( ・∀・)は隠れ2ちゃんねらのようです

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:12:40.36 ID:shLk2P6S0





番外編その一  とある場所の、とある人たちの話




6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:13:53.39 ID:shLk2P6S0

其処はすでに廃校となった学校の一角
使われなくなってからどれだけの歳月が過ぎたのか、腐食している机や床は今にも崩れ落ちそうだ

その中に、三つの影が不気味に伸びていた

夕日も沈みかけた逢魔ヶ刻
腐りかけの椅子に座る三人の男女が、その場にそぐわぬ出で立ちで談笑している
いや、談笑というには些か殺伐としていたが

まず、教卓前に座っている女が大きく伸びをする


('、`*川「……ああ、退屈ったら退屈、退屈すぎて私のハートが凍えそう、そう思わない?」


年のころは二十代前半あたりだろうか、赤のカーディガンに長めの黒髪の女が言った
目元にある泣き黒子がなんともいえない色香を漂わせている

間延びしたその声に対するようにして答えたのは、彼女の斜め後ろに座る男だった


( <●><●>)「思いません、例えそれが事実だとしても、私にはなんの関係もないことですから」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:14:54.00 ID:shLk2P6S0

黒いパーカーを着込み、フードを目深に被る彼の表情は伺い辛いが
そのフードの中から覗く瞳だけが異様にギラギラと輝いていた
まるで餓えた獣のように

彼は手に持つ知恵の輪を動かしながら、どうでも良さそうに呟いた


从'ー'从「ふふっ、でも確かに最近面白いことがないよねぇ〜」


男の声に反応するようにして笑ったのは、彼の隣に座る女だった
その姿は他の二人とは異なり、エプロン姿の可愛らしい格好だ

年齢は不明だが、唇に塗ったピンクの紅にそっと指を這わせると、酷く妖艶に笑う

('、`*川「あら渡辺、アンタもそう思う?」

从'ー'从「うん、だって最近つまらないもん〜」

( <●><●>)「………………」

薄い笑い声
赤く照らされた教室に、そんな声だけが響く

旧校舎の外で、カァ、と一声烏が鳴いた

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:15:44.91 ID:shLk2P6S0

('、`*川「ワカッテマスも、興味ない素振り見せといて、実は退屈なんでしょう」

( <●><●>)「……別に」

('、`*川「あらぁ、嘘ついたってだぁめよ、ペニサスお姉さんはすべてわかっているの
     戦いに餓える男の子って素敵よ」

( <●><●>)「貴女の趣味に付き合うつもりはありません」

('、`*川「言うじゃない、馬鹿みたいに知恵の輪弄繰り回して、この猟奇系男子」

( <●><●>)「…………残飯系女子」

('、`*川「殺すわよ」

从'ー'从「うふふ〜、喧嘩はだめだよ、なんて言わないけど〜、お客さんだよ?」

鈴の鳴るような声で渡辺、と呼ばれた女性が笑った
彼女が指し示したその先には、崩れかけの扉

そして、その扉の向こうには一人の男が立っていた

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:17:32.62 ID:shLk2P6S0


(  ゚∀゚ )「ヒャァアヒャ……見つけたぁ……こんなところに隠れていたんだぁ……」


目を血走らせ、手元には鈍色に輝く包丁を持ちながら

口から涎を垂らしつつ、ゆっくりと男は歩いてくる
常人が見たのならばすぐさま逃げ出す、或いは関わりたくないであろう彼の姿に、三人は特に慌てる様子もない

それどころか当たり前のように彼らは会話を続けるのだ

('、`*川「誰あれ、渡辺の友達?」

从'ー'从「ん〜〜ん〜〜、知らない子〜」

('、`*川「ふぅん、顔はイマイチね」

( <●><●>)「…………」

('、`*川「あら、なによワカッテマス」

ワカッテマスと呼ばれた男が、知恵の輪を机の上に置くと、ゆっくり立ち上がった
ゆらゆらと揺れ動くその姿は、陽炎にも似ていた

( <●><●>)「……………………ふふっ」

小さく漏れたその声を聞き、立ち上がったその姿を見、女性陣二人は軽くため息を吐く

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:22:36.44 ID:shLk2P6S0

(( < >< >)) ユラァ

(  ゚∀゚ )「ヒャァハハハ……なんだよ、お前がやんのかあ……? 俺はぁ、刃物板の名無しさん
       お前らを狩りにきたぜぇ」

男は意気揚々と喋り出すが、対するワカッテマスは何も答えず
ただゆっくりと男に近寄っていく

それを遠巻きに見る女性陣は、あまり興味もないようだ

(-、-*川「う〜〜ん……」

从'ー'从「どうしたの〜? ペニサスちゃん」

('、`*川「ちょっとだけ残念だと思ってね、まだ萌えてもいないのに」

从'ー'从「うふふっ、ペニサスちゃんはそればっかり〜」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:23:40.21 ID:shLk2P6S0


(  ゚∀゚ )「お前らを切り刻んで切り刻んで名を上げてやるぜぇ!アヒャハ……」

ブツブツ……
( < >< >)「あぁ……これだから嫌いなんです……汚らわしい生ゴミが……こんな奴は生かしても殺してもゴミになる
       良くないことですね、私はとても世界を愛しているというのに、こんな生ゴミが
       蔓延っているなんて、最悪、そう、最悪だ……良くないですね、実に良くないことです
       粛清しなければ、こういう輩は拷問して、嬲って、殺さず生かさず……」

