- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:14:14.72 ID:xWrXFNNw0
-
「その時は、人ごと"削除"する」
「君に死んでもらおうかと思って」 「ばいばぁい」
「へ、変態だああああああああ!!!!」
「喪男版の、毒男さ、あえて名乗るのならばぁ……名無しの毒男、かなぁ? フヒヒヒヒィ!!」
「愚か者は自らを愚者と知らず、安らかに死ね」
ハッ
(;・∀・)「………………」
((;・∀・)) キョロキョロ
(;-∀-)「また夢……最近寝覚めが悪いなあ……僕、疲れてるんだろうか……」
爪'ー`)「安眠枕を使うといいぜ、貸してやろうか」
川*д川「よく眠れる呪い、お、教えましょうかっ!?」
( ・∀・)「……なんでお前らは、当たり前のようにいるかな……」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:15:15.38 ID:xWrXFNNw0
( ・∀・)は隠れ2ちゃんねらのようです
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:16:53.97 ID:xWrXFNNw0
目を開けると、ベッドを囲むようにしてフォックスと貞子さんが座っていた
貞子さんは家から持ってきたのか、慣れた手つきで何故か林檎を剥いている。なんで林檎?
頭ががんがんして、僕は起き上がることを億劫に思いながらも、ゆっくりと体を起こした
爪'ー`)「なんでとはご挨拶だな、親友、病院まで運んでやったのは誰だと思ってるんだ?」
( ・∀・)「病院……?」
( ・∀・)
(・∀・ )
( ・∀・)
言われて、周りを見回し気づいた。そういえば、ここは僕の部屋じゃない
薬品の臭いに真っ白のシーツ、カーテンで区切られた小さな部屋、隣には小型のテレビが設置されている
僕の部屋にテレビは置いていなかったはずだ
( ・∀・)「…………ここ、どこ?」
川;д川「び、美府市内の中央病院です、よ。モララーさん、公園近くの路地裏で、た、倒れてたんです……
覚えてないんですか?」
( ・∀・)「路地裏……」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:18:00.93 ID:xWrXFNNw0
爪'ー`)「貞子が倒れてるお前を見つけて、病院に連絡したんだよ」
川*д川
(;・∀・)「そうなんだ……、ありがとね、貞子さん」
ヾ川*д川ノシ、「いえっ……、と、とんでもないです! ただストー……あっ……
ち、ちょっと用があっておうちにお邪魔しようと思っただけなんで! えへへ……!」
爪'ー`)「さっきまで親友の母親もいたんだけどな、俺たちがいるって言ったら仕事があるからから任せるって、帰ってったぜ」
母さん、その無用心さはどうすれば治るんだ
(;-∀-)「母さん……こんな不審者に息子を任せるなんて……」
爪'ー`)「失敬な奴だな」
未だくらくらと揺れる脳みそを奮い立たせると、段々昨日のことがおぼろげながら蘇ってきた
コンビニ途中、突然現れた、"名無し"に取り付かれたクラスメイト
首にかかる縄に、絶望感と、死の恐怖
正体不明の通り魔、ジャック・ザ・スモーク
そして
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:18:57.94 ID:xWrXFNNw0
( ・∀・)「そういえば……僕の周りにドクオがいなかった? クラスメイトの」
川д川「モ、モララーくんに手を出そうとした全裸の変態なら、ぶ、豚箱にぶちこんでありますけど……」
(;・∀・)「あ、そう」
どうやらドクオは生きていているらしい(警察に捕まっているようだけど)
まぁ、あれは猥褻物陳列罪だからそれは仕方がない、というか個人的には出てこないでほしいとすら思う
そんなことより問題は、もう一人の方だ
( ・∀・)「なぁフォックス、僕はちょっとお前に聞きたいことがあるんだ……」
爪'ー`)「……親友、俺もお前に言いたいことがある」
(;・∀・)「えっ……!」
もしかして、こいつも知っているのだろうか、僕があの時、あの場所で、出会った通り魔のことを
ジャック・ザ・スモーク、最近噂の通り魔
真っ黒いコートにシルクハットという珍妙な格好だったが、その力はどう見ても人間のそれを越えていた
言葉一つで、ドクオは一瞬で地面に叩きつけられたのだ
あれはなんだ?あいつもまた、名無しさんの一人なのだろうか
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:20:11.94 ID:xWrXFNNw0
