- 2 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/12/13(火) 19:35:55 ID:kBq5hNZE0
「生長作用より見て植物は禽獣と適合し、禽獣は感覚作用により人間と適合し、
人間はその知性によって他の星辰と合致する。
この結びつきは極めて整然としたものであり、相互の連続的結びつきによって、
第一原因から最も卑賤なものにいたるまではりわたされた、一本の綱のように見えるのである。
かくして、至高の美徳はその光をあまねく注ぎ、
かの綱の一端に触れれば綱は震え、あらゆるものを動かすにいたるのだ」
――ジャンバッティスタ・デッラ・ポルタ『自然魔術』
- 3 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/12/13(火) 19:37:09 ID:kBq5hNZE0
内藤ホライゾンは、いつの間にか、小さな円の中から出られなくなっていた。
小さな円というのは、社会の中で生きる人間が作る生活圏という意味での円ではない。
およそ人間と関わりのあるものとは、まったく隔絶された円のなかに彼は閉じ込められていた。
その円は森の中にあった。丸く開けた広場のように、ぽつんと森の中に置かれていた。
(;^ω^)「…。」
まず 内藤は湿った枯れ葉の上を円の縁に沿って歩いた。
円は半径100bほどの大きさがあった。そしてこの空間は限りなく正円に近い形をしている。
出られなくなってから三十分かけて円の中を歩き回り、わかったのはそれだけだった。
そしてそのままでは、内藤にはどうしようもない。
(;^ω^)「やっちまったお……」
内藤はじっとりと汗で濡れた額を、ぐっと袖で拭った。
もうここに閉じ込められてしばらくが経つ。
しかし出られる見込みは、相変わらず無かった。
- 4 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/12/13(火) 19:38:09 ID:kBq5hNZE0
( ^ω^)ブーンと円のようです
第一話「とじた円環のなかで」
- 5 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/12/13(火) 19:40:47 ID:kBq5hNZE0
(;^ω^)「何なんだお……いったい」
内藤は頭に溜まった困惑をおもわず口から漏らし、その場に立ちすくんだ。
頭が、いやなガスの入った破れかけの風船ををむりやり詰め込まれたようにきりきりと痛んだ。
僕は山の中にある農業用水を送るポンプを修理して、さっさと家に帰り、
食事をして、寝たかったのにいったいどうしてこんなことになったのだろうか。
この場所から出られないと分かったときから、内藤はそんなような意味のことを
頭の中でずっと反芻していた。
(#^ω^)「だれか、いませんかおー!」
内藤は時折こうして叫んでは、ポンプ小屋の修理材料として持ってきたトタン板の切れ端と
適当に拾った木の枝とを打ち鳴らしていた。
内藤の土地勘では、まだここは人里から遠くはないはずだった。
それにこの日は、この山林を管理している県の職員がくる日でもあった。
だれかに気づいてもらえる可能性はある。
……彼らが内藤のいる山の深い地点にほとんど来ないにしても、可能性はあった。
- 6 名前:名も無きAAのようです 投稿日:2011/12/13(火) 19:41:29 ID:kBq5hNZE0
(;^ω^)「だめかお…?」
内藤は自分の胸から垂れた汗が、腹を伝って肌着に浸み込むのを感じた。
実際は3キロの道のりを引き返してくる途中だったのだから、もう自宅から1キロと離れていないはずである。
しかし何となく内藤は確証が持てなかった。自分がいるこの「円」はあまりに現実離れしていた。
内藤は今一度、円の外に出ようとためらいがちに足先をちょっと円の外側にだした。
( ゚ω゚)「ヒョオオオオオオ!!!!」
そのとたん内藤は円の外に出した足先に強烈なしびれを伴う痛痒感を感じて足先をひっこめた。
体の一部がしびれたとき、その部分を無理矢理動かした時のような…。
また針治療につかう針をその部分に隙間なく刺して、針に電気を流すような…。
それをはるかに上回る強度の、びりびりとした強烈な不快感が内藤の足の指を襲った。
最初に何気なく、この円から出ようとしたときには、ふみだした左足全体を覆った感覚だった。
(;゚ω゚)「ひょう、ひょう、アウアウアウ!!」
内藤はしばらく、金槌で足の指をを思い切り叩かれた人のように足首を両手で持ち上げ
ぴょんぴょん跳ねまわった後、地面にぶっ倒れてのたうちまわった。
全身に、濡れた枯葉がまとわりつく。だがそんな事に構っている場合ではない。
もし、こんな苦痛を全身に浴びせられたら……。
内藤は震え上がった。
発狂してしまうんじゃないか?
