从 ゚∀从それらは椅子が欲しいようです(   )

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:22:06.76 ID:L728j9+X0

              S

         鉄屑が蔓延る世界に

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:24:30.18 ID:L728j9+X0
('A`)の場合


鬱田 ドクオはえふんえふんっと、わざとらしい咳払いをした


('A`)「なあなあ、いい事考えたんだ」

( ^ω^)「何だお? どうせドクオだから、碌でもない事だろうお」

('A`)「んだよひでーな、聞いてから尊敬したりすんなよ」

( ^ω^)「例え天地が引っ繰り返ってもしないお」

('A`)「俺らもう高校生だから、母親と一緒に女風呂とか入れないじゃん?」

( ^ω^)「そんなの常識だお」

('A`)「いいから黙って聞いとけよ」


仕草、にたにたという擬音が合いそうな笑顔、飛び散る唾、鬱陶しい


('A`)「カーチャンと一緒に女風呂入った時にさ、

 J( 'ー`)し『この子は知能障害で1人で入れないんです。精神年齢は5歳です』(裏声)

   とか言ってもらって、俺はあうあうあーつって涎垂らしながら池沼のフリをしていれば」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:27:33.46 ID:L728j9+X0

('∀`)「浴場にいる女の裸、 見 放 題 !!」

( ^ω^)「……」

('∀`)「な、いい作戦だろ?」

( ^ω^)「……」

('∀`)「な? な?」

( ^ω^)「……」



('∀`)


( ^ω^)





( ^ω^)、 ペッ


('A`)

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:30:40.36 ID:L728j9+X0
( ^ω^)の場合


内藤 ホライゾンは、夕日に向かって歩きながら、深い溜め息を吐く


( ^ω^)「あーあ、やっぱ碌でもない奴だお」

( ^ω^)「携帯で録音しとくべきだったおねぇ、あの言葉」

( ^ω^)「学校とかで流したら、社会的に死ぬってレベルで止まらないお」

( ^ω^)「それに、ドクオは全然解ってないお」

( ^ω^)「風呂場なんて、その辺に四つん這いになって」


( ^ω^)+ 『僕は椅子です』 キリッ


( ^ω^)「とか言えば、物好きなお姉さんが腰を降ろしてくれるってのに」

( ^ω^)「いや、あのお姉さんだけなのかお?」

( ^ω^)「まあいいお」

( ^ω^)「今度あの手の話をする時は、絶対録音してやるお」


( *^ω^)「それをネタにあいつの姉を……フヒヒっひひ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:33:59.58 ID:L728j9+X0
(´・ω・`)の場合

諸本 ショボンは椅子に座って、深い深い溜め息を吐いた

自分の会社に、年の離れた従姉妹がわざわざ徒歩でやってきたからだ

それだけの理由なのだが、時期が時期、タイミングが悪かった

取りあえず、体が沈みそうな接待用椅子に座らせて、適当なお茶を出す


(´・ω・`)「え? 椅子?」

川 ゚∀リ「うん、そう、椅子」


人死にか、詐欺か、癌の宣告か、それともこの会社についてか

何事かと思い部屋に招き入れたが、話題はなんて事のないものだ



川 ゚∀リ「その、シャチョーの椅子とやらに座るためには何をしたのか教えてくれよ」

(´・ω・`)「これ?」


今、自分が座っている椅子の肘かけをこんこんと叩く

ハインリッヒは、それに頭を上下に振ってうんうんと頷いた

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:37:01.99 ID:L728j9+X0

首がまだ安定していない赤子のように、頭はがくがくと揺れる

弟か母が整えたであろう髪の毛がぼさぼさになり、まるで山婆(ヤマンバ)のようだ

ハインリッヒは乱れた髪を気にする事もなく、続けられた話に応える


(´・ω・`)「どうしてまた急にそんな事を?」

从 ゚∀从「座りたい椅子があるんだ」


そのハインリッヒの答えに、ショボンは顎に手をあてて上を向く


(´・ω・`)「ふぅん……それは、それは」

从 ゚∀从「だから、座りたい椅子に座る為に何をしたのか聞きに来たんだ」


煌びやかで、それでいて主張し過ぎない綺麗な電灯が点滅している

そろそろ変え時かな、と思いつつ

口では、血は争えないな、と呟いた

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:38:28.89 ID:L728j9+X0

(´・ω・`)「何をしたかと聞かれたら、この椅子に座る為に頑張ったとしか言えないけど」

从 ゚∀从「その頑張り方を聞かせてくれ」

(´・ω・`)「えーと、まずは会社の売上に貢献して、社長の機嫌を取って、趣味を調べて」

从 ゚∀从「ごめんわからない」

(´・ω・`)「まだ1分も話してないよ」

从 ゚∀从「そんな事じゃないんだ、俺が知りたいのは、俺が知りたいのは、えーっと」


ぴんぽーん


(´・ω・`)「あ、ちょっと待っててね」

从 ゚∀从「へーい」


ショボンは、どっこらしょと椅子から立ち上がった

沈むような椅子に座っていたので、立ち上がるのがいつもより面倒だ

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:41:29.25 ID:L728j9+X0

(´・ω・`)「はあ」


全く、人が来ている時は、極力呼び出ししないように言っているのに

何度言ったらわかるんだろう、一体何度言い聞かせたら

これが他の会社から来た重役だったら、比喩じゃなく首を


(´・ω・`)「おっと、いけないね」


物騒な事を考えようとする己の思考回路を諌める

姪のような従姉妹に、ここを動くな、のジェスチャを送る

がっくんがっくんと元気にヘドバンして応えてくれた

当たり前のように髪が乱れる

後で、秘書に髪でも梳かせようか


从 ゚∀从ノ「いってらー」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:44:30.09 ID:L728j9+X0
川 ゚ 々゚)の場合