(;・∀・)「な、なんだよ」
爪;'д`)「ここ、禁煙だから外で話したらだめか? ……ヤニ切れだ」
( ・∀・)
懐から煙草を取り出して、僕の目の前パッケージを振って見せた
( ・∀・)「てめぇふざけんな」
この喫煙厨め
高校生って設定ならせめてその設定を通せバカ、期待させておいてそんな理由かよ
僕は真剣になってしまった自分がなんだか恥ずかしくなってしまったが
当の本人はそう気にしていないようだった
爪'ー`)「というわけで外行こうぜ外」
川;д川「ま、まてこの狐野朗、か、看護士さん呼んで異常がないか、み、見てもらわないと……」
爪'ー`)「……じゃあ先に外で待ってるわ」
( ・∀・)「お前肺の中真っ黒だろ、どんだけ餓えてるんだよ」
爪'ー`)「俺の肺は真っ白さ、煙でな。んじゃ」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:22:12.87 ID:xWrXFNNw0
そう言うと、フォックスは出ていった
友達甲斐のない男だ、いや、別に友達じゃない。どちらかといえば、ただのはた迷惑な男だ
川д川「あ、あの、652号室のモ、モララーくんですけど、め、目覚ましました……」
( -∀-)「……はぁ……」
隣ではナースコールで貞子さんが看護士を呼んでいる
多分数分もしないうちに看護士は医者も引き連れてやってくるだろう
恐らく、首を絞められたショックで気絶しただけなんだろうけど、やっぱり精密検査とかするんだろうか
ああ、嫌だ嫌だ
あいつと関わってから、僕の平和だった日常はどんどん非日常へと変化していってる
ただの隠れ2ちゃんねらであった僕が、巻き込まれてしまったのはあのスレを開いてからだろうか
そういえば、この騒動に巻き込まれてから、久しくVIPを見ていない
ひと段落したら、またスレ巡りでもしよう、今度は不用意に安価をとったりしないように……
川д川「モ、モ、モララーくん、お医者さんきました、よ」
( ・∀・)「うん」
早く帰ってくればいい、僕の平穏な日常が
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:23:13.34 ID:xWrXFNNw0
*
医師の判断によると、やはり僕はなんらかのショックにより気絶していただけ、と判断された
首に縄の痣があったので、大事があっては大変と昨日一晩は入院になったらしいが、今日中には退院できるらしい
えらく理由を聞かれたが、変質者の仕業ということで結局落ち着いた、落ち着いていいのかは別としてね
夕方には母さんがまた来るらしいので、それまでに荷物をまとめておくようにとのことらしい
まあそうは言っても、まとめておくような荷物なんてないのだけど
川*д川「大したことなくて、よ、よかったですねっ!」
( ・∀・)「うん」
川*д川。o(カーテンで区切られてるだけどはいえ、こ、個室の中、モララー君と二人きり……)
川*∩∩川。o(夢みたい! も、もっとお喋りとか……)
( ・∀・)「じゃあ、フォックスのところに行こうか、あいつに聞かなきゃいけないことがあるんだ」
川д川
川д川 ソウデスネ
ゴゴゴゴゴ
:川#д川:。o(き、狐野朗〜〜〜! いつか殺す! 呪い殺す! 骨も残してやらず呪う!)
ゾクッ
:(;・∀・):「?」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:25:14.38 ID:xWrXFNNw0
・
・
フォックスは、病院の中庭にある、白樺の木の下で、ひっそり煙草をふかしていた
生い茂った草木の中から、あいつの黒い髪が見え、ふんわりとしたチョコレートの香だけが、僕の方へと漂ってくる
僕はその背後に立って言う
( ・∀・)「ここは禁煙じゃないのか?」
爪'ー`)y「よう親友、来たか」
川д川「狐死ね」
爪'ー`)y「最近の世界は喫煙者に厳しいよなぁ……、それでもなくならないんだから
頭では良くないとわかっていても、人間は麻薬を止められないんだろうな
ていうか……死ねって貞子、お前」
川−川「…………」
( ・∀・)「貞子さん、どうかしたの?」
川*д川「なんでもないです!」
爪;'ー`)y「お前ね……」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:26:18.13 ID:xWrXFNNw0
正直、僕はこのフォックスの表情を変えられるのは、今のところ貞子さんしか知らない
本人達は不本意かもしれないけれど、この二人は結構お似合いのような気がする
川*д川「あ、モララーくん、喉か、渇きませんかっ?
