( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです

2 名前: ◆6ZgdRxmC/6 投稿日:2009/10/05(月) 20:35:50.11 ID:OYKJOAIf0


「今朝のニュース見た?」
「TASIROの暴走事件のことか? 一昨日からこれで三件目だな」
「おまえんち確か買ったんじゃなかったっけ? TASIRO」
「ああ、こえーから今電源オフにしてるよ。『せっかく家事が楽になったのに』ってお袋が愚痴ってた」


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:37:52.57 ID:OYKJOAIf0

月曜日の朝。
いつものようにモララーと登校してきて耳に入るのは、一昨日から続くTASIRO暴走事件の話。

被害は主に器物破損。今のところ怪我人も死人も出てはいない。
暴走したTASIROは、そばにある物を破壊するとたちどころに正常な機能をとりもどす。
原因は不明。
壊されたものは、主にコンピュータや携帯電話などの情報機器。
そのため警察は何者かによるテロ行為の疑いがあると見て捜査を続けている。
そして一度暴走したTASIROは、今ラウンジ社が総力をあげて自主回収している。

―――以上、『彼女』が調べたここ三日間でのTASIRO暴走事件の概要。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:41:30.54 ID:OYKJOAIf0

「ブーン?」

(;^ω^) お?

( ・∀・) どうしたのさ、ボーっとしちゃって

耳に届いた声に我に帰り、顔をあげると、向かいの席に座るモララーがこちらの顔を覗き込んでいた。

( ^ω^) おっお、ちょっと考え事してたんだお

( ・∀・) 考え事?

「なんだい、キミらしくもない」と笑うモララーに、「失礼な、僕だって考え事の一つくらいするお」と憤るブーン。
まったくもっていつもの、学校での日常風景。

( ・∀・) ははーん、さてはキミ、告白でもされたね?

(;^ω^)て ちょ、違うお。なんでそうなるんだお!?

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:42:27.52 ID:OYKJOAIf0

( ・∀・) キミもなかなか隅に置けないねぇ

(;^ω^) だから違うっていってるお!

必死になるこちらの姿が面白いのか、けらけらと笑うモララー。

( ・∀・) あれれ? 違うのかい? ボクはてっきりキミに気がある“誰かさん”に告白でもされたのかと……

ξ#--)ξ “誰かさん”って誰のことよ?

(;^ω^) お? いたのかお、ツン

ξ#゚听)ξ いたわよ、さっきからずっと

( ・∀・) 誰もキミのこととは言ってないんだけどねえ

「キミたちは見ていて面白いよ」とモララーは笑う。
その言葉にツンは憤り、ブーンは「なんのことだかわからない」という顔をしていた。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:43:39.20 ID:OYKJOAIf0

( ^ω^) お、そういえばツン。この間は電話急に切っちゃってごめんだお

ξ゚听)ξ え……ああ、うん。どうしたの? 電池でも切れた?

さすがに本当のことを言うのもどうかと思うので、ブーンは「まあそんなとこだお」と、曖昧にごまかしておくことにした。

( ^ω^) それで一体何のようだったのかお?

ξ;゚听)ξ え、いや、それは……

( ^ω^) お?

急に俯いたまま、喋らなくなるツン。
どうしたのかと、彼女が口を開くのを待っていると

ξ///)ξ なっ、なんでもないわよっ!! バカッ!!!

いきなり暴言を吐いて、教室の外に走っていってしまった。
もうすぐ始業のチャイムがなるのだが、大丈夫なのだろうか?

( ・∀・) 本当にキミたちは見ていて面白いねえ

心底楽しそうに、モララーが笑っている。なんのことか分からず、ブーンは首をかしげていた。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:45:20.15 ID:OYKJOAIf0





     ( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
             第二話「光剣」





15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:47:06.49 ID:OYKJOAIf0

三時間目の授業が終わったときだ。
ブーンの携帯に着信があった。
開いて目に映るのは、着信画面に表示される見覚えのある電話番号。
―――『彼女』からだ。

( ・∀・) 電話? 誰から?

(;^ω^) お? いや、えっと……

話しにくそうにしている自分の姿を見て、モララーは「はは〜ん」と意地悪な笑みを浮かべた。

( ・∀・) さては女だね?

