- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:16:07.31 ID:tfAG87r+0
夕闇に染まる部屋。
ベッドと小さな机に椅子しかない質素な部屋だ。
長身痩躯の男はカーテンで西日をさえぎると、ベッドの淵に座り込んだ。
ベッドに横たわるのは若い女性。
その瞳は閉じられ、規則的に胸が上下している。
( ´_ゝ`)「さぁお前の物語を見せてくれ」」
アニジャは芝居がかった口調で一人ごちた。
骨ばった手を翳し,自身もまた瞳を閉じる。
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:17:12.94 ID:tfAG87r+0
鈍色に左手は輝く。
それを確認すると、アニジャは女のように細い腕を伸ばした。
( ´_ゝ`)「これは・・・まだ見たことのない色か」
ウキウキとした様子で大仰に手を振る。
左手の輝きはその色を増しベッドに横たわる女性の頭を覆った。
煌々と明滅する鈍色の光は瞬きごとに大きくなる。
( ´_ゝ`)「さぁ、我が蔵書となれ」
その言葉を皮切りに明滅する光は主張することをやめた。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:18:00.20 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)ブックメイカーのようです
.
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:20:33.58 ID:tfAG87r+0
流れ出る記憶の奔流とイメージ。
断片的に伝わる報われない思いと一途な思考がなんとも居た堪れない。
( ´_ゝ`)「ふむ、これは面妖な」
神妙な面持ちで長身痩躯の男、アニジャは珈琲を片手にそう呟いた。
英国紳士を思わせるその風貌は、何やら怪しい雰囲気を醸し出している。
視線の先にはベッドに横たわる一人の少女。
犯罪の匂いがするこの部屋でアニジャは珈琲の匂いを楽しみながら思案していた。
( ´_ゝ`)(まだ終わっていない…?)
自分の左手を目の高さまで挙げて発光を確認する。
何も、異常はない。
血潮はとめどなく流れているし、まして手首から上がありませんなんてこともない。
アニジャは納得の行かない様子で少女を一瞥すると、珈琲をテーブルに置きイスに凭れるようにして座った。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:21:53.80 ID:tfAG87r+0
本化に失敗すること三回。
その度にアニジャはこの少女の深層意識、または記憶を垣間見た。
強く一途な思いと、それを押さえつける理性と、自分以外の何かに対する絶望。
一度目は自分のミスかとも思ったがここまで来るとこの少女に原因があるとしか思えない。
ζ(-、-*ζ「ムニャ・・・・・兄さん・・・」
すやすやと寝息を立てる少女。
その寝顔は覗き見た記憶からは到底考えられないほど安らかなものだった。
( ´_ゝ`)「まぁ致し方ない。それより小腹がすいたな」
色々と考えるべきことはあるが、腹が減っては何とやらだ。
アニジャは少女を起こさないように締め切っていた窓を開け放つと、軽やかな足取りで階下へと降りていった。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:24:20.47 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「何か食べるものはないだろうか女将」
从 ゚∀从「あぁちょうど今出来たところさ。肉じゃがっていってね、この辺の郷土料理なんだ」
(*´_ゝ`)「ほう、それは楽しみだ。その肉じゃがとやらは我の肥えた舌をも唸らせるほどの品かな?」
从 ゚∀从「なーに言ってんだい。たかだか握り飯くらいで喜ぶくせにさ」
( ´_ゝ`)「汝、握り飯の素晴らしさを分かっておらぬな?」
( ´_ゝ`)「よいか?握り飯というのは…」
从 ゚∀从「わかったわかった。ところで、さっきアンタが連れてきた女の子大丈夫そうかい?」
( ´_ゝ`)「む…、まぁよい。ちなみにその少女のことなら心配はない。ぐっすりと寝ているところだ」
从 ゚∀从「そりゃあよかった」
从 ゚∀从「で?なんだいあの子は。あんたのコレって訳じゃないだろう?」
言いながらハインは小指を立ててみせる。
( ´_ゝ`)「我が手を出したらそれこそ犯罪である」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:26:32.75 ID:tfAG87r+0
从 ゚∀从「まさか誘拐じゃないだろうね?」
訝しげに目を細めるハインを受け流しアニジャは
大きく身振り手振りをつけて話し始める。
( ´_ゝ`)「我が日課の散歩をしていたところ、ふと思いついてな、いつもは通らぬ裏の路地を通ったのだ」
