- 1 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:13:13.68 ID:TJiCWI8D0
澄み渡る青空。
爽やかな風が心地よい朝。
咲き誇る綺麗なピンク色の花。
桜。
季節は春。
今日は、高校の入学式です。
普通なら、これから始まる高校生活に、希望で胸がいっぱいといったところでしょう。
でも、私はちょっと違っていました。
川д川「ハァ……。今日から高校生か……」
- 3 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:16:43.99 ID:TJiCWI8D0
〜 川д川 カラフル!のようです (-_-) 〜
- 4 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:19:36.11 ID:TJiCWI8D0
実は、私は人と話すのが苦手なのです。
なので、中学時代は友達もおらず、孤立していました。
まさに灰色の学校生活でした。
今日から始まる高校生活、中学時代の二の舞にはしたくありません。
今度こそ、色とりどりでカラフルな学校生活を送りたいです。
でも、正直言って自信はありません……
高校で新しく知り合う人たちと、うまくやっていけるかどうか……
どうやって友達を作ったらいいのか……
それを考えると、今から憂鬱でなりません。
川д川「不安だなぁ……」
- 5 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:22:23.31 ID:TJiCWI8D0
家から高校へは、徒歩とバスで向かいます。
高校の最寄のバス停から高校に向かう途中、私は持っているはずのあるものがないことに気づきました。
川;д川「あ、あれ!? ない……」
それは、お母さんにもらった大事なお守りでした。
川;д川「どこかに落としちゃったのかな……」
とりあえず、周辺の道の上を探していると、一人の男の子がこちらに近寄ってきました。
(-_-)「……」
男の子は黙って、何かをのせた右の手のひらを、私のほうに突き出しました。
川д川「あ、それ……私のお守り……」
(-_-)「……」
- 6 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:25:29.15 ID:TJiCWI8D0
川д川「私が落としたのを、拾ってくれたんですよね……?」
(-_-)「……」
彼は、黙ってコックリとうなずきました。
川д川「あ、ありがとうございます!」
私がお礼を言うと、彼は何も言わずに走って行ってしまいました。
そういえば、彼の着ていた制服は、私の通う高校の男子の制服だったような……
同じ高校の生徒でしょうか。
入学式は特に何事も無く終わり、教室へ向かいます。
私がどうしていいかわからなくて、席に座ってオロオロしていると、
隣の席の女の子が話しかけてきました。
lw´‐ _‐ノv「あれ、君……まさか『組織』の者か……!?」
川;д川「えぇっ!?」
- 10 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:28:35.74 ID:TJiCWI8D0
lw´‐ _‐ノv「あははっ、冗談だよ! 『組織』の人間なら、体にその『証』があるはずだからねっ」
っていうか『組織』とか『証』って何……?
lw´‐ _‐ノv「まあ隣の席同士、よろしくっ!」
川;д川「あ……は、はい! よろしくお願いします」
川д川「えっと、私は……」
私が名乗ろうとすると、彼女がそれを制します。
lw´‐ _‐ノv「待って! せっかくだから、あだ名で呼び合おうよ」
川д川「あだ名ですか……」
lw´‐ _‐ノv「わたしのことは、シューでいいよ!」
川д川「シューさん、ですか……」
- 11 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:31:34.57 ID:TJiCWI8D0
lw´‐ _‐ノv「中学時代の友人が、わたしのことをシュールだからシューだなんて言うんだけどさ……」
lw´‐ _‐ノv「わたしのどこがシュールだというんだろうね!? おかしな友人だったよ……」
なるほど……
私は妙に納得してしまいました。
lw´‐ _‐ノv「君は……貞子だな!」
川;д川「え、貞子ってあのホラー映画の貞子ですか……?」
lw´‐ _‐ノv「そうだよ。ほら、その長い黒髪とか、暗そうなところとか、そっくりじゃないか!」
確かに私は暗いですけど……
こうして、私のあだ名は貞子に決定してしまいました。
ともあれ、お友達ができたのはうれしいことです。
- 12 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:34:32.27 ID:TJiCWI8D0
ふと教室を見回すと、あることに気づきました。
川д川「あら……?」
窓際の一番後ろの席で座っている男子生徒は、今朝私のお守りを拾ってくれた彼でした。
同じクラスになったのも、何かの縁だと思い、彼に挨拶しました。
川д川「あ、あの……今朝は、ありがとうございました」
(-_-)「……」
川д川「同じクラスだったなんて偶然ですね」
(-_-)「……」
……
何を言っても、何も反応してくれません。
私、嫌われちゃったんでしょうか……
