- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/14(木) 23:31:23.23 ID:vxotchqf0
「ですので、私は貴方程度と協定を結ぶ気はありませんね」
「生き物嫌い、だからな」
「なんせ姉さん直々に改造したんだ、お前の腕がちぎれない限り外れないぜ」
「あくまで"対名無しさん"ってことなのよ」「今男体化してるんだから」
「フヒヒヒヒ……地獄から舞い戻ってきたよぉ……モララー!!」
「いやああああああああああああああああああああああああああ!!!」
(;・∀・)
リリ;дリリ
('∀`*川「ああもう、なんて素晴らしい世界なのかしら!」
…………そんな馬鹿な……
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/14(木) 23:35:55.60 ID:vxotchqf0
( ・∀・)は隠れ2ちゃんねらのようです
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/14(木) 23:41:16.73 ID:vxotchqf0
:リリ;дリリ:「な、な、な、ななな、なんなんですか! これー!」
わなわなと震えながら、蒼白の顔で彼女、いや、"彼"はそう叫んだ
まあ、それも当然だろう
背中まであった長い髪は肩よりも短くなり、身長も少し高くなっている
体つきも細いとはいえ女性のような柔らかみはなくなってしまっていた
以前の彼女は病的に白く、細かったが、今の貞子さんはまるでサナトリウムで養生でも
していそうな少年に見えた
白い顔を赤く染める貞子さんに対して、ペニサスさんは飄々と笑う
('ー`*川「何って男体化よ、似合うわ! 素敵!」
輝かんばかりのその微笑は、きっと今の貞子さんにとっては腹立たしいものでしかないだろう
リリ#дリリ「ば、ば、ばかな、こと言わないで、ください! これじゃあモ、モララーくんの子供が
は、孕めないじゃ、な、ないですか!」
(;・∀・)「………………」
そして、僕はといえば
もうどこから突っ込めばいいのかわからず、一人で固まっていた
そういえば脱獄して襲ってきたはずのドクオは、いつの間にかペニサスさんに踏みつけられている
なにしに来たんだあいつ
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/14(木) 23:43:58.85 ID:vxotchqf0
おまけに、唯一の頼みにして、あまり頼りにならないフォックスは僕の隣で笑い転げているし
や、役に立たねぇな!
(;・∀・)σ「お、おいフォックス!」
:爪'n`):「……ん?」
(;・∀・)「笑ってんな! どうするんだよ、この空間! ていうかあれ何!? 何事!?」
爪'ー`)y「何って、見ての通り、男体化だろう」
(;・∀・)「一般常識みたいに答えるのやめてくれよ! 一体それになんの意味が!?」
まともに考えるならば、肉体強化、とかだろうか
女性よりも男性の方が力は強いから、そう考えると少しは納得もいく
だけど貞子さんは肉体で戦うタイプの女性じゃないし、一目見たらそれもわかりそうなものだ
それに何より、ペニサスさんはそういう、まあこれは僕の勘なんだけど
所謂戦うことにあまり興味を持ちそうなタイプに見えなかった
するとフォックスは相変わらず意味ありげに、口の端を持ち上げて笑みを作った
爪'ー`)y「なんだよなんだよ親友、お前は実は人の話を聞かない青少年か?」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/14(木) 23:46:25.78 ID:vxotchqf0
(;・∀・)「え?」
爪'ー`)y「さっきペニサスが言ってただろ」
(;・∀・)「言ってたって……な、何を?」
爪'ー`)y「だぁから、ここにいるのは"趣味"だって」
(;・∀・)「…………」
いや、言ってたけど!
人の性別変えるってどんなはた迷惑な趣味だよ、ていうかそれ趣味!?
(;・∀・)「い、意味がわからねえよ!」
爪'ー`)y「わからなくないさ、何せあの女は……」
(#'A`)「いい加減にしろ!!!」
('、`*川「あら」
その時、僕達の会話を裂くように、踏んづけられていたドクオがペニサスさんの足を払いのけ
起き上がった
忘れるところだったが、ドクオはまだ戦う意思があるらしく、鼻息荒くして立ち上がった
掌の上が淡く光り、出てくるロープを両手に持つと、鋭い眼光を僕へと向けてくる
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/14(木) 23:48:57.97 ID:vxotchqf0
(#'A`)「む、無視しやがって……! 俺を無視しやがって……! ふざけるな! いつもそうだ
お前はそうやって俺をいないもの扱い! 空気か!? 俺は空気か!