わ、私、ちょっとジュース買ってきますね!モ、モララーくん、何がいいですか!?」
( ・∀・)「え、でも……」
爪'ー`)y「俺はQooのオレンジが良い」
川д川「狐野朗には聞いてない」
( ・∀・)「じゃあ、僕はCCレモン……」
川*д川「はいっ!」
そういうと、貞子さんは嬉しそうに、一目散へと自販機の方へと走っていった
黒いスカートを風に揺らしながら、どんどん小さくなっていく
いいのかな、……でも、また面倒な話になりそうだったし、丁度良かったのかもしれない
お金は後で払おう
爪'ー`)y「愛されてるな、親友、純愛純愛、結構結構」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:27:46.58 ID:xWrXFNNw0
フォックスは愉快そうにからからと笑った
(;・∀・)「う、うるさいな、それよりフォックス、僕はお前に聞きたいことがあって来たんだ」
爪'ー`)y「聞きたいこと? なんだ、美味しい肉じゃがの作り方か?」
( ・∀・)「茶化すな」
爪'ー`)y「冗談さ、親友の質問ならば、答えられる範囲で答えようじゃないか」
そこはなんでも答えよう、じゃないのかよ
フォックスは話しやすいよう僕に隣へ座るように促したが、僕は座らず、立ったまま問いかけた
( ・∀・)「"ジャック・ザ・スモーク"って、知ってるか?」
ふぅっと煙を吐き出す
爪'ー`)y「…………最近噂の"通り魔"ってやつか」
一筋の煙が棚引いて、そのまま消えていった
( ・∀・)「僕はずっと、その通り魔はお前だと思ってたよ」
爪'ー`)y「……残念ながら、そいつぁ俺じゃあないぜ、親友」
( ・∀・)「みたいだね、昨日会ってみて、そう思ったよ」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:28:46.42 ID:xWrXFNNw0
そこで、煙草を持つ手が不自然に止まった
フォックスは少し驚いたような顔で僕を見てくる
爪'ー`)y「会ったのか?」
( ・∀・)「ああ、遭遇した」
爪'ー`)y「殺されると思っただろう」
( ・∀・)「思ったとも」
爪'ー`)y「でも殺されなかったみたいだな」
( ・∀・)「今ココに生きているからね」
爪'ー`)y「そりゃあそうさ、だってあいつは、敵でも味方でもない
ただの"荒らし"だからな」
(;・∀・)「……は……?」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:30:09.73 ID:xWrXFNNw0
ネットをやっていると、誰しもが知っている、馴染みのある言葉が、フォックスの口から飛び出した
これは2ちゃんねるに限らず、インターネットを嗜む者なら、皆聞き覚えくらいあるだろう
それは、様々な意味で使われる
嵐、か荒らし、かわからないが、恐らくこいつらがいる世界の設定からして"荒らし"の方だ
ネット上において、正体不明の悪意を持った奴、場を荒らし、理不尽な言論や行為をしていく者のこと
総称して、"荒らし"と呼ばれる存在、そんな奴が
(;・∀・)「……僕は今まで、2ちゃんねるから現実世界に飛び出してくるのは"名無しさん"だけだと思っていたけど
荒らしも存在するのか?」
爪'ー`)y「"名無しさん"が現実世界にいけるのに、他にいる2ちゃんねるの住人が飛び出せない道理はないさ」
さもありなん、といった風に、煙を吹くが、こっちはそんな話初耳だ
(;・∀・)「ちょっと待てよ、2ちゃんねるに棲む奴って、一体どれだけいるんだよ!」
爪'ー`)y「そんなのこっちも把握しちゃあいないけどな、親友、人のいる数と同じくらいは、いるんじゃないのか」
(;・∀・)「おいおい……」
人のいる数って、どんだけ多いと思ってるんだ
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:33:28.29 ID:xWrXFNNw0
爪'ー`)y「人がいるから、俺たちは生まれる。人と同じくらいいるのは当然だろう」
(;-∀-)「お前の当然は、僕にとっての非常識だということを、漸く理解してきたよ」
爪-ー-)y「そうかい、そいつぁよかった」
まったくもってよくない
( ・∀・)「荒らしは、僕のことを叩き甲斐がないって言って、どこかに行っちゃったんだけど……」
まるでつまらないものを見るような視線を、僕はうっすらと覚えている
漫画で言うところの情けかとも思ったけど、それも違うように思えた
