- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:33:25.88 ID:T4HhJThh0
待ち合わせの場所まで、あと百メートルほど。
(; ω )
脈打つ心臓をおちつかせるために、深く息を吸った。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:34:07.15 ID:T4HhJThh0
- 一歩一歩、踏みしめる足裏に伝わる地面の感触。
それすら何かいつもとは違うもののような気がして
(; ω )
少しずつ近づいてくる目的地に、楽しみなような、逃げ出してしまいたいような、そんな奇妙な感覚を覚える。
目的地を前にして、あらためてやり残したことはないかを確認。
―――お金は?
大丈夫だ、こづかい全部持ってきた。
―――服は?
この日のために一番気合が入ったのを着てきた。
―――パンツは?
念のために新品を。むしろ僕は準備OKだぜバッチコーイ!!!
(;^ω^) お……
そんなことを考えているうちに、いつの間にか目的地にたどり着いていた。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:35:06.77 ID:T4HhJThh0
- 人通りの多い、駅前の銅像周辺。
少しあたりを見回して見ると
ξ゚听)ξソワソワ
なんだかそわそわしている女の子を発見。
( ^ω^) お……
まだこちらに気付いていない彼女を遠目から観察。
ξ゚听)ξソワソワ
心なしか気合の入った服装。
ほんのりと化粧ののった肌。
なんだかいつもとは違った雰囲気の彼女。
(;^ω^)(こ、こういうときってどうやって声かければいいんだお?)
なれない状況に、思わずどきどきしてしまう。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:36:22.01 ID:T4HhJThh0
(;^ω^)ノ お、おいーす、ツンー!!
散々迷ったあげく、なんとか平常心をとりもどし、普段どおりに彼女に声をかけてみる。
ξ*゚听)ξ お、おそかったじゃない、ブーン!!
(*^ω^) おっお、ごめんだお……
いつもと違う状況に、なぜかどぎまぎしてしまう二人。
(*^ω^) お、っていうかツン……
ξ*゚听)ξ な、なによ
(;^ω^) まだ約束の時間の一時間前だお……?
ξ;゚听)ξて あ……
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:37:36.45 ID:T4HhJThh0
そう聞かれて、ツンは両手をもじもじと動かしながらうなだれる。
ξ///)ξ べっ、別にいいじゃない!! っていうか初デートは二時間前に来るってのが常識でしょ!?
(;^ω^) お……ごめんだお
そうだったのか、とブーンは思った。
今までデートなどしたことがなかったからそこらへんの事情にはうとかった。
こんどから気をつけなければ……
(;^ω^)(あれ? でも次からは「初」デートじゃないから気をつけなくてもいいのかお? っていうか、そもそも「次」ってあるのかお!?)
暴走する脳内。
どうも今日は調子が狂っていけない。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:38:23.89 ID:T4HhJThh0
(*^ω^) と、とにかくツン、行くお!
ξ*゚听)ξ う、うん
目的のデパートはこのすぐ近くだ。
並んで歩き出す二人。
(*^ω^) ……つ、ツン
ξ*゚听)ξ な……なによ?
(* ω ) あの……その……
早鐘を打つ心臓の鼓動。
言え! 言ってしまえ!!
これくらいのこと、男なら言えずにどうする!!
(*///ω///) 手……つなぐお
やっと、口から出したその言葉を耳で聞いて、恥ずかしくて死にそうになった。
それでも、勇気を振りしぼって、手を彼女に差し出す。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:39:13.22 ID:T4HhJThh0
ξ///)ξ あ、は? え? ええええ?
戸惑っている彼女。
(*///ω///) 嫌……かお?
不安になって訊ねた。
視線は、自然と下を向く。
目が、合わせられない。
断られるんじゃないかって怖くて。
ξ///)ξ い、嫌なわけないでしょバカ!!