(;^ω^) え、いや、その……

正直半分正解だったが、やはりこれも本当のことをいう訳にもいかないので「まあそんなところだお」と曖昧にお茶を濁しながら、ブーンは教室から出て行った。

( ・∀・) これは……ものすごく面白いことになりそうだね

残されたモララーが、にやにやしながらそう呟いたことを、ブーンは知る由もない。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:50:15.23 ID:OYKJOAIf0

( ^ω^)】 ……デレかお?

ζ(゚ー゚*ζ はい

廊下で開いた携帯電話から聞こえるのは、聞き覚えのある、しかし彼女ではない『彼女』の声。

( ^ω^)】 何のようだお?

ζ(゚ー゚*ζ 確認したいのです、ブーンさんが私に“協力”してくださるのかどうか

「またその話か」と、ブーンは溜息を吐く。

( ^ω^)】 なんで今なんだお?

ζ(゚ー゚*ζ 先程この星のデータバンク内を探して、離散した“私たち”を少し見つけたのです

「でも、それはわずかなものだった」と彼女は続ける。

ζ(゚ー゚*ζ おそらくは、ネットワークに繋がらない演算装置に憑依したものと思われます

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:51:33.35 ID:OYKJOAIf0

「ネットワークに繋がらない演算装置」思い当たるものの中で一番に頭に浮かんだ名前は

( ^ω^)】 ……TASIROかお?

ζ(゚ー゚*ζ おそらくは

( ^ω^)】 ……

黙り込んでしまったブーンに彼女はこれ以上の会話は無駄と判断したのか

ζ(゚ー゚*ζ 決断はなるべく早めにお願いします。“私たち”も、なるべく早く元に戻りたいですし、それに……

そこで言葉を切ってデレは続けた。

ζ(゚ー゚*ζ “私たち”は手段を選びません。早くしないと、次は本当に死人が出るかも知れませんよ?

それだけ言って、彼女は電話を切った。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:52:30.02 ID:OYKJOAIf0

( ^ω^) ……

通話の終わった電話を眺めながら、ブーンは考えていた。
“彼女たち”に協力するか否かを。

“彼女たち”の正体は、簡単に言うと「宇宙からやってきた実体のない超高性能コンピュータ」らしい。
もともとはとある星からこの地球の近くにきた宇宙船に積んであったものが、事故によって爆散し、このニューソク市に降り注いだのだそうだ。
“彼女たち”は、ある程度の処理機能をもった演算装置、例えば携帯電話などに憑依した。
これは、そうしないとある程度の機能を保てないからだそうだ。
爆散した“彼女たち”の目的は、集合して元のひとつに戻ること。
そしてこの星で一番安全な『依り代』の確保。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:53:25.75 ID:OYKJOAIf0

ブーンは再び溜息を吐いた。

( ^ω^)(まったく、なんでこんなことにまきこまれちゃったんだお?)

“彼女たち”がひとつになることに協力するのはまあいい。
しかし問題は、安全な『依り代』の確保のほうだ。
“彼女たち”はこの星に存在するために一番安全な『依り代』を求めている。
つまりそれは簡単に言えば

( ^ω^)(“もっとも強いハードウェアの確保”かお……)

一昨日から連続して続いているTASIROの暴走はソレが原因だ。
TASIROのコンピュータに憑依した“彼女たち”は、自分たちが安全に存在できるハードウェアというものを判断しようとしているのだ。
“彼女たち”が憑依したハードウェア同士を戦わせ、勝利したほうのハードウェアに乗り移ることで。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:55:32.39 ID:OYKJOAIf0

そして、『彼女』―――デレのハードウェアはなんと自分の携帯電話。
ちなみに「デレ」というのは自分がつけた名前だ。
声はツンなのに、(これはたまたま通話中だったツンの声をサンプリングしたからだそうだ)ツンとは正反対の印象をうけるので、「ツンツン」の反対の「デレデレ」を縮めて「デレ」。
彼女は、自分に、携帯電話を使って“彼女たち”の乗り移ったハードウェアと戦って欲しいと言ってきた。正直勘弁して欲しい。自分は生まれてこの方、喧嘩なんてものは頭文字がGのあの黒い昆虫なみに大嫌いなのだ。

( ^ω^)=3(それに、どこの世界に携帯電話で戦う高校生がいるんだお)

