( ^ω^)はあらゆるチート達と戦うようです

11 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:05:00.80 ID:51cP0YmvO
( ^ω^)はあらゆるチート達と戦うようです

第四話。

『前回までのあらすじ』

最強能力決定戦と称し様々なチート能力者と戦うはめになったブーンは、安価内容をそのまま使える能力【気分次第《アンカーテイク》】を駆使して強敵を倒していき、
たまたま出会ったつーとしぃ、そして仲間のツンすら敵に回すような無茶をやってフルボッコにされたりしていた。

今回の敵は?今回の安価は?
誤字が多いが、今回は誤字なく終われるのだろうか?

13 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:06:58.20 ID:51cP0YmvO
一応、登場人物と能力
( ^ω^)【気分次第《アンカーテイク》】(vip)
ξ゚听)ξ【拳王ラオウ】(北斗の拳)
(*゚∀゚)【鬼《オーガ》】(バキ)
(*゚ー゚)【男塾塾長】(男塾)
・共に行動中

('A`)【一方通行《アクセラレータ》】(禁書)
/ ,' 3【???】
・共に行動中

( ´∀`)【百式観音】(HxH)
川 ゚ -゚)【火水木金土日月を操る程度の能力】(東方)
从'ー'从【大嘘憑き《オールフィクション》】(めだかボックス)
・????

14 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:08:27.52 ID:51cP0YmvO
※ブーンの能力【気分次第《アンカーテイク》】について

指定アンカーにかかれていた能力をそのまま使える能力
「〜能力」と、最後に「能力」とかかれていなければ再安価。

一人の敵につき、一回ずつ出来る。

今まで出てきた能力
『手から溢れんばかりのコーラを出す能力』
『座布団を一週間近く回し続けられる能力』
『髪の毛を急速に成長させる能力』
『超反射神経が身に付く能力』


ありがたいまとめ様

15 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:12:35.65 ID:51cP0YmvO
――――路地裏


さて。
いきなりで悪いが、現実には相手の都合の良い悪いで攻撃を仕掛けてくる敵なんかいない。
(それは、わかってるお…)

漫画じゃあありえないが、死ぬ人間は例えば友人との会話中でも死ぬ。それが現実だ。

死ぬ時は死ぬ。死はいきなりやってきて、死ぬ。誰でもいつかは死ぬ。死にたくないやつもいるだろうが、そうは問屋が下ろさないわけで死ぬ。問屋も死ぬ。みんな死ぬ。

(…わかってるお。でも、でも!)

結局の所、世界はそんなに優しさ満点で出来てはいない。綺麗なものは簡単に壊れ、優しいものは簡単に駆逐される。

( ;ω;)「わかってるって言ってんだお!!!」

頭に浮かぶもの全てを取っ払うように、ブーンは一人で叫んだ。路地裏の壁にへたりこみ、息をあらげている。

16 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:14:57.04 ID:51cP0YmvO
( ;ω;)「くそっ…くそぉ……!!」
ツンは無事だろうか。つーは、どうなったのか。
確かめる術は、今はない。焦った所でどうにもならないのは自分がよくわかってるが、それでも体は強張るばかりだ。



本当なら、物語の冒頭としてこんなのは語られるべきではない…いやそもそもこんなの起こるべきじゃないのに。
なのに。

( ;ω;)「なんで…なんでこんな事に…」






………しぃが、殺された。

23 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:18:38.87 ID:51cP0YmvO
「『あはは』」

「『ギャグチックな幕の引き方なら、』」

「『次は陰惨な始まり方にはならないと思った?』」

「『私がおっとりした顔立ちだから』」

「『優しくすれば話が通じると思った?』」

「『仲間になったやつと助け合える展開、来ると思った?』」

「『あはは』」

从'ー'从「『甘ぇよ。』」


その悪魔の名は、「渡辺」。

持ちうる能力は………
――――――全てを台無しにする過負荷《マイナス》、【大嘘憑き《オールフィクション》】。

27 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:20:59.93 ID:51cP0YmvO
話は、あの最強女3人と戦闘が終了した時まで遡る。

