- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:35:15.71 ID:13UETOXO0
「ああ、隠していたが、実は我輩、オタクなのだ……アニメとか超好き」
「お前、実は隠れ2ちゃんねらであろう?」
「なんで知っているかって? 簡単である、我輩も2ちゃんねらであるからな!」
「二組のタバコを殺そうと思うのだ、ついてはモララーに協力してほしい」
「死ねばいいと思います」 『フォックスは、敵を親友にはしないのさ』
「……悪いけど、答えはNOだ」 「ならば、お前は今から我輩の敵だ」
「アニメキャラ憑依! 石川五右衛門んんんん!!!!」
三(;・∀・)「ぎゃあああああああああああああああああああ!」
ちょっとこれ、もう無理
本当無理、ごめんなさい、謝るから誰か助けて
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:36:18.27 ID:13UETOXO0
( ・∀・)は隠れ2ちゃんねらのようです
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:37:46.36 ID:13UETOXO0
(#ФωФ)「えぇぇええい! ちょこまかと!」
(:・∀・)「やめろー!」
襲い掛かってくる刃を懸命にかわしながら、校舎に逃げ込んだのはつい五分前の出来事だ
外に逃げた方が良かったのかもしれないが、校門に杉浦が立っていたのでそうもいかなかくなってしまった
(;・∀・)「誰かぁああああ!! 助けてーー!」
泣けど叫べども、助けなんてくるはずもない
どこの物好きがこんな夜の学校に入ってくるってんだ、そんなの僕だけだよ
( ;∀;)「ちくしょう! 僕のバカヤロウ!!」
元々杉浦ロマネスクという男は、運動神経が非常に良い奴だった
体育の授業の時、目立つわけじゃあないけど、必ずいい記録を出す奴っているじゃん?そういう奴
僕も悪くない、というよりむしろ結構いい方だとは思うけど、杉浦のはまた別格
第一に、体格が違いすぎるんだ
しっかり作られた筋肉はおよそ高校生とは思えないし、インドアイメージのあるアニオタとも思えない
単純なパワーだけなら、おそらく杉浦に勝てる高校生はそういないだろう
そんな奴相手に、今、僕は刀片手に追いかけられいてる
実際問題、これは泣いていいと思うよ
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:40:21.96 ID:13UETOXO0
(#ФωФ)「待てぇえええええいっ!!」
(;・∀・)「まっ…………ケヒュッ……だっ、れがっ……待つか……!!」
心臓の音が逸り、直接響いてくる、もう肺とか破裂しそう
足が重いし、痛い。苦しい、死ぬ、ガチで死ぬ
リアルな考えが頭を過ぎり、僕はそれを振り払った
こんな若さで死んでたまるか
(#ФωФ)「ちぇい!!」
(;・∀・)「うひぃいあ!!」
風圧が腕を掠めた
闇夜に浮かぶ刀をブンブン振り回しながら、突進してくる杉浦、怖すぎ
逃げながらも途中にあった消火器とか、椅子とかぶん投げてそれをよける僕
しかしそれらはことごとく杉浦に斬られてしまった
日本国民なら誰もがお馴染みである刀の名称、"斬鉄剣"に、だ
( ФωФ)「逃げても無駄だ、我輩のこの剣に切れぬモノは一つたりとてないのである」
(;・∀・)「…………っ……」
( ФωФ)「って石川五右衛門が言ってた気がする」
(;・∀・)「…………はぁっ……エホッ……!」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:41:55.07 ID:13UETOXO0
僕は、今だけモンキーパンチを呪った
チクショウ、あんなチートキャラ生み出してんじゃねえよ
モンキーパンチが描くルパン三世に出てくる登場人物、第十三代目、石川五右衛門は
日本国民なら誰もが知っている有名人物
和服姿に斬鉄剣、今の杉浦は出で立ちだけならそれは確かに石川五右衛門だが、意識はあくまで杉浦のようだ
彼の言った憑依、というのは、能力だけなのかもしれない
しばらく追いかけっこを続けていた僕達だったが、そんなものはやがて終わりがくるものだ
(;・∀・)「ハァッ……ハッ……ゴホッ……!」
( ФωФ)「残念、行き止まりであるな」
(;・∀・)「…………。こ、殺さないって昼間言ったじゃん……!」
とうとう壁際まで追い詰められた
実際喋る余裕なんてないが、このままじゃどうせ殺される
なら、何かしら喋って時間稼ぎをするしかない、もしくは、打開策をひねり出すんだ
僕は腰につけた黒丸を、杉浦の目に届かないように手を伸ばした
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:42:42.76 ID:13UETOXO0
( ФωФ)「昼間は、な。状況が変わったのである。お前がタバコにつくというのならば、我輩はお前を消さねば
師が悲しむ」
(;・∀・)「ゴホッ……ば、馬鹿らしいと思わないの? 僕を殺したらさ、お前、今までの人生捨てて
殺人犯になるんだよ……!」
( ФωФ)「それがどうした」
(;・∀・)「どうしたって……警察に捕まるんだからな!」
( ФωФ)「関係ないな、そんなことは」
(;・∀・)
( ФωФ)「勉強して、いい大学に入っていい職について……そんなものどうでもいいのだ、うんざりである
そんなものは、もういい、どうでもいい。馬鹿らしいのはこの現実
我輩はもっと……」
( ω )「もっと……」
杉浦とは身長も違う分、足の長さも違う
ソレ即ち、走る速度も変わってくるということだ
今のうちに、話して体力の回復を図らなくちゃ
でないと
ゾクッ
:(;・∀・):「……っ!」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:44:07.83 ID:13UETOXO0
(# ω )「もっと素晴らしい世界を望むのだ! 我輩がヒーローになる! 少女を救い、魔王を倒す!