( ´_ゝ`)「すると郊外の森らしき場所にたどり着いてな。これは面白いと思い汝に話して聞かせようと引き返したのだが・・・」
( ´_ゝ`)「その際に空から降ってきたゆえ拾って帰ってきた次第」
我ながら的確な説明だと思い、思わずドヤ顔になってしまった。
从;゚∀从「はぁ?」
( ´_ゝ`)「大方足を踏み外したのであろう」
( ´_ゝ`)「周りは切り立っていたゆえ」
从 ゚∀从「あーね。ご苦労なこって」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:28:48.90 ID:tfAG87r+0
- 从 ゚∀从「そんじゃ、起きたら家までおくってやんなよ」
( ´_ゝ`)「了解した」
从 ゚∀从「しっかしあんたが通りがかってよかったねぇ。九死に一生を得たってやつじゃないか」
人が死ぬのは、あまり好きではない。
それは、倫理的な意味や正義がどうとかそういう話ではなくって、
ただ純粋に物語が意図せずして終わってしまうのが残念でならないからだ。
从 ゚∀从「大体あんたもよくキャッチしたもんだ」
( ´_ゝ`)「なに、我にかかればこの程度、なんということはない」
从 ゚∀从「はっはっは。そりゃ頼もしいよ」
多分それはその他大勢の人間と同じ感情なんだろう。
ただ少し、感じ方や解釈の仕方が違うだけ。
つまるところその個性こそが物語なのだ。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:30:19.37 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「して女将よ。にくじゃがというのはまだかな?」
从 ゚∀从「はいはい、準備するからそれまで大好きな本でも読んで待ってな」
( ´_ゝ`)「出来る限りの迅速な行動が求められるぞ女将」
手を振りつつ厨房へと消える女将を横目にアニジャはイスに腰掛けた。
偶然、テーブルの上に新聞があったので、何の気なしに開いてみる。
たくさんの見出しと溢れる活字。
その中でも目に留まる見出しが一つ。
( ´_ゝ`)「女将よ、原因不明の失踪事件が相次いでいるそうだ」
< へぇそいつは怖いねぇ
( ´_ゝ`)「汝の危機感のなさにはこの我も感服する」
<だってそんなもん知ったところでこっちはどうしようもないだろう?
( ´_ゝ`)「クックック。違いない」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:32:36.57 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「汝は稀に実に的を射ていることを言うな」
自分では理解していないだろうが、何の気なしに言った言葉が
アニジャの頭に深く留まることが多々ある。
<はっはっは。褒めてんのかい?
( ´_ゝ`)「紛れもなく賞賛であるよ。我でさえ深く考えさせられる」
<そりゃよかったね
知らない事は多い。
でも大抵の事は知ってどうなるものでもない。
この件も注意を喚起したところでたいした意味はない。
事件というのは自分の意思とは関係なく起こるものだ。
あるものはあるしないものはない。
物語だって一緒だ。
作者が唐突に終わりを告げたりあるいは蒸発したところで読者にはどうしようもない。
外野がどう叫んだところで真相は水の中。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:34:01.62 ID:tfAG87r+0
読者の意思とは関係なく唐突に物語は終わりを告げ
いずれは記憶のそこへと埋もれて
誰にも話されることすらない。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:35:37.07 ID:tfAG87r+0
完結は―――――
簡単なようで難しい。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:36:59.27 ID:tfAG87r+0
=====================================================================
( - _ゝ-)zzzzz
( ´_ゝ`)パチッ
( - _ゝ-)zzzzz
うつら、うつらと舟を漕ぐ。
開け放した窓から入る冷たい風が心地よい。
寝ぼけた頭で思考を巡らせる。
この少女は自ら物語を終わらせようとした。
女将の手前事故と誤魔化したが、アニジャはそう考えていた。
もちろん推測の域を出ないし、確信があるわけでもない。
どんな理由があるにせよアニジャには関係ないし自分の意思で決めたのならそれも仕方ないからどうこう言うつもりはない。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:38:33.80 ID:tfAG87r+0
- ただ思うのは、、、、
オレならもっと面白い物語を作れるのに。
オレならもっと綺麗な展開に出来るのに。
オレなら――――
.
