- 2 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:32:28.35 ID:9JDq+uFZ0
〜 川д川 カラフル!のようです (-_-) 第二話 〜
- 3 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:35:35.70 ID:9JDq+uFZ0
長岡君の『カラー』事件から約一週間――
あれ以来、特に変わったこともなく、いつも通りの日常を過ごしています。
放課後、私とシューさんは、SF研究部の部室に行くことにしました。
部室にいたのは、ゲームをしているドクオさんと、漫画を読んでるブーンさんです。
lw´‐ _‐ノv「よ、お二人さん! 何をやっているんだい?」
('A`)「……見ればわかるだろ、ゲームだよ」
( ^ω^)「僕は漫画を読んでるお!」
lw´‐ _‐ノv「そんなこと見ればわかる。わたしが聞いてるのは、何のゲームをやってるのか、
何の漫画を読んでるのかってことだよ」
('A`)「俺がやってるのは、ロールプレイングゲームだ」
lw´‐ _‐ノv「ロールプレイングゲーム?」
私は、シューさんたちの会話を黙って聞いていました。
- 4 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:38:27.32 ID:9JDq+uFZ0
('A`)「主人公になりきって、敵を倒したり謎を解いたりしながら旅をするゲームだよ」
('A`)「今やってるゲームはな、主人公には恋人がいて、クリアするとその恋人と結婚するんだ」
('A`)「つまり、どうあっても恋人と幸せな結婚をする運命にあるわけだ」
('A`)「それに引き換え、俺はモテないし、こんなところでゲームをして過ごすことくらいしかできない」
('A`)「……くそっ、俺もゲームの主人公になりたいぜ!」
( ^ω^)「……というわけで、この漫画の主人公は、気の力で空を飛ぶことができるんだお!」
lw´‐ _‐ノv「ふむふむ、それはなかなか面白そうだね」
(#'A`)「人の話聞けよ!」
lw´‐ _‐ノv「ああ、悪い悪い。ブーンの話のほうが面白そうだったからね……」
川д川「……」
- 5 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:41:35.05 ID:9JDq+uFZ0
シューさんたちがそんな会話をしていると、部室の扉が開きました。
入ってきたのはモララー先輩です。
( ・∀・)「やあ。みんな集まってるね」
川д川「あ、先輩……」
( ・∀・)「実はね、今日はみんなにちょっと話があるんだ」
( ・∀・)「もうすぐゴールデンウィークだし、新入部員歓迎会を兼ねて
みんなでバーベキューにでも行きたいと思ってるんだけど、どうだろう?」
川д川「あっ、もうそんな時期なんですね……」
lw´‐ _‐ノv「面白そうだなぁ。ねぇ、貞子?」
川*д川「そうですね、私は是非参加したいです」
- 6 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:44:33.94 ID:9JDq+uFZ0
( ^ω^)「ドクオ、僕たちはどうするお?」
('A`)「俺はインドア派だから、そういうのはパスだな」
lw´‐ _‐ノv「付き合いが悪いぞ、そんなんだからモテないんだ」
(#'A`)「なんだと! じゃあ参加したら、俺と付き合ってくれるとでもいうのか!?」
lw´‐ _‐ノv「……」
(#'A`)「せめて何か言えよ!」
すると、部室の扉が開いて、聞き覚えのある声が聞こえてきました。
川 ゚ -゚)「そのバーベキュー、私も参加させていただいてよろしいですか?」
川д川「素直さん!」
('A`)「!」
- 7 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:47:24.56 ID:9JDq+uFZ0
川 ゚ -゚)「一年の素直クールです。今日から、こちらのSF研究部に転部したいのですが」
( ・∀・)「入部希望者か、歓迎するよ。よろしくね」
( ・∀・)「ウチではみんな、あだ名で呼び合ってるから……クーさんでいいかな?」
川 ゚ -゚)「構いません」
('A`)「……俺もバーベキュー参加しようかな……」
( ^ω^)「あれ、ドクオはインドア派なんじゃなかったのかお?」
