- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 04:46:58.72 ID:AwizuSAiO
- 俺は決心した。
あんなところには二度と戻らない。
あそこのことはもう忘れよう。
だって、ここが新しい"家"なのだから……。
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 04:49:01.56 ID:AwizuSAiO
〜('A`)は拾い子のようです〜
第三話『新しい住まい』
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 04:53:16.59 ID:AwizuSAiO
- ( ・∀・)「……本当に後悔しないんだな?」
('A`)「はい」
( ・∀・)「それがどういう意味かも?」
('A`)「もちろんです」
わかっている。
ここに住む、それはこの組の組員になること……。
だが、ここにいるほうが何倍もマシだ。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 04:57:33.25 ID:AwizuSAiO
- ( ・∀・)「そうか……。わかった、ちっと待ってろ」
モララーさんはそういうと電話越しに『屋敷に来い』と誰かに命じた。
( ・∀・)「そういやドクオ、なんか聞きたいことあるか?」
聞きたいこと……。
特にないな。
('A`)「ここで禁止されてることってありますか?」
だが、一応ここの組員になったのだ。
最低限のタブーくらいは知っておかなくてはならない。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:00:17.16 ID:AwizuSAiO
- ( ・∀・)「んー、禁止されてることねぇ……。基本的にこっちの社会は無法地帯だ、酒もタバコも好きにしろ」
モララーさんは、ただし、と付け加えると、
( ・∀・)「ここは組員以外立入禁止だ。友人だろうが女だろうが絶対入れるんじゃねーぞ」
('A`)「わかりました」
別に構わない。
俺には友達と呼べる人間はいなかったから……。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:04:57.56 ID:AwizuSAiO
- 突然、モララーさんは思い出したように俺に尋ねてきた。
( ・∀・)「お前、小学生だったよな。学校はどうするんだ?」
('A`)「あー……。行かなくても大丈夫っす」
( ・∀・)「バカ野郎、義務教育なんだからきちんと行きやがれ」
なら最初から聞くなよ……、と心の中でつぶやいたのは内緒だ。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:10:19.80 ID:AwizuSAiO
- 「こんちゃーす」
('A`)「モララーさん……」
( ・∀・)「やっと来やがったか……。さっさと入ってこい!」
どうやらさっきの電話主のようだ。
( ゚∀゚)「モララーさん、いきなり呼んだりして……。なんかあったんすか?」
モララーさんよりも若く、これまたカッコイイ男だ。
最初俺にクスリを打ったやつなんか豚のように思える。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:16:32.35 ID:AwizuSAiO
- モララーさんは、男の質問を無視すると、俺の肩をポンと叩き、その男を指差し、
( ・∀・)「ジョルジュ、こいつやるから好きにしろ」
(;゚∀゚)「はぁ!?」
俺が驚きの声をあげるよりも速く、その男が大声をあげた。
すると、チラッと俺を見ると、理解したように、
(;゚∀゚)「……また拾ってきたんすか?」
そう言った。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:21:51.92 ID:AwizuSAiO
- また、というのは前も俺みたいなのを拾ってきたということだろう。
そういえば、ペニサスさんも言っていたような気がする……。
(;゚∀゚)「はぁ……」
男は、諦めたようにため息をつき、
( ゚∀゚)「おいガキ、名前はなんていうんだ?」
そう尋ねてきた。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:27:20.99 ID:AwizuSAiO
- ('A`)「……鬱田ドクオです」
それだけを告げると、
( ゚∀゚)「そうか、ドクオだな。俺の名前は長岡ジョルジュ! 好きなものは……」
( ゚∀゚)「お っ ぱ い さ !」
俺は瞬時に判断した、この人は変態なんだと。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:30:59.06 ID:AwizuSAiO
- ( ・∀・)「ジョルジュ、いい加減にしやがれ」
( ゚∀゚)「へいへい、わかりましたよっと……」
ジョルジュはこっちを向き直ると、
( ゚∀゚)「ドクオ、これからよろしくな!」
('A`)「はい、こちらこそよろしくお願いします」
とりあえず握手しといた。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:35:26.28 ID:AwizuSAiO
- ジョルジュさんは、今度はモララーさんのほうを向くと、
( ゚∀゚)「モララーさん、本当に好きにしていいんすか?」
( ・∀・)「あぁ、全部お前に任せる」
好きにしていいって俺は奴隷ですか……、と歎きながら、二人の話しに耳を傾けていた。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:39:27.38 ID:AwizuSAiO
- 俺は、ジョルジュさんに、俺の生い立ち、茂羅組に来た理由などを説明した。