溜息とともにチャイムが鳴る。
そろそろ教室に戻らなくては。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:56:44.17 ID:OYKJOAIf0

見上げた空は茜色に染まっていた。
放課後、学校からの帰り道。
今日はモララーは部活だとかで、一人で帰ることになった。
モララーは正確にはどこの部活にも所属していない。
でも、中学の頃にフェンシングで全国大会まで行ったという成績があるため、たまにフェンシング部に助っ人として呼ばれるのだ。

( ^ω^)(モララーも大変だお)

それにしても、なぜフェンシングをやめてしまったのか、疑問に思ってモララーに訊ねてみたら「飽きた」と一言で返された。
まあ、あいつはそういうやつだ。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:57:42.62 ID:OYKJOAIf0

そのときだ、





( ;´∀`)
〔○〕





ブーンの目に、不穏な光景が映ったのは

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:58:41.67 ID:OYKJOAIf0

( ^ω^) TASIROと……子ども?

夕日の映る川。そこにかかった橋の上で、一体のTASIROと小学生くらいの男の子が対峙している。
子どもの手にはゲーム機だろうか? まるでTASIROから守ろうとするかのように大事に抱えもっている。

『おそらくは、ネットワークに繋がらない演算装置に憑依したものと思われます』

ふいによみがえるデレの声。
ネットワークに繋がらない演算装置……?

(;^ω^) !! まさか!!!

気付けば走り出していた。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 20:59:26.17 ID:OYKJOAIf0

そう時間はかからず、ブーンは橋の上に到達する。

〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ

( ;´∀`) いやだモナ!!

目の前には、最悪の光景が広がっていた。
子どもの両手に握られたゲーム機を、両手で掴んで取り上げようとするTASIROと、必死に抵抗する男の子。
あの歳の子どもだ。ゲーム機は本当に大切なものなのだろう。
抵抗し続ける子どもを見て、面倒だと感じたのだろう。TASIROは子どもからゲーム機をとりあげるのにもっとも効率的な手段をとった。

(;゚ω゚) 危ないお!!!

叫んだときにはもう遅かった。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:01:09.30 ID:OYKJOAIf0

目に映るのは少年の首をつかむTASIROと、宙吊りにされている少年の姿。

( ; ∀ ) ぅ……が……

〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ

首をつかまれた拍子にゲーム機を取り落としてくれればよかったのだが、少年は首をつかまれたいまでもゲーム機をはなそうとしない。

(;^ω^) ……くっ!!

咄嗟にもっていたカバンでTASIROを殴りつける。
しかしそれらの攻撃はすべてあの赤い光に阻まれてしまった。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:02:08.83 ID:OYKJOAIf0

( ; ∀ ) ぁぁ……

苦しそうにうなる少年。
くそっ、どうすればいい!?

(;^ω^) そうだお!

少年の手に持ったゲーム機。
異常なまでの力でしっかり握られたそれを無理やり引き剥がす。

(;^ω^) ごめんだお

少年に謝りつつも、それを少年の首を絞め続けるTASIROの目の前に差し出した。

(;^ω^) おまえの目的はこれだお!? その子を離すお!!

〔○〕 ……

目の前のゲーム機を確認したTASIROは、それをブーンの手から受け取ると、少年の首から手を離した。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:02:57.21 ID:OYKJOAIf0

( ; ∀ ) ……けほっけほっ!!

激しく咳き込む少年。
目の前でTASIROが少年のゲーム機を破壊する。
一瞬TASIROの緑色の目が赤く輝き、元の緑に戻った。
しかしよかった、これでこのTASIROは正常に戻るはず……

〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ

(;^ω^) お?

なぜか自分に向かって、無機質な合成音声でそういうTASIRO。
忘れていた、自分もひとつ“彼女たち”の依り代をもっていたではないか。

( ;´∀`) も……な……

やっと落ち着いたらしい少年に「早く逃げるお!」と叫ぶ。
それに気付いた少年は、あわてて走っていった。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:04:31.46 ID:OYKJOAIf0

(;^ω^)(さてどうするかお……?)

