( ・∀・)っ】コールアウターのようです!

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 19:55:05.68 ID:dw8XxEPz0

〜オープニング代わりのキャラ紹介〜


(#゚;;-゚)「こんばんは。でぃです」

(#^;;-^)「プギャーさんは読み終わった本は押入れにしまう派ですが、皆さんはどうですか? 電子書籍が広がるとこういう話もできなくなりますね」

(#゚;;-゚)「けいたいも使えない私には遠い話ですが……では、本日はこの方です」



【もしかしたら別のお話の主人公だったかもしれない男・フサ】

ミ;-Д-彡「……また舞台裏トーク?」


(#゚;;-゚)「そうなんですか?」

ミ;-Д-彡「そうなんです……」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 19:58:31.44 ID:dw8XxEPz0

ミ,,゚Д゚彡「設定的に言えば、元々“お家騒動アクション”みたいな高校時代があって……今がある」

ミ,,-Д-彡「今でもシューやクーは他のVIP氏族から狙われたりするんだが……」

(#゚;;-゚)「偉い方は大変ですね」

ミ,,゚Д゚彡「まったくだ。結果的に考えたら、そういう奴等の所為で俺は留年するハメになったわけだし……」




(#゚;;-゚)「でも、それまで出席日数が足りなくなるほど休んでいたのはフサさん個人の問題ですよね?」

ミ;-Д-彡「うぐぅ……」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:01:36.28 ID:dw8XxEPz0

(#゚;;-゚)「質問です。モララーさんとは、どちらが強いんですか?」

ミ,,゚Д゚彡「…………“お前等の”常識的に考えて、どっちが強いと思う?」

(#゚;;-゚)「モララーさんですね」

ミ,,-Д-彡「くはは。じゃあ、そういうことだよ」

ミ;゚Д゚彡「アイツに負けるのはいいんだが……能力的に考えて、義妹にも負けそうだからなー……」

(#゚;;-゚)「トソンさん、強いですよね」

ミ,,-Д-彡「なんだろうな、アレ。能力(フラグメント)? 罪の枝? 過負荷(マイナス)? 裏十三家? 白羽?」

(#゚;;-゚)「怪物の王女様みたいな」

ミ *゚Д゚彡「――何より可愛いから敵対できねぇ!!」

(;#゚;;-゚)「(あっ、それが一番の原因なんですね……)」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:05:26.54 ID:dw8XxEPz0

(#゚;;-゚)「好きな物を教えて下さい」

ミ *-Д-彡「小さいものと、可愛いもの。可愛い妹が増えそうで楽しみだぜ!!」

(#゚;;-゚)「可愛いもの、本当に好きなんですね」

ミ,,-Д-彡「性格的に考えても、シューは恥ずかしがり屋でクーもあんなんだから、本当に少ないんだよな。可愛い服着てくれる奴……」

ミ *゚Д゚彡「あー、ちくしょう!! 俺も、後輩の双子妹見たかったぞ!!」

ミ *-Д-彡「絶対可愛い服着させて愛でてやったのに……」

(;#゚;;-゚)「(そういうのが嫌だから、会わせなかったんじゃないかなぁ……)」

ミ *゚Д゚彡「――仕方ないからこのフリフリはお前に着せることにしよう」

(;#゚;;-゚)「(そして、すっごくとばっちり……)」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:09:10.92 ID:dw8XxEPz0

(#^;;-^)「これからの展望を教えて下さい」

ミ;-Д-彡「…………執事? 今はマンション警備員だけど」

(#゚;;-゚)「最終的には無職ですね」

ミ;゚Д゚彡「うぐっ……。シューのおかげで(実家金持ち&発明家)、一生働かずに暮らせるぐらいのお金があるのがまた……」

ミ;-Д-彡「常識的に考えて、ヒモ一直線みたいな……」

(#゚;;-゚)「ひーもひもひもひーもー」

ミ;゚Д゚彡「――っ!!?」

(#゚;;-゚)「ヒモの歌。モララーさんが料理しながら歌っていました」

ミ#゚Д゚彡「料理苦手な俺への当てつけかぁ!!」

ミ;-Д-彡「(しかし……一般的に考えての健全な少女像から順調にズレて行ってるぞ、コイツ)」

(#゚;;-゚)「?」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:12:57.61 ID:dw8XxEPz0

(#゚;;-゚)「最後に一言、お願いします」

ミ;-Д-彡「うん…………」


ミ,,゚Д゚彡「――別に凄い陰謀や大きな目的があるわけじゃない。至って普通の物語」

ミ,,-Д-彡「でも、命懸けで生きてる。必死で生きてる」

ミ,,^Д^彡「そんなSF(少し・不思議)なお話がこれからも続いて行くぜー」


(#^;;-^)「フサさん、ありがとうございました」

ミ,,^Д^彡「……くはは。お安い御用だ」

ミ;゚Д゚彡「しかし、直感的に考えれば……俺はアレだが、他の奴等は幸薄そうで心配だよなぁ。モラの字とか特に」

(#^;;-^)「……大丈夫ですよ。モララーさんは一番大事なことを分かってますから」

(#^;;-^)「では、本編スタートです」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:15:13.06 ID:dw8XxEPz0


10‐Call It's me

| l| - _-ノl 「惚れて通えば千里も一里、会わずに戻ればまた千里。千里行って帰るのは何も虎だけじゃないわけだ」




……すたーとっ



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:18:29.87 ID:dw8XxEPz0


【――雨霧荘・二階、11号室前】


( ^Д^)「現在この雨霧荘に住んでいるのは八人です」

( ^Д^)「んで、一号室の管理人さんは基本的にいないのでオッケーです。残りの人に挨拶しに行きましょう」

(゚、゚トソン「とりあえずは隣の十号室ですかね」

( ^Д^)「イヨウさん……十号室の人は、今は多分仕事なので後回しにしましょうか」

川 ゚ -゚)「粗品は置いておけばいいかな」

( ^Д^)「え? 粗品ってタオルとかですか?」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:21:29.78 ID:dw8XxEPz0

川 ゚ -゚)「――おっぱいプリンだけど」


(;^Д^)「喧嘩売ってんのかアンタは! 何処に引っ越し祝いであんな卑猥なもん渡す奴がいるんだよッ!!」

(゚、゚トソン「む、私の自信作なのに……」

(;^Д^)「“自信作”ってアレって家で作れるタイプのお菓子でしたっけ!?」

li イ*゚ー゚ノl|「おっぱい?」

ニャー?