(; ゚∀゚ )「? アァ? 何言ってんだお前……おい、聞いてるのか!」



( <○><●>)「虐待して、あげましょう」




(  ゚∀゚ )「っ あ」



にぃ、と口元が残虐に笑んだ

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:24:51.79 ID:shLk2P6S0



嫌な匂いが充満している
ペニサスが顔を顰めて窓を開けると、すでに陽は沈み、星が夜の空間に散らばっていた
一見すれば美しい夜空も、後ろの光景を見てしまえば興ざめなので、やはり彼女はため息をつく

('、`*川「……私、あんたの顔は嫌いじゃないけど、あんたのそれは、好きじゃないわ」

( <●><●>)「理解されようとは思っていません」

(  ゚∀。 )「あっぁ゛ーあ゛ーー」

从'ー'从「今日は肉料理にしようかなあ」

('、`*川「付き合ってられないっつーの」

先ほど現れた男の四肢はすでに断絶され、切り離された腕はそこいらじゅうに細切れとなって散らばっていた

从'ー'从「ハンバーグ、ん〜……メンチカツにしようかなぁ〜」

('、`*川「ちょっとぉ、食欲なくなるようなこと言わないでよ!」

歯は一本残らず抜かれ、目もすでに視力を失っているのだろう
光を失った瞳は何処も見てはいなかった
しかし事切れてはいない、ただ無理やり生かされているのだ、彼の手によって

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:26:36.30 ID:shLk2P6S0

男は馬鹿みたいに笑い、ワカッテマスはそれを楽しげな表情で眺めていた
渡辺はその光景をノートに書き記している

まったくもって狂った光景だ

('、`*川「もー、この異常者共め! でもそんな達磨も萌えるっちゃあ萌えるかもね」

( <●><●>)「あなたの方がよっぽど異常ですって」

散らばった腕の一つを振り回して、ワカッテマスが言う
渡辺がそんなやり取りを聞いてまた笑う

そんな中、再び教室の扉が開いた

('、`*川「……またぁ? 今日はよくよく、お客さんの多い日よね」

( <●><●>)「………………ふふ」

从'ー'从「あ〜高校生だぁ〜」

渡辺が、入ってきた人物を見て、軽やかに指を指した
ワカッテマスは相変わらず知恵の輪で遊んでいる

ペニサスだけがご機嫌に口元を綻ばせた

('、`*川「あら、いい男」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:27:53.29 ID:shLk2P6S0



爪'ー`)y「……こんばんは、夜分遅くにすみません」




現れた長身の男は、にこやかに挨拶をすると、恭しく頭を下げた
煙草の煙だけが、暗闇に溶けていく



番外編その一 とある場所の、とある人たちの話

                      終わり

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:30:19.91 ID:shLk2P6S0


            「"ジャック・ザ・スモーク"って、知ってるか?」
   
 「そりゃあそうさ、だってあいつは、敵でも味方でもない、ただの"荒らし"だからな」

       「人がいるから、俺たちは生まれる。人と同じくらいいるのは当然だろう」

     「僕……強くなりたい」  「終わったぞ、採点、満点だ」

                
  『我輩もアニメは大好きである! 2ちゃんねらならば、当然である ロマロマ』


( ・∀・)

( ФωФ)

( ・∀・)

( ФωФ)

(;・∀・)。o(……な、なんだこの状況……!)

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:32:13.73 ID:shLk2P6S0







     ( ・∀・)は隠れ2ちゃんねらのようです





26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:33:07.35 ID:shLk2P6S0


僕のクラスの委員長、杉浦ロマネスクは酷く堅物の真面目な人間で
成績は常にトップクラス、教師からの評判はいいが、あまりとっつき易い人物ではない、と評判の男だった

だった、と過去形なのは、今まさに彼の印象が変わってしまいそうだからだ

( ・∀・)「す、杉浦……」

( ФωФ)「なんであるか、モララー」

(;・∀・)。o(な、名前呼び? なんかもうこいつの中で僕の好感度が上がってでもいるのか!?)

(;・∀・)「い、いや、なんでもない……」

( ФωФ)「そうか」

元々、僕と杉浦は仲が良い訳でもなんでもない
それは当然といえば当然で、誰であれ学校という一つのコミュニティの中では皆グループを持って行動したがるものだ

もちろん、そのグループに属さない、いわゆる『ぼっち』も存在するのだけど
以前の僕は例に漏れず、グループで行動していた

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:35:16.36 ID:shLk2P6S0

その頃僕が所属していたのは、ギコやデレがいる男女混合のいわゆる"リア充グループ"
そして、彼、杉浦が属していたのは、どちらかといえばぼっち系にも近いが、そんなぼっち達が集まるちょっとした
"余り者グループ"だ

別名、修学旅行とかで余った奴らが形成されるようなグループ
要は変わり者だ


( ・∀・)。o(今となっては僕もぼっちだけどさ……)


