( ・∀・)は隠れ2ちゃんねらのようです

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 20:52:39.76 ID:iaG765Ri0

   「お前、タバコと友達だったの?」

       「体を煙にして、扉の向こう側に行っただけの話だろ」

 「それは俺の特製でね、普通の人間には見えないんだ」

            「呪……ます……!"コトリバコ"!」

  「"本当にあった怖い名無しさん"、だ」

            「手に入らないなら、せめて一緒に死んで下さい」

  
           「………………ぬるぽ」

( -∀-)。o ボンヤリ

(;-∀-) ハァ……


爪'ー`)y「ため息なんてどうした親友、悩み事か?」

川*д川「わ、わ、私でよければ、きっ聞きます! いえ、聞かせてください!」

(;-∀-)(お前らのせいだよ……)

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 20:53:37.39 ID:iaG765Ri0







( ・∀・)は隠れ2ちゃんねらのようです





8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 20:54:44.84 ID:iaG765Ri0

土曜日

なんだかここ一週間が非常に長く感じられたけれど、ようやく世間一般の学生は休日に入った
休日はいい

学校に行かなくてもいいし、何よりフォックスに会う必要も、変な奴らに追われるかもしれないって心配もない
昼くらいまでのんびーりと、ゆっくーりと、寝てよう

……そう思っていたのに

爪'ー`)y「ところでこれは非常に面白いな親友、ニ巻を貸してくれ」

煙草を吹かしながら僕のベッドに寝転んで漫画を読んでいる自称親友と

 ソワソワ
川*д川(夢にまで見たモ、モ、モララーくんの部屋……! ああ! か、髪の毛とか落ちてないかな!?)

なにやら夢見心地のような顔で部屋中を見回しているクラスメイトが
僕の部屋でくつろいでいた

(;-∀-)(悪夢よりもタチが悪い……)

どうしてこいつらが僕の部屋にいるんだろう
あっさり家にあげてしまう母さんはどう考えても危機感が足りない
もしこいつらが危険な奴らだったらどうする気なんだ?
ていうか実際危険な奴らだよ

煙とか箱で攻撃してくるもん、超怖いよ

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 20:57:44.77 ID:iaG765Ri0

(;・∀・)「お前ら……何しに来たの?」

爪'ー`)y「親友の黒丸について、ちょっと見てみたいこととか、聞きたいことがあったから来たんだが……
     まぁちょっと待て、時間は有限だがその時間を楽しんで使うことこそ人生の意気込みだ」

そう言いながら、フォックスは漫画から目を離そうとしない、何しに来たんだよ
お前のそれは、俗に言う時間の無駄とも言われる行為だ

まぁ僕はその漫画好きだけどさ

良くある厨ニ漫画を真剣に読みふけるフォックスは、しばらく何を話しかけても無駄そうだった
僕は小さく首を振って、今度は部屋の片隅でぎこちなくすわる貞子さんの方に話しかける

(;・∀・)「………貞子さんは、どうしたの?」

川*д川「あ、わ、私は……モララーくんの部屋を監視……じゃなくて、あ、一緒に遊びに行けないかなって思って……」

(;・∀・)(部屋を監視……って言わなかったか今)

彼女の気持ちは、よく言えば純愛、悪く言えば重い愛だ
もしかして僕、ストーキングされているかもしれない、どうしよう、なんかあったら誰を呼べばいいんだろう

でもまあ、女の子に追われて貞操がピンチって言えば聞こえは良い……いや、よくないか

(;-∀-) ハァ

しかし、こんなところで考えていても埒はあかない
どうせもう部屋に入っちゃってるんだし

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 20:59:09.26 ID:iaG765Ri0

(;-∀-)「……とりあえず、僕顔洗ってくるから、あんまり物触らないようにくつろいでてよ……」

川*д川「は、はい!」

爪'ー`)y「これ今何巻まで出てるんだ? 続きは買っているのか? おい、教えてくれ親友」

( ・∀・)「うるせー馬鹿」

僕は部屋の扉を勢いよく閉めると、一階に向かった
貴重な休日が無駄になる予感がする

(;-∀-)。o(……一応、お茶とか出した方がいいんだろうか)

招かれざる客にうんざりとしたため息を吐いた


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:00:12.78 ID:iaG765Ri0




顔を洗い、スゥエットから着替えた僕は、一応(無理やり来たとはいえ)客人用のジュースとお菓子を
持って、二階にあがる

母さんはもう仕事に行ったようで、いつものように書き置きがしてあった

とことん無用心な母親だ、泥棒が入ったら一発でやられるに違いない

( ・∀・)「お菓子持ってきたよ」

爪'ー`)y「カントリーマァムとはわかっているじゃあないか、最高なチョイスだ」

川*д川「あ、ありがとうございます!」

( ・∀・)「いーえ」

テーブルの上に置くと、僕はベッドを背もたれにして腰掛ける
ぎしりと歪むスプリング音、フォックスも寝転んでいたベッドから立ち上がり
僕の横に腰掛けるとお菓子に手を伸ばした