見知った者からくるうと呼ばれるその女は、扉の前に立ち尽くしていた

マネキンのように微動だにせず、ぼーっとノブを見つめている

彼女としては、マニュアル通りの行動をこなしているだけなのだが

いつもそれは裏目に出る、今のように


川 ゚ 々゚)「しゃちょお、また鼠さんです」

(´・ω・`)「何、また?」

川 ゚ 々゚)「あい、また」

(´・ω・`)「そうか、警備御苦労、ゆっくり休むといい」


珍しく眉間に皺を寄せた社長の顔に、薄暗い影ができる

社長はぽんと軽く肩を叩き、無言で奥へ進んで行く

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/09/08(水) 21:48:01.66 ID:L728j9+X0

他所の会社から来た重役、国のお偉いさん、裏のお偉いさん

これらが来た時のマニュアルはあるのだが、社長の従姉妹など

そんな限定的な場面の対応を書いたマニュアルなどない

だから彼女を「いないもの」として扱った


川 ゚ 々゚)「どうしてでしょう」


マニュアル通りにやれと言われたから、やっているだけの事

何で社長の機嫌を損ねたのか、くるうにはわからない


会社は、不測の事態にも臨機応変に対応できる人物

どんな時もただいつも通りの作業を機械的にこなせる人物

そういった人物を欲しているが、そんな都合良くはいかない

高望みすれば、どちらも一人の人間にしてほしいのが本音だ


くるうは後者の人物

しかし、ただ単に、運が悪いだけなのだ

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:49:54.80 ID:L728j9+X0
从 ゚∀从の場合


从 ゚∀从「って事で椅子貰い損ねた」

( ´_ゝ`)「貰おうとしてたんだっけ?」

从 ゚∀从「あわよくば」

( ´_ゝ`)「そうか」


ディスプレイに流れる文字を追い続け、兄者はハインに視線を合わせない

それに苛立ったのか、嫉妬したのか、わざわざ箪笥(タンス)の上に登り、ベッドにダイブした

先にベッドの上で横になってエ口漫画を読んでいた兄者の弟が、少し浮き上がる


从 ゚∀从「兄者、ここに座ってM字開脚しろ」

(´<_`; )「はあ!?」

( ´_ゝ`)「いやだ」

从 ゚∀从「なんでだ、別に座るわけじゃないぞ、背もたれにするだけだ」

( ´_ゝ`)「つまり座椅子の背の部分じゃないか、どっちにしろ断る」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:53:03.80 ID:L728j9+X0

ふんと鼻を鳴らして、兄者の弟に向き直り、肩を掴む

後ろでごたごたが行われているが、兄者は見向きもしない

豚のような悲鳴が切れた後、ハインが兄者の肩を叩いた


从 ゚∀从「やっぱりお前じゃなきゃ駄目だ……」

( ´_ゝ`)「一度もやった事ないのに、何で俺に拘るんだ?」


会話だけを聞けば、なんだかとても卑猥に聞こえる、と兄者の弟は思った


从 ゚∀从「お前が気に入ってるから、なんとなく」

( ´_ゝ`)「嫌に決まってる、そこのそいつとやったらどうだ」

(´<_` )「おい」


ハインをそんな尻軽ビッチのように、なんてフォローを入れようとするが


从 ゚∀从「意外と骨ばってて嫌だ」


淡白なハインの感想が、フォローより先に提出される

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:56:05.95 ID:L728j9+X0

( ´_ゝ`)「もうやったのか」

(´<_`; )「……さっき」


骨ばってる、の言葉に、下手な感情が込められていない所為で胸を抉る

卑猥だとか、生々しいとか、二次元に出てくる台詞だとか考える余裕はない


从 ゚∀从「だからなー兄者、いいだろ?」

( ´_ゝ`)「よくない、大体俺とあれは双子なんだから、同じだろ」

从 ゚∀从「いや違う、ぜってー違う」

( ´_ゝ`)「それは何処から来るんだ、食わず嫌いならぬ食わず好みか?」


哀れな弟は色々な事を諦めて、読みかけの漫画を片手に部屋から出ようとする


( ´_ゝ`)「じゃあお前の弟とやれ」

从 ゚∀从「あいつは汗臭いから嫌だ、お前がいい」

( ´_ゝ`)「だからさ、なんで俺なんだ?」

从 ゚∀从「図書館で抱きついた時、低反発枕みたいな感触がよかったから」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 21:59:34.73 ID:L728j9+X0