そんな僕達だから、話すことなんて滅多にない
むしろ、これが初めてかもしれないというくらいだ

四時間目も終わり、僕達は今、教室内で参考書片手に話している最中だ
傍目からは勉強しているように見えるだろう、もう昼飯の時間だっていうのに……

(;・∀・)「………………」

( ФωФ)「………………」

(;・∀・)。o(なんで僕こいつと参考書見てんの)

こんな状況に誰がした!と嘆いても始まらないし杉浦は何も言わない
こうしていては埒があかないので、僕はノートの切れ端にメッセージを残して杉浦へと渡した

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:36:41.16 ID:shLk2P6S0

  『 さっきのプリントの裏に書いてたことだけど…… (・∀・)』

( ФωФ)「モララー」

( ・∀・)「え、な、何」

( ФωФ)「チャイムはもう鳴っているのである、飯でも食おうではないか」

(;・∀・)「あっえと」

確かに、チャイムはさっき鳴ったし
皆それぞれいつもの定位置に行き食事に入ってるけど

( ФωФ)「それとも誰かと一緒に食べる約束でもあるか、タバコとか」

(;・∀・)「いや、あいつ今日いないし……行こうか」

そういえば、今日はタバコを見ていない
3時間目の休み時間にあいつのクラスを見に行ったところ、休みだって聞いた
珍しいこともあるもんだ

川д川「モ、モララーくん!」

( ・∀・)「あ、貞子さん」

川*д川「お弁当、作ってきたの……い、い、一緒に食べ、ないかな?」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:38:16.02 ID:shLk2P6S0

恥ずかしそうに差し出してきたのは、やはり重箱だった
彼女の作るお弁当は美味しいけれど、量がすごい

川*д川。o(今日は忌々しい狐野朗もいないし! チャンスチャンスチャーンス! ヒャッホー!)

( ・∀・)「えっと……」

( ФωФ)

(;・∀・)。o(僕がアニオタだってわかったら、貞子さんも流石に引くよなあ、っていうか普通なら引くもんなあ)

これから話すであろう内容を考えて僕は頭を振った

(;・∀・)「ごめん、今日お弁当あるから、また今度……」

せっかく作ってきてもらって申し訳ないけど、ちょっと二人で話すことにしよう
あの2ちゃんねらって言葉も気になる

川д川

川д川 ソウデスカ

( ・∀・)「行こうか、杉浦」

( ФωФ)「うむ」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:39:20.56 ID:shLk2P6S0

川д川

川д川

川#д川


 ノロウノロウ
:川#゚д川:。o(あの猫目野朗〜〜! 狐野朗と同じく殺すリストにつ、追加! 覚えてろ〜!)
    ノノ〜〜

ゾゾゾオ
:(;ФωФ):「?」



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:42:26.98 ID:shLk2P6S0






学校の屋上へ向かう階段に座ると、僕達はそれぞれ持ってきたお弁当を広げる
流石に真面目な委員長の前で屋上に入るわけにもいかないし、そもそもあれはフォックスがいないと出来ないことだ

僕は母さんが作ってくれたお弁当を広げて箸を持った
今日のメニューはエビフライにホウレン草のおひたし
玉子焼きにハンペンにチーズを挟んで焼いたもの、僕の好物だ

白米に鮭のふりかけをかけながら、隣に座る杉浦へと話しかける

( ・∀・)「杉浦とこうして話すのは初めてだな」

( ФωФ)「ああ」

( ・∀・)「…………」

( ФωФ)「…………」

( ・∀・)「お弁当、そうめんなんだ」

( ФωФ)「母親の手抜きである」

( ・∀・)「そっか」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:43:41.92 ID:shLk2P6S0

ペロッ……こ、これは……気まずいってレベルじゃない!
そもそも水筒にめんつゆ入れて持ってくる奴とどう会話すればいいんだよ
特に共通の話題もないのに、会話が弾むはずもないじゃないか

僕はとっとと先程のプリントに書かれたメッセージについて切り出した
ここなら他の生徒達もいないから、存分に話せる


( ・∀・)「なあ、さっきのプリントの裏に書いてたやつの話だけど……」

( ФωФ)「ああ、隠していたが、実は我輩、オタクなのだ……アニメとか超好き」

( ・∀・)

( ФωФ)

えっ、そんなにあっさりカミングアウトしちゃうの

( ・∀・)「えっと……そうなんだ……」

( ФωФ)「モララーもそうであろう」

( ・∀・)「えっ」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:45:46.17 ID:shLk2P6S0

( ФωФ)「アニメとか漫画とか、好きであろう」

( ・∀・)「………………」

(;・∀・)「すっ、好きじゃないし!」

(#ФωФ)「嘘だっ!!!!」

レ、レナ乙!
いや、そうじゃない、そうじゃなくて……!

(;・∀・)

頭の中でトラウマが蘇ってくる

オタクといじめられた薄暗い過去、鞄の中にフィギュア入れてて悪かったな!好きなんだから仕方ないだろ!
うわあああん!やめろよ!痛い!なんで机がこんな……教科書も……僕は別に悪いことなんてしてないのに
ただ気持ち悪いって理由でだけでこんな風なことされるなんて嫌だ!

(;・∀・)

もしまたクラスの連中にバレたらどうなるの?アニメが好きなオタク野朗ってバレたらどうなるの?
このぼっち状態から今度はいじめに発展するの?
そんなの絶対っっ……に!嫌だ!