爪'〜`)「俺はキャンディだとミルキーが好きなんだ、あの味は忘れられない、初めて口に含んだ時の衝撃を
 つ○  俺は忘れない。まぁ一番好きなのはガーナのチョコレートなんだが、最高だ
     ちなみにチロルチョコもいいな、あれは安く大量に買えて、しかも美味い、カントリーマァムも
     それに次ぐ美味さだ、ナイスチョイス、親友」

( ・∀・)「お前はほんっと何しにきたわけ?」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:01:46.31 ID:iaG765Ri0

ただ遊びに来ただけなのか、ひょっとして
クッキーを食べながら熱心に語るその姿は、人間にしか思えないが、これでも一応もう一つの世界
2ちゃんねるの住人ってんだから驚きだ

  コソーリ
((川*д川「…………」

( ・∀・)「何してんの貞子さん?」

柏;д川「ひゃっ!い、いえ、ちょっと保存……あっ、い、いや!な、なんでもないんです!美味しいです!」
  つ○と

(;・∀・)、「そ、そう……」
     
なんかティッシュにくるんでいるように見えたんだけど……、いや、もういっそのこと見なかったことにしよう

僕はベッドの脇においてある黒丸を手に持つと、未だ美味しそうにクッキーを貪っているフォックスの
前へと突き出した

( ・∀・)つ●「いつまで食べてるんだよ、僕のこれについて、聞きにきたんじゃないのか」

爪'〜`) モグモグ

爪'−`) ゴクン

爪'ー`)y「……どうした親友。 そんなにワクワクして、楽しくなってきちゃったか? 男の子の血が騒ぐのか?」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:02:51.22 ID:iaG765Ri0

すると、途端にいつもと同じにやけた笑みを顔に浮かべ、ジッポライター弄びながら煙草に火をつけた
こいつといると副流煙にでもなりそうだ
どうでもいいけど、いつも灰皿とかどうしてんだろう

(*・∀・)「べ、別にwktkなんてしてないよ! ただ、またあんなことになったとき
     死んだらたまんないだけなんだからな!」

爪'ー`)y「なるほど、なるほど、やる気になってくれて嬉しいよ」

(;・∀・)「ぐ……」

そうだった、この男、人の話は基本的に聞かない奴だった
フォックスは僕の黒丸を見ると、ポケットから携帯のようなものを取り出す……っていうか、携帯だった

携帯持ってるのかよ、こいつ
それは微妙にイメージにそぐわなくて、少しだけ違和感を覚えさせた

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:03:59.94 ID:iaG765Ri0

爪'ー`)白「それはお試し用の黒丸だったんだけどな、親友には結構あってそうだ」

( ・∀・)「ていうか、それ携帯じゃん、なんで持ってんだよ」

爪'ー`)白「男子高校生なら、皆持ってるだろ」

( ・∀・)「お前男子高校生っぽくないんだもん……」

爪'ー`)白「失敬だな、あとこれは携帯であって携帯じゃない」

(;・∀・)「はぁ?」

爪'ー`)白「ま、その辺はどうでもいいさ、ちょっと黒丸貸してくれ」

(;・∀・)つ●「……ん」

爪'ー`)
つ白●と

フォックスは僕の黒丸を受け取ると、携帯から赤外線のようなものを出して、黒丸に当てた

(;・∀・)「わっ!?」

何をしているのかよくわからなかったが、それは数秒で終わり、その光をあて終えると
すぐに僕の元へと返してきた
黒丸に関して、別段変わった様子はない

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:05:35.22 ID:iaG765Ri0

爪'ー`)つ●「ありがとよ」

( ・∀・)「……うん、何やってたの? 今」

爪'ー`)y「簡単に言うと、能力の保存、かな」

( ・∀・)「保存?」

爪'ー`)y「黒丸は結構色んな応用利くからな。一応バージョンは見ておきたいんだ」

( ・∀・)「へー」

どうやら黒丸の力ってのは、Tさん並にすごいらしい

爪'ー`)y「ところで親友、お前のあの時の能力だが」

(;・∀・)「う、うん」

爪'ー`)y「まぁ一般的な"規制"だな」

( ・∀・)「……規制?」

爪'ー`)y「条件反射と物理的攻撃、ぬるぽ、と言ったら誰彼かまわず発動するモンみたいだ」

なんでそんなこと解るんだよ
僕が胡散臭そうな目で見ると、彼は肩をすくめたように携帯をちらつかせた

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:06:40.16 ID:iaG765Ri0
  _,
( ・∀・)

……どうやら、あの携帯はただの携帯じゃないってのは、そういうことらしい
能力の保存とかワケのわからないことを言っていたけど、その時の能力の中身も知ることが出来るってことなんだろうか

なんだか都合が良すぎない?

