- 33 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 21:37:52.39 ID:97J3d+NaO
- ※ブーンの能力【気分次第《アンカーテイク》】について
指定アンカーにかかれていた能力をそのまま使える能力
「〜能力」と、最後に「能力」とかかれていなければ再安価。
一人の敵につき、一回ずつ出来る。
今まで出てきた能力
『境界を曖昧にする能力』
『あらゆる値を2倍から1/2までの範囲で変更できる能力』
- 34 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 21:39:31.62 ID:97J3d+NaO
- いつから狂っていたのかはわからない。
否、いつも狂っていたのかもしれない。
というか、私は狂ったつもりはなかった。
でも、人を殺すなんて、狂った人間しかやらないんだろう。
まったく、どうしてこうなったんだろう?
从'ー'从「『ごめんねペニちゃん。友達だったけど』」
从'ー'从「『あなたの事は3秒くらいなら忘れ、あれ誰お前?』」
从'ー'从「『なんてね。』」
从'ー'从「『………【大嘘憑き《オールフィクション》】か。球磨川君はこんな気持ちだったのかな?』」
私は、友人を一人殺した。
- 47 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 21:47:44.59 ID:IjWvg6830
「どうもしなくていいんじゃないの?」
从'ー'从「『……!』」
少し考えふけってたからだろうか。
( ^ν^)
その少年がいる事に気付くのに、数秒かかった。
- 59 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 21:52:01.25 ID:IjWvg6830
( ^ν^)「……人を殺したんだね」
从'ー'从「『うん。なにか?』」
( ^ν^)「なにも」
从'ー'从「『なにもないって事ないっしょ。人殺しを目の前にしてなにもないで許されるのは童貞だけだっつーの』」
( ^ν^)「は?うぜぇしね」
从'ー'从「『……ああ、あれか。キレる若者ってやつか』」
死体を跨ぎ、二人の会話は続いた。
何か違和感があるような、嫌に落ち着いた雰囲気だった。
- 68 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 21:54:46.52 ID:97J3d+NaO
( ^ν^)「関係ないんだよ。死ぬヤツは死ぬ。生きるヤツは生きる。それだけさ」
从'ー'从「『……ふぅん』」
( ^ν^)「あんた」
「運がいいな」
从'ー'从
その言葉の真意は知らない。
だが、重かった。
彼の語る「運」は、重かった。
- 83 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:00:20.70 ID:97J3d+NaO
从'ー'从「『……あなたは?』」
( ^ν^)「あ?」
从'ー'从「『名前っすよ名前。こんな美女から名前聞かれて、マジ幸せモンだな君は。今日のうちに死んじゃうんじゃねーの?』」
( ^ν^)「……」
ふむ、と
顎に少し手を当てたかと思えば。
少年は、こちらへ歩いてきた。
何か大それた能力を使う様子こそないが、やけに異質な足取り。
そして。
( ^ν^)「ニュー。みんなからは、ニュッ君って呼ばれてたよ」
- 92 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:04:36.79 ID:97J3d+NaO
( ^ν^)「よろしく。また、どこかで会えたらいいね」
ニューはそう言いつつ渡辺の肩をポンと叩き、どこかに行こうとする。
从'ー'从「『触んじゃねぇよブサイク』」
( ^ν^)「……」
( ^ν^)「またどこかで会えたらいいね」
渡辺の冷たい発言もスルーしつつ、彼は2度言った。
- 107 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:08:48.72 ID:97J3d+NaO
- 从'ー'从「『……』」
( ^ν^)
从'ー'从「『……』」
なんだったんだろう。
渡辺がそう思いながら、ニューの背中を見送っていた、その時。
从'ー'从「『……』」
从'ー'从「『あー』」
ようやく渡辺は、それに気付いた。
- 127 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:15:52.68 ID:97J3d+NaO
空が、暗いのだ。
というより、自分の周りだけ。
そこでようやく、渡辺は言葉を出せた。
从'ー'从「『やられた。なんかされてたっぽいね。まったく気付かなかったけど……とりあえず、言っとくね』」