(*^ω^) お……
だからその言葉を聞いたときは、本当に、心の底からほっとした。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:40:32.95 ID:T4HhJThh0
( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
第五話「逢引」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:41:32.51 ID:T4HhJThh0
- 握った手に伝わってくる、柔らかい手の感触。
うわぁ……女の子の手ってこんなにふにふにしてるのか……
そんなことを思いながら、昨日の夜のデレとのやりとりを思い出していた。
ζ(゚ー゚*ζ デートをするのであれば、まず殿方から手を繋ぐよう誘いましょう
(;^ω^) お……そ、そんなことできないお……
ζ(゚ー゚*ζ 何故です?
(;^ω^) は、恥ずかしいからに決まってるじゃないかお!!
ζ(゚ー゚*ζ 大丈夫です! だってデートは向こうから誘ってきたのでしょう?
(;^ω^) それは……そうだけど……
ζ(゚ー゚*ζ なら手を繋ぐくらいはブーンさんのほうからお誘いするべきです!
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:42:27.83 ID:T4HhJThh0
- いつになく熱弁するデレにたじろぐブーン
ζ(゚ー゚*ζ そうすることで次のステップにもスムーズに進むことができます
(;^ω^) お……でも……
「やっぱりムリだお」と言おうとするブーン。
それを遮るようにデレが声を荒げる
ζ(゚、゚*ζ いつまでうだうだと言ってるつもりですか!!
(;^ω^)て
ζ(゚、゚*ζ ブーンさんは男の子でしょう!! ならば男気というものを見せて見なさい!!
(;^ω^) お……
ζ(゚、゚*ζ わかりましたか!? 返事は!!
(;^ω^) は……はひッ!!
インターネットで色々情報収集しているせいか、最近彼女は妙に人間味がでてきたなぁとブーンは思う。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:43:22.38 ID:T4HhJThh0
(*^ω^)(ま、でも……)
結果的に彼女のおかげでツンと手を繋ぐことが出来ているのだ。
(*^ω^)b(デレ、グッジョブだお!!)
ξ*゚听)ξ どうしたの? 急に親指なんかたてて
(*^ω^) な、なんでもないお
ξ*゚听)ξ ?
(*^ω^) お、それよりほら、ついたお!!
ξ*゚听)ξ あ……
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:44:25.36 ID:T4HhJThh0
ブーンの指差す先に現れたのは、本日の目的地であるニューソクデパート。
市内有数の大型デパートで、中には映画館やゲームセンターなど、多くの娯楽施設を内包している。
ξ゚听)ξ 近くで見るとおっきいわね〜
( ^ω^) おっお、じゃあまずはどこn……
ζ(゚、゚*ζ『デートは男性がエスコートするものです!!』
(;^ω^) お……
どこに行こうかツンに聞こうとしたブーンの頭に、ふいに昨日のデレの言葉がよぎる。
彼女によれば初デートはなるべく男性が引っ張って行く方が、女性に頼りがいのある男と見られ印象がいいそうだ。
いけないいけない、ここは男として頼りがいのあるところを見せなければ。
( ^ω^) ま……まずはお店でも見てまわるかお?
ξ*゚ー゚)ξ そうね、調度みたい服とかあったし
快諾してくれた彼女に、心の中でガッツポーズをしながら、ブーンたちは店内へと入っていった。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:46:03.21 ID:T4HhJThh0
そして、一時間後……
( ω )
そこには店内の軽食スペースで机に突っ伏すブーンの姿があった。
ξ;゚听)ξ だ、大丈夫? ブーン……
(;^ω^) おっお、平気だお?
正直、ここまで店内が広いとは思っていなかった。
店内にある店店を、ツンのテンションのまかせるままに休みなしで歩き続けただけでこんなに体力を消耗するとは……
ξ;゚听)ξ ごめんね……私がはしゃぎすぎちゃったから……
(;^ω^) おっお、ツンは悪くないお!