ハインの言葉にドアの蝶番がぎしりと軋んで、部屋の空気が凍る

いや、もとから場の空気などなかったのだが、一人を取り巻く空気が変わった


(´<_` )「おい兄者」


怨嗟のような声、しかし母者の怒号には到底及ばない、兄者にはそよ風

低反発枕と言われた当の本人は、己の腹を揉んで確かめている


(´<_` )「図書館で一体何があったのか、夏休みの読書感想文並の量で答えろ」

( ´_ゝ`)「感想も何も、一つの椅子の上に二人で座っただけだ」

(´<_`# )「そこを詳しくだ!」

( ´_ゝ`)「詳しくも何も、一つの椅子の上に二人で座っただけだ」

(´<_`# )「だ! か! ら!」

( ´_ゝ`)「何?」


伝わらない怒りに両肩を限界まで上げ、ぶるぶると震わせる

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:04:03.16 ID:L728j9+X0

それから、不毛な会話を無限ループするが如く繰り返し

ハインが二人のやり取りに飽きてハナクソをほじり始めた頃に収束に向かう


从 ゚Д从∂゙ フガフガ

(´<_`; )「なっ……!?」


兄者の弟は、人目も気にせず人差し指で鼻をほじるハインに幻想を打ち砕かれたのか

その光景を見たまま暫く振動し、何かが燃え尽きたのか、肩を落とすと同時に溜め息を吐く


(´<_` )「いや、なんかもう……いいや」

( ´_ゝ`)「俺は最初からどうでもいいや」

(´<_` )「抜いてもないのに賢者モード突入したわ」

( ´_ゝ`)「フーン」

(´<_` )「ああもうその反応すら、何もかもがどうでもいい……」


夢遊病患者のような足取りで部屋を出た弟、向かいの部屋のドアの開閉音

どうやら自分の部屋へ帰ったらしい、最初からそうしていればよかったのだ

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:07:57.09 ID:L728j9+X0

しかし、見るとベッドの上に読んでいたエロ漫画がない

どうやら、それだけはきっちりと持って行ったようだ、抜け目のない奴


从 ゚∀从「座り心地の悪い椅子すらなくなった」

( ´_ゝ`)「ベッドに腰掛けている奴が何を言う」


ハインは指についた鼻クソを弾き飛ばしながら言う

丸いハナ糞は放物線を描き、ゴミ箱脇の床の上に着地した


从 ゚∀从「外しちった」


兄者はハイン自体を汚物を見るような目で見た

そんな視線に気付いていないのかいるのか、鼻糞を回収しようとはしない

いずれ乾燥して粉となり塵となり、部屋の埃になると思っているのだろうか

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:11:04.32 ID:L728j9+X0

よく美少女の排泄物なら食えると豪語する輩がいるが

兄者にはその性癖を理解できない

排泄物は排泄物、出る場所は奇形でない限り人類皆一つ


从 ゚∀从「ベッドはベッドだけど、道具はどう使おうが使用者の自由だ」

( ´_ゝ`)「残念ながら、俺は椅子ではないんでね」


あの床の近辺では注意を怠るまい

兄者は密かに固く誓う

掃除するという考えはないようだ


从 ゚ 3从「むぅ」

( ´_ゝ`)「醜悪な面だ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:15:21.06 ID:L728j9+X0

酷い物言いに血管が切れた様子もなく、背を向け続ける兄者を振り向かせる

兄者が手を振り払って戻ろうとするが、兄者が座っているのは回転する椅子だ

諦めるという概念を知らないハインが何度も椅子を回し、兄者を振り向かせる

何回もぐるぐると回り、三半規管が正常に機能しなくなった頃に兄者は諦めた


从 ゚∀从「じゃあさ、触らせてくれるだけでいいからさあ」

( ´_ゝ`)「何処を? 又はナニを?」


ナニなど触らせたら、そのまま握り潰してしまいそうな女だが


从 ゚∀从「膝の下から足首の部分、脛でいいのかな」

( ´_ゝ`)「ここ?」


よく分からなかったので、そうと思われる自分の部分を手で撫でる


从 ゚∀从「そうそこ」

( ´_ゝ`)「脛でいいんだよ」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:16:52.99 ID:L728j9+X0

从 ゚∀从「おーそうか、触らせろ」

( ´_ゝ`)「まあ、触るだけなら」


承諾した途端に、死んだ魚の目をそのままにきらきらと輝かせるハインリッヒ

輝くと言うよりは、欲望に眼を爛々と光らせていると言ったほうがいいかもしれない

そんなハインの目付きに気付いていないのか、気付いた上でやっているのか

触り易いように、座ったまま片足を椅子の上に立たせる兄者

うっひっひっひっと下品な笑い声が、斜め上から彼に降り掛かってくる


从 ゚∀从「いいねぇ、いいねぇ、脱いでくれるともっと嬉しい」

( ´_ゝ`)「捲るからそれで我慢しろ」

从 ゚∀从「それで十分さ!」

( ´_ゝ`)「俺が触らせたら、俺も触り返していい?」


流石 兄者の言葉に、その動きを止めるハインリッヒ 高岡

ロボットダンスのような動きで、脛から兄者の顔へ視線を上げる

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:19:55.67 ID:L728j9+X0

从 ゚∀从「同じ部分、同じ箇所だけならいいよん」

( ´_ゝ`)「そうか」

从 ゚∀从「触る時は素手でな、紙やすりとかはナシだぞ」


斜め下から彼女に向かって、舌打ちが打ち上がる

それに動じる事なく、ハインリッヒは兄者の脛に飛びついた

さわさわと揉むように触れるが、満足には至らない様子

女子ではないし、太ってもいないのだから硬いのは当然だ


从 ゚∀从「んーなんだかな、いまいちだな、太股触ってもいい?」

( ´_ゝ`)「そこまで行くと身の危険を感じる」

从 ゚∀从「そうかあ……なら、仕方ないなあ……」


不自然な自然さで、ふんふんと鼻歌を歌いながら兄者の足の間へ

椅子の上に立てた片足の膝を鷲掴みにすると、一気に外側へ力を込めた

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:23:09.97 ID:L728j9+X0

从 ゚∀从「ちっ」

( ´_ゝ`)「女に負けるか」


力の掛け方からして、どうやら股を開かせようとしたらしい

そこまでする執念は本能から来るのか理性から来るのか


从 ゚∀从「少しくらいは別にいいんじゃないか?」

( ´_ゝ`)「座らせた瞬間、何かが終わる気がする」

从 ゚∀从「なら、お前の弟はもう終わってるよなー?」


遠回しに、ハインなりのお前も終われよを言ってみる


( ´_ゝ`)「ああ、終わってるよ」

从 ゚∀从「弟が終わってるのに、お前は終わらないの?」

( ´_ゝ`)「聞き返すけど、お前はどうなの?死ぬの?」

从 ゚∀从「……ちぇっ」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:27:04.72 ID:L728j9+X0