人類最強の3人からしこたま殴られた(とは言っても手加減はして死なない程度に、かつ痛みは感じるように)僕は、3人と共に大通りを歩いていた。

ξ゚听)ξ「こう言っちゃなんだけど、意外と楽しかったわね」

(*゚∀゚)「そだな。姉妹喧嘩も飽きていた頃だったからな」

(*゚ー゚)「そだねー」

ξ゚听)ξ「アンタもそう思うでしょ?ゴミクズ」

( ^ω^)「その通りですね。御三方は釣り合う敵がいなかった故、こう言った会合は素晴らしく有意義です」

最強の3人によってアスファルトの地面を文字通りスクランブルされたスクランブル交差点を抜けようとしていた時だった。

28 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:24:25.79 ID:51cP0YmvO
それは予兆も何もなく、いきなり現れた。

本当に、何もなかった。


躊躇もなく、遠慮もなく、情緒もなく。


ぱっと現れ、絶望だけを振り撒いていった。


「『あ、あのう、すいません……』」

( ^ω^)「ん?」

32 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:27:25.47 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『あ、あの、私、渡辺って言います〜』」

振り替えれば、そこに少女がいた。能力者なのだろうが…どうも警戒心を抱けない、変な少女だった。


(*゚∀゚)「…ふん?どした?」

从'ー'从「『ちょっと私、コンタクトレンズをここらへんで落としちゃって探してるんですけど〜……』」

(*゚ー゚)「………」

しかしよく見れば、不思議な印象を受ける子だった。恐らく、自分以外のみんなそう思っているに違いないとしぃは思った。

こう言っては失礼なのだけれど、この子の発言は風船のように、中身がなくふわふわ浮かんでいるような。
――――何から何まで、嘘に聞こえてしまうような、そんな感じ。

34 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:29:36.97 ID:51cP0YmvO
ξ;゚听)ξ「あー、コンタクト?コンタクト…ねぇ。私達あんだけ暴れまわった後だし、ここら辺なら潰れてしまった可能性の方が高いわね…」

从'ー'从「『え、そうなんですか?』」

ξ゚听)ξ「うーん…ごめんなさいね」


从'ー'从「『つまり今からあなた達を惨殺しても問題ないんですね?』」

( ^ω^)

(*゚∀゚)

ξ゚听)ξ

(*゚ー゚)

( ^ω^)「え」

突如、人間の手には明らかに余るほどの巨大なネジが、4人に向けられて大量に飛来した。

45 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:35:19.49 ID:51cP0YmvO
ネジのその数、およそ10から15。4人に綺麗に分散され、発射された。

(;^ω^)「うわっ―――」

ブーンは、悲鳴をあげた。

ξ;゚听)ξ「―――!!」

ツンはとっさに、ネジを殴り飛ばした。

(*゚∀゚)「!」

つーは対応が早く、蹴りで全て撃ち落とす

(;*゚ー゚)「」

しぃは全てを吹き飛ばし、あまつさえブーンの方に飛来するネジすらも叩き落とした。

从'ー'从「『あらら』」

52 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:41:27.93 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『へぇ〜凄い。やばい。やばいね』」

从'ー'从「『本当にやばいもう無理だ私死んじゃう遺書書いときゃ良かtt』」

(*゚∀゚)「うらぁ!!」

一番最初に動いたのはつーだった。この対応の速さから見るに、彼女最初っから渡辺を信じていなかったのだろう。
右足が綺麗な曲線を描き、渡辺の顔面にぶち当たる。

吹っ飛ぶのかと思いきや、意外と飛距離はなかった。しかしその分、力は渡辺の頭に収束されたのだろうか。

ドパッ、という聞いた事のない音が鳴り、渡辺の左顔面が爆破されたように崩壊した。

60 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:47:12.61 ID:51cP0YmvO
ずしり、と重い音を立て沈む渡辺の体。何も物怖じしないつーが羨ましいと、ブーンもこの時ばかりは思った。