申しわけなさそうな表情の彼女に、ブーンはあわてて顔をあげ否定する。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:47:26.67 ID:T4HhJThh0
ξ;゚听)ξ でも……
( ^ω^) ツンが気にすることじゃないお! ほら、僕、こんなに元気だお?
心配そうな表情の彼女に、ブーンは必死に手をぶんぶんと振って自分が元気だと主張する。
ζ(゚、゚*ζ『デート中に女の子に心配をかけるなんて持っての他です!!』
なんとなくデレならこんな風に説教をするんだろうな〜と想像した言葉に、ブーンはちょっと自信を無くす。
(;^ω^)(デートって難しいお〜……)
いけないいけない、こんなことで自信を無くしていては。
気を取り直し立ち上がると、まだこちらを心配そうに見ている彼女に声をかけようとした
そのときである
(;^ω^) お!?
ξ;゚听)ξ 何……いまの!?
店内に女性の悲鳴が響きわたったのは。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:48:14.71 ID:T4HhJThh0
「なんだ今の!?」
「暴走TASIROらしいぜ、見に行ってみるか?」
「あぶないわよ、やめときましょう」
響いてくる声に、ブーンが驚愕する。
(;^ω^)(お……よりによってこんなときにかお!?)
ξ;゚听)ξ 暴走TASIROだって……どうしよう、ブーン?
不安そうに覗きこんでくる彼女、どうする? ここはデートを中断してTASIROの方へ向かうべきか?
(;^ω^)(いや、TASIROはセキラデバイスを破壊すれば、正常な機能をとりもどすはずだお……)
ここはこの場にとどまって、不安そうにしている彼女の側に居てやるべきではないのか?
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:49:13.10 ID:T4HhJThh0
ξ;゚听)ξ ブーン……?
そうだ、だって彼女はこんなに不安そうな表情をしているではないか……ここは男として彼女の側に……
( ; ∀ )『ぅ……が……』
(; ω ) ……!!
そのとき、突如フラッシュバックするのは、あのときのTASIROに宙吊りにされた少年の姿。
そうだ、たしかにデバイスを破壊すればTASIROは正常な機能を取り戻すかもしれない。
でも、その前に誰かが被害にあってしまったら……?
自分が行動しなかったせいで、他の誰かが傷つくことになってしまったら?
(; ω )(そんなのは……嫌だお!!)
ξ;゚听)ξ 大丈夫ブーン? 顔色悪いわよ?
(;^ω^) ツン!!
ξ;゚听)ξ え?
(;^ω^) ごめんだお! すぐ帰って来るから!!
そう言ってブーンは走り出した。
後ろのほうでツンが自分の名前を呼んでいるのが聞こえたが、振り向かずに走り続けた。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:50:25.71 ID:T4HhJThh0
人が逃げていく方向とは逆向きにブーンは走っていく。
そのとき、ふいに着信音が鳴った。
(;^ω^)】 デレかお、何だお?
ζ(゚、゚*ζ 良かったんですか?
いつに無く不安そうな声で聞いてくる彼女に、ブーンは明るく答えた。
( ^ω^)】 いいんだお! ちゃっちゃとかたずけて、またデートに戻れば問題なっしんぐだお!!
ζ(゚、゚*ζ ……
無言になるデレ。走りながら、ブーンは続ける。
( ^ω^)】 だから、デレ!!
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
「ひぃ……」
見れば、そこにはTASIROとそれにおびえる若いサラリーマンの姿があった。
( ^ω^) 今日は早めに終わらせるお!!
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:51:52.89 ID:T4HhJThh0
- 叫ぶと、ブーンは床に尻餅をついているサラリーマンをかばうように、TASIROの前に立ちはだかった。
( ^ω^) デレ!! そこのお兄さんの何にセキラが宿ってるか、分かるかお!?
