( ^ω^)達は缶けりをするようです

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 00:50:33.37 ID:ZFeo5FC4O


(´・ω・`)「リリス!」

 罪深き聖母の名を紡ぐ。
地面が煌めき、ショボンの身体が空へと打ち出された。

(´・ω・`)「やれやれ……。自分から攻め入るのは好きじゃないんだけどね」

 吹き荒ぶ風を突き抜け、遥かなる高みに辿り着くと、学校の敷地が掌に収まりそうな気がした。
目を凝らすとグラウンドには二人の人影。
一人はただ悠然と立ち尽くし、一人は渇いた地面に座り込んでいる。

(´・ω・`)「VIP小学校一年生ショボン。推して参る」

 とん、と何かがショボンの背中を押した。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 00:55:44.24 ID:ZFeo5FC4O
(´・ω・`)「モララー!」

 その様はまるで流星。
自身を重力場の影響で射出したショボンは墜ちゆく最中、高らかとモララーの名を呼ぶ。

( ・∀・)「君も馬鹿だなぁ。ショボンみーっけ」

 名を紡ぎ、缶を踏む。
それはどんな邪悪なる意志も、どんな崇高なる意志も並べて台無しにしてしまう動作。

矛先はショボン。彼にモララーの動きを止める術は無かった。
だがそれと同時に、彼にはモララーを止める気など無かった。

( ゚ω゚)「きひっ」

( ・∀・)「──っ!」

 背後には貪欲なる混沌。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[>>コテさん 違うよ] 投稿日:2011/08/12(金) 00:59:17.28 ID:ZFeo5FC4O
 モララーが缶を踏むと同時にブーンの口から黒い霧が噴出した。
それは瞬く間にモララーの身体に纏りつく。

( ゚ω゚)「死ね」

 纏りつく黒い靄が一斉に出火する。

(  ∀ )「ぎゃあああああああああっ!!」

 瞬く間に火達磨となったモララーは野太い悲鳴を上げてのたうち回った。
皮膚が溶け、肉が固まり、血が沸き、魂は燃え尽きる。

('A`)「ブーン、早く俺を助けろ」

( ゚ω゚)「やだね」

 口の端から唾液を垂れ流しながらブーンは下卑た笑みを浮かべた。 

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:02:00.86 ID:ZFeo5FC4O
( ^ω^)「こいつは僕が殺る。骨は一片残さず粉にして、臓物も肉も区別が付かなくなるまでぐっちゃぐちゃにしてやるお」

( ゚ω゚)「肝臓入りのオレンジジュース」

( ゚ω゚)「腎臓混じりの甘口カレー」

( ゚ω゚)「膵臓仕込みのペスカトーレ」

( ゚ω゚)「あっ八はははハッ!! ひゃっはははハッ! ハハッ!」

('A`)「ちっ……」

(´・ω・`)「…………」

 ドクオは舌打ちをしてココアシガレットを咥えた。
 ショボンは哀れむような視線をモララーではなくブーンに送った。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:04:43.18 ID:ZFeo5FC4O
(´-ω・`)「やっぱり、君はそうなんだね……」

 ねぇ、ブーン。君は忘れてしまったかもしれないけれど。

 きっと君は誰よりも優しかったんだよ。

 少なくとも自分の弱さを狂気で取り繕ってしまうほど、弱くもなかった。

 今君の背中には何がある? 虚構? 空白? 失念? 残滓? etc…

 甘えるな、君が背負うべきものはそんな軽いものじゃない。

 何故君達は僕だけを置いて勝手に壊れてしまったんだ。
 何故君達だけが逃げて、僕だけが縛られなくちゃいけないんだ。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:07:17.31 ID:ZFeo5FC4O
( ^ω^)「ショボン、何か言ったかお?」

(´・ω・`)「いや……」

 穏やかな清流の底に隠された脈動は息を潜めた。
如何なる時も冷静であれ。如何なる時も情を押し殺せ。それが僕の、傍観者としての矜持だから。
 ショボンは心中でそう呟き、溜め息混じりに吐き捨てた。

(´・ω・`)「上を向いてごらん。そしたら幸せになれるよ」

( ^ω^)「お?」

 刹那。ブーンの耳を掠めて、熱いものが駆け抜けた。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:10:35.75 ID:ZFeo5FC4O
( ・∀・)「創られた命『神は言っている。まだ死ぬべきではないと』」