爪'ー`)y「あいつらは基本愉快犯だからな、変なテンションの奴を叩いたり、煽ったり
そういうことが好きなのさ。だからそういう奴意外はつまらないんだろ
ちなみに、対象は、2ちゃんねるの住人だ」
そのセリフに、僕はニュースキャスターの話を思い出した
( ・∀・)「! じゃ、じゃあ、ニュースでやっていた、今まで通り魔が襲った人に問いかけるっていうのは」
爪'ー`)y「わからんが、それ関連なのかもしれないな」
ニュースでやっていた通り魔の謎の問いかけ、それは未だに明らかになっていない
問いかけられた人間がショックのあまり答えられないからだ
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:34:49.01 ID:xWrXFNNw0
今思えば、名無しさんに乗っ取られているやつが、襲われていたのかもしれない
そうして、記憶が混乱する、被害者は何も話せない
そうやって考えると、なんだか説明がつく気がした
( ・∀・)「……煙のように消えるってニュースではやってたけど、それは?」
爪'ー`)y「俺は神様じゃあないのさ、親友、そこまではわからないよ」
( ・∀・)「そう、か」
そうだな、わからないことは、まだ沢山ある
なんてったって、僕は未だにお前のことすらまだよくわかってないんだから
なぁフォックス、お前は何者だ?
お前は強いけど、だったらお前一人で十分なのに、どうして僕を巻き込んだんだ?
何か他に理由があるのか?
( ・∀・)
( -∀-)
( ・∀・)
( ・∀・)「フォックス」
爪'ー`)y「なんだ」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:36:21.92 ID:xWrXFNNw0
僕の顔を見ずに、木にもたれかかったままのフォックス
その正面に座ると、無理やり視線を合わせた
これから、僕は少し恥ずかしいことを言うけど、こいつなら、まあ笑わずに聞いてはくれるだろう
( ・∀・)「ありがちなセリフだけど、言っていい?」
爪'ー`)y「ああ」
( ・∀・)「僕……強くなりたい」
爪'ー`)y「そうか……頑張れよ」
( ・∀・)
爪'ー`)y
( ・∀・)
爪'ー`)y
(;・∀・)「……それだけ?」
爪'ー`)y「ははは、どうした親友、生まれて初めて海を見た奴のような顔をして」
(;・∀・)「そっ、それだけぇえええ!?」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:37:49.99 ID:xWrXFNNw0
僕はてっきりこう「やっと、お前もやる気になってくれたか……!」みたいな、流れになって
修行モードとかに入ると思ったのに
でもフォックスはそんなの気にしない。ヤバイ、宇宙ヤバイ
大真面目に「強くなりたい……」とか言っちゃった僕が、なんだかすごい馬鹿みたいに思えてきた
(;・∀・)「な、なんだよ!暢気に煙草ふかしてんなよ!」
僕はフォックスがくわえている煙草を無理やり毟り取ると、彼の持っている携帯灰皿にこすりつけた
爪'ー`)「おい」
(;・∀・)「お前そこはもっと他に言うことがあるシーンだろっ! なんだ頑張れって! 誰でも言えるわそんなもん!」
爪'ー`)y「言っちゃあ、だめだったのか?」
(;・∀・)「ダメじゃないけど! ダメじゃないけど、他に言うことがあるだろ!」
爪'ー`)y「例えば?」
(;・∀・)「えっ? えーと……『わかった、強くなりたいんだな、覚悟はあるか?』とか……」
爪'ー`)y「……親友は漫画の読みすぎだ、現実と妄想の区別はつけよう、な?」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:39:50.56 ID:xWrXFNNw0
(;・∀・)「う、うるせえええーー!」
お前に言われたかないが、なんか急激に恥ずかしくなってきた
穴があったら入りたい、むしろもう出てきたくない、一生穴倉で暮らすよ僕は
赤くなる顔を両手で覆うと、時間を巻き戻す術を探した
もちろん、そんな術はない
( ∩∀∩)「なんだよーもー、ノれよ馬鹿野朗……」
爪'ー`)y「嘆くな親友、俺も漫画は嫌いじゃない、この間借りた漫画は楽しかったぜ」
( ∩∀∩)「今そういう話はしていない」
爪'ー`)y
( ∩∀∩)「殺されるかと」
爪'ー`)y「ん?」
( ・∀・)「……殺されるって、思ったんだよ」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:41:39.21 ID:xWrXFNNw0