(;*゚∀゚)「……ふぅ。なんかこいつ、変だなと思ったら…」

ようやく頭が回転してくるが、すればするほど目の前の異常に困惑する。

(*゚ー゚)「私も思った」

ξ゚听)ξ「私も」

从'ー'从「『私も』」

(;^ω^)「僕もちょっと思ったお…でも、いきなりこんなn」

(;^ω^)「は!!?」


倒れたはずの渡辺は自分達の真ん中にいた。
余韻に浸る時間すら、くれなかった。

68 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 21:52:54.66 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『でも一思いに殺してくれてありがとう』」

从'ー'从「『おかげで痛み無く死んで、生き返れたよ』」

从'ー'从「『そうだ、こんな戦い今すぐやめてみんなでファミレスでも行かない?私すごいドリンクバーの調合法知ってるんだけど…』」


ゾワリ、と。
得体の知れない何かに首筋をなぞられたかのように、4人は渡辺から急速に距離を置いた。

ξ;゚听)ξ「な、なんで……!」

寒気しかしないこの渡辺という存在に、ツンは混乱してしまう。それはつーとしぃも同じだった。

(;^ω^)「みんな、逃げるお!!」

その中、ネジの一つにすら対処出来なかったブーンが一番冷静な対処を下す。

(;^ω^)「こいつには勝てない!こいつ、間違いなく」

(;^ω^)「【大嘘憑き《オールフィクション》】だお!!」

80 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:00:47.54 ID:51cP0YmvO
【大嘘憑き《オールフィクション》】と聞いて、反応出来る人は少ないのではないか。
最近になって明らかになった能力なので知名度は低いが、その能力は洒落にならないものだ。

『現実《すべて》を虚構《なかったこと》にする能力』。

この能力にかかれば全てのものは「なかったこと」にされ、それは自身の死ですらがなかったことになる。

どうしようもなく、全てを台無しにする力。


そんな禍々しいものを持つのが、この渡辺。まともな人間でないのは実証済みである。

(;^ω^)「今すぐ、逃げるんだお!!」

ξ;゚听)ξ「ッ!!」

最初に動いたのはツンだった。こういう時の対応の速さは、頼りになる部分だ。

(;*゚∀゚)「おっけい!!」

つーもコンマ何秒か遅れて、踵を返し走る。

(*゚ー゚)「わかっ―――」

しぃも、それは例外じゃなかった。
1秒あるかないか。
そんな時間が、全てを分けた。

91 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:04:12.03 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『やだーみんななんで逃げるのナベちゃん泣いちゃーう』」

从'ー'从「『ナベちゃん、あなた達とお近づきになりたいだけなのよ?』」

从'ー'从「『だから』」

从'ー'从「『《あなた達との距離をなかった事》にして、文字通りお近づきになろうっと』」


ぐわ、と何かの気配がして

(;*゚ー゚)

しぃの背後に、渡辺はいた。

106 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:11:11.57 ID:51cP0YmvO
(;*゚∀゚)「らあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

そこに振り向きざま、一閃。

つーはしぃを越え、ありったけの力を込めた握り拳を作り、渡辺の顔をぶん殴る。

从'ー'从「『オアマーーーーーー!!!』」

わざとらしい声を出しながら、遥か後方に吹き飛ぶ。

(;*゚∀゚)「みんな!!バラけて逃げろ!!」

ξ;゚听)ξ「え!?」

(;*゚∀゚)「今の見ただろ!?まとめて逃げたら、全員やられる!!」

(;^ω^)「…確かに、正論だけど……!!」

………そんな事したら、つーは?