 ブーン達の頭上に光が満ちた。
宙で静止したモララーの背中には一対の白き翼。

( ・∀・)「紹介しよう。熾天使ミカエル、常に僕と在り続ける者の名だ」

 一度はためいた。純白の羽根が数千、数億と散らばった。
 二度はためいた。羽根は一斉に燃え上がり、神託の火と化す。

(  ∀ )「汝に裁きを下すのは誰か『神の如き火の意志』」

 降り注ぐ炎の雨。それは神の裁きと呼ぶに相応しい、気高く、崇高で、神々しい力だった。

(;'A`)「ブーン! 速く缶を蹴るんだ!!」

( ^ω^)「あ……」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:14:32.88 ID:ZFeo5FC4O
 ブーンが捻り出した声は虚しく宙を舞って消えた。
缶を蹴れと脳が指令を出す。だが身体は脳の指令を一切拒絶していた。
手足、毛髪、爪の皮に至るまで、細胞の一つ一つが諦めているのだ。

(;'A`)「惚けてる場合か! 死ぬなら一人で死ね!! 速く缶を蹴れ!!」

 缶けりを生業とするあまり身体に染み込んでしまったプライド。
一度捕まってしまえば何があろうとそこからは動けない。

(´・ω・`)「…………」

 ショボンは考えた。この状況をどう打破するかではなく、この状況下で彼が考えていたのは今日の晩ご飯の事についてだった。

(´・ω・`)「天ぷらが食べたいなあ」

 神の裁きはもう眼前にまで迫っている。
誰も逆らおうとはしなかった。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:18:02.87 ID:ZFeo5FC4O
( ・∀・)「ビコーズ。君達は何故こんなにも強いんだ」

( ・∀・)「君は僕と共に生きるのを拒み、僕をあの悪魔の火から守って消えた」

(  ∀ )「教えてくれビコーズ。僕は一体あとどれほどの友の死を乗り越えなければならない?」

( ;∀;)「何故友が死に心震える度に……。僕はこんなにも胸がせつないんだ?」

 モララーは内股になって悶え、天に手を翳しながら失禁した。
彼の足元に広がるのは業火と終焉の園ムスペルヘイム。
猛る炎の中ではブーン達の生死を確認する事は難しい。
だがモララーは確信していた。神に反旗を翻す輩は此所に絶えたと。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:20:56.56 ID:ZFeo5FC4O
(///////)

 血のように赤い炎の中、突き進む一つの影があった。

(´・ω・`)

 どこか達観したような擦れた瞳は終わりし者達の終わりを見届ける為にある。

(´・ω・`)「さて、このままじゃあブーンもドクオも死んでしまうけど……」

(´・ω・`)「君は僕にどうして欲しいんだい? ツンちゃん」

 ショボンは誰も居ない空虚に向かって呟いた。
それに答える声は無い。無いが、ショボンは大きく溜め息を吐いた後に力強く頷く。

(´・ω・`)「……オーケー把握した。精々僕を呪っていておくれ」

 炎の隙間から空を覗き、その目に映すのはモララーの姿。
ショボンは両手を空に翳し、鍵語を唱える。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:23:39.50 ID:ZFeo5FC4O
(´ ω `)「解き放たれた罪『その憤怒は我と共に』」

 それは禁忌の力だった。
指先から迸る黒い炎は空高く昇り、禍々しい闇を象ってゆく。
晴れ渡った空は一瞬にして暗雲立ち込め、雷鳴が鳴り響いた。

(  ∀ )「な……! お前は一体……」

(´ ω `)「僕はショボン。ただのオブザーバーさ」

 ショボンが弾指すると神の裁きは一瞬にして消え失せた。
代わりにショボンが生み出した憤怒の化身は暗雲を取り込み、その存在を確かなものへと変えてゆく。
 その姿は異形だった。下半身は硬い鱗に覆われた蛇のそれと同じ。
そして上半身は筋骨隆々にして頭は皮を剥いだ人間の頭のようだった。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:25:46.56 ID:ZFeo5FC4O
 人々はかつて彼の事を畏怖し、こう呼んだ。

 地獄の王 サタン。

 地獄の最下層にて絶氷の中に封印された彼が、現世に復活した。

( ・∀・)「おお……。なんと罪深い事だろうか」

 熾天使の翼を宿すモララーと煉獄の王サタン。
相反する二つの力の奔流は大気を震わせ、大地を揺るがす。

(;´・ω・`)「さぁモララー。缶を戻すんだ」

 ショボンは言いながら煤けた状態で横たわるブーンを缶に向けて蹴り飛ばす。
からんからん、と小気味の良い音が響き、事実上ドクオとショボンはルールの縛りから解放された。

(/A/)

 だが神の裁きを受けたドクオに立ち上がる力は残っていない。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:28:47.08 ID:ZFeo5FC4O
( ・∀・)「……解せない。何故だ? 何故悪魔に魂を売ってまで神に抗おうとするんだ?」