从'ー'从「『ぎゃふん』」
その発言と同時。
渡辺の眼前にあったビルが倒壊した。
瓦礫片は人間一人にはもったいないほどの質量で、一人を潰していった。
- 160 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:27:17.26 ID:97J3d+NaO
- ――――――某所。
「……ハァ……ハァ……」
「……おや」
「ハァ……『全ての父』……いや、ダディさん!」
「はいデレちゃん、どうしましたか?」
息をあらげる一人の少女と、落ち着いた中年。
二人が、「また今度も」出会った。
今回は、どうやら様子が違うようだが。
- 178 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:32:45.84 ID:97J3d+NaO
- ζ(゚ー゚*;ζ「なぜ……なぜですか」
ζ(゚ー゚*;ζ「なぜこの世界に内藤さんがいないんですか!」
|(●), 、( ●)、|
ダディと呼ばれたそれは、ぎろり、とデレを見つめた。
何も考えていないかのような、無感情な瞳だった。
|(●), 、( ●)、|「……そんなに怒らないで下さいよ。怖い怖い」
ζ(゚ー゚*;ζ「……」
|(●), 、( ●)、|「まぁ、せっかく来たんですから。少し、話してあげましょうか」
- 190 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:37:25.76 ID:97J3d+NaO
- ζ(゚ー゚*;ζ「話す?何を……」
|(●), 、( ●)、|「……」
ダディはデレを無視するように、椅子に座り何かをいじり始める。
目の前には、巨大なモニター。
何かの監視室を思わせる、部屋作りだった。
「いいですか、デレさん」
前を向いたままに、ダディは話しかける。
「今から私が言うのは独り言ですし、大した意味もありません。意味不明だし、荒唐無稽です」
ζ(゚ー゚*;ζ「?……だから、何を」
「チートというものの概念とか……まぁ、適当に話したいだけですよ」
「見ているだけってのは、思ったより暇なものでしてね…」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
- 195 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:41:31.36 ID:97J3d+NaO
- 「例えば、ハサミ。ハサミってあるでしょう。文房具の」
ζ(゚ー゚*ζ「……?は、はい。ハサミ……ねぇ」
「……あれは、人を殺せます。まぁ包丁だって人を殺せますが、ハサミとしときましょう。とにかく、ハサミは人殺しに使える……そんな狂気を孕んでいます」
|(●), 、( ●)、|「しかし」
そこで手を止め、ダディが再びこちらを見た。
|(●), 、( ●)、|「だからって、ハサミを掴んだ瞬間にその狂気に感情を――――自分を殺され、闇雲にハサミを振り回す人間なんていやしない。当たり前です。我々がハサミを制御するからです」
- 199 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:44:24.65 ID:97J3d+NaO
- |(●), 、( ●)、|「拳銃ですらそうだ。人を殺す為に作られた拳銃ですら、人はその引金を簡単には引けやしない。拳銃という強大すぎる力を手のうちしても、人はそう脆く崩れたりはしない」
|(●), 、( ●)、|「しかしこの能力……チートなんかって呼ばれる能力群は、そうもいかないんです。」
ζ(゚ー゚*;ζ
|(●), 、( ●)、|「万能性と絶対性を極限までに有したそれは―――とても簡単に、人の心《キャラクタ》を壊してしまう」
- 213 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:52:16.37 ID:97J3d+NaO
- そして馬鹿でかいモニターには、ある映像が表示される。
ζ(゚ー゚*ζ「…これは…」
それは、今から数えて「5回前の」最強能力決定戦。
とあるイレギュラーが、初めて王者を撃ち下した、あの戦いのダイジェストだ。
|(●), 、( ●)、|「あなたも見てたでしょう?典型的な例で言えば……ドクオ君や、渡辺さん、ギコ君もそうですね。母者さんは…いや、あの人は元からちょっとあんな感じでしたか」
|(●), 、( ●)、|「例えば………彼、ギコ君ですか。人の心を荒しまわる能力【ラドンテイク《荒々しい空気》】なんていう、対人最強の力を持っている癖に…………」
|(●), 、( ●)、|「彼は……まともに戦いに勝った事がないんですよ」
「なんででしょうね?」
返答はない。