(;^Д^)「中学生女子が『おっぱい』言わない! あと頭に猫はいくらキャラ付けでも今日はダメ!!」

( ^Д^)「あー、引っ越し祝いなんて蕎麦で十分ですよ。まったく……」

li イ*゚ー゚ノl|「おにーちゃん。今時引っ越し蕎麦の風習守ってる人なんてほとんどいないよー?」

(;^Д^)「え、そうなのか……?」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:24:33.35 ID:dw8XxEPz0

(-、-トソン「蕎麦は美味しく作るの大変ですしね」

(;^Д^)「だからなんでトソさんはそう頑なにセルフに走ろうとするの!? 普通に買ってくりゃいいじゃないスか!!」

川 ゚ -゚)「そもそもな。ほら、最近アレルギーとかあるだろ? だから、蕎麦はな……」

(;^Д^)「ああ、確かに――ってそれでも引っ越し祝いにおっぱいプリン渡す理由には全然なってませんからね!!」

川*゚ -゚)「でも、好きだろ? おっぱい」

( *^Д^)「好きですけどね!!」

li イ -ノl|「うぅぅ……」

(;^Д^)っ「あ、悪い……デリカシーない発言だったな。ごめんな」ナデナデ




川 ゚ -゚)「(多分、単に性的な発言を詫びただけだな、これは)」

(゚、゚;トソン「(なんだか常に微妙に噛み合わない兄妹ですね……)」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:27:09.27 ID:dw8XxEPz0

( ^Д^)「――引っ越し祝いはトソさんが蕎麦打てるんなら打ってもらうとして、」

(゚ー゚トソン「家庭料理は得意ですよ!」

(;^Д^)「(蕎麦打つのって家庭料理の範疇に入るのか……? 少なくとも、俺の持ってる料理本には載ってねぇぞ……)」


( ^Д^)「とりあえず、挨拶を続けましょうか」

川 ゚ -゚)「次の八号室は私の部屋だから……その隣の七号室だな」

(;^Д^)「…………デレさんの部屋ですね」

川 ゚ -゚)「誰が行く?」

( ^Д^)「順当に考えればクー先輩でしょ」

川 ゚ー゚)「誤解は解かなくていいのか?」

(;^Д^)「そもそもその誤解自体アンタの所為だろうが!! ――が、まあそうなんだよなぁ……」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:31:57.46 ID:dw8XxEPz0

(;^Д^)「まったく……」

( ^Д^)「よし……。じゃあ、ノックしますよ……」

スッ…

( ^Д^)っ「…………」ピタ…

(; Д)っ「……………………………………………………」シーン…




川 ゚ -゚)「……なんか止まったぞ。誰だ、封絶発動させた奴」

(゚、゚トソン「今は試合中ではないのに……おかしいですね」

li イ;゚ー゚ノl|「サッカーの試合中に時間が止まってる方がおかしいんじゃ……」

(-、-トソン「それは言っちゃダメなこと」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:37:09.21 ID:dw8XxEPz0

(; Д)っ「……、…………」

(; Д)っ「……………………」

(; Д)っ「……………………………………………」

シーン…




川 ゚ -゚)「十二秒経過……『ザ・ワールド』の最高持続時間は九秒だったよな」

(゚、゚トソン「でもほら、体感時間が止まっているだけかも知れませんよ。扉の向こうで心臓が止まった元カノさんが苦しんでいるのでは?」

li イ*^ー^ノl|「ロックさんが時間を止めてるのかも!」

(-、-;トソン「センスが半世紀以上前ですね……。ふしぎな少女です」

li イ*゚ー゚ノl|「お兄ちゃんが好きそうな“だーてぃ”なキャラだよねー」

川;゚ -゚)「それは“ロック”ではなく“間久辺緑郎”の方だな、どちらかと言えば。しかも上手い具合にモララーに関係している……」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:40:09.91 ID:dw8XxEPz0

(; Д)っ「…大丈夫だ、俺。俺ならできる」ボソボソ…

(; Д)っ「…為せば成る、俺ならできる、何事も……。俺は敵と戦いに来たんじゃない、敵を倒しに来たんだ……」ブツブツ…

:(; Д)っ:「…ホワイ ドント ユー ドゥ ユア ベスト、ホワイ ドント ユー ドゥ ユア ベスト、ホワイ ドント ユー ドゥ ユア ベスト……」ガタガタ…

シーン…




(゚、゚トソン「……傍目には凄く危ない人ですねー」

川 ゚ー゚)「ほら、トソンさん。そろそろ能力解かないと契約対価で消滅するぞ?」

(っ、;トソン「今でも“ない”のに若返ったらもっとなくなっちゃうじゃないですかぁ! クーさんのいじわる!!」

川* -)「(あー、可愛いなぁ……。きゅんきゅんする……)」

li イ*゚ー゚ノl|「?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:44:13.06 ID:dw8XxEPz0

(; Д)っ「…デレさんは、怖くない。デレさんは怖くない」ボソボソ…

(; Д)っ「…デレさんは元カノ。だから、話しかけるのは全然普通のことなんだぞー?」ブツブツ…

:(; Д)っ:「…動け、動けよ。ここで動かなきゃ全部終わっちゃうから……っ!!」ガタガタ…




(ノリ*゚ -゚ノリゝ「――何してるの?」

(-、-トソン「男の戦いをしていますね。静止した時の中で」

(ノリ*゚ -゚ノリゝ「ふーん……。狭い通路で止まっていられると邪魔なんだけどなぁ……。部屋でシャワー浴びたいのに」

川 ゚ -゚)「美少女二匹。トソンさんが朝ご飯の残りでおにぎり作ったから、お腹が空いてるなら食べていいぞ」

(;# ;;-)「わ、私も……」

(゚ー゚*トソン「――どうぞ。食べていいに決まってるじゃないですか」

(* ;;-)「…………ありがとうございます」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:49:25.70 ID:dw8XxEPz0

スッ…

(; Д)「…よし、一度休憩。一回深呼吸……」

(; Д)「…スー……はぁぁぁ…………」




川;゚ -゚)「……ノックして声かけるだけに何話かけるつもりだアイツは。DBがマシに見えるぞ」

li イ*-−-ノl|「ふぁ……。加速剤でも飲んだんだと思って、ゆっくり待つしかないんじゃないかなぁ……んん……」

(゚、゚;トソン「さっきから変なトコで古典的な女の子ですね……。ウェルズですよね?」

川 ゚ー゚)「……人のことを言えないと思うが?」

(-、-;トソン「わっ、私は古いネタって言っても、時を止める能力があるのに『変革の戦士』って面白いなー、ぐらいしか……」

川 ゚ -゚)「まず大抵の普通の人間は四守護すら満足に言えないぞ?」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:52:55.39 ID:dw8XxEPz0

ガチャ! ―ガッ!!←唐突に中から開いた音と、扉と何かがぶつかった音。

ζ(゚、゚*ζ「?」

(; Д)「――ぐぎゃっ!!」←そして開いた扉で頭をぶつけたヘタレ。


ζ(゚ー゚*ζ「…………」

(;^Д^)「…………」


ζ(゚ー゚*ζ「………………そんな所に蹲って、何してるの?」

(;^Д^)「えっと………………何でしょうね?」

ζ(-、-ζ「私に訊かないでよ」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 20:56:13.88 ID:dw8XxEPz0
ζ(-、-*ζ「ふぁ……知ってると思うけど、私、低血圧だから。頭、回らなくて」

( ^Д^)「…………」                                 川 ゚ -゚)「…あー、デレさんはやっぱ美人だな」ボソボソ

ζ(-、-*ζ「今だってパジャマ姿だし……」                        li イ*゚ー゚ノl|「?」

( ^Д^)「……………………」                             川 ゚ -゚)「…パジャマ姿……。こういう抜けてるとこが、また……」ブツブツ

ζ(、*ζ「そもそも、どうして外に出ようとしてたのか……。ふぁぁ〜……」         (゚、゚トソン「……クーさん?」

( *^Д^)「……、…………」                              川*゚ -゚)「…うわ、ボタン二つ目まで外れてる……。色っぽい……」ボソボソ