こんな短時間に、似ているようで違う舌打ちをしたのは人生初である


从 ゚∀从「ふん、今に見てろよ」


思い当たる節があったので、今は素直に引く

そう、今は無理だと悟ったハインリッヒは、先程より勢いを抑えてベッドにダイブした

枕元に乗っていた本がバウンドして、脇に置いてあるゴミ箱の中に落ちる


( ´_ゝ`)「落ちたぞ」


ゴミ箱の中はティッシュで埋まっており、独特のスメルがする


从 ゚∀从「汚いからやだ」


手を突っ込んで本を元に戻すのは抵抗がある為、そうしなかった

兄者は、ならお前のはなくそはどうなんだと言い返したかったが

何かの平行線を辿りそうで疲れる気がしたのでやめた

代わりに、拗ねた彼女へいくつかの案を出す

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:31:23.90 ID:L728j9+X0

( ´_ゝ`)「別に、俺達やお前の弟以外にもいるんじゃないか? 毒男とか」

从 ゚∀从「毒男は駄目だ、毒男は。あいつ色々なトコ触ってきやがる」


色々、色々とは何だろう

想像のハインを脳内に置き、妄想してみるが普段通りだ

寧ろ、自分が彼女に色々と触られている気がする


( ´_ゝ`)「色々ねぇ……」


ハインリッヒを異性として捉えていない兄者にはよく分からない

寧ろ、こんな粗雑で性を性と認識しない奴を女として扱う事に無理がある

弟はボーイッシュがどうたら、Sっ気漂う女王様感がうんたらと

唾を飛ばしながら熱弁していたが、やはり解らない感覚であった


( ´_ゝ`)「マッサージチェアだとでも思ったらどうだ?」

从 ゚∀从「ほぐされねーよ」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:34:33.18 ID:L728j9+X0

今度、毒男の手足を縛って椅子として差し出そうかと画策する

ハインは今、感触が悪いとは言わなかった、言ったのは手癖だけだ

つまりは、四肢を封じ込めれば毒男はハインお気に入りの椅子になるのでは

縛るのは解けたら面倒だから、達磨にでもしてしまおうか

いや、それなら、しかし


( ´_ゝ`)「……やっぱ無理だな」


諦めて兄者がパソコンに向き直ろうとした時、部屋にノック音が響く

兄者の弟はノックをしない、それについさっき出て行ったばかりだ

父はハインがいる時には家にいない、母は、ハインと二人きりの時

何かが起こるのを期待しているのか、絶対に二階に上がろうとしない

姉は先月嫁に行ったばかりだ、もしかしたら帰って来てるかもしれない

けど、姉は兄弟の部屋には入ろうとしない、入る時はドアを蹴り開ける

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:38:30.83 ID:L728j9+X0

つまり、このノックの主は


从・∀・ノ!リ人「おっきい兄者、漫画本返しに来たのじゃ」


てこてこという擬音が似合いそうな、中学生に上がりたての小学生

じゃあギリギリだな、なんてワケもなく、ギンギンの犯罪ゾーンだ

注視しなければわからないような成長途中の胸の膨らみは

来る人にはジョジョの効果音のように来てしまうのだろう


( ´_ゝ`)「読み終わったのか、新しいのいるか?」

从・∀・ノ!リ人「次はドラゴンヘッドを……」


ベッドから起き上がったハインリッヒと、兄者の妹の視線が合う

短めのスカートを履いていたので、ハインの位置からは丸見えなのでは

何が丸見えだとか、わざわざ言う必要はない

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:43:15.55 ID:L728j9+X0

从・∀・;ノ!リ人「お、おっきい兄者の彼女さんなのじゃ!?」

( ´_ゝ`)「違う違う」


どうでもよさそうに言いながら、貸す本を紙袋に投げ入れていく兄者

その眉間には、そっと皺が寄せられている

本の表紙にはドラゴンヘッドと題されており、気持ちの悪い男が描かれている


从 ゚∀从「ないわー、こいつが彼氏とかマジないわー」


再度ベッドに寝転がり、子供のような駄々をこねるハインリッヒ

細いが、折れそうな弱々しさを感じさせない四肢を振り回している

視線だけはしっかりとスカートの裾に行っているが、兄者の妹は気付かない

同性同士だとこんなものだろう

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:44:37.48 ID:L728j9+X0

从・∀・ノ!リ人「勘違いしてごめんなさいなのじゃ」

从 ゚∀从「おうよおうよ、小さい事は気にしねーさ」


フリとはいえ、駄々をこねていた者の言葉とは思えない

兄者の妹もそれを気にしないのか、気にしているからこそなのか

ずっしりと重い紙袋を両手で受け取って、さっさと出て行こうとする


从 ゚∀从「おっと、ちょっと待っておくれお嬢ちゃん」


何かこの人の気に触る事でもしてしまったのか、という感情を込めて

己の兄のほうに視線をやる、兄は首を横に振って答えた


从・∀・;ノ!リ人「何か用なのじゃ?」

从 ゚∀从「用って程でもないんだけど、頼み事って言うかあ」


紙袋を小さな手からもぎ取って、ドアの傍へ置く


从 ゚∀从「ちょっと、座らせてくんない?」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:47:39.33 ID:L728j9+X0

