった」
( ・∀・) 「ハインリッヒさんに魅力がなかったんじゃないの?」
从 ゚∀从 「……」
从;-∀从 「そうかも、な……」
( ;・∀・)、 「うっ」
( ;・∀・)、 「か、環境が変わったとかじゃないの? 私生活の変化で、関心に向ける余裕がなくなってしまったんでしょ」
从;-∀从 「……そう思いたいね」
- 36 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:16:16 ID:agQVdYA.0
- 从;゚∀从 「今は忙しくて手がつけられないだけなのか、もう忘れ去られる秒読みなのか……本当のところはおれ達にはわからない」
从;-∀从、 「なんだったら、おれは消えてもいい。いや全然、良くないが……」
( ・∀・) 「どっちだよ」
从;-∀从 「……最悪なのは、もうおれ達以降にもう誰も生まれないことだ」
从 ∀从 「それがおれ達にとって本当の終わり」
( ・∀・) 「で? ハインリッヒさんはまたぼく達と一緒にわめこうってわけ?」
从 ゚∀从 「達? 他に誰かまだいるのか? ……いや、残っているのか?」
( ;・∀・) 「!?」
(・∀・; 三 ;・∀・) ババッ
( ;・∀・) 「ヒートちゃん、ギコくん、キューちゃん……みんな、消えてしまったのか……」
从 ゚∀从 「おれもここからやり直しってわけだからさ、協力していこうぜ」
( ・∀・) 「……ぼくよりも詳しく考えられているあんただけが取り上げられる可能性の方が高いじゃないか」
从 ゚∀从 「それは誰にもわからない。でも、ひとりきりで存在をか細く鳴き立てるよりはマシだろ?」
从 ゚∀从、 「おれだって、兄貴にまた会いたいんだよ」
- 38 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:23:37 ID:agQVdYA.0
_ fタ ∧∧
/( |ξ゚⊿゚)ξ
/'vi'´ ノ ←━
と ノ`ヾ.l
(/ ↑
1.『星屑聖矢』を刺された悪魔 └┐
2.地獄でも良家の出 |
3.痛みには強い方 ツンデレ |
└─────┘
ハインリッヒ
モララー アニジャ | オトジャ
└───┬───┘
┌────┘ └────┼────┘ ┌──────┘
|1.ちょっとヒネた高校三先生 │ 1.独自の宗教を信奉する双子の兄弟 ↓
|2.継続的な努力が嫌い ┌─┴─┐2.兄は宗教を信じていないが弟を尊重 )、 1.終焉高校に通う三年生。両親とは幼い頃に死別している
↓3.意外にも面倒見が良い ↓ ↓3.弟は幸福を求めて日々苦悩している γノソハヾ 2.第二次『星砕戦争』の参加者、重力を操作する能力を持つ
( ・∀・) ( ´_ゝ`) く(´<_` /しァ
从 ゚∀从 3.常時白衣の理由は科学部所属と趣味
(:::::::::::::) `、ー='~ ,ι,〉 `7x=y'::::く__
〈 <V> 4.残った唯一の家族である兄のジョルジュに恋心を抱く
(|:::::::::::::| ~)-、, 、j__,ゞ _/::_У:::::::::::/ く__:| 5.作中の後半で、両親は自分の命を助けるために第一次『星砕戦争』に参加して命を落としたと知る
i,_,ノi,_,ノ (,/゙'´L,_) `)-(_\;:;:;∠)┘
U^U 6.上記は『1/300の法則』連載当時の設定
あ あ ど う か 、 許 し て お く れ 主 役 達 。
頭 の 中 で 、 胸 の 奥 で 、 呼 び か け て く る そ の 声 を 、 い つ し か 忘 れ て し ま っ た 。
- 39 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:24:48 ID:agQVdYA.0
- 【この一瞬息ができるなら】
(;、;トソン 「とうとう明日にはお別れですね、ミセリ。今度こそ、わたしは死んでしまうのです」
ミセ*゚ー゚)リ 「またそんなこと言っちゃって~~~~~~」
ミセ*゚ヮ゚)リ 「いつもいつも、試合が始まれば勝っちゃうのがトソンちゃんじゃない!」
(;、;トソン 「上には上がいるのですミセリ……。人はいつか死ぬ……その絶対なる事実がわたしの身に訪れる日が来てしまいました……」
ミセ*`ー´)リ 「んもう! この間もその前も、そのまた前も!」
ミセ*`ー´)リ 「対戦相手が発表されたらずーっと悲観的になるんだもん!」
(;、;トソン 「ですが、今回の相手はあの《舞姫》なんですよ!」
ミセ*゚ヮ゚)リ 「ヘーキヘーキ! トソンちゃんだって《さつりくにんぎょー》とか、《みなごろしのまじょ》とか言われてるもん!」
(;、;トソン 「どうしてわたしの異名だけそんなに物騒なんですか」
ミセ;´ー`)リ 「この剣と魔法の世界に来てから大分経ったし、闘技場の剣闘も見慣れたけど……」
ミセ;´ー`)リ 「トソンちゃんの試合だけはグロすぎて最後まで見れたことないしなぁ~~~~~~」
- 40 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:26:34 ID:agQVdYA.0
- (;、;トソン 「ううう、せめて今日は美味しいものをたくさん食べましょう。うう、最後の晩餐なのにたったひとりですか……」
ミセ*゚~゚)リ 「わたしも一緒に食べてあげたいけど、幽霊だからお腹が空かないし、そもそも食べられないからね……」
(;、;トソン 「好きな音楽もかけちゃいましょう。最後の睡眠くらい悪夢にうなされることなく寝たいですね……」
“c
ミセ*´ー`)リ 「それもあたしが取り憑いてからずっと言ってるよ~~~~~~」
(;、;トソン 「ああ不安です。ミセリ、どうかわたしを抱きしめて下さい」
ミセ*゚ー゚)リ 「すり抜けちゃうよ! トソンちゃんが本当に死んじゃったらいくらでもしてあげるんだけど……複雑だね!」
(゚、゚トソン 「ミセリは死んだ時、怖くなかったのですか?」
ミセf;´ー`)リ 「いやぁ~、正直、あんまり覚えてないんだよね」 ポリポリ
ミセ;´ー`)リ 「すっごい勢いでトラックがこっちに来ていたのが最後の記憶なんだよね~~~~~~」
