- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:37:20.35 ID:PbDS4krA0
ここは、ニューソク市のとある繁華街。
ビルとビルが背を向けあう、いわゆる路地裏で、一人の少年がTASIROと対峙していた。
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
「……」
少年は黙って携帯に番号を入力すると、発信ボタンを押す。
―Form Change:「Sword」―
彼の携帯から少年の声が流れ、少年の携帯から光の刃が出現した。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:38:14.67 ID:PbDS4krA0
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
「わるいね、それはできない。だってキミは―――」
少年の手首が動く。
それと同時に高速でTASIROの体の上を走るのは、少年の光の刃だ。
「―――ボクよりずっと弱いから」
「目にも留まらぬ剣さばき」とはこのことを言うのだろう。
少年の目の前に立っていたTASIROは、一瞬で切り刻まれ、その残骸が地面にぼとぼとと落ちる。
少年の携帯電話からでる光の刃が、一瞬、赤く輝いた。
しずかに溜息をつく少年、彼は刃の消えた携帯を見ながら呟く。
「まだだ……まだたりない」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:40:18.36 ID:PbDS4krA0
そのときだ。
ぱちぱちと手を叩く音が、あたりに響く。
少年がそちらに目をやると、そこには中学生くらいの野球帽をかぶった少年が立っていた。
「“セキラ”の匂いにつられてきてみれば……いやー強いね、お兄さん」
「……誰だい? キミは」
TASIROを倒した少年の言葉に、野球帽の少年は答えず、続ける。
「でもさあ、もっと強くなりたくない?」
「……」
いつの間にか野球帽の少年の手には、ひとつの黒い横長のゲーム機が握られていた。
「俺が戦い方を教えてやるよ」
にやりと笑う少年。
―Form Change―
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:41:37.89 ID:PbDS4krA0
( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
第三話「闘士」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:44:23.05 ID:PbDS4krA0
木曜日。二時間目の終了のチャイムが鳴り、自分の席でブーンが背伸びをしていると、なにやら深刻な面持ちのツンが近づいてきた。
ξ;゚听)ξ あっ、あのねっブーン!!
(;^ω^) お?
自分の席の横に立つなり、突然大声で話しかけてくるツン。
彼女自身そんな大声を出すつもりはなかったらしく、「あ」と言いながら口を押さえ、誰か見ている人が居ないかと周りをキョロキョロと見回す。
なにか様子がおかしい。
いつもは強気な彼女が、今日はいやにおどおどしている。おまけに目はきょろきょろと泳いでいるし、こころなしか足も震えているように見える。
何かあったのだろうか?
ξ;゚听)ξ ブーン!
(;^ω^)て はいですお!
まったく突然大声をだすのはやめてほしい。
びっくりして変な声で返事をしてしまったではないか。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:47:23.20 ID:PbDS4krA0
ξ;゚听)ξ もっももももももも
(;^ω^) 藻?
ξ;゚听)ξ モララーから聞いたんだけどっ!!
(;^ω^) ちょっとツンおちつくお。どうしたんだお?
がたがたと震えながら話す彼女に、見かねたブーンはまず彼女を落ち着かせることにした。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:48:09.07 ID:PbDS4krA0
( ^ω^) はい、息吸って〜
ξ;゚听)ξスゥー
( ^ω^) 吐いて〜
ξ;゚听)ξハァー
( ^ω^) 素数数えて〜
ξ;゚听)ξ 2! 3! 5!
( ^ω^) はいっ、三回まわって
((ξ(゚凵∞听)ξ)) くるくるくる
( ^ω^) はい、そこで叫んで!
ξ;゚听)ξ アイダホオオオオオオオオオ!!!!!!
(;・∀・) なにやってるの、キミたち
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:51:47.77 ID:PbDS4krA0
- ( ^ω^) おちついたかお?
ξ;゚听)ξ うん
( ^ω^) ほんとにおちつたかお?
