- 1 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:18:53.12 ID:kBAQe1yN0
- 川 ゚ -゚)「答えあわせを始めようか」
少女は足を組み、優雅に告げる。
紅茶喫茶-ARAMAKI-の店内には、少女以外の四人の人間がいたが
( ФωФ)「…………」
ノパ听)「…………」
/ ,' 3「…………」
三人はまるで硬直したように動かない。
そして残った一人
( ><)「……貴女は、何者なんですか」
ビロードはまるで理解できない物を目の前にしたかのように言う。
席を挟んで向かい側。
答えず、にやりと笑うその顔を、何かにたとえるならば。
( ><)「――魔女め」
- 2 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:20:28.16 ID:kBAQe1yN0
( ><)は川 ゚ -゚)を追うようです。
- 4 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:21:08.82 ID:kBAQe1yN0
- 素直クール。
両親とは別居中、VIP市にある高級マンションの一室に一人で住んでいる。
現在は高校一年生だが不登校。
( ФωФ)「……これだけであるか?」
ロマネスクは届けられた資料を目にし、頭をかいた。
( ><)「申し訳ないんです!」
ビロードは申し訳なさそうに頭を下げる。
( ><)「この娘、情報が少なすぎるんです! 小学校の中学年あたりからに不登校じみてて殆ど会話をした人がいないんです!」
( ФωФ)「よっぽどの問題児であるな」
写真はないのかね? とロマネスクが問うと、ビロードは背広の裏ポケットから封筒を取り出した。
( ><)「中に入ってるんです!」
( ФωФ)「ご苦労」
封を切り、中身を手に取る。
- 5 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:22:11.96 ID:kBAQe1yN0
- ( ФωФ)「…………」
( ><)「あ、左端の丸の中に映ってるのがそうです」
三十名近い子供が雛壇に並び、行儀よく気をつけをしている姿勢の写真だった。
( ФωФ)「これ、高校一年生?」
( ><)「いえ、小学三年生の時の集合写真で欠席してた奴なんです!」
( ФωФ)「この写真にはめ込む元になった写真を持ってきてほしかったであるなぁ!」
( ><)「はっ!?」
( ФωФ)「しかも小学生の頃であるか……」
( ><)「仕方ないんです! これ以降の写真はどう探しても見つからないんです!」
( ФωФ)「将来を予測するしかないであるな」
写真の片隅に移っているのは、長い髪の毛の幼女だった。
無表情で何処を見つめているかわからない瞳、なんとなく生気が感じられない。
- 6 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:23:17.72 ID:kBAQe1yN0
( ><)「とりあえず直接本人のところにいくんです!」
( ФωФ)「待ちたまえ」
既に行動を起こそうとしていたビロードを、ロマネスクは制した。
( ФωФ)「行動は慎重に行わねばならない、そう」
この少女は。
( ФωФ)「殺人犯なのかもしれないのだからね」
…………。
- 7 名前: ◆wS/59jRQ4. 投稿日:2009/07/17(金) 00:24:15.11 ID:kBAQe1yN0
- ( ><)「あの子なんです!」
ビロードとロマネスクがみているのは、赤いランドセルを揺らしながらふらふらと歩く少女の姿だった。
時間帯は小学生の下校時間で、あたりにはそれ以外の子供達もまばらに見える。
( ФωФ)「よし、我輩が行こう」
ロマネスクが一歩踏み出し、その少女に声をかけた。
( ФωФ)「すまない、お嬢さん。ちょっと尋ねたい事が――」
ノパ听) 「何の用事だああああああ!」
( ФωФ)「うお!?」
振るわれた拳をあわてて回避したが、目の前の少女は関係なく追撃をかましてくる。
ノパ听) 「せい! や! は!」
( ФωФ)「ほい! ふい! そいや!」
さらに続く三連コンボをロマネスクは鮮やかなバックステップで避けて見せた。
ノパ听) 「お前……やるな」
( ФωФ)「いや、お主こそ……」
( ><)「小学生相手に何やってんですか!」
- 9 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:25:07.07 ID:kBAQe1yN0
- その様子を傍から眺めていたビロードは呆れた様に言う。
( ><)「遊ばれては困ります! ロマネスクさん!」
( ФωФ)「わかってる、すまなかった、許してほしいのである」
平謝りするおっさん(スーツ着用)を訝しげな目で眺め。
ノパ听) 「んで、お前等はなんなんだ?」
( ФωФ)「わからずに攻撃を仕掛けてきたのかねお主は……」
ノパ听) 「私に話しかけてくる奴はすべからく敵だあああ!」
( ><)「自分で敵作ってるだけじゃないですか!」
ノパ听) 「そうともいうな」
- 10 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:26:18.00 ID:kBAQe1yN0
- ( ><)「ちょ、ちょっと失礼するんです!」
ビロードは(一応上司である)ロマネスクの首根っこをつかんで、少女から少し離れた位置に引きずっていく。
( ><)(なんですかあの武道派小学生!)