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:39:42.86 ID:tfAG87r+0
「オトジャ、たまには外に出たらどうだ」
( ´_ゝ`)『オレは日差しが当たると死ぬように出来てるんだ』
「オトジャ、オススメの本はないのか?」
( ´_ゝ`)『そうだな…。その辺に積んでる奴を持ってくといい』
「オトジャ、君は本当に物語という言葉をよく使う」
( ´_ゝ`)『そうか?そうかもしれないな…』
「オトジャ、物語を追いかけるのはもうやめだ」
『オト…ジャ?オトジャって…誰だ?』
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:41:38.13 ID:tfAG87r+0
- =================================================================
(;´_ゝ`)「ふっ・・・」
ζ(゚ー゚;ζ「あのう、大丈夫ですか?」
いつの間にやら寝ていたようだ。
首筋を伝う汗が魘されていたことを物語る。
(;´_ゝ`) (今のは…なんだ?夢・・・か?)
聞き覚えのない女性の声と聞き覚えのない名前。
そして、「オトジャ」、この言葉が頭をぐるぐる巡る。
ζ(゚ー゚*ζ「あの…」
( ´_ゝ`)「おおこれは失礼した」
( ´_ゝ`)「我が名はアニジャ、しがない小説家である」
ζ(゚―゚*ζ「私はその、デレと言います」
口を真一文字に結び、あきらかに警戒している。
誤解されないよう、慎重に言葉を選んでいく。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:43:17.94 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「我が今朝、散歩をしていたところ・・・」
ζ(゚―゚*ζ「大丈夫です。大体わかってますから」
( ´_ゝ`)(む・・・?)
初めて会話を交わしたデレの印象は違和感、の一言だった。
あるべきはずの動揺が不自然なほど、この娘にはない。
ζ(゚―゚*ζ「今何時ごろですか?」
( ´_ゝ`)「夕方の七時といったところか」
ζ(゚―゚*ζ「そうですか。ちなみにここはどこでしょうか?」
( ´_ゝ`)「我が滞在している民宿で、タカオカ荘というところだ」
( ´_ゝ`)(やはり、事故ではないな・・・)
アニジャの存在は別にして、
自分がどういった経緯でここにいるのか大まかにしろ理解している様子だった。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:46:26.50 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「ではデレ。家までお送りいたそう」
あくまで訝しさが残らぬように言うと
椅子にかけてあったオーバーコートを羽織り、シルクハットをかぶる。
ζ(゚―゚*ζ「大丈夫です。一人で帰れます」
( ´_ゝ`)「遠慮はするものではないぞ、ご令嬢」
それに―――
と付け足してアニジャは言う。
( ´_ゝ`)「途中で身投げでもされたら我としてもなかなか後味の悪いものがあるのでな」
ζ(゚―゚;ζ「ッ!」
推測は当たっていたようだった。
一瞬、隠そうとする素振りを見せたデレだったが、諦めたように顔を歪める。
( ´_ゝ`)「そんなに緊張せずともよい。これは我なりの敬意なのだ」
( ´_ゝ`)「美しい物語には相応の敬意を払わねばなるまい?」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:49:36.79 ID:tfAG87r+0
月明かりを頼りにしてアニジャ達は歩いていた。
デレはちらちらとアニジャの顔を覗き込むようにして見る。
( ´_ゝ`)「なにようかな?」
ζ(゚―゚;ζ「え?いやっ…なんでもないです」
( ´_ゝ`)「物事というのは言わなければ悪化の一途を辿るばかりであるよ?」
