- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 19:43:06.80 ID:Fr+VfSpK0
4‐Call
( ><)「烏が鵜の真似をするのは意味がないことですよ。過去にも未来にも、あなたはいないのですから」
……すたーとっ
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 19:46:06.10 ID:Fr+VfSpK0
――『非日常』ってやつは、こちらが望む・望まないに関わらず、さながら通り魔みたいな理不尽さで襲い掛かってくるものだ。
これは伝え聞いた教訓じゃなく単なる経験則。
なんやかんやで中学生の美少女を家におくことになった俺が言えば説得力もあるってもんだろう?
(;^Д^)「はぁ……食費も二人分だとバカにならねぇ……」
たとえば、それは大学の構内。
今日は何処のスーパーが特売だったかとか、そんな風なことを思いながら歩いていた時のこと。
( ^Д^)「……ん?」
俺は――非日常に遭遇した。
“それ”は、この何の変哲も無い大学で、平然と堂々と、メイド服を着ていた。
いや、正直それは大した問題じゃないんだ、この場合。
これはただの勘だが、問題は――――
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 19:49:08.86 ID:Fr+VfSpK0
( ><)「僕はメイドガイ、天鵞絨!勝負なんです、VIP大『アドバイス部』!!」
ξ;゚听)ξ「ええっ、いや、あの……」
( ・∀・)「上等だぜ。言っておくが――俺は、強いぜぇ?」
ξ;゚听)ξ「そうじゃなくてね。そうじゃなくて……」
( ><)「あなたがどれだけ強かろうが、お嬢様――もとい、“元”お嬢様に関しては、負ける気がしませんね」
ξ#゚听)ξ「お前等人の話を聞けぇぇぇぇぇぇええええええ!!!」
……ま、そんな感じのようです。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 19:52:08.41 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「つい先ほど気になるものを見た。そして気になったら調べるのが俺のやり方」
(#゚;;-゚)「調べる、とは」
( ^Д^)「当然先輩に連絡を取るんだよ。同居人」
ピッ ピッ ピッ…
( ^Д^)「この大学一の情報通であり、『アドバイス部』部長たるモラ先輩に」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ^Д^)「…………」
トゥルルルル!トゥルルルル!
(;^Д^)「………アレ? っかしーな……」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 19:55:08.88 ID:Fr+VfSpK0
ガチャ
( ^Д^)「……あ? もしもし、先輩?」
『ふぅ……こちら、アドバイス部だが…………はぁ』
(;^Д^)「(女の声? しかも、スゲーやる気なさそー……)」
『…………………切っていいかな?』
(;^Д^)「駄目に決まってんでしょ!! っつーか誰ですかアンタ!!? モラ先輩は――」
ブチッ!!
ツーツーツー…
(#゚;;-゚)「切られましたね」
( ^Д^)「切られました」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 19:58:06.67 ID:Fr+VfSpK0
川 -)「あー、だる……。モララーは毎日こんなことやってたのか……」
トゥルルルル!トゥルルルル!
川 -)「アイツ……家族死んでから妙に、こう………なんだ、」
トゥルルルル!トゥルルルル!
川 -)「不自然な感じ、というか…………さて、出るか」
ガチャ
川 ゚ -゚)「もしもし、アドバイス部ですが」
『間違ってないですよね?(……で、この人誰だ……?)』
川 ゚ -゚)「間違ってなどいない。ちなみに今日は美少女と美少年の依頼しか受け付けない。理由は私の気分だ」
『――って、クー先輩かぁぁぁああ!!』
川 ゚ -゚)「そうだけど」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:01:06.25 ID:Fr+VfSpK0
川 ゚ -゚)「というか今のやり取りで私と特定されてしまうと何か変態みたいじゃないか、私」
『変態でしょ』
川 ゚ -゚)「否定はしないな」
『っつーか普通、美少年だけだと思いますけどね。女性なら』
川 ゚ -゚)「私は女性ではないしな」
『………へ?』
川 ゚ -゚)「性自認が苦手なのだ。私は。性自認に限定せず、“自分”が曖昧至極なんだよ」
『……性同一性、ってことですか?』
川 ゚ -゚)「よく知りもしない言葉を使うと馬鹿に見えるぞ」
『すいません』
川 ゚ー゚)「すぐ謝るのは良いことだな。モララーの後輩のくせに見所がある」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:04:11.80 ID:Fr+VfSpK0
『身の上トークが続くと思ったかもしれないが、別にそんなことはないんだぜ!!』
(;^Д^)「いやトークをしたいのはこちらであってですね……」
『これ以上は「クーお姉様はぁはぁルート」に入ってから聞いてくれ。じゃ、そういうことで』
ブチッ!
(;^Д^)「――くっそう!また切られた!! なんだ『クーお姉様はぁはぁルート』って!!」
(#゚;;-゚)「筋金入りの変態ですね」
(;^Д^)「もっかいだ!もう一回!!」
(#゚;;-゚)「プギャーさんは、しつこい男です」
( ^Д^)「粘り強いと言え」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:07:13.05 ID:Fr+VfSpK0
トゥルルルル!トゥルルルル!
