- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 21:32:13.47 ID:rg5TFmN40
1‐Call
( ・∀・)「運命は英語で言うとディスティニーでも、天の時は地の利に如かず地の利は人の和に如かずだよ」
……すたーとっ
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 21:36:12.62 ID:rg5TFmN40
トゥルルルル!トゥルルルル!
ガチャ!
( ・∀・)「はい、こちら皆様の明るく楽しい生活の手助けをさせて頂く本日創立記念VIP大学『アドバイス部』でございます」
…の、ようです。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 21:40:22.73 ID:rg5TFmN40
トゥルルルル!トゥルルルル!
ガチャ
( ・∀・)「はい、こちら皆様の明るく楽しい生活の手助けを――」
『モララーか?俺だ、俺俺』
( ・∀・)「何度も合コンをセッティングしてやってるのに全然彼女できない童貞ドクオ君など俺は知りませんが」
『お前喧嘩売ってんのか。てか、ホントにやってんだな。こーんな馬鹿なサークル』
( -∀-)「電話でお悩み相談する部活なんて面白いだろう。365日24時間休みなしだぜ!」
( ・∀・)「……っても、今日から始めたんだけど」
『おう。だから、こうして友人として激励の電話をかけたわけだ』
( ・∀・)「正直、迷惑だ」
『待てコラ』
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 21:43:30.29 ID:rg5TFmN40
('A`)「どうだ? 調子は。まぁ、開始5分だから俺が初だと思うけど」
『いや、お前で11人目だ。おしかったなー10人目なら俺のブロマイドが貰えたのに』
(;゚A゚)「僅か5分で10人!? 1人頭30秒!? つーか、お前の写真なんて心の底からいらねぇよ!!」
『おかしいな。シュール先輩は喜んで貰ってくれたのに……』
('A`)「……あの人黒魔術部だから呪いに利用すんじゃねぇの?」
『……なるほど、さっさと回収しに行こう。で、何の相談なんだ?』
('A`)「ああ、相談な、相談。……えっと、かの――」
ブチッ
ツーツーツー
('A`)「……せめて切るにしても『彼女』という単語ぐらいは言わせて欲しかったなぁ」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 21:47:02.26 ID:rg5TFmN40
トゥルルルル!トゥルルルル!
ガチャ
( ・∀・)「はい、こちら私立開盟学園学園生活支援部通称『SKET団』本部」
『なんか変わってる!? ……じゃなくて、彼女が――』
( ・∀・)「鏡見やがれ馬鹿野郎」
『おまっ、最低のアドバイザーだな……。つーか、お前に言われるまでもなくブサメンである事実は受け止めてるっつーの』
( ・∀・)「うん、ドクオが俺に勝てるものなんて失恋の回数ぐらいだもんね。ごめんね」
『ねぇ殺していい? あと同情の眼差しが電話越しでも伝わってくるんだが……』
( -∀-)「ああ、それは勘違いだ。今窓で確認したがゴミを見るような視線をしていた」
『むしろひでぇ!! ……冗談はこれぐらいにして、本当に彼女が欲しいんだけど』
( ・∀・)「……なんだ。真面目な相談だったのか。なら喜んで相談に乗るぜ?」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 21:51:00.65 ID:rg5TFmN40
('A`)「モララー……」
『俺達、友達だろ?今ならお得の10割増しで相談に乗ってやるよ』
(;゚A゚)「えっこれ有料!? 金取んの!?」
『お前だけな。安心しろ、内容は10割引だ』
(;゚A゚)「何が安心なわけ!? つーか、10割引かれたら中身ねぇじゃねぇか!!」
『冗談だ。……で、相談内容は苦しくない自殺の方法でいいのか?』
('A`)「お前言外に『来世で頑張れ』って言ってるよね?だから、俺は今彼女が欲しいの」
『だから今すぐ死ねばいいじゃんか』
(゚A゚)「死ぬ以外でだ! お前はマジで最低のアドバイザーだよちくしょう!!」
『冗談だ。待ってろ、今ググッてやるって』
('A`)「あ、そこはグーグル先生頼りなんだ……」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 21:54:56.75 ID:rg5TFmN40