フヒ、フヒヒヒ、いいよ、ならその考えを後悔させてやるぁあああ!!」
(;・∀・)「……うわっ!?」
叫びながら、一直線にドクオは僕へと向かってきた
どうしてこんなに恨まれてるんだよ僕、何かした!?お前に!
( ・∀・)「くっ……!」
だけども、さっきみたいに慌てたりはしない、黙って突進なんてされるものか
僕は踏み込んできたドクオを見据えると、さっき付けられた腕輪に左手を覆い被せ、力の限り叫ぶ
( ・∀・)「――ぬるぽ!!」
腕が熱くなり、形状が変化していくのがわかった
僕の体に馴染むそれは手から離れたりなんてしない
槌となった黒丸はドクオの脳天に直撃する……はずだったのに
(#'A`)「させるかぁああ!」
(;・∀・)「っ!」
振り下ろす前に、僕は足を引っ張られた
何に、なんていうのは考えるまでもない、彼のロープだ
( ×∀×)「ガッ!」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/14(木) 23:51:07.09 ID:vxotchqf0
絡んだ縄は僕の足の自由を奪い、そうして、ものの見事に転倒した僕に
襲い掛かってくるのは自らの武器
気まぐれなぬるぽハンマーは実に鮮やかに僕の脳天へと直撃した
( ×∀;)「いっ……」
爪;'ー`)y「自滅ってお前……」
ぶっ倒れている僕に、フォックスが呆れたような表情で見下ろしてきた
う、うるさいな!!
ていうかなんで自分の武器が自分に当たるように作られているんだよ!
もっと考えろよ製作者!
('∀`)「フヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!! いい様だぜ!」
( ;∀・)「……くそっ……!」
未だ足に絡まる縄と、受けた衝撃のせいで思うようには動けない
僕は別に名無しさんではないから規制はされないけど、それでもこの槌、当たると普通に痛いんだよ
やばい、泣きそう
(#'A`)「だけど俺の怒りはこんなもんじゃねえんだぜぇ!?」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/14(木) 23:54:29.22 ID:vxotchqf0
しかしそんなことお構い無しに、今度は背後に何かを携え、ドクオは突撃してくる
ゆらりとうごめく影は、人の形を成していて
そして、その後ろにいる人影に、僕は見覚えがあった
(#'A`)「一緒に行くぜ! 俺の嫁ぇえええええ!」
綾波「…………」コク
(;・∀・)「んなーーー!?」
そう、背後にいたのは、新世紀エヴァンゲリオンに出てくるキャラクター、綾波レイ
オタクなら、いや、一般人でも知っている。僕だってアスカよりも綾波派だ
しかしドクオの後ろにいる彼女の体は薄っぺらく、まるで紙で出来ているような風体だった
(;・∀・)「なっ……なっ……!?」
爪'ー`)y「なんだありゃあ、変な服の女だな」
(゚A゚)「俺の嫁馬鹿にすんな!」
(#・∀・)「そーだよ! ていうかお前綾波知らないの!? どうかしてる!」
爪'ー`)y「……なんで敵側に感情移入してんだよ、親友」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/14(木) 23:57:41.11 ID:vxotchqf0
(゚A゚)「フヒヒヒ……俺の嫁は強いぜ、なんせ使途と戦うんだからな
でも普段は俺にべったりなんだよ、ご飯とかも作ってくれるんだ」
爪'ー`)y「なぁ親友、使途ってなんだ?」
(#・∀・)「お前ちょっと黙ってろ! ていうかドクオてめー! それお前の妄想じゃねーか!
ふざけんな! レイは僕の嫁だっつーの!」
爪'ー`)y
(゚A゚)「妄想で何が悪い! 俺は俺の妄想を最大限に生かして、妄想の中に生きるのが夢なんだよ!」
(#・∀・)「そりゃただのダメ人間だろ!」
(#'A`)「んだと……!? ば、馬鹿にしやがって、ちょっと顔がいいからって調子にのりやがって!