( ・∀・)「でも、あの時貞子さんに当たったよ、ねぇ?」

川;д川「は、はいっガツンとやられました!」

(;・∀・)「あ、ごめんね……」

川*д川「い、いえ!光栄です!」

(;・∀・)

爪'ー`)y「まぐれ、じゃないかね。黒丸に関しては、俺もまだ把握しきれてないところも多いんだが……」

( ・∀・)「へぇー……どれ」


( ・∀・)「ぬるぽ」


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:07:54.28 ID:iaG765Ri0

言った瞬間、手の中の黒丸の形状が変化する、細く長い持ち手に引っ張られるようにして、僕はそれを振るっていた

爪 ー ).。*「ガッ!!!」
    y

( ・∀・)「あ」

川д川「あ」

振りかぶられた槌は勢いよくフォックスの頭に命中した
てっきり煙になるかと思ったけれど、突然のことに反応し切れなかったようだ

(;・∀・)

川;д川

爪 ー )

( ・∀・)「フォ……」

爪# ー )「……いい度胸してるじゃねえか、親友、俺は今、初めてお前を親友と呼ぶことに少しためらいを感じたぞコラ」

(;・∀・)「ごめんごめん、まさか当たるとは」

爪#'ー`)y「お前は今の俺の話を聞いてなかったのか? どっちかに当たるっつっただろうが
     それとも耳が聞こえないのか? 風穴を開けて欲しいのか?」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:09:22.65 ID:iaG765Ri0

( ・∀・)「わかった! もしかしたらちょっと憎しみを抱いている方に当たるのかもしれない、新発見だよ」

爪'ー`)y「戦争でもするか親友 血で血を洗って洗濯しようか」

( ・∀・)「ジョークだって」

爪'ー`)y「ジョークは言わないんじゃなかったのか」

( ・∀・)「たまには言うさ」

爪'ー`)y「成る程、腹立たしい」

川*д川(ってことは私、モララーくんにこの狐野朗より憎しみ持たれてないんだ……やったぁ)


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:11:18.60 ID:iaG765Ri0


その後少々気まずい雰囲気にはなったが、仕切りなおして、僕は槌を床に置いた
けっこう大きくて邪魔なんだよ、これ

しかし、床に置いた瞬間、槌はすぐさま元の黒丸へと戻っていった。

……成る程、手から離したら元の形状に戻るのか

( ・∀・)「……あれ?」

しかし、元の大きさに戻った黒丸は、なんだか以前より一回り小さくなった気がする。気のせいだろうか
重量も少し軽くなったような
そんな疑問を解決するように、頭を手でさすりながら、フォックスが答えてくれた

爪'ー`)y「黒丸は一回使うごとに少しずつ減っていくんだよ」

どうやら黒丸には回数制限があるらしい

( ・∀・)「でも、僕のこれ、規制するはずなのに、フォックスは貞子さんみたく動けなくなったりしないんだな」

爪'ー`)y「はは、俺は特別だからな、そこらの名無しと一緒にすんな」

ノ川#д川ノ~~ ノロウ

( ・∀・)「そもそも"規制"ってなんなわけ?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:12:30.48 ID:iaG765Ri0

爪'ー`)y「…………」

爪-ー-)y「んー……」

 ポフ
爪'д`)y 〜 ◎

(;・∀・)「!?」

突然、フォックスは煙草の煙で輪を作り、それを部屋の上の方へと浮かばせた

その輪は形状を変えて人の形へと変化していく
続けて、2の文字を煙に変えて宙へと遊ばせれば、煙は消えることなく、その場に留まって泳いでいる


   〜2   〜人
  
 
(;・∀・)「……?」

爪'ー`)y「2ちゃんねるに棲む"名無しさん"が現実世界で人間の体を乗っ取って暴れ始めていることは、話したよな」

( ・∀・)「う、うん」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:13:28.81 ID:iaG765Ri0

まあ、暴れるといっても、実際に何をするのか僕にはわからないけど……

川д川「力を借りて、呪ったり、ボコボコにしたりす、るんです」

(;・∀・)

知りたくなったよ、そんな事実

爪'ー`)y「そうすると、人は大抵意識がなくなるんだが、稀に名無しさんの力を吸収して意識を保ったままの奴もいる
     そこの貞子がそうだな」

川;д川「よ、呼び捨てにすんな」

煙を動かして、2と人を並べ、人に意識の象徴なのか、星のマークをくっつけた

   〜2
   〜人☆

爪'ー`)y「これが、人の意識が強いバージョン」

爪'ー`)y「その場合、俺たちが下すことは"規制"または"スレスト"だ」

( ・∀・)「規制っていうのは、僕がやったこと?」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:14:40.41 ID:iaG765Ri0