ζ(゚、゚*ζ「なんでもありませんから」
突き放したような口調。
どうやらあまり好ましく思われてはいないらしい。
ζ(゚―゚*ζ「ここまでで結構です。もうそこですから」
含んだような笑みを浮かべ、軽く会釈をすると
デレは小走りに駆けていった。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:50:52.38 ID:tfAG87r+0
ζ(゚ー゚*ζ「兄さんただいま」
言葉とともに男を抱きしめるデレ。
およそ年頃の兄妹とは思えないほど仲がいい。
(´・_ゝ・`)「こんな遅くまでどこ行ってたんだ!心配したんだぞ」
(´・_ゝ・`)「ただでさえ物騒なんだから…」
ζ(゚、゚*ζ「もう…兄さんは過保護だよ」
(´・_ゝ・`)「ははは、たった一人の妹なんだ。心配もするさ」
ζ(゚ー゚*ζ「それに寝てなきゃダメじゃない」
(´・_ゝ・`)「今日は体の調子がいいんだ」
デレは当然ながらアニジャと話す時とはいたって違い
にこやかで感情豊かに話していた。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:53:22.08 ID:tfAG87r+0
(´・_ゝ・`)「ところで・・・後ろの方は?」
( ´_ゝ`)「これは失礼した。我が名はアニジャ。しがない小説家である」
(´;・_ゝ・`)「ど、どうも。デミタスです」
夜も更けているためあまりよくは見えないが、
痩せ型のアニジャよりもさらに細く、小柄な体格をしている。
ζ(゚、゚;ζ「なんでいるんですか・・・」
( ´_ゝ`)「そこな彼女とは今日偶然知り合っただけゆえ、案ずる事はない」
(´・_ゝ・`)「はぁ、そうでしたか」
デレだけでなくデミタスの顔も少なからず迷惑そうな顔をしている。
兄妹そろって恩人に対して失礼なものだ。
兄の方は事情を知らないのだから仕方ないといえばそうなのだが。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:55:06.17 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「ところで汝、此の者の伴侶であるか?」
Σζ(゚、゚;ζ「ちょ、ちょっと聞いてなかったんですか!?兄ですよ!」
大きすぎるほどの反応。
あながち間違いではないようだ。
( ´_ゝ`)(いや、むしろ・・・)
( ´_ゝ`)「ほう?そうは見えぬが?では恋人の類でも?」
(´;・_ゝ・`)「ただの兄弟ですよ。いきなりなんなんです?」
( ´_ゝ`)「では恋慕の情すら抱いてないと?」
(´・_ゝ・`)「当たり前じゃないですか!僕たちは家族ですよ」
アニジャはわざとらしくうーむ、と唸り腕を組む。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 22:56:30.38 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「無粋なことを聞いたな」
(´・_ゝ・`)「もういいですから帰ってください」
心底鬱陶しそうな顔でデミタスは言う。
デレ同様彼もなかなかに閉鎖的な性格のようだ。
( ´_ゝ`)「そう機嫌を損ねずとも帰るつもりであるゆえ」
(´・_ゝ・`)「今日はデレがお世話になりました」
アニジャはそれを受け流し、大きな会釈と手振りで別れを告げると
( ´_ゝ`)「恋は盲目、とはよく言ったものであるな」
一言つぶやいて邸宅を後にした。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/18(水) 22:58:42.02 ID:tfAG87r+0
アニジャは確信していた。
先の少女、デレの物語は終わっていない。
当初、自ら死を選ぼうとしたデレの本は終わりを迎えているのだと思っていた。
「自ら未完を迎える事を選んだ物語に読まれる価値はない」
というのはアニジャの持論でありポリシーである。
それでもアニジャがデレを本にしようとしたのはその美しさが故。
.