しかし、ダディは続ける。
「他にも………そうですね。ブーン君。イレギュラーと言われた、彼だ」
- 218 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:55:39.55 ID:97J3d+NaO
- 「時にデレさん」
またモニターを見たまま、ダディが声をかける。
「彼、ブーン君の一番の見所と言えば?」
ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*;ζ「……はい?」
「ああいや、深い意味はありませんので。軽く答えてください」
ζ(゚ー゚*;ζ「……」
見所。
考えてみた所もなかったが、しかし彼を語るに当たり、出てくるのは一つしかない。
「……彼の、あの規格外の能力……」
そのデレの答えに対し、
「……なるほど。やはり、【気分次第《アンカーテイク》】。唯一無二で、あらゆる無限のあの力。万能性も絶対性も有さない、あの能力ですね」
「でもデレちゃん。私の答えは、違います」
|(●), 、( ●)、|「私が思う彼の見所とは……すばり、感情だと思うんですね」
ζ(゚ー゚*ζ「……感情?」
- 222 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 22:58:44.13 ID:97J3d+NaO
- |(●), 、( ●)、|「感情。彼の感情はとても爆発的であり、不安定ですね。面白い」
ζ(゚ー゚*ζ「……?」
|(●), 、( ●)、|「なんというか…………ね。起伏が凄まじい。
ある時は無意味なまでに優しく、ある時は不自然なまでに憤り、ある時は非人情なまでに冷徹です。
さて、それは何故か?」
ζ(゚ー゚*;ζ「……あの、言いたい事が」
|(●), 、( ●)、|「私はね」
|(●), 、( ●)、|「それは、内藤くんの無感情に起因するものだと思っていました」
- 231 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:02:32.60 ID:97J3d+NaO
- モニターはブーンを映す。
彼の折々の感情。
それはかつて仲間にむけた優しさであったり。
ペニサスや内藤に向けた怒りであったり。
相手をいとわない残虐さであったり。
喜怒哀楽以上の何かが溢れ出す、そんなブーンを映していた。
|(●), 、( ●)、|「狂気の塊である、あらゆるチートを使いこなした内藤くん。その果てに、彼はこの世界に飽いた」
|(●), 、( ●)、|「飽い、飢え、鬼と化した」
|(●), 、( ●)、|「彼のチートは、彼であるというキャラクタを喰い殺した。感情を悔い、殺した」
|(●), 、( ●)、|「だからこそ、その血清として放たれたブーン君は……異常なまでに感情を持っているんだと」
「そう思っていたのです」
- 240 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:07:12.63 ID:97J3d+NaO
- 「しかしそれもどうやら違うようですね」
ζ(゚ー゚*ζ「……?」
デレにはさっきから、ダディの言う言葉の意味がよく分からなかった。
というより、ダディは本当に自分に話しかけているのかすら疑問に思えてきた。
勝手に自己完結されていては、話にならないというのに。
ζ(゚ー゚*ζ「では、その要因はなんだと……」
|(●), 、( ●)、|「……まぁこれは後々話しましょうか。とにかく、彼はそんな多感情さを持つんです。だからこそ、人にも好かれる。」
|(●), 、( ●)、|「彼の周りには、仲間が出来る。素晴らしい事だ」
|(●), 、( ●)、|「だからこそ、彼は主人公にはなれないんでしょうね。彼には、ハッピーエンドは造れない」
- 253 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:11:51.81 ID:97J3d+NaO
- ζ(゚ー゚*ζ「……」
何が言いたいのか、ようやくわかった気がする。
彼は、ダディは期待しているのだろう。
今回のイレギュラーに。
ζ(゚ー゚*ζ「ロマネスクさんなら……って言いたいんですか?」
|(●), 、( ●)、|「そう」
|(●), 、( ●)、|「私は彼なら、正解を……ハッピーエンドを掴んでくれると、選んでくれると」
|(●), 、( ●)、|「今回で、この戦いを終わりにしてくれると信じています」
ζ(゚ー゚*ζ「……それだけの力がある、と」
|(●), 、( ●)、|「……ふふ」
|(●), 、( ●)、|「彼がうらやましいですか?」
- 269 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:17:21.91 ID:97J3d+NaO