(゚、゚トソン 「とらっく……が何なのかはわかりませんが、痛みを感じなかったのは羨ましいですね」
ミセ*゚ー゚)リ 「トソンちゃんみたいに戦ってたらどうしても怪我しちゃうもんね」
(;、;トソン 「両腕を落とされた試合は思い出すだけでも泣けてきますよ」
ミセ;´ー`)リ 「あはは……よく勝ったね……」
(゚、゚トソン 「えぇ、喉笛を食いちぎってやりました」
ミセ;´ー`)リ 「そういうところだよ、トソンちゃん……」
- 41 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:28:01 ID:agQVdYA.0
- ミセ*゚ー゚)リ 「でも、すっごいよね! どんなに大きな怪我でもすっかり治って跡も残らないんだもん!」
ミセ*゚ー゚)リ 「あたし、ちっさい頃によく転んでたから、体に細かい傷がたくさんあって恥ずかしかったんだあ」
(-、-トソン 「良いことばかりじゃないですよ」
(゚、゚;トソン 「わたしの家には専属の治癒魔道士がいたのですが……」
(;、;トソン 「彼が剣の修業で溜まった傷や疲労を全て解消してしまうので、わたしは本当に一日中お父様の稽古を受けていましたから……」
ミセ;゚ー゚)リ 「な、なるほど。休憩がないんだ」
ミセ;゚ー゚)リ ウーン……
∞
ミセ;- -)リ 「そう考えると、あんまり便利なものでもないね」
∞
ミセ*゚ヮ゚)リ 「だけど、お父さんとの練習のおかげで今日まで生きているんだから感謝しなきゃ!」
(;、;トソン 「お父様の子供でなければ、職業剣闘士なんてやってませんよ!」
ミセ*;ー;)リ 「それもそうだね」
(゚、゚トソン 「さて、それではそろそろ」
/i iヽ ┌───────────────────┐
((/l ̄l\)) │ 外出したいので頭から下りてくれませんか?
ソ_∠ニ二ス y───────────────────
ミセ*゚ー゚)リ
ノ GイIIIIヲ \──────────────────────────────┐
.∠_ヾンイ゚ ,゚) │ えぇー、やだやだぁ。ここ落ち着くんだよね。
|∪ ∪ │ どうせ幽霊なんだから気にしないで! このままでも大丈夫だよ!
と__)__) └──────────────────────────────
_,,_
⊂=⊂=(゚、゚トソン 「叩きますよ?」 シュッシュッ
ミセ*>ー<)リ 「幽霊だから触れませんよ~だ」
- 42 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:29:52 ID:agQVdYA.0
_ fタ ∧∧ ミセリ
/( |ξ゚⊿゚)ξ ┌────┘
/'vi'´ ノ ←━ │ /i iヽ
と ノ`ヾ.l │ ((/l ̄l\))
(/ ↑ └→ ソ_∠ニ二ス
1.『星屑聖矢』を刺された悪魔 └┐ ミセ*゚ー゚)リ 1.異世界に幽霊として転生(?)した中学生
2.地獄でも良家の出 | | J J 2.霊感を持つ剣闘士トソンに取り憑いた
3.痛みには強い方 ツンデレ | ∠__ノ 3.楽天的で適応力が高い。兜姿の理由は不明
└─────┘
ハインリッヒ
モララー アニジャ | オトジャ
└───┬───┘
┌────┘ └────┼────┘ ┌──────┘
|1.ちょっとヒネた高校三先生 │ 1.独自の宗教を信奉する双子の兄弟 ↓
|2.継続的な努力が嫌い ┌─┴─┐2.兄は宗教を信じていないが弟を尊重 )、 1.終焉高校に通う三年生。両親とは幼い頃に死別している
↓3.意外にも面倒見が良い ↓ ↓3.弟は幸福を求めて日々苦悩している γノソハヾ 2.第二次『星砕戦争』の参加者、重力を操作する能力を持つ
( ・∀・) ( ´_ゝ`) く(´<_` /しァ
从 ゚∀从 3.常時白衣の理由は科学部所属と趣味
(:::::::::::::) `、ー='~ ,ι,〉 `7x=y'::::く__
〈 <V> 4.残った唯一の家族である兄のジョルジュに恋心を抱く
(|:::::::::::::| ~)-、, 、j__,ゞ _/::_У:::::::::::/ く__:| 5.作中の後半で、両親は自分の命を助けるために第一次『星砕戦争』に参加して命を落としたと知る
i,_,ノi,_,ノ (,/゙'´L,_) `)-(_\;:;:;∠)┘
U^U 6.上記は『1/300の法則』連載当時の設定
あ あ ど う か 、 許 し て お く れ 主 役 達 。
頭 の 中 で 、 胸 の 奥 で 、 呼 び か け て く る そ の 声 を 、 い つ し か 忘 れ て し ま っ た 。
君 達 の た め に 語 ら れ る べ き 物 語 を 。
- 43 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:32:26 ID:agQVdYA.0
【シャングリラを夢見ていた】
( )´ω`)” モグモグ
( )'~`)” モグモグ
('A`) 「空想指数が閾値を超える瞬間ってさ、めちゃくちゃ気持ち良くない?」
('A`) 「出て来るものに関係なく、あの出現する感覚がクセになってんだよな最近」
( ;^ω^) 「うーわ。ドクオ、それ、犯罪者の感覚だお」
(;'A`) 「え? マジで? おれだけ?」
( ;^ω^) 「必要に応じて作るのではなく、作るのそのものを目的にしてるのは濫用に繋がるお。濫用は犯罪に続いているお」
(;'A`) 「人前ではやらねえけどさ……わかんねえか? あの脳内から現実に飛び出してくる瞬間だぞ?」
( ;^ω^) 「もっかい小学校の感情教育からやり直したほうがいいお」
('A`) 「そこまでかなあ……射精みたいなもんだろ」
( ;^ω^) 「う~~~~~~ん……」
( ФωФ) 「そこのお二人! ちょいと失礼するである!」
ヽ(;゚A`)ノ 「うわっ!」
( ;>ω<) 「ひえっ!」
- 44 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:34:03 ID:agQVdYA.0
- ( ´ФωФ)「えぇ……そんな驚くであるか~~~~~~?」