( -∀-)「…う〜ん……」
『どうした?』
( ・∀・)「出会い系サイトしか出てこないから、また今度でいい?」
『…いや、いいけどさ……。お前って、どうでもいいとこだけ無能だよな』
( ・∀・)「うるせぇ。じゃ、とりあえず好みのタイプだけ聞いとく」
『おうよ』
( ・∀・)「谷●子、久本●美、は●な愛。…どれがいい?」
『お前相談乗る気ないよねぇ!? つーか1人は男だッ!!』
( ・∀・)「いや俺的にはどれもありなんだけど……」
『うるせぇ!高校時代あんなに可愛い彼女囲っといて何言ってやがる!!家の写真のやつ彼女だろ!?』
( -∀-)「あーあー聞こえなーい」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 21:59:32.15 ID:rg5TFmN40
『じゃ、しいて言うならどれよ?』
('A`)「しいてか……。そうだな、強い子が好きだな割と」
『任せとけ。……ところで「つり橋効果」というのを知ってるか?』
('A`)「いや全然」
『心理学の用語でな。身体的に危険な状態の男女が、ドキドキを勘違いしちゃうことなんだと。つーわけで……』
『……お前、ちょっと異世界行って来い。召喚されてこい。かなり危険な場所に』
(;゚A゚)「もはや無茶苦茶だな! 俺もドキドキはしてぇけどさ!」
『安心しろ。恋愛ってのは、色んな困難を乗り越えて深まっていくものだよ、多分』
('A`)「いや、もういいや、お前に相談した俺が悪かった……」
『分かればいいんだ』
('A`)「……やはりお前は1回死ね。じゃあな」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:06:08.44 ID:rg5TFmN40
( ・∀・)「強い子、か……。なんだろう、ハ●ーン・カーン的な人がいいのかな?」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ・∀・)「……大盛況だな。さて」
ガチャ
( ・∀・)「はい、こちら皆様の明るく楽しい生活の手助けをさせて頂く本日創立記念VIP大学『アドバイス部』でございます」
『モララーか? 私だ、私だよ私』
( -∀-)「……俺の友人達は電話では名乗らないのがデフォなの?」
『なんだよ。十年来の親友じゃないか』
( ・∀・)「ああ、俺も女の親友はお前だけだよ、クー」
『うんうん。分かってるならいいんだ。どうだ首尾は』
( -∀-)「そこそこかな。ところで、折り入ってお願いがあるんだが……」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:12:04.18 ID:rg5TFmN40
川 ゚ -゚)「なんだ。パーフェクトなお嬢様の私はお前の願いぐらいなら大半は聞いてやる自信があるぞ?」
『ドクオと付き合う気ない?』
川 -)「……モララー。恋愛マスターの私でも、残念だが、獣姦モノは駄目な方なんだ……」
『アレでも人間ですよクーさん。……まぁ、いいや。本題に入ろう』
川 ゚ー゚)「相談してもいいんだったな」
『どうぞ。お気に召すまま』
川 ゚ -゚)「冷蔵庫からワイン取ってくれないか?」
『来いってこと?今から家来いってことなのか? それぐらい自分でやってくれ。あとお前未成年な』
川 ゚ -゚)「やだよ。コタツから出たくないもん」
『そんな無表情でデレられてもグッと来ねぇよ!!』
川 ゚ -゚)「電話越しに表情もなにもないだろう」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:16:31.80 ID:rg5TFmN40
『じゃ、ワインはいいから今からうちに来てくれ』
( ・∀・)「なんでよ」
『ああ、ちょうど今男に脚を舐めさせたい気分なんだ』
(#・∀・)「これはデリヘルじゃねぇ!!」
『頼むよー。見下したいんだよー、足蹴にしたいんだよー、「私は貴女様の奴隷です」って言って貰いたいんだよー……』
( -∀-)「ドクオと付き合えばいいじゃんか」
『ただしイケメンに限る』
(;・∀・)「なんて横暴な女なんだコイツ!!」
『お願いだ、一生のお願い。お触りはなしでいいから、脚だけ舐めてくれれば――』
ガチャン
( ∀)「……あー、付き合いきれん……。何あの変態お嬢様……」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:21:06.97 ID:rg5TFmN40
トゥルルルル!トゥルルルル!