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:02:19.14 ID:tfAG87r+0
例え未完だとしてもあまりに勿体ない、そう感じたからだ。
ミロのヴィーナス的不完全な美しさ、に賭けてのことだった。
そしてその感は思いもよらぬ形でヒットした。
始めから物語は終わってなどいなかったのだ。
(*´_ゝ`)「あぁ・・・やはり物語というものは美しい」
言うなればデレの身投げは物語のターニングポイント、『転』、『破』。
だからこそアニジャがデレを助けるにいたったのは必然だった。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:03:44.71 ID:tfAG87r+0
ただ一つだけ、疑問が残る。
なぜ、デレが本にならなかったのか。
本来ならば物語が中途であろうと、本にすることは出来る。
しかしデレの場合はその兆候すら見られなかった。
これもまた推測にすぎないが、
本化を押さえつけるほどの強い思いがデレの中にあったのではないか。
これがアニジャの見解だった。
(*´_ゝ`)「どうして人はこうも我の心を捉えて離さないのか・・・」
子供のようにウキウキとした足取りで帰路に着くアニジャ。
新しいおもちゃを見つけたと言わんばかりに思考を巡らせるのだった。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:05:30.02 ID:tfAG87r+0
翌朝、アニジャは眼が覚めるとすぐに屋外へと出た。
目的地はもちろんデレとデミタスの邸宅。
気になることがあるとついつい首を突っ込んでしまうのがアニジャの悪い癖だった。
ハインをしておっさん間近の癖に妙に幼いと言わしめたほどだ。
もちろんアニジャにも止まるべきラインはあって、
筋書きを変えることは絶対に許さない。
物語に対する愚弄だと考えている。
ただ、それでもトゥルーエンドを目指したいと思うのが心情というもの。
誰だって読むなら面白いほうがいいだろう?
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:08:21.95 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「さて、確かこのへんであったな」
比較的田舎なこの街でも、とりわけ郊外にたどり着く。
記憶が正しければこのあたりに邸宅があったはずなのだが。
アニジャは一度歩を止め、辺りを見回す。
ζ(゚、゚*ζ≡3 タッタッタッタッ
探す手間もなく、前方にデレを見かける。
( ´_ゝ`)「おぉこれはこれは、偶然であるな!」
ζ(゚―゚*ζ「・・・おはようございます」
わざと、大仰に驚いてみせる。
もちろん彼女も承知のようで、あからさまに嫌そうな顔をして見せた。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:09:22.09 ID:tfAG87r+0
ζ(゚―゚*ζ「・・・昨日のことですか?」
(;´_ゝ`)「仮にも命の恩人である我にそこまで辛辣な態度をとらずともよかろう」
ζ(゚―゚*ζ「誰も助けてくれだなんて頼んでないです」
( ´_ゝ`)「それはすまなかった」
きっとその言葉に嘘はないのだろう。
もし死んだとしても後悔はなかった。
なんとなく諦めと呆れの入り混じった、そんな声だった。
ζ(゚―゚*ζ「怒らないんですね」
( ´_ゝ`)「我には関係ないゆえ」
ζ(゚―゚*ζ「もっとめんどくさい人かと思ってました」
一瞬だけ、本当に一瞬だけニコリと笑った。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:12:58.82 ID:tfAG87r+0
- 沈黙が、流れる。
デレは、さっさとここから離れたい、そう思っていたはずなのに、
なぜか足が動かない。
ζ(゚、゚*ζ「あの・・・」
言うつもりの台詞などなかった。
ただ重苦しい空気から逃れたくて、自分を追い込んだに過ぎない。
ζ(゚―゚*ζ「兄には内緒にしてくださいね。体が弱いから心配かけたくないんですよ」
( ´_ゝ`)「ふむ・・・病弱な兄を残して身投げとな?」
ζ(゚、゚;ζ「ッ!それは・・・!」
一寸前を後悔した。
やはり、すぐに立ち去るべきだったのに。