ξ;゚听)ξ うん
( ^ω^) この指の数は?
ξ;゚听)ξ 三本
( ^ω^) エベレストをチベット語で言うと?
ξ;゚听)ξ チョモランマ
( ^ω^) ネパール語では?
ξ;゚听)ξ サガルマータ
( ^ω^) はいっ大きな声で
ξ;゚听)ξ サッガアアアルマータ!!!
( ^ω^)b よし、大丈夫だおね
ξ;゚听)ξb うん、もう大丈夫
( ・∀・)(これを素でやってるってのが、こいつらの面白さなんだよねぇ)
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:52:51.28 ID:PbDS4krA0
( ^ω^) で、なんのようかお?
どうやら落ち着いたようなので改めてツンに訊ねると、ツンははっとしたような表情で
ξ;゚听)ξ そうよ、このバカ→( ・∀・)から聞いたんだけど
( ^ω^) お?
( ・∀・)ニヤニヤ
ξ;゚听)ξ 「ブーンに彼女ができた」って、本当なの!?
(;^ω^) おお!?
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:56:51.47 ID:PbDS4krA0
まったく身に覚えの無い話に、ブーンは驚愕する。
(;^ω^) な、何を根拠にそんなことを言ってるんだおモララー!!
憤るブーンに、モララーはにやにやしながら「彼女ができたなんてボクは言ってないよ〜?」あからさまに何か裏がありそうな声で言う。
ξ;゚听)ξ なっ……
( ・∀・) ボクはただ、ブーンが女の子と携帯で話してたから「彼女でもできたのかな〜?」って言っただけ
ξ#゚听)ξ なッ!? 何よそれ!! 同じようなことじゃない!!
( ・∀・) 似てるようでぜんぜんちがうね〜
けらけらと笑うモララーに、肩を怒らせるツン。
( ・∀・) で、ブーン実際のところどうなのさ? この間電話してた女の子とはどういう関係?
(;^ω^) お……
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 20:59:43.44 ID:PbDS4krA0
言われてブーンは言葉に詰まる。
「この間電話してた女の子」とは、おそらくデレのことだろう。
まさか「自分の携帯電話と話してました」なんていう訳にもいかない。そんなことを言えば彼らからすごく哀れなものを見るような目で見られることうけあいだ。
(;^ω^) ……ちょっとした、友達だお
( ・∀・)ニヤニヤ へ〜そうなんだ〜
苦し紛れの返答にあからさまに疑っている様子のモララーがニヤニヤとする。
モララーはニヤニヤしたままツンの肩をぽんと叩いた。
( ・∀・) だってさ、よかったね。ツン
ξ;゚听)ξ は、はぁ? なんで私が……
反論しようとするツンに、モララーは意味ありげに言った。
( ・∀・) でもね、ツン。油断はしない方がいいと思うよ?
ξ;゚听)ξ へ?
( ・∀・) ブーンにも「そういう人」がいるってことは確かなんだからね
ξ;゚听)ξ ……
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:06:14.50 ID:PbDS4krA0
「そろそろ勇気出さないと危ないんじゃない?」
そういって手をひらひらさせながら、モララーは教室から出て行った。
( ^ω^) 一体なんだったんだお?
ξ--)ξ ……
ツンに目をやると、目を閉じて何事かを考えているようだった。
次は教室移動だし、自分たちもそろそろ教室を出たほうがいいだろう。
( ^ω^) ツン、僕たちもそろそr……
ξ゚听)ξ ねぇ、ブーン
(;^ω^) お?
自分の声を遮る、ツンの声。
こちらを見る目は、先程のように泳いではおらず、まるでなにかを決意した人間のそれだ。
ξ゚听)ξ 今度の日曜日だけど、空いてる?