ζ(゚ー゚*ζ「……ねぇ。……ねぇ、君」                          (゚、゚;トソン「?」

( * Д)「…………」                                  川* ー)「…しかも良い匂いするし……。あ、ヤベ起ちそう……」ブツブツ

ζ(゚、゚*ζ「ねぇ――ってば」ユサユサ                            (゚、゚;トソン「…………何してるんですか?」

(;^Д^)「――えっ。あっ、はい!? なんですか!?」                 川 ゚ -゚)「ん? 心のアテレコ遊び」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:01:31.81 ID:dw8XxEPz0

ζ(-、-*ζ「――さっきから君の視線、私の胸で止まったままなんだけど……話、聞いてる?」


(;^Д^)「っ!!?」

ζ(゚ー゚*ζ「……溜まってるの?」

(;^Д^)「やっ、やだなぁ!! 違いますよデレさん!!」

:(; Д):「あの……それは、そのですね……」アセアセ…




川;゚ -゚)「まさかアテレコが合ってたとはな…………冗談だったのに」

(、トソン「あの人、あんな立派なモノをお持ちだったなんて……。隠れ巨乳、ですね……」

li イ -ノl|「しかもパジャマだからノーブラだよ……。うぅぅ……」

川;゚ -゚)「“たゆんたゆん”してたもんな、さっきから……」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:06:46.04 ID:dw8XxEPz0

ζ(゚ー゚*ζ「…………見たい?」

(;^Д^)「違います! そんなことないです!断じてない!!」

ζ(^ー^*ζ「ふ〜ん……。じゃ、ボタンは留めるから」

(;^Д^)「あっ……」

ζ(゚、゚*ζ「……やっぱ見たいんじゃん」

(;^Д^)「違うっつってんじゃないですかッ! そういうエロい感情は抱いてねぇ!!」




( ^Д^)「――俺はただ『ああ、前より大きくなってるなー』と……」

ζ(-、-*ζ「……それ、私にはいいけど、他の女の子に言ったらセクハラで訴えられるよ?」

(;^Д^)「うぐっ……。(しまった、本音が……)」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:10:20.89 ID:dw8XxEPz0

ζ(゚ー゚*ζ「……ねぇ」


ζ(ー *ζ「君が、素直に『したい』って言うなら、今軽く、手とか口とかでしてあげてもいいんだよ?」

ζ(ー *ζ「その先だって……。中で、ね……?」

(  Д)「――っ!!」


( ^Д^)っ「――デレさん」ガシッ

ζ(゚ー゚*ζ「…………なに?」

ζ(-ー-*ζ「いきなり女の子の腕掴むなんて、少し会わない間に君は随分と乱暴な――」

( ^Д^)「――デレさん」

( ^Д^)「そういうのはもう止めるって……前に、約束したじゃないですか」

(  Д)「俺と……約束したじゃあ、ないですか……」

ζ(-、-*ζ「……したね」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:15:41.29 ID:dw8XxEPz0

ζ(-、-*ζ「でも、私は『自分を大切にする』って約束しただけだから」

(;^Д^)「だったらなんで……っ!」


ζ(゚ー゚*ζ「――“君の彼女として”、ね」


(;^Д^)「っ……」

ζ(^ー^*ζ「私はもう“君のモノ”じゃないんだよ。私は、私だけのモノなんだ」

(; Д)「…………デレさんが」

( ^Д^)「デレさんが、俺のモノだったことなんて一度もないでしょ……」

( ^Д^)「アンタは昔から人を喰ったような人だった……」

ζ(-、-*ζ「……かも、ね」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:19:05.35 ID:dw8XxEPz0

ζ(-ー-*ζ「だから、私にはもう君との約束を守る義務はない」

ζ(-、-*ζ「加えて言えばさ。もともと――」

(  Д)「――それでも、」

ζ(゚、゚*ζ「……え?」


( ^Д^)「俺の記憶が正しければ、アンタは“俺の彼女として”じゃなく、“俺の大切な人として”約束したはずです」

(  Д)「もう“彼女”じゃなくても……。デレさんが何とも思ってなくても……」

( ^Д^)「――俺にとって、デレさんは――十分過ぎるほどに“大切な人”なんです」


ζ(- *ζ「…………手、離して」

(;^Д^)「デレさん! 俺は――」

ζ(- ζ「離してっ!!」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:23:14.86 ID:dw8XxEPz0

(;^Д^)「あ……」

ζ(- *ζ「…………むこう、向いてよ」


ζ(/ー//*ζ「――目、合わせるの……恥ずかしいから……。ね……?」


(;* Д)「あっ――はいっ……。あの、ですね……」

ζ(/、//*ζ「君は……たまにだけど、無自覚に凄く恥ずかしいこと言うね……」

(;* Д)「あー……その、すいません……」




(-、-*トソン「…………あなたのお兄さん。カッコ良いですね……」

川 -ー-)「ああ。ムカつく位に優しい奴だ……」

li イ* ーノl|「うん……。自慢のお兄ちゃんだよ……」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:27:49.59 ID:dw8XxEPz0

ζ(-、-*ζ「――ごめんね。ちょっとイジワルした」

ζ(^ー^*ζ「でもさ、覚えおいて。ああいうのは、誰にでも言うわけじゃない。“君だから”言ったんだ」

( ^Д^)「え? “ああいうの”って……」


――『君が、素直に「したい」って言うなら、今軽く、手とか口とかでしてあげてもいいんだよ?』
――『その先だって……。中で、ね……?』


(;* Д)「いやぁ、その――なぁ……。あははは……」ニヤニヤ

ζ(-、-*ζ「ちょっとありきたりで陳腐だけど――って聞いてないね」




(-、-トソン「でも、最近キャラが迷走気味ですね。ムッツリスケベポジションになりつつあります」

川;゚ -゚)「……悪い。前言撤回していいか?」

li イ*//-/ノl|「うー……。おにーちゃんのえっちぃ……」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:30:30.92 ID:dw8XxEPz0


【――そんなこんなで誤解は解けて、】


ζ(-、-*ζ「――まぁ話は分かったけど、君が中学生の子預かってることは変わりないし、その子に猫耳つけてたことは事実だし」

(;^Д^)「だからそれはクー先輩がですね……」


ζ(-、-*ζ「ついでに君の中では、 私の色香 >>> 私の話 ――ってことも揺るぎようのないことみたいだし」


(; Д)「それはマジで、すいません……」

川*゚ー゚)「やっぱ、溜まってるのか?」

(;^Д^)「だからアンタはいきなり何言ってんだ! 違ェよ!!」

ζ(゚ー゚*ζ「……本当に?」

(; Д)「いやあの…………スイマセン」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:33:06.02 ID:dw8XxEPz0