近付いてくる、あの黒い影に、僕は何も出来ずに怯えていた
黒丸なんて役に立たない、いや、役に立たないのは僕の方だ
馬鹿みたいに震えて、越しぬかして、近付いてくる通り魔をマヌケ面で見ていたんだ
もう、あんなの御免だ
( ・∀・)「自分の身の安全くらい、守りたいじゃん……不純かな、動機」
掠れる様に呟くと、フォックスはそれは嬉しそうに笑った
爪'ー`)y「いいや、上出来だ」
懐からトレードマークを取り出して、僕にも吸うかどうか聞いてきたが、丁重にお断りさせていただいた
爪'ー`)y「だけどな親友、お前は人間だし、別に名無しにつかれてる訳でもないから、強くなるったって限界があるさ」
( ・∀・)「……うん」
爪'ー`)y「だから、黒丸を使え、今のそれはぬるぽで反応する槌にしかならないけどな
元々それはオールマイティに使える道具だ」
そこでふっと息を潜めて僕の腰を指差す
腰には、相変わらず、巾着に入ったままの黒丸がある
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:43:13.22 ID:xWrXFNNw0
爪'ー`)y「黒丸はお前の"言葉"に反応する、2ちゃんねるに関連する言葉を、言ってみろ
どういう効果が出るのか解らないが、きっとお前の力になるよ」
( ・∀・)「言葉……」
僕は巾着から黒丸を取り出した
あんなことがあったのに、輝きはまったく失われない黒の塊
その重さだけが、僕の中の小さな蝋燭に火をつける
川д川「モ、モララーくんっ……! ジュースか、買ってきたよ……!」
そのとき、タイミングよく、貞子さんが戻ってきた
一体何処まで買いに行ってたのか、やけに汗だくだ
川;д川「CCレモンおいてなかったから……こ、コンビニまで行っちゃった……!」
(;・∀・)「え!? ご、ごめん!」
川*д川「う、ううん、いいの……遅れてごめんねっ……えへへ」
爪'ー`)y「貞子、俺のは?」
川д川「ねーよ」
爪'ー`)y
川д川
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:44:15.26 ID:xWrXFNNw0
(;・∀・)「………………」
とりあえず、少しだけヒントは貰った
あとは、僕がこの黒丸を使いこなせるか、それが問題だ
( ・∀・)つ●
( -∀-)つ●
( ・∀・)(言葉、ね)
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:46:24.56 ID:xWrXFNNw0
*
翌日、そろそろ単位が本気でヤバイだろお前、と、母親に叱られた
というわけで、入院あけにも関わらず普通に学校に行かされる僕
( ・∀・)「……ksk、kwsk、ktkr、wktk……どれもこれも強くなりそうにはないよなあ」
学校へ続く坂道を行く途中、僕は昨日フォックスに教えてもらったことについて考えていた
地獄坂とも呼ばれる急な坂道、僕は自転車通学だけど、この坂道だけは自転車から降りて上っていく
正直、歩いた方が早いからだ
( ・∀・)「うーん……」
"2ちゃんねる"に関係する言葉、なんて星の数ほどある、でもその中から攻撃に使えそうな言葉となると……
もうギコも迎えに来ないし、今日は珍しくフォックスも家に来なかったので、久々に一人での登校
ブツブツ呟きながら歩いている僕は傍から見たらただの変な人だろう
(;-∀-)(大体爽やかな朝に2ちゃんねるのことしか考えていない僕って一体……)
どう考えても健全な男子高校生として間違えてるよなあ……
「あ、も、モララーくんっ!」
( ・∀・)「ん」
川*д川「お、お早うございますっ!」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:49:22.88 ID:xWrXFNNw0
その時、後方から貞子さんが、制服を翻して僕の方へと走ってきた
一体何処から走ってきたのか、肩が激しく上下している
( ・∀・)「お早う、いい天気だね」
川*д川「は、はいっ、そうですねっ!」
妙なテンションの高さで、貞子さんは僕の隣に並んだ
そういえば、こうやって女の子と並んで歩くのは少し久しぶりのような気がした
前はよくデレとかつーが話しかけてきたから一緒に歩いたりしたけど、今はもう誰も話しかけてくれないからなあ
(;-∀-)。o(いかん、なんかしんみりしてきた、話題を変えて……)
川*д川。o(夢にまで見た、い、一緒に登校……! 神様ありがとう……!)