- |(●), 、( ●)、|「終わりを心から望み、ついに力を手にした彼が」
ζ(゚ー゚*ζ
|(●), 、( ●)、|「【騒ぐな蚕虫《ドリーマーテイク》】は戻ってきましたか?」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
|(●), 、( ●)、|「その昔に能力を『すげ替えられて』――――ただの一介のフェイク能力者と化してしまったあなたなら、うらやましがるのも仕方ないといったところでしょう」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
デレは、何も言えない。
- 293 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:25:01.58 ID:97J3d+NaO
- ζ(゚ー゚*ζ「私はもうあの力は……。あれは、内藤さんと会った時点で完結しましたから」
|(●), 、( ●)、|「……」
ζ(゚ー゚*ζ「私は」
ζ(゚ー゚*ζ「あなたがどう思っているかは知りません。けど、期待外れにはなると思っています」
|(●), 、( ●)、|「……へぇ、なぜ」
ζ(゚ー゚*ζ「読者の読み通りにしかならない作品なんか、つまらないだけですから」
|(●), 、( ●)、|「……」
|(●), 、( ●)、|「そうですか」
- 306 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:28:12.06 ID:97J3d+NaO
- |(●), 、( ●)、|「……そうですね。ならブーン君。彼は今回、どうなりますかね」
|(●), 、( ●)、|「……あ」
ζ(゚ー゚*ζ「?」
|(●), 、( ●)、|「ふふ、丁度いい。ちょっとした『運試し』が始まるようですね」
画面を、見やる。
そこには、対峙する二人の人間がいた――――――
- 316 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:30:55.79 ID:97J3d+NaO
(;^ω^)
( ^ν^)「……」
( ^ν^)「はじめまして」
o川;*゚ー゚)o
(;^ω^)
おかしい。
……何が、起きた?
- 325 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:33:41.84 ID:97J3d+NaO
- ブーンは状況が掴めなかった。
自分はただ、ツンとモララーと、このキュートと共に歩いていた。
それだけだ。
しかし。
……気付けば、モララーとツンがいない。
それどころか、目の前には見知らぬ男。
(;^ω^)「……お前」
(;^ω^)「何したお?」
o川;*゚ー゚)o
( ^ν^)
- 337 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:36:33.76 ID:97J3d+NaO
- ( ^ν^)「……何もしてないよ。少なくともこれは、俺の能力じゃない」
(;^ω^)「……?」
( ^ν^)「で。……そちらのお嬢ちゃんの能力でもないみたいだね」
o川;*゚ー゚)o
( ^ν^)「という事は……ふぅん。誰だか知らないけど、気をつかってくれた人がいるみたい」
( ^ν^)「別に、俺はそんな事望んじゃいないんだけどなあ」
そう言いつつ、スタスタと。
男が歩いてくる。
( ^ν^)「まぁ初めまして、ニュッ君です。よろしくね」
- 352 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:41:17.29 ID:97J3d+NaO
- ( ^ν^)「……」
そして、そのままニューは。
( ^ν^)
(;^ω^)
警戒をした表情のブーンを
(;^ω^)「……え?」
通りすぎ。
o川;*゚ー゚)o「……え」
( ^ν^)
キュートに近づき。
( ^ν^)「……君は、運が良いみたいだね」
キュートの頭を、撫でた。
- 361 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:44:14.70 ID:97J3d+NaO
o川;*゚ー゚)o「な、なにすん――――――!!」
( ^ν^)「【Luck Stealer】」
o川*゚ー゚)o「え」
(;^ω^)「えっ……!!」
いち早く異常に気付いたのは、
(;゚ω゚)「――――――!!!まずいキュート!!走れ!!」
やはり、ブーンだった。
- 389 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:50:34.23 ID:97J3d+NaO
- (;゚ω゚)
思えば、なんと馬鹿な事だろう。