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:47:16.22 ID:shLk2P6S0

(;・∀・)「う、嘘じゃない!僕はアニメも漫画もまったく興味がないね! 見たことないし」

( ФωФ)「本当のリア充なら、必死にアニメや漫画を見たことないアピールなんてしないのである」

(;・∀・)「うっ、いや、ちょっとは読むよ、ワンピとか、NANAとかリアルとか……!」

( ФωФ)「そんな誤魔化し、我輩には通用しないのである、プリントの裏に書かれたあずにゃんやらこなた萌え
      やら長門は俺の嫁とか、果てはちょっとマイナーアニメのキャラの名前までしっかり書かれていたのである
       一般人なら引くレベル」

(;・∀・)「違う!あれはあの、弟が最近ハマってて」

( ФωФ)「お前弟いないじゃんである」

(;・∀・)「最近出来たんだよ!」

( ФωФ)「何その複雑な家庭事情、嘘こけ」

(;・∀・)「ううっ……」

なんでこいつこんな執拗なの? なんなの? バカなの? ちょっと殴りたくなってきた
だけど杉浦って無駄に図体でかいから強そうで嫌だ

ちくしょう、最近の僕こんなんばっかり

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:48:22.78 ID:shLk2P6S0

(;・∀・)「かっ、仮に僕がアニメオタクだったとしても、それがどうした」

( ФωФ)「む?」

(;・∀・)「かんけーないじゃん! かんけーないじゃん! 杉浦には!」

( ФωФ)「いや、まぁ我輩も隠れオタクだし、萌え語りとかしたかったんだが、まぁそれは別として……」

(*・∀・)「えっ」

萌え語り?

リアルの友達と萌えを語るという甘美な言葉に僕の心は少しだけぐらついた
だって、今までネットの中でしかそんな話はしたことがないし、現実にいるそういう話ができそうな奴らは
明らかに僕らのグループとは相容れない感じだった

委員長は真面目に見えるけどオタクっぽさはそんなにないし、むしろ体格的には体育会系だから
そんな話を僕らがするとは皆思わないだろう
なら、隠れてこっそり萌えを話すのもいいかもしれない

僕だって、できるなら現実の友達と萌えを語り合ったりイベントで本買ったりしてみたいさ

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:49:05.14 ID:shLk2P6S0

(*・∀・)「萌え語りか……」

( ФωФ)「今ちょっと喜んだであろう」

(;・∀・)「よっ、喜んでない」

こいつ勘するどくて、なんか怖い

( ФωФ)「まぁそれは後でいいのである、それよりモララー」

(;・∀・)「なっ、なんだよ……」

( ФωФ)「一つ聞きたいのだが、お前」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:50:34.60 ID:shLk2P6S0






( ФωФ)「実は隠れ2ちゃんねらであろう?」






45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:51:34.24 ID:shLk2P6S0

( ・∀・)

( ФωФ)

(;・∀・)「に、2ちゃんねるのことー? う〜ん、み、き、聞いたことはあるけどー……」

往生際悪く、僕がごまかしに掛かろうとしたところで、杉浦は僕の腰へと手を伸ばした
あ、という暇もなく、僕の腰にかけられていた巾着は奪い取られる

(;・∀・)「わっ……」

ベルトにきちんと括りつけていたはずなのに、いとも簡単にそれは抜き取られた

(;・∀・)「ちょっ!」

( ФωФ)「そういう現実的な話ではなくて、これ、黒丸であろう」
  つ●

(;・∀・)「な、なんで……!」

届かないところに持ち上げられた黒丸は、相変わらず鈍い輝きを放っていた

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:54:42.67 ID:shLk2P6S0

( ФωФ)「なんで知っているかって? 簡単である、我輩も2ちゃんねらであるからな!」

効果音でもつきそうないい笑顔で、杉浦は言った

(;・∀・)「はぁっ……!?」

( ФωФ)「と、言っても、まぁ名無しさんの力を有しているだけの状況であるが
       それでもそこいらの名無し程度には負けん自信があるのである」

(;・∀・)「お……おいおい」

簡単に言ってくれるけど、僕には結構、衝撃的な展開の連続だ、どのくらいの衝撃かっていうと
カイジの遠藤が映画で女になったくらいの衝撃だ
相変わらず、唐突にやってくる非日常はいつだって僕の予想を裏切る

(;・∀・)「お前……まさか……」

しかしこの展開はまずい、だって名無しさんは基本的に僕の敵だから
ドクオのように命を狙ってくるとしか思えない
今までの経験上、名無しさん=僕の生命を脅かすの方程式が成り上がりつつある

(;・∀・)「まさか……!」

貞子さんみたいな例外もあるけれど、彼女だって最初は僕を殺そうとしたし、それに今はフォックスに
能力を規制されているし

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:56:27.67 ID:shLk2P6S0

おまけに、どうしてロマネスクが僕を2ちゃんねら、つまり妙な能力の持ち主だって気づいたかが問題……


(;・∀・)「…………!」

   爪'ー`)y『それは俺の特製でね、普通の人間には見えないんだ』
 
そこまで考えて、僕は思い出した
この黒丸は、"そういう関係の奴ら"にしか見えないってことを

(;・∀・)。o(め、目立たないのは良くても、諸刃の剣じゃねーか!)