ガチャ
川 ゚ -゚)「はい、こちらラグーン商会」
『――って国際電話になっちゃった!! この回線ってロアナプラにも繋がってんの!!?』
川 ゚ -゚)「うるせぇな、ケツ穴も一つ増やされてぇのか?」
『クー先輩はトゥーハンドってか、むしろ教会のシスターですけどね』
川 ゚ -゚)「うるさい」
川 ゚ -゚)「……しかし、その粘り強さには感服だ。顔も中々良いわけだし話ぐらい聞いてやろう」
『……なんか分からないですけど、ありがとうございます』
川 ゚ー゚)「さて、そこで提案だが私の奴隷に――」
『――なりません』
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:10:11.04 ID:Fr+VfSpK0
(#゚;;-゚)「プギャーさんが奴隷になってしまったら私はどうすればいいんですか」
『一緒に奴隷になれ、美少女』
(#゚;;-゚)「つい先日まで奴隷として売買されてた子供によくもそんなことが言えますね」
(;^Д^)「(ヤな返しだな、また……)」
『日陰者には日陰者の誇りがある、というのが、お前達の言い分ではなかったか?』
(#゚;;-゚)「……そうですね。その通りです」
(#゚;;-゚)「今でも純粋な力ならば、新参者の国家機関には劣らぬと自負しています」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:13:07.25 ID:Fr+VfSpK0
川 ゚ -゚)「今時、忍者なんて流行らないぞ?」
『流行る・流行らないで私の存在意義を計らないで下さい』
川 -)「…………」
川 -ー-)「……そうだな。確かに、そうだ」
姉さん達も、私も。
小生意気な後輩も――そして、この電話口に立つ少女も。
結局は“同じ”――なのだ。
兄さんが好きになる理由も分かろうか。
川 ゚ -゚)「根本的な所では大して変わらん人殺しの一族なのに、どうしてここまで、差が出たものかな……」
『……? 何か、おっしゃいましたか?』
川 ゚ -゚)「…………いや、世の中の空しさを感じていただけだよ。気にするな、美少女」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:16:06.66 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「コイツが気にしなくても、」
(#゚;;-゚)「あっ……」
パッ
( ^Д^)っ】「――俺が、気にしますよ」
『…………なんだ、後輩。怒ったのか?』
( ^Д^)「いえ別に。俺を怒らせたら大したもんですよ」
『(なんで今更、長州●力?)』
( ^Д^)「キレてないですよ」
『(ツッコミ待ち?)』
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:19:12.56 ID:Fr+VfSpK0
『でも、まぁ……友達の為に怒るのは、当たり前です』
『――そして、一緒にいるのも当たり前です。そうでしょ? クー先輩』
川 ゚ -゚)「……どんな事情を抱えていたとしても?」
『どんな事情を抱えていたんだとしても、です』
川 ゚ -゚)「…………」
川 -)「…………また、アイツみたいなことを……」
『え? 何か言いましたか?』
川 ゚ -゚)「なんでもないさ。――それで、今のアイツの連絡先だったな?」
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:22:07.23 ID:Fr+VfSpK0
【帝都某所・大学病院】
从 ゚∀从「モララーかぁ……変わった名前だね」
( -∀-)「しょっちゅう言われますよ。医者に面と向かって言われたのは初めてですけど」
从 ゚∀从「ハッ、うるせーよ怪我人が。誰が車椅子押してやってると思ってんだ?」
从 -∀从「……ところで。もしかしてだが、お前の両親って歴史系の学者かなんかか?」
( ・∀・)「ああ、」
( ・∀・)「よく分かりましたね。考古学者だったらしいです」
从 ゚∀从「どーりで」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:25:09.19 ID:Fr+VfSpK0
トゥルルルル!トゥルルルル!
从 ゚∀从「……おい病院は携帯禁止だぞ」
( ・∀・)「今は外じゃあないですか」
从 ゚∀从「外でも駄目なんだよ。…………多分」
( ・∀・)「今『多分』って言った! 怪しいと思ってたけど、アンタやっぱ医師免許持ってないだろ」
从#゚∀从「うるせぇぞガキ! 俺は十八の時から開業医やってる天才・高岡様なんだよ!!」
(;・∀・)「そもそも教育課程が六年間なのに高校卒業ぐらいの年齢で開業医になれるわけない!」
トゥルルルル!トゥルルルル!
