- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 18:49:47.70 ID:93sLoAskO
- 【登場人物】
('A`)
鬱田ドクオ
・小学四年生の9歳
・茂羅組のチンピラにクスリを打たれて死にかけていたところを、モララーに助けられた
・現在は長岡家に住んでいる
ミセ*゚ー゚)リ
長岡ミセリ
・2歳、保育園に通っている
・ジョルジュ、ハインリッヒの子供
・絵本と甘いものが大好き
( ゚∀゚)
長岡ジョルジュ
・21歳現役大学生
・高級アパートに住んでいる
・茂羅組ではそれなりに偉いらしい
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 18:51:46.36 ID:93sLoAskO
- ( ・∀・)
茂羅モララー
・年齢不詳
・言わずとしれた茂羅組の組長
・顔は若いがそれなりに歳食っている
('、`*川
ペニサス伊藤
・年齢不詳
・茂羅組の使用人
・なんでもできるメイドさん
从 ゚∀从
長岡ハインリッヒ
・26歳OL
・ミセリの母親
・男勝りで勝ち気な性格
・ばいんばいーん
|゚ノ ^∀^)
茂那レモナ
・年齢不詳
・保育園の先生
・AAテンプレ1の中で一番影が薄いとかなんとか
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 18:52:27.26 ID:93sLoAskO
- 家族。
それはいったいなんだろうか。
一緒に住んでいる者同士だろうか?
血の繋がっている者同士だろうか?
俺はそうは思わない。
本当の家族はというのは……。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 18:52:44.13 ID:93sLoAskO
- 〜('A`)は拾い子のようです〜
第六話『家族』
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 18:53:10.39 ID:93sLoAskO
- ……あれ?
……痛くない、それどころか銃弾すら飛んできていない。
('A`) (不発か……?)
そう思った瞬間―――
( ゚∀゚)「はーいそこまでー」
―――ジョルジュさんの声がした。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 18:55:00.93 ID:93sLoAskO
- ('A`)「ジョルジュさん……?」
助かったのか……?
ミ,,゚д゚彡「ジョルジュさんちゃーっす」
しかし、様子がおかしい。
どういうことだ?
俺に銃を発砲した(?)男がジョルジュさんに挨拶をした。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 18:57:27.57 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「ドクオやるじゃねーか。コイツら相手にここまで粘るとは」
('A`;)「あの、ジョルジュさん……?」
この様子だとジョルジュさんはこのことを見ていた?
(;゚∀゚)「あースマンスマン。驚かせちまったな」
そう言ってミセリちゃんを抱き上げた。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:00:00.81 ID:93sLoAskO
- ('A`;)「あの、これはいったい……」
( ゚∀゚)「適正検査、テストって言えばわかるな」
は? つまり俺は試されていたってことか?
( ゚∀゚)「悪く思うなよ?」
ジョルジュさんは、悪戯っ子の笑みを浮かべた。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:01:31.96 ID:93sLoAskO
- ('A`)「………はぁ」
( ゚∀゚)「そんなあからさまに嫌そうな顔すんなよ」
いやいや。
('A`#)「俺、マジで死んだかと思ったんすよ!?」
(#゚∀゚)「俺だって昔モララーさんに同じようなことされたんだぞ!? ちったぁ我慢しろ!」
('A`#)「逆ギレすんなよ!」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:03:45.23 ID:93sLoAskO
- とりあえず話しを聞いたところ、あの四人は茂羅組の構成員らしい。
あんな激しくやっちゃったけど大丈夫か?(俺の命的な意味で)
しかし男達は『ガキの攻撃なんざたいしたことねぇよ』と笑い飛ばしていた。
キンタマを蹴った一人を除いて。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:06:00.42 ID:93sLoAskO
- 男達が去った後、俺とジョルジュさんはロビーの椅子に腰掛けていた。
('A`)「あの、さっき俺たしかに撃たれたはずなんですけど……」
( ゚∀゚)「あぁ、これか?」
ジョルジュさんは懐をまさぐる。
そうやって取り出したのは三角の白い紙……?