ζ(゚ー゚*ζ「――自己紹介が遅れました」

ζ(-ー-*ζ「はじめまして。私は……ええと、『デレ=ブラウニング=ローナン』です」

ζ(^ー^*ζ「初対面であるというのにこのような不躾な格好で申し訳ありません」

川;゚ -゚)「あ、いやこちらこそ朝から申し訳ない」




(゚、゚;トソン「…どうしましょうクーさん。とても礼儀正しくて真っ当っぽい方ですよ……」ボソボソ

川;゚ -゚)「…本当にどうしよう。こういうノーマルな人、私的な場で会うの久しぶりだから対応が、なぁ……」ブツブツ

( ^Д^)「お願いですから何も考えず普段通りに自己紹介して下さい」

(-、-;トソン「……そうですね。普通に、普通に……」

( ^Д^)「クー先輩は保安官ロバートやらなくていいですからね」

川;゚ -゚)「流石の私でもこの状況で吉本ネタは出来ない……」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:36:16.03 ID:dw8XxEPz0

(-、-トソン「…………」

川 -)「よし……」


(゚、゚トソン「――私の名は病葉トソン。好きなものは秘剣・燕返し。特技は秘剣・燕返し。趣味は秘剣・燕返し、です」

川*゚ー゚)「――私は夢喰いクール! こっから先は、通行止めだっ!!」


ζ(゚ー゚*ζ「…………」

ζ(^ー^*ζ「………………………………よろしくお願いします」




川; -)『――――笑うでもなく引くでもなく大人な対応されたぁぁぁああああ!!!』(、 ;トソン

(;^Д^)「……いや、そりゃそうなるでしょ」

li イ*゚ー゚ノl|「(あ、そう言えばトソンおねーちゃんの名前初めて聞いた)」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:39:06.88 ID:dw8XxEPz0

ζ(^ー^*ζ「ええと……その、ごめんなさい。私、アニメや漫画は詳しくないもので……」

(、 ;トソン「こちらこそ申し訳ありませんでした……」

川; -)「本当に申し訳ない……。つい、いつものノリで……」

ζ(-ー-*ζ「いえ、楽しかったです。たまには実弾じゃない砂糖菓子も良いものですね」

(゚、゚;トソン「えっ……?」




( ^Д^)「――言い忘れてましたけど、デレさんは基本的にラノベとか読みませんが、桜庭一樹や有川浩のネタは例外的に通じます」

(っ、;トソン「先に言って下さいよ! そうと聞いてればそっちのネタ使いましたよ!!」

川;゚ -゚)「お前の所為で私の第一印象限りなく最悪だぞ!!」

( ^Д^)「俺の所為じゃねぇ。とりあえず相手がオタクか分からないのにそういうネタを振るのは止めましょうね。まったく」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:42:09.41 ID:dw8XxEPz0


【――普通の自己紹介が終わった後、】


ζ(゚ー゚*ζ「明日越してくるクールさんに、そのお友達のトソンさん――ね」

ζ(^ー^*ζ「そして、妹ちゃん」

li イ*^ー^ノl|「おねーちゃん久しぶりー」

ζ(゚ー゚*ζ「久しぶり。……それにしても皆さん、面白いですね」

川; -)「さっきのは忘れてもらえるとありがたい……。後輩が『普段通りに』って言うもんだから……」

(;^Д^)「俺の所為ですか!!」

( ^Д^)「(まあ……クー先輩が緊張してたのをトソさんが解そうとして、その結果ああなった感じかなー……まったく)」

ζ(゚ー゚*ζ「――いえ。面白いというのはそういうことではなく、気配のことです」

li イ*^ー^ノl|「“けはい”? ああ!」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:45:07.26 ID:dw8XxEPz0

ζ(-、-*ζ「このアパートには相応しい、とも言えますけど……」

ζ(゚ー゚*ζ「特に――トソンさん。あなたは」

(゚、゚トソン「え……?」


ζ(^ー^*ζ「ふふ……。私は“チェンジリング”ですが――あなたは“リャナンシー”のようですね」


(゚、゚;トソン「は、はぁ……」

川 ゚ -゚)「(…………ほう)」

(;^Д^)「デレさん? 何を……」

ζ(-、-*ζ「君は生まれつきの“勘”はいいんだから、もっと“感”を鍛えなさい、ってことだよ」

(;^Д^)「??」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:48:06.68 ID:dw8XxEPz0


【――数分後・雨霧荘、正面】


(゚、゚トソン「――このアパート、何か“曰く”でもあるんですか?」

( ^Д^)「え? いや、ないと思いますけど……」

li イ*゚ー゚ノl|「アパートにはないよー。アパートには」

(-、-トソン「…………あ、そういうことですか。プギャーさんに似て世話焼きさんなんですねー」

(;^Д^)「……あれ? もしかして分かってないの……俺だけ?」




川 ゚ -゚)「(この立地条件。そこそこ広い部屋に個別の風呂とトイレがあり、それでも空きがある……その時点で気づくべきだったかな)」

川 ゚ -゚)「(まあ……それこそ、どちらでも同じこと、か)」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:51:05.88 ID:dw8XxEPz0

(;^Д^)「俺、あんま霊感ないんで分かんないんスけど……なんか出るとか?」

(-、-トソン「このアパートは変わり者が多いから気をつけろ、という程度のことですよ。気にするに値しません」

(;^Д^)「まあ確かに葉守さんとかは……なぁ」

川 ゚ -゚)「次はその人か」

( ^Д^)「はい。葉守さんの部屋は五号室で、でも多分こういう天気の良い日には裏で日光浴ですよ。ちなみに一番の古株です」

(;^Д^)「それでえっと……ちょっと見て来てくれませんかね?」

(゚、゚トソン「仲立ちしてくれないんですか?」




(-、-*トソン「――全然関係ありませんが“仲立ち”って、なんだかえっちな響きですね」

(;^Д^)「関係ないと分かってるなら言わないで下さい!!」

(゚、゚*トソン「だって、“なか”で“たつ”んですよ? なんだか、こう……」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:54:10.77 ID:dw8XxEPz0

(;^Д^)「とにかくっ――誰でもいいので、誰かちょっと行って来て下さい」

川 ゚ -゚)「なんだ後輩。その葉守さんとやらのこと、苦手なのか?」

(;^Д^)「いや、苦手って言うか、」


(; Д)「――あの人日向ぼっこする時は基本全裸でしかも羞恥心ないから俺を見つけると普通に起き上がっちゃったりするので……」


li イ*゚ー゚ノl|「……見えちゃうんだ」

(; Д)「見えちゃうんです……。見せるつもりはないんだろうけどなぁ……」

(゚、゚トソン「見せてくれてるんですから、ありがたく見せて頂けばいいのに。据え膳喰わぬは何とやら、ですよ」

(;^Д^)「いや駄目でしょそれは……」

川*゚ー゚)「溜まってるんだろ? だったら、それをオカズにして抜けばいいだろう」

(;^Д^)「いい加減そのネタ止めて!!」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 21:57:39.36 ID:dw8XxEPz0

(-、-トソン「――しかし、ぶっちゃけてしまいますとね。女の子の下着には“見せるやつ”があるんですよ」

(゚、゚*トソン「むしろ、全ての衣服はそれを着た姿を見られる為にあると言っても過言ではありませんねっ!!」

( ^Д^)「それはコスプレイヤー的意見でしょ……大体、見せるようの下着なら男にもありますし」

(;^Д^)「そして葉守さんは全裸なんです。見せる下着も何も、そもそも何も身に着けてないんですってば」

川 ゚ -゚)「じゃあ、見せる為の身体なんじゃないか?」

(-、-*トソン「女の子のカラダというのは……多かれ少なかれ、そうですよ」

li イ*//-/ノl|「……そ、そうなの?」

(;^Д^)「一個人の意見だからな。まったく……」

( ^Д^)「とりあえずトソさんが呼びに行く――もとい、服の着用の要請に行くのは止めておいた方がいいと思います」

(゚、゚トソン「何故ですか?」

(;^Д^)「いや、何故って…………行けば分かるんじゃないですか?」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:00:44.63 ID:dw8XxEPz0