そんな素晴らしい世界をぉお!!」
しかし、そんな簡単にいくわけがなかった
(;・∀・)「うぁああああああああああ!!」
刀を持ち直し、再び突進してくる杉浦
鋭い突きだ
間一髪のところで刀をかわすという奇跡を成し遂げたが、制服の端が刀に突き刺さり、そのまま壁にも刺さってしまった
やっべ、動けない!
(;・∀・)「ちょっ……!」
マジかよ!
今のお前どう見たってヒーローってより悪の大魔王って感じだっ
拳を握り締め、そのまま振りかぶってくる杉浦、このままじゃぶん殴られる
(#ФωФ)「はぁああああ!!」
(;・∀・)「うわ、えっ、ちょっ……いやまっ…………ああもうっ! ぬるぽぉ!!」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:45:40.20 ID:13UETOXO0
叫んだ途端、黒丸は形状を変え、槌の形へと変化した
そしてそれは杉浦めがけて一直線に振り下ろされたが
(#ФωФ)「ぬんっ!!」
(;・∀・)「嘘っ!?」
涼やかな音と共に、頭部が刀で切られてしまった
いとも簡単に、まるで豆腐でも切るかのようにスッパリと
鉄をも斬ると言われている斬鉄剣
黒丸が何で出来ているのかは知らないが、どうやらこれも"斬れる"ようだ
黒丸は元の黒丸に戻り、僕の掌へと戻っていく
(#ФωФ)「その程度かっ!」
(;・∀・)「いやいやいやいや、ちょっと待って話し合おう!」
やばいやばい!これやばいって宇宙ヤバイ!
混乱で頭がどうにかなりそうなんだけど!
頼みにしていたぬるぽハンマーがこの様じゃ、ガチで殺されるかもしれない
そう考えると、冷や汗が背中を伝う
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:47:21.35 ID:13UETOXO0
(;・∀・)「や、や、待って待って……」
(#ФωФ)「話し合うことなど、最早皆無!」
(;・∀・)「いや、あるじゃん!色々と!」
落ち着け、落ち着け、クールになれモララー!
なんか探せ、探せよ、早く
ここを抜け出せるような、2ch用語、なんでもいい
早く!早く早く早く!!じゃないと死ぬ!
( ФωФ)「同じ2ちゃんねら同士、友達になれると思ったのだが……」
(; ∀ )「っ……!」
( ФωФ)「悪いけど、消えろ」
刀が僕の喉元目掛けて振り下ろされる
(; ∀・)「ひっ……」
なんでもいい
早く
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:48:51.02 ID:13UETOXO0
何か、あっただろ、スレッドを見るとき、よく見る言葉とか
何かが
何か
(; ∀ )「あ…………ほっ…………」
( ФωФ)「さらばだ」
風を、斬る音がした
(; ∀ )「ほ、」
(;>∀<)「……保守っ……!!」
キィン
(;ФωФ)「ぬっ……!?」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:50:34.24 ID:13UETOXO0
(;>∀<)
(;>∀<)
(;・∀-)「…………?」
(;・∀・)「……っ!」
先ず、目に入ったのは、薄く光る壁
その向こう側で杉浦が悔しげに眉を顰めていた
(#ФωФ)「おのれ、小癪な真似を……」
ふと、僕は自分の手の中に紐のようなものがあることに気づいた
どうやら僕の手に握られている一本の糸は、この薄く光る壁と繋がっているようだ
正体が黒丸であろうことは、なんとなくわかる
スレを落とさないように書き込む言葉、「保守」それは現実世界では
薄いバリアーの中で、守ることを保つ役割を果たしてくれたようだ
まさに保守、だ
(;・∀・)(は、弾いたっ……?)
鉄をも斬る剣、斬鉄剣を、どうやらこの光の壁は振り払ったらしい
(;・∀・)(こ、この隙に……)
ほんの少しの光だけど、僅かに希望が見えてきた
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:51:45.91 ID:13UETOXO0
( ФωФ)「……今は油断したが……」
(#ФωФ)「次は斬るっ!」
(;・∀・)(やばっ!)