このニュッ君とやらが、あまりに殺意がないからといって。
チートだらけのこの世界で、真意の知れない人間を近づけるという事の愚かさをわかっていなかった。
彼は言った。
【Luck Stealer】。
直訳で、運泥棒。
素手で触った人間の運を、無条件ですいとる力。
そして運をすいとられ、もし運が尽きてしまった人間は――――――
o川;*゚ー゚)o
――――――不幸な事が起きて、死ぬ。
- 402 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:53:53.15 ID:97J3d+NaO
- ( ^ν^)
うかつだった。
しかし、既にやられてしまった。
キュートは数分後……悪ければ数秒後。
確実に死んでしまうだろう。
ならばもう、手は。
(;゚ω゚)「これしかない――――――!!」
( ^ν^)「……?」
(;^ω^)「いくお??【気分次第《アンカーテイク》】!!」
- 414 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/03(金) 23:57:55.27 ID:97J3d+NaO
- ( ^ω^)「どうも皆様、久しぶりだお」
(;^ω^)「ちょっと限定的な場面になって申し訳ないけど、またみんなの力を借りたいお」
( ^ω^)「じゃあ、キュートを助けてくれるような安価を。指定アンカーは――――――」
――――――>>430
- 430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/06/03(金) 23:58:57.57 ID:bUy3KqlT0
- 触れた物体の時を巻き戻す能力
- 456 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:01:29.21 ID:pWcDo5ynO
- 『能力が決定しました。』
>>430 触れた物体の時を巻き戻す能力
(;^ω^)「よし!」
(;^ω^)「やってやるお!」
- 493 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:08:21.07 ID:MvYpuhCCO
- o川;*゚ー゚)o「――――――!!」
既に走り出していたキュートを見やり、そのまま叫ぶ。
(;^ω^)「キュート!!」
(;^ω^)「こっちに来い!!」
o川;*゚ー゚)o「――――――!!」
( ^ν^)「え」
そうしてブーンは、キュートをさっきニュッ君がそうしたように
優しく、頭に触れた。
(;^ω^)「タッチ……!お前の運を、巻き戻す!」
o川;*゚ー゚)o「え?え?なに?」
まだ今一状況がわかっていないキュートだったが、まぁ良い。
これで、いとも簡単に、キュートが助かったのだから。
( ^ν^)
( ^ν^)「……なん、で」
- 532 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:15:40.20 ID:MvYpuhCCO
- ( ^ν^)「その女の運が……元に戻った」
(;^ω^)「ああ。お前には悪いがな。こっちもそれなりに良い能力があるんだお」
( ^ν^)「へぇ」
( ^ν^)「でも同じ事だな。あんまり攻撃特化の能力じゃないみたいだし」
話ながら、ニュッ君が真っ直ぐに歩いてくる。
その、狂気の掌を携えて。
(;^ω^)「お前もそうだろうがお?お前も別段、攻撃力があるわけじゃない。触れたら殺せる、それだけ」
( ^ω^)「そしてそれは、僕も同じ事!!」
言い終わると同時に、ブーンも駆ける。
- 553 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:21:33.02 ID:MvYpuhCCO
(;^ω^)「えっ……」
しかし、ブーンが勢い良く飛び出したところ。
( ^ν^)
(;^ω^)「――――――!!」
地面が、起き上がってきた。
違う。もっと、単純な事。
つまづいたのだ。
こんな、相手にとって絶好のタイミングで。
(;゚ω゚)「――――――!」
( ^ν^)「手で触れたら殺せる、ってのは違うね。そんだけじゃない」
( ^ν^)「あの女から運を盗った。つまり俺はいま、人一倍運が良い」
( ^ν^)「こう言う風に都合の良い事が、起きたりしちゃうっていうね」
ブーンが態勢を整えるより早く。
ニュッ君は、ブーンに向けて
その悪魔の手を振りかざす。
- 565 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:25:07.16 ID:MvYpuhCCO
( ^ν^)「残念だけど、このタッチ合戦は俺の勝利って事で」
( ^ν^)「はい、お前涙目速報」
(;^ω^)