- 8 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 19:43:53 ID:kBq5hNZE0
- (;^ω^)「…。」
この森の中にこんなとんでもない場所があるなんて…。
いつか同じ用事でここに来た時に見た、春の陽光の降り注ぐ森の中の広場のイメージが
内藤はガラガラと音をたてて崩れていくのを感じた。
ちょっと中に入って日向ぼっこして帰るつもりだったのに。
ところがどっこいこいつは底なし沼だった。
内藤はそう考えて苦笑しようとしたが、
顔に起きた変化といえば、左の頬骨の上に乗っかっている筋肉がわずかに痙攣しただけだった。
内藤は、全身から力が抜けていくのを感じていた。
音も、表情さえもこの場所に吸い込まれていく。
そして今、彼自身が緩やかに吸い込まれている最中なのかもしれなかった。
(;^ω^)(何かないかお……信号弾みたいのがあれば外部と連絡が取れるのに。
……ん?でも待てよ……)
(*^ω^)(そうだ!携帯だお!この辺ならなんとか通じないこともないはず!
なんでこんな事に今まで気づかなかったしwwwアホスwww)
携帯をポケットから出して電波状況を確認する。
辛うじて、アンテナが一本立っていた。
- 9 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 19:46:28 ID:kBq5hNZE0
- 近隣で行われている高速道の工事の一環で、
電波塔が建てられたのが幸いしたらしい。
内藤は内心で快哉を叫んだ。
……内心のつもりだった。
(;^ω^)「よし!よしよしよし!いけるお!
誰にかける?トーチャンは来れないだろうし、
……だとすると暇そうなのはドクオか」
内藤は、閉じ込められてから二時間弱、ついに携帯で助けを求めた。
そして何の問題もなく、内藤の友人である、鬱田ドクオの携帯に電話が通じた。
内藤は心底ほっとした。
電波が届かない、といつもの女性に宣告されるのではとヒヤヒヤしていたのだ。
内藤はもう、ホラー映画の世界にいる気でいた。
('A`) 「もしもし?」
(;^ω^)「ど、ドクオ!助けてくれお!」
('A`;) 「あ?いきなりなんだ?どうしたんだ」
(;^ω^)「いきなり、閉じ込められて…出られないんだお!」
('A`;) 「いや、意味がわからん、もっとちゃんと説明してくれ。というかどこにいんの?」
( ;ω;)「山だお!うちの裏の…。とにかく来てくれお。ビリビリするんだお!」
('A`;)(だめだこいつ…。はやくなんとかしないと…)
- 10 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 19:49:58 ID:kBq5hNZE0
- 要領を得ない不毛な会話のあと、ドクオはなんとか内藤を落ち着かせ
話の内容をある程度、ドクオが把握したころにはもう夕方の五時だった。
ひとまずそれで電話を切ったが、ドクオは電話を取った自室の居間で考えこんでしまった。
('A`)(なんなんだよ、ブーンの奴ふざけてんのか?
ったく、いい年こいてガキみたいなことを……)
しかし、こんなふうにおれにおふざけをやるにしても
こんなに取り乱す必要あるだろうか?ブーンは…。
いやそれはないんじゃないか。
去年の同窓会のとき酔ってポロリをやらかしたときも、ブーンはある一定のラインで落ち着いていたのだ。
…ところがどうだ、さっきブーンはまるで大小便を漏らしながら喋っているようだった。
もしかすると、あいつの事だから本当に漏らしているかもしれない。
冗談交じりにドクオはそんな事を考えていたが、頭の片隅ではなにか嫌なものを感じていた。
('A`)(それに…あの音、ブーンは気づいてないのか?)
電話越しに聞いた音。
まるで蛇達が低い声で囁き交わすような、奇妙な音が確かに聞こえていた。
……蛇が囁く?