ζ(-、-*ζ「魔がさしただけですよ」
そう、本当に、魔が差したのだ。
嘘は、言ってない。
確かにあの時デレは、自身を取り巻く環境に失意し、絶望し、厭世していた。
( ´_ゝ`)「理由を聞かせてくれはしまいか?」
ζ(゚―゚*ζ「分かりきってることを聞くんですか?」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:14:56.94 ID:tfAG87r+0
ζ(゚―゚*ζ「そうですよ、兄が好きなんです。」
吐き捨てる。
決して瞳は逸らさずに。
毅然とした表情でアニジャと向き合った。
( ´_ゝ`)「実の兄をかな?」
ζ(゚―゚*ζ「いけませんか?」
昨夜からこの男には苛立ちが募っていた。
見透かしたような目と、芝居がかった口調。
全てが癪に障る。
どうせこの男は分かっていた。
分かった上で聞いているのだ。
だからこうも腹が立つのだろう。
だからこうも癪に障るのだろう。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:16:11.34 ID:tfAG87r+0
ζ(゚―゚*ζ「誰を好きになろうと私の勝手でしょう?昨日あったばかりのあなたなんかに・・・」
デレは口調の棘を諌めることが出来なくなっていた。
言いたいことが口を衝いて出てしまう。
( ´_ゝ`)「無理をせずともよい」
ζ(゚―゚*ζ「はい?」
( ´_ゝ`)「無理に気を張らずともよいと言っているのだ」
ζ(゚、゚#ζ「分かったような口聞かないでくださいッ!」
どうせなら他と同じようにはっきりと嫌悪をさらけ出してくれればいい。
みんなと同じように後ろ指を差して、避けてくれればどんなに楽か。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:18:00.99 ID:tfAG87r+0
物好きなのか偽善者なのかはたまた別の何かなのかはわからないけれど、
はっきり言って迷惑だ。
ζ(゚―゚*ζ「・・・ごめんなさい」
( ´_ゝ`)「誰にも理解されないというのは辛きこと」
( ´_ゝ`)「そうであろう?」
その言葉にデレは硬直する。
ズカズカと土足で心のうちに入り込んでくる不躾さにほとほと愛想が尽きる。
ζ(゚、゚*ζ「ッ・・・!」
アニジャの言うことは正しい。
だからこそ、出会って間もない人間に言われたくはないのだ。
焦りや憤り、その表情を気取られぬように瞳を閉じた。
ζ(-、-*ζ「心配しないでください。もう身投げなんて馬鹿なことしませんから」
ζ(゚―゚*ζ「朝市に行ってくるので、さようなら」
突き放すように言って駆け出したデレ。
その後姿をアニジャは静かに見守っていた。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:20:26.46 ID:tfAG87r+0
(´・_ゝ・`)「またあなたですか」
( ´_ゝ`)(細い・・・な・・・)
昨夜は真っ暗だったのもあってかよく分からなかったが、
この男、アニジャ以上に華奢な体つきをしていた。
いや、というよりやせこけているとでも言うのか。
( ´_ゝ`)「少し話がしたかっただけのこと。迷惑ならば帰るつもりだ」
無論断られるとは考えていない。
もし断られたとしてもどうにか話をするつもりだった。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:22:21.92 ID:tfAG87r+0
(´・_ゝ・`)「・・・入ってください」
( ´_ゝ`)「失礼しよう」
アニジャの前を歩くデミタス。
その体はすこしふらついていた。
声にも覇気がなく、人目で体調が優れないことが分かる。
(´・_ゝ・`)「それで、話ってなんです?」
(´;・_ゝ・`)「ゴホッゴホッ」
直後、デミタスは咳き込んだ。
血が混ざり、乾いた音がする。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:27:48.44 ID:tfAG87r+0
明らかな、表情の変化。
焦りとそれを隠そうとする汗。
兄妹そろって同じような表情をする。
(´;・_ゝ・`)「なんですか藪から棒に・・」
( ´_ゝ`)「なぁにこれは我なりの親切なのだ」
( ´_ゝ`)「美しい物語には相応の敬意を払わねばなるまい?」
アニジャは続けた。