『はい、こちら奪られたら奪り返せ!奪還率ほぼ100%、奪還屋ゲットバッカーズ新宿本店でございます』
川 ゚ -゚)「あれ、間違いかな……」
『間違ってんのはお前の頭の構造そのものだと思うよ』
川 ゚ -゚)「そう言うな。……で、脚は――」
『舐めねぇよ!!とりあえず、ドMなプレイにも耐えられるイケメンを用意すればいいんだな?』
川 -ー-)「よく鳴く奴がいい」
『はいはい。善処しまーす』
川 ゚ -゚)「……おい、モララー。お前本当に都村さんのこと――」
『あーあー聞こえたくなーい』
川 ゚ -゚)「どこの後輩だお前は」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:25:58.35 ID:rg5TFmN40
ガチャン
( ∀)「……はぁ」
( ・∀・)「まぁ、いいや」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ・∀・)「次はまともでありますように、っと……」
ガチャ
( ・∀・)「はい、こちら皆様の明るく楽しい生活の手助けをさせて頂く本日創立記念VIP大学『アドバイス部』でございます」
『もしもし?あってます……よね?』
( -∀-)「あなたがどこにご用事なのか存じ上げておりませんが、おそらくは」
『良かった……。相談、いいですか?』
( ・∀・)「どうぞ。お気に召すままに」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:30:22.39 ID:rg5TFmN40
川д川「私、貞子さん。今、あなたの後ろにいるの……」
『俺の後ろは壁ですけどね。だからといって、往年のどこぞの幽霊みたいに壁を破壊するのはやめてくださいね』
川д川「嘘嘘。……私、貞子さん。今、あなたの家の前にいるの……」
『オートロックなんで頑張ってくださいね。ちなみに無理矢理開けようとすると警察来ますから』
フニャー!!
川;д川「……うぅ、私、貞子さん。今、猫に威嚇されて泣きそう……」
『あぁー、やっぱり黒猫には霊感あるんですねー』
川;д川「……どけてくれない?この猫……」
『嫌ですよ。その猫のひっかく、超痛いですから』
ニャー!!
川メ;д川 「早く言って欲しかった……。むしろこれは『ひっかく』ではなく『きりさく』……」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:33:53.39 ID:rg5TFmN40
( ・∀・)「……で、なんで貞子なのにメリーさんの物まねを?」
『……ほら、今DVDとかが主流で……。呪いのビデオって……』
( ・∀・)「うちはビデオも見れますよ」
『じゃ、じゃあ今度私のプロモーションビデオを――』
( -∀-)「井戸から出てくるプロモーションってどんなプロモーションですか」
『でぃ、DVD!DVD!!』
(;・∀・)「あれ、そういうことありなの? 幽霊とイチャイチャできるビデオなの?」
『ええ、人気出そうでしょ?』
(;・∀・)「一部の人にはね!」
『……冗談はこれぐらいにして、』
(;-∀-)「(あっ、冗談だったんだ……)」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:38:31.58 ID:rg5TFmN40
川д川「どうせあなたは信じてないんでしょうけど、私は本当の幽霊――」
『何言ってるんですか』
川д川「……え?」
『俺はアドバイザーですよ。頭から相手の言い分を否定したりしませんよ』
川*д川「……ふふ。嘘でも、嬉しい」
『……確かに電話なら嘘はつけるでしょうね』
川д川「もしかして、嘘、苦手なの?」
『いえ、ただ……』
『――あなたの澄んだ瞳を見ていると、どんどん正直になっちゃうから……』
川;д川「あま―――い!!というか、ふる―――い!!そしてイマイチ口説き文句として成立してないし!なによりなんで今更スピードワゴン?」
『え、ノリ的に』
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:44:08.09 ID:rg5TFmN40
( -∀-)「……で、幽霊さん。なんのご相談で?」
『今後の方向性について……』
(;・∀・)「(アイドルみたいな悩みで、重てぇ……)私はイマイチ幽霊に詳しくないのですが、具体的にどういうお悩みを抱えていらっしゃるのですか?」
『最近の子供達って、幽霊信じないんでしょ?』
( ・∀・)「そうらしいですね」
『……私の存在意義ってあるのかなぁ、みたいな……』
( ∀)「(重てぇ……物凄重てぇ……)」
『……アドバイザーさん?』
( ・∀・)「はいはい」
『どう思いますか?もう、成仏しちゃってもいいんですかね……』