126 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:16:55.41 ID:51cP0YmvO
(;*゚ー゚)「お姉ちゃん!!どうする気なの!?」

(;*゚∀゚)「俺がこいつを引き留めとく!!だから!逃げろ!」

(;^ω^)「……!!」

从'ー'从「『……』」

渡辺は、もう立っている。今の攻撃のダメージも既に、《なかったこと》にされたのだ。

ξ;゚听)ξ「冗談じゃないわ!アンタ死ぬ気!?そんなのかっこよくもなんともい!!」

(;*゚ー゚)「そうよお姉ちゃん!!一緒に逃げy」

从'ー'从「『いや、それはちょっとやだな。私、この子とデートしたいから』」

次の瞬間には、渡辺はしぃの前にいた。

从'ー'从「『さてと、あなたいまお姉ちゃんって言ったね。妹を守る姉。萌えるね』」

(;*゚ー゚)「あ――――」

133 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:19:45.11 ID:51cP0YmvO




从'ー'从「『だから、ちょっと壊させてね』」


(;* ー )「う、うわああああああああああああ゛あ゛ぁ!!!!」



渡辺が何かしたかと思えば、しぃは地に伏せていた。

160 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:25:35.67 ID:51cP0YmvO
(;^ω^)

ξ;゚听)ξ

声も、出なかった。唯一声が出たのは、つーだ。

(;*゚∀゚)「おいてめぇ!!何をし――――」

从'ー'从「『大袈裟だよぉ。ちょっとこの妹ちゃんが可愛かったから』」

从'ー'从「『この子の《五感全てを、なかった事にした》だけだよ?』」

ブーンその時の渡辺の表情を、忘れ去る事は出来ないだろうなと思った。
それは僕らが朝ごはんにパンを食べる時のように。
自販機でコーヒーを買う時のように。
学校で友達と会話する時のように。
そんな平然とした顔だったからこそ、異常に強く焼き付いてしまった。

(;*゚∀゚)「なっ……!!」

(;*゚∀゚)「戻せ!!今すぐに!!」

从'ー'从「『やだなぁ』」

从'ー'从「『《なかったことをなかったことにする》なんて出来るわけないじゃない』」

178 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:30:49.43 ID:51cP0YmvO
从'ー'从「『私は万能じゃないよ?ただのか弱いモテカワスリムの愛されガールだもん』」

从'ー'从「『私の能力は言わばリセットボタンなの。リセットボタンを2回押したからって、リセットした事自体をリセット出来る?』」

(;゚ω゚)「……!!」

それ、なのに。
平然とやってのけたというのか。こいつは。

(;* ー )「わあああああああああ!!!!!わあああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!」


しぃの絶叫は続く。
彼女はいま五感を全て失い、何が何か分からず発狂寸前なのだろう。

それでも声をやめないのは、全てを失った彼女なりの、最後の抵抗なのかも知れない。

191 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:35:35.47 ID:51cP0YmvO
しぃの絶叫に重なるように、つーも叫ぶ。

(;*゚∀゚)「お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!なんて事をしてくれやがんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

从'ー'从「『あ、いい顔だ。その顔いい。写メとりたいね』」

(;*゚∀゚)「ふざけんな!なんで、なんでこんな事を!!」

从'ー'从「『え、理由?………んーとねぇ……』」

从'ー'从「『ごめん、ちょっと待って。後で考えてツイッターで呟いとくから』」

(*゚∀゚)

ぶち、と。
何か不吉な音がした。

(;^ω^)

ξ;゚听)ξ

(#*゚∀゚)「てめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

209 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:41:22.11 ID:51cP0YmvO
(#*゚∀゚)「殺す!!!!殺す!!!殺す!!!コロォォォォォォォォス!!!」

つーは、走る。渡辺に向かって。
最愛の妹から大事なものを平気で奪ったその女に向かって。

だが。

从'ー'从「『え、私殺されるの?なにそれこわい』」

从'ー'从「『じゃあ殺される前に』」




从'ー'从「『妹ちゃんだけでも殺さないとね』」


今までで一番大きなネジが、足元でまだ絶叫を続けるしぃの脳天に向かって。

从'ー'从「『あは♪れっつふらんけーん』」

垂直に、ささった。

(#* ∀ )