いきなりの発言に、部屋の空気ごと一緒に固まる

動いているのは、パソコンの内部と人体の内部だけだ


从・∀・ノ!リ人「ほえ?」


理解に時間がかかり、それでもその事実を受け止める事が出来ず

兄者の妹はハインリッヒから視線を外さず、外す事が出来ずに

ああこの人綺麗な顔立ちをしてる、と思考が脱線した頃にようやく動けた


从・∀・ノ!リ人「す、座るのじゃ?」

从 ゚∀从「座らせてー」

从・∀・ノ!リ人「えっと、妹者に座りたいのじゃ?」

从 ゚∀从「そう、妹者ちゃんって言うのか! 座らせてくれ!」

从・∀・;ノ!リ人「え、えぇー……なのじゃ」


両肩を力強く握られたまま、助けを求めて兄に視線を投げ掛ける

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:51:42.99 ID:L728j9+X0

( ´_ゝ`)「座るのは無理、そんなにちっちゃいんだから」

从 ゚∀从「図書館のあの椅子も同じくらいだったじゃん」

( ´_ゝ`)「年齢的な問題だっつの、中学生に無理させんなよ」

从 ゚∀从「えー、でも、それじゃあどうすりゃいいんだよ」

( ´_ゝ`)「背を預けるだけにしたらいいだろ」


兄者の妹は、果たして自分が助かったのかどうかわからなかった


从 ゚∀从「じゃあこっちおいで妹者ちゃーん」


言葉面だけ聞けば、肥えた中年の誘拐犯が扱いそうな口調だ

弾除けレディーファーストよろしく手を取り、ベッドの前まで誘導する


从・∀・;ノ!リ人「うー」


これから恥ずかしい事をされそうな予感がして、足を止めるが

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:54:46.36 ID:L728j9+X0

从 ゚∀从「そーれっ」

从・∀・;ノ!リ人「に゙ゃっ!?」


膝の裏を持たれ、お姫様抱っこのような体勢でベッドの上に投げられる

枕元にあったティッシュ箱が兄者の妹の手に弾かれ、ゴミ箱に入った

椅子の科学という名前の本が、ゴミの中でティッシュ箱とお見合っている


从 ゚∀从「にゃっ! だってさ、かーわうぃー」

( ´_ゝ`)「濁点が入ってるように聞こえたけど?」


自身でもわからなかったが、兄に自分とこのお姉さんの行為を見てほしくないと

混乱した頭の中で、心の底から、一生のお願いにも等しいくらいの思いで願った


从 ゚∀从「痛くはしませんよー」


そんな悲痛な思いをハインは無視し、兄者は受け取り、それぞれの作業に移る

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 22:58:10.30 ID:L728j9+X0

まだ柔らかいだけの体を優しく仰向けに寝かせ、膝を少し立たせる

そして椅子の立てた膝を背もたれにして腹に座れば、立派な座椅子だ


从 ゚∀从「お腹に力入れてー」

从・∀・;ノ!リ人「うーっ」


短めのスカートなので、ハインの位置からはパンツが丸見えになってしまう

兄者の位置は体の真横なので見えないが、下にまわられたら見られる

スカートを股の間にぎっちり詰めて、両脚で元に戻らないように挟み込む


从 ゚∀从「力は入れたかな?」


本人は気付いていないだろうが、ゆったりしたスカートが体にぴっちりとくっつき

短いスカートが更に短くなり、真横からもピンクのパンツがちょっぴり見えている

柄はいちごとさくらんぼ、まだ子供だ、だがそれがいい

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:01:51.41 ID:L728j9+X0

( ´_ゝ`)「なあ、パンツ見えてるぞ」

从・∀・;ノ!リ人「ふぇ!?」

从 ゚∀从「え、俺?」

( ´_ゝ`)「お前じゃねえよ、お前のが見えてても注意しねえよ」


話をしている間に、パンツが見えるであろう場所にスカートを引っ張る

股の間に布を詰めるのはやめて、手で直接押さえる事にした


( ´_ゝ`)「あとさ、腹はやめろよ、腹は」

从 ゚∀从「座れなきゃ座椅子にならねえじゃん」

( ´_ゝ`)「だから座るのは無理っつったろ、背を預けるだけにしろよ」

从 ゚∀从「どうやって?」

( ´_ゝ`)「こうやって……」


助かったと思ったのも束の間、兄者がハインを腰抱きにし

なだらかな傾斜になっている脛へ、その背を押し付けた

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:05:10.15 ID:L728j9+X0

从 ゚∀从「なーる、こういうのもアリか」

( ´_ゝ`)「…………」

从 ゚∀从「どうした兄者、何を黙って」


ハインの言葉が途切れ、脛に今までの比ではない重圧がかかってくる

兄者がハインの肩を後ろに押して、ハインの細い足に乗って来たのだ


( ´_ゝ`)「触らせてやったんだから、触り返してもいいよな?」

从 ゚∀从「だからって何で乗って来るんだ、お前ぇよお、重ぇよお」

( ´_ゝ`)「いやー、お前だと股間蹴り上げられそうだから」


ジーパンが擦れる音がする、撫でるとか触れるというレベルではない

荒々しくハインの脛を片手で擦っているようだ、荒々しく


( ´_ゝ`)「いまいち……脱いでくれない?」

从 ゚∀从「寝言は寝て言えボケ」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:08:39.39 ID:L728j9+X0