(#'A`)「うるせえ! たまにはそういうのも、いいんじゃないかと思ったんだよ!」
川 ゚ -゚)「あ、それと、もう一人入部希望者がいるのですが」
- 9 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:50:34.10 ID:9JDq+uFZ0
(-_-)「……」
川д川「ヒッキーさん!?」
( ・∀・)「ああ、ウチは何人でも構わないよ。来るものは拒まず、だからね」
川 ゚ -゚)「貞子、ちょっと一緒に来てくれないか」
私は、クーさんに、人目につかない場所に呼び出されました。
川д川「どうして急にSF研究部に……?」
川 ゚ -゚)「実は、『カラー』の件で、君のことをじっくり観察させてもらおうと思ってね」
川 ゚ -゚)「ここしばらくは『カラー』は発生していないようだけど、『カラー』を消滅させるには
君の持っている力を解明する必要があるからな」
川д川「はぁ……ということは、ヒッキーさんもクーさんが?」
川 ゚ -゚)「ああ、私が誘った。彼も、やはり何らかのカギを握っている可能性がある」
- 10 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:53:25.11 ID:9JDq+uFZ0
川д川「それにしても……よくヒッキーさんが転部に同意しましたね」
川 ゚ -゚)「もともと、元のクラブに大した思い入れもなかったようだからな」
川 ゚ -゚)「それに、君がこのクラブに所属していると話したら、すぐに了承したぞ」
川д川「えっ……?」
川 ゚ -゚)「彼は普段、ほとんど感情を表さないが、長岡の事件のときも、君に対しては感情を見せた」
川 ゚ -゚)「ひょっとすると、彼は君に気があるのかもしれないな」
川д川「まさか……。私は彼を怒らせてしまっただけですよ」
川 ゚ -゚)「それが仮に怒りであっても、その感情を素直に表すのは、彼が君に心を許してるということだ。
彼にその自覚があるかどうかはわからないけどな」
川д川「そういうものでしょうか……」
- 13 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:56:43.08 ID:9JDq+uFZ0
私たちが部室に戻ると、シューさんに声をかけられました。
lw´‐ _‐ノv「お、二人でどこに行ってたんだい?」
川;д川「え、えーっと……」
lw´‐ _‐ノv「ま、まさか二人は……女同士でそんなことを……」
川;д川「シューさん、何を考えてるんですか!」
川 ゚ -゚)「ああ、すまないな。ちょっと図書室に行って、貞子にお勧めの本を教えてもらってたんだ」
川;д川「じ、実はそうなんです」
lw´‐ _‐ノv「ふーん……なんか怪しいな……。何か隠してない?」
川;д川「隠してないですよ……」
シューさん、妙に勘が鋭いです……
ふと見ると、モララー先輩は本を読んでいて、ドクオさんとブーンさんは二人でゲームをしています。
- 14 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 22:59:25.11 ID:9JDq+uFZ0
(-_-)「……」
ヒッキーさんは、特に何をすることもなく、じっと椅子に座っています。
川д川「よろしくお願いしますね、ヒッキーさん」
(-_-)「……」
川д川「ところで、ヒッキーさんは今までどのクラブに所属していたんですか?」
(-_-)「……埴輪研究部」
川;д川「埴輪ですか……埴輪に興味があるんですか……?」
(-_-)「別に……。入部届を出さなかったら、自動的にそうなった……」
ああ、そういえば、先生がそんなことを言ってましたね……
それにしても、相変わらず感情の感じられない話し方です。
私もあまり人のことは言えませんが……
- 15 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:02:32.23 ID:9JDq+uFZ0
川д川「ちなみに、クーさんはどちらのクラブに?」
川 ゚ -゚)「私は手芸部だ。刺繍が趣味でね」
川д川「……」
案外、かわいらしい趣味をお持ちなんですね……
( ・∀・)「それじゃあ、バーベキューは、5月3日、朝8時に駅前に集合でいいかな」
( ・∀・)「バーベキューセットは、バーベキュー場で借りられるから、心配要らない」
