- 3 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:19:29.33 ID:3gJAreXg0
○登場人物紹介
川д川
通称・貞子。高校一年生。SF研究部所属。
人の周りに様々な色のもや、通称『カラー』が見えることがある。
lw´‐ _‐ノv
通称・シュー。貞子のクラスメイト。SF研究部所属。
(-_-)
通称・ヒッキー。貞子のクラスメイト。SF研究部所属。
ほとんど感情を見せることはない。
川 ゚ -゚)
通称・クー。貞子のクラスメイト。SF研究部所属。
本名は素直クール。
貞子に見える『カラー』を消滅させるため、貞子に協力を求める。
- 4 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:22:47.90 ID:3gJAreXg0
( ・∀・)
通称・モララー。SF研究部部長。高校二年生。
貞子に交際を申し込むが、現在保留中。
('A`)
通称・ドクオ。SF研究部所属。高校一年生。
( ^ω^)
通称・ブーン。SF研究部所属。高校一年生。
本名は内藤ホライゾン。内藤グループの跡取り息子。
(・∀ ・)
またんき。貞子の弟。
( ゚д゚ )
貞子の父。
- 5 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:25:53.86 ID:3gJAreXg0
(・∀ ・)「おーい姉ちゃん、準備できたか? もうすぐ出発するってさ!」
川д川「うん、今行くよー」
もうすぐお盆という、夏の日。
立秋を過ぎて、暦の上では秋ということになっていますが、夏はまだまだこれからが本番と
言わんばかりの暑さが続いています。
今日は、私のお母さんの命日です。
私の家族は今日から、お母さんのお墓参りを兼ねて、おばあちゃんの家に泊まりに行くことになっています。
〜 川д川 カラフル!のようです (-_-) 第五話 〜
- 7 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:29:42.85 ID:3gJAreXg0
お母さんのお墓があるのは、私たちの住むVIP市から車で六時間ほどのところにある、ニューソク町。
お父さんもお母さんも、このニューソク町出身だそうです。
VIPほど便利な場所ではありませんが、自然が多く、空気がきれいないい所です。
( ゚д゚ )「おや……」
私たちがお母さんのお墓に着くと、そこには先客がいました。
ミセ*゚ー゚)リ「……あ、ミルナ君」
( ゚д゚ )「やあ、ミセリちゃんじゃないか。久しぶりだね」
川д川「えっと……」
(・∀ ・)「ねーねー、このおばさん誰?」
ミセ#゚ー゚)リ「おば……」
( ゚д゚ )「ああ、ミセリちゃんは父さんと母さんの昔の知り合いなんだ」
- 8 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:34:20.72 ID:3gJAreXg0
ミセ*゚ー゚)リ「ミルナ君、お久しぶり。さっちゃん、大きくなったねー」
川д川「え、私のこと知ってるんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、さっちゃんが小さいときにね。ペニちゃんとは親友だったから……」
ペニちゃんというのは、私のお母さん・ペニサスのことでしょう。
ミセ*゚ー゚)リ「そっちの子は、弟くんかな?」
(・∀ ・)「またんきだよ!」
ミセ#゚ー゚)リ「またんき君、あたしは『おばさん』じゃなくて、ミセリ。よろしくね」
(;・∀ ・)「はい……わかりました……ミセリさん……」
川д川「……」
( ゚д゚ )「じゃあ、ミセリちゃんもペニサスの墓参りに……?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、息子と一緒にね。今トイレに行ってるけど、そろそろ戻ると……」
- 10 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:37:24.94 ID:3gJAreXg0
川д川「え……?」
(-_-)「……」
川д川「ヒッキーさん!?」
ミセ*゚ー゚)リ「あら、うちの子のこと知ってるの?」
川д川「ええ、同級生で、クラブも一緒なんです」
ミセ*゚ー゚)リ「そう、偶然ねー。じゃあ、ミルナ君たちもVIPに……?」