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:07:19.92 ID:PbDS4krA0
日が傾きかけた空の下。
一人の携帯を持った少年が鼻歌を歌いながら歩いている。
(*^ω^)】 おっおっお〜♪
ζ(゚ー゚*ζ どうしたんですか? 今日はやけに機嫌がいいですね
携帯電話から聞こえてくるのはデレの声。
彼らは今、学校帰りに“彼女たち”のとり憑いたTASIROを探している最中なのだ。
今日は市内の繁華街を捜索中。
人通りの多いその場所の中でスキップしながら歩くブーンは、正直かなり浮いていた。
(*^ω^)】 おっお、よくぞ聞いてくれたお! 今日! 僕は!!
だんだん大きくなっていく声、それにも気付かないほど今のブーンは有頂天になっていた。
(*^ω^)】 生まれて初めて女の子にデートに誘われたんだお!!!
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:08:31.32 ID:PbDS4krA0
ζ(゚ー゚*ζ そうでしたか、よかったですね
(*^ω^)】 おっおっ、日曜日にニューソクデパートにいくんだお!!
「楽しみだお〜」といいながらスキップを続けるブーン。
周りからの視線がちらちらとむけられているが、そんなことはまったく気にならない。
ζ(゚ー゚*ζ ……と、喜ぶのはいいですが、気持ちを切り替えてくださいね
「居ましたよ」というデレの言葉に、ブーンが辺りを見回すと、飲食店の前でチラシを配っている、一体のTASIROが目に入った。
最近は大手チェーン店などでは、人件費削減のためにこういった雑務はTASIROにまかせているところが多い。
そのTASIROがいつ暴走するかも分からないというのだから、まったく世の中物騒になったものだ。
( ^ω^)】 お、あれかお?
ζ(゚ー゚*ζ はい、気をつけてくださいね。それなりに大量の“私たち”が憑依しているようですから
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:09:55.26 ID:PbDS4krA0
「わかったお」と言って、ブーンは少しずつTASIROに近づいていった。
見た目はこの間相手をしたTASIROとそう違わないが、前相手にしたTASIROと違い、業務用に造られたタイプのため、全身が薄い青色で着色されている。
あと十歩ほどでTASIROと接触するという位置まで近づいたとき、ふいにTASIROの目が赤く輝いた。
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
( ^ω^) 暴走TASIROだお!! みんな逃げるおー!!!
TASIROがこちらに気付いたことを確認したブーンが、そう叫ぶ。
あたりにいた人々がじょじょに騒ぎ始め、携帯を壊されては適わないと適度に距離を置き始めた。
( ^ω^)(さすがに完全に人払いはできないかお)
そう判断したブーンは自分の携帯をTASIROに見せびらかすようにしながら、ビルとビルの隙間に向かって走り出す。
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
ブーンの思惑通り、TASIROはそういいながら追いかけてきた。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:10:46.44 ID:PbDS4krA0
しばらく走っていくと、動き回るには調度よさそうな袋小路にたどり着いた。
ここに来るまでの道は迷路のように入り組んでいたし、ここならしばらくは誰も来ないだろう。
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
目の前の青いTASIROも、全身から赤色の電気をばちばちいわせているし、そろそろはじめるとするか
( ^ω^) デレ、行くお!!
携帯のボタンで数字を入力し、発信ボタンを押しながらブーンが叫ぶ。
ζ(゚ー゚*ζ―Form Change:「Sword」―
ブォンという音をたてながら現れたのは、赤い光の刃。
それを確認したブーンが、目の前の敵に突撃した。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:13:55.18 ID:PbDS4krA0
( ^ω^) おっ!!
前回の戦いでTASIROの弱点があの“目”であることは分かっている。
ブーンはまず、そこを狙って突きを放った。
しかしそれは放電音とともに受け止められる。
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
TASIROの左手に出現した
(;^ω^) お?
赤い光の『盾』によって
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:15:08.35 ID:PbDS4krA0
(;^ω^) お、あ!!