【――数分後】


| l| - _-ノl 「――いつもさ、気にしなくて良いって言ってるのに。お姉さんは気にしないわけだし」

(;^Д^)「葉守さんが気にしなくても俺が気にするんです!」

| l| - _-ノl 「なるほど、君は純情なわけだ。若しくは女性に対し誠実なのか……ところで一つ疑問なわけだけど、」


(っ、;トソン「えぐっ……。ひっぐ……っ、うぅ……」

(;、;トソン「んっ……なんでですかぁ……。なんでこのアパート……っ、たゆんたゆんな人ばっかぁ……」

:(っ、;トソン:「どぉじて゛……。ううぅ……ふぇ、うぇぇぇ…………」


| l| - _-ノl 「――その子はどういうわけで泣いてるわけ?」

( ^Д^)「葉守さんには関係ないことですね。(だから言ったのに……)」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:03:28.04 ID:dw8XxEPz0

| l| - _-ノl 「――それでさ、お姉さんにどういう用なわけ?」

( ^Д^)「引っ越しの挨拶です」

| l| - _-ノl 「なるほど……君とは短い付き合いだったけど結構楽しかったよ」

(;^Д^)「いや俺が引っ越すんじゃないです! 俺こないだ越してきたトコなのに……どういう発想でそうなるんですか」

| l| - _-ノl 「そうかな、知り合いが可愛い女を三人連れて歩いているのを見たらハーレムルートに異世界行きを想像するのも当然なわけだよ」

(;^Д^)「この三人は俺の妹と先輩と友達ですよ……大体、俺はハーレムは好きじゃないんです」

| l| - _-ノl 「つくづく君は誠実だ。まったく、女なんて適度に適当に遊びで付き合えばいいのに……」




li イ*^ー^ノl|「……可愛い、だって」

(-、-*トソン「サラッと言われると……ちょっと、恥ずかしいです」

(;*^Д^)「さっきまで泣いてたのに単純だなぁ! だがそこがいい!!」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:06:06.57 ID:dw8XxEPz0

| l| - _-ノl 「――というか、君、女連れ込んでるだろ。四月ぐらいから」

(;^Д^)「うぐっ……気づいてたんですね」

| l| - _-ノl 「当然、お姉さんを舐めちゃいけないね。これでも、君よりは長く生きてるし、長く生きるんだぜ」

( ^Д^)「長く生きるかどうかは知りませんが、長く生きてるって……たかだか数年でしょ?」

| l| - _-ノl 「ほんとにそう思ってるなら君はまだまだだね」

| l| - _-ノl 「とにかく、安心してくれ、余計な詮索はしないつもりだ」

( ^Д^)「…………ありがとうございます」

| l| - _-ノl 「なになに、お互いに余計な口出しをしないのは最低限のルールなわけだよ。別にね、君が少女趣味だろうとお姉さんには関係ないね」

( ^Д^)「――違います断じて違う絶対に違う」

| l| - _-ノl 「ならいい……お姉さんにも妹がいるわけだけど? しかも滅茶苦茶可愛い」

(;^Д^)「アンタ俺の話まるで聞いてねぇな……いや、いつものことか」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:09:06.37 ID:dw8XxEPz0

| l| - _-ノl 「それでさ、君の旅立ちの日はいつなわけ? 見送りぐらいはしよう」

(;^Д^)「だから俺は引っ越さないの! 話聞いて下さい! 平坦な調子でボケ倒さないで!!」

| l| - _-ノl 「わるいね、顔が蒼白いのも声のトーンが低いのも眠そうなのも忘れっぽいのもエロい身体なのも生まれつきなわけだ」

(;^Д^)「反応に困るボケは止めて下さい!」

| l| - _-ノl 「ちなみに今お姉さんは上半身シャツ一枚着ただけだ」

(;*^Д^)「――っ! 俺の心をピンポイントで揺さ振るようなボケをしないで下さい!!」

| l| - _-ノl 「まったく、君は楽しいなぁ……」

li イ -(;^Д^)「背中に当たる妹の視線が痛くなって来たんで性的なネタは本当に止めて!!」




| l| - _-ノl 「――そしたら、さっさと転入者を紹介してくれたまえ。これでもお姉さんは忙しいわけだよ。暇だけど」

(;^Д^)「はい……。(忙しいのか暇なのかどっちだよ……)」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:12:06.12 ID:dw8XxEPz0


【――その後・雨霧荘、二号室前】


(゚、゚*トソン「――面白い方でしたね」

(;^Д^)「俺はスゲェ疲れましたけどね……」

川 ゚ -゚)「…………」

( ^Д^)「……クー先輩?」


川 ゚ -゚)「――あの葉守さんとか言う人が、このアパートにおける戯言遣い的ポジションなんだな」


(;^Д^)「さっきからずっと黙って深刻そうな顔してると思ったらそんなこと考えてたんスか!!? 確かに一番変ですけども!!」

(-、-*トソン「でも、なんにせよネタが通じる方で良かったじゃないですか」

川 ゚ -゚)「うむ」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:15:09.27 ID:dw8XxEPz0

| l| - _-ノl 『――まあまあ、安心しなさい。セキュリティは万全なわけだから』

( ^Д^)『そうっスか? 女性の一人暮らしにはオートロックぐらい欲しいと……』

| l| - _-ノl 『これでも、世界に数人しかいない凄いレベルの何人目かの、ぶっちゃけ最強なお姉さんがいるわけだからね』

(;^Д^)『“世界に七人しかいない”・“レベル10の遺物使いの”・“八人目”ですっ! 今期のネタ使うんならちゃんと覚えて!!』

| l| - _-ノl 『実際、世界最強委員会も真っ青な戦闘力を有している』

(;^Д^)『知るかぁ二重の意味で!! “そのネタあんま伝わらねぇよ”って意味と“知らねぇよ”って意味で!!』




川 ゚ -゚)「いきなり別マガのネタ振ってくるんだもんな。フィールが高い」

(-、-;トソン「……ちゃんと拾ったプギャーさんは凄いですよ……」

( ^Д^)「まあ、好きっスから。マンガ」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:18:18.85 ID:dw8XxEPz0

川 ゚ -゚)「あの人とはまたいつか話すとして――さて、次だな」

( ^Д^)「三号室の人は不在ですし、イヨウさんはどうやら今日は帰らないっぽいですねー」

li イ*-ー-ノl|「ふにゅ……。じゃあ、次で終わり……?」

( ^Д^)「眠いんなら部屋に戻って寝てていいぞ。タマも寂しがってるだろうしな」

li イ*-ー-ノl|「ん、きゅーちゃんと寝てる……」

( ^Д^)「寝過ぎて夜寝られなくならないようにな」

li イ*-ー-ノl|「ふわ……大丈夫。今日も、おにーちゃんと眠るんだから……」

( ^Д^)っ「まったく……」ナデナデ




(゚、゚;トソン「……と言いつつ、無茶苦茶頬緩んでますよ」

川;゚ -゚)「本当に大丈夫か? この兄妹……」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:21:11.35 ID:dw8XxEPz0