爪'ー`)y「そう、お前のはせいぜい動けなくなる程度だったが、元来規制っていうのは
     こっちの世界から名無しの奴らを規制するってことだ」

爪'ー`)y「規制された名無しさんは、もう現実世界には戻れない」

すると、一瞬で2の文字が消える。
一体どうやっているんだろう

     -*- フッ
    〜人☆

( ・∀・)「スレスト、は?」

爪'ー`)y「スレストは、その名無しの行動全てをストップさせることだ
     ただ、これは人の意識が強いときじゃないと使えない」

(;・∀・)「え? なんで」

川д川「……ひ、人の意識が弱いと、そのまま意識が戻らなくなる、から」

爪'ー`)y「そう、名無しの意識が強いまま、スレストされると、名無しは動けなくなり
     また名無しに乗っ取られている人も動けなくなる
     死ぬ確率が高くなるってことだな

     逆に人の意識が強いと、名無しは動けないから自然に消滅する、退治する方法としてはこれがベストだ」

(;・∀・)「…………」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:16:25.84 ID:iaG765Ri0

なんだか、一気に不穏な話になってきた
そこんじょそこらの男子高校生にいきなり死とか重いテーマをぶつけないでほしい

(;・∀・)「……ちなみに、人の意識が強いまま規制された場合、その人の意識はどうなるの?」

爪'ー`)y「意識ははっきりするだろうさ、ただ、その場合、名無しに乗っ取られていた間の記憶を失うことになる」

川д川「…………」

( ・∀・)「……記憶……」

ということは、やっぱりあの時、フォックスは貞子さんの記憶はどうでもいいと思っていたのだろうか
いつから名無しと付き合っているのかは知らないが、あのまま規制していたら、貞子さんは記憶を無くしていた
こいつ、やっぱり結構危険な奴なのかも

爪'ー`)y「次に、名無しの意識が強く、人の意識が弱い場合だ」


  〜2☆
  〜人

爪'ー`)y「この場合、俺たちが下すのは"規制"か、"削除"だ」

( ・∀・)「削除?」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:17:13.61 ID:iaG765Ri0

爪'ー`)y「ああ、規制は、さっきと同じ、名無しを規制して、人から名無しの意識をとりはずし
     名無しだけを2ちゃんねるに返す
     そうすると、人は意識を取り戻すさ。ただし人の意識が強かった時と違って
     しばらくは元には戻らないかもしれないけどな」


  〜人


( ・∀・)「……じゃあ、"削除"は?」

爪'ー`)y「そいつは、俺もちょっと専門外なんだが……これは取り付かれた人ごと、名無しを"消す"ことだ」
    
    フッ
   〜-*-

(;・∀・)「……え?」

消す、って

爪'ー`)y「大抵の場合は、人と名無しを別にわけることで解決するんだけどな
     ごく稀に、名無しと一体化しすぎて切り離せない人も存在する、そして、そういうやつらこそ
     厄介な力を持っていたりするんだ」

爪'ー`)y「その時は、人ごと"削除"する」

(;・∀・)「削除って……生きてるんだよ?」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:18:04.48 ID:iaG765Ri0

爪'ー`)y「そうだな」

(;・∀・)「殺すってこと?」

爪'ー`)y「そうなる」

(;・∀・)「フォックス…………お前は」

爪'ー`)y「ただし勘違いしないでほしいのは、これが出来る奴は数人しかいないってことだ」

( ・∀・)「……じゃあ、お前は出来ないの?」

爪'ー`)y「残念ながら、その力は持っていない……ああ、そんな顔をすることはない親友
     "残念ながら"というのは俺の力が未熟なのを嘆いたセリフだ、別に殺したいわけじゃあないさ」

( ・∀・)「…………」

爪'ー`)y「、これが出来るのは削除人、削ジェンヌと呼ばれる奴らだけだ」

妙に聞き馴染みのあるその言葉に、殺伐とした意味が込められていると知って、僕は鬱々とした気分に陥った

( ・∀・)「…………削除された人は、どうなるのさ」

爪'ー`)y「名無しと一緒に、datの海に沈むことになるだろうな」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:19:08.32 ID:iaG765Ri0