(;´-ω-`)「……今はパラノイアの妄言に付き合う気は無い。さっさとしろ……!」

 ショボンの顔からは血の気が引いており、唇も真っ青だ。
手足が震える。喉の奥がちりちりと痛む。関節が軋む。頭が割れるように痛む。

( ・∀・)「良いだろう。だけど始める前に教えてくれ。君をそこまでつき動かすものは一体何なんだ? 友情か? 勝利への渇望か? 敗北への恐れなのかい?」

 モララーが弾指する。
すると缶が何かに操られているかの如く宙に浮かんだ。

(´・ω・`)「僕を動かすもの……。それは」

 一呼吸置くつもりが大きく噎せ返り、その拍子に吐血した。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[こっからながら] 投稿日:2011/08/12(金) 01:34:19.17 ID:ZFeo5FC4O
(;´・ω・`)「呪いだ……っ!」

 浮かんだ缶が自由落下を始める。

 かつん──。

 何の変哲も無い音が、やけに大きく響いた。

(;´・ω・`)「サタン! お前の罪を解き放て!!」

( ・∀・)「征くよミカエル。反逆の徒に厳粛なる死を!!」

 熾天使の翼が再びはためく。
舞い散る純白の羽根はまるで意志があるかの如く飛び交い、その姿を眩く煌めく光弾へと変えた。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:44:59.21 ID:ZFeo5FC4O
 熾天使の裁きが向かう先は冥府の王の巨大な体躯。
強烈なエネルギー体に被弾したサタンの血肉は吹き飛び、どす黒い雨となって降り注ぐ。
 だが彼は止まらない。肉を削がれたその右腕を振り翳し、喉の奥から轟音を響かせた。

(;´ ω `)「──っ!」

( ・∀・)「……っ!?」

 それは一つの個体が発する音ではなかった。
積み重なる亡者達の怨念、憎悪、憤怒。
それらが幾重にも重なり合って凄惨なる悲鳴となっていたのだ。

(;´゚ω゚`)「ぐっ! ああああああああああっ!!」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 01:54:53.47 ID:ZFeo5FC4O
 亡者達の悲鳴の中にショボンの叫びが混じる。

(;´・ω・`)「はっ……はっ……。ぐふっ……」

 頭を抱えて膝を折る彼の顔に生気は宿っていなかった。
耳と口からはどす黒い血が吹きこぼれ、全身が痙攣を始める。

( ・∀・)「なんと浅ましい……。神よ、何故貴方は人が咎人となる道を創ったのですか!!」

 大仰な仕草で空に両手を掲げるモララー。
アーモンドの形をした瞳から一滴の涙が零れ落ちた。

(´゚ω゚`)「余所見をするなあああああああああああっ!!」

 激情に身を任せてショボンは叫ぶ。
それに呼応するように振り翳したサタンの右手がモララーに向かって降ろされた。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:03:27.94 ID:ZFeo5FC4O
( ・∀・)「僕は受け止めよう。君達の怒りさえも!!」

 モララーの身体の数倍もあるどす黒い拳を彼は真向から受け止めた。
身に纏う熾天使の加護とサタンの憎悪が衝突し、爆風となって周囲の木々を薙ぎ倒す。

(; ∀ )

 モララーは再び涙した。

 何故だ? 何故彼はこんなにも猛り狂うのか。

 何故こんなにも彼等は可哀相なのか。

 亡者達の残留思念が拳を通してモララーに流れ込む。

 熱い、痛い、苦しい。
 憎い、辛い、妬ましい。
 助けて
 タスケテ

 ケて────。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:13:17.76 ID:ZFeo5FC4O
ξ゚听)ξ

(  ∀ )「は──っ!?」

 どす黒い奔流の中でモララーは凛と立ち尽くす一人の少女を見た。
霞む幻想のような彼女と目が合ったその時──。

(; ・∀・)「ぐっ、まさか僕が……っ!?」

 熾天使の加護に亀裂が走る。
見えない壁となってモララーを守っていたそれは僅かな亀裂を皮切りに、済し崩しに崩れていった。

(; ・∀・)「止めろおおおおっ!!」

 モララーの身体がグラウンドに叩き付けられる。
落下地点を中心に巨大なクレーターが出来、粉塵が辺りを覆った。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:23:22.22 ID:ZFeo5FC4O
 それでも彼は止まらない。
モララーの身体をその手で抑えこみ、人体模型のようなグロテスクな顔面をずいっと寄せる。