行くぞ!あやなっ……」
('、`*川「ちょっと、邪魔よ」
びり、という引き裂くような音がした
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:00:01.94 ID:IBAExkpd0
( ・∀・)「あ」
('A`)「あ」
爪'ー`)y「あ」
綾波「…………私が死んでも、代わりはいるもの」
まるで一枚の紙を真っ二つに裂くように
いとも簡単に綾波レイと言われたそれは二つに割れて消えた
まだ何もしてないのに、早々の退場に会場騒然、っていうか……
(゚A゚)「レ、レイイイイイイイーーーーー!」
(;う∀;)「うわあああああ! 綾波ぃいい!!」
爪'ー`)y「なんでお前も悲しんでるんだ?」
うるさい、今の僕はモララーじゃなくてシンジなんだよ! 邪魔するな!
そういうとフォックスは困惑した表情というか、憐れみの表情を僕に向けた。ムカツク
ていうかっ、今の行為は色んな人を敵に回したぞ!?
世界三大国民的ヒロインに対してなんてことを!
しかしそれをやってのけた人物は、大胆不敵に腕を組むばかりで、悪いとも思っていないようだった
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:03:07.28 ID:IBAExkpd0
('、`*川「ふぅ……ダメね、全然ダメ。 ちょっと美味しい展開になるかと思ってみてたけど
ならないんだもの、どうしてフォックスが助けないのよ、あんたやる気あるの?」
彼女は不服そうに鼻を鳴らすと、指を彼につきつけた
それに対してフォックスは軽く肩を竦めるが、僕には意味がわからない
今までの何が美味しい展開なのかも、何が不服だったのかも
そもそも、彼女は一体なんだ?
僕はまだ、詳しいことを何も聞いてないんじゃないだろうか
爪'ー`)y「お前の前でそういうことしたら、いい餌食だからな、俺は石橋は煙になって飛ぶ男だぜ」
('、`*川「いいじゃない、餌食になりなさいよ、楽しいわよ? 新世界で」
爪'ー`)y「遠慮するよ、新世界は俺が創るのだけで十分だ」
('、`*川「つまらない男、ならいいわよ。そこのブサイクで」
向き直り、ドクオを見て彼女は手に持っていたスケッチブックを広げた
さっき貞子さんの性別を作り変えた時のように、ちょっとだけ笑いながら
鼻歌でも歌わんばかりの雰囲気で
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:06:20.40 ID:IBAExkpd0
(#'A`)「な、おま、お前よくも俺の嫁を……!」
そんなペニサスさんを見て、ドクオは僕よりも怒りの矛先を彼女に向けたらしい
再び手から縄を取り出すと、剣呑な音をたてて振り回し始めた。怒りで体が震えている
僕は慌てて起き上がろうとしたが、フォックスが右手で制した
(;・∀・)「おい!」
爪'ー`)y「まぁ見てろって、大丈夫だから」
槌の直撃で疼く頭を抑えながら、僕はフォックスの後ろへと下がる
正直、フォックスが大丈夫だ、なんて言った理由は僕にはよくわからない
フォックスの仲間だというからには、恐らく彼女もどこかの板の名無しさんなのだろうけど
あんなスケッチブック一つで戦えるとは到底思えなかったし、何より女性だ
ドクオは雑魚キャラっぽい容姿をしているけど男だし、その能力は地味に危険なはずなのに
(;・∀・)「…………」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:09:00.82 ID:IBAExkpd0
(#'A`)「後悔させてやるぜ! お、女だからって容赦は」
('、`*川「ねぇブサイク、個人的に、妄想に生きるのは、私反対してないのよね」
(#'A`)「……は?」
近付くドクオに、彼女は視線を向けようともしない
ただ手元にあるスケッチを見下ろしながら、一心不乱に手を動かしている
その表情は、どこか楽しげだったが、しかし紡ぐ言葉はやけに淡々としていた
('、`*川「というか妄想があるから人は強いのよね
知ってる?妄想は人にだけ許された特権なの、ありとあらゆる生物が妄想するという楽しみを
持てないでいる、私は彼らが可哀相で可哀相で可哀相でならないわ」
(;'A`)「……なに」
('、`*川「だって彼らは知らないんでしょ?こんなに楽しい世界、素晴らしい世界、でも大丈夫よ
私が彼らを元に世界を作ってあげるから、私にはその力があるの
素敵な世界、素晴らしい世界を彼らにプレゼントしてあげられるのよ」
( A )「あ…………?」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:12:23.98 ID:IBAExkpd0
('、`*川「幸せでしょう? 羨ましいでしょう? だからあんたにもあげるわ!
