('A`)は拾い子のようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 00:14:15.12 ID:vaw/5VFXO
ハラハラと、白い雪が舞う。

今日は12月24日、世間様でいう『クリスマスイブ』である。

24年間生きて初めて、いやもう25になるか……。

俺は初めて人を好きになった。

初めて彼女が出来た。

隣には愛しい女性。

ミセ*゚ー゚)リ「今年は人が多いねー」

('A`)「そうなのか? 俺は初めて来るからな」

ミセ*゚ー゚)リ「もー、そんな捻くれなくていーじゃん」

('A`;)「べ、別に捻くれてはないだろ……」
_,
ミセ*゚ぺ)リ「だってドックンこーんな顔してるんだもん」

('A`;)「マジか……。スマンな、ちょっと色々思うことがあってな……」

彼女はミセリ。
十人中十人は可愛いと言うだろう。

俺の自慢の彼女だ。

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 00:15:25.88 ID:vaw/5VFXO
海岸沿いを歩いて行く。

すると、彼女はいきなり立ち止まった。
そして、こちらを見ると、俯きながら話しかけてきた。

ミセ*゚ー゚)リ「えーと、ドックン、あのね……」

普段は積極的なミセリが、珍しく口ごもる。

多分、あの話しだろう、

('A`)「言わなくてもわかってる」

ミセ*゚ー゚)リ「え?」

('A`)「だから"あの事"だろ?」

ミセリは、少し苦笑すると、

ミセ*゚ー゚)リ「なーんだ、知ってたんだ」

('A`)「もちろん」

そう、ずっと前から知っていた。

ずっと、ずっと、ずっと………。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 00:17:49.66 ID:vaw/5VFXO
〜('A`)は拾い子のようです〜



第一話『出会い』

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 00:20:55.76 ID:vaw/5VFXO
……………………………
…………………
………

ある路地裏に、俺は転がっていた。

すぐ近くには男達の声。

( ^ω^)「このガキ、どうするお?」

( ^д^)「そうだな……、放っといといたら死ぬんじゃね?」

(・∀ ・)「だからどうするか考えてるんだろ……、こんなラリったガキ、サツは黙っちゃいねーぞ?」

どうやら俺を殺す話しをしているらしい。

( ^ω^)「埋めるかお?」

( ^д^)「めんどくせーな」

(・∀ ・)「めんどくさいで済む話しじゃねーだろ?」

( ^д^)「へいへい、わかりましたよ……」

本当なら走って逃げたいところだが、残念なことに体がまったく動かない。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 00:29:34.00 ID:vaw/5VFXO
……寒いな。

まだ9月だろ?
なんでこんなに体が震えるんだ?

ちくしょう、これがクスリってやつか……。

「おい」

新たな声が聞こえた。
こいつらの仲間か?

ま、今更どうでもいい話しだが。

「こんなところで何をやっている」

(・∀ ・;)「く、組長……」

「もう取引は済んだのか?」

( ;^ω^)「ま、まだですお……。取引先の相手が来なくて……」

「約束の時間はとっくに過ぎてる。この取引は中止だ。それと、相手には二度と売らないと伝えておけ」

どうやらこの男達の上司、それも組長らしい。

声は若いが、威圧感のある声。

普段の俺ならちびっていたところだろう。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 00:36:52.90 ID:vaw/5VFXO
「ん?このガキはなんだ?」

( ;^д^)「あ、その……」

どうやら俺の存在に気付いたらしい。

もうどうでもいい話しだが。

「もしかして、このガキに打ったのか?」

そう言いながら組長という男は、俺の腕を持ち上げた。

感覚は、ほとんど残っていない。

( ;^д^)「ちょっとした実験で……、酒場をうろついていたんです」

「商売道具を遊びに使うだと? それもこんなガキに」

そう言うと、周りの男達は黙り込んでしまった。いい気味だ。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 00:42:02.30 ID:vaw/5VFXO
「はぁ……、もういい。さっさとここを片付けろ。サツが来たらどうする」

( ;^ω^)「は、はいですお!」

男達が慌ただしくなった。

そして組長という男は俺を持ち上げて言った。

一瞬、顔がチラリと見えた。

( ∀ )「大丈夫か坊主、死ぬなよ」

そこで、俺の意識は途絶えた……。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 00:48:07.22 ID:vaw/5VFXO
……ここはどこだ?