( ・∀・)「肉も野菜も、現地の店で調達すればいいだろう」
lw´‐ _‐ノv「ふふふ、楽しみだな! バーベキューなら、麻酔銃が必要だよね」
川;д川「そんなもの必要ないですよ。っていうか、そんなもの持ってるんですか……?」
シューさんは一体何と勘違いしてるんでしょうか……
- 18 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:06:52.37 ID:9JDq+uFZ0
そして、バーベキューの当日がやってきました。
幸い、空には気持ちのいい晴天が広がっています。
いつもはみんな制服姿ですが、今日はみんな私服なので新鮮です。
男性陣はみんなポロシャツやTシャツにジーンズというラフな格好です。
クーさんはノースリーブのシャツにジーンズ、シューさんは緑のパーカーにミニスカート、
私は白いワンピースを着ています。
( ・∀・)「やあ、みんな揃ったね。じゃあ、出発しようか」
バーベキュー場の最寄り駅までは、電車で30分程度です。
そこから15分ほど歩くと、目的のバーベキュー場に着きます。
私たちは、駅前のスーパーで肉と野菜を調達して、バーベキュー場に向かいました。
(;'A`)「ハァ、ハァ……まだ着かないのか……」
(;^ω^)「ドクオは体力がないおね……今からこれじゃ、先が思いやられるお……」
- 19 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:11:49.18 ID:9JDq+uFZ0
バーベキュー場は、海に面した公園にあります。
受付でバーベキューセットを借りて、男性陣が割り当てられた場所で組み立てます。
私たち女性陣は、水道で野菜を洗って切ります。
( ・∀・)「……さて、そろそろ肉も焼けてきたみたいだ。みんな、食べようか」
(*^ω^)「よーし、食べるお!」
(#'A`)「おいブーン、全部食うな!」
川 ゚ -゚)「落ち着け、肉はまだまだあるぞ」
川;д川「ちょっとシューさん、何食べてるんですか……」
lw´‐ _‐ノv「何って、イモだよ」
川;д川「それ、生じゃないですか……」
lw´‐ _‐ノv「何だと……! 道理で不味いと思ったよ……」
川;д川「……」
- 20 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:15:49.65 ID:9JDq+uFZ0
(-_-)「……」
川д川「ヒッキーさんも、食べてますか?」
(-_-)「……」
ヒッキーさんは、黙ってうなずきました。
バーベキューの開始からある程度経ち、みんなだいぶ満足してきた頃です。
川д川「!!」
私は隣でバーベキューを楽しんでいる、大学生と思われる集団の一人に、
あの『もや』が見えることに気づきました。
今度は紺色です。
川;д川「クーさん、『カラー』が……」
川 ゚ -゚)「ああ。貞子も気づいたか……」
- 21 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:19:07.78 ID:9JDq+uFZ0
川 ゚ -゚)「だが、我々がこの場所にいたのが好都合だ。なんとか、あの『カラー』を消滅させないとな」
川;д川「でも、どうすれば……?」
川 ゚ -゚)「いいか、長岡の『カラー』が消えたとき、君は何をしていた?」
川д川「ヒッキーさんと話してました……」
川 ゚ -゚)「そのとき、ヒッキーに何か変わった様子はなかったか?」
川д川「そうですね……ヒッキーさんが急に怒り出したので、びっくりしました」
川 ゚ -゚)「そう、それだ。私は、『カラー』が消滅したのは、そのヒッキーの『怒り』が
関係しているんじゃないかと思ってる」
川 ゚ -゚)「だから、ヒッキーを何とかして怒らせてくれ」
川;д川「そ、そんな……」
川 ゚ -゚)「ヒッキーを怒らせることができるのは、おそらく君だけだ。頼む……」
川д川「わかりました……やってみます」
- 22 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:22:56.90 ID:9JDq+uFZ0
そうはいったものの、どうすれば怒らせることができるでしょうか……
確かあの時は、長岡君に言い返したほうがいいというようなことを言ったら、突然怒り出しました。
つまり、自分の行動に干渉されることに対して、ヒッキーさんは怒ったのでしょうか……?