(;゚A`) 「誰だおまえは。殺し屋か?」
( Фω<)ミ☆ バチン
( ゝωФ)v 「かわいい屋であるが」 キャピ
( ;^ω^) 「いや、その顔で……」
( `ФωФ) 「我々はリアライズ世代なのだ。昔から顔はこころの鏡とも言う。思い込むくらい良かろう?」
( ;^ω^) 「また犯罪者予備軍かお……」
( ФωФ) 「わがはい、ロマネスクと申す」
('A`) 「おれはドクオ……それで、何か用か?」
( ^ω^) 「ぼくはブーン……非常識なあんた達を見てると自分の常識まで侵されていくからあんまり関わりたくないお」
( ФωФ) 「まあまあ、そう言わんでくれ。射精と聞いて飛んできたのでな」
( ;^ω^) 「げっ、そんなに声大きかったかお?」
( ФωФ) 「それなりには」
( ФωФ)σ 「ほれ、あそこの女子達もこちらを見てヒソヒソ話をしておる」
(;'A`) 「あちゃー……」
- 45 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:34:46 ID:agQVdYA.0
- ( ФωФ) 「本題に入るが……わがはい昨日、AV女優のイベントに行ってきたのだ」
( *^ω^) 「ほほう! 羨ましいお! 詳しく!」
(;'A`) 「自分で理想のオンナを顕現させられる時代にAV女優って……」
( `ω´) 「ドクオはなんにもわかってないお!」
( `ФωФ) 「そうである! それも結局は自分の中から出てきたものだから、自慰行為にすぎんのである!」
( `ω´) 「自分でこしらえた虚妄の世界に触れて何が楽しいんだお!?」
( `ФωФ) 「思うがままに空想した女体なんて意図を外れることがなく退屈で仕方がない!」
( `ω´) 「生身の女性経験がないから細部もよくわからんお!」
( `ФωФ) 「わがはいそっくりの話し方をしたり、同じ位置にほくろがあったりして自分自身の枠を飛び出せんのだ!」
('A`) 「自分の中から出てきたもんだからそりゃそうだろ。知識以上のことは具現化できねえよ」
- 46 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:35:34 ID:agQVdYA.0
- ( `ФωФ) 「ところが! である!」
( `ФωФ) =3 ゴホン
( `ФωФ) 「他人であれば、当然、自分の及ばない領域を持っているのである」
┌────────────────┐
│ この素晴らしさ、わかるであるか!?
└──v─────────────
( 'A`) ∧_∧
「 〈 ノ f(ωФ ∩
|\ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄\ ヽ ノ
|\l\ ( ^ω) \ | |
\ \|三 、「| ̄ ̄ ̄|| 三三| (_/\_)
、|_| | || 、|_|
` ───'┘
( ノシ^ω^)ノシ バンバン
( *^ω^) 「わかるおー!」
イェ━━━ヾ( *^ω^)人(ΦωΦ*)ノ━━━ィ
(;'A`) 「う、うぜえ……」
- 47 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:36:39 ID:agQVdYA.0
- ('A`) 「で? ロマネスクは結局何が言いたいんだ?」
( ФωФ) 「AV女優のイベントで当選し、胸を触ったのである」
( ФωФ) 「つまり……わがはいの手でおぬし達を触れば、間接的にAV女優に触れられたということにあるのである」
( *^ω^) 「ほう……!」
( ФωФ) 「空想の精度をグンと上げた心地よい射精を確約する、わがはいのゴールデンハンド……」
( `ФωФ) 「今ならなんと3000円でどこでも触らせ放題! イヤーンな部分だって我慢してやろうではないか!」
(;'A`) 「いらねえよ!」
( ;^ω^) 「さすがのぼくでもそれはノーサンキュー」
∩ ∩
( ´ФωФ) 「えぇ~~~~~~」
('A`) 「どこに勝算があったんだ」
( ^ω^) 「ロマネスクのゴツい手で股間を触られたら、しばらくは抜きたくなってもフラッシュバックしてガチムチの男を具現化しちまうお」
- 48 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:38:19 ID:agQVdYA.0
( ´ФωФ) 「ポテチが食べたくなっても我慢して、天カスを買うほどに節約したのに……」
('A`) 「出会い頭の会話といい、お前相当ヤバいな」
( ´ФωФ) 「であれば……これ、イベントで貰ったコンドーム買わんか? 良いコンドームらしいが」
( ^ω^) 「どれどれ……」
_,,
( ^ω^) 「人生が変わる! 0.01ミリの快感! もうあの頃には戻れない!」
('A`) 「そのコンドーム破れるんじゃねえの。そりゃ人生も変わるよ」
( ФωФ) 「……買ってくれないであるか?」
( ^ω^) 「そもそもぼく達、使う予定がないお」
('A`) 「非常に遺憾ながら同意」
( ФωФ) 「自分の空想相手と性交するさいにゴム使わんか?」
( ^ω^) 「本物の女性器を知らないから挿入せんお」
('A`) 「あー、社会問題だもんな。男女問わず、全部自分が気持ち良い設定にしちまうから、ホンモノでイけねえって」
( ´ФωФ) 「それじゃあこれは、すでに手遅れのわがはいが使うとして……」
- 49 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:40:16 ID:agQVdYA.0
- (;'A`) 「うわあ」
( ФωФ) 「ほれ、このわがはいの昼食を見てくれ」
( ;^ω^) 「うわあ」
( ФωФ) 「ご存知、学食の最安価メニュー、100円の素うどんである」
( `ФωФ) 「何かオカズを分けてくれんか!?」
(;'A`) 「お前、さっきまでの流れでオカズとか言うなって。素直に副菜の意味で受け取れねえよ」
( ^ω^) 「食べ物を空想して出しても全然おいしくないし、お腹も膨れないのってどうしてなんだお?」
( ФωФ) 「前者の原因は機械と同じように対象物への理解が浅く、工程が複雑なものは難しいという説である」