実際、どうするもこうするもない。
目の前のTASIROは全身からかすかな赤い光をばちばちと音をたてながら放ち、すでに戦闘モードだ。

〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ

(;^ω^)=3 ……しかたないかお

溜息を吐きながら呟いて、携帯電話を開き、番号のボタンを押していく。
画面に表示されるのは、自分の電話番号。
発信ボタンを押すと、ワンコールもしないうちに彼女が出た。

ζ(゚ー゚*ζ 決断はできましたか?

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:07:52.42 ID:OYKJOAIf0

( ^ω^)】=3 まあ正直……未だに納得はいってないお

「喧嘩はGなみに嫌いだし」とブーンは続ける。

( ^ω^)】 でも、ここで僕がこいつを倒さないと、また誰かがこいつの被害に会うかもしれないお?

〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ

手をこちらにのばしてくるTASIROに、一歩ずつ後退しながら、ブーンは続ける。
そうだ、たしかに喧嘩はGなみに嫌いだけど……

「自分ができることをしなかったことで後悔するのは、それ以上に大っ嫌いだお」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:09:05.76 ID:OYKJOAIf0

ζ(゚ー゚*ζ わかりました、協力してくれるということでよろしいですね?

( ^ω^)】 おっお、そういうことで構わないお

〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ

ふいにTASIROの拳が飛んでくる、ブーンはそれをしゃがんでよけると、地面を転がって右側に逃げた。

(;^ω^)】 だからはやくどうやって携帯電話でロボットと戦うのか教えて欲しいお

「この前みたいに投げつけるのかお?」と聞くブーンに、デレは「いえ、その必要はありません」と答えた。

ζ(゚ー゚*ζ まず、あなたの一番使いやすい武器を頭に思い浮かべてください

(;^ω^)】 武器? そんな急に言われても……

右側から蹴りが来る。ブーンはそれを腕で受け止めるが、その威力は予想以上に強かった。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:10:41.48 ID:OYKJOAIf0

(; ω ) ……ッ!!

吹っ飛ばされ、地面を転がるブーン。体勢を立て直すと、再び携帯を耳につける。

ζ(゚ー゚*ζ 思い浮かべましたか? では、その状態で適当な番号を入力してください

再び襲い来る拳をかわしながら、ブーンは必死に自分の頭の中にある武器という武器を思い浮かべる。

(;^ω^)(武器…武器……あーもう! これでいいお!!)

真っ先に思い浮かんだ武器、時間も無いので急いでそれをイメージする。
そして言われたと通りに携帯のボタンで適当な数字を入力した。

ζ(゚ー゚*ζ 最後に通話ボタンを押して下さい、それで完了です

目の前に機械の拳が迫る。
紙一重でそれを避けながら、ブーンは携帯の通話ボタンを押した。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:12:09.37 ID:OYKJOAIf0










ζ(゚―゚*ζ ―Form Change:「Sword」―










49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:13:19.75 ID:OYKJOAIf0

耳に届いたデレの声。
そして、気付けばブーンの右手には

(;^ω^) ……なんだお、これ

いつも見慣れているスライド式の黄色い携帯電話。
その側面から出現したのは、ばちばちと放電音を立てる赤い光の剣だった。

〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ

(;^ω^) ッ!!

呆然としていたブーンに飛んでくるのは、鉄でできた機械の拳。
ブーンは咄嗟にそれを、もっていた光の剣で防御した。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:14:23.05 ID:OYKJOAIf0

〔○〕 !!

ばち、という音を立てて機械の拳が弾かれる。

(;^ω^) お!

これに一番驚いたのはブーンだった。
土曜日、今日と自分の攻撃はことごとくあの赤い光に防がれてきた。
なるほど、自分が使っているのもあれと同じものだというなら、自分にも同じことができても不思議ではない。

(;^ω^) ……これならッ!!

携帯を持った右手で、思い切り目の前のTASIROに斬りつける。
ばちばちと火花を上げながら剣がTASIROの体をなでる。

(;^ω^) ……お?

後退するTASIRO。しかしその体には少しの傷跡しか見当たらない。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:15:47.70 ID:OYKJOAIf0

ζ(゚ー゚*ζ ブーンさん、相手は“私たち”の膜で覆われています

(;^ω^) お?