それを説明すると、ジョルジュさんは頭は頭を抱えて考え始め、
( ゚∀゚)「よし。お前、俺ん家にこい」
あっけらかんと言い放った。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:42:15.90 ID:AwizuSAiO
- ('A`)「ジョルジュさんはここに住んでるんじゃないんすか?」
( ゚∀゚)「あぁ、俺もお前と同じで中二のときに拾われてな……。高校を卒業まではここに住んでたんだが、そっからここを出たんだよ」
('A`)「へー、そうなんすか……」
俺は興味深くそれを聞いていた。
ゆくゆくは俺も同じ道を歩むのだろう。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:46:07.50 ID:AwizuSAiO
- それから、俺とジョルジュさんは、ジョルジュさん宅へと向かった、
電車の乗り継ぎだったため、『車はないのか』と聞いたら、『そんな金あると思ってんのかバーロー』という返事が返ってきた。
ちなみにジョルジュさんは大学生(21)らしく、貧乏生活を送っているらしい。
( ゚∀゚)「お、そろそろ着くぞ。降りろ」
('A`)「あ、はい」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 05:50:01.83 ID:AwizuSAiO
- ('A`)「……ジョルジュさんって嘘つきですね」
( ゚∀゚)「ん? なんか言ったか?」
('A`)「いえ、なんもないっす……」
ジョルジュさんに連れてこられた閑静な住宅街、その一角に建っていたのは、高級ホテルと見紛う大きなマンション。
なーにが貧乏なんすか。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:16:11.42 ID:AwizuSAiO
- ( ゚∀゚)「ここが俺の家だ」
そう言われ、中を見渡す。
マンションなので、特別広いというわけではない。
だが、それぞれ清潔にされた、リビング・ダイニング・キッチン・寝室、そして空き部屋。
そして、(多分)高そうな家具の数々。
茂羅組の組員は金持ちしかいないのか、と俺は思わず感嘆の声をあげた。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:18:36.37 ID:AwizuSAiO
- 俺は、先程の空き部屋に連れていかれ、『この部屋をやる』と言われた。
勉強・睡眠などはここで、ということらしい。
施設では、集団生活だったため、自分の部屋なんか持ったことはなかった。
なので、とても新鮮味溢れる開放感を味わうことができた。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:23:01.75 ID:AwizuSAiO
- ('A`)「ジョルジュさん、本当にありがとうございました」
( ゚∀゚)「いいってことよ。そんかわり、ちゃんと勉強してるかチェックしてるか確認しにくるからな」
ジョルジュさんはそう言うと、意地悪な笑みを浮かべる。
( ゚∀゚)「ま、学校は後で考えるとして……。次は日用品だな」
('A`)「…………」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:28:40.49 ID:AwizuSAiO
- ( ゚∀゚)「ランドセルとか服とか……」
ジョルジュさんを見て気づいた。
俺みたいな子供、一人引き取るだけでも相当大変なんじゃないか?
ていうか俺迷惑?
実際、俺は施設にいたとき、何度か里親に引き取られたことがある。
が、引き取られた後、すぐ『無理でした』と施設に返されたのだ。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:32:44.62 ID:AwizuSAiO
- そのときは、やっぱ大人は汚い偽善者なんだな、と考えていた。
しかし、ジョルジュさんを見てると、どれだけ大変なのかが伝わってきた。
金はモララーさんが出すのだろうが、それでもジョルジュさんがしなきゃいけないことはたくさんある。
('A`) (なんか申し訳ないな……)
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:37:36.45 ID:AwizuSAiO
- 「ただいまー」
そんなことを考えていると誰かの声がした。
声からして女性のようだが……。
( ゚∀゚)「やっと帰ってきたか……。さっさと入ってこーい!」
从;゚∀从 「はいはい……。って、……その子供は?」
現れたのは、ペニサスさんとはまた違い感じの綺麗な女性。
今時の女性っていう格好。
ジョルジュさんより年上のように見える。
……そしてスタイルがやばい。
いわゆるボッキュッボンだ。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:41:37.56 ID:AwizuSAiO
- ( ゚∀゚)「あー、こいつはドクオってんだ。しばらくここで面倒見る」
从 ゚∀从 「ふーん、そう……」
从;゚∀从 「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」
('A`) (まぁその反応は当然だろうな)
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:46:24.30 ID:AwizuSAiO
- ( ゚∀゚)「まぁ気にすんな。ちょっと買い物行ってくるから」
从;゚∀从 「え、ちょ、初耳だぞそれ!」
( ゚∀゚)「当たり前だろ、さっき決まったんだし」
从;゚∀从「少しは相談くらいしろ!」
( ゚∀゚)「モララーさんに預けられたんだよ。……いいよな?」
女性は、長いため息を一つつくと、
从;-∀从「……わかったよ」