(;・∀・)「(幽霊って自分の意思で成仏できるのか……)そうですね……」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:48:02.64 ID:rg5TFmN40
『……俺は、』
川д川「………」
『……よく分からないんですけど、俺は、貞子さんに居て欲しいですよ』
川д川「えっ……」
『知ったこと言えないですけど、でも……』
『――俺はあなたと話して楽しかったですもん』
川;д川 ブワッ
『それに、まだまだ幽霊とか大好きな人は(先輩とか)居るし。そういう人をガッカリさせない為にも、できる範囲で「あなた」であればいいんじゃないですか?』
川;д川「ううっ、ありがとう……ありがとう……」
『……どういたしまして。では』
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:51:57.16 ID:rg5TFmN40
ガチャン
( ・∀・)「……う〜ん、相談に乗るってやっぱ難しい……」
( -∀-)「夜食でも作るか……」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ・∀・)「……大学周辺にしかビラ撒いてないのに……。悩み持つ人多過ぎだろ……」
ガチャ
( ・∀・)「はい、こちら皆様の明るく楽しい生活の手助けをさせて頂く本日創立記念VIP大学『アドバイス部』でございます」
『もしもし。僕だけど……』
ガチャン
( ・∀・)「さて、夜食は……」
( ・∀・)「おっ、野菜がある。チャーハンだな」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:56:01.29 ID:rg5TFmN40
トゥルルルル!トゥルルルル!
『はい、こちら首都高校覇権……もとい、派遣組』
(;-_-)「……なんで切るのさ」
『突っ込みはなしか……。名乗らないのが三人目ともなると苛々具合もハンパじゃなくて』
(-_-)「それは悪かったと思うけど、今日は真面目な相談なんだ」
『常識的に考えて、不真面目な相談とかありえませんから。それは単なる冷やかしですよ先輩』
(-_-)「ああ、ごめんごめん」
(-_-)「……博識な君なら知ってると思うけど、『色盲』って分かるかな」
『X染色体に関連する、伴性遺伝が原因の色覚異常と記憶してます』
(-_-)「うん、そんな感じ」
『それがどうかしたんですか? 女絡み?』
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 22:59:21.25 ID:rg5TFmN40
『まぁ、女は女なんだけど……。子供がね、』
( ・∀・)「あっ、結婚されるんですか。おめでとうございます」
『違う違う。知り合いの女の子がそれなの』
( -∀-)「……先輩は弄り甲斐がないですねぇ」
『なにその理不尽な失望のされ方……』
『話戻すけど、その女の子が画家になりたいって言っててね』
( ・∀・)「いいじゃないですか。夢があって」
『……モララー君。その子が、色盲なんだよ』
( -∀-)「……女性で色盲の確率は極めて低かったはずですけどね」
『うん。神様も意地悪だよね。可哀想に』
『……で、僕はどうすればいいのかな……』
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:02:16.02 ID:rg5TFmN40
『……先輩』
(-_-)「……なに?」
『失礼ですけど、言わせて貰いますね』
『――ふざけんじゃねぇ』
(;-_-)「へっ……」
『誰が決めたんですか。色盲なら画家になれないなんて』
『誰が決めたんですか。その子が可哀想だなんて』
『……先輩。夢を叶えたいのも、夢を叶えるのもアンタじゃない。その女の子でしょうが』
(-_-)「…………」
『それを最初から勝手に否定して……。アンタ、典型的な最低の大人ですよ』
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:05:11.78 ID:rg5TFmN40
( -∀-)「『子供には無限の可能性がある』……そんな馬鹿みたいなこと、俺は言えません」
( ・∀・)「……でも、言い方が悪いかも知れませんけど、『人と違う』ってことは芸術家にとっては立派な長所になるんじゃないですか?」
『……モララー君……』
( ・∀・)「大体、何を『異常』とするかなんて大多数の人間が勝手に決めたことでしょ」
( ・∀・)「俺はその子と会ったことないですけど、でも、その子を応援したいです」
( -∀-)「……先輩は、どうするんですか?」
『……ぼ、僕は、』
チーン!