(;´ ω `)「ひっ、ぎぎぎぎっ! あが……っ!」

 ショボンの身体の震えは痙攣とすら呼べないレベルになっていた。
狂ったように自分の頭を地面に打ち付け、血混じりの唾液を撒き散らす。
毛穴一つ一つから吹き出た血は彼の周囲に血溜まりを作っていた。

(;´゚ω゚`)「ツン……っ! これが……君のいシなの……か……」

 冥府の王を現世に、それも完全な姿で降臨させる。
それは小学生の精神で耐えられるほど軽い罪ではない。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:34:28.00 ID:ZFeo5FC4O
 たとえば人が初めて人を殺した時。
全身の筋肉が強張り、脈拍は上昇。目眩や吐き気。そして酷い者なら自殺衝動まで生まれる。
それは自身の罪を悔いる想いが身体に現れているからだ。
 そしてショボンが犯した罪はこの世界で最も重い罪。
当然その罪の毒はショボンの身体を蝕み、喰らってゆく。
熾天使すらも圧倒する力の代償はあまりにも重く、惨たらしい。

(#´゚ω゚`)「いやだあああああああああああああっ!!」

 ショボンの想いとは裏腹にその咆哮は冥府の王を突き動かす。

(; ・∀・)「違う。僕達は絶対の筈だ。これは嘘、嘘だ。何かの間違い。駄目駄目こんなの嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘────」

 モララーの眼前に迫ったサタンの口が大きく開く。
空洞の中に映し出されるのは虚無だ。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:44:45.91 ID:ZFeo5FC4O
 最初は頭部と顎に歯が触れた。
ぐちゃり、そんな音がモララーの耳の中を木霊する。
頭蓋が砕け、顎が裂け、噴き出す血。
 ばきバキ ばき
   ばき──くちゃ──

 肉を擂り潰し、脳を削り取り、眼球を抉り、鼻を削ぎ──。

( ・∀::「だめ──
( ・∴::

 彼の頭はサタンの口の中で擂り潰され、胴体と別れを告げた。
 サタンは剥き出しの目玉をぎょろりと回し、血を噴き出しながら痙攣する胴体に舌を這わせる。

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 02:54:26.82 ID:ZFeo5FC4O
 血の味を咀嚼し、サタンの瞳が爛々と輝いた。

 右手。
 左手。
 首。
 心臓。
 肺臓。
 膵臓。
 脾臓。
 肝臓。
 腎臓。
 大腸。
 小腸。
 右足。
 左足。

 時には歯を立て、時には吸い潰し、肉片を囓り血を啜る。

 原型など残っていない。
骨ごと喰われた身体があった場所には血溜まりだけが残った。
 食事を終えたサタンは再び亡者達の悲鳴を響かせながら空を仰ぐ。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:05:44.41 ID:ZFeo5FC4O
( ・∀・)「創られた命『神は言っている。まだ死ぬべきではないと』」

 サタンの頭上には喰われた筈のモララーの姿があった。

( ・∀・)「僕は君達への認識を改めなければならないようだ」

( ・∀・)「君達は道を踏み外した哀れな小羊。神が光を照らせば導かれん。そう思っていた」

 モララーの瞳に映るのはサタンではなく、サタンの背後で蹲るショボンの姿。

( ・∀・)「だが君達の本質は呪いと闇。神の意志とは相反するものだ。特に君はね」

 ショボンは何も答えない。答えられない。

( ・∀・)「次闘う時。僕は君達を裁くのではなく、滅する。だからその時まで……」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[>>コテさん 途中からね] 投稿日:2011/08/12(金) 03:08:54.37 ID:ZFeo5FC4O


 その時まで、醜く生き続けるといい。


 
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:23:33.25 ID:ZFeo5FC4O
(;´゚ω゚`)「ツン──ッ! ツン──!」

 モララーの言葉などショボンの耳には入っていなかった。

(;´ ω `)「があああああああああああああああっ!!」

 一際大きな出血と同時にショボンは意識を手放した。

 空を仰ぐサタンの身体が鍍金細工のように表面から剥がれ落ちてゆき、空へと昇る。
 悍ましい音色が奏でるのは冥府の門を開く調。

ξ゚听)ξ

 ショボンの傍らに少女が立っていた。
 彼女は何も語らない。
 彼女は誰にも手を差し出さない。

(///ω-)

 その代わり、煤けて横たわるブーンを見据えて。

ξ゚ー゚)ξ

 僅かに微笑んだ。
 消えゆく冥府の王と共に彼女の姿もやがて消える。
残された三人に、冷たい雨が降り注いできた。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/08/12(金) 03:27:31.94 ID:ZFeo5FC4O

第三話「よくわからないはなし」

 お
 わ
    れ

 

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