私の幸せと萌えと楽しみのために、あんたに美化をプレゼントしてあげる」
そこで、彼女は一度顔を上げた
にこりと笑みを浮かべ、本当に楽しそうに、笑った
( A )「…………」
('ー`*川「あんたみたいなブサイクも導いてあげるわ!」
( A )「さっきからブサイクブサイクって……」
('A')「何言ってるんだい! 僕はそんな人間じゃないよ、お嬢さん!」
( ・∀・)
爪'ー`)y
誰だよ
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:15:15.69 ID:IBAExkpd0
なんだか綺麗な目になったその不気味な男を前にして、彼女は愉快そうに笑った
僕としてはどちらも怖い。本当に怖い
('∀`*川「うふふ、うふふふふ! ブサイクも嫌いじゃないけど、ジャンルが違うし、私やっぱり綺麗なのが好きなのよ!
そしてヤンデレ枠はもうさっき埋まったからあんたは紳士枠につっこんであげるわ!」
('A')「ははは、紅茶をどうぞ、モララーくん」
(;・∀・)「いらねーよ! つーかもうお前誰だよ!」
別に紅茶はもっていないくせに、紅茶を差し出す仕草がよけいにむかつく
なんなんだよ!ていうか綺麗かこれ!?きもくね!?
('A')「明日はロンドンでティーパーティがあるんだ」
(;・∀・)「も、もう意味がわからねえ……」
ドクオだった男は僕に爽やかな笑みを向けてきたが、正直やめてほしい
さっきまでフヒヒと笑っていた男がティーパーティとか言わないでほしい
紳士を何か勘違いしてないかこいつ
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:18:00.82 ID:IBAExkpd0
僕が困惑した視線をフォックスへと送ると、彼はようやく説明する気になったらしく
咥えていた煙草を外した
だからお前毎回説明が遅いんだよ
なんでその場その場になってから説明?もっと説明する時間あったじゃん!
しかし、今はそんな文句も言ってられる状況じゃなかった
爪'ー`)「彼女は風と木の名無しさん……通称801板の名無しさんだ」
( ・∀・)「え」
('∀`*川「美化も男体化も擬人化も、人間の妄想に委ねられたものにすぎないのよ!
そう、妄想って素晴らしいわ、だって自分の思い通りに出来るんだもの!