杉浦が再度刀を持ち振り上げたのを見て、僕はすかさず立ち上がる
当然、そんな大人しく待っていられるはずもない
弾いたのは偶然かも解らないし、僕は紐から手を離し、壁を元の黒丸に戻すと、脇を抜けて再び走り出した
(#ФωФ)「止まれっ! 止まらんかっ!」
(;・∀・)「止まるかアホー!」
(#ФωФ)「後ろの傷は武士の恥であるぞ!」
(;・∀・)「僕は武士じゃねえ!!ゴホッ……」
剣の風圧が僕を攻め立てるように押してくる
そうとも、僕は武士じゃない、一般的な、顔がきれいな高校生だ
そんな刀振り回して追いかけられても、何も答えられないんだよ
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:53:17.52 ID:13UETOXO0
そういえば、最初に斬られた首の血はもう止まったようで
まだ少しピリピリするけれど、どうやらもう問題ないようだ
あとはこの状況をどう抜け出すかってことなんだけど……
(#ФωФ)「逃げるとは卑怯である!!」
相変わらず杉浦は追いかけてくるし、槌は斬られてしまう
保守でなんとか防いだけど、次も防げるかどうかは果たして
(;・∀・)(はっ、八方塞がりじゃんっ……!)
どうして僕は馬鹿正直に一人で来てしまったんだろう
誰かに来ることを告げておけばよかった、もしくは、メールとかしておけばよかった
だけど今更後悔したって遅い
公開ってのは、後で悔やむから後悔なんだ、なんて、そんなこと考えてる場合じゃない
馬鹿か僕は
今はただ、この状況を抜けることだけを考えないと
( う∀;)(ちくしょうっ……!!)
どうしてこうなった!
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:54:59.97 ID:13UETOXO0
・
・
それから20分くらい立っただろうか
途中保守を使いまくって避けていたお陰で、なんとか杉浦をまくことが出来たのはいいのけど……
(;・∀・)「…………」
今僕は、三階の教室のロッカーの中で、じっと息を潜めていた
(;・∀・)(ホラー映画の主人公になった気分……)
よくあるじゃない、登場人物が次々に殺されていく映画
ていうか、外国のホラー映画って大体皆死んでくよね、残るのはヒーローばっかり
まぁ今は段々というよりも確実に標的は僕一人なんだけど
(;-∀-)(って、こんなこと考えてる場合じゃないだろっ……)
なんて不吉なこと考えてるんだ。いかんいかん、どうやら若干混乱しているみたいだ
さっきからどうでもいいことばかり考えてしまう
気を引き締めろ!
僕は手の中の黒丸をぎゅっと握り締めた
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:56:05.62 ID:13UETOXO0
(;・∀・)(また小さくなってる……)
手の中の黒丸は、最初はビリヤードの玉ほどの大きさがあったのに
いまや少し大きめのビー球くらいまで縮んでしまっている
フォックスが言うには、これには回数制限があるらしいけど、あと何回くらい使えるんだろう
( ・∀・)「……あっ」
そこで、僕はあることに気がついた
(;・∀・)(フォ……フォックスを呼べばいいじゃん!)
助け!ヘルプ!命綱!
どうして今まで考え付かなかったんだろう!異質な状況すぎて忘れていた
僕はポケットから携帯を取り出すと、消音にしてフォックスへと電話をかける
アンテナが立ってないなんて、ベタな展開はない
さっきの着信履歴からすぐだ
ああ、さっきまではお前何勝手に人の携帯に電話登録してんだよ、とか思ってたけど
今となっては神様に見えてきた
いや、あいつが元凶なんだけどね
(;・∀・)(出ろ〜!出ろ〜〜!早く早く!)
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:58:30.58 ID:13UETOXO0
しかし何回コールしても電話は繋がらない、それどころか機械音声におかけ直し下さいとか言われる始末
せめて留守伝入れられるようにしとけよ!
(;・∀・)「さっ、貞子さんにっ……!」
つ白と
いや、だめだ
だって彼女は今フォックスによって能力を規制されている
ここに来たところで、杉浦に斬られてしまうのがオチだ、そんなの良くない
(;・∀・)(チクショウ!なんかないか、なんか……!)
ポケットを弄っていたら、今度は飴が出てきた、この間学校へ行く途中貞子さんに貰ったんだっけ
色々悩んでたら糖分は頭を使うのにいいとかなんとかいって
ありがたかったけど、今はどうしようもない
(;・∀・)(ほかにっ……何かっ……!)
今度は小銭、ポケットティッシュが出てきた、しかし、出てきたのはそのくらいで、他に目ぼしい物は見当たらない
そうだよな、わんぱく小僧じゃあるまいし、ポケットにそんなジャラジャラ入ってないよな
(;-∀-)「〜〜〜っ!」
畜生!どうすりゃいいんだよ!
そこで、僕はまたあることに気づいた
(;・∀・) ハッ
(;・∀・)「……警察!」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 19:59:49.82 ID:13UETOXO0
僕としたことが、一般常識を忘れていた
今の杉浦は立派な銃刀法違反者じゃないか!
今度は震える手で110番を押す、が、そこで教室のドアが開く音が聞こえて
僕の体はぎしりと固まった
(;・∀・)「っ!」
どくんどくん、と心臓の音が煩い
静まれ、静かにしないと見つかっちゃうだろ
ロッカーの中でじっと息を潜めていると、教室の外から聞き馴染んだ声が聞こえてきた
「モララー! どこにいるのである! もう消すとか言わないから出てこいである」
:(;・∩・):(ぜっ……絶対嘘だっ……!)
出てった瞬間斬られる自分が安易に想像できる
そんな想像が出来て嫌だ
「早く出て来いである、我輩、面倒なのは嫌いなのであるよー」
声はあくまでのほほんとしていたが、どこか剣呑な空気を帯びている
(;・∩・)(早くどっかいけよ……!)