( ФωФ) 「後者は単純であるな。脳でエネルギーをそれ以上に使っているからである」
( ФωФ) 「だからわがはい、最近はとんとダメである」
( ^ω^) 「社会通念は空想しない方が良いからそれで良いお」
( ФωФ) 「イベントのチケットを手に入れるためや交通費で散在したゆえ、こうして恥を忍んでお願いしている次第」
('A`) 「ロマネスクに恥とかあるのか?」
- 50 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:41:50 ID:agQVdYA.0
- ( ^ω^) 「しかし色々教えてもらったし、話も合うから恵んでやるお」
(;'A`) 「なにっ! ブーンが食い物を譲るだと!? 腹でも壊してるのか?」
_,,
( ^ω^) 「むっ! 心外だお。人をそんな食いしん坊みたいに!」
(;'A`) 「冷たいものでも食べすぎたか?」
_,,
( ^ω^) 「アイスは一日一本とカーチャンに決められているお!」
(;'A`) 「拾い食いとかしたか?」
_,,
( ^ω^) 「ちっちゃな頃はしてたらしいけど、今はしてないお!」
(;'A`) 「ずっと放置されてた生牡蠣を食ったり……?」
_,,
( ;^ω^) 「いやそれは流石に最強すぎるお」
( ´ФωФ) 「……結局、くれるのであるか? くれないのであるか?」
( ;^ω^) 「ああ、無視しててごめんだお」
( `ФωФ) 「わがはい、部屋にセミが入ってきて鳴き声でやかましくても怖くて追い出せず、そのまま一週間が経つのを待つほど忍耐力がある男……」
- 51 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:43:49 ID:agQVdYA.0
- ('A`) 「ロマネスクのノリ、結構好きだわ。このやけに黄身が薄い目玉焼きをやろう」
っ=○”
( ^ω^) 「じゃあぼくはこのペラい人工肉のハンバーグを。これでロコモコになったおね」
っ=○”
( ;ФωФ) 「あっ!」
( '∀`)ァ ビシッ
| ァ
('∀`) 「素うどんが月見うどんになったぞ! 良かったな!」
( #ФωФ) 「素うどんの上にロコモコで、月見うどん!? 常軌を逸してるではないか!!」
('∀`) 「炭水化物の上に載せてるからロコモコ丼とも呼べないか?」
( #ФωФ) 「わがはいが満腹だったなら今ナイフを具現化していたであろう」
( #ФωФ) 「運が良かったな。今日はカロリーが足りないみたいである!」
('A`) 「恵んでやったのに理不尽すぎる。自動車教習のシミュレーターか?」
- 52 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:44:58 ID:agQVdYA.0
- ( ^ω^) 「おっ? とうとう通い始めたのかお?」
('A`) 「おう。あのシミュレーター、マジでムズいな」
( )´ФωФ)” 「そうなのであるか?」 モグモグ
('A`) 「ほら、車って鉄の塊だろ? だからさ、人が飛び出してきたりしねえかすげえ気を配るわけ」
('A`) 「でもそこがダメなんだな。考えすぎると空想指数が高まっちまって、脳内から飛び出して事故が起きてしまうんだ」
( ^ω^) 「あー、ニュースでよくやってる空想事故ってやつかお」
( ФωФ) 「最悪なのは、自身の空想のせいで第三者を巻き込んだ事故になることであるな」
('A`) 「そうそう、ロマネスクの言う通り。でも運転してるのは自分自身だから、現実の交通状況には気を配らきゃいけない」
(;'A`) 「この並列思考がめちゃくちゃ苦手でな……すぐに脳内空想指数が基準値をオーバーして失格になっちまう」
(;'A`) 「教官に怒られるわ、何度もシミュレーターで躓くわで、ちょっとメゲてきてるんだ」
('A`) 「頭の中で何を考えていても、決して周囲にバレたり迷惑をかけるすることがなくなる、夢のような道具は持ってねえの?」
( ФωФ) 「そんなもんあったら、世紀の大発明なのだ」
- 53 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:46:43 ID:agQVdYA.0
ドクオ
_ fタ ∧∧ ミセリ ~^━y('A` ) ┌───┘
/( |ξ゚⊿゚)ξ ┌────┘ 〉 )> │1.私立文系の大学生
/'vi'´ ノ ←━ │ /i iヽ / <. │2.感情教育があまり効いていない
と ノ`ヾ.l │ ((/l ̄l\)) ↑ │3.四年後に自身の空想が原因で大災害を起こす
(/ ↑ └→ ソ_∠ニ二ス └──┘
1.『星屑聖矢』を刺された悪魔 └┐ ミセ*゚ー゚)リ 1.異世界に幽霊として転生(?)した中学生
2.地獄でも良家の出 | | J J 2.霊感を持つ剣闘士トソンに取り憑いた
3.痛みには強い方 ツンデレ | ∠__ノ 3.楽天的で適応力が高い。兜姿の理由は不明
└─────┘
ハインリッヒ
モララー アニジャ | オトジャ
└───┬───┘
┌────┘ └────┼────┘ ┌──────┘
|1.ちょっとヒネた高校三先生 │ 1.独自の宗教を信奉する双子の兄弟 ↓
|2.継続的な努力が嫌い ┌─┴─┐2.兄は宗教を信じていないが弟を尊重 )、 1.終焉高校に通う三年生。両親とは幼い頃に死別している
↓3.意外にも面倒見が良い ↓ ↓3.弟は幸福を求めて日々苦悩している γノソハヾ 2.第二次『星砕戦争』の参加者、重力を操作する能力を持つ
( ・∀・) ( ´_ゝ`) く(´<_` /しァ
从 ゚∀从 3.常時白衣の理由は科学部所属と趣味
(:::::::::::::) `、ー='~ ,ι,〉 `7x=y'::::く__
〈 <V> 4.残った唯一の家族である兄のジョルジュに恋心を抱く
(|:::::::::::::| ~)-、, 、j__,ゞ _/::_У:::::::::::/ く__:| 5.作中の後半で、両親は自分の命を助けるために第一次『星砕戦争』に参加して命を落としたと知る
i,_,ノi,_,ノ (,/゙'´L,_) `)-(_\;:;:;∠)┘