从 -∀从「あー……もういいから、早く出ろよ」
(;-∀-)「俺からすると何一つ良くないんだけど……。まぁ、いいか」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:28:09.61 ID:Fr+VfSpK0
『――はい、こちら鳴海探偵事務所』
(;^Д^)「アンタはまさしくハーフボイルドですよねぇ、モラ先輩!!」
『……なんだお前か。トソンかと思って期待した俺のワクワク返せ』
( ^Д^)「なんで同棲してんのに電話でワクワクしちゃうんですか。もはや気持ち悪いですよ二人共」
『今は俺が病院だから一日数時間しか一緒にいれない』
( ^Д^)「十分です。共依存にしても酷過ぎます」
『馬鹿を言うな。俺とトソンは、言わば、生物学における相利共生なんだよ』
(;^Д^)「はぁ……」
『――俺はいつでもトソンを愛してもいいし、トソンはいつでも俺を刺し殺しても良いという』
( ^Д^)「よーし先輩、『相利共生』という言葉の復習しようかー」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:31:08.42 ID:Fr+VfSpK0
『――で、また今度はどうして入院?』
( ・∀・)「色々あったんだ」
『俺はモラ先輩と知り合って一ヶ月ですけど、怪我してるの見るのは二回目なんですが』
( ・∀・)「細かいことを気にするなって。いつものことだ」
『いつものことなのかよ』
( -∀-)「割とな」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:34:07.19 ID:Fr+VfSpK0
『ああ、この青い空と同じように』
( ^Д^)「普通に青くない空だってあるでしょうよ」
『某猫型ロボットのポケットが幸せを包んでいるように』
(;^Д^)「なんで今更のぶ代版ドラの日曜枠時代のエンディングのAメロを出してきたんですか。誰に伝わると?」
※ ttp://www.youtube.com/watch?v=HdUNkyEvCb8&feature=youtube_gdata
『そして、君の笑顔が青空みたいなように』
(;^Д^)「また、何故に二十年以上前の映画版のエンディングで十年後にカバーされた曲の最初の一節を?」
※ ttp://www.youtube.com/watch?v=mWH4EmwFaOM
『むしろソ・ラと続いて、次にシが来ることのように』
(;^Д^)「和音階なら半音はないんですけど……」
『……お前、凄いな。なんか色々と』
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:37:06.95 ID:Fr+VfSpK0
『――そんなことはいいんですよ』
『それで? 今回はどうしたんですか?』
( ・∀・)「……ああ、」
( ・∀・)「――いつも通り、勘違いでトソンに刺されただけだよ」
『――こいつぁマジな忠告ですけどねっ! 先輩達は一度真面目に話し合ってみるべきだと思いますよ!!』
( -∀-)「脇腹刺されたぐらいで大袈裟な……」
从 ゚∀从「そん時医者である俺が近くにいなけりゃ死んでたかも知れないことをお忘れなく」
( ・∀・)「無免許医は黙ってて下さい」
从#゚∀从「お前いい加減張っ倒すぞ」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:40:06.17 ID:Fr+VfSpK0
『……大体、普段だって真面目に話し合ってるよ。愛を』
(;^Д^)「それは“話し合ってる”じゃなく“語り合ってる”です! アンタらはアレか、ポエムとかやっちゃう痛い中学生カップルか!!」
『うるせーな。脇腹に響くっての。痛い』
(;^Д^)「痛いのはアンタ自身!!」
『叫ぶなよ。電話壊れたらどうするんだ、愛しい伴侶と連絡が取れなくなっちゃうだろ』
(;^Д^)「壊れかけてるのもアンタの頭です!!」
『本当の幸せ教えてよ〜♪』
(;^Д^)「壊れかけのレディオ――――ってバカかァアンタ!!」
(#゚;;-゚)「随分古典的なノリツッコミですね」
(^Д^;)「そしてお前はなんで世俗に塗れた単語を知ってる? もしかして、好きなのか?」
(#゚;;-゚)「…………やや」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:43:07.55 ID:Fr+VfSpK0
( -∀-)「大体、中学生侍らせてるロリコンに痛いとか言われたくねー」
『“侍らせてる”は否定できないとしても“ロリコン”は断固否定しますからねッ!!』
( ・∀・)「大体なんだよ、その無口キャラは」
( ・∀・)「どっかの教室での席が一番後ろの魔王の監視委員の『リラダン(人造人間)』かよ」
『その言葉の語源がギリシア神話を由来とする古典SFを執筆したフランスの作家だとは知らなくていいこと』
( -∀-)「『アンドロイド』という言葉を始めて使った人だったか……シューさん曰く」
『シュー先輩はオカルト好きじゃなかったんですか?』
( ・∀・)「実はロボット工学の専門家でもある」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:46:08.35 ID:Fr+VfSpK0
『だからアレだ。ソイツが命令を聞かない時は、シューさんに頼め』
(;^Д^)「まずコイツはリラダンじゃなくて人間ですし“命令を聞かない”が“故障した”という意味の“out of order”に掛かっているのは分かりにく過ぎます!!」
『う〜ん、言葉遊びレベル3ぐらい?』
(;^Д^)「それもド天然の姉を持つ推理モノの主人公なんだけど助手の敬語キャラを意識しててしかも題名の“壊れた”で繋げてるなら更に分かりにくいです!!」
『まぁでも、その無口ちゃんの鈴は壊れてるんだよな?』
(;^Д^)「だからボケが分かりにくいです!!」
(#゚;;-゚)「…………どういうことですか?」
(^Д^;)「件のリラダンは無口キャラでソイツは猫ロボをパロることが多くて猫ロボの首に付いてる猫寄せ鈴は壊れてて『壊れた』という言葉がある小説の題名に……」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:49:37.24 ID:Fr+VfSpK0
『――ほらぁ! なんか白けたじゃないですか!!』
( ・∀・)「悪い悪い。まさか伝わるとは思ってなかったから」