ジョルジュさんは思い切りそれを振ると、
( ゚∀゚)「セイッ!」パァン
先程のような乾いた大きな音が響いた。
('A`)「おいふざけんな」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:08:30.89 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「え、知らない? 紙鉄砲」
('A`)「いやホントそういうのいいから……」
情けない。
こんな紙切れにビビっていた自分が情けない。
( ゚∀゚)「セイッ! セイッ!」パァン パァン
('A`)「おいうるせぇ」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:10:38.74 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「じゃあそろそろ種明かしすっかな」
('A`)「……お願いします」
( ゚∀゚)「まず一つ。いくらお前とレモナさんが知り合いでも、小学生に園児を渡すわけないだろ?」
('A`)「……まぁそうですね」
たしかにそうだ。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:11:02.55 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「二つ目。普通病院の鍵はかけるだろ? けど、ドクオが入れるように開けといたんだ」
そういえば不自然に鍵が開いていた。
冷静に考えれば、俺に都合のいいことばっかりだった。
俺は始めからジョルジュさんの手の平で踊らされていたんだ。
('A`#)「ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:13:37.65 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「でも、お前が車に飛びついたのは予想外だったぞ? どこのジェームス・ボンドだ、ってな。慌ててフサにスピード出すな、って電話したんだからな」
ジョルジュさんはからかっていた……というわけではない。
('A`)「……あの、もしミセリちゃんが誘拐された後、俺がなにもせず家に帰ってたらどうするつもりだったんですか?」
そんなクズを、ジョルジュさんは許してくれたのだろうか。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:16:45.41 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「ばーか」
ジョルジュさんは、俺の頭をポンと叩いた。
( ゚∀゚)「別に逃げるなら逃げるでもいい。実際、それも一つの手段だしな。それにお前はまだガキだし」
けど、と付け加えて、
( ゚∀゚)「お前は、今回の誘拐を金目的だ、って考えてたけど、そうじゃなくて恨み目的ってこともある。もしそうだったとしたら、お前もミセリもとっくに殺されている」
優しくジョルジュさんは語る。
( ゚∀゚)「自分の手に負えないと思ったら、誰かに頼れ。他人を信用するのも、一つの強さだ」
それはまさに、『俺を頼れ』って言ってるみたいで、俺はそれだけで安心できた。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:19:52.70 ID:93sLoAskO
- だが、やはり怒りは収まらない。
('A`#)「ホントもう、ねぇ!」
(;゚∀゚)「なにを伝えたいんだよ……。ま、今日みたいな予行演習は大事だぞ? いつこんなことが起こるかわかんねーし」
('A`#)「それでも、ねぇ!」
(;゚∀゚)「だからなにを言いたいんだよ」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:20:40.57 ID:93sLoAskO
- ('A`)「あ」
( ゚∀゚)「どうした?」
('A`)「試験の結果、どうなんすか?」
ジョルジュさんは一息置くと、
( ゚∀゚)「実を言うと、合格とか不合格とかはない」
そう告げた。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:23:18.43 ID:93sLoAskO
- 俺が疑問を投げ掛けるより速くジョルジュさんは話しを続ける。
( ゚∀゚)「これはな、お前や昔の俺みたいなガキのくせにこっちの世界に入って来ようとする度胸試しってやつかな」
('A`)「…………」
ふざけた話しだが、本当のことなのだろう。
こういう死と隣り合わせ世界、俺はこの先やっていけるのか、そう不安になる。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:25:20.78 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「で、どうする? この試験の『合否』はお前が決めろ」
( A )「…………」
俺に、ここに残る度胸があるのか?
そもそも、ここに残れるだけの力が俺にはあるのか?
そんな俺を見て、ジョルジュさんは優しく言った。
( ゚∀゚)「別に強要はしない、自分でしっかり考えろ。これはお前の人生そのものだから」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:27:21.87 ID:93sLoAskO
- ('A`)「あの、ジョルジュさん……」
( ゚∀゚)「どうしたんだ?」
('A`)「ミセリちゃんを渡してしまって本当に申し訳ありませんでした」
どちらを選ぶにせよ、これだけは謝っておかなきゃいけない。
( ゚∀゚)「いいんだいいんだ、結果的にミセリは無事だった。終わりよければすべてよしって言うだろ?」
……違う、それだけじゃないんだ。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:30:36.44 ID:93sLoAskO
- ('A`)「俺、羨ましかったんです。ジョルジュさんとハインさんの本当の子供のミセリちゃんが」
もう二度と家には帰れなくなるかもしれない。
けど、全部話す。
('A`)「ずっと思ってたんです。ミセリちゃんは本当に二人から愛されてるんだ、俺とは違うんだ、って……」
( ゚∀゚)「…………」
ジョルジュさんは黙って聞いててくれている。
しかし、次の言葉で俺は殴られるだろう。
それは当然、いや、むしろ軽すぎるくらいだろう。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:32:07.91 ID:93sLoAskO
- ('A`)「だから、もしミセリちゃんがいなかったら。そしたら二人に愛してもらえるのか、って」
( A )「本当にすみませんでした」
話すことは話した。
ここからどうなろうと俺は構わない。
本来ならあそこで死んだ命なのだから。
しかし、俺の予想とジョルジュさんの反れはあまりにも違った。
( ^∀^)「ハハハハ、お前馬鹿だなー」
ジョルジュさんはそう言いながら大笑いした。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:33:42.98 ID:93sLoAskO
- ('A`;)「いや、あの……ジョルジュさん?」
ジョルジュさんは相変わらず笑い続けている。
俺なにか変なこと言ったか?