さっきから、聞き覚えはあるものの、馴染めないであろう意味が続く


( ・∀・)「datの海……」

爪'ー`)y「まぁ、その辺のことは、おいおい話すさ、顔色が悪いから、この辺にしておこうぜ」

川;д川「だ、大丈夫ですか……? モララーくん……」

( ・∀・)「……ああ、うん」

カチッとジッポの蓋を開け、フォックスは煙草に火をつけると
再び僕のベッドで横になり漫画を読み出した

自分でも気がつかなかったが、どうやら僕の顔色は良くないことになっていたらしい

フォックスの煙のせいで、部屋の中にはチョコレートの香が充満する
まるでお菓子の家にでも入ってしまったかのように、おとぎ話の世界
チープな作り物の世界

いっそこの話も作り物だったらいいのに


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:19:57.89 ID:iaG765Ri0

( ・∀・)「お前ってさ」

爪'ー`)y「なんだ?」

( ・∀・)「人に優しい?」

爪'ー`)y「優しくはないだろ」

( ・∀・)「じゃあ人の敵?」

爪'ー`)y「時と場合による」

( ・∀・)「…………」

煙のように答えをぼやかして、その減らず口は絶えることはない
僕は、正直フォックスがしようとしていることを、彼の役目を甘く見ていたのかもしれない

( ・∀・)「お前の乗っ取りって、何が目的なの?」

爪'ー`)y「…………」

その問いには答えず、フォックスは皮肉っぽく口元の端をあげるだけだった

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:20:47.08 ID:iaG765Ri0

その顔は、人を化かす狐に、よく似ている

狐はやがて興味を失ったらしく、再び漫画に没頭した


爪'ー`)y「この漫画、ある分借りてっていいか親友?」

( ・∀・)「好きにしろよ」

川;д川。o(き、狐野朗〜〜!簡単にモララーくんのもの、か、借りやがってぇ……!)



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:21:44.94 ID:iaG765Ri0




結局、それから話が進展することはなく、フォックスは漫画を読み耽り
貞子さんは始終落ち着かない様子でいたが
時間も遅いということで、二人とも家に帰っていった

彼らの家がどの辺にあるのか、僕は知らないけれど

フォックス達が帰ると、なんだかどっと疲れが押し寄せてきた
休日だっていうのに、どうしてこんなに疲れなければいけないんだ

時計を見ると、もうすでに19時を回っている

そういえば、ご飯を全然食べていない、僕は急激にお腹が空いたことを思い出し
鞄に入っていた財布をジーンズのポケットに詰め込んだ

( ・∀・)「コンビニ行ってなんか買ってこよう……」

母はまだ帰ってきていない
僕は家に鍵をかけると、近所のコンビニを目指して歩き出した

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:23:17.57 ID:iaG765Ri0

( ・∀・)「……予想外に重くて嫌だったなあ」

フォックスの話を思い出して、少しだけ欝になる

( ・∀・)「死ぬってお前……、高校生にそんな重い……」

おまけに彼の話によると、僕はそんな死ぬとか重い話の登場人物に、もう選ばれているらしい

 爪'ー`)y『黒丸は肌身離さず持っておけよ、いつ襲われるかわからないしな』

 ( ・∀・)『襲われて負けた場合、どうなるの?』

 爪'ー`)y『そりゃ負けてみないとわからないな、俺は負けたことがないんで』

 ( ・∀・)

(;-∀-)「…………」

まるで参考にならない問答だった
僕は腰にぶら下げた巾着入りの黒丸を確認する、その存在が現実を見せ付けるようで
なんとなく嫌だ

( ・∀・)「…………いきなりそんな強い奴とかに当たらないだろ、うん」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:24:36.49 ID:iaG765Ri0

特に根拠もなく、自分を元気付ける

出来るだけ一人の行動は避けろとフォックスは言っていたが、そんな制限たまったもんじゃない

街灯がつき始めた住宅街を一人で歩くのは、あんな話を聞いたあとだと不気味に感じられるが
今までと変わらない、と考えればそう怖くもない

怖いと思うから怖いんだ
部屋の隙間も、怖いと考えるから怖くなるだけで、そこには何も居ないのさ

名無しがなんだ、僕はもう全然怖くない、怖くない、怖くない……!


( ・∀・)「怖くない!」

「モララーくん」

:(;・∀・):「ぎゃぁぁああああああ! 怖いいいいいい!!」

「うわあ!」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:25:27.63 ID:iaG765Ri0

(;・∀・)「あ、あれ?」

突然声をかけられたから、驚いて叫んでしまったけれど、よく見たら、その声をかけてきた人物は僕の
知っている人間だった

(;'A`)「どうしたの?そんな声あげて……」

( ・∀・)「同じクラスの……」

('∀`)「うん、ドクオだよ、こんばんはモララーくん」

やけにねっとりとした笑みで、ドクオはそう言った
彼は病的に痩せた骸骨のような笑みを顔に浮かべ、へらへらと近付いてくる
夏だというのに、ふくらはぎ近くまであるコートを着ていた

なんだか嫌な感じだ

( ・∀・)「……どうしたの、こんなところで? この辺に住んでるの?」

('∀`)「フヒヒ、いやあ、大したことじゃないんだよ、ただちょっとね…………」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:26:39.77 ID:iaG765Ri0






('∀`)「君に死んでもらおうかと思って」







40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:28:49.97 ID:iaG765Ri0

( ・∀・)「は」

同時に彼は羽織っていたコートを脱ぐ


    ヽ('A`)ノ  
      (  )   
      ノω|


その下は全裸だった

……全裸?