『< 私は全然分かってないです』
从 ゚∀从「分からねー方が普通だっての。お前、ボケが下手なんだよ」
( ・∀・)「まさかの無免許医からのダメ出し」
从 ゚∀从「お前ェ、無免許医舐めんなよ? ブラックジャックは機械だって直すんだぜ?」
( ・∀・)「それ増刊の『U-18は知っていた』のことなら今の子まったく分からないと思いますよ」
从;゚∀从「え? こないだまでアニメやってたじゃん……」
( ・∀・)「省かれたらしいです。あと、いくら脳と機械も基本の言葉が同じでも誠意を持った程度では意思疎通はできません」
从;-∀从「おっかしーなぁ。俺には直せたんだけどなぁ、ロボ……」
(;・∀・)「アンタ本当に何者!!?」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:52:11.98 ID:Fr+VfSpK0
『< ダカラテンサイタカオカサマダッテ コレデモキダイノテンサイカガクシャノジョシュダッタンダゼ…』
(;^Д^)「はぁ、ふぅ……モラ先輩と話してると退屈しませんよ」
『……ん、そう? やっぱりー? あははははー』
( ^Д^)「一応言っておきますけど今のは皮肉です」
( ^Д^)「……そもそも、どうやったら勘違いで脇腹刺されることになるんですか」
『あー、それね』
『ちょっとメイドと揉み合いになっちゃって』
(;^Д^)「…………メイド?」
『メイドってか……知り合いみたいな、こう……』
『メイド服を纏った男の知り合い的な?』
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:55:07.94 ID:Fr+VfSpK0
『先輩、奇遇ですね』
( ・∀・)「なにが?」
『俺が聞きたかったのもそれです』
『今日、構内でメイド服を着た……アレ男だよな……まぁ、メイド服の男性を見まして』
( ・∀・)「ああ、多分同一人物」
( ・∀・)「女顔で女装が似合うメイド服の同級」
『…………』
( ・∀・)「厳密には友達の友達的な感じなんだけどな」
『……先輩、これは訊いちゃ駄目な質問なのかもしれませんが、』
『なんで男なのにメイド服を?』
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 20:58:11.76 ID:Fr+VfSpK0
『ああ、』
『――単なる趣味だ』
(;^Д^)「ちっくしょう!!やっぱ、そのパターンか!」
(;^Д^)「モラ先輩の知り合いには全く退屈しませんよ!!」
『あっはっは。褒めるな』
(;^Д^)「今のも皮肉です!!」
『――しかし、そこまで言うなら、実際に会ってくればいい』
( ^Д^)「へ?」
『アドバイス部としての初の活動だ。プギャー、お前はツンに会ってこい』
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:01:43.50 ID:Fr+VfSpK0
【北ブロック・VIP大近郊】
( ^Д^)「――まぁ、そういうわけで『アドバイス部』後輩としての初活動だ」
(#゚;;-゚)「はぁ」
( ^Д^)「ツンさんとか言うモラ先輩の知り合いに会って、相談に乗る。ついでにメイドのことも聞く、という」
(#゚;;-゚)「それは重々承知していますが……」
(#゚;;-゚)「……なんで私まで?」
(;^Д^)「え、だってなんか怖いじゃん」
(#゚;;-゚)「クーさんとの会話を聞いて少しトキめいた私が馬鹿でした。プギャーさんは、ヘタレです」
( ^Д^)「用心深いと言え」
(#゚;;-゚)「だからと言って年齢にして中学生の女子を同伴させるあなたの危機管理体制はどうですか」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:04:07.58 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「仕方ないじゃん。俺は兄貴や妹達と違って一般人なんだよ」
(#゚;;-゚)「兄様はまだしも妹君にも負けてますか」
( ^Д^)「単純な力比べなら負けないぜ!」
(# ;;-)「……単純じゃない取っ組み合いなら負けるんですね、はぁ……」
(#゚;;-゚)「先ほどから私の中のプギャーさんの株は下がりっぱなしです」
( ^Д^)「うるせぇ。それぞれが武道の師範代レベルの兄妹なのに勝てるか」
テクテクテク…
( ^Д^)「しかし、遠い」
(#゚;;-゚)「緑化公園が目的地なのは分かりますが、そもそもその公園自体が軍隊の基地一つが軽く入る大きさなのはどういうことですか」
( ^Д^)「さぁ? よっぽど緑が欲しかったんじゃないか?」
( ><)「結界を張りたかったから。……そんな裏の理由もあるらしいですよ」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:07:06.54 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「結界? んな、うちの実家じゃあるまいし……」
(#゚;;-゚)「プギャーさんの家には結界があるのですか」
( ^Д^)「神社だからな」
(#゚;;-゚)「神社だからと言って結界があるのが当たり前というわけではないと思いますが」
( ^Д^)「割と凄い神社なんだ」
( ><)「また漠然としてますね……」
( ><)「けれど、ご出身地から考えるに……雨斎院神社ですか?」
( ^Д^)「そうそう。割と有名らしいけどよく知ってんな」
(^Д^;)「――――って、」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:10:06.80 ID:Fr+VfSpK0
(;^Д^)「――なにすんなり目的とする人物が会話に入ってきてんですかこの移動の意味なくなるでしょつーかいつの間に?」
(#゚;;-゚)「妹君の話の辺りから背後に回られてました」
( ><)「バレてたか」
(;^Д^)「ナチュラルに人を尾行するのは止めて下さい。って言うか、気づいてたんなら言え」
(#゚;;-゚)「すいません。つい」
( ><)「僕も、つい」
(;^Д^)「世の中“つい”で済むことと済まないことがあるんですが……。(あなたの今の格好とか……)」
( ><)「?」←メイド服を纏った細身の男子大学生。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:13:10.45 ID:Fr+VfSpK0