今まで襲われてきたのが、これのせいだったとしたら、自分のアホさ加減に眩暈がするところだ

(;・∀・)「こ、殺すのか! 僕を!」

( ФωФ)「えっ、なんで? 怖っ」

(;・∀・)「えっ!?」

( ФωФ)「えっ!」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 22:57:59.14 ID:shLk2P6S0

(;・∀・)「…………こ、殺さないの?」

(;ФωФ)「なんだお前、自殺志願者であるか? 予想外である」

(;・∀・)「ち、ちげーよ! そんなんじゃねーよ!」

( ФωФ)「じゃあなぜそんなことを……もう自殺志願者としか考えられない……」

(;・∀・)「狭いな視界が! もうちょっと考え広げろよ!」

( ФωФ)「我輩、面倒なことは基本的に嫌いである」
  つ川

(;・∀・)「………………」

そうめんを啜りながら、暢気に杉浦は答えた
どうやら、今こいつに僕を殺す気はないようだ

それどころか、やたら友好的。何、こののほほんとした空気?
この間の殺伐とした展開とは全くの逆で、僕は少し拍子抜けだ

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:00:31.82 ID:shLk2P6S0

( ФωФ)「我輩、普段はアニメ板にいる、"風の谷の名無しさん"であるよ」
  つ川

その姿に毒気を抜かれた僕は、放置してあったお弁当に手を付け始めた
こんがりと焼き色のついたチーズとハムいりのはんぺんを口に含むと、柔らかい感触が口中に広がった
ジューシーなハムの肉汁と、チーズの塩気が丁度良く混ざり合い、口の中で溶けていく

(;・〜・)「唐突な自己紹介だなおい」
 つ□

( ФωФ)「最近名無しさんを取り込んだばかりなのであるが、まぁその辺のことは後で話すのである」
  つニ

( ・∀・)「ほぉ」
 つ□と

そこは結構無視しちゃいけないところだとは思うんだけど、まぁこいつがいいってんなら無視しておこう

( ФωФ)「実は、モララーに接触したのには、アニメのこと以外にも訳があって」
  つ川

( ・∀・)「あぁ、何?」
 つ□

( ФωФ)「二組のタバコを殺そうと思うのだ、ついてはモララーに協力してほしい」

( ・∀・)
 つ  ボトッ
  □

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:01:47.75 ID:shLk2P6S0



( ・∀・)



(;・∀・)「……は?」


本日3回目の爆弾発言
その発言に、持っていた弁当箱を、思わず膝の上へと落としてしまった
中に入っていたホウレン草のおひたしが零れ、制服を濡らす


(;・∀・)「お、前、いきなり何言ってるの」

タバコを殺す?
タバコって、フォックス?
馬鹿言え、なんでいきなり、大体あいつは殺して死ぬような奴でもないよ

冗談かとも思ったが、当の杉浦は至極真面目な顔をしていた

( ФωФ)「あれは害悪である、百害あって一利なしと、我輩の師も言っていた、だから倒すべきなのである」

(;・∀・)「誰だよ師って……」

( ФωФ)「我輩をこの世界に巻き込んでくれた人だ」

(;・∀・)「巻き込んでくれた……? 巻き込まれたじゃなくて?」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:03:26.23 ID:shLk2P6S0

まるで巻き込まれたのが嬉しいかのような口ぶりだった
僕がそう聞くと、杉浦は猫っぽい釣り目気味の目を細め、口をにんまりと歪めた

( ФωФ)「なんだ、モララーは違うのか? 我輩はとても嬉しいのだ。この世界は退屈でつまらない
       非日常が日常に変わる日がくればいいと、我輩はずっとそう願っていた」

(*ФωФ)「それを! 叶えてくれたのだ!」

もうすっかり伸びきっているであろうそうめんを横において、杉浦は立ち上がる

少し黴っぽい空気が鼻を突き、屋上の扉から差し込む光の中で埃が舞っていた
杉浦はうっとりと笑って、まるで演技のように両手を空へと掲げる

愛しいものを見つめるように

( ФωФ)「だから我輩は、師に感謝しているのだ、我輩に素敵な力をプレゼントしてくれた
      我輩を非日常に巻き込んでくれた、彼女がタバコの消えることを望みというのならば
      我輩はそれを叶えようと思う」

(;・∀・)「………………」

( ФωФ)「モララー」

(;・∀・)「な、なんだよ……」

( ФωФ)「お前にも協力して欲しい、能力があるのだろう? ならばそれを生かすべきだ、この世界のために」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:05:36.80 ID:shLk2P6S0

ゆっくりと、杉浦が僕に向かって手を伸ばしてくるが、それは酷く非現実的なものに聞こえた
だって、世界とか、なんとか、そんなもの一介の高校生が関わるもんでも
ましてや、使えるもんでもない

そもそも彼が言う世界って、2ちゃんねるのことか?それとも現実世界のこと?
それすらも僕にはわからない

(;・∀・)「…………」

( ФωФ)「何も悩むことはないであろう、だって、あいつのせいでモララーはクラス中からハブであるし」

確かに、あいつが現れてから、僕の日常はめちゃくちゃだ
人の体いきなり煙にするし、ぶん投げるし、わけわかんないことばっかり言うし
正直いなくなった方が確実に平和だろう