( ´_ゝ`)「人の感情は複雑なもの。身近なものに恋慕の情を抱くこともあろう」
( ´_ゝ`)「しかし誰がなんと言おうとそれは間違いではない」
(´;・_ゝ・`)「やめてください」
( ´_ゝ`)「人の物語は軌道修正せねばならない事があったとしても決して間違いなどではないのだ」
デミタスの心を抉るように。
未完のままの物語に新たな息吹を吹き込むように。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:29:16.00 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「それから・・・汝、もう長くはあるまい」
俯き拳を握るデミタスに追い討ちをかける。
瞬間、はっと驚いたような顔をした。
その表情が彼の妹と瓜二つであることにアニジャはまた慶びを感じた。
(´;・_ゝ・`)「・・・!」
(´・_ゝ・`)「まったく、遠慮のない方だ」
(´・_ゝ・`)「・・・・デレには内緒ですよ」
アニジャから目を逸らし、大きくため息をつく。
先ほどまでデミタスの中で張り詰めていた気がふっと解けた。
力なく、背もたれにうなだれる。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:31:52.61 ID:tfAG87r+0
( ´_ゝ`)「ふっ、本当に汝らは似ているな」
しばしの沈黙が流れる。
デミタスの表情は当初よりも柔らかくなっていた。
( ´_ゝ`)「さて、我はそろそろお暇しよう。妹君に見つかっては大事であるからな」
(´・_ゝ・`)「そうですか」
( ´_ゝ`)「今日は無粋な真似をしてしまったな。詫びよう」
立ち上がろうとするデミタスを制し、扉へと向かう。
( ´_ゝ`)「我の言ったこと、よくよく考えてみるがいい」
(´-_ゝ-`)「僕は・・・強くなんかないですよ・・・」
アニジャは弱々しくつぶやいたデミタスの言葉を背中で受けながら
ヒラヒラと手のひらを振って見せた。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:57:51.30 ID:tfAG87r+0
(´・_ゝ・`)「おかしいのは分かってる・・・」
今しがたアニジャが出て行った扉を見つめ、呟く。
彼に聞こえたかどうかは分からない。
決して許されない愛。
決して交わらない物語。
弱い自分は別の形で交わることを選んだ。
でもその物語だって永遠じゃない。
(´・_ゝ・`)「いつか…いつか終わりが来るのは分かってるさ・・・」
自分の命だってもう長くは持たない。
今でこそ自分を苛むこの感情にも、
尽きることなく溢れるこの情愛にもいつか終わりが来るのだろう。
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/18(水) 23:59:10.25 ID:tfAG87r+0
それでも、
いや、だからこそ――――
.
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:00:30.94 ID:tfAG87r+0
(´;_ゝ;`)「愛さずにはいられないんだ・・・!」
.
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:03:30.12 ID:caBcsN/30
今まで押し殺してきた感情が、堰を切ったように言葉となって飛び出した。
(´;゜_ゝ;`)「オエッ・・・ゴホッ・・オェェッ」
嗚咽が漏れ、それに伴い血を吐いた。
それでも震える手を強く握り締める。
ζ(゚ー゚;ζ「にっ、兄さん!!大丈夫!?」
タイミング悪く現れたデレが駆け寄る。
寸前まで持っていたのであろう買い物袋が落ち、中身が離散した。
(´;゜_ゝ;`)「大丈夫・・・。僕は大丈夫だ」
掠れる視界を必死に広げながらデレを強く抱きしめた。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:04:21.67 ID:caBcsN/30
(´;_ゝ;`)「すまない・・・デレ。すまないっ・・・!」
ζ(゚、゚;ζ「兄・・さん・・・?」
添い遂げる覚悟は、ない。
彼女の前で強くある自信もない。
そもそも自分は明日を生きることすら確実ではない。
それでも一緒にいたいと思うのは、我侭だろうか――――
.