【移動後〜緑化公園・丘上小広場】
ξ゚听)ξ「――で、誰?」
( ^Д^)「プギャーです。モラ先輩の代理のようなもので来ました」
ξ゚听)ξ「ああ……刺されてたみたいだけど大丈夫だった?」
(;^Д^)「なんとか。――ってか居合わせたんならトソ先輩止めて下さいよ」
ξ゚听)ξ「いやその時は、」
ξ*^竸)ξ「――私の為に二人の男が争っているというスバラシイ事実に浮かれてて失念してたわ」
(; Д)「……駄目だ、この人もおかしい……」
ξ#゚听)ξ「おい聞こえてんぞ後輩」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:16:06.51 ID:Fr+VfSpK0
(#゚;;-゚)「……ところで何故友達二号さんと、えっと…………」
( ><)「ビロードです。メイドガイのビロードです、お嬢さん」
(#゚;;-゚)「…………」
(#゚;;-゚)「――変態さんは言い争いになってたわけですか?」
( ><)「あれ意外と辛辣?」
ξ^竸)ξ「ざまぁー」
ξ--)ξ「で、モララーとこの非常識の塊みたいなダメイドは、」
( ><)「つい先日までETCを次世代ゲーム機だと思っていた人に非常識とは言われたくありません」
ξ#゚听)ξ「ちょっと黙ってろ」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:19:08.57 ID:Fr+VfSpK0
ξ゚听)ξ「――で、二人は私の相談に乗ってたのよ」
( ^Д^)「相談ですか?」
ξ゚听)ξ「そう。幼馴染へのプレゼントについてね」
(#゚;;-゚)「モララーさんは分かりますが、この人当てになるんですか?」
(;><)「アレー? お嬢さん僕のこと嫌いー?」
(#゚;;-゚)「…………やや」
(#゚;;-゚)「(被ってるし……)」←メイド服着用の美少女。
( ><)「(メイド服同盟だと思ったのに……)」←メイド服着用の大学生。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:22:09.90 ID:Fr+VfSpK0
( ><)「それでツンさんの幼馴染であるピザなピザ屋さんは――」
ξ#゚ー゚)ξ「私の幼馴染の名前は『ブーン』よ、ビロード。オゥケイ?」
( ><)「失礼」
( ><)「で、大通りを三本入った場所のピザ屋で働く肉塊は――」
ξ#゚听)ξ「おい余計に酷くなってんぞ」
(#゚;;-゚)「…仲良いですね」ヒソヒソ
( ^Д^)「…三角関係らしいぞ」ヒソヒソ
ξ#゚听)ξ「そこの二人も聞こえてるからな」
( ><)「お嬢様。僕と過ごした熱い夜をお忘れで?」
ξ#゚听)ξ「勉強やってただけだろ。確かにアレは頭から火が出そうなほど難しかったけど」
( ><)「高三にして解の公式を平然と難しいと言えてしまうツンさんはやはりどうかと思います。よく大学入れましたね」
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:25:07.66 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「…流石、伝え聞いてた通りのバカさ加減」ヒソヒソ
(#゚;;-゚)「…むしろ『馬鹿』っていう字読めないんじゃないですか?」ヒソヒソ
ξ#--)ξ「だから聞こえてるっての。そうやってすぐ人を馬鹿にして……」
ξ#゚听)ξ「これだから高学歴は……っ!!」
( ><)「ツンさん、その口癖いい加減直さないと馬鹿ということがバレますよ?」
ξ;゚听)ξ「ばっ――バカじゃないもん!」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:28:40.69 ID:Fr+VfSpK0
( ><)「ツンさん、オーストラリアの首都は?」
ξ;゚听)ξ「シドニー!」
(#゚;;-゚)「パイナップルがなる樹は?」
ξ;゚听)ξ「ヤシの木!!」
( ^Д^)「太郎君が風邪で寝ています。外の牧場では牛が鳴いていて、ついで蝶が飛んでいました。さて、太郎君の病名は?」
ξ;゚听)ξ「えと…………盲腸!!!」
ξ*゚听)ξ「――どうだー! 全然賢いだろー!!」
( ^Д^)「いえ、アンタは馬鹿です」
(#゚;;-゚)「もはやわざと間違ってるようにしか見えません。せめて『パイナップルの木』と答えて下さい」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:31:07.61 ID:Fr+VfSpK0
(#゚;;-゚)「というか私は高学歴どころか学校すら行ったことがありませんけど」
ξ;゚听)ξ「な、なによ! 世の中にはね、勉強なんかよりもっと大切なことが沢山――」
( ><)「相変わらず家事全般壊滅してますけどね」
ξ#><)ξ「――ああああああ!! もう、うるさいうるさいうるさーーーい!!!」
( ^Д^)「子供かアンタは」
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:34:06.11 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「――で? このワールドイズマインを地で行く典型的お嬢様さんの悩みって?」
( ><)「それは……」
ξ )ξ「……いいもんいいもーん。ブーンが養ってくれるもーん……」
(#゚;;-゚)「(拗ね出しやがりましたね。現実で蹲って“の”書く人初めてみました)」
( ^Д^)「(ああ俺、こういうタイプ苦手だ。デレさんがいかに自立してたかを思い知らされる今日この頃)」
( ><)「(本当にどうしようないんです、お嬢様……。それも一興なんですけどね)」
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:37:06.60 ID:Fr+VfSpK0
( ><)「で、まぁつまりは誕生日プレゼントです」
( ^Д^)「そのピザさんの、ってことですか?」
( ><)「そういうわけです。その計画に関する意見が真っ二つに割れてしまいまして」
(#゚;;-゚)「はぁ、なるほど……」
(#゚;;-゚)「――ところで“たんじょうびぷれぜんと”とは如何様なものなのでしょう?」
(;><)「……は?」
(;^Д^)「……流石だな。通常とは違う意味で浮世離れしてやがるよ……」