- 14 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:37:36.07 ID:TJiCWI8D0
そうこうしていると、教室の扉が開いて、先生が入ってきました。
( ´∀`)「みなさん、はじめましてモナ」
( ´∀`)「僕は、このクラスの担任になった御前モナーだモナ」
( ´∀`)「一年間、よろしく頼むモナ!」
すると、御前先生は、おもむろに紙を一枚ずつ配り始めました。
( ´∀`)「この学校では全員、最低ひとつのクラブに入ることになっているモナ」
( ´∀`)「この入部届に入部希望のクラブ名を書いて、明日までに全員提出するモナ」
( ´∀`)「なお、提出しない場合は、自動的に僕が顧問をしている埴輪研究部に入部することになるモナ」
lw´‐ _‐ノv「埴輪研究部は嫌だなぁ……ねぇ、貞子」
シューさんがヒソヒソ声で私に話しかけます。
川д川「そうですね……っていうかこの学校、そんなクラブがあるんですね……」
- 15 名前: ◆Iu0alg2vgI[>>13それは知らないです……] 投稿日:2009/09/24(木) 21:40:56.18 ID:TJiCWI8D0
その日の放課後、シューさんと入るクラブを探すことにしました。
lw´‐ _‐ノv「貞子は何か入りたいクラブとかある?」
川д川「いえ、元々クラブに入るつもりはありませんでしたから……でも何か決めなきゃいけませんね」
lw´‐ _‐ノv「わたしも、本格的にやるつもりはないし、適当に楽そうなの選ぼうか!?」
川д川「楽そうなのですか……じゃあ、とりあえず文化系のクラブをいくつか廻ってみましょうか……」
こうして私たちは、楽そうなクラブを探して、いくつかのクラブの部室を回ってみることにしました。
川д川「うーん、どれもなかなか本格的にやってますね……」
lw´‐ _‐ノv「そうだなぁ……あんな部活やってたら、日課の米粒を数える作業の時間がなくなるじゃないか!」
川;д川「毎日そんなことしてるんですか……?」
謎の多い人です……
- 16 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:43:26.34 ID:TJiCWI8D0
私たちが、最後に訪れたのは、SF研究部でした。
川д川「SF研究部……?」
lw´‐ _‐ノv「ふむ……宇宙人と交信したりするのかな?」
川д川「それはどちらかというとオカルトでは……」
扉を開けると、狭い部室に三人の男子生徒がいました。
( ・∀・)「やあ。君たちも新入生かな?」
川д川「は、はい……」
( ・∀・)「はじめまして。僕は部長で二年のモララー」
( ・∀・)「そっちの二人も、君たちと同じ新入生だよ」
('A`)「……俺はドクオだ」
( ^ω^)「僕はブーンだお!」
- 17 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:46:20.36 ID:TJiCWI8D0
川д川「あの……このクラブは、どんなことをするんですか?」
私が聞くと、モララー先輩が丁寧に説明してくれました。
( ・∀・)「まあ、SF研究部とは名ばかりで、みんな好きなことをやってるよ」
( ・∀・)「これといった活動もないし、いつ来ても、いつ帰ってもいい」
( ・∀・)「ちなみに僕はだいたいラノベを読んでるけどね」
('A`)「俺はだいたいゲームをしてるな」
( ^ω^)「僕は漫画を読むのが好きだお!」
( ・∀・)「そんなわけで、ここは自由を求める生徒の溜まり場になってるのさ」
- 18 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:49:24.68 ID:TJiCWI8D0
川д川「なるほど……シューさん、よさそうじゃないですか?」
lw´‐ _‐ノv「ああ……自由、いい響きだな!」
川д川「それじゃあ、ここに決めますね。よろしくお願いします」
( ・∀・)「うん、よろしくね」
('A`)「……よろしく」
( ^ω^)「よろしくだお!」
次の日、私とシューさんは入部届に『SF研究部』と書いて提出しました。
- 19 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:52:21.12 ID:TJiCWI8D0
それから、二週間ほど経ったある日のことです。
私とシューさんは同じバスでしたので、帰りはよく一緒に帰っていました。
シューさんと二人で、学校からバス停に向かう道を歩いていたとき、
私はふと視界に違和感を感じて、その違和感の原因を探しました。
すると、道路を挟んだ向こう側の歩道で、サラリーマン風の男性が
疲れた様子で歩いているのを見つけました。
川д川「あら……?」
もちろん、それだけならごく普通の光景です。
私の感じた違和感の原因は、それだけではありませんでした。
川д川「シューさん、あの人……」
lw´‐ _‐ノv「ん? あの男がどうかしたのかい?」
川д川「あの人の周りに、何か灰色の『もや』みたいなものが見えません?」
- 21 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:55:21.37 ID:TJiCWI8D0
lw´‐ _‐ノv「え? いや、見えないけど……煙とか?」
川д川「いえ、煙とはちょっと違うような……気のせいかな……」
何といいますか、それは灰色の『オーラ』とでも表現するのが近いでしょうか。
私にだけ見えたということは、私には霊感でもあるのでしょうか?