あなたもそう思うでしょう!?」
('A')「その通りだね、モドモアゼル」
(;・∀・)
突きつけられた事実に、僕はあんぐりと口をあけた。801板
僕はその存在は知っているが、やはり行ったことなどなかった
だって、そこは生き物嫌い板と同じくタブーとされている場所だ、VIPによくいる僕だが
801板にはちょっかいをかけるな、と掲示板に書かれているのを頻繁に見かけた
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:20:58.79 ID:IBAExkpd0
801板に突撃をかけて変わってしまった住人を僕は何人か知ってるし、凸しようとも思えなかった
決して近付いてはいけない、彼女達に萌えられないものはない
近付いたら一瞬で餌食だ
爪'ー`)y「ペニサスはな、あのスケッチブックに描いた妄想を、実現することができる」
煙を吐き出して、フォックスは言った
(;・∀・)「な、なにそれ、チートすぎるだろ……」
妄想を現実って、なんでもやりたい放題じゃないか
例えば世界征服だってお手のものなんじゃないのか、それ
あまりのチートっぷりに僕は愕然としたが、その返答にはフォックスは何故か首を横に振った
爪'ー`)y「そうでもない、描くのには時間がかかるし、その妄想はペニサスの目の前でしか
実現しないからな」
( ・∀・)「目の前?」
('、`*川「だって、私の前以外で繰り広げられる私の妄想に、なんの意味があるの?」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:23:09.36 ID:IBAExkpd0
いともたやすく、彼女は言った
ということは、だ。ペニサスさんの目を隠したり、スケッチブックを消せば
彼女の能力は使えなくなるってことなのだろうか
効力が大きい分、条件も限定されてくるみたいだ
('A')「やぁ、モララーくん、今日もいい天気だね」
しかし、それにしたって性格まで変わってるぞ……
曇ってるから別にいい天気でもないし
( ・∀・)「……あれがペニサスさんの理想のドクオなんですか?」
('、`*川「うーん、モララーくんが不満なら鬼畜路線にしても」
( ・∀・)「いや、あれが最高のドクオだと思います、僕」
冗談じゃない、これ以上危険に晒されてたまるか
僕は優雅な立ち振る舞いをしているドクオを見て、少しだけ安堵した
非常に気持ちは悪いけど、これなら唐突にロープで首絞められることも無さそうだから
僕は彼に見えないように携帯を取り出し、110をプッシュする
('A')
しかし、とんでもない能力もあったもんだ
性別も、性格すらも変えられるだなんて……って
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:26:00.66 ID:IBAExkpd0
( ・∀・)「あれ?」
そういえば、さっき性別を変えられた貞子さんは一体どこに?
さっきから姿が見えn
リリдリリ「……モララーくん」
(;・∀・)「うわあっ!?」
背後でぼそりと、いつもよりも低い声で呟かれて飛び上がった
け、気配を感じなかったよ!
:リリдリリ:「モララーくん、わ、私、こんな姿になっちゃったよ、ど、どうしよう……?」
(;・∀・)「さ、貞子さん……」
('、`*川「貞男くんよ」
(;・∀・)「ちょっと黙っててください! なんか話がこんがらがりそう!」
ぶるぶると震える貞子さんは、なんだか危うい雰囲気を纏っていた
彼女が実は根っからのヤンデレ体質だということを、僕は知っている
知りたくなかったけど知っている
だから、追い詰められると何をするかわからないんだ
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:29:02.46 ID:IBAExkpd0
爪'ー`)y「頑張れ親友、俺は正直な話、心底関わりたくないからここで見てるぜ」
(;・∀・)「て、てめぇ!」
親友とか言ってる癖に割と薄情!
('、`*川「大丈夫よ、私も嘗め回すように見てるわ!」
(;・∀・)「やめて下さい!」
というか、貞子さん元に戻せよ!
そんなことを言っている間にも、貞子さんはじりじりと僕に近寄ってきた
ああ、やばい後ろが壁だ、なんだろうこの絶望感、僕の中の危険信号が音を立てている
襲撃してきたはずのドクオに襲われるよりも危険なこの感じ、ああ、なんか目の色が怖いよ貞子さん
リリ;д;リリ「こ、こんな姿じゃモララーくんのお嫁さんになれないよ……、も、もうモララーくんを
こ、殺して、わ、私も、死ぬしかないかな……?そうだよね、それがい、いいよね……?
大丈夫だよ、い、痛くしないから……」
(;・∀・)「い、いやいや落ち着いて!これはペニサスさんの妄想なんだから、ペニサスさんが
いなくなれば元に戻るよ!」
リリдリリ
(;・∀・)「……さ、貞子さん?」
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:32:42.50 ID:IBAExkpd0
僕、何か言ったらいけないこと言いました?