(゚、゚トソン「――ところで、“きゅーちゃん”とは?」

( ^Д^)「雪吹がいつも頭に乗せてる銀色の猫いるでしょ? アイツ、名前が難しい方の漢数字で、“玖(たま)”なんです」

川 ゚ -゚)「ああ。だから“きゅう”なのか」

( ^Д^)「うちの長兄が、元カノ?かなんかの名前から取ったんだとか……女々しいですよね」

川 ゚ -゚)「(お前が言うか)」

(゚、゚;トソン「(あなたが言いますか?)」



「――違うぜ弟。“元カノから取った”んじゃなくて、“元カノの愛称が猫から取られた”んだよ」



( ^Д^)「ああ、そうだった気も……あ、」

( ^Д^)「……また都合良く帰ってきましたね」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:24:06.27 ID:dw8XxEPz0

( ^Д^)「――高岡さん」


フラ〜 从*-∀从「――おう。……足元がフラついてんのは酔ってるだけだから気にするな」


(;^Д^)「医者の不養生をここまで体現してる人も珍しい……」

从*゚∀从「うるせー……お、」

从 ゚∀从「なんだ。彼氏のこと刺し殺そうとしてたねーちゃんじゃねぇか」

(-、-;トソン「その節は、本当にどうも……」

从 -∀从「いやー、まあ死なねぇように調整してたんだろ? お前はそういう奴だよ。だから、もういいよ」

(;^Д^)「いや良くねぇでしょ!! っつーか知り合いなの!?」

(゚、゚;トソン「ええと…………恩人?」

(;^Д^)「スゲェ知り合いじゃないですか!!」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:27:06.93 ID:dw8XxEPz0


【――説明後・二号室、室内】


川 ゚ -゚)「……ふむ」

川 ゚ -゚)「――まとめると、」


川 ゚ -゚)「高岡さんは、後輩の兄と知り合いで――」

从 -∀从「幼馴染の友達、だな。俺とアイツは友達じゃないんだけど、俺の友達とアイツは友達」

(;^Д^)「ギャグ●ンガ日和ですか!!」

川 ゚ -゚)「――かつ、モララーの命の恩人で――」

(-、-;トソン「本当に、その節は……」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:30:05.75 ID:dw8XxEPz0

川 ゚ -゚)「――ついでに私の兄さんや、先輩とも知り合いで――」

从 -∀从「お前の姉さんは友達じゃないが、お前の先輩――はにゃの野朗は俺の友達、だな」

川 ゚ -゚)「――そして最後に、明日から私のご近所さん」

从 ゚∀从「おう」

(゚、゚;トソン「なんて言いますか……」

川 -)「…………ちょっと叫んでいいか?」

(;^Д^)「どうぞどうぞ。ご近所の迷惑にならない程度に」

川 -)「ありがとう……。すうぅぅ――」


川;゚ -゚)「――世界狭いよっ!なんだこの状況!!意味が分からんぞ!!?」


( ^Д^)「全面的に同意」

(-、-トソン「同じくです」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:33:11.86 ID:dw8XxEPz0

从 -∀从「――まあ、俺の顔が広いのもあるが」

从 ゚∀从「“このアパート”だから、仕方ないだろう」

(;^Д^)「あー……はい」

川 ゚ -゚)「どういうことだ?」


(;^Д^)「この雨霧荘の所有者――俺の兄さん、なんですよねー……」


(-、-トソン「なるほど。それなら、弟であるプギャーさんや友達である高岡さんがいるのは納得ですね」

川;゚ -゚)「それでも狭すぎるだろ、世界……」

从 -∀从「カーストだよ、かぁーすと。上に行けば行くほど世界はせめーんだ」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:36:06.48 ID:dw8XxEPz0

从 ゚∀从「大体、距離なんてアテになんねーぜ?」

从 -∀从「好きな奴のトコに行く時は千分の一になったり、スゲー長距離でも家族の情の度合いによって一日で行って帰れたり」

(-、-*トソン「“惚れて通えば千里も一里”なんですね」

从 ゚∀从「おうよ」

从 -∀从「だが同じだけ遠いのも距離なんだ。すぐ隣にいるはずなのに、どうしようもないのも距離なんだよな」

川 -)「…………」

(゚、゚*トソン「ガラス越しのキミとボクなんですね!」

( ^Д^)「トソさん、ちょっと黙ろうか」

从 ゚∀从「いやいーよ。その通り。ルルとスザクだな」

从 -∀从「“遠くて近きは男女の仲、近くて遠きは田舎道”なんて言葉があるが……俺はこう言いたいね」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:39:07.01 ID:dw8XxEPz0

从 -∀从「“遠くて近きは友の仲――近くて遠きも友の仲”、ってね」


川 -)「…………」

( ^Д^)「……モラ先輩なら、」

川 ゚ -゚)「!」

( ^Д^)「モラ先輩なら……絶対、そうは言わないでしょうね」

从 -∀从「くくっ……じゃあ、どう言うんだ?」

(;^Д^)「それは――えっと……」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:42:30.59 ID:dw8XxEPz0

(-、-トソン「彼なら、こう言うと思いますよ?」

(;^Д^)「トソさん……」


(゚、゚トソン「――“Everyone hears what you say. Friends listen to what you say.”」

(-、-*トソン「“Best friends listen to what you don't say.”――と、そんな風なことを」


从 -∀从「……くくっ。なるほど」

从 ゚∀从「愛しい想いや家族への情が千里の距離を無くすように、」


从 -∀从「――アイツは、“言えない”という“心の距離”さえも……場合によっては無くしちまうんだな」


(-、-*トソン「はい。きっと、そうですよ……ね?」

川* ー)「ああ……そうだな。きっと、そうだよ……」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:45:10.96 ID:dw8XxEPz0


【――後日談というか、本日のオチ】


川 ゚ -゚)「――さて、これで挨拶も終わりかな」

( ^Д^)「ええ。イヨウさんは今度にしましょうか。三号室の人は……帰ってきたらで」

(-、-トソン「早く蕎麦を打たないといけませんね……」

(;^Д^)「(それネタじゃなくて本気だったのか……)」




(゚、゚トソン「――っと、その前に」

从 ゚∀从「なんだ? 忘れ物か、ねーちゃん」

(、 トソン「忘れ物、というか……」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:48:07.47 ID:dw8XxEPz0

(゚、゚*トソン「――少し失礼します」

ガバッ ←ハインに抱きついた音。

从 ゚∀从「……なんだ、どうした?」

(、 トソン「…………さらに失礼します」むにゅぅー ←抱きつきながら胸を揉みしだき中……。

从*-∀从「んっ……止めろよ、こそばゆいぜ」

(;*^Д^)「ちょっと! トソさん何やって――」

(、 トソン「うわぁ……」


(;、;トソン「――着痩せするタイプですか!? また結構なボリュームがありますねぇっ!!」


(;^Д^)「それ確かめる為だけに!!?」

川 ゚ -゚)「本当に“たゆんたゆん”な人ばっかなんだな、このアパート」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:51:18.27 ID:dw8XxEPz0