( ・∀・)「あ、すいません。グラタンできたんで」
『えっ、あの、こんな感動的なシーンにグラタンって――』
ガチャン
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:08:15.38 ID:rg5TFmN40
ブチッ
ツーツーツー
(;-_-)「本当に切っちゃったよ、あの人……」
(-_-)「…………」
(-_-)「『夢を叶えたいのも、夢を叶えるのもアンタじゃない。その女の子でしょうが』ね……」
( _ )「……偉そうなことを」
( _ )「自分だってトソンちゃんに未練タラタラのクセに……」
(∩_)「でも、」
(-_-)「本当に、その通りだよ……」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:13:18.16 ID:rg5TFmN40
( -∀-)「お〜れの値段をっだ〜れが決めた〜♪」
( ・∀・)「……やべぇ。グラタン超美味しい」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ・∀・)「とりあえず食べるだけの時間はあったな」
ガチャ
( ・∀・)「はい、こちら皆様の明るく楽しい生活の手助けをさせて頂く本日創立記念……ん?」
( ・∀・)「訂正します。いつの間にやら日付が変わったので、創立記念じゃなくなりました」
『……うん。シュールだけど』
( -∀-)「良かったぁ……」
『? ……何が?』
( ・∀・)「俺の周りに、『電話では最初に名乗る』というまともな人間がまだいて」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:16:20.44 ID:rg5TFmN40
lw´‐ _‐ノv「……モララー。大丈夫?」
『えっ、何がですか?』
lw´‐ _‐ノv「さっき呪い終わったけど、何か異常は?」
『呪い終わっちゃってた!すっかり忘れてたよ、写真取りに行くの!!』
lw´ _ ノv「……失敗、か……。病気にかかるはずなんだけど……」
『っていうかアンタ何後輩呪おうとしてんですか!?』
lw´‐ _‐ノv「……だって君は私の一年後輩だけど、二年後輩を泣かせたから」
『…………もういいでしょ、その話は』
lw´‐ _‐ノv「…………」
『…………』
lw´‐ _‐ノv「……いいけど」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:20:10.28 ID:rg5TFmN40
( -∀-)「……で、何か御用ですか?」
『うん。誰か処女知らない?』
( ・∀・)「いや、何するつもりですか。売るの?」
『悪魔でも呼び出そうかと……処女の生き血で』
(;・∀・)「(それは吸血鬼じゃないのか?)……まぁ、サークルですししょうがないですよね……」
( -∀-)「でも俺の知る限りはシュール先輩ぐらいしか」
『……やっぱり。稀有なのかな』
( ・∀・)「大学生になって処女はね。ちょっと、珍しいですかね」
『大体が、君みたいな女たらしに食べられるから』
( ・∀・)「訂正しておきますけど、俺そんなにタラシじゃないですからね」
『うん。1人の子だけをとっても泣かせてるね』
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:25:31.76 ID:rg5TFmN40
『あーあー聞こえるわけにはいかないー』
『……ん?先輩が処女なんですから、自分の血を使えばいいじゃないですか』
lw´‐ _‐ノv「『怖い』という理由で貞操を守り続けてる私に、自分の体を僅かでも切る覚悟があると思うの?」
『意外と可愛いんですね』
lw´‐ _‐ノv「私は普通に可愛いよ」
『そういうところは可愛くないですね。クーと同じで』
lw´‐ _‐ノv「煩い」
『処女ですか……』
lw´‐ _‐ノv「モララー」
『なんですか』
lw´‐ _‐ノv「トソンちゃんとは、ヤったことあるの?」
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:28:29.69 ID:rg5TFmN40
ガチャン!!