(;・∀・)「あ、そういえば、貞子さん」
川*д川「は、はいっ!?」
( ・∀・)「貞子さんは、2ちゃんねるを見るんだっけ」
名無しさんに取り付かれる人間が必ずしも2ちゃんねるを見ているかどうかはわからないけど
逆に操ってしまうくらいなんだから、見てはいるのだろう
そう思って、僕は貞子さんにも意見を仰いで見ることにした
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:51:51.10 ID:xWrXFNNw0
川*д川「あ、はい、私はオカ板専門なんですけど……」
( ・∀・)「じゃあさ、2ちゃんねる関連で、何かいい言葉ないかな?」
川д川「い、いい言葉、ですか?」
(;・∀・)「うん、そう、いや、なんかこう……強そうなの」
僕の質問に、貞子さんは少し考える。よくよく考えれば不審者丸出しの質問だけど
貞子さんならある程度汲んでくれるだろう
それから彼女は思いついたように人差し指を空へと向かって掲げた
川д川「じゃ、じゃあえっと……"ブラクラ"とか」
( ・∀・)「おー!」
成る程、確かにそれはちょっといいかもしれない
怖そうだしね、ブラクラ、ブラクラ、ちょっとメモしておこう、これはいいことを聞いたかもしれない
( ・∀・)「ありがと!」
川д川
川*д川「う、ううん……!えへへ……」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:53:43.67 ID:xWrXFNNw0
そのとき、学校の方からチャイムの音が響いた
ああ、しまった、のんびり歩いてたら遅刻する
僕は自転車を力強く押すと貞子さんにも声をかけ走り出す
(;・∀・)「急ごう! 貞子さん!」
川д川
川*д川「はいぃい!!」
川*д川。o(キャーー! キャーー! 幸せすぎる!)
チャイムがなる中、僕達は二人で走っていく
そういえば、今日はフォックスの姿を見ていないなあ
あいつ、一体今頃なにしてるんだろ
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:55:35.92 ID:xWrXFNNw0
・
・
教室に着くと、HRは終わってしまったものの、授業にはなんとか間に合ったらしく
まだざわついている教室の中にこっそり潜り込んで、僕は自分の席に着いた
周囲は騒がしいのに、僕のところだけは静かで、まるで空間が切り離されて閉まったかのような感覚をうけることがある
「でさー、言ってやったわけよ」( ,,゚Д゚) ζ(゚ー゚*ζ「マジでぇー」
(*゚∀゚)「オレ様もそう思ったんだよ!だからやってやってさー」
「あはははははは!」
( ・∀・)「…………」
教室の一角では、ギコ達が楽しそうに話していた
でも、僕はもうあの輪の中には入れない、そう思ったら無性に悲しくなってきた
( -∀-)
でも、逆にこんなことで簡単に壊れる友情なら、とっとと壊れてしまったほうがよかったのかもしれない
毎朝毎朝、僕はそうやって自分を納得させている
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 16:57:52.94 ID:xWrXFNNw0
( ・∀・)「…………」
今は昔みたいに酷く苛められてはいないものの、空気のような存在だ
いてもいなくても、変わらない
そんな存在
( ・∀・)(ドクオは休みか)
教卓の前の方にやると、彼の机は空席だった。当たり前だ、今は留置所にいるはずなんだから
貞子さんが、僕とは少し離れた席に座る