( ><)「どうでもいい雑学やらのの字知ってて誕生日プレゼント知らないのはどういうわけですか?」
(;^Д^)「くっ、教育方針を間違えたぜ……」
( ><)「あなたの所為か」
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:40:08.69 ID:Fr+VfSpK0
ξ )ξ「――誕生日プレゼントというのはね、お嬢ちゃん」
ξ゚ー゚)ξ「自分の大切な人が……同じ世界の同じ時代に生まれて、そして、出会えたその奇跡を祝う記念品みたいなものよ」
(#゚;;-゚)「…………」
(*^;;-^)「……それは、とてもロマンチックです」
ξ*--)ξ「でしょ? だから私達はね、毎年同じ日に“来年も一緒にいられますように”って願いを込めて渡すのよ」
( ^Д^)「………へぇ、なるほど。モラ先輩の友達なわけだ」
( ><)「凄いロマンチスト……と、言うかバカ」
( *><)「ふふん。それでもあの人が僕のお嬢様だった人なんです」
( ^Д^)「バカばっかだな。そのピザ屋も――アンタも」
(;><)「な……なんのことなんです?」
( ^Д^)「さぁ? なんのことなんだろうな?」
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:43:20.93 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「――しかしな、それでなんで掴み合いになることに?」
( ><)「途中までは上手くいってたんですけどね……」
( ・∀・)『あげるとすれば……純潔だな』
( ><)『あげるとすれば……純潔ですね』
ξ///)ξ『えええええ!!? 純潔って、その……』
( ・∀・)『所謂処女だ。これほど男から見て重いものもない』
ξ///)ξ『口に出さないでよぉ……』
( ><)『(普段は下ネタオーケーなのに肝心な時だけウブですね)』
( ・∀・)『(お嬢様キャラらしいっちゃあ、らしいけど)』
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:46:08.66 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「……話まとまってんじゃないですか。ちょっと、中学生には聞かせたくない感じですけど」
(#>;;-<)「大丈夫です。私は、つい先日までそういう――むぐっ!」
( ^Д^)「はーい、言わざる・思い出さざる・醸し出さざる。話重くなるので身の上トーク自重ー」
( ^Д^)「……で、何を揉めたんですか?」
ξ゚听)ξ「渡し方をね」
( ><)「ええ、」
( ><)「――セーラーかブレザー、衣装をどちらにするかで」
(; Д)「駄目だ、コイツ等……。コスプレ前提かよ……」
( ><)「偉大な文化ですよ?」
(; Д)「うわー。日常的にメイド服着てる人が言うと凄い説得力ー」
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:49:11.96 ID:Fr+VfSpK0
ξ゚听)ξ「そう。あなたに頼みたいのは、オルタナティブ的な新しいアイディアなのよ」
( ^Д^)「一応指摘しておきますが“オルタナティブ”って“二者択一”って意味もありますからね」
( ^Д^)「……しかしなぁ、」
( ^Д^)「その、ブーンって人……本当に純潔貰って嬉しいかな?」
ξ゚听)ξ「…………え?」
ギリギリ…
ξ#゚ー゚)ξ「それは、私に魅力がないってことかしら? ねぇ?」
(; Д)「ぐおっ、くるし……首絞めっ……」
(;><)「大丈夫ですよツンさん! 僕は、あなたが頑張ってサイズをAからBにランクアップさせたことを知ってます!!」
ξ#゚听)ξ「乙女の秘密をよく知りもしない奴の前でバラしてんじゃねぇぇえええ!!」
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:52:09.46 ID:Fr+VfSpK0
(; Д)「ごほっ、ごほ……」
(#゚;;-゚)「大丈夫ですか?」
(; Д)「なんとか……っていうか黙って見てないで助けろよ」
(#゚;;-゚)「面白くて、つい」
(;^Д^)「いや、魅力とか、そうじゃなくてですね――ツンさん」
( ^Д^)「大事なのは“誕生日”で“ブーンさんが喜ぶ”ってことなんでしょう?」
ξ )ξ「……なによ」
ξ )ξ「言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよ……」
ξう)ξ「私みたいな、ワガママな奴なんて……」
(;^Д^)「(アレ? 泣いてる?)」
( ><)「あーあ、泣ーかせたー」
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:55:11.03 ID:Fr+VfSpK0
(#゚;;-゚) ジーッ ←十三歳の少女の精一杯の軽蔑の眼差し。
(;^Д^)「ぐっ……なんだ、俺が悪いの?」
(#゚;;-゚) コク
(; Д)「なんか、理不尽だ……」
(;^Д^)「えっと……」
(;^Д^)「――そうじゃなくて。だからですね、」
( ^Д^)「モラ先輩の友達で、あなたの恋人である人が……そういうのが好きだと、どうにも俺には思えないんです」
ξ;゚听)ξ「……え?」
(;^Д^)「嬉しくない、ってことじゃないんでしょうけど……あの、そうじゃなくて……ああ上手く言えねぇ」
ξ--)ξ「…………」
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 21:58:27.08 ID:Fr+VfSpK0
ξ )ξ「…………」
――中学時代だったかな。
ブーンの家が、ちょっと揉めちゃってて。
元から、あんまり良好って感じじゃなかったんだけど、あの時は酷かったなぁ。
ξ゚听)ξ「(……あの時、)」
みんな心配して。
それこそバカみたいに、何もできないくせに気を使って。
誰かが泣いているのとか、辛そうにしているのが本当に嫌で仕方なくて。
ξ--)ξ「(ブーンは……)」
ブーンは、そんな私達を見て言った。
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:01:05.84 ID:Fr+VfSpK0
( ω)『大丈夫だお』