ジョルジュさんは、やっとこさっと笑いを堪えると、ゆっくり口を開いた。
( ゚∀゚)「ミセリはなぁ、俺の実子じゃないんだ」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:36:09.73 ID:93sLoAskO
- ('A`;)「えぇ!?」
( ゚∀゚)「あ、やっぱり驚く?」
('A`;)「いや、そりゃあまぁ……。ていうか!」
( ゚∀゚)「落ち着け落ち着け、ちゃんと話してやるから」
俺はコクりと頷く。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:39:07.91 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「ミセリはハインとハインの昔の男との間に出来た娘なんだ」
('A`)「え………」
( ゚∀゚)「いや、お前自分で言ってたじゃん。『ハインさんには似てるけどジョルジュさんには似てない』って」
('A`)「あぁ……、そういや言ってた記憶が……」
( ゚∀゚)「まったく失礼なガキだ」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:40:29.27 ID:93sLoAskO
- ('A`) (じゃあ………)
ジョルジュさんはまだ21歳。
なのに、子連れのハインさんと結婚したのか……。
それほどハインさんのことを愛しているのだろう。
……ホントすごい。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:42:15.01 ID:93sLoAskO
- ( -∀-)「誰にも言ってないが、正直俺も不安だったんだ」
('A`)「養っていけるか、ですか?」
( -∀-)「うんにゃ、ミセリをきちんと、『自分の子供』として育てることができるのか、だな」
やはり、そういうものなのだろう。
ハインさんを愛しているならなおさら他の男の子供は疎ましく、憎らしく感じる。
きっと俺もジョルジュさんの立場ならそう思うだろう。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:45:47.69 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「だけどさ、これが違ったんだ」
( ゚∀゚)「いざ過ごしてみるとこれがこれが可愛くてな、片時も目を離したくないんだ。目に入れても痛くないってのはこういうのを言うんだなー、って思った」
( ゚∀゚)「いつの間にか自分の子供のように大事にしてた……っていうか自分の子供そのものだ。大事な大事な俺の子供」
('A`)「へぇ………」
たしかに今のジョルジュさんとミセリちゃんは本当の親子となんら遜色ない。
血が繋がっていようがいまいが、まったく関係ない、ジョルジュさんを見ているとそう感じさせられる。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:48:20.87 ID:93sLoAskO
- ( ゚∀゚)「もちろんお前もだぞ、ドクオ」
('A`)「え?」
( ゚∀゚)「そりゃあお前は俺ともハインとも血は繋がってない。けど、俺達にとっては大事な『家族』なんだ」
('A`)「家族……」
( ゚∀゚)「あぁ、家族だ」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:50:40.72 ID:93sLoAskO
- もしかしたら、ジョルジュさんは俺に『家族』というものを教えるために俺を家に置いてくれていたのかもしれない。
『家族』をしれない俺がモララーさんのところで暮らしても、結局施設と同じように飛び出していただろう……。
俺がモララーさんのところでちゃんと『家族』を作れるように、それを教えてくれたんだ。
('A`) (家族、か……)
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:53:57.86 ID:93sLoAskO
- 思えば、施設の人間達は俺にとって『家族』であったろうか?
いや、そうじゃなかった。
飯を取り合い、殴り合い、騙し合っていた者同士が家族なわけない。
けど、ジョルジュさん達は違う。
優しく、厳しく、暖かく。
俺は本物の『家族』を手に入れることが出来たのかもしれない。
( ゚∀゚)「じゃ、そろそろ帰るか。俺達の家へ」
('∀`)「………はい!」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/01/07(木) 19:56:26.97 ID:93sLoAskO
- 予想だにしなかった。
やはり俺は疫病神なんだろうか。
俺がいなかったらこんなこと……。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい……。
ミ,, 彡「…………」
第六話『家族』終
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