第一印象があれだっただけに、少し怖いとも思うけど
彼女が話してくれることだけが、この教室内では僕にとっての救いだ
ハハ ロ -ロ)ハ「はーい、これから授業を始めるから、皆座ってクダサーイ」
英語教師のハロー先生が教室に入ってきた
騒いでいた生徒もまばらになり、全員が椅子に座ると、日直が英語で挨拶する
「グッモーニン」
「「「「グッモーニン」」」」
どうでもいいけど、この英語のやり取り、皆棒読みだよね
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 17:00:31.78 ID:xWrXFNNw0
ハハ ロ -ロ)ハ「ハロー皆さん、突然ですが、今日は小テストを行いマース」
ざわ ざわ
「えー」 「抜き打ちかよー」
ざわ ざわ
「やべえ、勉強してねぇwww」 「マジ0点確実なんだけど!」
ざわ
「成績に関係するのこれ?」
ハハ#ロ -ロ)ハ「シャラップシャラップ! 静かにしなさーい!」
ハハ ロ -ロ)ハ「ちゃんと授業聞いてたらイエローモンキーでも楽に解けマース。
前の人にプリント渡すから、順々に配っていってくださいネー」
前のほうに先生からプリントが配られると、すぐに後ろの席にいる僕の方までプリントが回ってくる
周りからはまだ少しざわついた声が聞こえた
馬鹿だな皆、普段から勉強していればそんなに慌てることもないのに
僕は美形で頭もいいから、こんなのなんてことはない
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 17:05:26.65 ID:xWrXFNNw0
ハハ ロ -ロ)ハ「では、始めてくだサーイ!」
( ・∀・)「…………」
案の定、それは結構簡単なテストで、ただ単語の意味を言うだけだったり
軽い文を作る程度の問題だった
僕はあっという間に書き終ってしまうが、テスト終了までまだ時間はあるようだ
( ・∀・)。o(そうだ)
僕は、昼間貞子さんに教えてもらったブラクラ文字を、テスト用紙裏に書き込んだ
( ・∀・)。o(メモ帳代わりに丁度いい)
どうせ回収するにしても、ハロー先生は外国の人だし
それに機械に物凄く疎い人だから、2ちゃんねるなんて知らないだろう
( -∀-)。o(ブラクラ、ksk、う〜ん……どうしてこうなった?いやいや……)
( ・∀・)。o(長門可愛いよ長門、けいおん!……これは別に関係ないか……)
( ・∀・)。o(それにしても、これ他の人に見られたら大変だなwwまあ、僕のことにはもう
皆興味ないか)
ハハ ロ -ロ)ハ「ハイ、時間はここまでデース!それじゃあ隣の人と交換して、丸付けシマショー!」
( ・∀・)
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 17:11:07.78 ID:xWrXFNNw0
(;・∀・)。o(えぇええええええええええええええええ!!)
とんでもないことを言い出したよあの英語教師!
ハロー先生は、普段誰かに丸を付けさせないし、付けさせるとしても本人にしかやらせないのに
どうして今日に限って『隣の席の人』と交換なんだよ
どうしてこうなった!どうしてこうなった!
頭の中で例のAAが踊り狂う
(;・∀・)。o(け、消さなきゃ!)
慌てて消しゴムを握ったが、時すでに遅し
「おい、モララー」
(;・∀・)「!」
( ФωФ)「早くよこすのである」
やけに大柄な男が、むっとした表情で手を差し出してきた
(;・∀・)。o(うわぁああ!よりによって、めちゃくちゃ真面目な委員長……!)