:(;・∀・):「へ、へ……」

('∀`)「フヒ、ヒヒ、嫌いなんだよぉ、嫌いなんだよぉ、モテる男ってさあ、ビッチとつるんで? DQNとつるんで?
    でもいじめとかしない僕イケメンとか思ってんの?うぜぇwwww死ねwwww 
    嫌いだぁ嫌いだぁ嫌いだぁ……モテる男も顔がいい男もビッチもDQNも全員……」

そこで彼は薄気味悪い笑みをぴたりと止め、僕の方をじっと見据え

(;・∀・)「へっ……!!」

(゚A゚)「死ねやぁ!!」

(;・∀・)「変態だああああああああ!!!!」

同時に叫んだ

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:31:14.53 ID:iaG765Ri0

僕が背を向けて走り出すと、ドクオは後ろからけたたましい声だか悲鳴だかつかない奇声をあげて
追いかけてくる
怖いなんてもんじゃあない、変質者に会う女の子は問答無用で保護するべきだ

戦うことなんて、はなっから頭になかった
ただ逃げろ、という言葉のみが渦巻いている

(;・∀・)「ぎゃああああああああ! きめぇえええええええええ!!」

(;'∀`)「フヒヒヒヒヒ! ま、待てよ! 殺してやるから、その顔ぐちゃぐちゃにしてやるからぁさあ!!」

三(;・∀・)「変態だー!変態だー!!」
    
こんだけ声をあげていたら、ご近所さんか誰かが気づいても良さそうなのに
誰も家から出てこようとしない。皆関わりたくないのだろうか?
人間ってこんなに薄情なものなの?ちょっと泣きそう

不健康そうな顔をしているくせに物凄い速さで追いかけてくるドクオ
僕の運動神経は悪くない、むしろ並以上のはずなのに、ぴったりとくっついてくるその足に、更に恐怖を感じた

風が体全体に突撃してくるようで痛い
喉がひゅぅ、と鳴り足ががくがくに震える、怖い、あと気持ち悪い

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:33:45.77 ID:iaG765Ri0

(;・∀・)「はぁっ……はっ……!!」

('∀`)「待てよ待てよぉ! フヒヒ! なんだよた、大したことないなあ! フォックスの仲間も……! ヒヒヒヒ
    勝てる、これなら俺でも勝てるよたえちゃん!
    お前なんて俺のおちんぽ汁でぐちょぐちょにして、ネットに晒してやろぉかぁ……!? フヒヒヒ」

(;・∀・)「ゲホッ……はぁっ……来るな! きもい!」

(*'∀`)「ああっ、イク! イクよ! 長門ぉおおお!!」

長門を汚すな!
咳き込みながらも、あいつが言った「フォックスの仲間」という言葉を
僕は脳のどこかで捉えていた

 爪'ー`)y『お前も俺と同じ、名無しを退治する奴に見られているからな』

フォックスのセリフが蘇る
ああ、くそ、どうしてこんな目にあわなくちゃいけないんだ
あの狐野朗、いつか絶対化けの皮はがしてごめんなさいさせてやるんだからな

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:35:16.96 ID:iaG765Ri0

(・∀・;)「ゲホッ……はぁ……」

細い裏路地に入ったところで、僕は立ち止まった
別に行き止まりとか、そういうことじゃあない

ただ、こいつがもし"名無しさん"なら、僕の槌で一度動けなくさせてから逃げた方が、得策だと思っただけだ
腰の巾着から黒丸を取り出し、背中の方で、見えないように握り締める

('∀`)「アレアレアレアレ? どうしたのかな? 逃げるのはやめたのぉ? 
    それとも疲れちゃったのかな? フヒヒ」

(;・∀・)「ひ、一つ聞きたいんだけどさ……」
 
('∀`)「なんだよぉ? これからお前はぐっちゃぐちゃにされて死んじゃうからぁな
    猫耳メイドのお土産に、教えてあげてもいいぜぇ?」

(;・∀・)「お前は名無しさん、か?」

('A`)「…………」

瞬間、さっきまでの狂気じみた表情が、消えた気がした

(;・∀・)「違う、の?」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:36:42.31 ID:iaG765Ri0

やがて俯いたまま、ドクオはぶるぶると震えだす
その姿は、泣くのを我慢しているようにも見えた

( A )「俺たちはぁ……名無しさんの名も与えられない名無し……名無し名無し、世界は匿名で溢れているっていうのに
   俺には名無しの名すらない、だけどいいよなぁ? だって俺だって生きているしぃ…………しぃ……」