でも、今までにこんなことはありませんでしたし……
lw´‐ _‐ノv「はっ……まさか、あの男の正体は……使徒!?」
川д川「シューさん……」
lw´‐ _‐ノv「ははっ、冗談さ!」
川д川「……」
冗談なのはわかります。
lw´‐ _‐ノv「まあ、きっと疲れてるだけだよ!」
私もそう思います。
- 23 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 21:58:22.35 ID:TJiCWI8D0
次の日の朝のことです。
私は朝ごはんを食べながら、テレビのニュースを見ていました。
川*д川「お味噌汁、美味しい……」
『次のニュースです。
今朝未明、20代後半の男性と見られる変死体が発見されました。
所持品などから、この男性はVIP県在住の会社員××さん(28)と見られており……』
川д川「あら、この人……」
テレビに映し出された写真に、私は見覚えがありました。
そうです、昨日の帰り道に、灰色の『もや』のようなものが見えた男性です。
川д川「あの人、亡くなったんだ……」
一瞬、あの『もや』と、亡くなったことが関係あるかもしれないと思いましたが、
すぐにただの偶然だろうと考え直しました。
- 25 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:01:22.56 ID:TJiCWI8D0
学校に着くと、早速シューさんが話しかけてきました。
lw´‐ _‐ノv「貞子! 今朝のニュース見た!?」
川д川「ええ、昨日の男性の件ですよね……」
lw´‐ _‐ノv「やっぱりあいつは闇の使者だったんだ! だから秘密裏に『組織』に消されて……」
川д川「……」
本当に、『組織』って何なんでしょうか……?
川д川「まあ、ただの偶然ですよ!」
lw´‐ _‐ノv「そうかなぁ……偶然じゃつまらないんだけどなぁ……」
シューさんは何を期待しているんでしょうか……
私としては、このまま何事も無く、今回の件はただの偶然で終わってほしいのですが……
- 27 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:04:27.12 ID:TJiCWI8D0
それから一週間ほどたったある日の夕方、私は飲み物を買おうと思い、コンビニに入りました。
川д川(え……?)
また、あの時と同じような感覚が私を襲いました。
今度は、そのコンビニの店員さんでした。
若い女性です。
彼女の周囲に、青色の『もや』が見えました。
川д川(今度は色が違う……でも確かに、あの時と同じ種類の『もや』だわ……)
川д川(幻覚じゃなかったの……?)
もし、この『もや』が原因であの男性が亡くなったのだとしたら、この女性も……
川д川(ううん、そんなことあるはずない……)
川д川(それに今度は色が違うし……多分大丈夫よね!)