U^U 6.上記は『1/300の法則』連載当時の設定
あ あ ど う か 、 許 し て お く れ 主 役 達 。
頭 の 中 で 、 胸 の 奥 で 、 呼 び か け て く る そ の 声 を 、 い つ し か 忘 れ て し ま っ た 。
君 達 の た め に 語 ら れ る べ き 物 語 を 。 相 応 し い 結 末 を 用 意 で き ぬ ま ま に … … 。
- 54 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:47:56 ID:agQVdYA.0
- 【なんとも歪な形で生まれて為す術なんてなかったけど】
('、`*川 「弱点が多すぎる、ですって? あらあら、本当に致命的な弱点を隠すためにわたし達が流した嘘に引っかかっているの?」
( ・∀・) 「チャイナ服を着た吸血鬼」
(*゚ー゚) 「地上最強を目指すわしは、どこでも遅れをとってはならん。この格好なら水中でも、ホレ、この通りじゃ!」
ξ゚⊿゚)ξ 「帯刀している旧型白スクール水着」
( ><) 「これから高校の入学式! 平凡な人生でしたが、これから何かが変わりそうで昨日は中々寝付けませんでした! これから三年間たのしみです!」
( ´_ゝ`) 「持ち前の優しさから友達の輪を広げ、青春を謳歌する男子高校生」
ζ(゚ー゚*ζ 「ああどうか、わたくしに対抗意識を燃やさないでくださいまし。車道は速度を競う場所ではありません。ほら、すれ違ったらピースですわピース!」
(´<_` ) 「大型バイクに乗ったゴシックアンドロリータ」
|/゚U゚| 「拙者、失態にござる。青空予報では黒雲が避けるなぞ言わなんだ。硝子と火薬を窓際から避難させねば。付近には巻物を置いておるのだ」
从 ゚∀从 「スチームパンク時代に潜んでいる忍者」
|゚ノ ^∀^) 「アレアレ? よりによってこのレモナが非番の日に事件だなんて……どこの組!? 絶対に許しませんよ!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「金髪を振り乱し、大声を上げて街を駆けずり回る、性別不詳の警備服」
( ^∋^) 「ねえしんじゃった? わーい! このあたりは、われのなわばりなんだ! じゃあたましいもらっちゃうね!」
('A`) 「思考と口調、精神年齢が幼い死神……別人の影響を強く受けたのを自覚しているせいか、奇をてらって外見だけは筋骨たくましい男」
- 55 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:49:52 ID:agQVdYA.0
- ( ;・∀・) 「……ハインリッヒさん。どうなってるんだ。めちゃくちゃじゃないか」
从;゚∀从 「氾濫しているな……要素だけ入れて中身をスカスカなキャラしかいねえ!」
_,,
( ・∀・) 「浅学な知識でとってつけたようにペラッペラの個性を持ったヤツらだらけじゃないか」
从 ゚へ从 「こんな、脳内ですらほとんど形にもなっていないヤツらがどうしてこの場所へ……?」
ζ(^ー^*ζ 「あらあら! 素敵なコスプレですわね! 大きな体と膨れ上がった筋肉! そして巨大な鎌! 何の作品の死神キャラですの?」
|/;゚U゚| 「煤避け傘も、眼鏡も、長手袋どころか、覆面もなしにご婦人が外出している……?」
( *゚∋゚) 「なにこれなにこれ! われ、これやりたい! これやりたい!」
|゚ノ#^∀^) 「キャアアアア!! なんですかコレ!! 可愛さも美しさもありません!! 近くに来ないで、レモナが汚れちゃう!!」
(;。><) 「うわあああああああ!! なんだか頭のあたりがひんやりしますうううううう!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「うーん……矢が刺さってる人? と、鎌のマッチョマン以外、わたしが見えていないっぽい~~~~~~」
(;'A`) 「なんだお前ら!! 人前で、第三者の好奇心や想像力を無闇に刺激する格好や会話をするのは法律で禁じられているだろ!!」
( ´_ゝ`) 「おいオトジャ、見たことがない人種がたくさんいるぞ」
(´<_`* ) 「これはチャンス。今こそ多種多様の文化圏の風習を取り入れ、世界で一番幸福な宗教に大きく飛躍するとき!」
ξ;゚⊿゚)ξ 「別々の世界に登場する人達が、この場所に一気に出てきたの? こんなの会話が噛み合うわけないじゃない」
(*゚ー゚) 「む? 吸血鬼じゃと? 面白い、どれ手合わせ願おうか。ちょっとはわしを楽しませてくれよ?」
('、`*川 「あなた、そんな格好で恥ずかしくないの? モータルのくせに、人としての尊厳とかないのかしら? 死ぬしかないようね」
ξ;゚⊿゚)ξ 「ああ! ここは微妙に噛み合っている!」
- 56 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:50:46 ID:agQVdYA.0
- ( ・∀・) 「……」
从 ゚∀从 「……」
( ・∀・) 「ハインリッヒさんが言っていたこと、なんとなくわかったよ」
从 ゚∀从 「あん?」
( ・∀・) 「ハインリッヒはモララーを下敷きに出来ている、ってやつ」
从 ゚∀从 「結局のところ……」
从 ゚ー从 「脳内に生きてきた知識と経験を詰め込んで、そこに独創性でちょっとこね回して、おれ達が生まれた」
( ・∀・) 「だからこそ、性格や世界観。……物語は違えど、登場人物が求めているものは大差がないんだね」
从 ゚∀从 「全部、ひとつの身体の中にある、ひとつの脳内で起きている出来事なんだよな。たったひとりの人間なんだ」
( ・∀・) 「ぼく達はみんな、日々を精一杯戦いながらそれぞれのしあわせを求めているんだ」
- 57 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:51:43 ID:agQVdYA.0
_ fタ ∧∧ ~^━y('A` )
Xヘ ハヾヽX /( |ξ゚⊿゚)ξ 〉 )>
(^∀^ ヽ゚| /'vi'´ ノ ←━ /i iヽ / <.