(;ФωФ)(う、うむ、ちょっとあせっちゃった)
( ><)(あせっちゃた、じゃないんです!)
(;ФωФ)(ついもりあがっちゃって★)
( ><)(★ とかつけてるんじゃねえんです!)
ひそひそと会話を続ける二人に、少女は眉根を寄せ。
ノパ听) 「ま、いいや」
そのまま踵を返しすたすたと歩き出した。
( ><)「ちょ、まってほしいんです!」
ノパ听) 「なんだよおおおおおおおおおお!」
- 11 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:29:38.63 ID:kBAQe1yN0
- 即座に反転し飛び蹴りをかましてくる少女。
( ><)「はっ!」
しゃがみ回避。
( ФωФ)「ぐはぁ!」
クリティカルヒット。
( ><)「ロマネスクさん!」
( ФωФ)「お前今わかってて避けただろ……」
- 12 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:31:23.51 ID:kBAQe1yN0
- 顔面に靴のあとを残したまま倒れこんだロマネスクの肩を支え、ビロードは叫んだ。
( ><)「なんてことをするんですか!」
ノパ听) 「いや避けたのアンタじゃん」
( ><)「…………」
ノパ听) 「てかアンタら結局なんなんだよ」
頭をぽりぽりとかく少女に
( ><)「そんなの決まってます!」
ビロードは声を張り上げた。
( ><)「警察です!」
…………。
- 13 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:32:15.14 ID:kBAQe1yN0
- ノパ听) 「〜♪」
ファミリーレストランの四人がけ席で、高さ五十センチ以上の馬鹿でかいパフェを気分よく食べている少女と
( ФωФ)(オイなんで我輩この店で一番高いスペシャルジャンボパフェを奢らねばならんのだ?)
( ><)(情報を引き出すためなんです、我慢するんです!)
( ФωФ)(経費で落ちんかな)
( ><)(食べ物を条件に情報を引き出すのは本来やっちゃいけないことなので自腹なんです!)
( ФωФ)(お前も金出せよ)
その対面でひそひそと話す二人。
ノパ听) 「んで私に話って何だよ」
調子よくパフェをぱくつく少女。
低い背に長い髪の毛は写真の中の「彼女」と酷似していたが、しかしこんな勢いづいたパワフルユニットでは決してなかった。
( ФωФ)「君のお姉さんについて聞きたいのだよ、素直ヒートさん」
ぴたり、と生クリームを口に運ぶスプーンの動きが止まった。
- 14 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:33:26.42 ID:kBAQe1yN0
- ( ><)「どうか質問に答えていただきたいんでえええええええええええええ!」
瞬時、パフェの入った容器がビロードの顔めがけ飛んできた。
( ><)「ハァ!」
空中にある容器をつかみとり、中身がこぼれだす前にとっさに横にいたロマネスクの顔面へ叩きつける。
( ФωФ)「ぐほぁ!」
少女、素直ヒートはその隙に席を立ち、すばやい逃走を開始していた。
( ><)「追うんです! ロマネスクさん!」
( ФωФ)「おいこら……」
ビロードはまだ動けないロマネスクを見下ろした。
数秒考える仕草をしてから、その手に伝票を握らせ。
( ><)「後は任せてほしいんです!」
自らは素直ヒートを追いかけていった。
( ФωФ)「ぶっ殺す」
- 15 名前: ◆wS/59jRQ4.[sage] 投稿日:2009/07/17(金) 00:35:18.89 ID:kBAQe1yN0
- 大人と小学生では、歩幅に差がありすぎる。
( ><)「見つけたんです!」
走れば、不意を撃たれて逃げられたとはいえ、追いつけないものではない。
ノパ听) 「はぁぁぁぁぁ!」
( ><)「ふっ!」
子供の足では逃走しきれないと踏んだのか、突如身を翻し拳を放ってきた少女を、ビロードはあっさりと取り押さえた。
ノパ听) 「何っ!?」
( ><)「警察官は全員剣道と柔術を学んでいるんです! 子供を制するぐらい訳ないんです!」
じたばたと暴れる素直ヒートの背後にそのまま回り、手首をつかんで動きを封じる。
( ><)「質問に答えてくれるだけでいいんです!」
ノパ听) 「その質問に答えたくないんだよ!」