ふいに携帯から聞こえるデレの声。
一瞬そっちに気を取られたが、再びこちらに近づいてくるTASIROに意識をもどす。

ζ(゚ー゚*ζ この剣で斬れば“私たち”の膜を少し薄めることができます

鉄の拳を光の剣ではじきながら、ブーンはデレの言葉に耳を傾ける。

ζ(゚ー゚*ζ 膜の薄まった、その一瞬に相手の『依り代』に剣を突き立ててください

( ^ω^) わかったお!!

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:16:52.23 ID:OYKJOAIf0

ブーンは改めて敵の姿を見た。
敵は両腕を軽く引き、ゆっくりと近づきながら、その鉄の拳を打ち出すべく間合いを計っている。
ブーンは考える。デレは相手の『依り代』を攻撃しろと言った。
では、相手の『依り代』とはどこのことを指すのか

〔○〕

“目”だ。
TASIROの中枢のコンピュータはたしかあそこに内蔵されている。
演算装置に憑依するという“彼女たち”なら、きっとあそこを依り代にするだろう。

( ^ω^)(そうと決まれば……ッ!!)

標的を決めたブーンは、目の前のTASIROに突進する

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:18:10.51 ID:OYKJOAIf0

(#^ω^) おおおッ!!!!

TASIROに近づいたブーンは、先程と同じように右手で光の剣を振りかぶり、縦に一閃する。
しかし同じ手は通用しなかった。
TASIROはその両手を交差させて、ブーンの光の剣を受け止める。
激突するブーンの剣とTASIROの腕。
両者の触れ合う部位から、ばちばちという放電音とともに赤い電気が四方八方に飛散した。

〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ

剣を両腕で弾いたTASIROが、そう言いながら拳を放ってくる。
ブーンは、それをしゃがんでかわすと

(#^ω^) ぉぉぉおおおおおお!!!!!

TASIROのあいた脇めがけて、逆袈裟に斬り上げた。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:19:14.21 ID:OYKJOAIf0

再び響く放電音。
真っ赤な電撃があたりに飛び散る。
ブーンの剣はTASIROの脇を覆っていた“彼女たち”の膜を削り、その下にあるTASIROの腕の接合部分を削り、そしてついにはTASIROの右腕を斬り落とした。

敵の防御のかなめが一つ消えた。そのチャンスを、ブーンは見逃さなかった。

(#^ω^) くらうお!!

敵の防御が手薄な右側にすばやくまわりこむと、縦一閃にTASIROに向かって斬りつける。
そして、TASIROの『依り代』を覆っていた膜が薄くなったその一瞬を狙い、全力で突きを繰り出した。

(#^ω^) これで、とどめだお!!!

ばちばちという音を響かせながら、ブーンの突きがTASIROの中枢たる“目”を貫く。
ブーンの持つ光の剣が一瞬大きく赤く輝き、TASIROは完全にその機能を停止した。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:20:31.83 ID:OYKJOAIf0

(#^ω^) はぁ…はぁ……

荒い息をしながら光の剣を引っこ抜くと、ブーンはアスファルトの橋の上に仰向けに倒れこんだ。
それと同時に、光の剣は消え、携帯電話は元の携帯電話に戻る。

ζ(゚ー゚*ζ おつかれさまです、ブーンさん

携帯電話から響く、デレの声。
荒い息を整えながら、ブーンは手元の携帯を耳に持っていった。

(; ω )】 まったく……ちょっとハードすぎやしないかお?

「ははは」とブーンは力なく笑いながら言いながら、続ける。

(; ω )】 こんなのが、後何回も続くんだお?

ζ(゚ー゚*ζ えぇ、そうなりますね

まるでそれがなんでもないことのように言うデレに、ブーンは少し笑ってしまった。

(;^ω^)】 おっおっ…まったくとんでもない世界に飛び込んじゃったもんだお

背中にふれるアスファルトが、火照った体に涼しい。
溜息をつきながら見上げた空は、すでに茜色から黒に染まろうとしていた。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:21:30.08 ID:OYKJOAIf0





     ( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
              第二話「光剣」
                おわり




64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/05(月) 21:22:42.99 ID:OYKJOAIf0
     ―次回予告―

( ・∀・) でもね、ツン。油断はしない方がいいと思うよ?

( ^ω^) 暴走TASIROだお!! みんな逃げるおー!!!

ξ;゚听)ξ アイダホオオオオオオオオオ!!!!!!

「俺が戦い方を教えてやるよ」





     第三話:「闘士」






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