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:01:36.61 ID:13UETOXO0
心の中で祈ってみるが、神様なんてこの世にはいないのだ
「……こういう場合、隠れられるのは教卓の中か、ロッカーの中と相場は決まっているのである」
(;・∩・)「っ!」
杉浦の足音が、教室の前の方へ遠ざかっていった、……なんてわかっている奴だ
どうせ次はこっちに来るんだろ? ホラー漫画とかだとそうだもんな
チクショウ、同類め、死ねばいいのに
(;・∀・)(って、今死にそうなのは、僕の方か……)
手の中の黒丸を握り締めた
あと何回使えるかわからない、小さな黒丸
今のところ、僕の命綱はこれだけだ、このままだと確実に殺される
しかし、使える言葉で解っているのは今の所「ぬるぽ」と「保守」のみ
果たしてこれでこの場を凌ぎきれるか?
(;・∩・)(迷ってる場合じゃないか……)
僕はポケットの中を弄り始めた
やるしかない、やるしかないんだから
「……教卓の中にはいないのであるな、じゃあロッカーか」
今度は、杉浦の足音がロッカーの方、つまり僕へと近付いてくる
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:02:56.97 ID:13UETOXO0
(;-∀-) ……スゥ
僕は大きく息を吸い込んだ
やってやるさ!イケメンなめんな!
だってやらなきゃこっちがやられるじゃん、そんなの嫌じゃん
まだ死にたくないしさ、全然人生楽しんでない
いじめられてた時間よりも、楽しむ時間の方が少ないだなんて、そんなの耐えられるもんか
がくがくと震える足を無理やり押さえつけ、乾く喉に唾を飲み込ませた
変な汗が吹き出てくる
ああ、心臓の音が本当にうるさい
もうちょっと静かになれよ、自己主張激しいって
頭が揺れて、なんだか妙な気分だ
ハイテンションっていうんだろうか、ちょっとちがうな、なんだっけこういうの……まあいいや、どうでも
もうすぐ開くであろうロッカーの扉を、ジッと見つめた
チャンスは、一瞬
逃がすな、絶対に、チャンスを逃がすな
( ∀ ) フゥ……
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:05:23.28 ID:13UETOXO0
- ギィイ……
ωФ)「……こーこーかーなーであr……」
(#・∀・)「だあああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああ
あああ!!!」
(;ФωФ)「ぬおっ!?」
開いたと同時に、思い切り奴に体当たりした
流石の杉浦も少し驚いたらしく、大きな体をよろめかせ、少し後ろの方へと後退するが
しかしすぐに僕の腕を捕らえてきた
……ここまでは計算どおり
( ФωФ)「フン、不意打ちは失敗であるな」
( ・∀・)「どうかな、だって僕は新しい黒丸の技を編み出したんだぜ?」
(;ФωФ)「なっ?マジで?いやいや、戯言を……」
(#・∀・)(今だっ!!)
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:07:02.76 ID:13UETOXO0
(;ФωФ)「なぁっ!?」
僕は手の中にあったそれを杉浦の後ろ側に向かって投げつけた
それは弧を描いて教室の墨へと飛んでいく
(ФωФ;)「くっ、黒丸っ!?」
杉浦も黒丸がいかに重要であるかを知っているのだろう
もしかしたら彼の師とやらが、僕の力のことを教えているのかもしれない
驚いた顔をして後ろを振り向いた
(ФωФ;)「アホか? 手から離したら使えないはずっ……!」
杉浦が後ろを見たのは一瞬、たった一瞬だ
だけど、それで十分
僕は刀を持っている杉浦の腕を逆に掴み、をぼそりと呟いた
( ・∀・)「……――――ぬるぽっ」
(;ФωФ)「え」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:08:36.07 ID:13UETOXO0
僕の手の中にあった黒丸が光り、形状を変えていく
ぐにゃりと歪み、手持ち部分は鈍色に、赤く燃え盛る頭部が、杉浦目掛けて襲い掛かった
僕の手は捕らえられてもいい、黒丸から手を離さない限り、自動的に相手にぶつかるからね
(;ФωФ)「なっん!? しまっ……!」
( ・∀・)「"規制"されろ!! 杉浦ロマネスクッ!!!」
(;ФωФ).。*「……ガッ!!」
思い切り振りかぶられた槌は、見事杉浦の脳天へと直撃した
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:09:39.01 ID:13UETOXO0
*
(; ∀ )「…………かっ……た……」
隣に横たわっているのは、規制され、さらに僕に机で殴られたため気絶している杉浦の姿
チーン
( ω )
:(;・∀・):「こ、怖かったぁ……」
まだ、体の震えが止まらない
何せ、一歩間違えたら死んでたような行動だ
ガタガタ震える腕を抱きしめて、生をかみ締めた
怖かった、もう本当に怖かった
( ・∀・)「……ありがとう、貞子さん」
僕は教室の隅に転がる黒飴を見つめる
あの時、杉浦の後ろに向かって投げつけたのはこの黒飴だ
一瞬の出来事だったし、暗闇の中、大きさも色も似ているため、あいつもすぐには判断できなかったのだろう
あのまま杉浦の気も逸らせないままぬるぽしても、きっと防がれていただろうし……
なんにせよ、僕は飴に命を救われてしまった
これからは積極的に飴を食べよう、うん