ブーンが盾に驚いた一瞬の隙をついて、今度は右手の甲から伸びる赤い剣が、ブーンの喉下にせまる。
間一髪、それをかわしたブーンは軽く間合いをとると剣を構えなおした。
(;^ω^) なるほど、ああいう使い方もできるのかお
ζ(゚ー゚*ζ 感心してる場合じゃないです……きますよ!!
走って間合いをつめたTASIROが、右手の剣でブーンに斬りかかる。
それを自らの剣で受け止めるブーン。
攻撃は防がれたかに思えたが、しかし、今度は右手の剣を防御しているために無防備になっているブーンの体に、赤い光の盾が襲い掛かった。
(; ω ) ――ッ!!
後方へ吹き飛ばされるブーン。
それをTASIROの赤い剣が追撃する。
気がつけば、剣は目の前に迫っていた。
(;^ω^) !!!
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:16:23.07 ID:PbDS4krA0
(;^ω^) くっ!!
間一髪、剣を受け止めるブーン。
そのまま地面を転がり、間合いをとる。
立ち上がったブーンは剣を構えなおし、そして考える。
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
目の前にいるTASIROの武器は左手の盾と右手の剣。
弱点である目の部分を攻撃するには、防御のかなめである左手の盾が邪魔だ。
どうする? この前のように腕ごと斬り落とすか?
(;^ω^)(いや、だめだお)
この前の敵は格闘戦を挑んできたため腕を斬り落とすのも容易だったが、今度の敵は斬り落とそうとしているその手に防具を装備している。
つまり、盾を潰そうとするなら左手を斬り落とさなくてはいけないが、左手を斬り落とすには盾を潰さなくてはいけない。
典型的なジレンマだ。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:17:34.77 ID:PbDS4krA0
(;^ω^) ッ!!
考えているうちに敵が迫ってきていた。
右手の剣での突きが、ブーンの頬をかすめる。
ギリギリまで詰まった間合いを、ブーンは相手の腹を蹴飛ばすことで開こうとする。
(;^ω^)(しまった!!)
忘れていた。
こいつらの体には“彼女たち”を使った攻撃意外は効かないのだ。
またこの間のようにあの赤い光に弾かれてしまう……!!
(;^ω^) お?
しかし
〔○〕 !!
そうはならなかった。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:18:30.67 ID:PbDS4krA0
ブーンの足の裏に押されたTASIROは、あの赤い光でそれを弾くことなく、あっけなくその場に倒れこんだ。
(;^ω^) お? なんでだお?
一瞬何が起こったのかわからず、ブーンが呆然としていると携帯からデレの「ブーンさん」と呼ぶ声がした。
ζ(゚ー゚*ζ この前の敵は全身を“私たち”の膜で覆っていましたが、今回の敵はそうではありません
(;^ω^) どういうことだお?
ζ(゚ー゚*ζ 今回の敵は、両腕に武器を出していますよね?
そう言われて、ブーンは今まさに起き上がろうとしている青いTASIROの両腕から出る武器に目をやる。
ζ(゚ー゚*ζ あれは“私たち”で構成されています。つまりはブーンさんの手にあるこの剣と同じです
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:19:29.12 ID:PbDS4krA0
起き上がるTASIROを見ながら、ブーンは理解する。
そうか、つまりこいつは……
〔○〕 ッ!!
起き上がりざまに突きを放つTASIRO。
ブーンはそれを受け流すと、相手の横っ腹に蹴りを食らわせた。
(;^ω^) いってえお!!
忘れていた。相手は機械なのだからボディを蹴り飛ばせば痛いのは当然だ。
しかしやはり、攻撃はあの赤い光には弾かれない。
横っ腹を蹴られよろよろと蠢くTASIROを見ながらブーンは確信する。
間違いない。こいつは今の自分と同じだ。
もっている“彼女たち”の殆んどを武器に回している。つまり
( ^ω^)(盾と剣意外なら、普通のTASIROと何も変わらない……!!)