とにかく、試してみるしかありません。
川д川「ヒッキーさん……」
(-_-)「……」
川д川「私も、あんまり人のこと言えませんけど、もっとみんなの輪に入ってお話しましょうよ」
川д川「きっとその方が楽しいですよ! 一緒に頑張りましょう」
(-_-)「もう、放っておいてくれっていっただろう……」
(#-_-)「どうしてそんなにボクに構うんだよ! 君には関係ないだろう!」
川;д川「!!」
やっぱり……
- 23 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:25:34.34 ID:9JDq+uFZ0
ともあれ、これで彼を怒らせることは成功したはずです。
クーさんの仮説が正しければ、『カラー』は消滅しているはずです。
あの大学生は……
川;д川「……!」
『カラー』は、消滅していませんでした。
それどころか、より大きくなって、勢いを増しているように見えます。
川;゚ -゚)「まずいな……『カラー』は消えていない……」
川;゚ -゚)「ヒッキーの怒りで消滅させられるわけじゃないのか……?」
川д川「……」
これでは、私にはどうしようもありません。
あの大学生は、このまま『カラー』に取り殺されてしまうのでしょうか……?
- 24 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:28:28.36 ID:9JDq+uFZ0
とりあえず、ヒッキーさんを怒らせたままではあんまりなので、私はヒッキーさんに声をかけます。
川д川「ヒッキーさん、ごめんなさい……」
川д川「私、ヒッキーさんともっとお話したくて……」
(-_-)「いや……ボクも言い過ぎたよ。悪かった」
川д川「いえ、私は……」
ヒッキーさんも、もう怒っていないようなので、ホッとしました。
川 ゚ -゚)「おい、貞子!」
川д川「はい?」
川 ゚ -゚)「『カラー』が消滅したぞ!」
川д川「えっ……」
- 27 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:31:59.97 ID:9JDq+uFZ0
先ほどの大学生を見ると、確かに『カラー』は消えています。
川;д川「どういうこと……?」
川 ゚ -゚)「うーむ……一度、『カラー』の力が増したことを考えると、
時間差というわけでもなさそうだな……」
川 ゚ -゚)「そういえば、今回の『カラー』は何色だったんだ?」
川д川「色ですか? 紺色、でしょうか……」
川 ゚ -゚)「ふむ、なるほどな……」
川 ゚ -゚)「前回の赤い『カラー』は、ヒッキーの怒りで消滅した」
川 ゚ -゚)「そして今回の紺色の『カラー』が消滅したときはどうだ?」
川д川「あ……」
川д川「私に、謝ってくれました……」
- 28 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:35:22.69 ID:9JDq+uFZ0
川 ゚ -゚)「そう、それだ。おそらく、今回の紺色の『カラー』を消滅させたのは、
ヒッキーの謝罪の気持ちだ」
川д川「ということは……」
川 ゚ -゚)「ああ。『カラー』はおそらく、その色ごとに対応したヒッキーの『感情』によって消滅する」
川д川「なるほど……」
川 ゚ -゚)「そして、そのヒッキーの感情を動かすことができるのは、貞子、君だけだ」
川д川「……」
川 ゚ -゚)「これから現れるであろう、色々な『カラー』に対抗するためには、
君がヒッキーの感情を自在に操れるようにならなければならないな」
川д川「でも、それならヒッキーさんに事情を話して協力してもらったほうが……」
川 ゚ -゚)「いや、彼が事情を知っても、『カラー』を消滅させる力が残る保証は無い」
川 ゚ -゚)「それに、彼自身も、自分の感情をうまく操ることはできないだろうな」
- 29 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/09/28(月) 23:38:25.00 ID:9JDq+uFZ0
lw´‐ _‐ノv「おーい! そこの二人、そろそろ撤収だぞ!」
川д川「あ……」
川 ゚ -゚)「ともかく、そういうわけだから、心の準備をしておいてくれよ」
バーベキューの帰り道、ヒッキーさんはやはりほとんど話さず、その感情を読み取ることはできません。
クーさんの説を信じるならば、私が、なんとか彼を感情豊かにしないといけないということになります。
それにしても、何故私なのでしょうか……
私には、ちょっと荷が重過ぎる気がするのですが……
そんなことを考えながら、私は家への帰路につきました。
第二話完、続く
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