じりじりと迫ってきていた貞子さんの体が止まった瞬間、僕の中の警告音が余計酷くなった
リリ#дリリ「や、やっぱり、あの女が、い、いけないんだね、モ、モララーくんより年上のくせして
モララーくんに色目なんて使うから……!」
(;・∀・)「さ、貞子さん?ちょっと落ち着いて……」
リリ゚дリリ「あの、お、女が、い、いなくなれば!!」
('A')「やぁ、不穏な雰囲気だね」
まったくだ
僕はどうやら押してはいけないボタンを全部押して
踏んではいけない地雷を踏んでしまったらしい
貞子さんは髪の毛の奥に隠した瞳に、鈍い光を宿らせ
ゆっくりと手を胸の方へと持ってくる
リリдリリ「…………さぁさ、私に力を貸してね、呪われた可愛い子達
美味しいご飯を上げるから」
胸の前に翳された手の中に、空気が集まるようにして、一つの木箱が形成されていく
おい、ちょっと待ってくれよ
(;・∀・)「…………おいフォックス」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:37:41.89 ID:IBAExkpd0
爪'ー`)y「なんだ?親友」
(;・∀・)「貞子さんは今、能力を規制されてるから使えないはずだよな?」
爪'ー`)y「ああ、貞子は規制されてるな」
そう、僕と戦った後、彼女はフォックスに能力を規制された
フォックスの規制解除無し以外に、彼女が能力を使うことはありえないはずだ、それなのに
リリдリリ「えへ、えへへ……、ま、待っててねモララーくん、い、今貴方の貞子にも
戻るからねぇ……!」
すぅ、と息を吸い込むと、彼女は目を見開いた
リリ゚дリリ「呪……ます……コトリバコ!」
言った先のの彼の手の中には、やけに古びた、胸に納まるくらいの木箱が握られている
(;・∀・)「使えてるじゃん!出てるじゃんコトリバコ!」
爪'ー`)y「そりゃあ、貞子は今規制されてるけどな、親友、今あそこにいるのは貞子じゃいだろ?」
(;・∀・)「なっ……」
なんだよ、それ
(;・∀・)「なんだよ、その言い方」
それじゃあ、まるで
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:40:51.12 ID:IBAExkpd0
爪'ー`)y「貞子は使えなくても、貞男は使えるだろ、能力」
(;・∀・)「そ……」
そんなのありかよー!
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:46:35.78 ID:IBAExkpd0
リリдリリ「いらっしゃい……トミノ! あの女を地獄のお供に連れて行って!」
貞子さんが叫ぶ
すると、箱の中から一人の女の子が出てきた
和服姿の女の子は、にやつきながら歌を唄っている、その目はどこか濁っていて
背中に悪寒を覚えた
('、`*川「あらあら、可愛い男の子が出すのは可愛い男の子って相場は決まってるのよ?
女の子は不要、私が新しい世界に導いてあげる!」
対するペニサスさんもスケッチブックを構え、物凄い速さで何かを書き上げていく
もう、僕には間に入れそうにない、というかこんな暗いオーラの中に飛び込める勇者が
いたら、お目にかかりたいものだと思う
一触即発なその中で、僕はごくりと唾を飲み込んだ
最初に動いたのは、貞子さんだった
リリдリリ「さぁ、貴方のお歌、きかせてあげて!」
右手をペニサスさんの前に差し出すと、出てきた女の子は口に歌を乗せながら
ゆらりゆらりと、歩いていく
('、`*川「生憎、私は地獄なんかより自分で創る天国が好きなの」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 00:54:27.28 ID:IBAExkpd0
やけに頭に響く歌に僕は耳を塞いだが、それでも尚聞こえてくる
(;・∀-)「な、んだこれ……?」
爪'ー`)y「トミノの地獄、だ、あんまり聞かない方が得策だぜ?親友」
(;・∀-)「んなこと言ったって……!」
耳をふさいでも聞こえて来るんだから仕方ないじゃないか!