( ゚д゚ )「ああ。まさか、ミセリちゃんの息子さんと同級生とはね」
ミセ*゚ー゚)リ「そういえば、ペニちゃんの実家って民宿だったよね?」
( ゚д゚ )「ああ、これから行くところだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「あたしたちも今日泊まれるかな? 積もる話もあるし……」
( ゚д゚ )「大丈夫だと思うよ。満室なんて話は聞いたことないしね」
- 12 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:40:33.63 ID:3gJAreXg0
お母さんのお墓参りを済ませた私たちは、おばあちゃんの経営する民宿に向かいました。
(・∀ ・)「ばーちゃーん!」
(゚、゚トソン「おや、またんき。よく来たねぇ」
( ゚д゚ )「お義母さん、ご無沙汰してます」
川д川「おばあちゃん、こんにちは」
(゚、゚トソン「さっちゃんも、ミルナ君も、元気にしてたかい?」
( ゚д゚ )「はい、さっきペニサスの墓参りに行ってきたところなんですけどね……」
( ゚д゚ )「そこで、思わぬ旧友に会いまして。今日、こちらに泊まりたいそうなんですが……」
ミセ*゚ー゚)リ「お久しぶりです、おばさん!」
(-_-)「……」
- 13 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:44:02.84 ID:3gJAreXg0
(゚、゚トソン「おや、ミセリちゃんじゃないか。久しぶりだねぇ。そっちは息子さんかい?」
ミセ*゚ー゚)リ「はい。今日二人、泊まれますか?」
(゚、゚トソン「ウチなら全然大丈夫だよ。泊まってお行き」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとうございます」
(・∀ ・)「父ちゃん、虫捕りに行こう!」
( ゚д゚ )「勘弁してくれ、父さん運転で疲れてるんだ……」
(・∀ ・)「えー、じゃあ姉ちゃん……」
川;д川「え!? 私、虫捕りなんてしたことないよ……」
(・∀ ・)「ちぇー……」
(-_-)「……」
- 15 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:47:22.65 ID:3gJAreXg0
(-_-)「……ボクが一緒に行こうか……?」
(・∀ ・)「え? 本当!?」
川д川「あ、ヒッキーさん……」
(-_-)「……昆虫の生態なら、だいたい把握してる……」
(・∀ ・)「やったー!」
川д川「ヒッキーさん、ありがとうございます」
(-_-)「……」
川д川「またんき、ヒッキーさんの言うことちゃんと聞くのよ」
(・∀ ・)「わかってるよー」
ミセ*゚ー゚)リ「……」
- 16 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:50:25.68 ID:3gJAreXg0
ミセ*゚ー゚)リ「ね、さっちゃん。一緒にお風呂入らない?」
川д川「え……?」
ミセ*゚ー゚)リ「ここのお風呂、温泉から引いててね、お肌にいいんだよ。
それに、ちょっと二人で話したいこともあるし……」
川д川「……はい、わかりました」
( ゚д゚ )「じゃあ、俺は部屋で寝てるよ」
川*д川「気持ちいい……」
湯船に浸かりながら、ミセリさんは話し始めました。
ミセ*゚ー゚)リ「懐かしいな……ペニちゃんとも、よくここのお風呂に入ったんだよ」
川д川「そうなんですか……」
- 18 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:54:32.90 ID:3gJAreXg0
ミセ*゚ー゚)リ「……うちの子と、仲良くしてくれてるんだってね」
川д川「え、ええ……」
ミセ*゚ー゚)リ「あの子、あんまり感情を出さないから、大変でしょう?」
川;д川「い、いえ、そんなことは……」
ミセ*゚ー゚)リ「あの子も、前はもっと感情豊かな子だったんだけどね……」
川д川「……」
ミセ*゚ー゚)リ「……あんなふうになっちゃったのは、あたしのせいなんだ」
川;д川「えっ……?」
ミセ*゚ー゚)リ「……」
ミセ*゚ー゚)リ「……さっちゃん、ペニちゃんが製薬会社の研究所に勤めてたのは知ってるよね?」
川д川「あ、はい……」