( ω)『どんなに悪いことがあっても、友達とどうでもいい話したり、好きな人と笑い合ったり……そんなのが嬉しくて、だから、』
( ^ω^)『――みんながいれば、そんなに悪くないって思えるんだお』
ξ--)ξ「…………」
ξ )ξ「(モララーも、よくもこう、お人好しを探してくるもんだわ……)」
(;^Д^)「……こう、だからですね、そういうのは二人だけの記念日にとっておいて、誕生日は、」
ξ゚听)ξ「――誕生日は、みんなでやりましょう」
(;^Д^)「え?」
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:04:07.30 ID:Fr+VfSpK0
ξ*--)ξ「ふん。私の純潔なんてブーンにはまだ早いわよ。今は、精々みんなで遊ぶぐらいで十分。それが分相応だわ」
ξ*゚听)ξ「誕生日だからってデレるのは、ツンデレの名が泣くわよ」
(;><)「(ツンさん一つもツンデレの要素持ってないですけどね……)」
ξ--)ξ「なにより……」
ξ*゚听)ξ「お似合いだわ――私達に。ね?」
(#^;;-^)「……そうですね」
( ><)「やれやれ。全くなんです」
( ^Д^)「ははっ」
( Д)「まったく、本当にモラ先輩の友達は…………」ボソリ
ξ*゚听)ξ「――後輩ッ、なんか言った!?」
( ^Д^)「…………いーえ。別に」
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:07:06.16 ID:Fr+VfSpK0
【帝都某所・大学病院】
从 ゚∀从「おい、そろそろ戻るぞ」
( ・∀・)「まぁまぁ。待って下さいよ、俺の顔に免じて」
从 ゚∀从「お前の顔に免じることなんざ何一つねぇっての。そのご大層な名前ぐらいには免じてやってもいいがな」
( ・∀・)「……何言ってるんですか?」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ・∀・)「っと。ようやくかな?」
ピッ
( ・∀・)「――ぼくぼく、ぼくだおー」
『先輩のネタは一々分かりにくいです!!』
( -∀-)「そう言いつつお前分かってんじゃんよ」
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:10:06.54 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「……先輩。それ、いつまでに治せます?」
『ハハッ。愚問だな、後輩』
『俺はデートは三十分前集合。そして――親友の誕生日パーティーに欠席したことないのが自慢の男だぜ?』
( ^Д^)「お見通しですか。先輩は、やっぱ凄いです」
『別に凄かねぇよ』
『ただ、これから他人様の悩みを解決しようって人間が……、家族みてーなもんであるツレのことを分かってなくてどうするよ?』
( ^Д^)「……そりゃそうだ」
(#゚;;-゚)「ご尤もです」
( ><)「本当に、あなたには敵いません」
ξ*゚听)ξ「そんなのどうでもいいから……さっさと治してお膳立ての準備始めなさいっ!!」
『はいはい。お嬢様の仰せのままに、ってか?』
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:13:06.65 ID:Fr+VfSpK0
…パタン
( ・∀・)っ】「“みんながいれば、そんなに悪くないって思える”か……。傑作だぜ、ブーン」
( ・∀・)「お前はさも俺達から教えられたように言ってるがな、」
( -∀-)「俺は、他でもない――お前からそれを教えてもらったんだぜ? お前はバカだから、どーせ覚えてないだろうがな」
( ・∀・)「……さて、行きましょうか」
从 ゚∀从「あいよ。安静にしなきゃ、なんだよな?」
( -∀-)「ええ。ありがたいことに、いつの間にか一人の身体じゃなくなってたもんでね」
……VIP大『アドバイス部』
本日の活動は終了ですが、後日再集合で誕生日パーティーします!!
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:21:41.46 ID:Fr+VfSpK0
Call back‐4
ξ--)ξ「Sweet home. Be it ever so humble, there's no place home !」
……すたーとっ
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:24:09.49 ID:Fr+VfSpK0
【ひとつめー】
( ^Д^)「ああ、そういやでぃ。お前の誕生日っていつだ?」
(#゚;;-゚)「さぁ?知りません。……そういう、瑣末な事柄を気にする境遇に生まれついてないもので」
( ^Д^)「…………まぁ確かに、誕生日程度、どうでもいいよな……」
(#゚;;-゚)「そうです。そうですよ」
( ^Д^)「――これから、もっと別の記念日を作っていけばいいだけなんだから」
(;#゚;;-゚)「えっ……?」
( ^Д^)「さー帰るぞー。今日は貰ったパンミミでグラタンだー」
(#// -/)「あ、あのプギャーさん……? 今なんと……というか、もうパンミミ飽きた……」
( ^Д^)「黙れ元居候。さっさと帰るぞー」
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:27:07.20 ID:Fr+VfSpK0
【ふたつめー】
( ><)「……そう言えば、もう随分経ちますね。初めて会った時から」
ξ--)ξ「最初はうちの家庭教師でメイドだったのよねー……懐かしいわ」
( ><)「正しくはメイドガイです」
ξ゚听)ξ「結局、どうしてメイド服を着ているのかは全然教えてもらってないけど」
( ><)「それはアレですよ、ツンさん」
( *><)「――ちゃんとフラグを立てて『メイドガイと特務機関ルート』に入って頂かないと」
ξ;゚听)ξ「何それ!初耳!」
( ><)「もしくは『兄の墓参りフラグ』を立てないと、です」
- 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:30:11.25 ID:Fr+VfSpK0
【みっつめー】
(#゚;;-゚)「……見たところかなりの手練とお見受けしますが」
(;><)「え? ソンナコトナイヨー?」
(#゚;;-゚)「何処で技能を?」
(;><)「えっとー……………………大英帝国マジカルメイド教団、とか?」