( ∀)「るっせぇ死ね!俺だってまだ好きだよ畜生!!」
( ∀)「今だって死ぬほど会いたいっつーのバーカッ!!」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ∩∀・)「……グズッ。ようこそ。『能無し堂』へ……」
『またコアなネタを……丸一年前以上前だよ』
( ・∀・)「……いいものはいいんです。あと、処女は知りませんよ」
『……ああ、そのことだけど』
『童貞でもオッケーだって』
( ・∀・)「適当ですね」
『古本市で買った本だからね』
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:31:31.94 ID:rg5TFmN40
『……ん?童貞?』
lw´‐ _‐ノv「?」
『……先輩。ドクオ知ってますか?』
lw´‐ _‐ノv「うん。知ってる」
『あれ童貞です』
『思い切り襲っちゃって下さい。縄でグルグルに縛って。ドキドキしたいって言ってましたから』
lw´‐ _‐ノv「おっけー。ありがとう」
『どういたしまして。では』
ガチャ
lw´‐ _‐ノv「……うん。そろそろ呪いの効力が出る頃かな……」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:35:41.40 ID:rg5TFmN40
( -∀-)「……吊り橋効果で付き合いだしたら面白いな、アイツ等……」
( ・∀・)「さて、そろそろ終わりにしようか――」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( -∀-)「だと思ったよ」
ガチャ
( ・∀・)「はい、こちら皆様の明るく楽しい生活の手助けをさせて頂くVIP大学『アドバイス部』でございます」
『あ……』
『あの、都村ですけど……ッ』
( -∀-)「……分かってる」
『あの、えっと、その……』
( ・∀・)「…………」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:38:36.06 ID:rg5TFmN40
(、 トソン「あの、モララー……」
『…………』
(、 トソン「(どうしよう何言っていいか分からないよ。どうしよう。もう別れたのに電話しちゃった。卒業式の日に約束したのに破っちゃったよ……)」
(、 トソン「(とにかく話さなきゃ。話さなきゃ。他愛もない話を、他愛もない――)」
(゚ー゚;トソン「えっと、『MS』の話と『SM』の話ならどっちがいい――」
『…………』
ブチッ
(゚、゚;トソン「え、あのもしもーし。冗談です!今のは冗談で……」
(、 トソン「どうしよう……」
(、 トソン「うぅ……」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:41:27.42 ID:rg5TFmN40
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ・∀・)「はい、こちら私立不動高校ミステリー研究会ですが」
『あ、殺人事件とか凄く解決してくれそう……じゃなくてっ!』
( ・∀・)「『MS』と『SM』ならどっちも嫌だぞ」
『SMと言いましても、えっちな方ではなくて美少女戦士セーラームーンの方で……』
( -∀-)「なんで別れた彼女とセーラームーンの話をしないといけないんだよ。気まずいだろ、二重の意味で」
『そうですよね……』
( ・∀・)「……ところで。この電話、どうして知ってるわけ?」
『あの、クーさんから……。「イケメンはまだか」との伝言を伝えて欲しいと』
( -∀-)「チッ。余計なことを……」
『えっと、ですね……』
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:44:11.01 ID:rg5TFmN40
『あのな、トソン』
(-、-トソン「……はい」
『遠距離になるから別れよう、って相談して決めたわけじゃん? もう連絡しないってさぁ』
(-、-;トソン「仰るとおりです……」
『それを……おまっ、もう……』
『……意味分かんねぇよ』
(、 トソン「…………」
『本当に分かんないよ……』
(、 トソン「…………はい」
(、;トソン「私も、分かりません……」
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:47:10.54 ID:rg5TFmN40
『……モララー』
( ∀)「……なんだよ、馬鹿トソン」
『こんなこと聞くのアレですけど……』