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:20:23.08 ID:PbDS4krA0
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
斬りかかって来るTASIRO。
ブーンはその右わき腹に向かって蹴りを入れる。
左手の盾の防御がしにくい分、相手は自然と右側の防御がおろそかになる。
再びTASIROがよろける。
人間と言う生き物は当たり前のように二足歩行をするから忘れがちだが、二本の足で歩くという行為は、本来とても難しいものだ。
それをロボットにやらせるのはなおさら難しい。
相手がよろけた、その一瞬を狙ってブーンは斬撃を放った。
〔○〕 !!?
相手の持つ二本の足、その左側の一本に。
片足を斬られたTASIROが体勢を崩しその場に倒れこむ。
( ^ω^) これで……終わりだお!!
TASIROが両手を地面につき、左手の盾と右手の剣が無効化される。
ブーンが放った突きは、あっけなくTASIROの顔面を貫き、赤く輝いた。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:21:12.53 ID:PbDS4krA0
顔に穴を開け、動かなくなったTASIROを見ながら、ブーンがほっと一息をつく。
ζ(゚ー゚*ζ お疲れ様です、ブーンさん
( ^ω^)=3 ふぅ、今回もハードだったお
途中何度か死にかけたことを思い出し、本当に自分はとんでもないことをやっているなと溜息を吐く。
でも、とりあえず今日はこれで終わりだ。
家に帰れば、いつも通り母の作った夕飯が待っている。
誰かの通報で警察が来ても面倒だし、はやく家に帰ろう。
そう思ったときだった。
「やるね、お兄さん」
(;^ω^) お!?
突然響く、聞き覚えの無い声。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:24:26.60 ID:PbDS4krA0
('A`) 技は荒削りだけど、センスはあると思うよ
ふと見れば、そこには野球帽をかぶった中学生ぐらいの少年が立っていた。
(;^ω^) お……どちらさまですかお……?
戸惑うブーンに、少年はニヤリと笑いながら、ポケットから黒い横長のゲーム機を取り出した。
大きな画面の両脇に方向キーと四つのボタンがついた、よく見る家庭用形態ゲーム機だ。
ζ(゚ー゚*ζ ブーンさん、気をつけてください
(;^ω^) お?
ζ(゚ー゚*ζ あの人……“私たち”を持っています
少年は持っていたゲーム機を少しいじると、それを縦にして胸の前に持っていく。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:25:58.61 ID:PbDS4krA0
('A`) ケータイ電話の“セキラデバイス”に“剣”か、似たようなヤツに二日連続で出会うとはなんとも奇遇と言うか因果というか……
「まぁいっか」と言いながら、少年は胸の前の携帯ゲーム機を、自分の中心線に沿うように腰のほうに下ろしていく、そして縦に持っていたゲーム機が腹部の前に来たとき、それを180度回転させた。
(;^ω^) お!?
転瞬、ゲーム機の側面から赤い光が飛び出す。
それは野球帽の少年の腰を一周し、もう片方の側面に“接続”された。
それはまるで、“彼女たち”で構成された赤い光の『ベルト』のようだった。
('A`) 俺が、戦い方を教えてやるよ
にやりと微笑む少年の腹部に密着した、ゲーム機の画面に、文字が表示される。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:26:59.87 ID:PbDS4krA0
―Form Change:「Fighter」―
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:28:30.31 ID:PbDS4krA0
( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
第三話「闘士」
おわり
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/08(木) 21:29:51.39 ID:PbDS4krA0
- ―次回予告―
( ^ω^)(なんなんだお……この胸のわだかまりは……)
('A`) この先、人間同士で争いが起こらないとも限らないんだぜ?
ζ(゚ー゚*ζ ブーンさん……
( ^ω^) 僕は……自分にできることをやるお!
第四話:「赤雷」
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