( ><)「ご尤もですが引き下がるわけにはいかないんです!」
ノパ听)「はなせー! はーなーせーよー! 痴漢! 痴漢がいまーす!」
( ><)「ち、違うんです! 僕は違うんです!」
- 17 名前: ◆wS/59jRQ4. 投稿日:2009/07/17(金) 00:36:26.13 ID:kBAQe1yN0
- その言葉に周囲の人間がば、と振り向く。
が、注視した後は怪訝な表情をするのみで、それ以上の事は何もしない。
ノパ听)「…………」
( ><)「…………」
ノパ听)「何で……」
( ><)「きっと体から暴力性がにじみ出てるから誰も助けてくれないんです!」
ノパ听)「……うう」
素直ヒートはうな垂れて、力なく呟いた。
ノパ听)「小学生相手に情けなくないのかよ……大人だろぉ」
( ><)「これも仕事なんです」
さぁ、と促す。
( ><)「質問に答えてほしいんです、お願いなんです」
…………。
- 18 名前: ◆wS/59jRQ4. 投稿日:2009/07/17(金) 00:37:34.52 ID:kBAQe1yN0
- ノパ听)「質問、ってもさ」
先ほどのファミレスに戻り、素直ヒート、ヒーは目線を逸らしながら言う。
ノパ听)「ねーちゃんと離れて暮らすようになったのって俺が小学校に上がる前だぜ? 覚えてねーよ」
その少女の発言を、ビロードはきっぱりと
( ><)「嘘なんです」
否定した。
ノパ听)「!」
驚愕の表情を浮かべるヒーを見て
( ФωФ)「どういうことだ」
身体から甘い匂いを発するロマネスクの言葉に、ビロードは頷く。
- 19 名前: ◆wS/59jRQ4. 投稿日:2009/07/17(金) 00:39:18.22 ID:kBAQe1yN0
- ( ><)「あなたが姉である素直クールさんと接触しているのは調べがついているんです!」
ノパ听)「そんな訳ねーだろ!」
( ><)「そんな訳あるんです!」
鞄から書類を取り出し、視線を動かしながら
( ><)「両親との折り合いが悪いのは……お姉さんだけではなくアナタもなんです」
ノパ听)「…………」
(;ФωФ)(お、おい)
( ><)(何ですか!)
(:ФωФ)(流石に小学三年生相手に行き成りそれはどうよと我輩思うんだが)
( ><)(得意の武力を折られて精神的に疲弊してる今じゃないとあんな暴れ馬から情報引き出せないんです! 使える手管は使うべきなんです!)
(:ФωФ)(う、ううむ……)
ノパ听)「お前等ひそひそ話、大好きだな」
- 21 名前: ◆wS/59jRQ4. 投稿日:2009/07/17(金) 00:41:03.48 ID:kBAQe1yN0
- ( ><)「そんな訳でアナタが実家を離れてお姉さんと一緒に暮らせないか打診をしていた事はわかっているんです!」
ノパ听)「……そう」
ヒーはうつむいたまま顔を上げない。
そのまま数秒続いた沈黙に、ロマネスクは息を吐いた。
( ФωФ)(少ない手がかりを得るためとは言え……辛いものであるな)
( ><)「だから最近のお姉さんの様子を教えてほしいんです!」
ノパ听)「最近のお姉ちゃん……最近のお姉ちゃんは……」
( ><)「お姉ちゃんは?」
ノパ听)「……あれ?」
本人が一番不思議そうに、首をかしげた。
ノパ听)「最近のお姉ちゃんは……なんだろう」
( ><)「こっちがなんなんですか!」
ノパ听)「わかんないんだよ」
呟く。
ノパ听)「何もわかんないんだ」
…………。
- 22 名前: ◆wS/59jRQ4. 投稿日:2009/07/17(金) 00:41:50.72 ID:kBAQe1yN0
- <ヽ`∀´>「や、やめるニダ、そ、それを降ろすニダ!」
ざり、と砂を踏む音がする。
<ヽ`∀´>「こ、こっちに来るなニダ! う、うわあああ!」
逃げ出す相手を追いかけ、片手につかんだ刃を振り下ろすと、男の背中に、それが当然の様に突き刺さった。
<ヽ`∀´>「ぎ、ぎあああああ!」
醜い悲鳴を聞く物は自分以外誰もいない。
<ヽ`∀´>「や、止めるニダ! ウリはまだ、まだ……」
「消えたくな――――!」
最後まで言葉を言い切る前に、喉に口をめり込まされて言葉を発す事を封じる。
そのまま、生きたまま、ざくざくと切り刻む作業をする後ろで。
(*゚ー゚)
少女はただ静かに、宙に浮いて微笑むのみ。
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