『――私のこと、まだ好きですか……?』
( ∀)「……っ」
( ∩∀;)「ぅ……あぁぁ……」
( ;∀;)「ああ!大好きだよ!!テメェのせいでな、全然彼女できねぇの!滅茶苦茶告白されてんのにさぁ!!」
『……ぅ……』
( ;∀;)「テメェの顔がチラついてよ、実生活に支障が出てんだよ馬鹿トソンッ!!」
( ∀)「……責任取れよバーカ……」
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:50:13.22 ID:rg5TFmN40
(、;トソン「私も、まだ全然大好きですよ……」
(;、;トソン「会わなくなって結構経つのに、想いとか強くなるばっかりですよ!」
『俺もだよ!!』
(、;トソン「会いたいですよ!すっごく!!」
『……っ。……こっちだって、同じだよ馬鹿トソン!』
(、 トソン「……また毎日会いたいよぉ……」
(、 トソン「……毎日会って、手繋いで、つまんない話して、皆で遊んで……たまにはキスとかもして」
『一緒に買い物行ったり、カラオケで歌ったり、料理したり……。1人で鍋とかマジで寂しいから……』
(、 トソン「家事分担して、ご飯食べて、同じベッドで眠って。……もう、一緒に住んじゃいたいですよ」
『ああ、そうだな』
『……俺もお前と一緒に居たい……』
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:53:13.41 ID:rg5TFmN40
『……愛してますか?一緒に住みたいですか?』
( ∀)「ああ、愛してる。一緒に住みたいよ……」
『私も……、です……』
『……でも、そろそろ電池が――』
ブチッ
ツーツーツー……
( ∀)「……ふぅ」
( ∀)「何やってんだ、俺は……。馬鹿か…………」
キィ……
( ∩∀)ゴシッ 「誰だ? 今、ちょっと取り込んでるから……」
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:55:42.28 ID:rg5TFmN40
(゚ー゚*トソン「――ワープ完了……なんちゃって。……もう、電話の意味ないですね」
( ∩∀;)「ッ!!」
(;・∀・)「お前、なんで俺の部屋……!!つーかヤンデレかテメェは!?」
(-、-トソン「ヒッキーさんに教えてもらいました。あと私はヤンデレです」
(;・∀・)「鍵かかってただろう!? あとそれは誇って言うことじゃないからね!!」
(-、-トソン「……マンション前の、猫と遊んでいた髪の長い人が開けてくれました」
(;・∀・)「(ポルターガイスト?そして猫を手懐けた!!)っ、学校は!?」
(゚ー゚トソン「やめちゃいましたよ、そんなもん!!」
(;・∀・)「何やってんのお前!? 俺、お前の両親に申し訳立たないんだけど!」
(゚、゚トソン「……でも、お父さんもお母さんも笑顔で送り出してくれましたよ?」
(;・∀・)「いやいやいやいや!どんだけ思い切りいいんだお前の家!!」
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/18(金) 23:58:12.30 ID:rg5TFmN40
(;・∀・)「っ、夢は?弁護士になるのが夢って……」
(゚、゚トソン「大学は独学で入ります」
(;・∀・)「無茶苦茶言ってんじゃねぇよ!!」
( ∀)「世の中、そんなに甘くないから……。そんなに都合良く……」
(-、-トソン「別にいいですよ」
(゚ー゚トソン「――だって、もし就職できなくても、モララーが養ってくれるんでしょう?」
( ∀)「……ッ……!」
( ∀)「ったく、どいつもこいつも……」
( う∀)「他人を幸せにする為に始めたのに、なんで初日から俺が一番幸せになってんだよ……」
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/19(土) 00:04:10.66 ID:rg5TFmN40
- ――……一生解けない病なんて、この世に一つしかない。たとえ息絶えようともきっと治りはしないんだ。
あるいは『呪い』と言い換えてもいいような、熱く、深く、甘く、苦く、切なく、儚く、愚かしく、哀しく……そして何よりとてもとても幸せな呪い。
それが、どうか一生続くことを祈って……
(-、-トソン「ところで籍はいつ入れましょうか」
( ・∀・)「……え、もう入れんの?」
(゚、゚トソン「……嫌なんですか?」
(;・∀・)「滅相もございません!!喜んでっ!!だから、包丁下ろしてーーーーーー!!!」
VIP大『アドバイス部』
本日の活動、これにて終了!!