ζ(゚ー゚*ζ ちょっと待ってくださいね……
〔○〕 ソコヲ、ドイテクダサイ
目の前の男性をたとえ逃がしたとしても、彼がセキラを持っているかぎり他のTASIROに襲われる可能性がある。
それを避けるためには、男性の持っているセキラを宿っているデバイスから引き剥がす必要がある。
ζ(゚ー゚*ζ わかりました、ブーンさん!! “私たち”が宿っているのはその床に落ちている携帯電話です!
( ^ω^) よっし、じゃ行くお! デレ!!
邪魔な障害物をどけるためにTASIROが拳を大きく振りかぶる。
それより早く、ブーンは携帯に数字を入力し、発信ボタンを押した。
ζ(゚ー゚*ζ―Form Change:「Fencer Gauntlet」―
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:52:53.29 ID:T4HhJThh0
- デレの声が響き、現れるのは赤い光の刃と右手を這う赤い電気の籠手。
放たれるTASIROの拳を、ブーンの光の刃が受け止める。
(#^ω^) おおっ!!
〔○〕 ……!!
そして、そのままTASIROを突き飛ばした。
( ^ω^) お兄さん、立てるかお!?
TASIROからは目を離さず、男性に背を向けながらブーンは男性に話しかける。
「あ……あぁ……」
( ^ω^) じゃあ、ここはまかせてはやく行くお!!
よろよろと立ち上がる男性に、「ただしその携帯電話は置いていって欲しいお」とだけ声をかけて、ブーンはTASIROに向かって走り出す。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:53:41.26 ID:T4HhJThh0
(#^ω^) 今日は時間も押してるし、速攻でかたをつけさせてもらうお!!
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
セキラによって脳に送られてくる戦闘情報。
それに従って、ブーンは最小限の動きで刃を動かす。
刃がTASIROの体の上を走り、TASIROの体を覆うセキラの膜を確実に切り裂いていく。
よし、この調子なら勝てる。そう思ったとき
〔○〕―Form Change:―
(;^ω^) お!?
TASIROの目に表示される英文。それと同時に、赤い何かがTASIROの手から飛び出し、ブーンを襲った。
(;^ω^) お!!
とっさにそれを光の刃で防御するブーン。
すると、ブーンに襲い掛かってきた「それ」はブーンの光の刃にくるくると巻きついた。
(;^ω^)(これはセキラの……『鞭』!?)
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:55:00.70 ID:T4HhJThh0
刃にからみついた赤い光の『鞭』を、ブーンははずそうとするが、それはまるで光の刃と一体化しているようにぴったりとくっついていて外れない。
〔○〕 ッ!!
ふいにTASIROが鞭の出ている右手をぶんと振るう。
(;^ω^) おおおおお!?
鞭によってその右手に接続されているブーンは、彼の持つ光の刃とともに軽々と投げ飛ばされてしまった。
(; ω ) ッ!!
壁に背中を打ち付ける。
衝撃とともに、一瞬肺のなかの空気が全部出てしまったような感覚に襲われる。
〔○〕 ……
視界の端で、TASIROが地面に落ちた携帯電話を破壊するのが見えた。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:56:21.63 ID:T4HhJThh0
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
目標の破壊を確認したTASIROが次に狙うのは、当然、壁によりかかるように倒れているブーン。
振るわれるTASIROの右腕。
それと同時に、ものすごい速さで赤い光の鞭が襲い掛かってくる。
(;^ω^) !!
迫り来る鞭。ブーンはそれを右に転がりながら避ける。
あの鞭は受け止めてはいけない。
受け止めれば、またさっきのように投げ飛ばされるだけだ。
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ!!
転がりながら避けるブーンに連続して放たれる鞭の連撃。
なんとか体勢を立て直したブーンは相手と距離を置き、とりあえずどうすれば相手に勝てるのか考えようとする。
(;^ω^) !!