( ФωФ)「な? だから一緒に……」

( ・∀・)「タバコ……いや、フォックスは、なんでそんな悪い奴扱いなの?」

( ФωФ)「では聞くが、お前はあいつがいい奴とでも思っているのか?」

( ・∀・)「……いや」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:07:26.38 ID:shLk2P6S0

少なくとも、人をいきなりこんなことに巻き込む時点で
反乱を目論んだりしている時点で、いい奴とは言いがたい。むしろ、悪役顔だ

( ФωФ)「ならば、いいではないか」

( ・∀・)「だけど、一応あいつ……名無しさんが現実世界で暴れているって、そいつらを退治するって」

建前っぽかったけど、言ってたし
現に退治はしているんだろう、それに強い、だったら別にいなくなる必要はないはずだ

しかし、杉浦は頑として首を縦には振らない

( ФωФ)「うむ、確かに暴れる名無しさんは迷惑な奴かもしれない、師も嘆いていた」

(;・∀・)「だったら」

( ФωФ)「しかし、それは師とて同じこと、タバコは危険因子だ」

(;・∀・)「危険因子って……」

( ФωФ)「我輩の師は、暴れる名無しを退治することが使命である」

それは、表向きフォックスと同じ仕事だ
もしかしたら、杉浦の師というのは、あいつと同僚か何かなのかもしれない
それにしては、随分嫌われているけど

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:08:55.14 ID:shLk2P6S0

( ФωФ)「だから、彼女の言うことに間違いはないのだ、彼女こそが正義である、協力してくれるな?」

まるで唯一絶対と、恋するような瞳で、彼は語った、彼は彼の師とやらを相当崇拝しているらしい
僕は今日、真面目な委員長の内面を今日はどれだけ見ればいいのだろう

このままここで答えを出しても、彼が納得するようには思えなかった

( ・∀・)「……ちょっと、考えさせてくれ」

杉浦はあっさりと頷く

( ФωФ)「わかった、では、今日の夜9時、学校の前で待っているのである、そこで返事を聞かせてくれい」

(;・∀・)「なんでわざわざ夜の学校なんだよ」

( ФωФ)「今日の夜、名無しさんが出没するという話なのである、あと、我輩の個人的な趣味だ
       だって夜の学校ってなんかかっこいいじゃん」

(;-∀-)「あ、そう……」

完全に厨ニ病だ、黒い服がかっこいいとか思ってしまう奴だ
僕はそれ以上突っ込んで聞くことを諦めた

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:10:40.53 ID:shLk2P6S0

( ФωФ)「絶対に来いよ」

(;・∀・)「わかったよ」

昼ご飯もそこそこにして、僕達は教室へと帰っていく、いつの間にかチャイムも鳴っていたらしく
慌てて教室に入っていく姿も見えた



教室に入った途端、貞子さんが杉浦を物凄い視線で睨んできたが、特に気にしてもいないようだった

川д川「あ、お、お帰りなさい、ハンペンは美味しかったですか? も、もう授業始まります、よ」

( ・∀・)「うん、……え? 何で知ってるの?」

お弁当の中身、いつの間に見たんだろう
しかし貞子さんはいつものように薄く笑うだけだった

川*д川「えへ、へ、なんでも……秘密、です」

( ・∀・)「そっか。あ…………貞子さん」

川д川「はい?」

( ・∀・)「フォックスのこと、どう思う?」

川д川「ど、どう、って?」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:11:31.94 ID:shLk2P6S0

小首をかしげる彼女は、質問の意図を測りかねているようだった
僕は慌てて言葉を付け足す

(;・∀・)「あ、いや、個人的な感情として、いい奴とか悪い奴とか、変な奴とか、色々あるじゃない」

川д川、「ああ、そういうことですか」

( ・∀・)「う、うん、そう」

川д川「そ、そうですね……禍々しい感情が、い、色々あるけどとりあえず……」

( ・∀・)「とりあえず?」

川д川「死ねばいいと思います」

( ・∀・)

川д川

(;・∀・)「そ、そう……」

川*д川「はい、えへへ……! あ、あといい奴ではないと思います、よ」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:13:58.32 ID:shLk2P6S0

(;・∀・)「あ、ああうん、その辺は僕も同意するよ……」

(;・∀・)

フォックスはなんだってこんなに貞子さんに嫌われているんだろう
同僚(?)にも嫌われてるし、あいつ、本当人望ってものがないな

嫌われすぎだろ

川д川「モ、モララーくん、授業、は、始まりますよ!」

(;・∀・)「う、うん、そうね」








家に帰っると僕は制服のままベッドに腰掛け、携帯を開いた
パソコンは開いてない、なんだか開く気にはなれなかったからだ

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:15:07.36 ID:shLk2P6S0

( ・∀・)「……」
 つ白

ベッドの上に寝転がりながら、携帯を眺める
アドレス帳には、最初に聞いただけでメールなんてしたこと一度もない奴のアドレスがずらりと並んでいた

唯一電話したりメールをしあったりしてた奴らも、今じゃ僕のことをハブるし
最早これは携帯ではなく外で使える小型インターネットだと最近思う

アドレスの中にはフォックスのアドレスもあった、ご丁寧に親友とまでいれてる
いつの間に登録したんだよあいつ

( ・∀・)「…………殺す、ね」

相変わらず、現実的とは思えない言葉だ
生きるとか死ぬとか、そんなのアニメや漫画の中だけでいいのに
僕は目を閉じて想像する、妄想は得意なんだ

( -∀-)「う〜〜ん……」

例えば、フォックスが死ぬところを想像してみよう
煙になるから簡単には殺されないだろうけど、油断していたら煙にならずにダメージを与えられるみたいだし
すごい強い奴ならあるいはあいつを殺せるかもしれない