('∀`) ニコッ

(;・∀・)「ド、ドクオ、くん?」

('∀`)「ドクオ? だあれぇ、それ? 俺は、俺はねぇ……」


('∀`)「喪男版の、毒男さ、あえて名乗るのならばぁ……名無しの毒男、かなぁ? フヒヒヒヒィ!!」


(;・∀・)「!!しまっ……」

どこから出したのか、彼の手には太いロープが握られていた
息をつく暇もなく、ソレは僕の首へと巻きついてくる


(;・∀・)「あ、ぐっ!?」

('A`)「自殺の友だよぉ、いっつもロープは一緒なんだ、自殺するのに便利だよねぇ、苦しい?苦しい?」

(; ∀ )「あっ……ぐぅ……」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:39:04.03 ID:iaG765Ri0

ぎりぎりと、首が絞まっていき、段々と脳に酸素が周らなくなっていく

視界がぼやける中で、ドクオだけが笑っていた

僕の記憶の中では、彼は大人しいけどそれなりに普通だったように思う
となると、これは2ちゃんねるに棲む名無しに意識を乗っ取られたドクオなんだろうか

('∀`)「フヒヒヒ、フヒヒ、楽しいなあ、女の子だったらとっくに陵辱パターンなのになぁ
    残念だなぁ」

(; ∀ )

でも、今はそんなことを考えている場合じゃない
僕は震える口を必死に動かして、か細い声を紡ぎ出した

酸素を求めるように、口をぱくぱくと

(; ∀ )「ぬ…………る…………ぽぉ……っ……!」

手の中の黒丸の形状が変化したのを感じた
こうなれば、後はドクオに当たって気絶させるだ、け、なんだ

('A`)「ん? なぁんだ、これ?」

(; ∀ )「…………!!」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:42:32.34 ID:iaG765Ri0

しかし、縄は予想以上に僕の体の機能を麻痺させていたらしい
振りあがった槌は、動いたと同時に僕の手から離れ、一瞬で元の黒丸に戻ってしまった

握る力が残されていなかったんだ

視界が黒く染まっていく

瞼が閉じ、うまく考え、が、まとまら、な

(; ∀ )「……カハッ…………」

('∀`)「なにがしたかったのぉ……お前? まぁいいや、フヒッ」

ドクオの手が、僕の方、へと伸、びてきた

首、に巻き、ついた、ロープ、がさらに、締め付けられ、僕は


('∀`)「ばいばぁい」

(; ∀ )

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:44:21.59 ID:iaG765Ri0






「愚か者は自らを愚者と知らず、安らかに死ね」







55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:50:37.67 ID:iaG765Ri0

肉、の、切れる音がした


(;'A`)「ぎぃっあ!ぎゃぁああああああああああああああああああああ!!痛い!痛いよぉおおおおおお!!」

(; ∀ )「……っはぁ! あっ……げほっ!! ゴホッ! はぁ……はぁ……!」

首の威圧感がなくなり、僕はその場に崩れ落ちた
とたんに肺へと巡る酸素を僕は思い切り吸い込んだ、目頭が熱い、ああ、頭が回る
生ぬるい風に包まれて、このまま気絶してしまい

けど、そんななけなしの理性をドブに捨てるような展開が、目の前で起こっている

(;A;)「うわぁああああああああんん! 痛い! 痛いよ母ちゃんっ……!」

さっきまでの怖気が立つ笑顔は消えうせ、足を押さえたままドクオが転げまわっている
ふくらはぎからは鮮血が噴出し、夜目にも鮮やかな赤が路に溜まっていた

(;A;)「ひどいぃっ……ひどぃよぉ……! どうしてこんなことするんだよ……っ!」

鼻水も涎も垂れ流しながら、ドクオは僕を見て言った

いや、僕の後ろにいる奴を見て、言った

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 21:57:23.01 ID:iaG765Ri0

真っ黒いコートに、シルクハット

あからさまに異質な格好をしたそいつは、突然現れた、僕の背後へと、まるで煙のように
男とも女ともつかないそいつは、完全に帽子で顔を隠していた


(  )「…………」

(;-∀・)「…………ジャック・ザ・スモーク……?」

最近噂の消える通り魔、ジャック・ザ・スモーク
問いかけては斬りつける、正体不明の通り魔、僕はそいつを、何故かフォックスだと思っていた

煙だから、という安易な考えだが、僕はフォックスが名無しさん狩りをしているのだと
心のどこかで思い込んでいた

だけど、こいつは

(;・∀・)「…………フォックス……?」

(  )「…………」

(;・∀・)。o(フォックス、じゃ、ない)

直感的に、そう感じた

あいつなら、こんなまどろっこしいことはしないだろう

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 22:03:33.96 ID:iaG765Ri0

きっと訳のわからない謳い文句を言いながら、登場するに違いない

僕は、再び言い様のない恐怖を感じ始めた

(  )