ていうか、非常にキモチワルイ。
世界がぐにゃぐにゃ回ってる……。

そして、寒い。
布団の中にいるようだが、恐ろしく寒い。

もう一眠りしよう……。

そう意識を手放そうとしたそのとき。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 00:56:06.64 ID:vaw/5VFXO
「あら、目が覚めたようね」

どこからか声がした。

誰だろう。

俺は恐る恐る布団から顔を覗いてみた。

('、`*川「おはよう」

そこには、ものすごく可愛い(綺麗?)な女性がいた。

前テレビで見た、メイド服のようなのを着ている、ロングヘアーの優しそうな女性、それが第一印象だ。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 01:01:16.81 ID:vaw/5VFXO
('、`*川「大丈夫? キミ、丸二日寝てたのよ?」

そんなに寝てたのか……。

('、`*川「お水、飲める?」

('A`)「あ、ありがとうございます」

どうやら、俺がクスリを打たれたのを知っているようだ。

('、`*川「今はクスリ切れの苦しさはなくなってるけど、また苦しくなるかも。たくさん打たれたようだけど、中毒ってわけじゃなさそうだから、後二日くらい頑張ってね」

これが後二日も続くのか……。
正直風邪とかインフルエンザとかの比じゃない。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 01:08:27.14 ID:vaw/5VFXO
ていうか、なんでこの人はこんなに詳しいんだ?
ここはどこだ?
この人誰?

意識がハッキリしてくるにつれ、様々な疑問が浮かび上がる。
そしてこの女性は、俺の心を読んだように、疑問に答えてくれた。

('、`*川「ここはね、キミにクスリを打ったヤクザ達の本拠地みたいなところかな。あ、ちなみにキミにクスリを打った三人組はモララー組長が直々にお灸を据えてたから、安心してね?」

('A`)「はぁ……」

('、`*川「だ・か・ら、キミはゆっくり休んでててね」

そう、優しく告げた。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 01:14:49.95 ID:vaw/5VFXO
('、`*川「そういえば自己紹介がまだだったわね、私はペニサス。ここの使用人をやってるわ」

('A`)「俺は鬱田ドクオ、小学四年生です……」

まだ若干まどろむ頭で、できるだけしっかりと話した。

('、`*川「へぇ〜、ドクオ君か〜。しばらくよろしくね(やっぱり小学生か……)」

('A`)「こちらこそよろしくお願いします」

軽く一礼した。

それからしばらく、ペニサスさんと話しをした。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 01:21:14.41 ID:vaw/5VFXO
そうするうちに、徐々にこの間のことを思い出してきた。

昨晩、酒場を歩いていたら、いきなりチンピラ達に連れていかれて……。
路地裏みたいなところでクスリを打たれたのだ。

そしたら組長という人が現れて現在に至る。



ふと、辺りを見渡す。

ヤクザの本拠地という割には、なんだか普通の民家みたいだ。

もっとも、他の部屋がどうなっているのかは知らないが。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 01:26:10.71 ID:vaw/5VFXO
突然ペニサスさんが立ち上がった。

('、`*川「ちょっとモララーさん連れてくるわね」

モララーさん、さっきの話しを聞く限り、ここの組長で、俺を助けてくれた人。

(;'A`)「え、ちょ……」

俺が止める間もなく、ペニサスさんは鼻歌を歌いながら扉の向こうへと歩いていった。

昨日顔をチラっと見たが、いかんせん思い出せない。

組長……、どんな人だっただろう。

テレビで見たような、顔に傷を負ったいかついオッサンなのか。
それとも、杖をついて歩いているような爺さんなのか。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/22(火) 01:29:52.14 ID:vaw/5VFXO
そんな想像をしているうちにその人は現れた。

( ・∀・)「よう、目ぇ覚めたのか」

俺は目を見張った。

そこに現れたのは、いかついオッサンでもなく、厳かな翁でもない。

黒いスーツの若い男だった。



第一話『出会い』終


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