自分の表現を改めて手に取ってみると、
その気色悪さにドクオは背中から手足へ鳥肌が広がるのを感じた。
- 11 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 19:52:01 ID:kBq5hNZE0
- 単に不気味に感じただけではない、彼の友人に大きな蛇が何匹も何匹も巻きつき、絞め殺そうとする。
そんな想像が脳裏をよぎったのだ。
(;'A`)「まあ友達のよしみだ……行ってやるか」
そうひとりごちてから、ドクオはやおらたちあがり車庫へ向かった。
車庫にはピカピカのイナカベンツ…つまり軽トラがとまっていた。
中古車屋でさえこのイナカベンツは結構いい値がする。
内藤からちょっと金を貸してもらってようやく買ったものだった。
今こそ恩返しの時、というやつだ。
ベンツが山道で汚れるのはドクオは気になったが、内藤の家まではそう遠くない。
二時間くらいで、内藤の言っていた場所まで行けるはずだった。
だが、彼の想像の中の内藤はすでにたくさんの蛇に取り巻かれ、真っ黒な蛇の塊と化していた。
- 12 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 19:53:32 ID:kBq5hNZE0
- そのころ内藤はドクオの心配をよそに、呑気にも円の中心の方へ歩いていた。
特に目的があったわけではない。
ドクオの助けを待つ身となった内藤はすっかり落着きを取り戻していた。
そして内藤は「中央には何があるんだろう」という好奇心から探検をはじめたのだ。
まったく現金なもんである。内藤はそう思って苦笑した。
今度は単なる痙攣ではなく、口の端を吊り上げることに成功した。
僕はこのわけのわからない場所でも、一歩一歩前進できている。大丈夫だ。
( ^ω^)「だいじょうぶだお!」
内藤は力強く叫ぶと鷹揚に歩き始めた。
そして円の周囲より背の低い木立が続く円の中、いきなり内藤の前に木の生えていない空間が広がった。
変化の激しさに内藤はどきりとしたが、目線を上げてさらに驚いた。
目線の先、円の中央にはこの場所に似つかわしくない建物が、西日を背に受けて黒々と建っていた。
(;^ω^)「なんだおこれは…。軽井沢かおここは…。」
その建物について、内藤の貧弱な語彙からひねり出せたのは「軽井沢」という単語だけだった。
陰気な下草の生い茂る円形のスペースの中には、比較的に新しいロッジが建っていた。
それもかなり立派なもので、単なる山小屋とか別荘というわけではなさそうだ。
壁や屋根はは風雨に曝され白く日焼けしていたが、食料と燃料さえあれば一冬でも越せそうな場所だった。
少し離れた所にはトイレだか発電機が入っているであろう離れが、背の高い雑草のなかにうずくまっている。
- 13 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 19:56:36 ID:kBq5hNZE0
( ^ω^)(それにしても…。ここにどうしてこんなものが…?
このあたりはだいぶ前からだれの土地でもなかったし、
そもそもこんな所に別荘なんか建てるかお?このログハウスはけっこう新しいお…。
いったいいつの間に建てたんだお?)
内藤は顔の高さまで伸びた雑草を踏みながらロッジの正面、入り口へと近づいて行った。
そしてよくよく見てみると柱からデッキについている手すりにまで、
繊細な唐草模様のような彫刻が隙間なくびっしりと施されている。
だが、その美しい彫刻も暮れかけの西日の中では、内藤の目には不気味にみえた。
( ^ω^)「…唐草っていうよりイトミミズみたいだお」
無表情にそう言ってから、内藤は玄関にあたる部分にどかっと無遠慮に荷物を置いた。
自分はその前にある階段部分で腰を下ろした。
荒れた木材の肌がズボンを通してチクチクする。
そうしているうちに森から吹いてきた風が背中を撫でた。
背中に負っていた重いリュックを背負ったままの状態で
冷汗、脂汗をしこたまかいていた内藤には涼しいというよりもぞくりと寒い。
(;^ω^)「ほひー、もうまったき秋だおね…風邪引いちゃいそうだお」
秋とはいってもこのあたりの山はあまり紅葉は見られない。
スギなどの常緑樹ばかりでどこまでもどこまでも小暗い森が続く。
そして、山の夜はとんでもなく冷えるし底抜けに恐ろしい。
クマやイノシシ、それにその他の大型の危険な動物がこの山には多数いるのだ。
- 14 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 19:59:02 ID:kBq5hNZE0
- ( ^ω^)「まったく、困っちゃ〜うな〜あっ!」
おそらく誰にもわかってもらえないネタを、暗い森のなかで一人呟く内藤はとてもさびしかった。
さびしいなあ、そう思った内藤のために誰かが仕組んだかのように、
内藤が来た方向から、内藤の踏み倒した草の上を歩きなにやら黒い何かがやってきた。
( ^ω^)「ん?」
(;^ω^)「……あれは」
(・(ェ)・)
内藤は、最初それがなんだかわからなかった。
といっても周りが暗くなっていたというわけでも、内藤の目が悪かったわけでもない。
西日に照らされて、浮かび上がったその生き物の姿はまぎれもなく大人のツキノワグマだった。
内藤は、自分の目を信じたくなかったのである。
内藤は恐慌に襲われた。
そしてなんとか自分を落ち着かせようと努めたが次の瞬間、内藤は完全に恐怖の虜となった。
熊はこちらにはすぐに気がつかないだろうという、内藤の予想を裏切った。
オレンジ色に照らされた草っ原の上で唐突に踊りあがって、ロッジの入口に向って突進したのである。