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:12:24.57 ID:13UETOXO0
( ・∀・)「黒丸……なくなっちった……」
それに、あのぬるぽがどうやら最後の一回だったらしい
殴った瞬間、槌はもう黒丸には戻らず、そのまま空気に溶けていった
つくづく僕は運がいい、おそらくイケメンだからだろう
(;-∀-)「疲れた…………」
そのまま教室の床へ大の字になって倒れれこむ、汚い天井が目に映ったので
反転した世界から、窓に差し込む月明かりを見つめることにした
ああ、綺麗かも
こんな綺麗な景色を見れるんだから、やっぱり生きててよかったよ
疲れたし、なんだか眠くなってきたや……
( -∀-) スゥ……
「なんだ、負けちゃったのね」
(;・∀・)「!?」
しかし、そこで場違いに幼い声が、教室の中へと響いた瞬間
眠気なんて吹っ飛んだ
(;・∀・)「だっ……誰っ……!?」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:13:39.89 ID:13UETOXO0
僕は目を開けて飛び上がると、声が聞こえた窓へと目を向ける
するとそこには、煌煌と輝く三日月を背に、6,7歳程の幼女が窓の脇に立っていた
バタバタと、彼女の服が風に棚引いている
lw´‐_‐ノv「情けないよ、ロマ」
黒いワンピースに、トンガリ帽子
絵本の中から飛び出してきた魔女のような格好をした幼女が、不敵に微笑んでいた
(;・∀・)(こ、子供……!?)
幼女は窓から降りると、そのまま倒れている杉浦の方へと向かっていく
(;・∀・)「あっ、ちょ、君っ!」
( ω )
lw´‐_‐ノv「起きなさい、ロマ」
( ω )
lw´‐_‐ノv「起きろ」
( ω )
lw#´‐_‐ノv「私が起きろって言ってるんだから……さっさと起き、て!」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:15:57.95 ID:13UETOXO0
て、の部分に力を込めると、幼女は杉浦の体を思い切り蹴っ飛ばした
鈍い音と共に、190cmはあるだろう杉浦の巨体はいとも簡単に吹っ飛んでいく
サッカーボールを蹴飛ばすように飛ばされ、杉浦は教室の壁に激突した
(;ФωФ).。*「うぼぇぉあぐぁー!!」
lw´‐_‐ノv「起きた」
(;・∀・)
なんだ、これ
漸く杉浦を倒して、家に帰れると思ったのに
あったかいお風呂に浸かって、たっぷり寝ようと思ってたのに
気がつけば事態はさっきよりも明らかに異質な状況に一転していた
:(;うωФ):「し、師……!どうしてここに……!」
(;・∀・)「!?」
目を覚ました杉浦は震えながら言った
し?しってもしかして、あいつの師のこと?
てことは杉浦よりも確実に強いんじゃないだろうか
ていうか、強いよ、あんな巨体を蹴りで吹っ飛ばす時点で普通の人間よりすごい強いよ
やばい、どうしよう
あいつの師ってことは当然僕の敵じゃないか、むしろ親玉
このままじゃ殺される
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:16:58.52 ID:13UETOXO0
今じゃ黒丸もないし
(;・∀・)(に、逃げなきゃ……)
見つからないように、僕は奴らが話している隙にこっそりと教室の扉の方へと向かっていく
lw´‐_‐ノv「ロマの戦いを見に来たんだよ、そりゃあもう期待して」
:(;ФωФ):「わ、我輩の……?」
lw´‐_‐ノv「可愛い子、君ならきっとやってくれると思ったのに、結果はこれ、まったくガッカリね」
(;ФωФ)「申し訳ない師よ……油断して……」
lw´‐_‐ノv「言い訳? そんな規制までされちゃって、言い訳しちゃうの? ずるいな、ずるい子、君はずるいよ」
そういってぐりぐりと杉浦の頭を踏みつけた
何あいつらやべぇ、SM関係?
杉浦「ごめんなさああい!」とか言ってるし。流石の僕もこれは引くわ
とにかく関わりたくない度はMAXだ
(・∀・;)(今のうちに……)
lw´‐_‐ノv「あ、待って」
⊂彡
-=(;ФωФ)「にゃああああああああああああああ!!」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:19:28.24 ID:13UETOXO0
抜け出そうと、教室の扉に手をかけたところで杉浦の体が吹っ飛んできた
ま、またかよ!危ねぇ!
(;・∀・)「ぎゃあああああああああああああああ!!」
lw´‐_‐ノv「そうやって挨拶もなしにいなくなるのは、お姉さんどうかと思うの」
(;・∀・)「お、お姉さんって……」
お前どう見ても子供じゃん、幼女じゃん
だけど何か言ったら殺されそうなふいんきを放っていた
困惑していると、規制のため動けない杉浦が僕の足元ですすり泣き始める
なんだこいつ、さっきまでノリノリだったくせに
( 。ФωФ)「モ、モララー、頼むから謝ってくれ、師は今怒っているのだ」
(;・∀・)「謝れって言われても……」
何に対して謝るんだ
(;・∀・)「大体お前、さっきまで僕のこと殺そうとしてたくせに……その態度はねーわ……」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:21:02.21 ID:13UETOXO0
( 。ФωФ)「誤解である、我輩モララーのことを消そうとはしたが、殺そうとはしてないのである」
(;・∀・)「同じじゃねーか!」
何こいつ、一休さん!?