渋々了解してくれたようだ。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:49:52.32 ID:AwizuSAiO
- それから、ジョルジュさんと買い物に出掛けた。
服や、勉強道具を買い、先程の女性(ハインさん)の話しをしてくれた。
買い物が終わった後、『ちょっと寄ってくところがある』と言われ、ジョルジュさん宅の近くのある場所に立ち寄った。
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:54:40.59 ID:AwizuSAiO
- ( ゚∀゚)「さて問題。なぜ俺達はここにきたんでしょうか」
('A`)「誘拐」
( ゚∀゚)「アホ」
さて、今俺達が今いる場所……。
それは『VIP幼稚園』と書かれた門の入り口。
ヤクザと幼稚園、これは誘拐しか有り得ないだろう。
それを言ったらジョルジュさんに頭を小突かれたが。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 12:58:23.92 ID:AwizuSAiO
- なんだろう、と真剣に考えてたら、保育園の先生らしき人が駆け寄ってきた。
|゚ノ ^∀^)「あら、長岡さん。いらっしゃったんですの?」
( ゚∀゚)「あぁ、ミセリを迎えにきた」
|゚ノ ^∀^)「ちょっと待っててくださいね」
それを言い残すと、その先生はパタパタと走っていった。
どうやら誘拐ではないらしい。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 13:03:45.03 ID:AwizuSAiO
- 程なくして、その先生(レモナさんと言うらしい)は、一人の女の子を連れてきた。
一目でハインさんの子供とわかるような女の子。
ホンマ天使やわぁ、とか言ったらジョルジュにまた頭を小突かれた。
その可愛らしい天使は、おぼつかない足取りで、トテトテと走ってきた。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 13:09:48.24 ID:AwizuSAiO
- ミセ*゚―゚)リ「ぱぱぁ!」
( ゚∀゚)「おぉ、ミセリ。いい子にしてたか!?」
ミセ*^―^)リ「うん!」
……ちょっと待て。
(゚A゚;)「パパァ!?」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 13:14:04.38 ID:AwizuSAiO
- ジョルジュさんは21歳だと言っていた。
子供がいたのか?
ていうかどう見てもハインさんの……。
( ゚∀゚)「バカ野郎、誰が俺とハインが姉弟だと言った」
mjsk……。
( ゚∀゚)「ほらミセリ、この捻くれた冴えない顔してんのがドクオ兄ちゃんだ。挨拶できるな?」
ジョルジュさんみたいな大人がいるから俺みたいな捻くれたガキが生まれるんだよ。ていうか冴えないは余計だろ。
ミセ*゚―゚)リ「うん!」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 13:18:13.37 ID:AwizuSAiO
- その天使は、俺のほうに向き直ると、頭が地面に着きそうななくらい深々とお辞儀をしてきた。
ミセ*-_-)リ「こんにちは、ドクオおにいちゃん」
ミセ*^―^)リ「よろしくね!」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 13:19:49.42 ID:AwizuSAiO
- 世間にはロリコンという者がいるらしい。
大の大人が小さな女の子に欲情するという、危険極まりない性癖である。
それは子供の俺から見ても変態であり、隔離すべき存在である、
だが、俺は子供だ。
つまりミセリちゃんとちゅっちゅしたとしてもなんの問題も―――
( ゚∀゚)「おいドクオ」
(゚A゚;)「す、すみませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
(;゚∀゚)「?」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 13:23:00.25 ID:AwizuSAiO
- ( ゚∀゚)「あー、驚かせちまったか? わかってると思うが、この子は俺の娘で、ミセリってんだ。今月末で3歳になる」
('A`)「そりゃあ驚きますよ……。だって初対面の人間の前であんなこと言う人だし……」
( ゚∀゚)「え、なに? もしかして俺、小学生に馬鹿にされてる?」
ミセ*゚―゚)リ「ぱぱぁ、ドクオおにいちゃんはやくかえろー?」
( ゚∀゚)「「はーい」」('A`)
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 13:27:06.30 ID:AwizuSAiO
- そんなこんなで、保育園を出発した。
ジョルジュさんはらミセリちゃんを抱き抱えて、ミセリちゃんはずっとキャッキャキャッキャ笑ってて。
('A`)「なんで俺荷物持ち?」
( ゚∀゚)「お前の荷物なんだから当然だ」
('A`)「まだ自分の半分も年いってない子供いじめて楽しいの? え?」
( ゚∀゚)「お前ならやれるさ」
('A`)「あんたは俺のなにを知ってるんだ」
ミセ*^―^)リ「ドクオおにいちゃんがんばれー」
('A`)「任せな。そこのおっぱい星人とは違いというとこ見せてあげるよ」
(#゚∀゚)「こんクソガキゃ……」
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/23(水) 13:31:08.65 ID:AwizuSAiO
- 新しい住まい、新しい生活。
これから苦労することもたくさんあるだろう。
だけど、きっと上手くやっていける。
だって、こんないい人達に囲まれているのだから……。
第三話・終
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