……お後がよろしいようで?
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/19(土) 00:09:47.11 ID:YFr+XaBd0
Call back‐1
lw´‐ _‐ノv「愛があれば、ラブ・イズ・オーケー。愛したいほど殺してる」
……すたーとっ
- 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/19(土) 00:12:54.71 ID:YFr+XaBd0
('A`)
――やぁ、みんなのアイドル、ドックンだよ。
僕に会えなくてみんな寂しかっただろう? ははっ、分かってるって、皆まで言うなよ。
大丈夫さ。僕はいつだって君達のアイドルさ。
……え?
僕がなんで柱に縛り付けられてるか、って?
lw´‐ _‐ノv「冬虫夏草……冬虫夏草……」
それは一重に、この、魔法に使う薬草の名前を連呼している、黒いローブを纏った先輩の所為さ!
ちなみに「冬虫夏草」は実在する植物だ!
虫に寄生する恐ろしいものなんだぜ?
('A`)
まぁ、僕的にはそんな草よりも今の状況の方がよっぽど恐ろしいけどねっ!!
ドックン死んじゃう?
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/19(土) 00:15:09.98 ID:YFr+XaBd0
('A`)「あー駄目だ。一人ナレーションで正気を保とうとしたけど、無理だわこれ」
lw´‐ _‐ノv「……ぶつぶつ五月蝿いよ」
('A`)「先輩。お願いですから、俺を縛り付けてる理由を教えて下さい」
('A`)「時代錯誤のKKKに捕まった気分ですよ。なにこれ?」
lw´‐ _‐ノv「大丈夫、すぐ終わるよ」
lw´‐ _‐ノv「私の大いなる研究の為の犠牲になった残りカスは、すぐ帰してあげる」
(;'A`)「(残りカス……?)つかぬことをお伺いしますが……理由は分かったので、今からどうなるか教えて下さい」
lw´‐ _‐ノv「ちょっと血を抜くだけ」
('A`)「あ、なんだ。それぐらいなら全然いいのに」
('A`)「でも、一つだけいいですか?」
lw´‐ _‐ノv「なに?」
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/19(土) 00:18:13.40 ID:YFr+XaBd0
('A`)「血を抜くだけなのに、なぜ俺は全裸?」
lw´‐ _‐ノv「…………」
(;'∀`)「なぜ、黙ります?」
lw´‐ _‐ノv「…………」
lw´‐ _‐ノv「……世の中には、陰茎を利用した魔――――」
(;゚A゚)「ストォォォォオオオップ!! 待って、先輩もしかして、俺の息子切り取る気じゃ……」
lw´‐ _‐ノv「? そうだけど」
(;゚A゚)「『なにを当然のことを』と言わんばかりに小首を傾げないで下さい!!」
lw´‐ _‐ノv「いいじゃん。どうせ、使わないし」
(;゚A゚)「まだ分からない!分からないからっ!!人は希望があればあばっばばばばばばっばば!!!」
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/06/19(土) 00:21:14.28 ID:YFr+XaBd0
lw´‐ _‐ノv「……でも、私としても、そんな汚物は処理したいし」
(;゚A゚)「汚物とか言わないで!汚物は消毒って言わないで!!」
lw´‐ _‐ノv「身体は正直で、半分だけ勃起してるのも気に食わないし」
(;゚A゚)「いやいやいやいや!そんな際どいコスプレで胸揺らされると……じゃなくて、そう思うなら服プリーズ!!」
lw´‐ _‐ノv「ツッコミ鬱陶しいし」
(;A;)「無茶苦茶だ、この人……」
lw´‐ _‐ノv「そんなに気にしなくても。前がなくなっても、後ろがある」
(;A;)「うぁぁ……。オカマ笑ってすいませんでしたぁぁ……」
――母さん。僕は元気です。
もし、次に会った時に女の子になっていても、広い心で受け入れてくれると嬉しいです。
Call back‐1 END
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