(‐Yー 、§ と ノ`ヾ.l ((/l ̄l\)) /つ*゚ー゚) . ('、`*川
|=◎=|!! (/ ソ_∠ニ二ス ヽノ へ Glニニニニフ (,(~~\
⊃
(_(__) ミセ*゚ー゚)リ /,\、/ ) く_八^フ
X | J J (_/ `-' ∪ ∪
∠ ̄\∩ ∠__ノ
|/゚U゚|丿 〃,( ;∩<)
~(`二⊃ /(_ノ ィ \ ,. -─-_,
( ヽ/ ⊂こ_)_)`ヽつ / , '´ ̄ ̄ n
ノ>ノ / / ζ(゚ー゚*E)
)、
UU \{ <薔> ノ γノソハヾ
( ・∀・) ( ´_ゝ`) く(´<_` /しァ \( ゚∋゚) V爻レ
从 ゚∀从
(:::::::::::::) `、ー='~ ,ι,〉 `7x=y'::::く__ (つ、 / し´J 〈 <V>
(|:::::::::::::| ~)-、, 、j__,ゞ _/::_У:::::::::::/ /
く/_ く__:|
i,_,ノi,_,ノ (,/゙'´L,_) `)-(_\;:;:;∠)┘ 〈_/`Ll
U^U
- 58 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:52:53 ID:agQVdYA.0
- (´<_`; ) 「みなさん!!」
('、`*川
( ・∀・)
(*゚ー゚)
ξ゚⊿゚)ξ
( ><)
(´<_`# ) 「みなさ~~~~~~ん!!」
( ´_ゝ`)
ζ(゚ー゚*ζ
|/゚U゚|
从 ゚∀从
|゚ノ ^∀^)
ミセ*゚ー゚)リ
( ゚∋゚)
('A`)
(´<_`# ) 「静粛に!!」
- 59 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:54:02 ID:agQVdYA.0
- + (´<_`* ) 「今、ここに、神託が下りてきました!!」
(´<_`* ) 「どうやら、われわれを入れた脳の持ち主は、交通事故に遭い生死の境をさまよっているようです!!」
( ;・∀・) 「なんてこった。ハインリッヒさん、あなたが言っていた本当の終わりが迫っていますよ」
从;゚∀从 「マジ……か。あぁ……もう二度と兄貴とは会えないのか……」
ξ;゚⊿゚)ξ 「ちょ、ちょっと! この矢はいつ抜いてくれるの?」
( ´_ゝ`) 「まさかこんな不幸しかない人生だとは思わなかったな」
ミセ*;ー;)リ 「わたしもだよ……最後に一度でいいからトソンちゃんと一緒にごはんが食べたかったな」
('A`) 「おれの四年後に何が起きるのか詳しいことはわからないままか。ま、しゃーないな」
('、`*川 「ただのコスプレ吸血鬼なんだけど?」
(*゚ー゚) 「わしも何故、こんな古風な話し方なんじゃ?」
(。><) 「うわーん! ぼくの高校生活はまだなんにも始まっていないんです!」
ζ(゚ー゚*ζ 「どうしてわたくしは、ゴスロリ姿で大型バイクに乗っているのでしょうか? 乗りづらいのですが……」
|/゚U゚| 「政府転覆を狙う秘密結社が街の何処かに隠れていると聞いた矢先にこれでござるか」
|゚ノ ^∀^) 「非番の日に呼び出されたと思ったら唐突にすべてが終わりって、さすがに酷くない!?」
( ^∋^) 「ふふふふ、ふふ。たーのしーい! わーい! 沈んで行くぞー!」
- 60 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:55:21 ID:agQVdYA.0
- + (´<_`* ) 「……更に神託が下りてきました!!」
(´<_`* ) 「死ぬ間際であるため、現在、走馬灯が流れている模様です」
( ^∋^) 「しんじゃうの? じゃあわれ、たましいかいしゅうしたーい! ねえ、たましいかいしゅうしていーい?」
(´<_` ) 「脳が生命の危機を回避するために、これまでの人生の記憶から最適な情報を引き出しています」
(´<_` ) 「それに伴い……」
(´<_` ) 「今まで脳内に詰め込んできた考え、思い浮かべるのみで形にすることなく奥の引き出しにしまっていたもの達がどんどんと蘇ってくるようです!」
从;゚∀从 「えっ!? ほ、本当か!?」
从*゚∀从 「また兄貴に会えるってことか?」
_
( ゚∀゚)つ” ガシィ
Σ 从;゚∀从 「わっ!?」
_
( ゚∀゚)「言っている間にもう隣に立っている兄貴だぞ」
从 ゚∀从 「う」
从*゚∀从 「お」
从*゚Д从 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
从*;Д从 「兄貴ィッ!!」
_
( ゚∀゚) 「ハッハッハッハッ。辛かったなあ。『1/300の法則』の世界でたったひとりだけ残されたんだもんな」
- 61 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:57:04 ID:agQVdYA.0
- ( ・∀・) 「ケッ」
(・∀・ 三 ・∀・) キョロキョロ
( ・∀・) 「……」
( #・皿・) 「ここにいる全員が主役以外のすべてを忘れ去られてるわけなんですけども~~~~~~?」
(,,゚Д゚) 「こらこら、怒るな怒るなモララー。やっぱり部活に入ってたほうが良かったんじゃないか?」
ノパ⊿゚) 「自分が利益を得られなかったら全力で他人を妬むその姿勢、治したほうがいいよホント」