しかし、距離を置いてもなお、鞭は飛んできた。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:57:43.44 ID:T4HhJThh0
飛んできた鞭はブーンの服の腹部を切り裂く。
(;^ω^) くッ!!
甘かった。今まで剣や徒手空拳などの近接系の武器を持つ相手としか戦ったことがないから距離をおけば大丈夫だと安心していた。
(;^ω^) でも、間合いの無い武器なんて、そんなのありかお!?
言っている間にも、襲い掛かってくる光の鞭。
今度はそれをバックステップでかわしながら、ブーンは少しずつ後退していく。
(;^ω^) ……お?
バックステップを続けるブーンと相手との間に結構な距離が開いたとき、雨のように降り注いでいたTASIROの攻撃が、不意に止んだ。
ζ(゚ー゚*ζ ブーンさん、どうやら敵の武器は「間合いが無い」訳ではなさそうですよ?
(;^ω^) お、デレ、どういうことだお?
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:58:31.24 ID:T4HhJThh0
じりじりと詰め寄ってくるTASIROと、そのままの距離を保ち、後退しながらブーンは攻撃の来ないこのときを狙ってデレと会話する。
ζ(゚ー゚*ζ 敵の武器だって、“私たち”で構成されています。そして、敵が持っている“私たち”の量にも限度があります。
( ^ω^) お、つまりあの鞭の長さは敵のもってるセキラの量に比例するってことかお!
ζ(゚ー゚*ζ そういうことですね、ちなみに攻撃して来ないところをみると、今のこの距離が相手の伸ばせる鞭の長さの限界ってとこでしょう
つまり、この距離を保てば相手の鞭は自分たちに届かないということだ。
でも、それが分かっただけではこの敵を倒せるというところまでは繋がらない。
どちらにせよ、自分が攻撃するために相手の間合いに入ってしまえば、またあの、防御不能の鞭が飛んでくる。
( ^ω^)(あいつを倒すにはあの鞭をなんとかしないと……)
しかし、それはおそらく不可能だろう。
なにせあの武器は自分の武器と同化してしまう。
防御するにせよ、攻撃するにせよ、あの鞭にこちらの武器がふれればまた投げ飛ばされるハメになるだろう。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 20:59:53.55 ID:T4HhJThh0
( ^ω^) お……
まてよ、とブーンは思った。
今回の敵はセキラを武器に変換しているタイプだ。おそらく、今もあのTASIROの体はセキラの膜で覆われていない無防備な状態だろう。
ということは、自分を攻撃しているとき、相手は全く防御の出来ない無防備な体勢に陥るということだ。
特に、あの大降りな『投げ』を行っている最中など隙だらけだろう。
( ^ω^)(僕が投げ飛ばされている最中に、なんとか相手に攻撃できれば……)
そう思ったブーンの頭に、一つの案が浮かぶ。
ちょっとした賭けだが、しょうがない、やってみるか……!!
( ^ω^) 行くお!!
剣を構えたブーンは、そのままTASIROの間合いの中へと突進した。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:00:18.27 ID:T4HhJThh0
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ!!
ブーンが間合いに入ってくるのを見計らって、TASIROの赤い光の鞭がブーンめがけて飛んでくる。
( ^ω^) ッ!!
ブーンは、迷わずその鞭を剣で防御。
鞭がくるくると剣に巻きつき、同化する。
〔○〕 ッ!!!
大きく振るわれるTASIROの右腕、それと同時に、ブーンの剣と同化した鞭がブーンの体を上空へ打ち上げる。
( ^ω^) デレ、行くお!!
打ち上げられた体が、調度TASIROの真上に達したとき、ブーンは叫んだ。
ζ(゚ー゚*ζ―Get Set……―
(#^ω^) アサルトッ!!
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:01:35.88 ID:T4HhJThh0
ζ(゚ー゚*ζ―Assault:「クリムゾン・ドライブ」―
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:02:27.17 ID:T4HhJThh0
(#^ω^) おおおおおおお!!!