( 。ФωФ)「違うのである! 我輩はお前の能力を消そうとしただけで……!」
じゃあなんで最初の時点で人殺し云々を否定しないんだよ
やたら怖かったんだからな、というと、杉浦は「怖がられ方がやりやすいと思って」と答えやがった
もういいよこいつ
( ・∀・)「と、とにかく僕は謝らないぞ! 正当防衛だし!」
(;ФωФ)「待て、モララー! 我輩は殺しはしないが、師は殺せるのであるよ! だって師は……!」
( ・∀・)「?」
首に当てられた冷たい感触
銀色の刃が僕の背後へと伸びている
lw´‐_‐ノv「ふふ」
(;ФωФ)「師は、"削除人"なのだ……!」
首に当てられているそれが、鎌の刃だと気づくのに、時間はかからなかった
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:22:36.02 ID:13UETOXO0
(;・∀・)「ひっ……!」
削除人、通称"削ジェンヌ"
能力、命共に、datの海へと落とす者、とフォックスは言っていた
(;ФωФ)「し、師よ! どうか命はっ……」
lw´‐_‐ノv「やだ、だってこいつ、フォックスの友達なんでしょ?」
(;ФωФ)「そうであるが、しかしアニメ好きに悪い奴はいなくて……!」
(;・∀・)「あ……あ……」
ちくり、とした痛みが首に走った
一番最初に杉浦に斬られた傷が開いたらしい、巨大な鎌は、僕を離そうともしない
再び襲ってくる眩暈に、心臓が音を速めていく
(; ∀ )「…………ヒッ……」
段々意識が遠のいてきた
もういっそ、このまま気絶したほうが楽なのかもしれない
刃部分が、強く首に当てられたのが解った
このまま押し付けられていくと、僕の首はあっけなく落ちてしまうのか
嫌だ、そんなの。死にたくない、助けて
誰か助けて
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:24:00.39 ID:13UETOXO0
lw´‐_‐ノv「私に意見するの? ロマ」
(;ФωФ)「い、いやっ……その……」
「そうとも、意見する、俺はお前に意見しよう、素直シュール!」
(;-∀・)「!?」
(;ФωФ)「!?」
lw´‐_‐ノv「…………来たの」
爪'ー`)y「ああ、来たよ、親友助けに、親愛なる姉を粛清しに、な」
先刻の幼女と同じく、月をバックに背の高いシルエットが窓へと浮かんでいる
ふぅ、と白濁した煙が夜空へと浮かび、やがて闇へと溶けていく
キャビン・プレステージのチョコレートの香が、僕らの方まで届いてきた
にんまりと、人を食ったような笑みを浮かべながら、フォックスは
自称親友はそこに立っていた
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:34:24.16 ID:13UETOXO0
(;ФωФ)「タバコ……」
(;・∀・)「フォックス……」
爪'ー`)y「ようよう親友、元気にしているか? 元気にしているといいことがあるんだと知っているか?
生きる気力をなくしてしまえばそれはもう死ぬことと同義ということを知っているか?」
軽い音を立てて教室内に足を下ろすと、ヘラヘラ笑いながらフォックスは僕の方まで歩いてくる
しかし、僕をの首を捕らえている幼女の言葉によって、その歩みは止まった
lw´‐_‐ノv「来たら殺すよ」
爪'ー`)y「穏やかじゃないなあ、姉さん」
lw´‐_‐ノv「穏やかは嫌いなの、お久しぶりね、愚弟」
爪'ー`)y「ああ、久しぶり、姉さんはその姿が、気に入ってるのか? その姉さんも好きだけど
俺はいつもの姉さんが好きだよ」
lw´‐_‐ノv「あんたに気に入られるのが嫌だったから、この姿なの」
(;・∀・)「…………?」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:35:58.56 ID:13UETOXO0
会話の内容が見えてこないが、ピンチだというのは相変わらずのことらしい
ていうか愚弟って、もしかして同僚とかじゃなくて姉弟なんだろうか
それにしても首に当たる鎌の存在感が異常
杉浦が僕の足元でぎりぎりと歯を鳴らしていた
(;・∀・)「……?」
(#ФωФ)「我が師に好き好き言いおって……我輩の方が好きだっちゅーねん……」
そこかよ
ていうかこいつロリコンだ、やべぇ
爪'ー`)y「ところで、親友、黒丸はどうした?」
ソレつかって抜け出せって事なのだろうか
でも、それは無茶な話だった