从*-∀从「んっ……まあ、そりゃあ大人だから、俺は。なんせもう三十路超えたオバサンだ」

(っ、;トソン「私だって大人ですよ! 来年には二十歳ですよ!!」むにゅむにゅ… ←揉み続ける貧乳系女子。

(;*^Д^)「とりあえず手を止めろ!! っつーか三十路超えてんの!?若作りだなぁ二十歳ぐらいだと思ってました!!」

从*-∀从「オバちゃんだよ、もう……。ッ……」

川* -)「すいませんちょっとトイレ借ります……」ダラダラ…

(;^Д^)「賢者モードになろうとしてんじゃねぇよ!! 止めるの手伝って下さい!」

(;、;トソン「こんなの不公平ですよぉ! なんで私だけ!なんで私だけ!!」

川;゚ -゚)「でもほら、ひんぬーこそ正義?みたいな? 貧乳はステータス?みたいな?」

(;^Д^)「なんで微妙に語尾上がりの疑問系なんですか!!」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:54:07.43 ID:dw8XxEPz0

(;、;トソン「――それは勝ち組だから言えるんですよぉ!! うわぁぁぁあん! もうっ、揉んでやるっ!!」ガバッ

川 //-/)「えっ、ちょっと待っ、トソンさ――ふあぁぁあ! んっ、やだぁ……」

川*//-/)「うあッ……あっ、だめだってばぁ……。んぁ……っ、やっ……そこッ、つねっちゃ……うぁッ……!」




(;* Д)「――すいません、ちょっとトイレ貸して下さい」

从 -∀从「テメーも抜こうとしてんじゃねぇよ」

(っ、;トソン「――もうやだ!私もここに住みます!! そして絶対“たゆんたゆん”になります! うわぁぁああんっ!!」むにゅむにゅ… 

川*//-/)「あっ……やだッ、おかしくなるっ……からぁっ……!」

(;*^Д^)「駄目ですって引っ越しとかホントにモラ先輩に殺され――ってだからいい加減その手を止めろぉぉぉおおおっ!!」


 ……VIP大『アドバイス部』の部員の仲間達。
 それぞれに様々な事情を持ちながらも、これで挨拶回りも一応終了……?


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 22:57:14.34 ID:dw8XxEPz0

Call back‐10




(#゚;;-゚)「心内にあれば色外に。想う人ほど、想わるる」


……すたーとっ



70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:00:33.24 ID:dw8XxEPz0


「――そういや、お前等……なんでいきなりうちに来たんだ?」

  「あっ、えっと――お兄ちゃん誕生日おめでとーっ……みたいな?」

「俺の誕生日は一月だ」

  「じゃ、じゃあ私達の誕生日おめでとー……かな?」

「お前等の誕生日は十二月だ。いや、俺の誕生日を忘れたりするのは分かるが、自分の生まれた日は流石に忘れないだろ」

  『なら、でぃちゃんの誕生日――』

「私に誕生日はありません」

  「あ、ないんだね……」

  「ごめん……」


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:03:07.44 ID:dw8XxEPz0


「理由もなく学校休んで寛ぐなよ……まったく」

  「うぅ……ごめんなさぃ……」

  「でもねっ、お兄ちゃんも、可愛い妹に会えて良かったでしょ!?」

「まぁな……」




( ^Д^)「――だから最後の夜ぐらい、ゆっくり相手してやるよ」

(ノリ*^ー^ノリゝ『やったー!!』li イ*^ー^ノl|



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:06:21.52 ID:dw8XxEPz0


(#゚;;-゚)「――あの、」

li イ*゚ー゚ノl|「……でぃちゃんも、眠れない?」

(#゚;;-゚)「いえ、私は……」


 その後――彼女が、「デレさんの部屋で寝る」と言い出したのは突然だった。
 プギャーさんの意見も聞かず、冰刃さんを残し、私を連れて部屋を飛び出したのが、直後。
 デレさんは全て分かっていたようで布団を敷いて待っていた。

 そして――今。深夜。
 真夜中に外に出て行った雪吹さんを追って、私も月明かりの下へ出た。


(#゚;;-゚)「私は……聞きたいことが、あって」

li イ*゚ー゚ノl|「…………」



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:09:12.57 ID:dw8XxEPz0

 聞きたいこと。
 聞いておかなければならないこと。

 それは――。


(#゚;;-゚)「雪吹さん達は……“プギャーさんを慰める為に”、ここに来たんですか?」

li イ* ーノl|「…………」

(#゚;;-゚)「お兄様のこと、分かってたんですよね?」


 きっと連絡は先に実家へいっていたのだろう。
 プギャーさんが悲報を聞くよりも早く。彼女達は、既に知っていたのだ。

 知って――だから。
 大切な家族を慰める為にやってきた。


li イ* ーノl|「うん……そうだよ」

(#゚;;-゚)「…………」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:12:16.30 ID:dw8XxEPz0