でも……

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:16:36.53 ID:shLk2P6S0

 パチ
( ・∀・)

( -∀-)「……やめよ」

なんにせよ、人が死ぬところを想像するだなんて、悪趣味もいいところだ
あいつ人じゃないけどね

( ・∀・)「…………」

少しだけ考えて、それから、僕は携帯の通話ボタンを押した
何コールか後に、回線は繋がったようで間の抜けたような、伸びた声が受話器から溢れてきた

 『もしもぉし、こちらフォックス、こんな夜更けに遊びの誘いか親友?』

( ・∀・)「まだ7時だよ」

 『そうかそうか、こっちは随分と暗いから深夜4時くらいかと思ったぜ』

( ・∀・)「それじゃあ夜が明けて逆に明るいじゃないか」

 『はは、違いない』

電話の向こうの声は笑いを含んでいたが、どこか焦っているようにも聞こえた
耳を顰めていると、複数の人間の声が聞こえた気もする


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:19:52.41 ID:shLk2P6S0

( ・∀・)「なに、もしかして誰かと一緒?」

 『ああ、俺にはファンが多いんだ、人気者は参るねどーも』

( ・∀・)「ああそう」

 『……反応しようぜ、親友』

( ・∀・)「まぁそんなことはどうだっていいんだよ」

 『そんなこととは酷いな、……おっと』

おい、なんか今電話の向こうから破壊音がしたぞ今
こいつ、一体どんな状況で電話しているんだよ

(;・∀・)「やっぱり誰かといるのか? ていうか今破壊音が……」

 『最近のファンは過激でね、それより、何か用があったんじゃないのか?』

( ・∀・)「あ……」

その問いに、僕は昼間のことを思い出していた

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:23:05.96 ID:shLk2P6S0

杉浦の言った言葉、フォックスはいても仕方がないから、殺すべきだ
要約すると、そんなところだろう

( ・∀・)「……なぁフォックス」

 『なんだ、親友?』

( ・∀・)「前に聞いた事をもう一度聞いてもいい?」

 『ご自由にどうぞ』

( ・∀・)「お前は、人に優しいか?」

 『優しくはないさ』

( ・∀・)「お前っていい奴?」

 『親友はいつだってユニークだな、そんなわけがないだろう』

( ・∀・)「じゃあ……」

 『じゃあ?』


( ・∀・)「お前は、僕の味方か?」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:29:50.02 ID:shLk2P6S0


 『はっ……あはははははははははは!!!』

( ・∀・)

返って来たのは、笑い声だった
聞いたこともないような大爆笑、雰囲気ぶち壊しなんてモンじゃない

携帯の向こう側にいるフォックスの顔が想像できない、むしろしたくない
フォックスは携帯の向こう側で誰かと一緒にいるらしいが、その誰かさんもさぞかし呆気に取られていることだろう

(;・∀・)「わ、笑うなっ!!こちとら真剣だ!」

 『はっ……ははっ……あはっ……wwwいや、悪いな親友、ユニークすぎて、腹が爆発するかと思ったよ』

(;・∀・)「どんだけ笑ってるんだ!バーカ!」

 『面白いことを言うからだ、味方? まったく愉快愉快、愉快すぎて不愉快だ』

(;・∀・)「っ……」

 『フォックスは、敵を親友にはしないのさ』

( ・∀・)

それだけ言うと、電話は途切れた

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:33:48.82 ID:shLk2P6S0

受話器からはツーと、無機質な音だけが流れてくる
僕は電源ボタンを押して携帯を折りたたんだ

腰の黒丸を取り出して、じっと見つめると、黒く磨かれた黒丸には、僕の顔が映っていた

いつもどおり、格好いい僕の顔のはずなのに、なぜかその顔は不思議そうな顔をしていた

( ・∀・)「………………」

あいつの言葉っていうのは、基本的に嘘だろうと僕は思う
何せ狐だ
狐は化かすのが得意だし

( ・∀・)「……母さーん、ちょっと出かけてくるね」

「あんまり遅くなるんじゃないわよー!」

( ・∀・)「はーい」

だけど、化かすのが得意だから、化かされても気持ちよかったりするんじゃないかな
僕は黒丸を巾着に包むと
制服のまま学校へと向かった

ああ、面倒くさい
面倒くさいけど、仕方ない。だってもう巻き込まれちゃったんだから

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:39:27.09 ID:shLk2P6S0




夜の学校って言うのは、それだけで不気味な空気をかもし出している
タイミングの悪いことに今日は曇りで、月も見えない

夜+学校ってだけでなんかもう怖いのに、それに変な能力がプラスされるんだから、実際怖いなんてもんじゃない

しかも、杉浦の情報によると、今日は名無しさんが出没するらしい
全く冗談じゃないね

( ・∀・)「よっ」

( ФωФ)「来たか」

( ・∀・)「お前が来いって言ったんじゃん」

杉浦は律儀にも校門前にきちんとした体制で立っていた
何故か和服姿で。昔の武士のような格好だ、何かの影響でも受けたんだろうか

( ・∀・)「何その格好」

( ФωФ)「なんかかっこいいじゃん」

( ・∀・)「まぁなんかかっこいいけどさ」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:44:18.65 ID:shLk2P6S0