(;・∀・)「な、なくなった……砕けて」
仮にあったとしても、この状況で使うほどの勇気は、僕にはないだろう
使った瞬間に首を落とされてしまいそうだ
爪'ー`)y「まぁお試しだから仕方ないか、でも使い方は解っただろう? 後で本物の黒丸をやるから
今度はそれを上手く使うこったな」
(;・∀・)) コクコク
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:37:18.87 ID:13UETOXO0
lw´‐_‐ノv「まるでこれからがあるみたいな言い方をするのね、この子はここで死ぬんだよ?」
爪'ー`)y「いいや、死なないさ、俺の親友が、こんなところで死ぬわけないだろ?」
lw´‐_‐ノv「じゃあ、ここで殺してあげるから、アンタの親友はこんなところで死ぬ奴だったと絶望しなさい」
ぐっと強く刃が押し当てられた
:(; ∀ ):「ひぃっ!!」
背後の殺気が膨れ上がった瞬間、パチンっと乾いた音が教室内に響く
それはフォックスが鳴らした指の音で
爪'ー`)「姉さん、俺、最近友達ができたんだよ」
音が鳴った瞬間、教室の扉が開いた
lw;´‐_‐ノv「…………っ!?」
「こぉんばんは〜、削除人さん」
「ご機嫌いかが?」
「ちなみに私は最悪です」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:38:59.44 ID:13UETOXO0
(;ФωФ)「師っ……!!」
(;・∀・)「えっ、何!?何が起こってるの!?見えない!」
僕の背後で何が起こっているのか見えなくて、戸惑っていたら、いつの間にか前に来ていたらしい
フォックスが、僕の手を引っ張った
爪'ー`)y「首引っ込めて抜け出せ」
(;・∀・)「う、うん」
なんかよくわからないけど、今は鎌の動きが止まっている
チャンスとばかりに僕は後ろに下がると、鎌を避けてフォックスの方へと逃げていった
そうして振り返り、漸く今の状況が少し理解する、いや……
実際のところ、理解は出来ないけど、それでもなぜ鎌が止まったのか、その理由はわかった
( <●><●>)
从'ー'从lw;´‐_‐ノv('、`*川
幼女、シュールと呼ばれたフォックスの姉が、見たことのない三人に囲まれていた
それぞれが手に武器と呼べるような代物は持っていないものの、真ん中の彼女は動けないでいるようだ
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:40:28.25 ID:13UETOXO0
(;・∀・)「だ、誰?」
爪'ー`)y「友達だ」
(;・∀・)「お前友達いたの!?」
爪'ー`)y「失礼すぎるぞ親友」
( <●><●>)「友達ではありません死んで下さい」
爪'ー`)y
囲んでいるうちの一人が、フォックスの言葉を否定した
違うじゃん……
あんまり悲しい嘘はつくなよ
( <●><●>)「目的の一致と、それにより産まれる利益のための一時的な協力、勘違いしないで下さい」
黒いフードをすっぽり被った少年は、暗闇も相まって顔はよく見えないが、フードの中から覗く目がやたら印象的だった
彼の台詞に、囲まれたシュールさんは小さく呟く
lw´‐ _‐ノv「黒ムツ……」
('、`*川「ちなみに私は、あんたがかっこいいから協力したのよ、美形には優しいの、私」
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:42:11.12 ID:13UETOXO0
うふふ、と目元に黒子のある女性が薄く笑った
赤いカーディガンを纏った彼女は、大人の女性で、およそフォックスと友達になるような感じとは思えないが……
('、`*川「そ・れ・に」
(;・∀・)「……?」
('∀`*川「手なんて繋いじゃって! 仲がいいって素晴らしいわね!」
弾けんばかりの笑みを僕とフォックスに向けてきた
ニタァ、という感じの、あまりよくない感じの笑みだ、さっきまでの微笑みは綺麗だったのに
なんだろう、なんだかわからないけど、悪寒が走る、せ、背筋が寒い!
ゾワゾワ
:(;・∀・):「……おい?」
爪'ー`)y「……何も言うな」
lw´‐_‐ノv「風と木……」
从'ー'从「私はストレス発散だけど〜〜、友達になりたいなら、友達になってあげてもいいよ〜」
次に発言したのは、茶色い髪を肩辺りでカットした女性だった
年齢はわからないが、エプロンを見に纏っているあたり、人妻、なのだろうか?