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:07:58.45 ID:caBcsN/30
- ―――――
―――
――
( ´_ゝ`)「退屈であるな・・・」
アニジャは腕と肩をだらりと下げ歩いていた。
食堂のテーブルに腰掛けて珈琲を傾ける。
从 ゚∀从「最近本読んでないじゃないか。どうかしたのかい?」
( ´_ゝ`)「・・・」
( ´_ゝ`)「読みかけの本があるのでな」
从 ゚∀从「読んだらいいじゃないか」
( ´_ゝ`)「あぁ無粋なことを言ってくれるな女将よ」
从 ゚∀从「こりゃ悪かったね」
( ´_ゝ`)「もし可能であらば、我がこうして座っているわけもあるまい」
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:08:50.79 ID:aud6gnfL0
( ´_ゝ`)「人間誰しもハッピーエンドを目指しているのだ」
从 ゚∀从「まぁ、誰だって不幸は嫌さ」
( ´_ゝ`)「さりとて物語とはそうはうまくいかぬもの」
( ´_ゝ`)「女将よ、簡単に完結しては・・・」
从 ゚∀从「はっはっは。その話はもう聞いたよ」
(;´_ゝ`)「たまには聞いてくれてもよいではないか」
アニジャはがっくりと肩を落とす。
なかなかどうしてこの女将、話をかわすのがうまい。
( ´_ゝ`)「さて・・・」
从 ゚∀从「おや?散歩でもないのにどこか行くのかい?珍しいね」
( ´_ゝ`)「では、留守は頼んだぞ」
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:10:04.91 ID:aud6gnfL0
( ´_ゝ`)「おお、これは偶然であるな」
以前会ったときと、同じ台詞。
特に意味はない、ただそう言うべきだと思った。
ζ(゚ー゚*ζ「こんにちは」
墓標の前に一人佇む少女。
風になびく髪がよりいっそう哀愁を際立たせる。
ζ(゚ー゚*ζ「お久しぶりですね」
ζ(゚ー゚*ζ「来ると、思ってました」
最後に見たデレの顔とは似ても似つかぬほどすっきりとしている。
ただ、表情が柔らかいからそう見えるのかもしれない。
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:10:42.78 ID:aud6gnfL0
ζ(゚ー゚*ζ「あなたが兄に吹き込んだんでしょう?」
( ´_ゝ`)「いかにも」
淀みなく答えた。
躊躇いは、デレの笑顔で消え去っていた。
( ´_ゝ`)「しかしいささか無粋であったな。詫びよう」
ζ(゚ー゚*ζ「いえ・・・多分兄は・・・」
沈黙が流れる。
それは気まずい空間ではなく、然るべくして出来た空間のような気がした。
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:12:04.53 ID:aud6gnfL0
( ´_ゝ`)「汝、本になる気は・・・」
( ´_ゝ`)「・・・」
言葉を待たずしてデレが薄く光り始める。
それと共鳴するようにアニジャの左手もまた、輝き始めた。
ζ(゚ー゚*ζ「兄が、あなたに会ったら伝えてくれって言ってました」
( ´_ゝ`)「なにかな?」
だんだんと光はその色を増す。
輝き、明滅し、視界を覆っていく。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:12:28.81 ID:aud6gnfL0
ζ(^ー^*ζ「ありがとう」
言葉は、光に埋もれて消えていく。
そして言葉とともに、存在も霧散していく。
それでも、確かにその声はアニジャの耳に残っていた。
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/19(木) 00:14:32.64 ID:aud6gnfL0
これほどまでにベタでこれほどまでに人を惹きつける物語があるだろうか。
皇女と騎士
貴族と農民
許されざる恋はいつの日も民衆を魅了してきた。
あるものは同情を抱き、あるものは羨望をいだくのが世の常であった。
しかし彼らを取り巻いたのは拒絶、否定。
兄妹だから、それだけの理由で互いを愛する権利すら奪われた。
美しくも悲しい歪んだ愛。
心を殺し、精神を押し込める。
そんな二人は死を覚悟してなお終わらない、物語を描いた。
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:15:34.04 ID:aud6gnfL0
光が収束した後に残ったのは一冊の本だった。
( ´_ゝ`)「完結・・・か」
呟きながら、手に取る。
表と裏で表紙の装丁が違う本。
色も、形も全てが違う。
手に取った人全てが疑問を抱き、理解し得ないような外観。
しかしそれはアニジャにとって、不思議と違和感を感じさせない物だった。
まるで初めから計算しつくされたかのような絶妙なコントラスト。
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/04/19(木) 00:17:04.09 ID:aud6gnfL0
その物語は
誰にも理解されない。
誰にも受け入れてもらえない。
二人で初めて形を成す
.
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/19(木) 00:18:50.41 ID:aud6gnfL0
愛別離苦の―――――
.
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/04/19(木) 00:20:15.35 ID:aud6gnfL0
―――――ラブストーリーだった
.
戻る 次へ