226 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:46:36.75 ID:51cP0YmvO

しぃの絶叫が、最後の抵抗が、止まった。

「しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

つーが、叫ぶ。空気が張り裂けるほどに。大地が揺れるほどに。

从'ー'从「『あ、ごめんね。そうなるよね。妹が目の前でネジに脳姦されたら、そりゃそうなるよね。じゃあ』」

从'ー'从「『この子が死んだこともなかったことにして、もっときつくない死に方を見せた方がいいかな?』」

(* ∀ )

(;゚ω゚)

ξ;゚听)ξ

皆、同じ事を考えたはずだ。

――――こいつの、あたまは、おわっている。

246 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:50:39.97 ID:51cP0YmvO
しぃは、死んだ。

(* ∀ )「あああああああああああああ!!!!あははは!!!!あはははははははは!!!」

つーは、壊れた。

ξ;゚听)ξ

(;゚ω゚)

二人は、動けなかった。

从'ー'从「『あ、メールきた……なんだよメルマガかよ死ね』」

渡辺だけが、平然としていた。

(;* ∀ )「ああああああああ!!!」

渡辺の声に反応したかのように、つーだけは動いた。

その無敗を誇った握り拳に力を込めて、


ありったけの力でぶん殴った。





………ツンとブーンを。

262 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 22:57:56.47 ID:51cP0YmvO
(;^ω^)「は?」

ξ;゚听)ξ「え、つー……!」

それは自暴自棄になった故の拳ではなかった。
そこで二人はつーの意図がわかった。

この拳はあまり痛くなかった。しかし、あまりの威力に、野球ボールを宙になげたように吹き飛ばされた。
この矛盾がうめるのは範馬勇次郎ならではで、この矛盾が意味するのは

二人を、逃がしたのだ。


(;* ∀ )「逃げろ!!ブーン!!ツン!!」

(;* ∀ )「走って逃げろ!どこまでも逃げろ!!ありったけの力で精一杯逃げろ!!」

(;* ∀ )「俺はもう無理だ!!あは、心がどうにかなっちまいそうだ!!だから!!もう無理だから!!」

(;* ∀ )「せめてお前らは逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!短い間だったが!!!楽しかったぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」




こうしてツンとブーンは、別々の方向へ飛ばされる。

それからの事は、二人にはわからない。

277 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:01:24.53 ID:51cP0YmvO


(; ω )「以上、僕のながーい回想、終了だお……」

ブーンは路地裏にへたりこんだまま、独り言を呟いた。




いや、それは独り言と言うのもおかしい話かも知れない。





从'ー'从「『え?なんて?』」


話し相手が、そこにいるのだから。

295 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:05:15.19 ID:51cP0YmvO

まったくこの渡辺というのは、わかっていない。

間というものを。

回想が終わり、
逃げろと言われ少し逃げたが、
やはり主人公の熱い心がそれを許さず引き返し、
敵を倒して仲間を助けてハッピーエンド。

そうじゃないと、割りにあわない。


( ゚ω゚)「割にあわねぇんだおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


( ゚ω゚)「【気分次第《アンカーテイク》】ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」


302 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:07:20.10 ID:51cP0YmvO

( ^ω^)「さてさて今回は最初っから最後まで絶望的」

( ^ω^)「たぶん、未来も絶望的」

( ^ω^)「でも僕は信じてるお」

( ^ω^)「………ははは」

(  ω )「この外道を倒す力を、僕にくれお。指定アンカーは………」



――――――>>320

370 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:09:56.84 ID:51cP0YmvO
『能力が、決定しました。』

>>320
アンサートーカーを取得しそれを100%使いこなす能力

(  ω )「ありがとう。じゃあ」

――――――行ってくるお

404 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:13:41.91 ID:51cP0YmvO

从'ー'从「『………ん?』」

( ゚ω゚)「………」

――――雰囲気が、変わった?