- 29 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:07:23.64 ID:TJiCWI8D0
次の日の朝、私はテレビをつけた瞬間、絶句してしまいました。
川;д川「えっ……」
一瞬信じられませんでした。
テレビ画面には、昨日のコンビニで見た、女性の店員さんの写真が映っていました。
そして、やはりこの女性も変死体で発見されたというのです。
川;д川「やっぱり、あの『もや』は偶然じゃなかったというの……?」
私は怖くなりました。
でも、こんなこと誰に相談したらいいのでしょうか……
シューさんに話しても、また『組織』がどうのこうのという話になるような気がしますし。
他の人なら、まともに取り合ってさえくれないでしょう。
- 32 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:10:39.04 ID:TJiCWI8D0
その日の放課後、私は一人でSF研究部の部室に向かいました。
部室には、モララー先輩が一人で本を読んでいました。
川д川「あ、こんにちは……」
( ・∀・)「やあ、貞子ちゃん。こんにちは」
私は、しばらく部室でパソコンをいじりながらボーッとしていました。
川д川「……」
( ・∀・)「どうしたんだい? 浮かない顔して。何か悩み事でもあるの?」
川*д川「えっ……?」
驚きました。
私はあまり表情が豊かなほうではないので、そんなことを言われたのは初めてです。
川*д川「い、いえ……何でもありません……」
- 33 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:13:52.31 ID:TJiCWI8D0
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「貞子ちゃん、よかったら帰りにちょっと付き合ってくれないかな?」
川*д川「えっ!?」
( ・∀・)「……駄目かな?」
一瞬戸惑いましたが、モララー先輩に見つめられると自然と胸が高鳴る自分に気づきました。
何でしょう……こんな気持ちは初めてです。
川*д川「い、いえ! ご一緒させていただきます!」
( ・∀・)「よかった! ありがとう」
モララー先輩に連れてこられたのは、チェーン展開のファストフード店でした。
そこで、先輩はハンバーガーとホットコーヒーを、私はアップルパイとホットティーを頼みました。
- 34 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:16:34.73 ID:TJiCWI8D0
( ・∀・)「ああ、僕が付き合わせたんだから、お金が僕が払うよ」
川;д川「えっ!? そ、それは駄目ですよ!」
( ・∀・)「いいんだ。僕はバイトしてるから、そこそこお金はあるんだ」
そう言って、二人分の料金を払ってしまいました。
川д川「……すみません」
ハンバーガーを齧りながら、先輩は話します。
( ・∀・)「僕はね、もし貞子ちゃんに悩みがあるんだったら、力になりたいんだ」
川д川「いえ……本当に、何でもありませんから」
( ・∀・)「うん。言いたくなければ、それでもいい」
( ・∀・)「でも、僕に何か力になれることがあれば、いつでも言ってね」
川*д川「は、はい。ありがとうございます」
- 36 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:19:19.17 ID:TJiCWI8D0
それからまた数日後のことです。
昼休みに、クラスの男子の長岡君が、例の彼――皆からはヒッキーと呼ばれています――に
何か文句をつけているようです。
_
(#゚∀゚)「おいヒッキー! おまえ、俺にガンつけてただろう!」
(-_-)「……」
_
(#゚∀゚)「何シカトしてんだよ! ……てめぇ、気に入らねぇ!」
川д川「!!」
そのときです。
長岡君の周りに、赤い『もや』が見えたのは。
川д川(このままじゃ、長岡君は……)
- 38 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:22:20.19 ID:TJiCWI8D0
でも、私にはどうすることもできません。
とりあえず、事態の成り行きを見守るしかありません。
lw´‐ _‐ノv「……おい長岡! ずっと見てたけど、ヒッキーが何をしたっていうんだ?」
川д川「シューさん!?」
気が付くと、シューさんが二人の間に入って長岡君に抗議しています。
_
(#゚∀゚)「うるせぇな! 女の出る幕じゃねぇんだよ!」
lw´‐ _‐ノv「ほう……手を引くつもりはない、か……」
_
(#゚∀゚)「当たり前だ!」
lw´‐ _‐ノv「なら仕方ないな……わたしの『真の人格』が覚醒することになるが……いいんだな?」
_
(;゚∀゚)「な、何言ってんだコイツ……危ないヤツなのか!?」
- 39 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:25:25.76 ID:TJiCWI8D0
- _
( ゚∀゚)「……チッ、今日のところはこれくらいにしといてやるよ!」
lw´‐ _‐ノv「フッ……わたしの『真の人格』に恐れをなしたな……」
_
(#゚∀゚)「ちげぇよ! テメェみたいな頭のおかしいヤツと係わり合いになりたくないだけだ!」
何はともあれ、その場は収まったみたいです。
長岡君の赤い『もや』はそのままですが……
川д川「ヒッキーさん、大事にならなくてよかったですね」
(-_-)「……」
川д川「でもヒッキーさん……あなたも、何か自分で言い返したほうがいいかもしれませんよ?」
(-_-)「……さい」
川д川「えっ?」
(#-_-)「うるさいっていったんだ!」
- 40 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:28:39.32 ID:TJiCWI8D0