これじゃあ流石のペニサスさんも、と思って視線を移すと、彼女は爛々とした目で
語っていた
('、`*川「例えば貴方が地獄に落ちた少年だとするじゃない? 一人で黄泉の旅路を
行かなくてはならなかった幼い少年だとして、彼は道連れに一人の男を選ぶの
それが貴方だとしましょう、少年は貴方にとてもとても傾倒するわ
孤独を癒してくれる貴方だけを尊敬し、崇拝し、なんでも命令をきくようになるの
でもそれもいつしか終わりを迎える、貴方が他の誰かを好きになってしまうことで
少年は貴方への恋心を諦めなくてはいけなくなるの、それでも貴方に
付き従う少年の心はやがて憎悪と愛情と嫉妬にまみれていくの、ねえそれって本当に最高だわ!」
( ・∀・)「………………」
爪'ー`)y「耳に入ってないなありゃあ」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 01:00:51.79 ID:IBAExkpd0
リリ#дリリ「くっ……!」
貞子さんは悔しそうに歯をかみ締めた
気の毒に……、まさかスルーされるとは思ってなかったんだろう
というか、周りの人にも被害が及ぶからトミノちゃんの歌止めて欲しい
('、`*川「ああ、そうそう、やっぱり幽霊ってのもポイント高いわ、だって触れたいのに
触れられないってなんか切ないじゃない? 自分は生きているのに
相手は死んでいる、それって永遠の片思いよね、悲恋よね
私そういうのも嫌いじゃないわ、だけどやっぱりそこには愛がなくちゃね」
リリ#дリリ「うるさい! だ、黙れ!」
('、`*川「なあに?悔しいの?いいわよ、そういう顔もだぁい好きだから
せいぜい悔しがって病んで愛する人と添い遂げなさい」
嘲笑するように言ったペニサスさんに、貞子さんは声を張り上げた
ちょっと、やばい空気なんじゃないだろうか
いや、やばいといえば最初からやばかったけど
明らかに怒りの色が変わった気がする
リリ#゚дリリ「お、おまぇええええええええええええええ!!」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 01:03:13.28 ID:IBAExkpd0
ぶわり、とコトリバコの中からなにかがあふれ出したように思えた
それは僕には見えない、けれど、良くないものだということだけはわかる
あれは、そう、危険だ
(;・∀・)「!!」
やばい、と感じたときには、もう手遅れだった
('A')「うら若き乙女よ! 喧嘩は止めたまえ!」
―――ドクオが
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 01:06:29.21 ID:IBAExkpd0
( ・∀・)「あ」
爪'ー`)y「あ」
('、`*川「あ」
リリдリリ「あ」
(゚A゚)「ぐぁあああああああああああああああああああああああああ!」
コトリバコから溢れたそれはものの見事にドクオへ直撃すると、消えていった
イメージとしては雷に打たれた人間って感じだ
僕は間近で見て思わずすげぇ……と呟いてしまった
それ、にぶつかったドクオはびくんびくんと痙攣してぶっ倒れ
その後到着した警察によって連れて行かれた
…………無茶しやがって……
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 01:11:14.88 ID:IBAExkpd0
- *
川д川「ご、ごめんね、モ、モララーくん……わ、わたしちょっとカチンときちゃって……」
( ・∀・)「いや、いいよ、うん……本当、あの、気にしないで……」
ペコペコと頭を下げる貞子さんは、もうすっかり元の女の子の姿に戻っていた
と、いうのも、ペニサスさんがあれから用事があると帰ったせいだった
最後まではた迷惑な感じの人だ、できるならもう会いたくない
('、`*川『いい妄想もらったから次会ったら本あげるわね!
ワカッテマスの課題頑張ってね〜、また来るわ!』
ひらひらと手を振っていく彼女を見て、僕は出来れば来ないで欲しいと思った
隣でフォックスがニヤニヤと笑っている
お前は本当に今回全然役に立たなかったなあ
( ・∀・)「お前は本当に今回全然役に立たなかったなあ」
爪'ー`)y「本音が出てるぜ親友」
( ・∀・)「出したんだよ」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/15(金) 01:15:05.61 ID:IBAExkpd0
ズキズキと痛む頭を抱えて、僕は睨みつけた
あんまり頼り切るのもよくないとは思うけど、もうちょっとくらい手伝ってくれてもいいじゃないか
爪'ー`)y「名無し狩りは手伝うぜ?」
(;・∀・)「人の心の内を読むな、ていうかやらないよ!」
爪'ー`)y「それはどうかねえ……」
どこか含むような笑みを向けられ、僕は頭痛が更に酷くなった
川д川「あう……モララーくん、ひ、引いちゃったかな……あの女……いつか殺す……」
(;-∀-)
なんだろう、僕自身は変わってないはずなのに、気づけばどんどん面倒なことに
巻き込まれていってるような……
ああもう神様、いい加減にしてください!
第八話、終わり
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