- 19 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 22:58:41.01 ID:3gJAreXg0
ミセ*゚ー゚)リ「あたしも、同じ研究所に勤めててね。ペニちゃんとはそのときの同期なの」
川д川「なるほど……」
ミセ*゚ー゚)リ「その頃、研究所では新薬開発のために、あるウイルスを研究しててね」
ミセ*゚ー゚)リ「ある日、ちょっと外出する間に、ペニちゃんにあの子を見ててもらったんだけど、
ちょっと目を離した隙に、あの子、危険区域に入って、閉じ込められちゃったらしくて……」
川;д川「ええっ!? 普通、そういう場所って厳重に管理されてるものじゃないんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、普通はそうなんだけど、その時は何故かロックが解除されてたの……」
川д川「……」
ミセ*゚ー゚)リ「それでその時、危険を承知でペニちゃんがあの子を助けてくれたの」
川д川「そうですか、母が……」
ミセ*゚ー゚)リ「二人ともすぐに治療したんだけど、それ以来あの子はめっきり感情を表さなくなっちゃってね……」
川д川「……」
- 21 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 23:02:06.84 ID:3gJAreXg0
ミセ*゚ー゚)リ「ペニちゃんは、いつも『自分が目を離さなければ』って自分を責めて、
あの子のことを気にかけてくれてた……」
ミセ*゚ー゚)リ「そもそも職場に子供を連れて行って、ペニちゃんに預けて外出したあたしの責任だし、
ペニちゃんにはあの子を助けてくれたことを感謝してるんだけどね」
川д川「そうだったんですか……」
ミセ*゚ー゚)リ「だけどね、それ以来感情を表さなくなったあの子が、最近少し感情を表すようになってきたみたいなの」
ミセ*゚ー゚)リ「それは決まって、学校の話をしてるときでね……
きっと、学校で何かきっかけがあったんだと思ってたけど……」
ミセ*゚ー゚)リ「さっき、さっちゃんに会ったとき、あの子、うれしそうだった……」
川д川「……」
ミセ*゚ー゚)リ「きっと、あの子に感情が戻ってきたのは、さっちゃんのおかげだね」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとね、さっちゃん」
- 23 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 23:05:24.78 ID:3gJAreXg0
川д川「いえ、私は特に何も……」
ミセ*゚ー゚)リ「ううん。たぶん、普通に友達付き合いしてくれてるだけでいいんだと思うの」
川д川「それなら、お互い様です」
ミセ*゚ー゚)リ「あたしは、あなたたち親子には感謝してばっかりね」
ミセ*゚ー゚)リ「ともかく、今後もあの子をよろしくね」
川д川「はい、もちろんです」
ミセ;゚ー゚)リ「……じゃあ、そろそろ上がろうか? のぼせちゃいそう……」
川;д川「そ、そうですね……」
- 24 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 23:08:24.52 ID:3gJAreXg0
(・∀ ・)「ただいまー!」
(-_-)「……」
川д川「おかえりなさい。虫は捕れた?」
(・∀ ・)「ヒッキー兄ちゃん、すごいんだぜ! デカいカブトムシがいる場所とか、いろいろ知ってるんだ」
(-_-)「……」
川д川「そうですか……ありがとうございます、ヒッキーさん」
(-_-)「問題ない……」
(゚、゚トソン「みんな、夕食の準備ができたよ」
(・∀ ・)「はーい!」
川д川「じゃあ私は、お父さんを起こしてきますね」
- 26 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 23:12:23.67 ID:3gJAreXg0
(・∀ ・)「いっただっきまーす!」
(゚、゚トソン「またんき、ごはんは逃げないから、ゆっくりお食べ」
( ゚д゚ )「あ、この魚ウマイっすね」
川*д川「おばあちゃんの煮物、やっぱり美味しい……」
(゚、゚トソン「魚も野菜も、地元のものを使ってるから、新鮮でおいしいんだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ペニちゃんも、おばさんの煮物好きだったよね。やっぱ親子だねー」
川*д川「え、そうですか……」