もう、熊は5mと離れていない。
おそらく、数秒ためらっているだけで太い腕でぶん殴られ、喉笛をかみちぎられる。
- 15 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 19:59:47 ID:kBq5hNZE0
ヽ( ♯・(ェ)・ )ノ 「クマアアアアアアァァァッァ!!!!」
( ゚ω゚)「こっちくんああああああああああ!!!!」
- 16 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 20:01:48 ID:kBq5hNZE0
内藤は絶叫しながら、数段しかない階段をひとっ飛びで上がりロッジの玄関から中へ飛び込んだ。
咄嗟にそのまま掛金を下ろし、玄関から這いずって離れた。
内藤は腰が抜け、まともに歩くことさえできなくなっていた。
(;゚ω゚)「ゲホッオエッ…はあ…はあ、も、もうイヤだ…お…」
( ω )「グフウ」
ふらふらと、そのまま数歩前に進んだあとで内藤の体はうつぶせに倒れた。
そして、内藤は額を床にしたたかに打ちつけた。
埃臭い…。
そんな嗅覚からもたらされた情報を最後に、内藤は意識を失った。
- 18 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 20:03:28 ID:kBq5hNZE0
*―――――*
( ФωФ)「……遅いな」
内藤家のキッチンで内藤の父ロマネスクは、
酒のツマミを作りながら息子の帰りを待っていた。
朝に出かけて行って、もう夕方になるというのに帰ってくる様子がない。
ロマネスクは嫌な予感がしていた。
この時期は獣が多い上に、かなり人里の近くまで降りてくる。
この前も、畑に入り込んできた穴熊を殺したばかりだった。
野生動物保護のために追い返すのが本当なのだが、
とっさに振ったのがすこし研いであった鍬だったのと当たりどころが悪かった。
その時の嫌な感触が、まだロマネスクの手には残っている。
( ФωФ)「……うーん」
ロマネスクは慣れているからいいのだが、
内藤はそういったことが得意ではない。
クマなどへの対処もよく知らない人間だった。
( ФωФ)「……参ったな」
様子を見に行くこともできるが、なんともなかったら内藤を心配させるし、
かと言ってこのまま放置するのも問題だった。
やられてしまいました、では済まないのだ。
- 19 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 20:04:30 ID:kBq5hNZE0
ロマネスクは近所のジジイ連中の元気な人に頼もうか、と思った。
電話台のところに掛けてある連絡先のノートを取る。
それから、卓上にある老眼鏡を探した。
しかし、どこにやったのか見つからない。
(;ФωФ)「あれ、どこに……」
その時、ロマネスクの横から何かが差し出される。
脇のあたりをその何かでちょんちょんとつつかれて、ロマネスクは振り返った。
老眼鏡だ。
(;ФωФ)「おお!すまんな。
ったく、あいつは何をしとるんだか」
「困りましたねぇ、誰を呼ぶの?」
( ФωФ)「埴谷辺りなら来てくれると思うんだが、
この時期どうかな、あいつ」
- 20 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 20:05:22 ID:kBq5hNZE0
「……あ、きょう月曜ね。
だったら、あの人民謡を歌いに兼毛まで行ってると思います」
(;ФωФ)「む!そうなのか。
しまったな……じゃあ誰を呼ぶか……」
そうやってロマネスクが頭を抱えていると、
手の中の子機が不意に鳴った。
( ФωФ)「……お」
子機のディスプレイには、『ドクオくん』と表示されていた。
( ФωФ)「……ふふ」
「どうしたの?」
( ФωФ)「ちょうどいいのから電話がかかってきたよ」
「あら、ドクオちゃんから!ひさしぶりね」
( ФωФ)「……今、大丈夫ならいいんだがな」
ロマネスクは、電話に出る。
- 21 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 20:07:29 ID:kBq5hNZE0
( ФωФ)「……もしもし」
(;'A`) 『あ、どうもお久しぶりです。
ドクオですが、今ちょっとブーンから電話があって』
(;ФωФ)「お、あいつから……どうしたって?」
(;'A`) 『それが……』
ドクオはポツポツと内藤の話をロマネスクに伝える。
森の妙な場所、今すぐ助けて欲しいという内藤の言葉、ビリビリ……。
それを聞いた瞬間、ロマネスクは安心した。
ああ、よかった。
大丈夫だ。
そして、通話が終わると今度はほっとして椅子の上でぐっと伸びをした。
その顔からは先程の緊張はもう消え去っている。
(;ФωФ)「あー、心配して損したよ。
でも困ったな……」
「どうしたんです?」
( ФωФ)「それがなぁ……」
- 22 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 20:08:22 ID:kBq5hNZE0
( ФωФ)「あいつは今、円の中にいるんだよ」
ロマネスクは、少し微笑みながらそう言った。
- 24 名前: ◆9i63q3L3BI 投稿日:2011/12/13(火) 20:09:27 ID:kBq5hNZE0
第一話 おわり
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