(#゚;;-゚)「では、私はメイド忍者総本山・奥州の郷ということで」
( ・∀・)「……随分素敵な受け答えができるようになったな、コイツ」
( ^Д^)「まー、メイド忍者ってのは確かですから」
( ・∀・)「代わりに身の上トークの深刻さがほぼゼロになったが」
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:33:09.67 ID:Fr+VfSpK0
【よっつめー】
( ><)「高校時代の研修は大変だったなぁ……」
(#゚;;-゚)「と、言いますと?」
( ><)「掌からビーム出すメイドはいるし、背中から翼生やしてるのに『ただの主婦』と言い張る美人はいるし、」
(;><)「自販機を投げつけてくる歌姫……ああ、自分の手を潰して手錠を抜けたという伝説を持つ貧乳さんもいたなぁ……」
(#゚;;-゚)「壮絶ですね」
( ><)「お嬢さんは?」
(#゚;;-゚)「別に……。先日夜の街で同属――同じように売られていた人ですが――に出会ったぐらいで」
(;^Д^)「さっきから物凄ヤバい会話を聞いてるような気が……」
( ・∀・)「気にしたら負けだぞ」
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 22:36:22.20 ID:Fr+VfSpK0
【いつつめー】
( ・∀・)「――てな感じで、誕生日パーティーは楽しかったです」
('A`)「へぇ。あのさ、ところで…………なんで俺呼んでくれなかったの?」
( ・∀・)「…………ああ、」
( ・∀・)「――忘れてた」
(;゚A゚)「やっぱお前なんか友達じゃねぇ!!」
( ・∀・)「嘘だ、嘘。パーティー今からだから呼びに来たんだよ。ちっとは友達信用しろ」
(;'A`)「ああ、そう。凄く釈然としないけど、ありがとう……」
Call back‐4 END
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 23:06:28.82 ID:Fr+VfSpK0
―― Off the record.
- 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 23:09:38.71 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「…………」
(*゚;;-゚)「……どうしましたか?」
( ^Д^)「いや、別に……」
――昔からやってみたいとは思っていた。
男なら――もしかすると女性でも――誰だって、思うことはあると思う。
(;^Д^)「……でも、こうも当たり前にやられてると……」
(*゚;;-゚)「?」
――そんなわけで。
本日の少女の服装は……
いつも通りのメイド服――プラス、猫耳と尻尾である。
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 23:13:18.76 ID:Fr+VfSpK0
- 個人的な話をさせてもらうと、うちの家の人間は猫好きだ。
一番上の兄貴は猫を(三匹ほど)飼っていたし、二番目は携帯の待ち受け画像が猫だったりする。
下の妹二人に至っては、今のでぃと同じように家で猫耳をつけていたり……
(ノリ*゚ -゚ノリゝ『某ネズミランドにだって売ってるじゃん。耳って』
li イ*゚ー゚ノl|『それをネコミミだからって妹に欲情するちっこいお兄ちゃんがおかしいんだよ』
(;^Д^)『してねぇ!!』
(ノリ*^ -^ノリゝ『えちー』
li イ*゚ー゚ノl|『えちー』
――とは、冰刃と雪吹の弁。
下の方の妹、雪吹に至っては『キャラ付け』と称して常時頭の上に猫を乗せているのだから笑えない。
というかむしろ他人から見て笑える。
……どんだけ猫好きなんだよ、お前等。
- 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 23:16:08.82 ID:Fr+VfSpK0
- でぃが、あの馬鹿姉妹と同じ思考だとは考えにくい。
この格好には意味があるのだろう。
訊いてみた。
( ^Д^)「……そのネコミミ、どうしたんだ?」
(* ;;-)「んっ、く――えっと、これは……」
(*゚;;-゚)「――プギャーさんのお兄様から、オプションとして」
――原因判明。身内でした。
いや、分かってたけどね? 薄々気づいてたけどね?
でもクー先輩って可能性もあったし、あの人の悪乗りだといいなーって思ってたのに……。
(; Д)「ちっくしょー……あの馬鹿兄貴……」
年齢にして中学生の少女に、
なんていやらし――訳の分からない格好させやがる!!
- 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 23:19:45.78 ID:Fr+VfSpK0
(* ;;-)「はぁ――んっ、……それに、モララーさんが……」
( ^Д^)「モラ先輩が……?」
( ^Д^)「……ああ、なるほど」
――あの青くて猫型なアンチクショウのネタ繋がりか。
あるいは、先輩の言うところの『無口キャラ』と。
(* ;;-)「っん、はぁ……」
なんか恥ずかしさのあまり喘ぎ声が出ちゃってるし……。
顔は真っ赤で涙目だし……。
さっさと止めてやるべきだろう。
正直勿体ない気もするが。
- 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/07/24(土) 23:22:40.01 ID:Fr+VfSpK0
( ^Д^)「(尻尾でも引っ張ってみるかな……?)」
いつもより、少し短めスカート。
そこから出ている尻尾は、動きに応じてゆらりゆらりと揺れている。
青ダヌキは確か、尻尾を引くと電源が落ちる設定だった。つまり、今やるべきはそれなんだろう。
問題としてはコイツの尻をまじまじと見ていると、何かこう……犯罪行為を働きたくなってくることだ。
荒めの息をするでぃに手を伸ばしていくと、これはもう自分が強姦魔か性犯罪者になった気分にしか思えない。
(* ;;-)「ふぅ……んっ」
ギリギリの所で理性を保たせているのは、相手が十三歳という事実。
……というか国家権力への恐れ。
しかし、こんなことを続けていれば……俺の精神が持たない!!
(;^Д^)「今だッ――――為せば成る!!」
―― Continue ?
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