 夕食の場で、その話を振ったのも。
 その後の会話も。ずっと賑やかに明るく振舞っていたのも。

 子供ような行動だって――。


li イ*^ー^ノl|「お兄ちゃん、強がりだから。“ちゃんと泣かせてあげないと”って、思って……」

(#゚;;-゚)「でも、プギャーさんは隠そうとした」

li イ*^ー^ノl|「うん。だから、せめて気が紛れるようにね」


 妹も、兄も。

 お互いに、お互いのことを想って行動していた。
 自分が感じる悲しみも辛さも後悔も葛藤も――その全てを押し殺して。
 
  ――ただ、相手の為だけに。

 そしてきっと――もうお互いに気づいているのだ。
 気づいていて、それでも――相手の優しさを大切にし、気づいていないフリをし続けている。


77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:15:07.61 ID:dw8XxEPz0

 それに、もしかすると。
 随分前にあった電話は――あの人の遺言だったのかもしれない。

 弟と妹達への最後の気遣い。
 唯一の心の残りへの、精一杯の配慮。


(#゚;;-゚)「今、ここにいるのは……お姉さんの為ですか?」

li イ*-ー-ノl|「そうだよー」

li イ*゚ー゚ノl|「冰刃ちゃんはいっつもお姉ちゃんぶって……無理してばっか、だから」


 二人きりじゃなければ甘えられなかった。
 誰かが――守るべき妹が傍にいると、つい強がってしまう。

 だから、二人きりにしてあげた。

 お互いにお互いを想っている。
 姉が妹を想うのが当然なら――妹が姉を想うのも必然だった。


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:18:23.26 ID:dw8XxEPz0


(ノリ*//-/ノリゝ「――お兄ちゃん、あの……あのね、」

( -Д-)「……やれやれ」


 腕を掴んで、無理矢理ベッドの中に引っ張り込む。
 冰刃はしばらくの間こそ、もぞもぞと抵抗していたが……抱き締めてやると大人しくなった。

 素直じゃない奴だ。
 まったく、誰に似たのだか。


(ノリ*//-/ノリゝ「はぁッ――う、ぁ……」


 身体の向きを変え、俺の胸に顔を埋めてくる。
 雪吹は昔から、頭を撫でられるのが好きだったが――冰刃はこういう風に抱き締められるのが好きだった。

 まるで、普段甘えられない分を取り返すかのように。
 俺の手に自分の手を絡ませ、頭を摺り寄せ、俺を呼んで甘えた言葉を吐く。
 それはずっと昔から変わらない。


79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:21:15.68 ID:dw8XxEPz0

(ノリ*//-/ノリゝ「あのね……違うからね」

( ^Д^)「ん?」

(ノリ* -ノリゝ「これから、泣いてるように見えるかもしれないけど……違う、から……」

:(ノリ*つ -;ノリゝ:「ちがうっ、からっ……。ふぇぇ、うえぇぇ………」


 大きくなったな、と思っていた。
 実際大きくなったのだろう。大人になっているのだろう。

 だが、まだ子供で。そして――俺の妹だ。

 親にとって子がいつまでも子であるように、お兄ちゃんにとって妹は、いつまでも妹なのだ。

 幾ら勉強ができようが、幾ら運動ができようが。
 天才だろうがなんだろうが。
 大人ぶっていても強がっていても――俺の妹であることは変わりない。

 いつまでも、いつまでも変わらない――。



80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:24:13.55 ID:dw8XxEPz0


(#゚;;-゚)「――優しい、ですね」

li イ*^ー^ノl|「そうかな? ……家族なんだから、当たり前だよ」


 ――“家族だから”

 たったそれだけの理由で、たったそれだけの事実で。

 けれど、そうじゃない。
 “たったそれだけ”――それと同時に、“それだけではない”んだ。


 きっとこの人達は。
 たとえ家族じゃなかったとしても――互いを想い合う関係になっていた。

 私はそれを羨ましく思う。
 素晴らしいことだと……思った。


81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/29(土) 23:27:15.79 ID:dw8XxEPz0

li イ*゚ー゚ノl|「でぃちゃん」

(#゚;;-゚)「……はい」

li イ*^ー^ノl|「でぃちゃんは――おにーちゃんのこと、好き?」

(#// -/)「えっ……」


 胸に渦巻くこの感情が。
 身体を焦がすこの熱さが。

 なんと言うべきものなのか――私には、分からない。


 あの人のことを考え始めると、呼吸の仕方さえ忘れてしまう。
 生きる意味さえ失くなって、空気よりもずっと、あの人が欲しくなる。


(#// -/)「はぁッ……う、ぁ……」


 少し前から……私は、おかしい。
 少しずつ、けれど着実に……おかしくなってきている。


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/30(日) 00:00:09.16 ID:uB3l4dTr0

 心の中の、何か大事なモノを奪われたような、
 心の奥の、何か大事な部分を溶かされたような、

 そんな――


li イ*-ー-ノl|「分からない? ……なら、いいよ」

li イ*゚ー゚ノl|「でぃちゃんは――おにーちゃんを好きになるよ。今は分からなくても……絶対に、好きになる」

(# ;;-)「好きに……なる」

li イ*^ー^ノl|「…………分かるよ」


 “だって――私もそうだから”


 そう言った彼女の横顔は寂しげで。
 頬を流れる涙の跡は、月の光で耀いていた――。



87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/30(日) 00:03:57.70 ID:uB3l4dTr0


川 ゚ -゚)「――そんなに急いで帰ることもないだろうに。電車なんて毎日あるだろ?」

(;^Д^)「いや今日がっつり平日ですし……っつーか、見送りはいいですが、大学は?」


( ・∀・)「自主休校だ」

(-、-トソン「自主休校です」

川 ゚ -゚)「自主休校だな」

('A`)「自主休校…………そういうお前は?」


(;^Д^)「そりゃまあ…………自主休校ですけど……」

(#゚;;-゚)「人のこと、言えないじゃないですか」

(;^Д^)「うぐぅ……」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/30(日) 00:06:36.17 ID:uB3l4dTr0

(ノリ*^ー^ノリゝ「分かってるよ。お兄ちゃんは、私達のことが大好きなんだよねっ!」

li イ*゚ー゚ノl|「大学より大事なんだよねー」

( ^Д^)「馬鹿言え。お前等ほど手のかかる妹、世界中探しても他にいねーよ」


 まったく――その通りだ。
 世界中探しても代わりはいない。


( ・∀・)「また遊びに来いよ。夏休みとかに」

(ノリ;゚ -゚ノリゝ「はいっ――ところで、どうして今日は車椅子なんですか?」

( -∀-)「…………気の所為だ」

(;^Д^)「何がどう気の所為なんですか! ホントにどうしたの!!?」

( ・∀・)「色々あったんだよ、色々」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/30(日) 00:09:07.45 ID:uB3l4dTr0

(-、-*トソン「今度までには、何か、衣装作っておきますから……」

(;^Д^)「先手打って言っときますけどコスプレとか止めて下さいね!!」

(*'A`)「写真取ろうぜブログに上げようぜ、そして金稼ごうぜ」

(;^Д^)「考えが低俗過ぎる! そんなの絶対にやらせません!!」

川 ゚ー゚)「まあ、“お兄ちゃんだけの妹だから”――な?」

(ノリ*^ー^ノリゝ『はいっ!!』li イ*^ー^ノl|

(;*^Д^)「ああもう……もう、それでいいですよ」




(;#゚;;-゚)「(ついに認めてしまわれましたね……)」

( ・∀・)「(しかも、スゲー嬉しそうだなー、コイツ)」

(-、-トソン「(もう完全にシスコン決定ですね……)」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/30(日) 00:13:13.21 ID:uB3l4dTr0

( ^Д^)「――っと、そろそろ時間じゃないのか?」

li イ;-ー-ノl|「うぅ……うん。もう、電車来ちゃったし……」

(ノリ*゚ -゚ノリゝ「ん――じゃあお兄ちゃん、最後。ちょっと屈んで?」

( ^Д^)「あ?」

(ノリ*^ -^ノリゝ「そんで、目ぇ閉じて?」

( -Д-)「まったく……なんだよ」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/30(日) 00:16:08.63 ID:uB3l4dTr0

(ノリ* ーノリゝ「えっへっへっへー……」


 ふわり、と馴染みの二つの匂いが香る。

 それと――同時。
 両方の頬に、何か、少し湿った柔らかい感触が触れて――――、



(;*^Д^)「――って、お前等……っ!!」

(ノリ*^ -^ノリゝ「サービスだよ、さぁーびすっ!!」

li イ*^ー^ノl|「あははははっ!」



(゚、゚*トソン「うわ……。妹二人に、ほっぺにチューされて……」

( ・∀・)「頬緩みまくりだな、後輩」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/01/30(日) 00:19:45.19 ID:uB3l4dTr0

川*゚ -゚)「撮ったか?」

('A`)「……おし、バッチリ。我ながら完璧に撮れた」

(;*^Д^)「先輩達何してんスか――じゃなくてっ!! お前等〜〜っ!!」

(ノリ*^ー^ノリゝ『――わーっ、童貞が怒ったー!!』li イ*^ー^ノl|

(;*^Д^)「っ――俺は童貞じゃねぇっ!!」


 仲良く笑い合いつつ、二人は、手を振りながら改札を抜けていく。

 俺の妹がこんなに可愛いわけがない? いやいや、俺の妹はいつだって明るくて可愛いんだ。
 誰よりも。
 そして強がりで――何より優しい、俺の自慢の妹達。

 そんな妹達が。
 今日も――俺は大切で、大好きなのだった。
 
 ……本人達には絶対言わないがな。


Call back‐10 END



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