まず、活性化させたセキラを足へ移動させる。
〔○〕 !?
その力で天井に足を「吸着」させたブーンは、そのまま天井を蹴り、真上からTASIROの顔面めがけて落下した。
(#^ω^) これで、止めだお!!
落下して活性化したセキラを全て刃に集中させる。
せまってくる、TASIROの顔面。
(#^ω^)(勝ったお!!)
ブーンが勝利を確信した。
そのときだった
ξ;゚听)ξ ぶ、ブーン!?
(;^ω^) !!
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:03:08.56 ID:T4HhJThh0
ずどん、という音と友に砂煙があがった。
(;^ω^)(なんで……ここにツンが!?)
おそらくは、戻ってこない自分を心配して探しにきてくれたのだろう。
しかし、それに一瞬気を取られてしまったことが、ブーンにとって命取りとなった。
(;^ω^) ッ!!
砂煙のなか、ゆっくりと立ち上がる人型の影。
そいつには先程まで光の鞭を振るっていた右手が無かったが、しかし、そいつはまだ動いていた。
〔○〕―Form Change:―
TASIROの目に表示される英文。
「まずい」とブーンが思ったときにはもう遅かった。
ξ;゚听)ξ ブーンッ!!!!!
(; ω ) く……ぁ……
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:04:14.81 ID:T4HhJThh0
- 宙に浮いている体、首に掛けられる圧力。
思えば、この状況になるのはこれで二度目だ。
(; ω ) ―――ッ!!
自分の首を握って持ち上げているTASIROの左手を斬ろうと、必死に剣を振る。
しかし、アサルトの使用により沈静化した今の剣では、形態転換したTASIROの体を覆うセキラの膜を斬り裂くことはできなかった。
ξ;凵G)ξ いやああああああああ!!!!!
叫んでいるツンの顔に目をやると、その目からは涙が流れていた。
あぁ、ついに泣かしてしまった。
これではまたデレに怒られてしまうな……
〔○〕 ソレヲ、ワタシテクダサイ
ボーっとする頭と視界の中で、ぼんやりとTASIROの声が聞こえる。
悔しいな……悔しくて、そして惨めだ。
次は負けないと、そう心に誓ったはずなのに。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:05:07.79 ID:T4HhJThh0
(; ω )(また、僕は負けるのかお……)
何度斬りつけても斬れないTASIROの左腕に、ブーンが諦めかけた。
そのときだ―――
「……アサルト!!」
―――聞き覚えのある声があたりに響いた。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:06:11.05 ID:T4HhJThh0
( ΦωΦ)―Assault:「クリムゾン・ソニック」―
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:07:06.63 ID:T4HhJThh0
(; ω )(これは……僕の声?)
自分の声をどこか無機質にしたような声と友に、赤い何かが自分の元へ飛んでくる。
〔○〕 !!
そして、それはブーンを掴んでいたTASIROの顔面に命中し、真っ二つに斬り裂いた。
(; ω ) けほッ……げほッ!!
ふいにTASIROの腕から力が抜け、開放されたブーンは床に落ち、咳き込む。
「やぁ」
斜め上からかけられる、聞き覚えのある声。
(;^ω^) お……
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:07:53.25 ID:T4HhJThh0
( ・∀・) 危なかったね、ブーン
そこには、赤い光の刃の伸びる携帯電話を持った、親友であり幼馴染でもあるよく見知った彼の姿があった。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:08:33.47 ID:T4HhJThh0
( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
第五話「逢引」
おわり
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/31(土) 21:09:10.75 ID:T4HhJThh0
- ―次回予告―
ξ゚听)ξ それにしても、未だに信じられないのよねえ……
('A`) ……興味沸いた?
(;^ω^) なんだおこれ……『果たし状』?
( ・∀―) 敵をだますにはまず味方から……ってね
第六話:「協力」
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