休み時間も勉強しているタイプの杉浦ロマネスクが、どうして隣にいるんだ
いや、いてもいいんだけど、こいつ絶対見て見ぬふりとかしないからなぁ
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 17:14:36.42 ID:xWrXFNNw0
( ФωФ)「持ってくぞ、お前も我輩の奴丸付けしろ」
(;・∀・)「あぁっ!」
( ФωФ)「なんだ」
(;・∀・)「い、いや、なんでもないよ……」
うわあ〜〜、最悪だ……こいつ絶対「おい、なんだこの裏に書いてるあずにゃんとは」とか言ってくるよ……
もう終わった
このクラスにはオタクもいるし、あずにゃんとか言われたら絶対解るやつは解るよ……
オワタオワタ、はいはい僕の学園生活、前よりもさらに終了です
(;-∀-)「はぁ……」
( ФωФ)「…………」
( ФωФ)「おい」
( う∀・)「……何?」
( ФωФ)「終わったぞ、採点、満点だ」
( ・∀・)「えっ」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 17:19:19.07 ID:xWrXFNNw0
しかし意外にも杉浦はテスト用紙の裏に書いてある単語もろもろに突っ込んでくることはなかった
ただ訝しげな表情をして僕に答案を返してくるだけだ
( ФωФ)「なんだ、いつも満点であろう、どうせ」
( ・∀・)「いや、うん、そうなんだけど……」
( ФωФ)「嫌味なやつである」
( ・∀・)「…………」
( ФωФ)「というより貴様、我輩の答案採点しろ、放置するな」
(;・∀・)「あっ、うん、ごめん!」
言われて慌てて取り掛かる
彼もいつも勉強しているだけあって、答案用紙が次々と丸で埋まっていった
……結局、彼も僕と同じく満点だ
( ・∀・)「……満点」
( ФωФ)=3「当然である」
満足げに、杉浦は僕が差し出した答案用紙をうけとった
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 17:26:30.81 ID:xWrXFNNw0
ハハ ロ -ロ)ハ「ハーイ、皆さん、採点は終わりまーしたかー? 点数の悪いイエローモンキーは廊下に立ってなサーイ!
それでは、授業を再開しマース!」
( ・∀・)「…………」
ハロー先生と答え合わせが終わると、授業は何事もなかったかのように通常授業へと戻っていった
僕は正直拍子抜けして、テストの答案用紙を見やる
どう見ても2ちゃんねらです、そしてどう見てもアニオタです、本当に(ryと言った感じの落書きが
テストの答案用紙の裏には書かれていた
( ・∀・)。o(見ないふりしてくれたんだろうか……)
生真面目な委員長の優しさかとも思ったが、僕は自分の答案用紙の片隅にある一文を見つけて
その身を強張らせた
( ・∀・)「え」
『我輩もアニメは大好きである! 2ちゃんねらならば、当然である ロマロマ』
(;・∀・)「えぇえぇぇええ!」
ハハ#ロ -ロ)ハ「ミスターモララー!シャラップ!」
(;・∀・)「す、すみません!」
僕は慌てて杉浦の方に目をやった
彼は猫目をチェシャ猫のように細めて、うっそりと笑うだけだ
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/03(土) 17:27:30.08 ID:xWrXFNNw0
………………マジで?
( ФωФ)
(;・∀・)
僕の非日常は、どうやらどんどん侵食されているらしい
ああ、もういい加減にしてくれ
第四話 終わり
- 62 名前:おまけの人物紹介 投稿日:2009/10/03(土) 17:28:11.66 ID:xWrXFNNw0
( ・∀・):モララー
本作の主人公
昔いじめを受けたトラウマから、2ちゃんねらーであることをひた隠しにしている高校生
重度のナルシストの為、顔を傷つけられると切れる
内面はいじめられっ子を脱出しきれてない、現在黒丸のことについて勉強中
爪'ー`)y:フォックス
長身、煙草を常にくわえている、見た目は単なる高校生
だがその正体は実は電脳世界2ちゃんねるの住人
ひろゆきの命令で現実世界に現れる"名無しさん"を退治しているが、内心反乱を目論んでいる
モララーの自称親友、騒動に巻き込んだ原因
川д川:貞子
モララーのクラスメイト
"本当は怖い名無しさん"を体内に取り込んでおり、オカルト系の能力を使えるが
現在その能力はフォックスの規制により使えない
一年の頃からモララーのことを想っており、その行動はストーカー気質のヤンデレ体質
('A`):ドクオ
名無しの毒男に乗っ取られた哀れな男、モララーのクラスメイト
イケメンにコンプレックスを抱いている。現在留置所
( ):ジャック・ザ・スモーク
最近巷で噂の通り魔、煙のように消えてしまうことからその名前が付けられた
正体は荒らしの愉快犯?詳しいことは不明
- 67 名前:おまけの人物紹介 投稿日:2009/10/03(土) 17:33:49.02 ID:xWrXFNNw0
( ,,゚Д゚):ギコ
モララーの元友人
些細なことをきっかけに喧嘩
( ФωФ):杉浦ロマネスク
モララーのクラスの委員長
2ちゃんねら?
川 ゚ -゚):素直クール
フォックスの姉、詳細不明
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