( ´_ゝ`)「捲るのは?」

从 ゚∀从「ジーパンでどうしろと」

( ´_ゝ`)「俺は捲ったぞ」

从 ゚∀从「お前スウェットじゃねーか」


二人がやり取りをしている間にも、脛にかかる重圧は段々増してきている

踏ん張りがきかずに徐々に上のほうへ移動し、頭がベッドの端からずり落ちる

必死に頭をあげて見た光景は、もう一人の兄が持っていた成人向け漫画の

とある一シーンに物凄く似ていた、と言うよりも、漫画を実写したかのようだった

男が女に寝台の上で迫るシーンだったのだが、これはそれを如実に再現している


从;∀・ノ!リ人「ひ」


恥ずかしいのと気まずいのと情けないのがごちゃ混ぜになり、涙が頬を伝う

二人はまだそれに気付かない、気付けない、二人だけの世界、自分は椅子


とうとう声をあげて泣いてしまった

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:11:44.47 ID:L728j9+X0

从;∀;ノ!リ人「ひーん」


咄嗟に兄者が飛び退き、ハインが呻きながら横に転がって退く


( ´_ゝ`)「すまん、痛かったか」

从 ゚∀从「やーいやーい、母者にチクッてやろーっと」

( ´_ゝ`)「やめてくれ殺される」


何故涙が流れたのかは自分でもわからない、泣いてるのかもわからない

兄の部屋へ行くと、自分でもわからない行動ばかりを取ってしまう


从 ゚∀从「ごめんね妹者ちゃん」

从;∀;ノ!リ人「ひっく」


兄者からハンカチを受け取り、ハインがゴミ箱に入っていたティッシュを手渡す

そして、ドアの傍へ置かれている紙袋を両手で持ち、自分の部屋へ帰って行った

椅子が去った後には、気まずい沈黙が二人の周囲を包む

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:13:28.39 ID:L728j9+X0

从 ゚∀从「まさか泣くとは」

( ´_ゝ`)「ちっちゃいのは駄目だろ」


気まずいこの空気が、いつもの二人の空気なのだ


从 ゚∀从「背もたれにする分にはいいけど、やっぱり座椅子は」

( ´_ゝ`)「座椅子は?」

从 ゚∀从「男のほうがいいな、腹筋硬いだろ」

( ´_ゝ`)「全部の男がそうではないと言っておく」

从 ゚∀从「でもお前は妹者ちゃんよりは硬いだろ」

( ´_ゝ`)「そりゃそうだ」


べろんと兄者のTシャツの裾を捲り、腹を出させる

シャツの裾を持ったまま、片手でぺたぺたと腹を触る

手が脇腹に触れた瞬間、兄者がハインの手を叩き落とす

加減はしていなかったようで、手の甲がじんわり赤く染まった

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:16:38.10 ID:L728j9+X0

从 ゚∀从「あれぇ? お前ってもしかして」

( ´_ゝ`)「脇腹弱いさ、脇腹はやめろ、脇腹は」

从 ゚∀从「ふーん、ほーお、へーえ」


白い手を卑猥にわきわきを蠢かせながら、兄者に迫るハインリッヒ

両腕で脇腹を守りながら半歩下がるが、何かを思いついたのか

半歩引いた足を元に戻し、ハインと同じように手を蠢かせながら一歩踏み出す


( ´_ゝ`)「そういやお前も、脇腹弱かったよな」

从 ゚∀从「んげ」


そう言われ、今度はハインが一歩下がる

だがそのまま体全体は引かずに、一歩下がった足をバネに前へ飛び出した


从 ゚∀从「先手必勝!」

( ´_ゝ`)「うおっと」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:20:17.32 ID:L728j9+X0