o川*゚ー゚)o 「モラっちのそういうところ、わたしは結構好きだけどね。素直でいいじゃん」
( ・∀・) 「ギコくん……ヒートちゃん……キューちゃん……」
( ・∀・) 「……」
( ;∀;) 「うっ」
(,,^Д^) 「ギコハハハ。泣かなくてもいいじゃねーか」
( う∀∩) 「泣いてない! 泣いてないぞ!」
- 62 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:58:24 ID:agQVdYA.0
- 川 ゚ -゚) 「ワンチャンある! 今度こそ抜ける! ワンチャンあるって!」
ξ;゚⊿゚)ξ 「いやだから、無理ですって! まったくチャンスはありません!」
( ´_ゝ`) 「役に立ったな、オトジャの宗教」
(´<_` ) 「そうだなアニジャ。ここだけでもしあわせに出来た。もう消えても良いくらいに満足だ……」
(;、;トソン 「ああああああああああああああああああ、まだ《舞姫》との試合は終わってないじゃないですか~~~~~~」
ミセ*゚ヮ゚)リ 「だって作中の時間は進んでいなかったもん! がんばれがんばれトソンちゃん! がんばれがんばれトソンちゃん!」
( ^ω^) 「ドクオ、四年後になにをするつもりなんだお? ぼくの見立通りやっぱり空想犯罪者になって悲しいお!」
( ФωФ) 「欲求不満であるか? 満たされぬ性欲が空想の暴走を引き起こしたのではないか? まだ遅くない、おさわり3000円!」
(#'A`) 「いらねえって!」
- 63 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 19:59:56 ID:agQVdYA.0
- 【もう愛から愛へ愛されて愛まで脳みそ全部そんな感じ】
( ・∀・) 「ねえ、マントの神父さん」
(´<_` ) 「なんですか? 学生服さん」
( ・∀・) 「今こうやってる、この瞬間も、脳は生死をさまよっているんだよね?」
(´<_` ) 「神託がそう啓示しました。間違いありません」
( ・∀・) 「そう……」
(,,゚Д゚) 「どうした。また何か余計なことをするんじゃないだろうな」
( ・∀・) 「バカ言わないでよ。この世界全員を助けられるアイデアを思いついたのに、余計だって?」
从*;∀从 「兄貴、あのな、おれのな……おれの重力の異能を完全に無効化してくる相手がいてな……そのとき……」
_
( ゚∀゚) 「成長したなあハインリッヒ。兄ちゃんは鼻が高いよ。知らないところでそんな過酷な戦いをしていたんだな」
( #・∀・) 「なあ、そこはいつまで感傷に浸ってるわけ?」
从#;∀从 「なんだと?」
( #・∀・) 「これから先の未来が永遠に失われそうだっていうのに、気持ち良い過去に涙している暇なんてあるの?」
(,,;-Д-) 「モララーは優位をとってしまったら、あまりにも強い言葉しか口から出てこないのか?」
- 64 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 20:01:36 ID:agQVdYA.0
- ( ・∀・) 「おおい! みんなも聞いてくれ!」
( ・∀・) (,,゚Д゚) ノパ⊿゚) o川*゚ー゚)o
ξ゚⊿゚)ξ 川 ゚ -゚)
( ´_ゝ`) (´<_` )
_
从 ゚∀从 ( ゚∀゚)
ミセ*゚ー゚)リ (゚、゚トソン
('A`) ( ^ω^) ( ФωФ)
('、`*川 (*゚ー゚) ( ><) ζ(゚ー゚*ζ |/゚U゚| |゚ノ ^∀^) ( ゚∋゚)
( ・∀・) 「このままでは、この脳内は命を終えて、ぼく達の所有者はどこか果てしなく遠いところへと消えてしまう!」
( ・∀・) 「いくら物語は生きていくのに必要がないとしても、音もなく誰にも知られず忘れられていくなんてあんまりじゃないか!」
( ・∀・) 「この場所だけ見たって、10以上の物語が集まっているんだ。きちんと舞台が用意されれば、100を超えるかもしれない!」
( ・∀・) 「そしてこれから先、ずっとずっと続くかはわからない……どこかで辞めてしまったり、続けられなくなったりもするだろうけど」
( ・∀・) 「それでも、今よりは確実に多くの物語がここから生まれるのは間違いないんだ」
( ・∀・) 「自分の中にある、自分だけの世界だけの世界が死んでいくのに黙って手をこまねいてなんていられないだろ!?」
- 65 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 20:02:36 ID:agQVdYA.0
- ( ・∀・) 「100の主役と、1000の物語と、10000の記憶! 例え形を成さずに朽ちてしまっても、意味がないと言わせてたまるか!」
( ・∀・) 「だって、そうだろう!?」
( ・∀・) 「頭の中で起きているのはフィクションだとしても、それを考えている自分はノンフィクションじゃないか!」
( ・∀・) 「さあ、みんなでやるぞ!!」
从 ゚∀从 「何を?」
( ・∀・) 「聞いていなかったのか!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「わたしも、ちょっとわからなくて……」