そう言うと、杉浦は得意げに鼻を鳴らした。その姿は煽てられた猫に似ている

( ФωФ)「さて、モララー、答えを聞こうか」

ロマネスクが、袴を揺らして近付いてきた、風に揺られるその姿は、武士にも見え
僕はあるアニメを思い出した。
どうでもいいけど、いきなりかよ

( ・∀・)「早いな答え聞くの、もっと我慢強いかと思ってたのに」

( ФωФ)「こちらにも事情というものがあるのである」

( ・∀・)「お前のそのあるある口調、ぶっちゃけ面倒くさくない?」

( ФωФ)「キャラ作りである」

(;・∀・)「そ、そうだったの?」

( ФωФ)「モララー」

杉浦は笑わない
元々笑う男ではないけど、昼間の方が幾分か話しやすかった気もするけど

僕は仕方なしに頭をかくと、両手で大きくばってんを作った

( -∀-) フゥ

( ・∀・)「……悪いけど、答えはNOだ」
  ×

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:49:40.49 ID:shLk2P6S0

( ФωФ)「……理由を聞こうか」

( ・∀・)「別にないけど」

(;ФωФ)「な、ないの!?」

( ・∀・)「あ、口調が」

(;ФωФ)「う、うるさいのである! それより、ないってお前!」

焦ったように聞き返してくる杉浦に、僕は笑顔で返した
多分女の子がこの笑顔を見たら惚れるだろうね、そのくらいの気持ちで笑う

久々に余裕がある感じで、なんだかやけに気分がいい

(;ФωФ)「なんであるか、にやけおって」

( ・∀・)「別に、ただ、あいつが本当に殺すべき奴かどうかは、自分で決めるさ」

( ФωФ)「…………」

( ・∀・)「お前の師匠がどんな奴か知らないし、フォックスは確実に"いい奴"ではないけど
     少なくとも、……面白い奴だしね」

その言葉に杉浦は俯く

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:54:33.54 ID:shLk2P6S0

俯いたまま、ブルブルと震えだした
僕はその姿に違和感を覚えつつも、ゆっくりと後ずさる

( ・∀・)「だから、悪いね、お断りします」

(  ω )「そうか……非常に残念である……本当に……」

(  ω )「お前なら、協力してくれると思ったのであるが……」

残念ながら、その要望にはこたえられない

( ・∀・)「…………。じゃあ、僕はこれで……」

しかしその刹那
校門から、いや、杉浦から離れようとしたとき、僕の髪の毛の端が切れた

(;・∀・)「!?」

風に染めた髪が舞う


(  ωФ)「ならば、お前は今から我輩の敵だ」


(;・∀・)「っ!!」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/12(月) 23:59:50.10 ID:shLk2P6S0

杉浦が持っていたのは、見覚えのあるようなないような刀

……刀?



(;・∀・)「なぁああああああっ!?」

( ФωФ)「残念であるよ、モララー、お前がフォックスの側につくということは、師の敵になる!」

ぐんっと、距離を近め、一気に懐に入ってくる杉浦を、僕は止められない
早すぎる、体育会系と文系が勝負して勝てるかよ

学校内に逃げ込むか、それとも……ああ!だめだ、そんなこと考えてる余裕なんてない!

( ФωФ)「師の敵というのはつまり我輩の敵!! 敵は排除せねばならぬのだ!!」

刀の切っ先が僕の首筋を掠めた
ぷつりと何かが切れた感覚、首が熱い、ぬるりとした何かが首筋を伝う

(; ∀ )「いっ…………!!」

銃刀法違反、そんな言葉が頭の中を過ぎったが、元々常識なんて通用しない奴らだ
そんなこと言ったって無駄に違いない

( ФωФ)「友達になれるかと思ったが、残念だ」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/13(火) 00:05:51.66 ID:f839rIqa0

( ФωФ)「我輩の名は杉浦ロマネスク……又の名を"風の谷の名無しさん"」

風が吹き、杉浦の表情が暗闇にまぎれてよく見えない
しかし、その暗闇の中で光る刀だけははっきりと見える

(; ∀ )「あっ……つ……!」

どうやら首は薄皮一枚切れただけのようで、なんとか動ける

( ФωФ)「この斬鉄剣で、お前の首、貰うぞモララー」

しかし、動けたところで、逃げるのは難しそうだ

(; ∀・)「…………っ!!」


(#ФωФ)「アニメキャラ憑依! 石川五右衛門んんんん!!!!」


妙な掛け声と共に、杉浦が駆けて来た

……どうすんだよ、これ


第五話、終わり


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