(;・∀・)「………………」

こいつ、一体なんなんだ

(;゚A`)「ぐがっ……はひぃーっ……! てめ、ぇええ……! よくもやったな、やってくれたなぁ……っ!!?」

(;・∀・)「っ」

そのとき、さっきまで蹲っていたドクオが、足を押さえながら、ゆっくりと立ち上がり始めた
その足は震えてはいるが、顔は残忍な表情で歪んでいる

(;゚∀`)「フヒヒ……! おい、そこのお前っ……! モララー!お前もだっ……! 二人まとめて殺すっ……!
     殺しちゃうよぉっ……!」

(;・∀・)「く、黒丸っ……!」

僕は慌てて、さっき地面に放り投げられた黒丸を拾い上げた
しかし、その黒丸は、ドクオの足元にあったらしい

(;・∀・)

(;'∀`) フヒ

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 22:10:18.44 ID:iaG765Ri0

ドクオの手が、宙を舞う
間に合わない!

(;>∀<)「ぬるっ―――!!」

(  )「"叩き"」

まず、感じたのは風

(゚A`)「はぐっ!?」


次に響いたのは、強烈な破裂音にも似た音

(;>∀<)

(;・∀<)

(;・∀・)「…………!?」

よく、漫画とかでビターン!とか、バチーンとか、叩いたら出るような、軽い音じゃなかった
以前、人間は高いところから落ちたとき、潰れるような、鈍い音になると聞いた

感覚としては、そっちに近いのかもしれない

( A )「…………」

地面にめり込むようにして、ドクオは伸びていた

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 22:16:53.12 ID:iaG765Ri0

しかし、全裸で倒れていると、本当に不審者だ、通報したいなあ

―√―(;・∀・)― ゾクッ

瞬間、背筋に怖気が走った

(  )

(;・∀・)「あ…………」

振り返ると、黒いコートの男が、ゆっくりと僕に近付いてくる

(;・∀・)「や、やる気か!」

そうは言ったものの、僕の腰は完全に引けていて、口もうまいこと動かない
当たり前だ、どうしてあんな叩きつけられる人間を間近に見て、平静でいられようか
怖い

さっきまで引っ込んでいた恐怖が、また舞い戻ってきた
怖い、来るな、怖い

(  )

(;・∀・)「な、なんだ、よ……!」

やめろ、こないで、頼むから、来るな来るな来るな来るなっ……!

(  )ノ スッ……

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 22:19:55.73 ID:iaG765Ri0

(  )ノ スッ……

(;>∀<)「ひぃっ……!」

(  )「……叩き甲斐がない」

(;・∀・)「……え?」

てっきりまた何かしてくるのかと思いきや、そいつは呟くと、そのままどこかへ行ってしまった

(;・∀・)「あっ、まっ……!」

追いかけようとしたが、膝が笑っていて、おまけに腰も抜けた
どうせ追いかけても無駄だろう

(;・∀・)

( ;∀;) ブワッ

正体不明の通り魔がいなくなると、なんだか急に涙が溢れてきた
死ぬところだったのかもしれない
冗談とか、遊びとかじゃなくて、本当に殺されるところだった

今はドクオも完璧にのびているけど、あの通り魔がいなければ僕は確実に殺されていた
死んでた
首を絞められて

( ;∀;)「……うあ、あーーー……」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 22:23:21.15 ID:iaG765Ri0


( ;∀;)「……うあ、あーーー……」

怖かった、本当に怖かったんだ
今まで生きてきた中で、リアルに死の恐怖を感じた

屋上の時もそうだったけど、僕はこのままじゃ確実に死ぬ

拭っても拭っても、涙は後から溢れてくる

( ;∀;)「ひぐっ……うぐぅっ……」

手にもった黒丸の重さだけが、手に伝わってきた
ちくしょう、ちくしょう

( ;∀;)「うぐっぅ……」

なんだよ、もう、なんでこんなめにあうんだよ!
強くなりたい、せめて、自分の身を守れるくらいに


月明かりの下で、僕は泣きじゃくり、黒丸を握り締めた


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 22:24:44.42 ID:iaG765Ri0


三話  終わり

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/28(月) 22:29:52.23 ID:iaG765Ri0

おまけ アイテムコーナー

【キャビン・プレステージ】

甘党フォックス愛用の煙草、チョコレートの旨みと香が特徴的
作中では常に咥えている、いろいろなことに応用出来るらしい、便利
携帯灰皿を持っているので、多い日も安心

【黒丸・槌ver】

モララーの黒丸の変化その1
ぬるぽハンマー、モララーが「ぬるぽ」と声を発することによって形状が変化し
誰かに当たる、当たった相手は"規制"によりしばらく動けない
ちなみに当たる相手はランダム
モララーの手から離れると形状は保てずもとの黒丸に戻る

【コトリバコ】

オカ板住人貞子が持つ箱、有名なアレ
用途は様々だが、女性相手の方が効果は高いらしい
現在はフォックスの規制により能力は使えない


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