ニュッ君の手が
ブーンに、確かに触れた。
- 591 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:31:35.37 ID:MvYpuhCCO
- ( ^ω^)
( ^ν^)
( ^ν^)「……あれ」
触れた、のに。
運が、すいとれない。
( ^ν^)「なん、で……」
(;^ω^)「……勘違いを一つ、訂正してやるお」
( ^ω^)「僕の能力は、『触れた物体の時を巻き戻す能力』」
( ^ν^)「……」
( ^ω^)「お前、いま」
( ^ω^)「僕の肌に、触れてるな?」
- 602 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:34:25.15 ID:MvYpuhCCO
- ニュッ君が、小さな光に、包まれる。
( ^ν^)「っ!」
反射的に手を話したニュッ君だが
( ^ω^)「逃がすか!」
その手首は、ブーンにしかと握られてしまう。
( ^ν^)「手だけじゃない……と…か…」
(;^ω^)「正直冷や汗もんだったがね。さぁ、巻き戻させてもらうお」
( ^ω^)「お前が能力を得る、その前まで!!」
- 610 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:37:24.61 ID:MvYpuhCCO
- ( ^ν^)「……きっ、ひひ」
( ^ν^)「俺、涙目」
そう言い残し、ニュッ君は
霧散するように、虚空へと消え失せてしまった。
(;^ω^)「……え?」
- 625 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:41:51.62 ID:MvYpuhCCO
- (;^ω^)「……な……え?」
またも、ブーンは混乱する。
「能力を得る前まで巻き戻す」。
これを自分の能力で行ったはずだ。
しかし、ニュッ君は消えた。
(;^ω^)「まさか、まだ誰かが――――――」
o川;*゚ー゚)o「ブーン!大丈夫!?」
( ^ω^)「……」
嫌、おそらく違う。
これは、ニュッ君が消えたというよりはまるで。
「ニュッ君には能力を得る前というものが存在していなかった」かのような
そこまで巻き戻したから、ニュッ君は消えてしまった、とでも言うような。
(;^ω^)「……なんなんだお……本当に……!!」
- 635 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:45:33.22 ID:MvYpuhCCO
- (;^ω^)「……」
分断されたままの自分達。
ツンは……無事なのだろうか。
o川*゚ー゚)o「……?ブーン?」
そして、この少女。
なぜこの子は、分断時に自分と共についてきたのだろう?
これは、本当に「運」の一言で済むのだろうか?
まだまだ、考える事はやまほどある。
- 645 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:49:11.24 ID:MvYpuhCCO
- ――――――某所
「なぁ荒巻」
「なんじゃい?」
「どうすれば、最強になれるのかな」
「お主は今でもほぼ最強じゃろうに。まだ足りないのか?」
「足りないさ。まだまだ。こんなもんじゃあな……」
「……?ドクオ?どうした?」
「いや……あれ」
「ん?」
「女の子が、倒れてる」
- 654 名前: ◆BnhUepkPaA 投稿日:2011/06/04(土) 00:52:30.57 ID:MvYpuhCCO
- 「まだ、生きてるようじゃな」
「誰かにやられちまったのか?まだ能力も使い方もわからないうちに……って感じかな」
「……ん、んん……」
「お、起きた」
「よぉ少女。大丈夫か?」
「……うん。まぁ。えっと、あなた達は……」
「俺はドクオ。こっちのジジイは荒巻だ。お前は?」
「私?私は……」
lw´‐ _‐ノv「シュール。シューって呼んでくれたらいいよ」
- 666 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/06/04(土) 00:55:29.57 ID:MvYpuhCCO
- ――――――某所。
「昔誰かが言ってたな……。『人生には無限の選択肢があるが、その中に正しい答えは存在しない』って」
「うん?全部ハズレって事か?」
「違う……そうじゃないさ」
「選んだ選択肢を、あとから自分で正しいものにしていくのさ」
「なんだそれ。こじつけ臭いな」
「そんなもんだろ。人間なんて」
「まぁそれでいいんじゃないか?お前が本当に、正解に導けるならな」
「……ああ」
( ФωФ)「……そろそろだな」
第三話、終わり。
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