(・∀ ・)「ごはんおかわり!」
(゚、゚トソン「はいはい」
(-_-)「……」
ヒッキーさんは黙々と食べてます。
- 27 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 23:15:33.95 ID:3gJAreXg0
(゚、゚トソン「みんな、ごはんはもう大丈夫のようだね。デザートがあるよ」
(・∀ ・)「やったー、スイカだ!」
ミセ*゚ー゚)リ「……あ、冷たくておいしー」
(-_-)「……」
川д川「……あら、ヒッキーさん何をかけてるんです?」
(-_-)「……塩」
川;д川「え、塩ですか?」
(-_-)「……塩をかけると、スイカの甘さが引き立てられて、おいしい」
川д川「じゃあ、私も……本当だ、おいしい!」
川д川(……あれ? おいしい、か……)
川д川(『おいしいものを食べたい』と思うのって、感情があるからだよね……)
川ー川「……」
- 30 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 23:18:33.17 ID:3gJAreXg0
夕食後、またんきとヒッキーさんは二人で遊んでいました。
(・∀ ・)「ヒッキー兄ちゃん、次はこっちのゲームしよう!」
(-_-)「……うん」
川д川「あら、ヒッキーさん、随分とまたんきに懐かれてますね」
(-_-)「……」
川д川(そういえば、お父さんたちはどうしてるかな……)
私はちょっと気になって、お父さんたちの様子を見に行きました。
広間の前まで行くと、お父さん、おばあちゃん、ミセリさんの三人で、
お酒を飲みながら話してるのがわかりました。
ミセ*゚ー゚)リ「それでね、ペニちゃんったら……」
(゚、゚*トソン「そう、ペニサスがそんなことを……」
(*゚д゚ )「あいつ、家ではほとんど仕事の話しなかったからな……」
- 33 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 23:22:27.81 ID:3gJAreXg0
……どうやら、お母さんの話をしてるみたいです。
気がつくと、ついつい立ち聞きをしてしまっていました。
(*゚д゚ )「そうか……色々大変だったんだなー」
ミセ*゚ー゚)リ「……そうそう、それで素直所長と高岡博士が……」
……素直所長?
確か、クーさんの苗字が『素直』です。
素直なんて、そんなにありふれた苗字じゃない気がするんですが……
お母さんの勤めてた研究所で起こった事故と、その研究所の所長とクーさんの関係、
そしてヒッキーさんの感情とカラーのこと……
何か、関係があるんでしょうか……
- 34 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 23:25:43.48 ID:3gJAreXg0
次の日。
( ゚д゚ )「じゃあお義母さん、俺たちは帰りますね」
(・∀ ・)「ばあちゃん、またね!」
川д川「おばあちゃん、さようなら」
(゚、゚トソン「うん、気をつけてね」
ミセ*゚ー゚)リ「あたしたちも帰ります。おばさん、また来ますね!」
(-_-)「……」
( ゚д゚ )「ミセリちゃんは電車で来たんだっけ」
ミセ*゚ー゚)リ「ええ、新幹線で……」
( ゚д゚ )「VIPに帰るんだったら、よかったら送っていくよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ほんと!? 助かるー」
- 36 名前: ◆Iu0alg2vgI 投稿日:2009/10/23(金) 23:28:34.28 ID:3gJAreXg0
( ゚д゚ )「ここだね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、ありがとう、ミルナ君」
川д川「それじゃあヒッキーさん、また学校で……」
(・∀ ・)「ヒッキー兄ちゃん、また遊ぼう!」
(-_-)「……」
ヒッキーさんは、コクリ、とうなずきました。
それにしても、今回ミセリさんに聞いた話は興味深いものでした。
『カラー』とは一体何なのか、ヒッキーさんは感情を取り戻すことができるのか、
そして私はどうすればいいのか……
そういった問題を、今後少しずつ解決していく助けになってくれるかもしれません。
第五話完、続く
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