( ・∀・) 「嘘だろ!?」
( ´_ゝ`) 「オトジャ、どうだ?」
(´<_` ) 「神託がない……」
( ・∀・) 「祈ってろ!」
ミセ*゚ー゚)リ 「あ! わかった!」
ミセ*゚ヮ゚)リ 「みんなで声をかけるんでしょ!? 今頑張ってるあたし達の持ち主に、がんばれーって!!」
( ・∀・) 「大正解!」
('A`) 「なるほど。暗い場所からは明かりが良く見えるもんな」
( ・∀・) 「それは何を言っているかわからないが」
- 66 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 20:04:44 ID:agQVdYA.0
- 【最後に思い出したその小さな言葉】
「 こんなところで死ぬな! まだ、ぼく達の物語を書いていないじゃないか! 」
( ・∀・) (,,゚Д゚) ノパ⊿゚) o川*゚ー゚)o
「 まだ脳内に残っている、形をとっていない物語を指先まで送り出せ! 」
ξ゚⊿゚)ξ 川 ゚ -゚)
「 書きたいと思っている主役を書ききるために頑張って生きるんだ! 」
( ´_ゝ`) (´<_` )
「 頭の中で、胸の奥で、呼びかけてくるその声を、思い出してくれ! 」
_
从 ゚∀从 ( ゚∀゚)
「 わたし達のために考えてくれた素晴らしい物語を! 」
ミセ*゚ー゚)リ (゚、゚トソン
「 おれ達のために用意してくれた相応しい結末を! 」
('A`) ( ^ω^) ( ФωФ)
「 あなたが現実へ戻り、辛いことや苦しいことがあっても、脳内を杖にしてまた立ち上がれるように! 」
('、`*川 (*゚ー゚) ( ><) ζ(゚ー゚*ζ |/゚U゚| |゚ノ ^∀^) ( ゚∋゚)
「 脳内から指先までの距離を埋められるような、新しい物語を一緒に紡いでいこう! 」
- 67 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 20:08:06 ID:agQVdYA.0
ドクオ
┏━━━━━━━━━┓
_ fタ ∧∧ ミセリ ~^━y('A` ) ┌───┘ ┃
┃
/( |ξ゚⊿゚)ξ ┌────┘ 〉 )> │1.私立文系の大学生
┃ ┃ f⌒ 。
/'vi'´ ノ ←━ │ /i iヽ / <. │2.感情教育があまり効いていない
┃ ┏ ┓ ┃ ヽ.ノ (_) 「「} | l'^! C|
と ノ`ヾ.l │ ((/l ̄l\)) ↑ │3.四年後に自身の空想が原因で大災害を起こす
┃ ? ┃←─ J
(/ ↑ └→ ソ_∠ニ二ス └──┘
┃ ┗ ┛ ┃ (二ヽ / 7
1.『星屑聖矢』を刺された悪魔 └┐ ミセ*゚ー゚)リ 1.異世界に幽霊として転生(?)した中学生
┃ ┃ 、_) (_) (_) l'^! //
2.地獄でも良家の出 | | J J 2.霊感を持つ剣闘士トソンに取り憑いた
┃ ┃ ○
3.痛みには強い方 ツンデレ | ∠__ノ 3.楽天的で適応力が高い。兜姿の理由は不明
┗━━━━━━━━━┛
└─────┘
ハインリッヒ
モララー アニジャ | オトジャ
└───┬───┘
┌────┘ └────┼────┘ ┌──────┘
|1.ちょっとヒネた高校三先生 │ 1.独自の宗教を信奉する双子の兄弟 ↓
|2.継続的な努力が嫌い ┌─┴─┐2.兄は宗教を信じていないが弟を尊重 )、 1.終焉高校に通う三年生。両親とは幼い頃に死別している
↓3.意外にも面倒見が良い ↓ ↓3.弟は幸福を求めて日々苦悩している γノソハヾ 2.第二次『星砕戦争』の参加者、重力を操作する能力を持つ
( ・∀・) ( ´_ゝ`) く(´<_` /しァ
从 ゚∀从 3.常時白衣の理由は科学部所属と趣味
(:::::::::::::) `、ー='~ ,ι,〉 `7x=y'::::く__
〈 <V> 4.残った唯一の家族である兄のジョルジュに恋心を抱く
(|:::::::::::::| ~)-、, 、j__,ゞ _/::_У:::::::::::/ く__:| 5.作中の後半で、両親は自分の命を助けるために第一次『星砕戦争』に参加して命を落としたと知る
i,_,ノi,_,ノ (,/゙'´L,_) `)-(_\;:;:;∠)┘
U^U 6.上記は『1/300の法則』連載当時の設定
- 68 名前: ◆MVEAnKiWrY 投稿日:2017/08/26(土) 20:11:14 ID:agQVdYA.0
- あ あ ど う か 、 許 し て お く れ 主 役 達 。
頭 の 中 で 、 胸 の 奥 で 、 呼 び か け て く る そ の 声 を 、 い つ し か 忘 れ て し ま っ た 。
君 達 の た め に 語 ら れ る べ き 物 語 を 。 相 応 し い 結 末 を 用 意 で き ぬ ま ま に … … 。
し か し 、 い つ の 日 か 、 必 ず 、 全 員 を 結 末 ま で 運 ん で や る 。 ど う か そ の 日 ま で 、 健 や か に 。
________________
\
 ̄ヽ、 _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
`'ー '´
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