びっくりしました。
彼がまともに感情を表しているのは、今まで見たことがありませんでした。
それどころか、彼の話す声すら、ほとんど聞いたことがなかったのですから。
(-_-)「ボクに、あんまり関わらないでくれないか……」
川;д川「す、すみません……」
(-_-)「……」
それっきり、彼はまた黙りこんでしまいました。
私が自分の席に戻ろうとすると、あることに気づきました。
川д川「消えてる……!」
長岡君を取り巻いていた赤い『もや』は、消えていました。
やはり、あれは幻覚だったのでしょうか……
- 41 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:31:23.79 ID:TJiCWI8D0
川 ゚ -゚)「おい」
川;д川「ひっ!」
急に後ろから声をかけられたので驚きましたが、彼女は同じクラスの素直クールさんです。
彼女が私にヒソヒソ声で話しかけます。
川 ゚ -゚)「君……あれが、『見えた』んだな……?」
川д川「えっ……?」
川 ゚ -゚)「……やはりそうか……長岡の周りに、『もや』のようなものが見えたんだろう?」
川д川「どうしてそれを……」
川 ゚ -゚)「詳しくは後で話す。また放課後にな」
彼女がそう言って席に戻るのと同時に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴りました。
- 42 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:34:24.54 ID:TJiCWI8D0
放課後、私は素直さんに呼び出されました。
川 ゚ -゚)「君が見たあの『もや』は、我々が『カラー』と呼んでいるものだ」
川д川「『カラー』……」
川 ゚ -゚)「君、他にも『カラー』に取り付かれた人間を見なかったか?」
川д川「あ……」
私は、あのサラリーマン風の男性と、コンビニ店員の女性のことを思い出しました。
川 ゚ -゚)「あの『カラー』に取り付かれると、やがて生気を全て吸い取られ、死に至る……」
やっぱり……
川 ゚ -゚)「我々も、誰に『カラー』が取り付いているのかはわかるんだが、
その倒し方はまだよくわかってなくてな……」
川 ゚ -゚)「だが、確かに長岡に取り付いていた『カラー』は倒されていた……」
川д川「……」
- 43 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:37:23.32 ID:TJiCWI8D0
川 ゚ -゚)「それと、『カラー』にはいくつか種類があって、限られた人間には
その種類を色で見分けることができる、ということがわかっている」
川 ゚ -゚)「私にも、その色を見ることはできないんだが、君には見えた……そうだろう?」
川д川「……はい……」
川 ゚ -゚)「ふふ、やはりな……君はどうやら、『何か』を持った人間らしい……」
川 ゚ -゚)「そして、我々はその『何か』を持った人間が、『カラー』を倒すカギを握っていると考えている」
川;д川「は、はぁ……」
川 ゚ -゚)「長岡に取り付いていた『カラー』が消えたのは、君がヒッキーと話しているときだ」
川 ゚ -゚)「そのことから考えると、ヒッキーも何か関係がありそうだな……」
私とヒッキーさんが……?
- 46 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:40:18.58 ID:TJiCWI8D0
川д川「ところで……先ほどから貴方のおっしゃっている『我々』というのは……」
川 ゚ -゚)「ああ、私は実は、あの『カラー』に対抗する組織に属する人間でね……」
川 ゚ -゚)「『カラー』が現れているのは、この学校の周辺が多い」
川 ゚ -゚)「そこで、『カラー』の秘密を調べるために、この学校に潜入しているんだ」
また『組織』ですか……
でも、シューさんの話よりだいぶ現実味があります。
もしかすると、シューさんが言ってる『組織』も、同じものなんでしょうか……?
川 ゚ -゚)「ともかく、君は『何か』を持っているはずだ。我々に協力してほしい」
川;д川「そ、そんなことを言われても……」
川 ゚ -゚)「『カラー』の正体はまだわからない」
川 ゚ -゚)「何らかの組織による陰謀かもしれないし、魑魅魍魎の類による仕業かもしれないし、
もしかしたら、意思など持たずに増え続けるウイルスのようなものなのかもしれない」
- 47 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:43:28.28 ID:TJiCWI8D0
川 ゚ -゚)「だが、いずれにしても、『カラー』の吸い取った生気は、そのまま奴らの勢力に
上乗せされるらしい、ということだけはわかっている」
川 ゚ -゚)「早めに手を打たないと、奴らはどんどん勢力を増して、日本中、いや、
世界中の人間が取り殺されることになるぞ!」
川;д川「そ、そんな……」
もちろん、それは私も困ります。
川 ゚ -゚)「あと、このことはあまり学校の人間に話すなよ」
川 ゚ -゚)「我々とは別の思惑を持った人間が、やはり潜入してるかもしれんからな」
川д川「……」
川 ゚ -゚)「また何かわかったら連絡する。頼んだぞ!」
- 48 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/24(木) 22:46:41.58 ID:TJiCWI8D0
こうして私は、半ば強引に、彼女に協力する約束を取り付けられてしまいました。
私の望んだ『カラフル』な高校生活は、望んだものとはだいぶ違う形で実現されそうです……
〜 川д川 カラフル!のようです (-_-) 〜
第一話完、続く
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