从'ー'从「『どうしたの?いきなり顔しかめちゃって。腹痛?』」

从'ー'从「『ブーン君、だっけ。心配ならしなくていいよ。あのツンちゃんって子なら、ちゃーんと殺しt』」

( ゚ω゚)「妄言なら、吐かなくていいお」

从'ー'从

( ゚ω゚)「僕には、答えが見える」

426 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:18:42.90 ID:51cP0YmvO
( ゚ω゚)「僕の元に来た時間を単純に計算しても、ツンを殺す時間なんかない」

( ゚ω゚)「お前の武器は【大嘘憑き《オールフィクション》】。そんな武器だが、それに加えて厄介なのがその他人の心を引っ掻き回す、いわば『戯言』。」

从'ー'从「『………』」

( ゚ω゚)「なぜそんな事をする必要がある?お前の能力は絶大な力があるのに」

( ゚ω゚)「なぜそんな言葉を使う必要がある?お前の能力は絶大な力があるのに」

从;'ー'从「『………』」







( ゚ω゚)「お前、その力、使いこなせてないだろ?」

458 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:24:07.45 ID:51cP0YmvO
从;'ー'从「『お前……!!』」

( ゚ω゚)「おかしいと思ってたお。僕らがを殺したいなら、最初から《僕らの存在をなかった事》にしたらいい」

( ゚ω゚)「でも、それが出来なかった。そこから導き出されるのは、『人間固体などの大きな存在をなかったことにするのは難しいから』だろ」

( ゚ω゚)「お前はそれをカバーするように、敢えて能力を見せびらかして、その残虐性と絶対性をアピールして」

( ゚ω゚)「【大嘘憑き《オールフィクション》】が抗いようのないチート能力だって、僕たちに植え付けた」

( ゚ω゚)「違わないだろ?それが答えなんだから」

从#'ー'从「『お前………!!!!』」

478 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:29:14.64 ID:51cP0YmvO
从;'ー'从「『ごちゃごちゃうるせぇよ!!!』」

ネジを構え、ブーンに向かい投げる。その数は、目測ですら50は軽く超える。
どこに隠してあったのだと聞きたくなるが、今はそれどころじゃない。

ブーンが、それに擦りもせずに全てを避けたからだ。

从;'ー'从「『なっ!!?』」

「どうやったら全てをかわせる?」
この答えが一瞬で頭に浮かんで、それを実行しただけ。

それがこの、アンサートーカー。

答えを、導きだすもの。

( ゚ω゚)「慌てるなお。もしお前の能力が暴発して」

――――――お前の存在が《なかったこと》になれば、どうするんだお?

从;'ー'从(こいつ――――――!!?)

494 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:34:24.68 ID:51cP0YmvO
从;'ー'从(私の弱点が完全に把握されてる――――!!)

金だと思っていたものが実は金メッキで、その金メッキすらがはがれ、薄汚れた中が見栄始める。
その感触を、ブーンは手にとっていた。

( ゚ω゚)「確かにその【大嘘憑き《オールフィクション》】はいい能力だお。発動条件が任意なんだから」

( ゚ω゚)「しかし遠距離でやるのはかなり苦労。実際、お前は近づいてからしか攻撃をしていないお」

从;'ー'从「それがわかったからって!!あなたには私を倒す方法なんか!!」

( ゚ω゚)「あるお」

从;'ー'从「――――――!!!!」

508 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:37:00.54 ID:51cP0YmvO


( ゚ω゚)「お前、今のその心臓」



( ゚ω゚)「ニセモノ、だろ」



从;'ー'从「『な』」



从'ー'从「『なんで、それを………』」


金メッキは全て剥がれた。
薄汚れた中身は、見るに耐えない。

536 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:42:55.95 ID:51cP0YmvO

( ゚ω゚)「お前は生まれつき心臓を患ってた。体の成長度合いの偏りからそれがわかる」

( ゚ω゚)「ただし、今のお前は至って普通だお。なぜか?」

( ゚ω゚)「こっちの世界にきて【大嘘憑き《オールフィクション》】を使って、それを《なかったこと》にしたから」

( ゚ω゚)「しかし最初に使ったからか、その【大嘘憑き《オールフィクション》】は完全じゃなかった」

( ゚ω゚)「治ったように見えるのは外面だけ。つまり、僕が全力でそこを叩けば心臓くらい簡単に止まる」

( ゚ω゚)「そして、それはどうしようもない。だって」


――――――心臓のそれをもう一度完全に治す方法を。
なかったことをなかったことに出来ないって言ったの、お前だもんな?