だが、いくら上体を前に出したとはいえ、ハインの腕より兄者の腕のほうが長い

勿論、身長のほうも兄者のほうがある、つまりは兄者の先手が決まったのであった

脇腹を鷲掴みにされ、ぎゃひーと色気も糞もない悲鳴をあげるハイン

あまりの擽ったさに逃げるのを諦めたのか、掴まれたまま兄者の脇腹を掴む

脇腹を掴まれた事により脱力した兄者は、バランスを崩しベッドのほうへ倒れる

だが数cmの距離が足りず、ベッドの足に盛大に頭をぶつけて悶える事になった

ここぞをばかりにハインが擽るが、頭部の激痛のほうが勝った兄者には効かない

お返しとばかりにハインの脇腹を擽り返し、力が抜けたハインは兄者の上に倒れた

片方は元々の笑い顔を変えず、片方は無表情を貫いたまま笑い転げる

笑い過ぎて目に涙が溜まってくるが、二人とも止める気配はない

その笑い声は、壁を貫通して同じ階に響き、階下の両親にも届いていた


从。゚∀从「ひーっ、ひーっ、ひーっひっひっきひききききひひひひ」

( 。´_ゝ`)「はひひ、ひ、お、前、とうとう狂ったか? っひひひ」


兄者の弟と妹は、それぞれの部屋で複雑な思いを渦巻かせていた

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:27:46.09 ID:L728j9+X0

そんな恋人なのか友人なのかわからない行いを従姉妹がしている間

諸本 ショボンは、一人の男の生殺与奪権を握っていた

武骨な鉄の椅子にベルトで縛りつけられ、額には刃物が押し付けられている


(;<●><●>)「こ、殺さないところを見ると何か用があるんですよね?」


目の大きな男の理解は早かった、早かったのだ

しかし、知りたい事は前に尋問した奴が全部吐いてくれていたので


(´・ω・`)「いや、別に」


大振りの軍用ダガーを振り被って、その眉間に突き立てた

男は加えられた力に逆らう事なく、首を後ろに投げ出した

そんな間抜けな格好のまま、椅子ごと横に倒れる

条件が同じものは、床に倒れているという事だけしかない

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:28:56.68 ID:L728j9+X0

その物音を聞いていた部下達は何かをするわけでもなく

生者と死者がそれぞれ一人ずつ入っている部屋の前を通り過ぎた

少なくとも、彼らの世界は殺伐と続いている


(・∀ ・)「……ショボンさんって、何者なんだろうな」

川 ゚ -゚)「わからん」

(・∀ ・)「そんなばっさりと」

川 ゚ -゚)「隠し事をする上司も信用できないが、何でも話してしまう上司も信用できない」

(・∀ ・)「ああ……まあ、確かに」

川 ゚ -゚)「そういった意味では、社長はどっちにも置けん」

(・∀ ・)「それでわからんってか、はあ」


二人の部下が乾いた靴音で一定のリズムを生み出し、廊下に響かせる

社長と言っても、小さな貸しビルを脅して占拠する、色んな意味で小さな会社だ

主な目的は、口に出して子供に自慢できない類の仕事を請け負っている

もし子供が聞いたら引くか、悪いものに憧れて自分が餌になるかのどちらかだ

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:32:32.23 ID:L728j9+X0

(・∀ ・)「そうだ、あの連続通り魔殺人事件の犯人、捕まったらしいぜ」

川 ゚ -゚)「ほう、それは厄介だな」

(・∀ ・)「犯人の年齢は六十歳なんだとさ、びっくりしたよ」

川;゚ -゚)「六じゅ……元気なジイさんだな」

(・∀ ・)「更にびっくりな事に、殺した奴は全部自分の子供だってよ」

川 ゚ -゚)「へえー………………へ?」

(・∀ ・)「被害者は全員加害者の子供」

川 ゚ -゚)「いやそれはわかった、わかったけど、へ?」

(・∀ ・)「その辺の女に自分の遺伝子バラ撒いたらしいよ、上手く」

川 ゚ -゚)「たまたまニュースを見た時は、三十の女と五歳の子供が殺されてたぞ?」

(・∀ ・)「そいつらも犯人の子供だよ」

川 ゚ -゚)「いやだからその、どうやって作ったんだ、三十と一桁の子供を」

(・∀ ・)「上手い具合にやったんだろー、下な意味じゃなく人間関係を」

川 ゚ -゚)「凄まじい男だな」

(・∀ ・)「うん、羨ましいくらいにね」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:33:47.53 ID:L728j9+X0

世間話をしながら休憩室まで来ると、女は自動販売機へ

男は窓側に置かれていたソファの上にスピンダイブをした

付けっ放しのTVでは、近頃増えた異常犯罪を控え目に報じている


(・∀ ・)「いやーマスコミも変わったね、前は無暗やたらと騒ぎ立てていたのに」

川 ゚ -゚)「例の爆弾魔がTV局に乗り込んだ辺りから、どこの局も大人しくなったな」

(・∀ ・)「自分の身が一番大事だもんねぇ、マスゴミさん達は」

川 ゚ -゚)「あいつらはもうこんな報道やめたいと思ってるんだろうなあ」


女はがま口から取り出した120円を投入し、コカ・コーラのボタンを押す

勢いよく落ちて来たアルミ缶の中は、炭酸でごった返してるだろう


(・∀ ・)「上から止めるなって圧力がかかってるんだっけ? ざまあ」

川 ゚ -゚)「ホントざまあ、ネットは通常営業だな、桜チャンネルとか」

(・∀ ・)「通常営業過ぎて微笑ましさすら感じるよ」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:37:27.88 ID:L728j9+X0

窓の外から夕日が差し込む

陽の下にいる限り、誰にも彼にも平等に


川 ゚ -゚)「どうだい、この後一緒に食事でも」

(・∀ ・)「その台詞を言うのは僕のほうじゃないのかな」

川 ゚ -゚)「YES か、はい かで応えろ」

(・∀ ・)「どう聞いても選択肢がないんですけど」

川 ゚ -゚)「奢るぞ、私が」

(・∀ ・)「そういうのは早めに言って!」


ソファから飛び起き、テーブルの上に着地する

上にあった灰皿が蹴られて飛んでいき、ゴミ箱にINした

ダストボックスに入れられても尚、灰皿はオレンジ色に輝いている


川 ゚ -゚)「吉野家な」

(・∀ ・)「けち!」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:40:41.00 ID:L728j9+X0
ζ(゚ー゚*ζの場合


あの日から、私達は図書館で何度か会っている、会う度に椅子にしてもらっていた

けど、不審がる人や、こっちをまるでゴミのような目で見る人が増えてきた

流石にこれは不味いという私からの提案により、今日は私の家に集まる事になる


ζ(゚ー゚*ζ「んっふっふ〜ん」


今日は両親はお出かけ、お姉ちゃんも彼氏とデート、犬小屋にはビーグル

彼女が彼氏を家に呼ぶお決まりのシチュエーションだけど、私の場合はそうじゃない

私と彼と彼女は、そんな不純で淫らな関係ではないのだ!