ますますフォックスとのつながりがわからない
彼女は鈴を鳴らしたような声で笑うと、僕にもにっこりと笑みを向けてきた
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:44:18.40 ID:13UETOXO0
綺麗な笑みだったが、やはりどこか薄ら寒いものを感じる
lw´‐_‐ノv「……可愛い奥様……」
lw´ _ ノv ハァ……
lw#´‐_‐ノv「面倒な奴らばっかりあつめて……だからアンタは嫌いなのよ!」
その小さな体を震わせて、シュールさんは叫んだ
しかし彼女の周りを囲んでいる人たちは平気なようで、飄々とした顔で受け止めている
(;ФωФ)「し、師ーー!おのれ!規制さえなければ!」
lw´‐_‐ノv「黙って、ロマ」
(;ФωФ)「す、すみません……」
lw´‐_‐ノv「……フォックス……」
フォックスがジッポを開いて煙草に火をともすと、大分慣れてきたとはいえ
暗闇の中には少し異質な、赤い灯りが浮きあがる
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:45:41.09 ID:13UETOXO0
爪'ー`)y「素敵だろう? 友達って?」
( <●><●>)「友達ではありません」
爪'ー`)y「格好くらい付けさせてくれよ」
( <●><●>)「嫌です」
爪'ー`)y「…………」
lw´‐_‐ノv「本当に、素敵ね、まさか触れちゃいけないと言われている奴らを連れてくるなんて、本当に……」
lw´ _ ノv「むかつくわ」
('、`*川「っ!?」
从'ー'从「きゃー」
( <●><●>)「…………!」
その瞬間、シュールさんの体が大きく揺らいだ
眩い光が彼女の体を包み、僕達は目を開けていられない、さっきまでの暗闇の世界が
光の大群に襲われた
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:47:08.06 ID:13UETOXO0
「――――規制解除!」
光の中で、シュールさんの声が響く
(;-∀⊂)
(;・∀⊂) パチ
(;・∀・)「……!」
目を開くと、其処には見たことがない女性がいた
lw´‐ _‐ノv「………………」
さっきまでの幼女の面影はなく、色気漂う大人の女性が佇んでいた
lw´‐ _‐ノv「まったく…………最低、最悪だわ」
しかし服装はさっきのシュールさんと同じ、黒いワンピースにトンガリ帽子
本来ならこの想像は非常識極まりない、しかし、元々非常識な現象が起こり続けているんだ
こう考えるのが、ここでの常識だろう
この大人の女性は、さっきまでの幼女なのだと
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:49:08.10 ID:13UETOXO0
(;・∀・)「……フォ、フォックス……」
爪'ー`)y「婚期を逃した姿に戻ったのかい姉さん、正直俺はそっちの方が好みだね」
lw´‐ _‐ノv「もうアンタとなんて喋りたくない」
lw´‐ _‐ノv「ロマ」
(;ФωФ)「はっ、はひ!」
( ・∀・)「あっ」
いつの間にか、杉浦がシュールさんの後ろに立っていた
規制が解けたのか、あるいはさっきの光に乗じてシュールさんが解いたのか
ともかく杉浦は彼女の後ろに立つと再び刀を構えた
lw´‐ _‐ノv「いいよ、ロマ、今日はもう」
(;ФωФ)「えっ、いや……でも……タバコおりますし……」
lw´‐ _‐ノv「邪魔が多いから」
ちら、とシュールさんが仰いだ視線の先には、僕はまったく面識のない三人組
彼らはその視線に対して肩を竦めるだけだった
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:56:15.20 ID:13UETOXO0
lw´‐ _‐ノv「今日のところは見逃してあげるよ、愚弟、その坊やもね」
悔しそうに、彼女は僕らを見ながら言うと、窓へと手をかけた
その姿を見て、僕とは面識のない人たちがそれぞれぼやく
('、`*川「なんか負け犬の台詞っぽいわね」
从'ー'从「ペニサスちゃん辛らつぅ〜、でもその通りだね〜犬〜」
( <●><●>)「犬……刻みたい……」
面識のない方々は、なんか危ない奴らだった
出来るならば関わりあいたくないタイプ
lw#´‐ _‐ノv「っ……。あんたの周りはむかつくやつばっかり…………だから嫌いよ」
爪'ー`)y「それは残念だ、なぁ?」
(;・∀・)「い、いきなりふるな!」
(#ФωФ)「なっ、お前師狙っておるのか!?」
(;・∀・)「アホか!」
マゾじゃあるまいし、ねーよ!
lw ´‐ _ノv「……フン」
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 20:57:42.20 ID:13UETOXO0
シュールさんが、窓の脇に立った
来たときと同じく、月を背に、ただし違うのはシルエットが子供と大人になっている
というところだ
lw´‐ _‐ノv「愚弟」
爪'ー`)y「なんだい姉さん?」
lw´‐ _‐ノv「覚えておいてね、私、あなたのこと嫌いだから、クー姉はあなたの味方についてるかもしれないけど
それもずっと続くとは思わないで」
爪'ー`)y「………………」
lw´‐ _‐ノv「いつか殺すよ、そして」
lw´‐ _‐ノv「2ちゃんねるは、私のにするから」
それだけ呟いて、彼女は窓辺から身を乗り出し、消えていった
(;ФωФ)「ああっ、待ってください師!」
慌てて杉浦もその後を追う
ところでここは3階だったはずだけど
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 21:02:57.58 ID:13UETOXO0
なんとなく怖い想像をしてしまったので、僕は下を見ないことにした
あんな妙な能力持ってるんだから、大丈夫なんだろう、多分
彼らがいなくなったことにより、僕は今までの疲れがどっと押し寄せてきた
(;-∀-)「はぁ…………」
そのまま床にへたり込むと、今までの出来事を忘れるかのように、ゆっくりと目を閉じた
「……親友? 眠いかのか?」
フォックスの声が聞こえてきたけど、でも、もう無理
確かに眠いよ
今何時だと思ってるんだ、いや、知らないけどさ
でも、もう何時間もたったような、そんな気分だ
僕は深いところに意識を落とし、ゆっくりとその手を放した
願わくば、起きたときにはすべてが夢でありますように
……まぁ無理なんだろうけど、せめて夢の中では平穏に暮らしたいもんだよ
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/26(月) 21:03:54.72 ID:13UETOXO0
( -∀-)
だから今日のところはおやすみなさい
ほんのちょっとだけ、平和な夢を
六話、終わり
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