从; ー 从「『うわああああああああああああああ!!!!』」

564 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:49:12.00 ID:51cP0YmvO
从; ー 从「『うるさい!!うるさい!!うるさああああああああああい!!!』」

( ゚ω゚)「僕は躊躇しないお。『その心臓をぶん殴るにはどうすればいいか』?その答えも、とうの昔に見えてる」

( ゚ω゚)「もう一度いう。くるならこい。ただし僕は、躊躇しないお」


从; ー 从「『うるさいんだよみんな!!お前も!!お医者さんも!!お母さんも!!』」

从; ー 从「『あなたはもう少ししか生きれないけど、なんて!!!』」

从; ー 从「『私はずっと生きてたいの!!!そんなしみったれた現実なんか』」

从;ー;从「『この力で全部、《なかったこと》になるんだからぁあああああああああ!!!!』」


ネジを両手に、おぼつかない足取りで。
嘘つき少女はこちらにむかってきた。

573 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:52:49.14 ID:51cP0YmvO


/ ,' 3「『じゃあお前が消えれば万々歳じゃろうが。回りにあたるなバカモンが。』」

从;ー;从「『え?』」


渡辺の背後から

その小さく膨らんだ左胸に

心臓を貫通するように

ネジが飛び出ていた。

598 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:56:44.24 ID:51cP0YmvO
( ゚ω゚)「……」

/ ,' 3「『んー、この能力はいまいちだな。やっぱいらねぇ』」


/ ,' 3「捨てよう」



( ^ω^)「………」

渡辺が死に、アンサートーカーが消えた。
しかし、まだまだ考える事はたくさんある。

/ ,' 3「おい坊主。さっきの言葉、ワシに言ってたんじゃろ?『くるならこい、躊躇わない』って、二回も言って」

( ^ω^)「あんた、何者だお」

/ ,' 3「老人」

( ^ω^)「それはアンサートーカーがなくてもわかる」

609 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/25(月) 23:59:49.52 ID:51cP0YmvO
( ^ω^)「なんであんた、割り込んできたんだお」

/ ,' 3「ああ、いやぁな?お前、ワシとちょっと似た匂いがしてなぁ」

( ^ω^)「……それはちょっと、僕も感じてるお」

/ ,' 3「自己紹介をしておく。ワシは荒巻スカルチノフ。」


――――お前と同じ、主謀者《オリジナル》じゃよ。

その言葉を吐き捨て、老人は去っていった。

630 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/26(火) 00:04:02.80 ID:Vh67slpSO
( ^ω^)「………」

主謀者《オリジナル》
実を言うと。先ほどのアンサートーカー中に老人は既に見ていた。
ついでなので『老人の能力は?』という答えも導いていたのだ。

彼、荒巻の能力は

【都合のいい模写《コピーアンドペーストテイク》】

他人の好きなものをコピーし、自分にペーストするコピペの能力。

能力だけでなく、身長や声帯などもコピペ出来るようだ。


そしてその能力からは、どこか自分と似た匂いがするのだ。

642 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/26(火) 00:06:52.12 ID:Vh67slpSO
( ^ω^)「………」


あと、10秒渡辺が死ぬのが遅かったら。

全ての答えを導けたのかも知れない。

しかし………そんな事を考えるのは不毛だと思う。

過去を《なかったこと》にしてもう一度やり直すなんて、誰にも出来ないんだから。



第四話、終わり。


680 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2010/10/26(火) 00:15:02.35 ID:Vh67slpSO
能力補足。
/ ,' 3【都合のいい模写《コピーアンドペーストテイク》】

なんでも見ただけでコピペ出来、我が物にする。能力をコピペするさいは「使用者の慣れ」もコピペしてしまうので十全に使いこなせる。
ただしストックはなく1個ずつだけ。


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