ζ(゚ー゚*ζ「早く来ないかなあー」


少なくとも、私の主観からでは不純ではない

不純異性交遊とも、不純同性交遊とも違う

ご主人様、お嬢様と遊んでもらうだけ!

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:43:42.06 ID:L728j9+X0

ぴんぽーん、と一般的なチャイム音が鳴る

私が玄関に辿り着く前に、無断で扉は開いた

二人が来ると知っていたので、鍵は開けておいたのです


从 ゚∀从「はぁーいデレちゃん、遊びに来たぜぇ」

ζ(゚ヮ゚*ζ「お待ちしておりましたぁあ!」


走っている勢いを殺さずに、膝をついてそのまま滑り、正座の体勢に

スライディング土下座をする要領で、二人を出迎える


从 ゚∀从「おーエネルギッシュ」

( ´_ゝ`)「スタイリッシュ」

ζ(゚ヮ゚*ζ「えへへー」


二人分のスリッパを用意して、私の部屋に案内する

わざわざ豚小屋に進んで入ってこられるなんて、なんて寛容な方々!

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:47:10.40 ID:L728j9+X0

ζ(゚ー゚*ζ「お風呂の準備はもう出来てます!」

从 ゚∀从「じゃあ俺入ろっかな」

ζ(゚ー゚*ζ「こっちですー」

( ´_ゝ`)「じゃあ俺は布団でも敷いてるかな」

ζ(゚ヮ゚;ζ「ご主人様の手を煩わせる事なんて出来ません!」

( ´_ゝ`)「え? や、いいよ、やる事ないし」


ぴぴぴっと甲高い音が鳴る

目覚し時計のアラームが鳴ってしまったのかと青くなりましたが

どうやらご主人様の携帯の着信音だったようです


( ´_ゝ`)「ちょっと電話、外出るわ」

从 ゚∀从「いてら」

ζ(゚ー゚*ζ「あう、五月蠅くなんてしませんのに」


ご主人様が出て行かれたので、お嬢様をお風呂場へと案内しました

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:48:20.62 ID:L728j9+X0

ぴっ


(´<_` )『刺された?』

( ´_ゝ`)「何故そうなる」

(´<_` )『二人の女の子に囲まれてと見れば、血みどろの展開しかないだろ』

( ´_ゝ`)「片方はあのハインで、片方は椅子だが」

(´<_` )『それはお前視点からだろ……唇噛み切る程羨ましいっつのクソ』

( ´_ゝ`)「羨ましい、ねえ、椅子が?」

(´<_` )『両手に花だぞ? 嬉しくないのかよ、喜べよ』

( ´_ゝ`)「何に?」

(´<_` )『一つ屋根の下に、女の子二人と三人きりだぞ』

( ´_ゝ`)「だから?」

(´<_` )『羨ましい死ね』

( ´_ゝ`)「お前が死ね、本を返せ、俺は二次元にしか欲情しない」


ぶつっ

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:50:31.76 ID:L728j9+X0

お嬢様は着替え等のものは全て持って来られていましたが

タオルや洗剤などは、始めから私目のものを使うつもりでおられたようです

私目のタオルを使っていただけるなんて!


ζ(゚ヮ゚*ζ「光栄極まります!」

从 ゚∀从「よくわかんないコだなあ」


私の事をそう言われて、お嬢様は服を脱ぎ初めました

正直、そっちのケは皆無だったのですが、お嬢様となれば話は別

女性らしく丸く、それでいて引き締まった肉体は鼻血が噴出しますです

溢れ出そうになる血を自分の服で抑えていると、ご主人様が戻って来られました


从 ゚∀从「そうだ! 三人で入ろうぜ!」


お嬢様は半脱ぎのまま脱衣所から駆け出し、ご主人様を連れて来ました

脱衣所に殿方と入るなんて、私は初めての経験です

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:52:05.26 ID:L728j9+X0

( ´_ゝ`)「ああ、やっぱり欲情しないなあ……」

从 ゚∀从「何言ってんだよ、早くみんなで入ろうぜ」

( ´_ゝ`)「は? マジで?」

从 ゚∀从「マジで」

( ´_ゝ`)「お前の独断だろ、えーと、君はいいの?」


ただの椅子すら気遣うこの優しさ! ご主人様は紳士です!


ζ(゚ヮ゚*ζ「もう喜んで!」


入ると決まったら、お二人より先に服を脱ぎます

私の醜い体を晒すなど、目の毒以外の何者でもないと思う方もいるでしょうが

お二人が衣服を脱いでおられるのに、椅子如きが服を着ているなど

それこそがお二人への侮辱であると思ったからです

事実、お二人は脱ぎ始めた私を見ても、何も言われませんでした

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:55:06.02 ID:L728j9+X0

お風呂場では、私の背中を流して下さったり、私の背に座って下さったりしました

石鹸や湯で滑るからと、途中で降りられた事が残念でなりません



それでも、私は二人の椅子になってよかったと心から思います

今夜は、お二人は私目の部屋へ泊って行かれます

ああ、明日はどんな事をされるのでしょうか

今から楽しみです

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/09/08(水) 23:58:30.19 ID:L728j9+X0


S〔エス、ズ、サディスト〕

               おしまい


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